メールマガジン

メールマガジン第321号

掲載日2009 年 10 月 13 日

メールマガジン第321号
皆さんこんにちは、
FTA(自由貿易協定)の時代に入り社会がデフレ基調になっているとき、その対策が出来なくて企業も個人生活も経済的に崩壊し始めています。その対策が分かっているのに、それに耳を傾けず、混乱して目先しか見ずに狼狽、腰をすえて取り組まれないでないでいます。
最近通勤電車で人身事故が多くなったと思っていたところ、今朝のTVでは生命保険の保険料負担が厳しく待ってきたというニュースと生活苦のための自殺が急増し、其の対策が取り組まれるというニュースが報道されていました。近年年間3万件という自殺が今年は確実に増加しているということでした。

工務店の取り組みは「客引き」の努力だけ
住宅生産性研究会の状況も、この時代を反映して、工務店会員が経営が出来なくなり、苦しくなって会員を減少させています。会員として継続できないという報告がありますと、「このようなことがないように、建設業者としての経営改善をするための情報を提供することを目標に掲げて15年近くやってきたにも拘らず、力になれなかった」という残念さを感じています。私が残念に思うことは、多くの工務店の方に、「経営体力をつけるためにはCMを勉強してください」、とお勧めしますと、「今は、そんな余裕がない」という返事が返ってきます。経営が苦しいのは経営能力がないからで、そのためには経営能力を培わなければ出来ないことです。
しかし、「客引きをしないと仕事が出来ない」とコンサルタントたちが、「ポン引きの技術」を教える住宅関連の雑誌と新聞の記事に踊らされて、ホームページを作り、ブログを派手に作り、チラシを配り、構造見学会を開催して局集めをしています。それらの多くは、まったく人集めのテクニックだけで、消費者の厳しいニーズに応える本来の工務店に期待されている技術はありません。住宅産業で登場するコンサルタントの多くは専門性のない素人同然の「耳学問」だけの口先稼業の者たちで、性能表示制度など政府施策の提灯持ちをすることで、消費者に負担を押し付けることを正当化するたちの悪い護送船団詐欺し集団の使い走りに過ぎません。

次の質問の答えてください
一戸1000万円で販売していた住宅の粗利が200万円で、材料費と労務費がそれぞれ400万円で、これまで4ヶ月掛けて作り販売していた住宅があります。その住宅と全く同じ設計図書(仕様書を含む)を、同じく一戸800万円で販売したら完成後即売できるとします。粗利の中には工務店の本社経費が含まれ、労務費に現場経費が低まれていると仮定します。

「あなたはこの仕事を請け負いますか。」私がこの質問を仕掛けた人の中で、「請け負います」といった人はいません。「仕様の変更が出来ればやっても良いですが」という条件付き請負表明をした人はいました。その条件をつけないでも、私は喜んで請け負いたいと思います。その理由は次の「私の経験した日本の工務店」の後にお話します。

私の経験した日本の工務店
私は、官僚を退官した後にABC開発という朝日放送の子会社(朝日新聞の孫会社)に入り、私の一級建築士の資格を使って建設業登録をし、輸入住宅の建設をやっていたこともありました。そのときは多くの工務店同様、請負金額から粗利を抜くというだけではなく、社員が現場を管理していました。私が現場の工事に口出しをすることに対して、「現場はやる気を失うから、工事は現場に任してくれ」ということで監督の社員任せでした。しかし、そのやり方を見ていて、イライラをつのらせていましたが、口出しをしないことで現場は結構楽しくやっていたようでした。
現場は、下請け業者に迎合しないと出来ない状態で、それでも現場監督の人徳で下請け業者と一体感で仕事をやり、何とか利益を確保しており、その下請け業者と一体になって取り組む仕事のやり方を見て、下手に私が口出ししないほうが良いと考えて任せていました。その工事のやり方は、「元請の仕事は、下請けの調整として工事が組まれていて、工務店が利益追求するという主体性を持って取り組んでいない」と感じていました。以下にそこでの私の感じていた問題点を列挙します。

(1)    建築主と設計段階で建築すべきものを確定しないで、「住宅が完成するまで何時でも希望を取り入れられる」という曖昧な建築主の「夢の実現」の幻想を先に残している。

(2)    請負契約時点でも、請負金額の範囲で建築主の要望に対応できる調整要因を解決するための工事費を現場監督しかわからない費用の中に隠して残している。

(3)    工事工程計画は、設計内容の変更で工事工程が変更されることと、工務店としても工事寸前まで、どこかで利益を得ようと安い材料探しを前提に組まれている。

(4)    建設現場では、いつも下請け業者との間の仕事の矛盾(工事費、工期、品質)を元請と下請けとの間の個人的な情(面倒を見る)による「貸し借り」で解決している。

(5)    工期が引き渡し時期に近づくと、「工期までに引き渡せないと請負代金がもらえない」とする緊急事態という認識で、元請と下請けと一丸になり突貫工事により完成させる。

日本の工務店の仕事の改善策
住宅建設に必要な作業自体を、仮に実際に下請け業者が建設現場に出ている時間だけで、工事工程とのつなぎの遊びをなく組み立てただけで、最低、工期は半分に出来、さらに下請け業者が現場にいる間遊びをなくするとしたら、工期はさらに半分に縮めることが出来ます。そのためには、工務店と下請け業者が最初から工事の施工計画を尊重し、計画通りの工事をすることが前提となり、建築主ともその原則を守るということが不可欠です。計画通りの工事が出来るという当たり前のことが日本では出来ないのです。その基本が狂っていることを工務店傾斜は自らの建設業経営能力の不足と考えないで、顧客を大切にした「注文住宅の特殊性」であると平気で口にし、そのように信じているのです。

私の回答(CM理論の実践)
私は、工事請負契約を結ぶ時点で、住宅建築に必要な設計図書を確定し、それをもとに必要な工事に細分化するととともに、各細分化された工事の総てを相互のつながりを考えて繋ぎ、それを時間軸を追った結びつきのある施工計画(ネットワーク工程)として計画します。そして各細分された工事ごとに必要な材料及び労務の積算を自ら行うとともに、請け負わせるべき下請け業者にも同様な積算をさせます。その両者を突き合わせて、元請業者と下請け業者と協議して、最も合理的施工方法を前提にした積算を決定します。そして、積算結果を合算して、それに現場監督と粗利を見積もって見積もりを行い、それが請け負い工事費の範囲に収まっているように調整します。
見積もりが決定しましと、材料と労務を、見積もり内容にあった条件での調達をします。そのときの調達の条件を配慮して、最初の作成した施工計画に拘束時間と拘束日を配慮した工事工程管理計画立てます。そして、その工事工程管理計画がその工事に関係する総ての下請け業者が対応することができるものであることを確認して、工事が着手されます。

合理的なCMの結果の解説
このような方法を実施すれば、先の事例の住宅は、その工期を最低で半分の2ヶ月、最高で4分の一の1ヶ月で造ることが出来ます。2ヶ月で完成させた場合いには、労務費は2か月分の200万円で済みますから、800万円で販売しても、粗利はゼロではなく、200万円を手にすることが出来ます。以前は、工務店が4ヶ月掛けて得た粗利が200万円であったものが、私にやらせれば、2ヶ月で200万円になるのです。以下、月当たりで見た粗利は、以前は、一ヶ月当たり50万円の粗利が、私にやらせれば、同じ一ヶ月当たり、100万円に2倍増するのです。もし、4か月分の仕事が取れたら、以前(一戸あたりの工期が4ヶ月)は、4ヶ月で200万円の粗利に対し、私にやらせれば、(一戸当たり2ヶ月)の場合は、4ヶ月で400万円と倍増することになります。

以前と同様に4ヶ月で一戸しか仕事ができなくても、同じ粗利を得て、2ヶ月で仕事は終わり、残りの2ヶ月は仕事がないので、その暇な時間は、HICPMのCMのテキストの勉強でもしたら、工務店経営能力が高まります。

「ポン引き」稼業を辞め、ホームビルダー経営を
X・K(エクスナレッジ社)の工務店及び設計事務所調査結果に基づく「住宅産業の指揮者のアドバイス」を見ると、現代の消費者のニーズにこたえることの出来ない工務店及び設計事務所が、自らなすべき努力をしないで、客引きばかりに関心があり、それを工務店の経営コンサルタントが「ポン引き」の技術をアドバイスしているという構図が現れていました。消費者の購買能力の範囲で、消費者が資産として護るに足りる「経年して資産価値が確実に上がる住宅」を供給していれば、顧客は、戦前までの日本や、欧米での住宅購入のように定額預金をするような気持ちで財産形成として住宅を購入するために集まってきます。

工務店に求められる高い住宅経営技術
世界の住宅産業は消費者の利益を守る経営をすることによって経営基盤を高めているのに対して、日本の工務店は自らの利潤追求のために、売り抜けの出来る「手離れの良い」顧客を集めようとしています。集客技術が長けていることは、優秀な工務店の証明になりません。住宅の資産価値が急落する住宅を販売している業者から住宅を回避とはいません。販売した住宅価格で、いつでも引き取り、その価格で何時でも住宅市場で販売できる住宅を販売する工務店になら顧客は集まります。そのようにするためには、工務店の造った住宅を何時までも健全に維持管理し、居住者が文明の発展にあわせて住宅のリモデリングを繰り返すことをしようと思える優れたデザインの住宅であることが不可欠です。これらの建設業経営管理技術(CM)をいつも研鑽している工務店が生き残るのです。

「工場に就職して御覧なさい。」
1960年代後半から、日本では日本生産性本部が、米国のOM(オペレーション・マネッジメント)を勉強して、工場でのゼロデイーフェクト(無欠陥:ZD)運動に取り組んできました。無理、無駄、斑という工場生産の過程に隠れているマイナス要因を発見し、次にそれらを排除することで、企業は大きな利益を上げ成長していきました。そのとき、工場で、無理、無駄、斑を発見し、無くすることで、すぐ賃金を上げたわけではありません。
先の問題に対する私の解答のように、向上資産に取り組んでいた企業では、国際競争力に負けないように従来まで確保していた利益分の価格を切り下げても、それまでと同様の利益を確保するために、生産性を高めました。同じ労働時間内でより多くの生産をするように努めました。利益分を商品価格引下げに当てて、価格競争力を高めることを優先してきても、OMの理論どおり、従前の利益以上の利益を得て大きく成長していったのです。

鍵は「労働価値説」で説明されたことです
労働者に支払わなければならないのは、労働者の家族が人並みの健康で文化的な生活を営むに必要な賃金です。それを約束すれば、労働者はその持てる能力を発揮する仕事ならば、どのように経営者が労働者の能力を引き出そうとしても、労働者は決して能力を出し惜しみはしません。むしろ、生産現場にいて働いている労働者は、仕事をしたくて来ているわけですから、仕事をその拘束時間一杯することで苦情を言いません。労働者にとっては、仕事をさせてくれなかったり、仕事の出来ない環境の方が嫌です。同じ拘束時間に2倍の仕事をするときに労働強化によって仕事をさせるならば嫌でも、遊びの時間を仕事の時間に変えることであれが、余分に賃金をもらわなくても働きます。日本の建設現場でやっている出来高払いには、経済学的に見ても合理性はないのです。

ピンはね業者の「下衆の考え」から健全な経営者の考えへ
日本の建設業者は、政府が「建設サービス業」に産業分類しているとおり、不動産製造をせず、単に下請け業者への仕事の配分だけを仕事としてやっているため、仕事を見るとき、粗利総額を手にするという視点でしか見ません。1000万円の仕事も、1億円の仕事も粗利が同じ20%であれば、それぞれ200万円と2000万円とが期待できますが、建設業者の関心はその総額だけです。実際に仕事は下請け業者の仕事の完成を待って粗利を手にするだけだからです。
しかし、世界の住宅建設業者のように、「住宅建設事業を不動産製造業」として実務をやっている建設業者は、その工事期間、自ら陣頭に立って生産管理をしますから、工場生産における工場長と同じ感覚で業務に向かいます。その利益が会社経営をし、労働者を安心して雇用するためには、一体どれだけに期間で200万円や2000万円の利益を手にするか、またどれだけの賃金を毎月労働者に支払えるかということを考えます。1000万円の仕事を一ヶ月で仕上げることと、1億円の仕事を一年かけて仕上げるときとを比べたら、前者(1000万円の仕事)の方が経営的には良いのです。

BMを読み、HICPMのCMのテキストを学習してください
HICPMの会員の皆さんが、経営改善をするためにやるべきことは、自ら経営の学習をすることを置いてありません。「狭き門より入れ、滅びにいたる門は広く大きく」と聖書にありますが、安易に集客をして「差別化と、手離れの良い仕事」をする安易な集客と、売り逃げの方法は、工務店の滅びに至る道です。工務店経営者は、毎晩少しでも学習する時間を作って、CMの勉強をして欲しいと思います。そして、分からないことは、何でも私に問い合わせてください。私のできることだけでなく、出来ないことでも相談を受け、一緒に考え、不可能を可能にする努力をしようではありませんか.

戸谷英世


トラックバックURL:


コメント投稿




powerd by デジコム