メールマガジン

メールマガジン第308号(6月29日)

掲載日2009 年 6 月 29 日

みなさん こんにちは。

関心が高かった「ガーデン・ヒル」の計画

横浜市の工藤建設が取り組んだ「ガーデン・ヒル」が国土交通省の

「長期優良住宅先導モデル事業」と認定されたことから、その全て

を学習する目的で、6月25日、グローバル研修企画によって現地

見学会を含めた一日研修ツアーが実施されました。大変好評で、

全国各地から約30名が集まり、大変熱心に勉強されました。

HICPMは、平成20年度の国土交通省の技術研究補助金を受けて財団

法人ハウジングアンドコミュニテイ財団が実施した「超長期住宅地

経営管理マニュアル」作成について、国土交通省から「前年までの

英米の調査研究の成果を日本国内の住宅地経営管理マニュアルにま

とめて欲しい」と言う要望を受けており、その実践を日本のどこで

するかを考えていた矢先に、四日市市のアサヒグローバルと横浜市

の工藤建設が、その実践のモルモットになってくださると言うこと

になり、コンサルタント契約を結び、両開発に対する住宅地経営管

理マニュアル作成に取り組みました。

「超長期優良住宅地経営管理マニュアル」の作成

取り組んでくださった両会社は、これまで英米の住宅による資産形

成を検討する研究会に参加されたこともあり、非常に積極的に英米

の進んだ方法を取り入れることに理解があり、HICPMで研究してき

たことの殆どを受け入れられ、作業は円滑に進みました。お陰で、

両地区の取り組みにより、欧米での長期優良な資産形成を実現して

きた住宅地経営管理手法は、そのまま日本でも適用できることが確

認できました。

その成果は平成21年3月末の国土交通省住宅局住宅生産課に検収さ

れ、納品されました。この成果を住宅局でどのように活用される

は分かりませんが、政府がどのような扱いをするかに拘らず、

欧米の住宅地経営管理として200年近い歴史を背景に改善されてきた

ものを、1928年、ラドバーン開発に当たり、J.C.ニコルズとチャーリ

ー・アッシャーがまとめたものが現在の「三種の神器」と呼ぶ住宅地経

営管理システムで、その有効性には自信を持っています。

HICPMとしては、なんとか多くの住宅産業関係者に、「超長期住宅地

経営管理マニュアル」を活用してもらいたいと考えて、その普及に尽

力しています。今回のような現地見学と一緒になった勉強会は、非常

に時宜を得た取り組みと喜んでいます。それにしても、工藤建設が小

板橋さんを中心に纏め上げてくださったのは、大変立派な成果と敬意

を表しています。

「ガーデン・ヒル」の成果の総括

しかし、具体化となると、これまで日本の住宅で染み付いた不合理な

問題が資産形成を進める欧米の取り組みの導入に大きな障害となって

立ちはだかってきました。工藤建設の実例を、「三種の神器」をまとめ

た経過に照らしてHICPMの考えと比較し、見直すべきと思われる問題

点を思いつくままに列挙してみます。

(1)工藤建設は、定期借地による住宅地開発に取り組んでください

ましたが、基本的にリースホールド(英国)と定期借地(日本)との

違いが理解されていなく、「武笠ガーデン」の100年定期借地をやった

ところまでは出来たが、100年後についての明確な方針を「英国のリー

スホールド」に倣うところまではいかなかった。

(住民からの視点)そこで形成されたコミュニティは、基本的に住民

の意思があれば未来まで永久に継続し、あくまでも住民がこの住宅地の

将来を決定する主権者となることで、事業の最初に地主との間で、住宅

地経営のためのリースホールドについての共通の経営理解を明らかにす

る必要があります。

(地主の土地経営からの視点)「土地の資本化」「土地を利潤を生む

資本に転換する」という経営的視点が、地主に十分伝えられていない。

「土地を貸してやるのだから、現金が欲しい」という感覚を整理しない限

り、地主を目先の現金取得の誘惑に走らせることになる。

(2)工藤建設は、住宅地経営管理主体として、開発した住宅販売後の

住宅地開発業者(工藤建設)、土地所有者(地主)も、住宅所有者と同

立場の住宅経営管理協会のメンバーとした。これは、この事業に関係

した者の協力関係を維持するという意図のものに取り組まれたものであ

るが、住宅地経営管理協会のメンバーになるべきではない開発業者、

び地主の参加は、外すべきです。

(3)リースホールドによる住宅地経営は、基本的に住宅地所有者が個

人であると、所有者の志望により、借地契約自体は継承しても、事実上

借地人が契約相手が変更になるため、土地利用の安定性が大きく脅かさ

れることになる。E・ハワードが(明日へのガーデン都市)の中でも明

らかにしているように、田園都市の土地所有者は法人として土地保有し、

その上で一元的な都市経営を行わなければならない。それが、実は「土

地の資本化」ということなのです。

(4)現在、政府が進めている「定期借地権保証料」及び「借地料前払

い」のいずれの方法も、社会科学的合理的根拠を持たないものである。

借地料の保証であれば、6ヶ月分の地代ということが適当な額である。

このいずれも、地主が「土地を使わしてやるのだから金をもってこい」、

現金を手に出来るなら、理屈としては何でもよいとするもので、どこか

基本的に、意識として間違っていると思われます。地主と借地人とは対

等であると言う関係をどのようにつくるかが、課題です。

(5)本来この開発は、需要階層とそのニーズを絞り込んで、費用対効

果を最大にするマスタープランとアーキテクチュラルガイドラインを作

るべきであったものが、「カスタムハウス」「注文住宅として造る」と

なり、どこかで基本的な勘違いがあって、「素人の顧客の指示で、本来

専門家として仕事をしなければならなかった工藤建設が、素人(しろうと)

の顧客の言いなりの召使になってしまった。プロが選んだ設計、施工、

材料の中から消費者に選択させるべきで、消費者に勝手な設計、施工、

材料選択はさせないことです。

(6)横浜市の開発許可と建築確認の担当者に対して、工藤建設がやろ

うとしていることを十分説明しきれなかったため、「多分、申請代理人

が処分庁の言いなりになった」法律ではなく間違った行政指導に従った

ため、大きな事業損失を被ったと思います。

経験を活かすための取り組み

私は、全体の成果を見ると、「驚くほど立派な成果が得られたといって

よい」と思いましたが、よく見ると、どうしてここでも指摘したような

問題が残ってしまったのだろうかと考えてしまいました。理論に照らし

て、特に「超長期優良住宅地経営管理マニュアル」に照らして、これか

らの工藤建設の取り組みに、どのような改善ができるかを明らかにする

ことが必要だと思います。

その基本には、今回の事業は、工藤建設自体にとって初めての取り組み

であるということと、日常的な他の多くの仕事と渾然一体に取り組まな

ければならず、今回の問題を時間的に十分検討をしないまま進めざるを

得なかったことがあるのかも知れません。

しかし、私からすれば、分からなければ、徹底的に議論して欲しかった

し、最終決定をする前に相談して欲しかったという気がします。

今、工藤建設がするべきことは、(この大実験)で一体どのような実験

をしようとしたのか、期待したような結果が得られたのか、それとも得

れなかったのかを、できれば私も一緒に検討できる場を用意してくれ

ることではないかと思います。

79日のブリックプロダクツ東京の特約店会議にご参加を

ブリックプロダクツ東京特約店会議の一環として、工藤建設の現地見学

会とセミナーを開催することになっており、研修ツアーにご参加できな

かった会社で参加希望の方は受け入れてもよいというご好意を頂いてい

ます。私もその研修会には講師として参加しますが、このときまでには

外構も全て完成しているので非常に楽しみです。

これからの工務店の進むべき道

メールマガジンで何度も指摘してきましたが、この先、工業先進国の所

得は、先行き右肩下がりとなり、やがて発展途上国の賃金水準と平準化

するというマクロな展望の中で、住宅価格を年収の2.5倍以下の住宅ロー

ンで購入できるレベルにまで引き下げて、消費者中心の枠組みの中で、

これからの展望を作らなければと考えています。

その中で「土地の資本化」という考え方の導入が、消費者はもとより、

地主、住宅建設業者全てに、矛盾のない福をもたらすものであるという

論に辿り着きました。

それを具体化する手法が、工務店の建設業という一過性の工事だけでは

なく、資本化した土地の所有者(地主から資本家へと質的転換)の利益

を実現する住宅不動産地経営に乗り出すことで、建設だけではなく、

維持管理、リモデリング、再販、アパート経営といった総合的な不動産

営をおいてないという結論に達しました。

そのときの鍵となるのが、「超長期住宅地経営管理マニュアル」の

「三種の神器」だと思います。

戸谷 英世


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