メールマガジン

メールマガジン第298回(4月6日)

掲載日2009 年 4 月 6 日

みなさんこんにちは

工務店経営が成り立たなくなっているという悲鳴のようなものを頻繁に耳にするようになって、最近で廃業といった話も伝えられています。

 

いずれを優先するべきか:工務店の利益か、消費者の利益か

HICPMの会員の中にも、会費の負担が出来ないといって退会していかれる方もいますし、法人会員から個人会員になる方もあります。私はもう一度、「住宅によって国民が資産を失っている」現実と、それにより「住宅産業が消費者の信頼を失っている」現実を考えて、「工務店の利益」を考える前に、「消費者の利益」を守ることの出来る工務店経営をすることがなければと言う原点に戻る必要性を感じます。

 

消費者のニーズ

多くの工務店にとって、公益団体の会員になることは、公益団体からの情報を手に入れるためと言うことが目的になっていますが、その情報が工務店経営に役立たなければ、公益団体を退会することは当然のことだからです。多くの外郭団体からも会員の減少により存続が厳しくなっているという話も聞かれるようになりました。

 

工務店に役立つ情報とは、「集客の技術や、目先の満足」を提供することではありません。消費者に供給した住宅は、いつでもその供給価格で買い戻し、買戻し価格で既存住宅市場で売却できるような、「価値が販売価格どおりある住宅」でなければなりません。工務店自身がその住宅に居住するわけではありませんので、再販のために清掃や修繕と販売まで6ヶ月程度の販売管理費用は必要になるため、20%程度までの再販経費を徴収することは当然でしょう。

 

HICPMが考える消費者ニーズと工務店経営への保証

HICPMは創立以来取り組んできたことは、工務店の生産性を向上することで、消費者にその家計支出に過大な負担をかけないで、年収の2.5倍の住宅ローンを組んで、年収の3倍程度の住宅を供給することです。

工務店はこのような住宅供給の結果、販売価格の20%の粗利で、純利益は販売価格の10%を確保する工務店経営を実現するよう、それを現実に可能としている北米の経験と、それを説明する理論と技術を日本に技術移転してきました。

それが、建設業経営管理技術、CM(コンストラクション・マネジメント)と言う経営管理技術です。

 

工務店の利益本位の経営の勘違い

日本では重層下請け構造の中で、粗利が重層する建設業経営が一般的にやられてきました。その仕組みの中で、元請業者が最も大きな粗利を、単に仕事を分配するだけで手に入れてきたわけです。

実際の建設工事をせず、単に仕事を分配するだけで大きな粗利を手に入れるのはあまりにも可笑しい、とある大手ゼネコンの技術屋が疑問を持ち、もっと建築主の利益を考えた方法をやるべきだと考え、考案したものが「CM方式」と呼ばれる日本式の建築主への利益還元方式でした。

 

日本のCM方式

CM方式と言われているものは、大手ゼネコンなど当該業者の利益を排除して、ゼネコンが企業としてやっていることを、CMR(コンストラクションマネジャー)と彼らがなずける技術者が代行することで、ゼネコンがそれまで独占的に得ていた利益を引き下げようといっているだけのものです。

ゼネコンをリストラされたり、仕事が縮小した設計事務所がこのCM方式に群がったわけですが、これは、世界のCM(コンストラクションマネジメント)とは全く異質のものです。

分かりやすい例えで言えば、ハウスメーカーのやり方を批判してフランチャイズによる住宅販売がアイフルホームに始まり、多くのフランチャイズハウスでやっていますが、その違いのようなものと考えたらよいと思います。

 

ハウスメーカーのシステムは、ハウスメーカーの利益を最大にするためであると同じように、フランチャイズシステムは、フランチャイザーの利益を最大にするためです。

しかし、最近はトステムのように、トステムの利益を最大にするために多くのフランチャイズシステムがその手先になっている例もあります。

いずれにしろ、これらのシステムといわれているものは、いずれも例外なく、そのシステムの「元締めの利益」を最大にすることにあり、消費者の利益は元より、フランチャイジーの利益は、「2の次」、「3の次」におかれています。

 

世界のCM

科学的なCMは、建設業経営として無理、無駄、斑を最小限にして、建設コストを削減し、工務店は適正利益を取って、住宅購入者に適正価格で住宅を購入させようとする経営管理技術です。

その内容を知れば知るほど、科学的なCMは、日本の戦前の大工や工務店の追求していた仕事の取り組み、つまり、「消費者の利益を最大にすることで大工工務店の繁栄を図ろう」としていた技術と同じものであることを知ることができます。

 

それであるにも拘らず、国土交通省や、京都大学、工学院大学、その他少なからぬ大学で「CM方式」と言う名称で教育している建設業経営技術は、名称こそCMという文字を頭に付けていますが、国際的に通用するCMではありません。

いずれも、CMRと呼ばれる技術者が、「ゼネコンと同じことを、見積もりあわせと言う事実上根拠のない下請けたたきをすることで、ゼネコンから仕事を奪って、建築主に少し安く仕事をする」というだけで、専らCMRの利益追求である点では、「似非CM」と言うほかありません。

 

日本で科学的なCMが根付かない理由(その1:杜撰な設計図書)

先日ある住宅専門紙の記者が取材にやってきて、「HICPMの教育しているCMが、本当に工務店の体質工場になるのならば、どうしてHICPMで学習したや工務店が、大きな成功を挙げないのでしょうか。また、どうしてHICPMのやっているCMの学習が広がらないのでしょうか」と言う質問がありました。

この質問こそ、日本の工務店の現実を説明していると思いました。

CMの勉強をしても、その知識を基にして工務店経営をする人は、最低限、住宅建設工事に必要な材料と労務の数量と単価の管理をしなければなりません。しかし、多くの工務店は、建設に必要な設計図書を見て、材料と労務の必要数量を拾うことが出来ないのが現状です。

要するに、「設計図書を住宅の生産図面」として読むことも出来なければ、「住宅の生産図面として扱うことの出来ないような杜撰な図面」で工事請負をやり、どんぶり勘定に近い見積もりで仕事をしている業者があまりにも多いということです。

 

(その2.施工実体を把握できていない)

ここの下請け業者は、実際の工事をするうえで、関係する工事ごとに、どの程度の材料や労務が必要かを「経験的に」見積もることは出来ています。しかし、正確な材料と労務の必要数量や費用を正確に積算し、見積もりをする能力を持つていません。

そこで、安全率など「適当な勘」で、経験的に危険をカバーしています。職人の技能も把握できていません。材料の現場での材料の使いまわしの力や方法を、現場監督も、下請けの管理者も正確に把握していません。

 

CMの管理技術は、まず設計図書が工事の生産図面として、必要な工事内容が記載されていることを確かめます。

それに基づいて,①工事に必要な材料と労務と、②ゴミにする建設廃棄物になる材料と、建設現場で段取りが悪いために工事が出来ないために無駄にさせられている労働時間の合計(①プラス②)として積算する作業から始めなければならなりません。

そのためには、材料及び労務のデータベースを作ることが不可欠です。

 

工務店コンサルタントの工務店指導と工務店の実力

日本の多くの工務店は、看板をたくさん立てて認知度を高め、チラシをばら撒き、それで引っ掛けた消費者に対しては、工務店自身の専門性も実力も相手に知らせず、「注文住宅」が出来ると顧客を騙して制約に追い込むよ指導しています。

「注文住宅」をやっているという工務店の中で、建築主の生活文化要求を聞き出すことの出来る専門知識や能力を持っている工務店は皆無です。仮に顧客のニーズが分かったとしても、そのニーズに応える設計のできる建築家が一体どこにいるのでしょうか。

 

例えば、数寄屋建築といっても、又は、洋風伝統建築様式にしても、実際に数寄屋建築や、洋風建築様式の学習をして、それを実践した経験を積んでいなければ出来ません。

仮に、それが出来た設計図書が用意できても、設計者自体がそこで作成された設計図書を使って、いくらの工事費が必要になるかという積算見積もりが正確に出来なければ、請負契約が結べません。

工事を請け負う工務店の中で、下請けの手を借りないで、自社の力で必要な材料と労務の数量と単価データを持っていて、正確な積算をすることができる工務店は殆どいないのが現状です。

これまで工務店がその経営をやることが出来たのは、下請けにそれぞれの見積もりをやらせるか、又は、これまでの経験と実績で、工務店として損をしないようにするためには、個別の工事ごとの概算工事費実績を使うことが出来たからです。

 

このような工務店の技術能力では、建設現場でどのような無理、無駄、斑がやられているかを発見することも、監督することも出来ません。

現場監督に工事生産管理能力として、工事原価管理能力もなければ、工程管理計画を立てる能力も、工事段階で必要とされる工事精度の知識もなくて、住宅の生産管理が出来るはずはありません。

 

CMを学んで実践する上の障害

HICPMでCMの勉強をした人の中には、本当の現場での生産管理をしなければいけないということが分かった人もいます。しかし、CMを実践するためには、個人としても、工務店としても、それなりの努力をしなければなりません。

そんな努力をしなくても、下請け叩きをしたり、材料叩きをしていれば、威張っておられ、まじめのCMによる努力をするよりも儲けの大きな仕事が出来ていた工務店は、真面目な努力をしようとはしません。

まさに「悪化は良貨を駆逐する」の喩えどおりなのです。

 

その結果が、日本の工務店や建設技能者は、同じ工事代金を長い後期で分割して支払われるため、経営に必要な利益も、生活を維持するために必要な賃金が得られず、使い捨てられ激増した。目先の利益に目を奪われて工務店の体質を破壊しているのです。

工務店も、建設労働者もその社会的地位は低く、後継者が得られなく、現在の社会で見られるとおりの体たらくになっています。

 

CMで工務店体質の改善を

工務店が適正利益を手にし、建設労働者が高い生産性を上げることで、高い賃金を手にすることなしに、工務店による住宅供給はうまく行くことはありません。

生産性を高めることにより、同じ利益と同じ額の労賃をより短い期間で手に入れることが出来るため、工務店は寄り大きな利益を手に出来、建設労働者はより大きな所得を手にすることができるのです。

生産性が上がることは必ずしも新しい仕事が付いてくるわけではありませんが、それだけ余剰に時間が生まれるわけですから、その時間を営業にまわすことや、技術の研鑽に向けることで能力を高めることが出来ます。

工務店に体質改善をさせようとしない基本的な責任は、基本的に政府が正しいCMに取り組まなくて、ハードな技術革新が生産性を高めることであるという勘違いをしてきたことにあります。

CM技術は、同じ設計図書を使っても、工事管理の仕方により工事費は違うし、そこで上げられる利益も違う、その管理技術のことなのです。ハードな技術革新をすることで、生産性を挙げる場合もありますが、同じハード技術を使っても生産管理の仕方によって工事費用は違ってきます。

これまで建設業経営をやってこられた工務店の方にあっては、正しいCM技術を学び、それを実践しようとすることで、確実に、「無理、無駄、斑を発見」し、それらを「排除」できるようになります。そうすれば、それらの「マイナスをなくした分」だけ工務店の利益は拡大することになります。

 

CM学習に取り組んでください

HICPMでは、そのような思いで、今年も4月14日から二ヶ月毎に5回のCM講座を実施することにしました。全講座を受講されることが望ましいこととは思いますが、1講座でも受講されることで、どのような考え方で工務店経営に臨めば、それに見合った利益を確保できるかを知ることができると思います。

日本中でNAHBのテキストに忠実に、世界に通用するCM教育をしているところは、HICPMしかありません。HICPMは、これまでCM教育を開設以来15年近く続けてきましたので、日本の現場の多くの問題にはお答えできると思います。


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