メールマガジン

メールマガジン第318号(9月14日)

掲載日2009 年 9 月 14 日

メールマガジン第318回(9月14日)
「官僚支配」とはどういうことか
官僚支配とは、官僚が政治と行政と司法の三権を支配していることを言います。どのような方法で支配するかといいますと、それぞれに対して次のような方法でやってきました。官僚な、組織体としてその「ムラ」の利権を拡大することに努め、やがて、その集団としての自己増殖機能を発揮するようになって来ました。そこには、官僚個々人に対しての立身出世と個人的欲望の充足が、官僚社会全体の将来的な「楽をして安心できて、将来の生活保障」を確実なものに出来るというシステム作りが目的といってよいのです。そのために官僚が、国家の3権(立法、行政、司法)に対して支配(影響力)を行使するということに集約されています。

官僚による政治支配:
政治は基本的に立法という国会の議決という手続きに従って行います。官僚には、政府立法という形で法律案を作成するという形で政治を支配します。実際に立法は、国会議員しか投票に参画することは出来ませんが、法律案を作成する権利を官僚が持っているということで政治を支配できるのです。国会議員と官僚との間では立法をめぐる取引で両者の利権が絡んで、国会議員の選挙区民への利益配分の引き換えに、官僚の利益を拡大することのお先棒担ぎをする族議員が誕生することになるのです。国家資格を取得したくても試験に合格できない選挙民の要求を、政府立法を国会で審議するか、しないかの取引材料にしたことが、自民党政治の中で日常茶飯事にやられていましたし、公共事業の予算の箇所付けと、関連法案の成立を関係付け、官僚が、地方公共団体や外郭団体を指揮して国会議員に環境の望む立法を成立させるための圧力を加えてきたというのが分かりやすい取り組みです。

官僚による行政支配:
官僚自身が行政を担当しているために官僚による行政支配という言葉自身自己矛盾をしているように聞こえるかもしれません。しかし、自己矛盾しているわけではありません。官僚の期待しているとおりの立法は国会で通過することは出来ません。そのため、立法の背後には、各省間や省内での官僚間の利害の対立があり、そのどす黒い闇の利権調整が、国会審議の裏で、「覚書」のような形で、国会審議に出ない形で結ばれることで妥協が成立し、立法が成り立っているのです。その表(社会)に向けて公然と言えないことを、立法後の行政通達、運用基準、行政指導、個別事業における特例承認、法令解説等さまざまな行政手段を使って、法律違反の牽強付会な言い訳を持ち込んで、官僚の利権につながることを実施しています。法律上は、それで公共的利益を侵害されている人に対して、行政不服審査請求が出来ることになっていますが、そこでは行政庁が身内の官僚の利益を守るため、99%以上が却下されてきました。

司法による行政支配
本来、司法は3件分立の立ち場から、行政による法律違反を監視するべき立場にあります。しかし、最高裁判所長の人事権が内閣総理大臣に握られているように、司法自体が行政権の下位にあるだけではなく、これまで司法は、官僚及び政治家に迎合することで法律の番人ではなく、法律違反の追認に終始してきました。その理由は、司法を担当する判事の行政法知識が著しく欠如している上、裁判において原告住民の代理人を勤める弁護士もまた行政法知識が欠如していることにありました。その上、行政の側に立つ裁判や弁護をしたほうが裁判官の人事上の昇進にも、退官後の弁護士としての業務をするうえにも好都合だったからです。これらの弁護士は、国会で審議された法律とその背景でなされた国会審議を謙虚に学ぼうとはしません。代わりに。判例、行政通達、運用基準、行政指導等の行政側の「法律違反を正当化する」言い訳を勉強して、官僚の利益を守るという枠内での弁論しかしません。原告側の弁護士の大多数が、原告弁護をする振りをして行政側の利益に組みしている場合も、実は沢山あることが裁判を通して私が実感したことです。

民主党政権に何が出来るか
国家戦略局の局長には、元厚生大臣の菅直人が就任するといわれています。菅直人は厚生省の血液製剤の不正に関与した薬事問題を扱った技官グループと、高齢者福祉利権に絡んだ事務官グループの内部対立を利用してエイズ問題に解決を導き出したという点で、官僚利権に関して、かなりの理解のある政治家だと思います。しかし、その後の政治家としての活動の中にはその発展形を見ていませんので過大な期待をすることは出来ませんが、政治家が官僚とそのまま対決するだけの力量は育っていません。そこで、エイズ事件の問題解決のように「正義の実現」という大義名分をかざして、「官僚間での不正を、官僚間で攻め合わせること」を使って、政治指導を実現すること以外に力の育っていない民主党にとって、有効な方法はないと思います。

官僚支配から政治支配への転換の糸口
これまで多数に行政事件を手がけてきて、その運動の基本に置くことにしてきたことは、開発事業者は不正利益を上げるために違反を行い、行政は、業者の上げる不正利益の一部の分配に預かることで不正を容認する、という構図で行政による不正利益の幇助が行われてきたことを見てきました。しかし、不正利益を計画する企業も、その不正を容認してきた行政も、その不服審査請求に関与してきた審査会も、それを司法の場で裁判官も、誰一人として、「法律に違反することをやってよい」とはいわず、等しく、「法律に違反していない」といい続けてきました。卑しくも民主主義による法治国という国是を標榜している国において、法律違反を公然と行うことは出来ません。ここに官僚支配を政治支配、つまり、主権在民国における主権者の立法に官僚による行政支配を転換させることの出来る鍵があるのです。

耐震偽装事件の教訓
耐震偽装事件の本質は、耐震偽装により不正利益を上げてきた業者を泳がせて利益を得ていた官僚機構、それと癒着した政府与党の不正が疑獄事件化し、政局を揺さぶることになりニセメール事件で問題をそらした事件です。建築行政は、不正な手段で違反建築により不正を犯すことを防止する確認行政(計画確認:確認済み証の交付、工事検査確認:工事検査済み証の交付)により違反建築を未然に防止する国家の仕組みです。
この建築基準法行政を指定確認制度のいう民間業者に確認行政の一部をやらせて不正利益を容認することを放置したことで発生した事件です。確認検査の杜撰さに耐震偽装問題の基本的問題があるにも拘らず、その本丸は官僚の利益に直接に関係をしているため、そこに問題があることを隠蔽して、全く無関係の姉は一級建築士やヒューザー社長小嶋進に総ての責任を押し付けたのです。彼らは北側大臣が作ったスケープゴートだったのです。

問題の本質は、行政による法律の蹂躙
彼ら以上に建築基準法違反をすることで不正利益を追求している業者は沢山います。それらの殆どは外郭団体の多額会費納入者として官僚OB天下り人事の給料を負担してきました。法律違反は指定確認検査機関から積極的に業者に対して示唆されてきたという事実が沢山あります。それらは法律解釈で違反ではないと公然と主張し、官僚もそのような法律解釈でよいといってきました。法律を施行する末端に対しては、法律に従うのではなく、運用通達など法律違反の文書化された行政指導に従うことをやらせることで、法律違反をやっている苦痛を開放しているのです。第2次世界大戦で、日本国軍人が誤った軍の指導の元に植民地の人びとに残虐な行為に及んだことと基本的に同じ構造です。BC級戦犯の中には軍人の個人的な犯罪として追及されるべきものもあります。しかし、大多数は上官の命令に従わざるをえなくて犯罪に及んだもので、指揮権者の責任が総てであるといわなければならないものです。

行政官の不作為の罪の重大性
広田弘毅外務大臣が戦争犯罪者として戦争責任を追及されたときの訴因は、日本軍による残虐行為が国際的に指摘され、その情報は外務大臣広田弘毅の手元に集まっていたにも拘らず、広田はその問題を御前会議はおろか閣議にも諮ろうとせず、外務大臣としてなす劇行政事務を果たさなかった「不作為の罪」であった。東京裁判は戦後の日本の法治国家としての民主国家を建設するために、司法がどのような裁判をしなければならないかという見本を示すためにも重要であると連合軍は考えていた。広田弘毅を弁護し、その後、衆議院議長になった清瀬一郎は。広田が日本軍の南京における虐殺に関し非常に心を痛めていた事実を東京裁判の法定で明らかにしたが、広田弘毅は一般の国民ではなく、外務大臣であったという職責にある人の責任の取り方として、犯罪を認識していて行動をとらなかった不作為の罪は大きいとされ絞首刑に書せられた。

耐震偽装事件での官僚の責任の取り方
事件当時から、私は、建築基準法の施行に基本的な問題があり、その責任は国土交通大臣が行政機関のトップにある者としては、辞任するか、総理大臣が国土交通大臣を解任することで、行政責任をとるべきであると主張してきました。しかし、そのようにすれが住宅局長以下建築行政に責任を持つべき者の建築基準法施行監督責任は追及されなければならなくなり、建築基準法行政は本来の姿勢に戻せるはずでした。
しかし、現実はその逆で、建築基準法行政の責任は全く追及されず、代わりに、火事場泥棒よろしく、建築行政権限のみの拡大が図られる法律改正が実施されました。これらは、当初から、官僚OBの雇用機会の拡大につながる検査審査機関の拡大だけが意図され、その費用負担が一般国民に課せられるといった本末転倒の対策が採られました。

官僚支配を補強する官学癒着の廃止
その中で、いわゆる学識経験者と呼ばれる御用学者が動員された。これらの御用学者たちは、官僚の言うなりの答申を書く代償として、その公的機関での活動期間を与えられ、さらに、自分の研究室の学生の官僚への就職をさせるという官学癒着がなされている。政府の審議会委員が2期以上に亘って留任することを禁じ、審議会委員の属する大学教授の研究室の卒業生は、国家公務員試験の上位合格者以外は、情実採用してはいけないというような基準でも作ったら、官学癒着は、少しは少なくなるに違いありません。
大学や学会が政府の施策を学術的立場でモニタリングすることは必要であるが、政府のやろうとしていることに正当性を与えるような茶番劇の役者をやることは禁止しなければなりません。しかし、これまでの政府の審議会の仕事は、官僚の書いてきた作文に学識経験者という肩書きで、それに正当性を与えることしかやってきませんでした。審査会の委員たち自身の審議会としての答申を書いてはきませんでした。仮に、事務当局にたたき台を書かせたとしたら、そのたたき台に対して審議会委員の個人的な見解を明確に出させ、その発言に責任を持たせるものでなければなりません。

民主党に望む
これまでジャーナリズムによく登場した政府追求を派手にやった民主党国会議員に、国民や行政の被害者が「話を聞いてくれるもの」と信じてアプローチした際、国民の話をまじめに聞こうとはせず、「政府から直接聞くからそれで分かる」という対応が殆どであったということが言われてきました。私も経験してきたことです。私の経験からしても、国会議員は官僚から聞いたほうが、要領よく全貌が聞けるし、官僚のほうが圧倒的に情報を握っているから、そこと仲良くしておくほうが議員活動には調子が良いことは事実なのです。
住民の具体的要求は、いずれも特殊であり、複雑で、その理解には大変な時間が掛かります。私が現在取り組んでいる行政事件は、都市計画と建築行政に関係するものばかりですが、その仕事を50年近くやってきた私でも、時間をかけて調べないと説明だけでは分からないことが殆どです。これらの問題に全く素人の国会議員に簡単に理解できるわけはありません。多分これらの問題の多くは国会議員のところにも持ち込まれてきたのですが、知識、経験、能力が欠如しているため、簡単には対応が出来ないため、面倒だという気持ちが先にあって、口先で理解を示すだけで、何一つ具体的な取り組みをしてこなかったというのが現実だと思います。

民主党議員がやってはいけないこととするべきこと
しかし、国会議員は議員なった瞬間から、国民から頼られるため、勘違いして、自分の能力が権力と同じ大きさであると振舞うため、官僚と話していると国会議員の勘違いを指摘されないで情報が集まるため、それらに飛びつき、官僚から情報を得て、官僚の言いなりになる「ミイラ取りがミイラになる」轍を繰り返してきました。
官僚は議員を手なずけるために、議員を決して傷つけなく、持ち上げて、その僕のように振舞うことになります。官僚からの情報はとり飼いやすくできており、不勉強な国会議員にも、勉強した国会議員のように取り扱えるような資料として提供してくれます。しかも官僚は国会議員の僕のように対応してくれ、大変心地よい対応を受けると思います。
私もこれまで、官僚時代も、民間の私人としても、国会議員にその求めに応じて説明をしに行き、こちらの提案を持ち込んだこともあります。しかし、その中で、こちらの提案したことは、まず聴こうとしないし、尊重しようとしないということで共通しています。一方、説明を求められたことは、議員にとって都合の良いこと以外は聞こうとしないし、関心を持とうともしないのです。彼らの欲しい情報は、その権力を誇示するための自己主張のための情報化、相手を威圧するための「こけおどし」の情報であって、複雑で真面目に汗をかかなければ解決しない情報は求めていません。そのような態度はやめなければなりません。
これからの民主党の議員はそれぞれ優れた能力を持っていますが万能ではありません。背伸びをしないで、謙虚に国民に学ぶという姿勢が求められています。国民の代表者であるということを忘れないで、国民の要求、意見に関してはまず理解しようとする努力をすることです。また国民の生活経験に基づく提案に対して、それを尊重することが大切です。
戸谷英世


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