メールマガジン第330号(12月14日)
皆さんこんにちは
今回は、「IT技術を活用した工務店の経営と営業に関して」最近の調査を基にお話します。
パソコンが日常生活に入ってきて、多くの人は何でもパソコンで検索するということが一般化しています。そのため、パソコンを使わないと事業は出来ないとさえ考えてしまう人が増えています。工務店や、住宅設計、住宅販売の総てがそのような方向に動いています。その結果、ホームページの造り方やブログの作り方が経営の大きな関心になっています。
確かに便利なものを使おうとする行動形態は、人間総てに共通することから、パソコンの利用を否定することは出来ませんし、利用する傾向は変えられません。しかし、私が調べた限り、工務店の営業で、パソコンに全面的に依存をしたために、会社自体が失敗し、顧客に大きな損害を与えた事例が沢山発生していることも事実です。
ネットを使った設計者探し
住宅を建築しようと思っている人にとって、「誰に設計を依頼したらよいか」という問題は大きな問題です。そのニーズに応えるべくネットを使って設計者を紹介するビジネスが登場しました。これらの「ネットに登場する建築家」の多くは「作家」と自らを呼んでいるケースもあって、「顧客に感動を与える」住宅や、「顧客の夢の実現する」住宅を売り物にしています。そして、時代感覚にあったデザインをネットに紹介しています。その傾向としては、「イメージによって顧客の心を掴むため」スケッチや映像を工夫してネットに掲載されています。しかし、彼らの住宅には、美しい街並みの担い手になっている事例を見つけることは不可能に近い状態で、時代トレンドのつまみ食いをした自己主張がその殆どです。
ネットを利用した設計図書を使っての工事
ネットを利用して何とか設計図書が纏まったとしても、設計者と建築主が面談することもなく、情報のやり取りで設計図書を纏めるわけですから、設計条件の確認も不十分で、建築士法で言う「設計」がなされていない疑いの強いものです。設計者は建築主の要求を正確に把握することが設計の基本で、安藤忠雄が言っている「建築家は自分の好きな設計をすればよい」という考えは、間違っています。発言の趣旨が、「自分の能力は自分のやれる能力以上は出来ない」というのならば許せても、「建築主の要求を無視して、建築家の自己主張をすればよい」という安藤忠雄の主張は、建築士法違反です。ネットを利用した設計者は、現地を見たりするとそれに適合する設計能力がないことが多いため、「設計料を節約する」という口実で、建築士との現地の調査すらしていません。そのような方法で作成された設計図書では、まともな住宅は造れません。
ネットを利用して見つけた設計者の設計図書
ネットの設計者は、「住宅の設計」を、「絵画を買う」ように思って注文するように消費者を促します。これは設計者自身に建築設計の基礎知識が欠如しているために犯している過ちです。建築とは、その建築物を建てようとしている「土地の加工の仕方で、建築物は建築されて土地の一部になる」のであって、土地の置かれた環境を無視しての建築はありません。顧客は、自分の土地を自分の好きなように建築を建てて何が悪いという人もいますが、近隣の人たちは、自己主張の強すぎる醜い建築を立ててほしくないと思っています。
ネットの設計者は、「差別化」といって、近隣から目立つ住宅を建築することで、顧客の自己主張に応え、それによって近隣の住宅より優秀な設計をした住宅であると顧客に思い込ませます。ナチスが「ゲルマン民族は優秀で、ユダヤ民族は劣った民族」と言ったり、日本人が、「朝鮮人や中国人を見下して支配」したものと全く同じ「差別」の思想です。
これらのネットの設計者の作品に、建築時点で満足した顧客の多くは、冷静になったとき、「差別の設計」による住宅の貧しさが、街並みを壊していることを感じ、恥ずかしがるはずです。
住宅建築工事業者もネットで探す
顧客は設計図書を作ってもらったら、その通りの住宅を造ってもらえると思っています。しかし、工事業者の選択も、不良業者を見分けることが難しいことが分り、ネット設計システムに工事業者の選択を依頼することになります。しかし、工務店の能力の評価は、過去に造った住宅を見ないと分かりません。誰に依頼しても、「同じ住宅を造れる」というわけではではありません。依頼すべき工務店の選択は、設計内容によっても違います。簡単に出来ることではありません。
現在は工事需要が縮小しているため、住宅建設工事を受注したい工務店は、仕事探しにネットを使って営業をしています。顧客の中には設計をネットで作成したように、工事もネットで探そうとします。この種の工務店は住宅会社の営業出身の経営者であることは多く、「仕事さえ受注すれば、粗利を抜いて下請け業者に仕事を配分」することを建設業者と考えています。これが政府の考えている「建設サービス業」と産業分類されている理由の「日本の建設業」です。大工から工務店経営者になった良質の経営者の場合いには、住宅建設は住宅建設を製造業と認識しています。責任を持って住宅を製造しようとします。
住宅設計と住宅建設とネット利用
米国のホームプラント日本でやっているネットとは似ているやり方ですが、本質は全く別のものです。住宅の敷地面積が十分広く、近隣との環境に関しても広い庭があって、隣接する相互の建築デザインが干渉しない場合いには、それぞれ独立したデザインの住宅を採用しても、混乱した町にはなりません。米国では、ホームプラン集から気に入った住宅を選び、それを多くの場合ホームビルダーが建設場所と住宅購入者のニーズに合わせて修正して使うことになります。また、多くの住宅地は、住宅の資産価値を守るために環境管理を義務付けています。住宅が優良な住宅地として維持管理されるように、住宅所有者は優良住宅地経営管理マニュアルの「3種の神器」に従うべきことになっています。そのためホームプラン集を利用するときも、「三種の神器」に従うべきことを義務づけられています。住宅を建設するホームビルダーは、その土地に根を張って仕事をしますから、住宅を建築しようとする建築主に適格なアドバイスをする力を持っています。そのため、米国のホームプランシステムは、建築主にとってもその社会にとっても有効に役立っています。
地場に根を張って仕事をする工務店、設計者のやるべきネット利用
工務店や住宅設計者は自らの営業上の広告や広告看板は、これまで自分が建築し、又は、設計した住宅であると考えるべきです。そして、工務店や設計者の営業マンは、彼ら建設し、又は、設計した住宅に、これまで生活した人と、現在生活している人たちと考えるべきです。工務店や設計者の最大の営業上の財産は、「昔の健全な大工や棟梁が活躍していた時代の日本」のように、米国の住宅産業でも、「評判(レピュテイション)」であると考えています。評判は工務店や設計者が思い通りに作ることはできません。住宅に生活し、住宅を見、訪れた人の厳しい評価によって形成されるため、皆との約束を大切にして「信用」を築いてきました。
よい住宅を造りたいと願っている人は、よい設計者や工務店を探しています。これらの住宅需要者は、いつも都市の中で生活し、多くの住宅や、街並みを見て自分達にあった住宅を探しています。しかし、それらの素敵だと思う住宅を見つけても、その設計者や施工者が誰であるかということは分かりません。現代のネットの時代には、住宅を建てようとしている消費者は、先ず、ネットで探そうとします。そのとき消費者が「間違わない選択」ができるような情報を工務店や設計者が提供することが必要です。その情報は、過去に自分が建築し、又は設計した住宅が何処にあり、どのようにして第3者の評価を知ることが出来るかという情報だと思います。工務店や設計者は、自らを売ろうとするのではなく「顧客から選んでもらうためにネットを使う」という姿勢で臨むべきです。
建築教育と建築出版物の貧しさ
ネットによる住宅の設計施工において多くのトラブルが発生しています。その原因は、わが国の建築教育の貧しさと並んで、建築・住宅に関する出版物の貧しさにあります。別の見方をすれば、わが国の建築・住宅産業に高い建築や住宅の知識が必要とされていないため、その種の書籍が本屋の店頭に並んでいません。それは建築・住宅ジャーナリズムが貧しい建築や住宅の「売らんかな」の提灯記事を書き、消費者に間違った情報を与える「詐欺の手先」に近い「広告集のような書籍」の出版をしてきたことに一半の責任があります。それは、大学の建築教育で「建築学」(人文科学)や、建設業経営学(社会科学)としての教育がなされず、「建築工学」しか教育されてこなかった日本の建築教育の欠陥です。
そこに住宅コンサルタントが、「工務店経営指導」と称して、チラシ配りやネットを使って、いかがわしい風俗営業の「ポン引き」に近い集客方法を、住宅雑誌、新聞を使って正統な広告宣伝であると教えてきました。そして、「詐欺販売」といわれても不思議ではない「差別化」による営業を教えてきました。「差別化」とは、単なる「違い」を、「優劣」であると説明した「騙し」で、捕まえた客を虜にして、売り抜ける方法です。
「凶器にもなるネット(刃物)」の重視を止め、専門知識・技術の訓練を
今の工務店や設計者のネットの使い方を見ていると,それは顧客の利益を損なうだけではなく、既にそれを使っている工務店や設計者自信を傷つけ、害に気付いていない「筋肉増強剤」のようになっています。ネットを利用する能力は高まっているかもしれないけれど、住宅産業者としての基礎的な知識をまったく学ぼうとしない現状は、住宅を求めている消費者にとってはもとより、住宅産業界にとって憂慮すべき事態です。
住宅生産性研究会では1月から毎月定期で住宅の資産形成に関する総合的知識教育として「超長期優良住宅地経営管理マニュアル」を用いたセミナーと住宅建設業経営(コンストラクションマネジメント)教育セミナーとを以下の計画で実施することにしました。
「何時でも、誰でも、学習したい人疑問のある人、困った人に学習の窓口を」と言うのがこのセミナーの目的で、人数に拘らず、一人でも実施します。私の限られた時間でのやりくりとなりますので、基本的には予約制にします。
第1. 長期優良住宅地経営管理マニュアル「3種の神器」セミナー
HICPMが国土交通省住宅局の要請に応えてハウジングアンドコミュニテイ財団で9年間に亘って行った調査研究とHICPMが毎年グローバル研修企画と実施してきた国内外の住宅地開発の調査した成果を元に纏めた「超長期優良住宅地経営管理マニュアル」の利用指導のための研修セミナーを実施します。
実施場所:住宅生産生研究会(HICPM)セミナールーム
日時:毎月第1水曜日、午後(13:30-1700)
参加費用:一般.6,000円、HICPM会員.3.000円、
ただし、初回は、テキスト購入代のみで参加料無償
テキスト代:¥15,000円、会員割引10,000円
セミナー:マニュアルの解説、事例解説、リースホールド事業、個別事例相談、法令解説
第2. CM(コンストラクションマネジメント)
基本的に全米ホームビルダー協会のテキストを基本に、1年間に亘って、毎月CMの関し、(1)建設業経営、建設工事(工事計画、原価管理、工事工程管理、品質管理)、顧客管理
(2)住宅地計画、住宅地デザイン、建築設計、住宅デザイン、
(3)建築の材料と工法、材料の物流、伝統的建材、新材料、新工法、住宅設備
に関して、毎回テーマを変えて、どのセミナーに出席しても、また総てのセミナーに出席してもCMの全体系の理解と個別の経営管理技術の学習が出来るように計画しています。
実施場所:住宅生産生研究会(HICPM)セミナールーム
日時:毎月第3水曜日、午後(13:30-17:00)
参加費用:一般4,000円、HICPM会員2,000円
ただし、毎回テキストはHICPM指定テキストの中から1冊、自由選択
テキスト代:参加費用に含まれます。
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