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メールマガジン第306回’6月15日)

掲載日2009 年 6 月 15 日

メールマガジン第306号((6月15日)
みなさんこんにちは。今回は、「長期優良住宅と国庫補助金」がテーマです。

「工務店重視の政策」という毛針
政府が中小規模の工務店に地場産の木造住宅の振興を前提にした性能表示住宅の建設に取り組む場合、1個当たり100万円の補助金を交付するという政策を始めました。補助制度の詳細については、日本住宅新聞や、新建新聞などの工務店向けの住宅新聞や、住宅雑誌、全建連などの外郭団体が、会員増強と一体的に取り組んでいますから、そちらの情報が、すでに十分大量の情報がお手元に届いていることと思います。

税金は国民が納付したものが補助制度として始められたわけですから、目的に適う補助金は、できるだけ有効に利用するべきです。しかし、以前、渡辺美智雄大蔵大臣が、「官僚の施策には、毛針が仕掛けられている」という趣旨のことを発言し、当時、大臣はよく本質を見抜いていると舌を巻いたことを覚えています。大蔵大臣をやっていると各省からの予算が、悉く「省益のための要求」であることをいやというほど見せ付けられた結果、国の補助金の本質が分かったのだと思います。

補助金は官僚と政治家の利益のため
私は官僚時代、建築行政や住宅行政を中心に担当しましたが、その中で立法作業もやりましたが、補助金を大蔵省からの獲得する取り組みと同時に、補助金の交付事業も直接担当し、多くの官僚たちがやっていることを一緒に仕事をしながら学んできました。その本質は渡辺大臣と基本的に同じ認識です。一言で言えば、官僚は長い目で見ても、短期的な視野で考えても、官僚にとっての共通の「村」の利益にならぬことはやらないのです。官僚の任期は大体2年です。その最大の関心は昇進であり、直接的な経済的利益です。

国家の政策といわれるものは、われわれの選良(政治的な代表者)が国会で立法することで大枠は決められます。国会議員は国民の支持なしには国会に選ばれませんから、その政策には選挙民の利益が反映されることになります。しかし、国会議員に聞けば分かるとおり。彼らにとっての国民は、彼らに「投票してくれる支持者」か、「政治資金を献金してくれる人」に限られ、「それ以外は国民ではない」と言い切ります。

国家の政策の虚構(フィクション)

政治(国会)で決めたことを、その詳細を作成して実施する役割が官僚の支配する行政機構です。政治家は、自分が決めた法律(予算関連立法を含んで)官僚に対し、政治家を国会議員に選んだ支持者に向けて予算が配分できるように圧力をかけます。もっとも正当な手段とされているのが、直接的に官僚に指示したり、国会での審議の中で政府委員である官僚に、「国会審議」に対する答弁を引き出すと言う形で実行を約束させる方法です。

官僚は自分のやりたいことは行政組織を使って、地方行政と司法政治に働きかけをさせて、中官庁及び地方出身議員に対する陳情という形で示威運動をし、中央官僚の利益になることを、国会議員の利益ともなるような形に組み替え、その利益が都道府県銀や地町村議員、さらには地方公務員の利益になるという修正をすることで、あたかも国民全体の利益の陳情という形の虚構(フィクション)が作り上げられるのです。

護送船団で運用制度に隠蔽される犯罪
官僚も政治家もすべての制度は国民のためと説明してきました。確かに国民の利益を損ねる政策など表向きできるはずはありません。詐欺師でも表向きは「消費者の利益」を謳いますし、多くの国家が関与した犯罪に対して、それを「犯罪」とは呼ばず、「法律上の不備」の結果といいます。国の予算を私的な遊興につかっても、「公務員には接待費という費目が許されていない」と開き直ってすんでいます。刑法上の窃盗に当たることを犯しても、その額が多ければ、分割返済することで政治家や公務員には犯罪の責任ないと言うのです。

「連帯責任は無責任」という言葉は、日本の官僚組織や政治や地方公務員の社会で当然のようにやられてきました。補助制度は組織での執行を前提にしていますから、基本的に無責任であり、公務員は「犯罪追及からテフロン加工」されているため、組織犯罪が大手を振ってやられてきました。社会保険庁事件、東京「石原銀行」事件、永田議員を自殺に追い込んだ「偽メール事件」でうやむやにされた「耐震偽装事件での政官業のスキャンダル」など枚挙に暇がありません。護送船団の組織利益のための犯罪は、検察を取り込んでで「立件が困難」と言う口実で闇に葬られます。しかし、個人的な利益のための犯罪は、「村の利益」破りと言う「闇の世界のルール違反」(嫉妬)ということで摘発され、豚箱に放り込まれます。

超長期優良住宅政策の日向と陰
HICPMでも、政府が進める長期優良住宅政策が消費者利益を拡大すると言う政策の日向の面に賛成して、国土交通省住宅局住宅生産課の要望にこたえて「超長期優良住宅地経営管理マニュアル」を作成するため努力をしてきました。国民の「住宅が国民の生活の支え」となることができるように、その資産価値を維持向上することがなければなりません。その方法としては、世界の工業先進国で「検証済みのシステム」を日本の状況に置き換えて実施できるようにしてきました。しかし、長期優良住宅と言う名を冠した政策のすべては、HICPMが考えてきたような諸費者の利益を重視したものではないのです。

「住宅の性能がよい」と言うことは、食事で言えば、「栄養価が高い」と言うことであり、衣類であれば、「じょうぶ」ということです。過大な栄養価のある食事は、メタボリックの原因になり、衣類でも単に丈夫なだけでは、それだけで利用されることにはなりません。高性能と言っている今の性能表示制度は、過剰性能を高価格で販売する大量販売会社に好都合な制度で、消費者に「過剰性能を、必要性能」と勘違いさせ、無駄な費用を支出させます。性能が高くても何も価値が高くはないのに、価値が高いと思い込まされているところに問題があるのです。性能表示制度に絡んで保険会社、表示機関などさまざまなビジネスが生まれ、そのすべてが消費者負担(犠牲)によって飯を食っているのです。

流行歌の寿命と有名建築家の作品の賞味期限とハウスメーカーの住宅
大手住宅会社は、住宅の大量販売で大きな利益を上げようとしていますから、その住宅は時代感覚にあって、多くの人を巻き込むデザインの住宅を開発します。「トレンド」(時代の流行)は、その時代感覚ですから、流行歌のように「同時代」の国民全体を巻き込むことができます。これは有名建築家の「作品」と言われるものも基本的に同じで、安藤忠雄が言っているように「有名になりたい」と言う要求をかなえるために、彼は時代感覚を学びそれを作品にしてきたのです。それは有名になりたいと言う人たちに共通することで、住宅雑誌に登場する住宅設計だけではなく、住宅コンサルタントの発言も似たり寄ったりです。

以前、「日経ホームビルダー」の編集長に、「あなたの雑誌はあまりにも際物ばかりで、後日読み返して役に立つ記事などない。HICPMの雑誌は時代が経過して読み返しても、その時代に役に立つ記事を掲載してきている」と批判したところ、「HICPMのギルダーズマガジンは雑誌とはいわない。雑誌は基本的に読み捨てするものだ」と反論してきました。それは編集方針の違いで、HICPMは「工務店の知識や情報は、長期に有効でなければならない」考えているのに対して、日経ホームビルダーは「手離れのよい住宅産業」に役立つ雑誌なのだと言う違いだと思いました。住宅産業は日経だけではなく、すべてのジャーナリズムが政府の政策宣伝スピーカーになって、無批判に「使い捨ての住宅」や大量販外促進に手を貸してき手、目先の成果を追わせてきたのです。

農業政策で見る補助金政策の成れの果て
農業は、工業に比べて生産性は低く、そこで有能な後継者を育てようとすれば、商業・業務や工業と対等の競争のできる賃金が支払える産業にし、又は、労賃の安い発展途上国からの農業製品や、大規模農業をしている米国などからの農業製品と競争できるような農業支援策が必要です。そこで、農業政策に国家が介入して国内農業を守ると言う政策は必要です。国民の税金は国民の食品の自給率を高め、外国依存の程度を一定範囲に抑え、国の主権を維持できる農業政策は、国の防衛にとって重要です。これまで米国でもヨーロッパでも、国家として自立するための食料自給率を維持した農業政策が重視されてきました。

日本では、政府が農業構造改善政策を展開する過程で、農業で生計を立てる農民を破綻させ、農業機械業界や農業土木産業と結託して、農業を公共事業という官僚支配の体質に変質させてきました。農協関連の組織も農民を中心にするのではなく、構造改善事業と言う公共事業としての農業建設業や、米流通や、農業機械の販売と言った国家の補助金や金融に群がって、政治家と官僚がうまい飯を食う仕組みが形成されてきました。その結果、本当に農業を農民の利益や国民の利益をもたらす産業として、ひいては国家の利益を増進する農業や農政を考える人は消滅し、代わって、農業補助金を如何に引き出して利益を上げるかという補助金依存体質に日本農業全体の体質を悪くしてきました。

住宅産業への100万円補助金
先日ある住宅産業の研修会に出席したとき、「長期優良住宅補助金を利用しよう」と言うキャンペーンが張られていました。「なぜ、国庫補助金が交付されるのでしょうか」。日本の住宅産業ほど生産性の低い国は、工業先進国の中では例外ですが、政府は生産性向上の取り組みをしないで、工務店の経営補助のために補助金を交付すると言うのです。その裏には性能表示制度といった消費者に負担だけを科して、実質性能を計測もできない制度に群がって、保険制度、性能表示制度など役人OBの「雇用の場作り」がなされ、その費用負担はすべて住宅価格に転嫁されるという仕組みです。工務店で長期優良住宅補助金を利用する人たちは、業界団体の組織維持拡張事業として取り組まれています。

この補助金自体が実質上は企業への無償利益供与補助金と言ってもよいのです。補助金が「濡れ手に粟」で交付される裏には「毛針」が入っているのです。業界団体への加入、性能表示制度の活用や瑕疵保証保険制度への加入、外郭団体の実施する研修事業への参加、関係政治家への政治献金(パーテイ件購入)等々補助金と言う無償の助成をえさに工務店を隣組組織に結集させ、密告制度を活用して組織からの脱落を防いで、国の作った制度を半強制的に加入させることで、官僚OBの天下り先の役員報酬の分担をさせているのです。国家の予算を外郭団体に対して国家の政策の受け皿として運営経費を補助するだけでは天下り人事の人件費負担はできません。そこには多くの産業を会員として半強制的に加入させて会費収入を拡大しない限り、天下り人事に過大な役員報酬を与えることはできません。

補助金を受給しても、目的の大義を忘れるな
長期優良住宅政策として、国民の住宅資産価値を高める大義名分に反対する理由はないしかし、性能表示制度がその目的達成になるかといえば、少なくとも今の性能表示制度はそれに逆行し、国民に勘違いさせて過大な住宅費負担を甘受させるものである。瑕疵保証保険にいたっては、一体なぜ消費者に掛け金を負担させられるのかと言う法的理由自体がない。その上、消費者負担した掛け金の一体何パーセントが、実際の瑕疵保証として支出されるのか。支給された補助金を毛ばりにして工務店にはさまざまな負担が追っかけてきて、自らの経営努力の意欲を失わされ、気がついたら「長期優良住宅補助金奴隷」にさせられていくのである。

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