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メールマガジン第304号(6月1日)

掲載日2009 年 6 月 1 日

 

メールマガジン第304回(6月1日)

皆さんこんにちは

アメリカ住宅建材セミナーと技術知識の学習態度

ワシントン州政府の伴さんを団長に、私はセミナーの講師として、5月26日(宇都宮)、5月27日(福島)、5月28日(仙台)5月29日(盛岡)5月30日(青森)をHICPMの理事の小金沢さんやワシントン州からトロイさん、米国建材を取り扱っている建材商社の方たちと講演旅行をしてきました。

参加者は、各会場とも25名から50名くらいで、全体としては非常に熱心に勉強してくださったと言う印象でした。小金沢さんは常連の講師として参加者の気持ちをよく理解して、分かりやすい話をされましたし、各材料業者の方もその取り扱っている材料に関する専門的な裏づけ情報の提供をされ、単なる販売促進だけでないことで、参加者にはしっかりした技術情報が提供されていました。

 

参加者中には「何か経営改善のヒントを得たい」と言う気持ちで参加された方もおられ、建材に関して「見慣れた材料」と言うことでそれ以上の関心を示さない方もいました。以前、私が輸入建材を取り扱う会社にいたとき、NAHB(全米ホームビルダー協会)のIBS(インタ-ナショナルビルダーショウ)に毎年出掛け、自社と競合他社の展示製品を探検に比較した経験があります。

 

そのとき分かったことは、米国の企業は徹底的な技術競争をしており、寸法や外見は同じに見えても、他社の進んだ技術は必ず翌年の商品には取り入れて改善し、さらに、それを超える技術を取り入れていると言うことです。その違いは微妙なものも多く、毎年で掛けているとその違いが分かります。その違いを見分ける力こそ、工務店に要求されているのです。工務店の方は積極的に知識を求めると言う態度で臨むことが大切です。

 

熱移動に使われる熱の3変化

私はここ数年エネルギー問題が世界の感心になっていることで、エネルギー対策に関しては特に関心を持ってきました。小金沢さんが取り扱っておられる輻射熱排除のアルミ製品は急拡大しているようですが、その関心と理解が日本では非常に低いようです。その理由は、官庁も学者研究者も輻射熱の工学的取り扱いの技術が出来ないため説明できなくて敬遠されているためです。建材取り扱い関係者の知識不足が優れた材料利用を阻害します。

 

熱の移動は、輻射、伝熱、対流の3種類がありますが、それぞれの移動は分離しているのではなく、その相互間をいろいろな方法で熱が形を変えて移動していることが解析できないでいるのです。太陽光が物質(屋根や外壁)に当たってそれらを暖めますが、それらの材料を通過して内部の材料にまで到達して、それらを温めます。輻射熱で暖められた建築部分は、そこから接続している部材に熱を伝達させ、材料周辺の空気を暖めて、その空気が対流をして他の部分を暖めることもあります。又、太陽光で暖められた材料から輻射熱が発せられて、その輻射熱の当たったところへ熱を移動させます。

 

外断熱と熱伝熱

対流としての熱移動の最大のものは、輻射(太陽熱と放射冷却)と隙間風による熱移動で、熱伝導もそこから放射と対流で熱を奪われているのです。西欧での「外断熱」と言う技術は、屋内からの熱が壁内を伝達して、壁の外部に到達したとき、そこからは「外壁に接している空気へ熱を伝え、空気が対流で壁表面の熱を運び出」し、又は壁面からの「放射により熱を外部に放出している」損失を外断熱と言う建物の外からオムツをすることで「お漏らしをしない」と言う技術なのです。それを日本では単なる伝熱問題に矮小化し、熱伝導の問題にしているのです。

 

魔法瓶でやっていることが伝熱と放射の対応です。欧米での建築物の外断熱工法は、石造やコンクリートなどの熱伝導は高いが、熱容量の大きい外へ機材からの熱の放出を防ぐために、そこから大気や天空に向けての熱放射を防ぐ目的で、住宅の外殻(エンベロップ)の上を覆うものです。

 

アルミ外壁または屋根で輻射熱を跳ね返すことで屋内の決の放射熱と屋外からの輻射熱をはじき返す取り組みが外断熱として取り組まれているのです。しかし、その形態を変化させる熱の移動のメカニズムと、そのエネルギー量の定量的計測方法は出来ていません、

 

日本での内断熱、外断熱は、伝熱を阻止する断熱構造を壁のどの位置に入れるかということで内外を問題にしていますが、断熱材は、その構成が同じならば、入れる位置の如何にかかわらず、伝熱(断熱)の効果は同じとなります。

 

そのような理屈を考えないでTV広告のような「内断熱優秀」と言う理解は、全く意味のないものです。日本の性能表示もそれと大差のないもので、評価機関の金儲けに住宅産業が踊らされていると言うことが本当のところです。

 

日本の建築教育の欠陥

今回の巡回セミナーでは、確かに工務店の中ではまじめな人達が参加してくれたことは間違いないと思いますが、これまでに住宅建設に必要な知識を間違った形で教えられているため、これまでの建築工学の枠組みにないものは受け入れにくいようで、気の毒だと感じました。

 

日本では、学校教育の最重視と言う傾向があるため、建築を大学や高等専門機関で学んだ人達には、建築工学が建築の全てであると言う間違った先入観があります。また工学に関しても、大学教育や、政府が問題にしたものが全てであるとする間違った理解があります。

 

熱輻射の建材が重視されなかったり、建築空間の歴史的デザインが粗末にされたり、建築生産に関する管理技術が粗末にされていることに現れています。私が住宅の資産価値は、「その住宅が消費者の感性にあって自分の宝にしたいと思うことがなければ、それは粗大ゴミとして誰にも振り返られず、取り壊されることになる」ということを説明し、「感性にあった文化的に豊かさを感じさせる空間は、居住者が何時までも大切に使いたいと考えてリモデリングを繰り返し、捨てられることはない」という話を繰り返ししてきました。

 

私の話の少し後で、小金沢さんが「デザインと機能と性能の3要素の中で、住宅の価値を持続させる上にどの要素が重要だと思いますか、」と言う質問をして、会場からの回答を待っていますと、「性能です」と言う回答が沢山帰ってきます。小金沢さんは最初、会場の人達は一体何を聞いてきたのかと言う理解に苦しむ反応をしていましたが、だんだん慣れてきたようでした。

 

しかし、私が1時間掛けて話していた話の全てが無視されていたとしか思われず、聴取者がまじめに私の話を聞いていても、なお、この理解ということは、住宅産業関係者の圧倒的多数は、骨の髄まで建築教育と政府の腐った知識で汚染されているのだと思わざるを得ませんでした。

 

建築のデザインの重要性の認識

しかし、私はHICPM設立以来の15年の歴史を思い出して、少しづつは変化していると感じています。何しろ、デザインや様式の話は、HICPM設立当初、誰も問題にしていませんでしたが、当時からHICPMでは、その重要性を指摘し、「アメリカンハウススタイル」の翻訳を始め、デザイン関係の本を出版してきました。今は、多くの人達がクラシックデザインに目を傾けるようになりましたし、デザインの重要性を資産と言う観点から問題にする人も増えてきました。

 

HICPM副理事長竹山さんはデザインの資産価値に与える影響に関して実証的な調査研究をされ著書を出され、それを先般グローバル研修企画のツアーで研修旅行をしました。参加者の人数は、デザインに対する理解を反映して10名程度でしたが、確実に意識する人は増えてきています。今回の講演会にも自作の住宅写真を持参されて、私の意見を聴いてくれる人もいましたが、着実のデザインに対する理解者は増えてきています。

 

HICPMでまとめた「アメリカンハウススタイル図版集」や、「マークスプリング物語」を持参されて、「サインしてくれ」と言ってこられた人もいて、お話をお伺いしますと、これらの本は、デザインを考えるときに利用していると言う回答が帰ってきて、これらの書籍が実務に役立てられていると言うことで嬉しくなりました。

 

注文住宅設計

今回の講演会では「注文住宅設計」の話をしました。その中では、竹山さんが出された「サステイナブルな建築・住宅のデザイン」の中で、安藤忠雄の言葉を何度も使わせてもらいました。安藤忠雄が言っていることは、TVでも言っていますので多くの人はお分かりかと思いますが、「建築主の言うことを聞くな、建築主はお金を出すだけの人だし、それでよい。建築家は、頼まれたら好きなことをやっておればよい。」

 

私は、安藤忠雄の言っていることはひどいと思いながらも、これは建築家の実態であると思いました。建築主には、希望する建築デザインを具体的に設計者に伝えることが出来ないだけではなく、設計者の側に、個人の重要球を聴きだす能力などないに等しいし、仮にそれが分かっても、その要求どおりの建築を造る能力を持ち得なかったのです。

よって、建築主の要望自体、理解する能力がないだけではないのに、その勉強方法も分からないまま現在に立ち至ったのである。

 

安藤忠雄自体が建築主の依頼するものを設計する能力を持っておらず、自分でやれることなら出来るといっているのである。多くの建築士と同様、建築歴史も、歴史建築の設計を学んできていない人にクラシックな建築設計が出来るわけはない。安藤忠雄は一般の建築士のように「建築主の期待に応えた設計をしますから、注文住宅は安藤にお頼みください」とはいわないところに正直さはあるということが出来ると思います。

 

「有名になりたい」、「メジャーな建築家になりたい」と言う一念は、言い換えれば、多くの人に支持させる「時代の建築設計」をしたいと言うことであります。流行歌と同様、時代に対応した建築は、流行歌同様、その時代で「猫も杓子も有頂天になる」として、安藤たちがやってきたこととハウスメーカーのやってきたこととは基本的に同じです。

そしてこれらの建築・住宅設計は多くの人から時代感覚にあう建築・住宅として賞賛され、支持者を獲ることになっていたのです。そしてこれらを建築は時代とともに陳腐化していくのです。

 

衣食住の全てが、衣食住生産に求められる高度な技術や専門知識がなくても安心して享受できる物でなければなりません。逆に、衣食住の生産には非常に複雑で高度な知識が必要とされます。一人の人間で無数の建築に関する知識を習得することは出来ません。

 

ホームプランシステムの活用

消費者に満足を与えるためには、専門家仕事の間口を絞って、専門性の高い技術を駆使しなければならないことは、建築住宅に携わる方は、間口を絞って専門性の高い仕事をすることで、費用対効率を最大にした住宅を供給することが出来るのです。

 

専門家は、自分で出来る分野を絞り込み、費用対効果を最大に出来る住宅を供給することで、顧客に満足を与えることが出来ます。そのようにするためには、専門業者は自分の専門分野の仕事を分かり易く示して、その専門性の高い仕事のならから顧客の要求に合ったものを選んでもらう方法が、最も消費者に費用対効率の高い仕事を可能にします。

 

そのために衣食住の全ての産業で、消費者に高い満足を与えるものとして、専門家はメニューを作成して、その中から消費者に選択させる方法はつくられた。その制度こそ「ホームプランシステム」なのです。

 


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