メールマガジン

メールマガジン第312号

掲載日2009 年 7 月 27 日

メールマガジン第312号「7月27日」
「素人の仕事、専門家の仕事」
アグリカルチャー・アーバニズム研修

先週、グローバル研修企画の国内研修ツアーとして、将来のアグリカルチャーアーバニズム選択肢の可能性を求めて、TVや日経などの新聞トップにも掲載されたことのある「ミレニアムタウン」を見学してきました。ミレニアムタウンは、ホームページなどもありまして、正直な感想を言って、ホームページを見ていてもさっぱりやろうとしていることがわかりませんでした。しかし、大手のジャーナリズムや海外からの取材もあったということで、それなりのみるべきものがあると考えてHICPMとしても調査をしてみたいと思いました。同じことなら、事前に見ないで、参加者と一緒に驚きも調査対象にしてはと考えました。当日、アグリカルチャー・アーバニズムと言う考え方が世界的に検討され始めたこととその経済背景であるFTA(自由貿易協定)環境についての背景説明をしました。ご関心のある片は「最高の工務店を作る方法」(Xナレジ社刊行)をご覧ください。

大手、ジャーナリズムNHK,民法TV、日経新聞が取り上げたミレニアムシテイ
ミレニアムシテイといって、何もそこに、シテイ(都市)があるわけではありません。5棟のガラスで囲われた農業用温室の中に、36の小屋(カプセルルームの下に専用のオープンなポーチ)を詰め込んだ農業見学者向け「野宿に代わる宿泊施設」です。建設途中には町議会で、「オームのサテイアンのような建築物が立っているが大丈夫か」、という質疑が出たといっていました。ミレニアムシテイは、オームや山岸会といった宗教集団ではありませんが、ある種のライフスタイルを享受しようとしている集団社会であることは間違いありません。大手ジャーナリズムは、ガラスの農業用温室に幻惑されて「エコ・シテイ」と内容も評価することなしに紹介しました。
ミレニアム指定側の説明をオーム返しに、「ひとつのエコ・シテイの取り組み」と評価し、このプロジェクトを、一般の「ニュース」として「科学的取り組み」のような間違った宣伝情報として社会に流しました。その扱いは、ジャーナリズムとしての見識が疑われても仕方がない取り扱いだと思います。

素人の吟味されていない思いつきも「奇想天外」
そこでは、隣接する意欲的な優秀な有機農業者と協力して、その有機農業での研修を「ワークショップ」で学習することを、都市生活者への「ミレニアムシテイの中心的な売り物」として集客している「実験的な有機農業」を見学してきました。
今回、見学した結論から説明しますと、ミレニアムシテイといわれるものは、「素人集団の生活の憧れ」を思いつきの空間として造り上げ、そこには各地で話題になってきた「地域マネー」などといった話題性のあるシステムを集めて,あたかも新しい生活が営めるかのような錯覚(空想)を商売にした空想的な事業展開によるお金集め組織です。
パラダイムシフトというような言葉を使い、本人等にも分からない抽象的な概念「パラダイムシフト」をもてあそぶことで、「夢と現実」を混乱させています。「温室の周りに高木を植えたら」、それで「都市と林業の共生」が成り立ったことになったり、その温室の中の小屋に泊まって、有機農業のワークショップに参加したら「都市と農業の共生」した生活を経験したことになったりしたと信じ込ませることで、多くの人を集めてきました。
それは「大手ジャーナリズムの評価」の影響であるといってよいのです。実質的な参加者の満足は、大手ジャーナリズムの評価するエコ事業への参加と、有機農業に尽きます。

合理性のない抽象的な概念が商売のネタ
NHKや民放TV、日経新聞のような大手ジャーナリズムの弱点は、「視聴率、購読者」を拡大するために、「当面の話題性」に取り付くということです。彼らにより「面白い」として取り上げられたものには「先進性」があると考え、取り上げられないものは、「つまらないもの」とする「間違った事大主義」が日本社会を汚染し続けています。
私が以前、住宅品質確保促進法の制定をめぐって、「住宅性能表示制度は、住宅会社が価値のない住宅を効果的に販売することを正当化する営業宣伝の手段に過ぎない」と批判するべきことを、「私が過去60年近く購読してきた」朝日新聞に持ちかけたところ、「あなたは1部しか購入しないが、あなたの批判している会社がどれだけわが社の新聞に広告を載せているかお分かりのはずです」と平気で言いました。
また、共産党にも国会の審議で「法律に賛成したのは間違っている」と批判しました。共産党は私の批判を聴こうともせず、「住宅品質確保法は消費者のためになる」といいました。私に出来ることは朝日新聞や赤旗を購読しないことしかありませんでした。それ以来両方の新聞とも取っていません。電通が公告と記事とを混乱させてきた汚れた体質がジャーナリズムの体質になっているのです。
ミレニアムシテイがNHKや民放TV、日経にお金を持っていくほどの余裕のある集団ではありませんので、これらのジャーナリズムの取り上げは、ジャーナリズムの「片八百長」で、結果的にミレニアムシテイの営業宣伝になって、多くの人を集客する上に寄与したものですが、国民は騙されたといえないかというのが私の疑問です。

自己責任で通用するか
権利金36万円、月額6千円の宿泊施設は、一体「建築基準法上の住宅ですか」、それとも「旅館業法上の宿泊施設ですか」、はたまた、「労働衛生安全法上の労働者用宿泊施設ですか」、あるいは、農業用の施設としての「農業用倉庫や養豚場や養鶏場並みの施設ですか」、どの法律をも蹂躙して建設されているにも拘らず、行政はいずれも知らぬ顔を決め込んでいます。働いても働かなくても給料は同じだから、嫌なことはするなといっているのです。
このような疑問に答えるかのように、事業者は言い訳として、「都市計画区域以外ですから」といい、「農業用温室で可能な構造ですから」という。だから、「どの法律に従う必要もない」というのでしょうか。金儲けのためには金の掛からないように法律違反をやれといって実行してきた多くの建設業者と同じことを言っているのです。
要するにそのような悪徳業者の行為を見ていて、「千葉県には無法地帯というところがある」ことを、NHKや民放TV、日経新聞はそれを知るべき情報を持ちながら、「視聴率を高め、購読者を拡大するためにはそれらを無視」することをして放映し新聞に掲載したのです。
多分「やっぱり戸谷は役人OBだから、遵法といったつまらぬことに拘っている」の思っている人がこのメールマガジンの読者の中にも沢山いると思います。
ここを地震、台風、伝染病が襲ったときに、私の発言を批判してこのメールを読んできた読者は、「そりゃー自己責任だ」というか、そのときになって、「役人はなぜそれを放置してきたのか」というに違いありません。そのとき許せないのではなく今許せないのです。

ヒューザー「耐震偽装事件」のお粗末
建築確認が法律どおりやられていたら「耐震偽装事件」など発生しなかった。殆どの建設業者が少しでも利益を大きくするために法律ぎりぎりか法律違反を「法律解釈」で「何とか正当化できないか」として指定確認検査機関とつるんで違反をやってきたのが,現実の建築基準法行政です。
日本建築センターを筆頭に、不正利益を求めて違反建築を建築しようとする業者に、「国土交通省や東京都OBの建築基準法に精通した行政の専門家「法律解釈で正当化します」という営業をやってきたことを知らない人はいません。もっとも悪質な日本ERIがイーホームズとの間で発生したトラブル「不正営業の地縄張り争いの喧嘩」こそ、不正営業者の醜い喧嘩だったわけです。
いずれの指定確認検査機関も建築基準法が課題安全性を要求していることから、その技術的判断で自らの構造計算方法や経験で安全あろうと考えるところまでは違法を、「構造計算によって安全性も確認した場合にはそれでよい」という口実で不正を容認してきたのです。それが一挙に表沙汰になり、狼狽した建築行政は、「違反建築」とは呼ばず、「耐震偽装事件」と呼んで、「建築基準行政には責任が取れないほど狡猾な詐欺事件」(やり方)であったという世論操作をしました。
しかし、それから1か月足らずで、数千棟の建築で構造計算違反があることが判明したほど「確認審査が事実上、手抜かれていた」のです。分かりやすくいえば確認手数料を仕事もしないで取り上げていたのです。そして、最後まで建築行政の責任は不問に付され、特定行政庁も建築主事モ指定確認検査機関も刑罰を置けず、ヒューザーと姉歯が刑事罰と行政×(懲戒処分)を受けさせられようとしているのです。

法治国とはどういうことか
衣食住は国民生活に不可欠なもので、それらを安心して利用できるためには、衣食住の総てにおいて必要な専門的技術や知識が正しく駆使されて衣食住が作られ運営管理されなければなりません。国家な憲法において国民が専門知識を持たなくても安全で衛生的な衣食住を供給できるよう、国民に税金の納付義務を負わせる代わり、国家の行政組織として衣食住の生産及び維持管理をするシステムを行政組織としてつくり、有能な公務員に高額な賃金を支払って、雇用し管理運営することにしているのです。国民が享受したいと考える生命が安全で文化的な環境の程度も基準として、また法律で決められているのです。
ミレニアムシテイは、法治国にありながら、「法律の埒外で出来る仕事のように」国民に虚偽の説明をし、建築基準法に照らして明らかに危険で衛生的ではない施設を作り、文化的にも、浮浪者のダンボール村か、テント村と基本的に変わらないものを「ワイルドな生活経験」を売り物にして営業し、毎月1回の割合で「ワークショップ」と称して、『これがエコライフ』と宣伝しているのです。それを、NHKTVや民放TV,フランスのTV取材記事や日経新聞を見せて、『世界が注目している』と説明して参加者に「世界が注目している生活経験をワークショップで経験した」と勘違いさせているわけです。

ジャーナリズムの責任のなさ。
単なるこぼれ話であれば、TVでも一般紙でも載せることはかまいません。日経の場合には夕刊といえども、1面右上で写真つきですし、NHKや民放TVはいずれもミレニアムシテイが尊重されるべきまともな取り組みのひとつとしてニュースやニュース解説の時間にかなりの時間を割いて紹介していることから、一般の読者は、最も先進的なエコの取り組みと勘違いすることは間違いないのです。そこで勘違いした進取の気性を待っているという「知識人」が、自分の地球環境を守る運動に加わりたい、何か経験したいといって集まってくるのです。未だに参加者が全国的に集まってきているそうです。
多分、温室園芸に使われているガラスで出来た施設ですから、そんなに簡単に壊れたりはしないと思いますが、台風時の飛来物でガラスが割れたときの就寝している人の被害、寒い冬場に、内部で火災が発生したときの防災避難の危険性はきわめて大きいことは明らかです。はしごで昇った一坪の空中小屋に、夜間まで酒を飲んでから寝付いたシュラーフ(寝袋)に包まった人は、下階でタバコの不始末などで発火した火災で、煙が、部屋に充満したら。電気のない闇夜には、パニックになった人たちの修羅場は包蔵に余りあるものです。このような事故はよくあることで、TVや新聞はこの種の事件取材をこれまでやってきていたはずではなかったのかとNHKや民放TVにたずねてみてください。

HICPMの企画ツアーとして
そのように批判するようなツアーを企画したことに対するHICPMの責任や見識はいかがかという質問に対してあらかじめ説明しておきたい。HICPMの研修ツアーは基本的に海外の場合には、よい事例を紹介して、そこから学んでもらうという「オン・ザ・ジョブ・トレイニング』方式をとってきました。しかし、国内の場合には、都市、住宅関係では、事業者や御用学者が「よい」と宣伝・評価して悪いものも沢山あります。それらを正しく見る目を検収する必要を認めていることから、必ずしも100%よいという事例だけを見学の対象にはしていません。むしろ、沢山やられてはいるが、よくないという反面教師の事例で説明したいという場合にも、これまでも見学地に入れてきました。
神戸の「舞多聞」は、『英国のガーデン指定を標榜しながら、全く似てもいなければ、計画論としても違っている』例ですし、つくばエクスプレスでの開発事例や、多摩ニュータウンの街並み形成を重視したという分譲地も、『街並みのデザインの基本は住宅建築物によって担われなければならない街並み景観(ストリートスケープ)を、住宅を樹木で隠して見えないようにしたり、道路と駐車場が連続したパーキング場の周りに住宅が立つ悪い住宅地』の例として「街並み景観の形成」とは違う反面教師として見学対象にしてきました。一般的には『これがいい』といっている独りよがりの悪い事例を現地で見てもらって、そのどこが悪いかを知ってもらうことも、研修として役に立つと思っています。

有機農業には感動
ミレニアムタウンは有機農業を利用することで救われているといってよいと感じました。有機農業をやっておられた佐藤さんという方は、農協中央会で長く仕事をされ、そこでの疑問を熊本の有機農業をしておられる仕事を見ることで、それまでの問題意識を解決する方向を発見されて、それを実践しているところでした。約五町歩もの畑地を耕して、野菜生産に取り組んで、多くの後継者も養成中ということでした。
その畑作地は雑草が野菜に負けないように繁茂していますが、佐藤さんは、野菜が負けないような手助けをするだけで、雑草との共存共栄が可能となり、雑草をなくすることは考えていませんと彼の有機農業間を語ってくれました。佐藤さんの発言は大変感動的でした。
『日本の篤農家の耕した土地では、雑草は殆ど茂りません。それは土が農薬で死んでしまっているからです。雑草がこのように生えていると、その雑草の種類によって土地の性格が分かります。雑草の繁茂している様子を見て、土地に不足している栄養分の土地に対しては、雑草をそこに置いてやれば、やがて円満な土壌に変わっていきます。
畑には沢山蜘蛛がいて、代わりに蚊がいません。蜘蛛は虫を捕食しますが、農薬には大変弱い虫で、農薬を散布するところには蜘蛛は生息できません。自然体系は全体がエコロジカルに出来ているために、私の土地では病害なお一斉発生ということは起きません。私の農場では沢山の鶏を飼っています。鶏は腸が短いので鶏糞はとても臭く、手についたら洗っても臭いはなかなか消えません。しかし、うちの畑の土で鶏糞のついた手を洗うと、臭いもすぐ消えます。土壌には微視異物や酵素があって、臭いを分解・昇華してくれます。』

専門家と素人集団
ミレニアムシテイに取り組んだ人たちの仕事を見ると、専門家が専門技術に縛られてそれを打破できないのに、素人は生活感覚で利用する立場から『必要条件だけでもの造り』をします。しかし、安全性や維持管理というような十分条件を考えると必要条件だけでは出来ないことがあり、それをクリアーするために事業関係者は苦労しています。
それは日本の有名建築家の「作品」といわれるものによく似ています。欧米の見学教育を学んだ人は、歴史建築の形や意匠が担っている「文化的意味」(建築の言葉)を使って、建築家としての考えを建築設計を通して発表しようとします。そのため建築様式を簡単に崩せません。しかし、日本の有名建築家は建築学を学んでいないため、建築の形や意匠の持っている文化的な意味にこだわりを持っていません。というより「建築の言葉」を知らないで、感性だけで、時代風潮に合った「叫びの建築」を作ってきました。それは欧米人には驚きで、時代感覚にあった建築物を設計する日本の建築家や流行歌手のように受けています。しかし、彼らの作品は時代とともに捨てられていく消耗品です。

ミレニアムシテイは素人集団の思いつき
エコロジーという標語と、ミレニアムシテイをガラスの温室を使って、視覚的に誇示するロジックに、日経新聞やNHK、TBSは乗せられて、その神輿を担いだのです。私は、36万円をかけて小屋の権利金を買わされて6千円の家賃を支払わせるやり方は、当事者が同意があったとしても、詐欺商売も販売時点には同意があったというのと同じことで、そこには正当性はないと思います。一体、建築基準法、都市計画法、農地法、労働安全衛生法、旅館業法等々の行政法規所管官庁は一体何をしているのか。人身事故が出たからでは対応ができません。伝染病が発生してからでは後の祭りです。火災での人身事故の心配もあります。消費者の自己責任は、行政がその行政法上の責任を全うしてから、問われるべきもので、行政が何もしなくて、その責任を自己責任というのならが、行政機構はいらないし、国家は不要である。
戸谷英世


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