戸谷の言いたい放題

民主党、社民党、日本新党に対する住宅政策提言

掲載日2009 年 12 月 14 日

NPO法人HICPMは、民主党、社民党、日本新党による3党連立内閣が発足したが、住宅政策として、自民党の住宅政策の欠陥を是正する取り組みを始めていない。そこで住宅生産性研究会としては以下のとおりの提案をまとめることにした。その内容は、目下、全国貸地貸家協会と協力して連立3党に提案する予定である。

本提案は、現在の経済不況の原因の一つとなった1992年のバブル経済崩壊後の「住宅による景気刺激策」の失敗により、その後住宅という極めれの本経済全体にとって大きな位置を占める産業を国家の政策として利用できなくしてしまったことにある。それでいて、不良債権の優良債権か策として、都市再生事業を軸に、都市計画法及び建築基準法の「姉妹法の関係」を蹂躙した改正により、無秩序な市街地破壊が演出された。そこで増産された不動産が、再び米国の住宅バブル崩壊後の日本の不良債権を急膨張させた。

今回の不況はかつてのバブル崩壊以上の厳しさになると考えられ、これまでの住民等と同じ政策を採るならば、今後20年以上に亘って、不毛の経済低迷を続けることになる。今回の提案は、過去の自民党による住宅政策の歴史的認識とそのの総括にたって行っているものである。


民主党・社民党・国民新党の3党連立内閣に対する提案(試案)
―「住宅により資産築き、経済を活性化して、国民が豊かさを享受する政策」提案―

1.提案の趣旨・概要(エグゼクテイブ・レポート)
(1)国民を貧しくしてきた住宅政策

これまでの自民党による政策は、「衣・食・住」の一角をなす住宅において、国民を、生涯に亘って過大な住宅ローン負担で生活を苦しめ、その上、購入した住宅は、既存住宅としての市場価値が低いにも拘わらず、住宅会社が高く販売することを容認してきた。そして、住宅の資産価値は償却理論による残存価値であるとする非科学的な不動産評価政策を押し付けてきた結果、国民は住宅を所有することで貧困にさせられてきた。

(2)役人OBの雇用を中心にした住宅政策
その反省もなく取り組まれた2006年以降の自民党の「住生活基本法」による住宅政策は、「住生活の安全」を口実にした住宅品質確保法及び建築基準法の改正を軸にしたものであった。しかし、その実体は、官僚や公務員OBの雇用機会を拡大するために、外郭団体や指定確認検査機関等による評価、審査、検査、保険等の不要な手続きを義務化し、国民に過大な費用と時間負担を押し付け、地方の住宅産業を崩壊に導く羊頭狗肉の政策であった。

(3)国家の政策として重要な住宅政策
わが国の住宅資産総額は、約1000兆円あり、また、住宅産業の規模は、毎年の投資額として約30兆円に上る。このように住宅産業は、わが国の産業の中では最も大きな産業の一つである。このような国家の経済に重大な影響を持つ住宅産業が、官僚や公務員の利益のための産業政策とされているため、住宅資産価値が毀損され、個人財産の国富も削減させられ、住宅金融・保険、住宅不動産業による健全な経済活動が圧殺されようとしている。

(4)住宅の資産評価に着目した住宅金融政策
新政権が取り組むべき政策の中で、国民と住宅産業界を苦しめている住宅政策を改めることは、緊急性を要する重要施策である。しかし、自民党が官僚と癒着した住宅政策により、官僚主導で、行政OBの不当な利権を擁護することで、日本の経済活動が妨害され、国民に不当な負担を科すものである。それにもかかわらず、民主党の政策に、住宅の資産価値に着目した住宅金融(モーゲージ)と、建設先取り特権(メカニックス・リエン)と一体化した建設金融(コンストラクション・ローン)施策が基本的に取り上げられていない。

(5)住宅資産形成に成功した工業先進国の経験に倣え
今回、本提案は、これまで住宅不動産事業の調査研究、行政実務、又は、事業の実務に取り組んできた住宅産業専門家集団の両団体の代表者が、これまでの欧米、中でも、米国、英国との比較調査研究成果に基づいて、民主党が取り組むべき緊急施策を提案した。本提案は、「住宅により、個人資産と国富としての資産を築いてきた国」の経験に倣って、可及的速やかに、自民党のなした国民に不利益を与えている政策の見直しをすることである。その実現は、現在の住宅産業に危機的状況を改善するため、緊急性を要する提案である。

2.自民党による住宅政策の総括
(1)景気刺激策として使った住宅政策の失敗

バブル経済崩壊後、「住宅投資の経済投資波及効果は大きい」と自民党政府は説明して、公庫住宅、公団住宅、公営住宅を通して、巨大な財政及び政府金融投入をする景気刺激策に取り組んだ。その住宅政策は、「ゆとり返済」といった国民に目先の返済を縮小して、生命保険担保の返済不能な借金をさせて、高額な住宅を買わせた。そのため、ローン自殺や自己破産が続出し、生命保険を利用したローンの取り立ては、生命保険会社の倒産まで引き起こし、巨額な不良債権を生み出し、その後の不毛の15年の原因にもなった。

(2)住宅建設計画法政策破綻の理由
しかし、自民党政権は景気刺激のための住宅政策失敗の原因究明の総括もせず、いたずらに住宅金融公庫及び都市整備公団に対する財政支援を受け続けた。その結果、国家財政に重大な危機を齎すことが明らかになり、小泉政権のとき両団体の廃止が閣議決定された。それを受けて公営住宅、公団住宅、公庫住宅の3本柱の政府施策住宅が中止となり、財政と政府金融の後ろ盾を失った40年間続いた住宅建設計画法は、自動的に廃止された。

(3)住生活基本法製作の本質
住宅建設計画法に代わって、新たに住生活基本法が制定された。その実体は、これまで公共事業としての住宅政策の陰に隠れていた天下り構造が崩壊したため、失われた官僚の天下りの資金供給構造の再構築を図るものであった。つまり、それまでの「住宅建設事業費の中にOBの雇用費用をもぐらせた方法」が崩壊したため、代替する方法として、建築確認行政及び住宅品質確保に関係した住宅性能表示、瑕疵担保保険など「住宅の信頼性を検査する」制度の強化や、「消費者の住宅の安全確保」を看板に、行政OB雇用機会拡大制度を整備する「羊頭狗肉」政策に転換するものであった。

(4)役人の利益を中心にした住宅政策
そして、住宅の性能試験、評価格付け機関や保険機関等の外郭団体や指定確認検査機関など、役人OBの安定大量雇用方策を拡充した。そのため、国家予算を見れば、住宅建設事業費が縮小された代わりに、住宅行政部費が拡大された。住宅予算として計上された行政部費の殆どが、天下り外郭団体「財団法人又は社団法人」に対する行政事務の移管又は委託する費用である。住宅政策は、外郭団体に行政事務の一部を委託することを法律で制度化し、天下り人権費を財政負担する補助金交付を正当化した。かつて住宅建設費の中に潜らせていた行政OB雇用費用が、行政部費として計上されたが、それでも不足する巨額な費用は、確認検査料、試験・審査料として、消費者が負担する住宅価格に転嫁された。

(5)自民党政権の実施してきた「消費者保護の住宅政策」の本質
購入者に対する費用負担が過大になり、需要を圧迫した結果、中小零細工務店が経営不能に陥る状況が発生した。自民党政権は、この政策の失敗を隠蔽するため、長期優良住宅促進法を制定した。それは、これらのOB雇用拡大する制度を受け入れた性能表示住宅を購入した者に対し、「長期優良住宅補助金」に名称で、1戸当たり100万円が支給すされ、OB雇用制度で回収・還元する迂回補助金行政である。以上(1)から(5)までの自民・公明党政権が住生活基本法政策で取り組んできた主な対策の本質は以下の通りである。

イ.官僚の天下りを受け入れる業界団体の強化を図るための業界団体の営業支援強化
住宅品確法による性能表示制度は、実性能の計測方法も設けなく、実性能検証の出来ない住宅に対し、実性能を有するかの御墨付けを与えた設計性能表示住宅制度である。高額な設計性能表示審査は、量産工業化住宅会社にとっての1戸当たり負担が軽く、実性能責任を追及されないため、公的な営業販売支援の武器となる。この制度により利益を受ける大手住宅会社、民間試験・検査機関、指定確認検査機関、それらの業界団体(政府外郭団体)は、利益の見返りとして行政OBを雇用し、制度運営費用の多くは、は消費者へ転嫁した。

ロ.官僚及び建築・住宅行政関係地方公務員(役人)の天下り事業の拡大
建築基準法の強化改正と住宅性能表示制度の強化徹底により、不必要で過剰な審査業務と、指定確認検査機関による確認検査事務が肥大化し、審査書類作成手間に多大な費用と時間と労力を費やせざるを得なくなった。申請関係業者の業務が増大したうえ、審査に高額な手数料が掛けられることになり、工務店の過大な負担は、消費者に転嫁させることなった。

ハ.法律違反の「瑕疵保証保険制度」と、役人OB雇用に向けられる保険料
瑕疵保証保険加入を義務付けられている住宅は、住宅ローン条件として、殆ど例外なく、損害火災保険に加入を義務付けられている。現行の瑕疵保証保険制度は、消費者に保険料支払いを転嫁するもので、民法の定義による瑕疵保証ではなく、損害保険料の二重取りになっている。瑕疵保証保険料のうち、実質的な瑕疵保証に廻る比率はきわめて低く、保険料収入は、殆どは制度運用手数料に消え、役人OBの雇用機会の拡大にしかなっていない。

二.「長期優良住宅」補助金は、役人OBの「迂回天下り費用」補助

「消費者保護」を口実にした建築基準法の強化、住宅品質確保法の強化、瑕疵保証保険の強化による費用負担増大分は住宅価格の吊り上げになるため、その費用を「長期優良住宅促進補助金」と名付けて、住宅購入者に補助する制度がはじめられた。その工務店に対する補助金受け入れ指導を、団体会員増強と結び付けて中小建設業協会にやらせている。その実体は役人OB人件費を長期優良住宅制度で迂回させて国庫補助金で行うものである。

ホ.違反容認による不正利益を、役人OB雇用と政治献金へ分配
耐震偽装事件発生の原因は、実は建築基準法違反をすることで不正利益が得られることを承知のうえで、指定確認検査機関が建設業者に違反を教唆し、それを営業手段としてやっていた「闇の営業」である。違反容認による不正利益の供与を営業手段とする「闇の営業」と同様なことは、現在も官民癒着の建築行政や開発行政で日常的に行われている。法律違反で得られた不正利益が、外郭団体の回避や政治献金として支出されていた。
耐震偽装事件が当時の政府自民・公明党連立内閣の政治スキャンダルとなりかけた。民主党によるスキャンダルの追及は、「偽メール事件」で崩壊し、事件は闇に葬られた。
指定建築確認検査機関がその種の闇の世界を作るものであることは、本制度が制定された当時の国会審議で再三指摘された。しかし、事故が発覚後も疑惑究明が全くなされていなく、いまだに闇の世界が行政OBの雇用と政治献金の構造として機能している。

へ.国民の代表者が立法府で議決した法律を蹂躙している司法
建築基準法違反は民間確認検査機関と行政機関(行政庁、審査会)一体でやられており、それを不当とする行政事件訴訟が、現時点でも多数提訴されている。しかし、司法の行政法の知識は、地裁から最高裁まできわめて貧しく、被告である行政庁の言いなりになるか、又は、行政OBの行政学者の現役時代の不正を正当化する行政学理論に迎合している。
司法は、行政法知識の不足を、恣意的で法律の文理解釈を無視する判断(立法府の軽視)に終始しているため、行政処分又は不作為の違反の訴えは殆ど、法律上の合理的な根拠を示さないままで「却下」の判決が下されている。司法府による立法の蹂躙である。

3.20世紀末のバブル崩壊以上に深刻な経済への影響と求められる住宅政策
(1)小泉規制緩和政策の本質
バブル経済崩壊後の景気刺激策としての住宅対策の失敗の後、約15年の不毛の時代が経過し、政府は無策の経済政策を続けてきた。小泉内閣のとき、都市再生事業を柱に、都市計画法と建築基準法の姉妹法の法体系を崩壊させ、法律秩序を乱すなき規制緩和を実施した。その本質は、容積率と建築物高さの緩和策で、不良債権を良債権化する政策である。

(2)2極分化政策で景気改善を享受できなかった国民大衆
この規制緩和は、全国の大都市における「ミニバブル」と言われたように、米国の住宅バブルで儲かった金融ファンドの住宅投資と相俟って、不良債券漬けになっていた都市再生機構や、不良債権土地保有企業を蘇えらせることになった。この規制緩和と米国からファンドの流入で統計上は、かつて経験しなかった景気上昇期間が継続したことになった。大多数の国民には実感出来なかった理由は、法人と一部の者に利益が集中したためである。

(3)再来襲し始めた不良債権拡大の波
規制緩和の利益も束の間、日本全国の大都市で規制緩和を受けたマンションが都市のスカイラインを大きく変貌さえ始めた直後、米国発サブプライムローン事故に端を発した住宅バブル崩壊で、世界経済はどん底に落とされた。日本では再びミニバブルが崩壊し、住宅による景気対策への希望を切り捨てられることになった。そして、都市再生機構の土地を買い、地上げに走った企業が、再び不良債権所有者に陥れられることになった。

(4)鈍感にさせられた不況危機感覚
「限界効用逓減の法則」どおり、現在のバブル崩壊による経済基盤の崩壊は、1992年次のバブル崩壊時と比べて、勝るとも劣らぬ厳しいものである。それにも拘らず、不毛の15年を経験した国民には、かつての厳しさと同じ程度の厳しさでは、「厳しい」と口に言い出せぬ「厳しさに麻痺した感覚」が出来てしまっている。ミニバブルで発生した需要のない不動産(地上げされ、地上げ中の土地、建築物が出来て利用者のない不動産)は、今後、不良債権としてじりじりと日本経済を締め付けることは疑いない。

(5)求められている消費者視点での住宅行政
FTA時代に入って、先進工業国は基本的に賃金下降の右肩下がりの経済軌道を歩まざるを得ない状況にあって、その中で国民がいる限り国内産業として継続できる「衣・食・住」産業こそ、ますます重要な位置を占めるようになる。社会政策としてだけではなく経済政策として住宅政策が国家の重要施策であることは、欧米の政策を見れば歴然である。倒産や人減らし、残業カット、労働時間の短縮など国民の縮小している家計支出の範囲で住宅を供給するという、消費者視点での住宅政策こそ社会経済的に求められているものである。

4.緊急性を必要とする住宅政策
(1)自民党政府が責任を住宅産業会に転嫁した建築基準法の改正

住宅建設計画法を廃止した2004年以降の官僚主導の住宅政策は、上記「2.自民党の住宅政策の総括」に見るとおり、建築住宅関係行政関係者の天下り対策を、「消費者保護」という大義名分をかぶせて、結果的に消費者負担を拡大する形でやられてきたものである。特に、耐震偽装事件に便乗した建築基準法の改正は、この事件自体が、建築確認制度を担ってきた行政自身が単に手抜きをしたことで発生したもので、一般の建築産業に欠陥があったわけではない。そのため、建築基準法の改正自体、きわめて悪質なものである。
基本的に必要でない建築基準法の改正は、極めた多大な無用な審査資料の作成を義務付けるものであった。その結果、消費者の所得下落の社会経済環境下での住宅価格の高騰になり、それに付加された過大の行政事務による「不要な書類作成作業」と「審査事務による費用と労力と時間の浪費」が工務店経営を圧迫し、住宅建設を大きく後退させてきている。

(2)行政責任を行政権限の強化に摩り替えて官僚に擦り寄った自民・公明党政治
耐震偽装事件は、指定確認検査機関が建築基準法違反を容認し、又は、教唆することで開発事業者に不正利益を供与することで営業拡大したことに問題の端を発している。自民党政権やった耐震偽装事件対策は、法律で定めた審査業務やらなかった行政の責任と、役人OBを雇用してきた指定確認検査機関の確認事務違反を容認して、不正利益を供与してきた審査事務の原因究明をやらなかったことである。
耐震偽装事件処理は、指定確認検査機関がその確認事務を正しくやっていれば発生しなかった建築基準法違反幇助の加害者である行政を無罪放免にして、ヒューザーの小嶋社長と姉歯一級建築士をスケープゴートにあると責任転嫁して、代わって、国民を護る再発防止ためといって、事件と全く無関係の行政権限の強化にすりかえた。

(3)根拠のない規制強化は国民負担の増大
自民党政治は、官僚とそのOB受け入れ業者に迎合する方法で官僚に迎合し、「建築基準法の強化」という「官僚のシナリオに乗った解決」を受け入れた護送船団方式で、役人OBの雇用機会を拡大する建築行政事務拡大の法律改正をやった。その結果、住宅自体の改善はされなくて、コストだけが釣り上げられた。建築基準法の改正が住宅購入者の負担増になったことから、一挙に住宅需要が圧迫させられ、代わって、これらの制約を受けなくてすむ住宅のリモデリングに、消費者も住宅産業も方向転換を余儀なくさせられている。

(4)国民経済負担を強化した建築基準法等改正の廃止
この異常事態を改善するためには、建築基準法はその改正を実施しなかった以前の状態に戻すとともに、さらに、既存の法律上の矛盾や利権がらみの規定をそぎ落として、簡素化する必要がある。併せて、住宅品質確保法の廃止、住宅瑕疵保障保険法の廃止、長期優良住宅法の廃止など一連の官僚利権がらみの住宅制度を廃止することが必要である。
これらの法律を廃止しても、工務店にとっては事業がやりやすくなるだけで全く困ることは何一つない。住宅産業に絡んで護送船団方式で仕事をして、住宅価格の釣り上げに関係する業者においては、既得権を奪われることで困るという反対があるが、それらの反対は、そもそも、消費者の利益に反するものであるから、配慮する必要はない。

5.現代の時代認識と住宅産業
(1)長期的デフレ基調の経済環境

自由貿易協定(FTA)に時代に入り、工業先進国の所得は、発展途上国の所得と平準化する方向にある結果、先進工業国では、どこにおいても賃金の低下傾向が平準化するまで、基本的に下落する傾向をたどることになる。当然、雇用機会は発展途上国に移動し、製造業をはじめ、産業の雇用機会は縮小し、デフレ基調の経済は長期に継続することになる。

(2)絶対消滅しない住宅産
このような社会に置いて、継続し続けることの出来る産業が、「衣・食・住」という内需産業である。これらの産業は、いずれも、先進工業国に人々が居住している間は、先進工業国からは消滅しない産業である。そして、高い文明水準を経験した国民の要求に応えるためには、高い専門技術を必要とする産業であり、かつ、最終需要者から厳しい目で直接的に評価されている産業であるため、これからも住宅産業は、常に、先進工業国の文明の進歩に合わせた技術革新と、文化的なニーズに取り組まれ、生き残る産業である。

(3)「建設サービス業」から「不動産製造業」へ
米国の住宅産業は、日本の住宅産業に比較してその生産性が2.5倍の高さにある。このことは、仮に日本と同じ価格の住宅を同じ粗利と労賃によって建築しているとすると、1戸当たりの粗利や労賃として支払われる額は同じであっても、工務店の期間当たりの粗利や、期間当たりの労賃額は、米国の場合、日本の工務店粗利や、労賃に比べて2.5倍の高さになる。日本の住宅産業を自民党政府が考えてきたような「建設サービス業」として、粗利を先取りすれば後は下請けの丸投げするだけと言う「重層下請け」産業から、欧米のように、「住宅建設業を不動産製造業」と位置づけ、建設現場で建設業者が、直接、建築する下請け業者の生産管理する「1層下請け」構造に変えなければいけない。

(4)建設業の最大の課題:生産性向上
特に、建設労働者の賃金が、「重層下請け」構造の中で、企業系列化されて,末端に「ピンはね(粗利先取り)」のしわ寄せが及んでいる。それをあらためて、欧米工業先進国のように企業の枠を超えて寸法、制度、施工詳細、必要技能の標準化、規格化、単純化を社会的に共通化することで、建設労働者の企業系列の枠を超えた流動化を可能にして、1戸当たり労賃が低くても、一ヶ月の稼働日を拡大して、賃金総額を米国並みの2.5倍増する生産性向上が取り組まれるならば、国民に適正な賃金を保障できる産業となる。

(5)製造業の体質改善経営管理技術:CM(コンストラクション・マネジメント)
日本の自動車産業が米国に倣ってOM(オペレイション・マネジメント:工場生産管理)を学び、半世紀に亘り実践・改良して、追いつき追い越したように、住宅産業に置いても米国の現場生産性を向上するCM(コンストラクション・マネジメント:建設業経営管理)に倣い、実践・改良すること無しには、産業構造を変えて、将来展望を作ることはできない。

(6)建設現場での生産性向上
しかし、政府がこれまで進めてきた住宅生産生を工場生産で高める方法は、工業生産者に利益を吸い上げるものであって、住宅を生産している地場の住宅産業を破壊するものである。工業生産住宅又はバスユニットやシステムキッチンといった工業生産住宅部品はその供給会社が消滅してもしなくても、従前部品も修理方法もなく、部分修繕は費用が掛かりすぎ、建設廃棄物にするしかない消費者に不利益を与えるものでしかない。

(7)全米ホームビルダー協会の現場生産性向上経験に学べ
米国の1960年から1990年までの連邦政府工業化政策と全米ホームビルダー協会が取り組んだ建設現場の生産性向上の闘いで、現場生産性向上の取り組みが勝利したことで、現在の米国の住宅の建設労働者の高い賃金が可能になり、人びとが生活する地場に有能な建設労働者営業継続できる環境を造り、既存住宅の長期の資産活用を確実にするリモデリングを含む消費者の住宅改善要求に対応できる体制が維持されている。

6.住宅産業政策重視の理由
(1)住宅資産(ストック)重視の政策

しかし、現実のデフレ時代の到来に直面した日本国における住宅の果している役割と、これから住宅の果す役割は、以下のとおり、日本の政治および経済が最も頼りにするべき国民生活と国家経済に関係する重大な柱であることには変わりがない。日本の国富は、国民の資産の総体であり、国民が住宅によって資産を形成するか、しないかにより、国富が左右されることになる。既存の住宅資産の価値を高めることが、国富の拡大に繫がっている。

住宅が国民にとってこれまでの負債から、資産に代われば、当然、その資産(エクイテイ)を背景の金融が拡大し、国民の支出は高まり、景気にプラスに働くだけではなく、地方公共団体の税収が向上し、地方財政も豊かになる。高齢化社会に向けての福祉に対しても、住宅による資産形成が期待できれば、リバースモーゲージへの可能性も高まる。その認識の上に、これからの住宅政策が取り組まれなければならない。

(2)日本の住宅資産の全体像
現在の日本の資産対象とすることのできる住宅総戸数は、約5、000万戸である。その住宅資産価値は、と建物一体で、1戸当たり平均、2、000万円と仮定すると、国家全体での総住宅資産額は、約1、000兆円になる。
そこに、毎年の新規の住宅投資約100万戸とリモデリング事業約30万戸のよる投資総額は、約25―30兆円である。それに対し、既存の住宅資産5000万戸が、滅失や資産価値下落によって減価する住宅資産減総額は、約25―30兆円である。
わかり易く言えば、日本の住宅は国民が毎年大変な努力をして住宅投資をして資産形成を図る努力をしているにも拘らず、その一方で、住宅の資産を維持向上させるシステムがまったく存在せず、機能していないため、資産喪失をし、国富は増大できないでいる。
それは、住宅建設計画法が始まったときから40年、GDP(GNP)最大化を経済目標に定め、住宅に置いてもスクラップアンドビルド政策を続けてきたからである。住宅により資産形成をするという考え方を捨て、「建て替え」政策に代表されるように、住宅を資産形成する手段としない政策が続いたため、全体としての資産形成は出来ないできている。

(3)米国の住宅産業を見て可能な読み替え
米国の住宅バブル崩壊は、米国の住宅産業のこれまでの取り組みが間違っていたわけではない。それは逆に、「住宅は、確実に国民の資産形成が出来る手段である。」という認識が、社会全体の取り組みとして、「住宅は確実な投資対象である」という「神話」の領域にまで信用され、政治的にも、住宅は経済政策の中心に置かれ投資対象とされたことにある。
「住宅は資産価値を確実に増殖できるもの」という住宅自体の信用を利用して物権としての住宅ローン債券(モーゲージ)の証券化(MBS)が、金融投機や金融投資会社により、金融派生商品(デリバテイブ)や融資保険制度を悪用した「不良債権の優良債権化」の口実で投機対象にされた。そのため、事故率を遥かに上回った金融工学の適用の誤りにより、大きな金融事故を招いたものであり、米国の住宅産業は金融投資の被害者にさせられた。
このような不当な投機に晒されなければ、米国の住宅産業が生産し、住宅地の資産熟成のシステムを利用した住宅地経営管理下にある住宅の資産価値は、年平均6―7%の割合で上昇し続け、国民は住宅を保有することが個人資産管理上最も安全な方法という常識が形成されていた。米国で発生した住宅バブルの乱高下が一段落しようとしているが、定常状態に戻ろうとしている現代の米国に住宅価格は、乱高下部分を切り取った価格、つまり、住宅産業の統計上は、バブル発生時点の約1.2倍程度に上昇している。

(4)米国の住宅バブルの正しい理解
既に、クリントン政権時代から取り組まれた所得の低い人にも住宅取得ができるようにすることで、個人として住宅により資産形成できる政策がブッシュ政権に置いて協力に推進された。頭金がなくても保険により住宅ローンを得て住宅購入ができるという所得の低い人にも住宅が購入できるサブプライムローンの拡大で住宅需要が拡大した。その需要拡大で住宅価格が高騰を始め、住宅純資産(エクイテイ)増を担保に住宅ローンが拡大することを容認したFRBの判断も加わり,サブプライムローン事故の原因が形成された。
このような米国の不健全な住宅棟期時代を除き、米国の健全な住宅産業当時のように、もし、日本の住宅産業が成長できれば、1000兆円の住宅資産は毎年6-7%づつ上昇するとすれば、毎年60―70兆円の資産が増殖することになる。その額は、日本の年間の国家の税収額の1.5倍に相当額である。住宅政策はそれほど大きな影響のある政策である。

(5)米国の住宅産業に学ぶべきこと
米国で住宅資産額が上昇する理由は、住宅地経営管理システムが合理的に機能していることと、それと一体化した住宅資産鑑定評価と住宅金融システムが適正に機能してきたためである。米国は自由主義経済を基盤として、市場原理を生かすことで産業を活性化してきた。自由市場では市場ルールを持たなければ無政府状態になり、住宅資産は護られない。
それに対し、日本の住宅政策は、1960年代の住宅生産近代化政策以降現在まで、基本的に行政(官僚)が支配可能な住宅産業と護送船団方式を実施して、市場経済をゆがめて、「差別化とて離れのよい」詐欺的事業で住宅を売り抜けてきたことにある。日本の住宅産業が体質改善をするためには、消費者の利益を中心に置いて、住宅金融制度と住宅保険制度を活用して住宅資産を住宅地経営管理により護る体質改善することをおいてない。

7、拙速的であっても、実施すべき緊急を要する自民党政権の政策
(1)住宅産業を窒息させ、役人OBの利益のための法律制度の廃止

住宅建設計画法時代には、公営住宅、公団住宅、公庫住宅の3本柱で官僚が護送船団方式の需要を創出し、財政及び金融制度を使って天下り体制を作ってきた。しかし、日本は政府施策住宅の下支えを財政的に維持できなくなったことから、今度は、政府主導の住宅供給事業から、規制緩和による民間企業の利潤追求事業を、基本的に、建築基準法、住宅品質確保法、住宅瑕疵担保保障保険履行法等の規制を軸にした政策に移行してきた。
そのため、「国民の安全」という大義名分を付けて、行政OBによる安全管理が必要であるという身勝手な理屈を作って、不要な国民負担が過剰になる審査や行政事務が要求されることで、住宅産業界に大きな負担となっている。これらの官僚の生活を守るためにも受けられた審査、評価等の行政事務はすべて廃止し、自由市場化の自重競争の元で、住宅産業時自体で責任を欧米国のシステムに倣うことが必要である。

(2)民主党がまず取り組むべき住宅政策
経済不況がこれほどひどくなった原因の一つが自民党・公明党連立政権下の住宅政策の失政にあったことは明らかである。中でも、違反建築を容認して不正利益を供与することで、役人OBを雇用する民間確認検査機関の利益の拡大を幇助してきた建築行政が、自ら教唆して違反をやらせてきた建築活動の責任を、「耐震偽装事件」とあたかも悪質で発見することの出来ない巧妙な偽装工作によった事件にでっち上げて、御用学者を取り込んで、行政権限を強化して、役人OB雇用機会を拡大する途に摩り替えてしまったのが建築基準法の改正である。このような役人にとって責任追及されるべきところを、役人の利益拡大の途に転換させ、そのしわ寄せを日本経済の失速や住宅産業界の不況に導いた制度を廃止するために、以下に列挙する取り組みをすることは、住民の支持を受けた民主党政権が取り組むべき政策課題である。

イ.建築基準法改正を元に戻せ
耐震偽装事件を利用して建築基準法を強化したが、あの改正では再発防止はできない。耐震偽装事件の本質は、建築行政でなすべき確認制度に財団法人日本建築センターを筆頭に、指定確認検査機関で「行政による違反幇助」が常習化した中の一部が、スケープゴートとして取り上げられたもので、確認制度の責任追及をしないで、また、官僚主導の護送船団方式の中で、「業者への不正幇助」の小道具として建築基準法が改正されただけである。

建築基準法でなされた構造関係の改正は、建築主事又は指定確認検査機関自体で技術的に対応する能力を超えた分野であり、形式的に行政の審査をすれば、それで安全確保ができるといった架空の想定に立つもので、実効性が担保できない。この種の審査は欧米では専門の職能としての技術者の内在的制約に依存し、職能資格を有する者の排他的独占業務としての保護と営業責任として取り扱っている例に倣うべきである。

日本の対応は、天下り人事を受け入れている民間主事である指定確認検査機関の利益を中心に考えたもので、明らかに護送船団構造を利用した不正利益分配の構造を強化するものである。

ロ.小泉政権のなした規制緩和の法律改正をすべて廃止する
小泉内閣のなした不良債権を良債権化するために建築基準法及び都市計画法の「都市再生」を口実にした規制緩和は、都市計画法と建築基準法の姉妹法の関係を無視して、それぞれを無関係の法律として改正をしたもので、既存の都市計画決定を住民の意向を無視して蹂躙し、都市空間利用に重大な混乱と摩擦を引き起こしている。

一部の不良債権となった不動産を、規制緩和をすることで救済する規制緩和は、都市の既存秩序や景観に大きな傷を与え、住民の間に都市空間利用をめぐって激しい対立と、絶望を与えてきている。「わが街」という帰属意識のもてる熟成した市街地の形成を蹂躙する規制緩和は、既存の都市計画法及び建築基準法に矛盾し法律論理に違反したものである。
目下この規制間をめぐって開発審査会、建築審査会及び行政事件訴訟法による紛争は急増している。このような法治国において法秩序を混乱させて、国民をばらばらにして小泉改革としてなされた都市計画法及び建築基準法関係の規制緩和は、可及的速やかに廃止し、従前の法律に戻す。その間緩和規制を受けて建築又は開発されたものの既得権は保護すればよい。

ハ.住宅品質確保法を廃止しろ
住宅品質確保法による住宅性能表示制度は、住宅の実体性能を表誦しているものでなく、住宅の実体性能を計測するシステムもない者で、「不当景品表示に抵触する詐欺行為の小道具」と言ってよい。この制度は工業生産住宅業者が国民を騙して、その住宅を優れた住宅と思い込ませやすくした「お墨付き」住宅を、効果で販売するための「詐欺商法」手段でしかなく、即刻廃止するべきである。

この制度では、桂離宮はもとより、日本の伝統建築ではその性能を、性能表示制度の性能として評価もされず、政府及び同制度を推進する学識経験者に言わせると「価値のない住宅」ということになる。住宅の品質と住宅の経済的価値とは、必ずしも対応する関係にはない。しかし、高性能住宅に政府は、市場の需要と供給の関係を無視して、先験的に高い価値を持った住宅であるとして、高い融資をするように指導してきた。

住宅品質確保法に関連した瑕疵保証保険履行法は、その保険料負担方法に実体は、瑕疵保証を受けるべき者に瑕疵保証保険金を支払わせるという理屈は、民法上の瑕疵保証の定義に反する。保険金の支払いを住宅所有者にさせるならば、それは損害保険と同一のものであり、民法上の瑕疵保証に違反する不適正なものであり、廃止されるべきである。瑕疵保証保険制度は、法律上の正当性がないから廃止されなければならない。

二.「羹に懲りて膾を吹く」住宅行政
現行の建築基準法「機械換気設備のない住宅の居室は、建築基準法違反状態にある。」
CO2削減が民主党の重大な政策になっているとき、気候の穏やかな日本で自然環境を住宅に取り入れるべきであるにも拘らず、VOC(有機的揮発性物質)の陰に隠れて、一部の業者、業界の利益に迎合して、日本中の住宅の全ての居室にCO2を増大させる機械換気設備を義務付けることがやられている。機械換気設備を設置するための費用負担は重く、実際設置されても運転するランニングコストを節約するため機械は停止状態であるものが多い。
現行の建築基準法の基準の多くは、社会的に見て全く不合理なものが多く、見境なく行政担当者が、一部の業界と繋がったが御用学者と癒着して採り入れられ、国民負担が過剰になっている。その理由は、行政担当者や、行政機関の責任者が自己責任を全て法令の不備ということにし、CO2削減が民主党の重大な政策になっているとき、気候の穏やかな日本で、謙虚に自然環境を利用しようとせず、あらゆる事故の都度、事故の原因究明をおろそかにして、不合理な技術基準を一部の業界や業界の代理人的な御用学者の示唆に基づき、技術基準の整備という名の下に吟味のされていない技術基準を付け足してきたことにある。


8.住宅資産を建設廃棄物にする定期借地権制度を止めリースホールドを活用
(1)土地の資本化

FTA時代になり、今後土地需要は減少し、地価は下降傾向をたどることは必至である。土地を購入することは、購入者が資産を失うことになる。しかし、土地は利用される場合、その土地利用により利用者の支払い能力を反映した地代という利潤を生み出すことが出来る。住宅開発でも、基本的に土地はリースホールドとして、土地を資本化するようにし、土地のうえで適正な住宅地経営をすることで、住宅地を熟成し、所得の高い人に住み変わること日本では現在でも土地に絡んで金儲けを考える政治家が多すぎる。わが国では人口傾向と、で、高い地代負担ができるとともに住宅取引価格は上昇し、住宅の資産価値は上昇する。わが国の定期借地権事業は、地主の節税と住宅業者の住宅販売額を拡大することを目的とした事業で、生活者を考えた恒久的街づくりの事業ではない。50年で住宅を取り壊して建設廃棄物を生産する環境破壊事業である。

(2)住宅の資産形成を支える住宅地経営管理
住宅購入者は、土地取得費は負担しなくて、利用できる費用を住宅建築費に投入できるため、住宅購入者は、住宅のために投下した費用を住宅購入者の生活の質の向上に振り向けられる。リースホールド事業は、住宅地全体を一元的な土地管理法人の基で管理されることで、住宅地全体を有機的な一体の住宅都市空間として造り、計画通り経営する。
99年のリースホールドは、100年目には総ての財産は土地法人に帰属するが、その住宅はこれまでの住宅所有者が買い戻すこともあれば、賃貸住宅としけ経営されることもあれば、第3者に売却されることもあるが、基本的に住宅は取り壊さず使い続けることになる。CO2削減、資産を最も大切にする途でもある。

(3)公共事業一般に適用するべきリースホールド
このリースホールドシステムは、総ての道路、河川、公園などのほか学校、福祉医療施設を含む総ての公共公益施設事業に適用されるべきである。その際の時代は、基本的に国際波の利率の時代とするか、または長期国債を使って買収することにすれば、国債の価値を高めるだけではなく、定期借地(リースホールド)であれば、現在土地費として必要とする費用は、その100分の一で足りることになる。


終わりに
個々に提案した内容の裏付けの説明は、いつでも実施できる状態になっており、民主党内部及び政府内部に置いてこの問題提起をご検討くださるようお願いする。


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