メールマガジン

メールマガジン第313号

掲載日2009 年 8 月 3 日

メールマガジン第313号(8月2日)
皆さんこんにちは、
今日のテーマは、「現在の住宅産業を取り囲む環境をもう一度考えてください」です。

都市と農村問題研究会

7月末に30日、31日の二日、三重県名張市に出かけてきました。そこで伊藤さんという自然農法で「まずい、もう一杯」の青汁を最初に事業化したケール栽培をされた方と、有機栽培農業の実情の見学と、「農業と住宅の繋がり」についての意見交換と、農住定期借地権事業の話をするために出かけました。
そこへは、伊藤さんとその下で実習中の青年4人と、関西支部竹山支部長、猪谷事務局長と淡路で今回定員削減の厳しい市会議員選挙で再選を果たし、かねてより淡路という「都市と農村」問題を政治的に考えてきた竹中さんの9人が集まって、HICPMがここ数年取り組んで来た、アグリカルチュラルアーバニズムの日本的実践に関し、1泊2日の議論と現地見学を実施しました。

政府の住宅政策との関係
日本の住宅政策は、基本的に「国民のある種の基本的ニーズ」を、住宅関係官僚や、行政関係者の将来生活設計の基盤として、「OBになっても飯が食えるように」、もっともらしい理屈を付けて、天下り外郭団体戸経営基盤の形成など利己的な組織を組み立てています。しかし、国民の住宅費負担のことを考慮せず、また、国民の利益を高めることで工務店経営をやろうとしている業者の利益とは全く逆な取り組みを進めてきています。
しかし、表向きに公表されている住宅政策目的は、「国民の利益を増進する」というように説明できる政策目標を掲げます。しかし、それはあくまでも大義名分であって、実際に実施している政策は、それと真逆の「国民負担の増大」や工務店業務上、「行政による時間と費用の負担増」が無批判に次々とやられてきました。

「国民の切実な要求」と「役人OBのための業務創造による住宅コスト膨張対策」
「長期優良住宅」に対する国民の願い切実です。「農住構想」、「2住宅構想」、「定期借地」、「住宅性能」のいずれをとってもやらなければならないことばかりですが、それが政府の政策になると、その政策実現を口実にした行政の干渉を隅々まで拡大させた事実上の統制経済で、消費者負担ばかり大きくなることが殆どです。
そこでは大手住宅産業のように大量住宅供給業者には、「容易な方法」を導入することで競争力を高めさせ、不当な政府支援を受け、ぼろ儲けさせるものです。羊頭狗肉の政策は、「性能表示」、「住居歴」,「瑕疵保証保険」、「建築基準法改正による構造安全を口実にした過大手数料」等として、天下り組織にお金を支出せざるを得ない不要な業務を強要して、消費者にとっては何一つ利益にはならない不当な過大負担が課せられているというのが現実です。

自由貿易協定(FTA)時代:「年収300万円」と「食糧危機時代」
日本の主婦の投資が、世界の金融に重大な影響を与えています。主婦は所得の不足を補うために必死に利殖に取り組んでいます。その利殖の対象は発展途上国の株の売買や発展途上国の株式を対象にした投資信託です。高い利潤を上げられる会社は、リスクも高いのですが高い配当を提供できますから、当然配当を利回りで割り戻した株価は高騰します。
中国の経済成長が7-9%と効率が望める理由は、労賃が安いためです。労賃の安い所では、「投資した資金が高い利潤が上げられる」ため、資金が集中し雇用機会が拡大し経済は発展します。
逆に、日本のように労賃の高いところでは、労働者を使う生産活動は出来なくなります。トヨタのプリウスは国内で生産していますが、そこではロボットが働いているから日本国内で生産できるのです。先進工業国では、基本的に、賃金は下降し、発展途上国の賃金と平準化するまで下がり続けます。それが「300万円時代」の到来の根拠です。
発展途上国では、賃金が確実に上昇基調で推移しますから、当然所得が増えれば食生活がまず改善されますから、現在のような人口急増と賃金上昇を背景に、食料は発展途上国で消費が拡大し、先進工業国へは輸出されにくくなります。これが先進国の「食糧危機の根拠」です。

「国民のことより、政治家と官僚の利益中心」の政治と行政
政府は小泉内閣のとき、中国共産党江沢民主席の「歴史的認識と南京虐殺問題」と「国境と日本海油田」詐術にかかって、全く動けなくしておいて、中国が世界中の発展途上国に資源を自由貿易協定の拡大で殆ど押さえてしまったのです。小泉内閣はそれにきづいたのは、「中国が楽しんだ自由化政策の祭り」の「後の祭り」で、その政策を経済界に叱責されてて、その善後策に必死になって取り組みました。それが中国の後塵を拝した「自由貿易協定の拡大」の取り組みです。
小泉内閣以降、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣の4代に渡って、就任同時に真っ先に取り組んだ政策は、世界の発展途上国との間での自由貿易協定の推進であったわけです。日本の生産拠点を低賃金国に移さなければ生存できないという製造業の要求と、発展途上国に金を貸して利潤を上げても、それを日本国内に還流するためには国境があってもFTAで経済国境をはずせば、経済的には国協に妨害されないからです。
要するに自民党に政治献金をする金融機関と経団連会員の利益を中心に政治がやられてきたのです。「地球がひとつの経済圏となって、分業すること以外に地球全体の繁栄はない」という現代の世界の理解に政府も追従せざるを得なくなったのです。

認めたくない食糧問題
自民党政権はFTA問題で中国に完全に遅れをとった上、目下、世界の共通の関心になっている食糧問題についても全く自覚がなく、食糧の低い自給率を不思議に思わず、いまだに政府は、減反から農業用地の放棄をいまだ続けています。世界が、中でも先進工業国では、発展途上国での食糧消費の急拡大を脅威と感じて国の政策の基本に農業問題に取り組んでいる時代に、日本の政治家も行政担当者も、政治と官僚の癒着で、役人らの老後の天下り組織はちゃんと作ってきたから、食糧問題など考えなくてもよいと、全く食糧自給問題の重要性を感じていないのです。
しかし、現在どこの種苗店の店を覗いても、急激に家庭園芸からキッチンガーデンに向けての取り組みが拡大していることを感じます。それは、一般消費者の家計支出の中に、所得の減少、野菜の市場価格の高騰というFTA時代の問題が少しずつ浸透してきているため、国民は自衛の取り組みとして野菜の自家栽培への関心が高まっているのです。家庭園芸といって趣味で取り組んでいるという言い訳を与えて、食糧危機を表で認めようとはしませんが、底流には生活の危険が迫っていることを感じているのです。

まずは、「リースホールド」から

都市に住む人も、農村に住む人も所得が低下し続ける時代において、支出を抑えるためには、住宅でも農業でも、基本的に土地を購入しないで取り組む「リースホールド(借地権)」以外の取り組み(土地取得の持家)は、急激に減少する方向に向かわざるを得ません。開発業者が土地を仕入れれば、その費用な粗利を加算して住宅の販売価格に加えなければなりません。借地にすればそれだけ住宅取得費用負担は低くなります。
一方、土地所有者にとって、土地からの収入は土地の賃貸収入以外はありません。だから、土地所有者は、その土地での収益を上げることの出来る経営を考えることが重要です。住宅も農業も、これからの極めて重要な産業です。土地を安心して使ってもらうためには、その土地所有がふらふらしていては困ります。
土地の所有者は、どうしても個人(自然人)の所有から、「土地管理目的を定款で明確に定めた法人所有」にしなければ、借地人は安心できません。そうすれば、借地人は園か露できる資金の総てをそこの事業に投入できるため、土地経営としてもうまくいきます。

定期借地による持ち家

土地所有者にとって、その土地で経営してもらう人には、住宅を「自らの宝としての投資」をしてくれる人を対象にする事業でないと、安心して土地を貸すことはできません。
「池に鴨を飼っていても、何時でもどこかに飛んでいってしまうという不安はぬぐえませんが、錦鯉は池から跳んで行ってしまうことはありません」。池を所有する所有者には、その池が繁栄して、大きな富を生んでくれることを望んでおり、池にこだわりを持たず逃げていってしまう鴨を飼っていても、利益は逃げていってしまいます。
大東建託をはじめ日本の定期借地権賃貸住宅は、鴨が逃げる前に元金を回収するものであるため、基本的には仮設住宅同様の貧しい資産にはならない住宅を10年足らずで回収するため、消費者に貧しい住宅で高い家賃負担となっています。政府は、ハウスメーカーの実質的な経営基盤となっているこの種の賃貸住宅経営を支持し続けてきました。住宅会社のやっている賃貸住宅経営は、殆ど例外なく、その実態は、仮設住宅に毛の生えたアパートですが、政府はそれを知っていて、「日本の賃貸住宅は貧しい」と、他人事のような発言を平気でやっています。

基本計画と建築設計指針
HICPMが取りまとめた欧米の資産形成住宅地で、基本的に踏襲している「三種の神器」の第一の神器が、優れた住宅地計画実現の手法です。それは住宅地全体を歴史文化的にも審美的にも優れた住宅地としての全体の基本計画が作られていて、そこで建築されるここの住宅を、その優れた環境の担い手としての役割を担うことが出来るようにすることです。そのために、敷地ごとに遵守すべき建築設計指針を作り、その指針に従ってコミュニティに住宅を所有する各個人が共通の理解と人間の絆を大切にする好きな住宅を建築すれば、住宅地全体として素晴らしい住宅地を造ることができます。
この関係こそ、ガーデンシティの生みの親、エベネツア・ハワードが都市計画の父といわれる所以なのです。全体として優れたガーデンシティというマスタープランを作成し、それを実現するために敷地ごとの建築設計指針を定めたことにあります。近代都市計画の土地利用規制と建築規制(集団規制)の考え方の実践でもあるのです。

都市と農村との融合
都市と農村との区別なく、農業のできる場を最大限確保し、屋上やベランダから大規模の本格農場まで、先進工業国でも農業をしなければならないほどの食糧問題が目前に迫っています。ソ連が崩壊し、ルーブル危機の際、多数の死者を出すことなく、新しい経済社会を作ることができた理由は、ダーチャといわれる農作小屋と自作農地での農業生産で命を繋いだからです。別の言い方をすれば、貨幣経済の崩壊のとき、農業経済に逆戻りすることでロシアは救われたのです。
かつての第一次世界大戦後のドイツや、ソ連の崩壊時の経験を直接知っているヨーロッパの人々は、農業の自給率を60%から70%に拡張する取り組みを国の政策として真剣に取り組んでいます。日本は政治家も官僚もそんなことを全く考えてはいません。

高い専門性と、観察の必要な有機農業

日本では、戦後一貫して農薬と化学肥料と農業機械に依存した「工業に隷属した」政官癒着の農協・農政の農業をやってきました。その究極の農業が、温室内での水耕栽培です。昔から農業は土作りとも言います。土を生きたものにしないで、単に水と肥料を一定の量だけ供給する土作りと関係しない農業が本当の農業のはずがありません。水耕栽培に象徴される農業は、農作物には土地と気候からもたらされる自然の恵みがありません。そのために農産品は、形だけは野菜であったり、根菜であっても、それはその土地の恵みを反映できない農作物ということになります。
土の中でたくさんの微生物や小動物を育てて、そこで食物循環がその気候にあって展開されます。農産物は土の中で投入されたものを肥料になるよう分解して、植物が栄養としてその地域にあったものに育ててくれるわけです。土地に生息する動植物と、その気候環境によって生産される農産品の内容は大きく違うはずです。人々も食物連鎖として、そこでの農産品を食べて土地にあった健康体を作ることができます。
昔から「医食同源」といいまして、食べるもので体が作られるわけで、たべるものはその育った土地によって内容の異なる食品になるはずですから、形や名前が同じ農産品を食べても健康には全く違った結果を生むことは間違いありません。漢方薬と中華料理の調味料とは同じもので、料理段階で薬を入れるか、食べて体の中で薬とするかの違いです。

都市と農村
都市に住んでいる人が如何にして農業との接点を作ることができるか、その関係は、都市生活する人の生活時間の取り方や、農業に対する関心の高さによって一律の対応ではありません。人々が都市から農村に移ってくるという場合もあれば、さまざまな形で都市と農村とを行き来する生活もあります。
その生活様式(ライフスタイル)には、その知識、経験、能力、職業、家族の構成など、きりのないほどの条件によって生まれる多様な形があります。世帯ごとに違うライフスタイルの方が、個々バラバラな個人単位では、期待するライフスタイルに対応できる環境は何も出来ません。
人々が共通の利害である集団を作ることで費用対効果を高めることが出来ます。そのためにその集団ごとにルール(CC&RS)を造り、コミュニテイという住宅(世帯)を単位とする自治団体(HOA)を造ることで、ここばらばらな世帯がその社会的組織の中で豊かさを享受することが出来ることになります。それが三種の神器の第2と第3の神器です。

これからの住宅産業
右肩下がりで年収300万円の所得に向かう環境下で、農業と関連を持った住宅がこれからの住宅の基礎条件で、それが個人の経済的バックボーンになるためには、法人所有の土地管理下での「リースホールドによる」「三種の神器」の経営が必要になります。
今、住宅産業に携わっている人は、「地球規模で考え、地域に根を張って行動する(Think Global .Act Locally」ことが必要であるといわれていますが、私は、中傷、零細経営の工務店の皆様に経済社会の視点で見る見方を工務店経営に以下に反映させるかという視点のセミナーを目下企画中です。またご案内いたします。そのセミナーは、働く人を間違いなく使う立場にある「経営者」を対象に企画しています。これまでの取り組みのひとつの総括として行いたいと考えています。(戸谷英世)


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