メールマガジン

メールマガジン第316号

掲載日2009 年 8 月 31 日

皆さんこんにちは

民主党が大勝しました。新政権に向けてHICPMとして期待するところを纏めてみました。皆様におかれてもこの提案をご覧頂き、新しい政治に反映させるようにお力を貸して頂ければと願っています。

新政権に望む:住宅による国民の資産形成政策

他山の石『米国発サブプライムローン事故』

サブプライムローン事故によって世界金融危機が発生し、わが国の住宅産業に重大な影響を与えたことから、日本の一部では米国の住宅産業政策に失敗があったとする誤った見方があります。

米国は1929年の世界恐慌後、1934年に全米住宅法(NHA)が制定され、MBS(モーゲージの証券化)が制度化されました。

恐慌の前年、最好況期の1928年、NYシティコーポレーションが、ニュージャージー州ラドバーン開発に当たり、住宅の資産形成を住宅地経営として実現する方法が、J・C・ニコルズとC・アッシャーの手で開発され、米国の住宅地経営として定着しました。

以来、米国の住宅は基本的に『住宅を所有することで資産形成が確実に出来る』環境がつくられてきました。その結果、住宅を取得することで、住宅資産価値が年間平均で6~7%上昇する環境がつくられて来ました。そして、「住宅を取得することが資産形成」を実現するアメリカンドリーム実現の基本条件になってきたのです。

住宅による資産形成を、20%の頭金を用意できない所得の低い人にも住宅取得による資産形成利益を拡大する政策が、ブッシュ大統領の一つの目玉政策でした。

市場規模が同じで、頭金がなくても、住宅需要に顕在化できなかったものが需要となることで、住宅の価格は急上昇し、住宅の市場価格と住宅ローン残高の差額(純資産:エクイティ)が膨れました。住宅の純資産を担保にしたエクイティローンで住宅ローンの返済に充填する考え方をFRB議長グリーンスパンが支持し、住宅需要が拡大し住宅価格の上昇が昂進しました。

エクイティローンで住宅ローンを支払う累積債務の拡大でサブプライムローンは破産に向かいました。このような住宅価格の異常昂進が、MBSを信用膨張させ、それを採り入れた金融派生商品(デリバティブ)を生み出しました。

さらに、融資保険で保険されれば事故の危険は回避され、『想定事故率を超えた事故は発生しない』とする保険制度の過信の元で、全て良債権になると考えた金融工学を信じて、投資会社、金融機関、証券会社、信託会社、保険会社等が、MBS関連金融商品を、投資から投機の対象にしたことに事故の原因がありました。

住宅による資産形成と『三種の神器』

米国の住宅産業政策は、住宅による資産形成を約80年の歴史の中で『神話』にするほど確実な仕組みに作り上げてきました。住宅バブル崩壊後においては、住宅が金融投機にされない住宅金融政策とあわせて、全米ホームビルダー協会(住宅産業団体)は、これまでの住宅産業事態のシステムを踏襲し、経済再建のために寄与する総括を明言したのです。

住宅バブル経済により住宅価格が2001年の約3倍まで高騰したカリフォルニア州やフロリダ州では、現在ではバブル発生以前のレベルまで落ち込んでいます。

米国の住宅自体は、バブルによる投機変動を除けば、基本的にその時代の推定再建築費ベースを中心に緩やかな変動を繰り返しています。長い目で見れば、住宅は長期金利以上の資産形成を実現する住宅として、国民の資産形成を裏書きしてきました。

住宅は時代が経っても、住宅取得価格以上に物価上昇率以上の資産価値上昇をするためには、既存住宅が高い需要に支えられなくてはなりません。

住宅の資産価値は、ラドバーンで開発された『三種の神器』住宅地経営システム
1.優れた基本計画と建築設計指針、
2.住宅所有者で構成される資産経営管理団体、
3.開発業者と住宅所有者と住宅地経営管理団体間での環境管理契約)
を、住宅ローンを個人の支払い能力の範囲でしか貸さないモーゲージ運用により守られてきました。

住宅の資産価値を向上させている『三種の神器』は、次のような内容システムで構成されています。

第1の神器

住宅地が経年するに連れて熟成し、その住宅地に住んでみたいと人々が憧れの場所にするためには、住宅地が住む人々の絆で結ばれ、生活が文化的に豊かであるためには、住宅が個性的であって、街並みとしても個性的で、住民それぞれにとって、財産とするニューアーバニズムに基づく計画として造られることです。

住宅ローンが年収の2.5倍以下の負担の範囲で、家計費の多くが生活を豊かさに向けられるシステムです。そうすれば、既存住宅市場では、誰でもがムリをしなくても購入の対象にすることができ、その住宅に住む人自体が家計費支出を、豊かな生活のために向けられます。

第2の神器

住宅地ごとに、居住者が環境管理自治団体(協会)を形成し、民主的なルールで統治することが必要です。自治団体の住宅地の環境管理は、住宅地の開発業者が専門的な知識と技術と経験とを駆使した住宅地経営を支援する裏方となって経営をサポートすることになります。

環境管理自治団体は、コミュニティの住宅所有者を株主とした時の株式会社に相当する団体で、ここの住宅の資産価値を高めることを主たる役割として住宅地の経営管理を担当します。

第3の神器

住宅地開発業者は、経営の対象とする需要者の特性ごとに絞り込んで費用対効率を最大化するように開発計画を立案し、計画どおりの生活が実現できるよう、開発業者と住宅購入者と住宅地経営管理自治団体(協会)との間で住宅地経営管理基本契約を公正証書として締結します。

協会は、契約を履行しない者に対する罰則(イエローカード)と、最終的には明け渡し(レッドカード)を契約書に定め、民法の契約自由の原則で担保をしています。民法による契約自由の原則の下に締結された敬なくないような、国家が国家権力を使ってもその実現を担保することで、憲法29条で定める財産権が守られることになります。

新政権が実行すべき住宅政策提案:

モーゲージ(MBS)制度、三種の神器、CM(コンストラクションマネジメント)、住宅と町並みのデザイン

米国の住宅資産形成システムはモーゲージによる住宅不動産価値の担保の厳しさにあります。金融機関の住宅ローン審査では借主のローン破綻を前提に行い、差し押さえた住宅を市場で売却してローン債権の回収できる費用しかローンしないようにするモーゲージ制度を採用します。

住宅産業界は、住宅購入者、建設業者も、モーゲージなしでは住宅販売できません。住宅産業関係者は、モーゲージで評価されるように住宅を造り、いつの時期でも年収の2.5倍のローンで住宅を販売できる価格を維持できる住宅を生産する取り組みをします。

そのために、
1.合理的な住宅地造成
2.住宅の生産性向上を図るための住宅設計
3.現場生産管理をCM(建設業経営管理技術)
を実現して可能にする政策を実行することが住宅政策として展開する必要があります。

これまでのわが国の住宅政策は、同じ品質の住宅を供給しながら、それを国民の負担ばかり大きくする性能表示、瑕疵保証保険、建築審査負担など、すべて役人OBの生活保護政策で価格負担を多くして、その価格負担を大きくした住宅があたかも価値のある住宅のように表示して販売できるという政策でした。

このような住宅を長期優良住宅と呼んで、その負担を補助金で軽減するといった『マッチポンプ』のような政策がやられています。このようなこれまでの住宅政策の歪みを全面的に正すことが必要です。

具体的政策提案としては、
1.住政策基本法関連の役人本位の政策(住宅品質確保法、瑕疵保証保険法、住宅性能関係法等)はすべて廃止します。外郭団体による手数料を徴収することを目的とした政党は廃止します。

2.建築基準法を簡素化し、構造規定、屋内環境規定を生産者責任中心の政策に転換し、責任をとらない行政主導の政策を転換します。そして、行政の関与を簡素化します。

3.モーゲージ制度を住宅金融の基本に置き、建設先取り特権法を制定し、建設支払債券と完成保証債権を利用した住宅建設金融とします。

4.モーゲージと関連させた不動産評価制度を背景に、『三種の神器』を推進し、住宅の資産価値が向上し続けることのできる住宅地経営管理を実現します。

5.住宅の建設コストの削減を住宅生産性の向上で実現するよう、CM(コンストラクションマネジメント)を実現できるような建設業経営管理教育の拡大をします。

6.西欧で長い歴史で検証された法人所有の敷地の上での『三種の神器』による住宅地経営をリースホールドによる『都市の資本化』により実現します。

7.住宅による資産形成の鍵は、都市開発及び住宅設計における歴史文化を担う住宅地と住宅の文化空間で、その設計のできるクラシックデザイン建築教育を重視します。

戸谷英世


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