戸谷の言いたい放題

[たぬきの森」の法律解釈と取り組みのアドバイス

掲載日2009 年 12 月 24 日

「たぬきの森」訴訟:建築基準法確認無効判決のQ&A

1.事件の顛末(経緯)
QI.住民は何を争ったのか。
A1.都心の「たぬきの森」を残せ、と言う環境保全を目的に争った。
しかし、残せる方法が分からなくて、跡地の開発の「マンション建築阻止運動」は、       そこで建築基準法違反探しの結果、建築基準法に基づく制限強化をする附加条例、    東京都建築条例第4条違反を発見し、この条例に引っ掛けて「確認無効」の訴え    をしたものである。東京都条例第4条のこの規定は、東京都である特殊条件(た    とえば大型消防車の進入)によって規制強化となっているもので、東京と以外で    は、原則適用外であるので、この確認無効訴訟は東京都以外では成立しない。

Q2.行政事件訴訟法でどのような判決がなされたか。
A2.東京高等裁判所は、住民の要求も認めて、東京都条例が建築基準法の附加条例として、東京都として都民の安全のために必要な条例として定めたものであるから、指定確認期間も、厳密に東京都条例を護るべきという判決を下した。その判決を不服として上告された最高裁判所は、東京高等裁判所の判決を支持して、却下の判決を下した。そこでは「たぬきの森」の環境保全は全く問題にしていないし、問題として扱えない争いとなっていた。
東京都条例では、旗竿敷地の旗竿部分は幅員8メー鳥以上も受けるべきことを定めていることに対し、特定行政庁が計画通りで安全であると認定したことには根拠がなく、それを根拠にした指定確認検査機関の確認は間違っている。

2.ジャーナリズムの評価と事後対応
Q3.最高裁判所で建築確認が無効とされた結果どのようになるのか。
A3.ジャーナリズムは、「違反建築物は取り壊されなければならない」と言う間違った法律理解のもとに、「取り壊しで発生した損失を開発業者が、特定行政庁に請求することになる」と言った発言を、「適切な対応策」と言わぬばかりに報道している。
Q4.ジャーナリズムの対応は法律的に正しい対応というるか。
A4.全く間違っている。その間違いは次のとおりである。
(1)    建築物自体は建築基準法上の違反はないので、それを壊すと言うことは経済的にも損失となるし、建築物自身の立場になったら、「違反をしていない俺(建築物部分)を壊さないでくれ。」と言うことになる。
最良の解決は、取り付け道路形態に旗竿部分の敷地の買い増しをする      ということになる。また、東京都条例の立法趣旨にあった同等の効力    のある改善をすることである。
(2)    開発業者は、東京都条例違反を知っていて、意図的に不正利益を得ようとして強行突破しようとしていた事件であり、指定確認検査機関もその違反を幇助したことは、いずれも東京都条例を知るべき立場にいて、積極的に違反を犯したことは明らかである。このように「手の汚れた者には、いかに違反を犯した者であっても,訴えを起こすことは出来ない」と言う「クリーンハンドの原則」があり、「違反を犯した業者は確認違反で不正利益供与をした指定確認検査機関又は特定行政庁を訴えることは出来ない。」
(3)    マンション業者、その設計者、施工者のいずれも違反マンションの生産に関係した犯罪を犯した者として、行政上の処分、及び、刑法上の罪の嫌疑をうけて告発され、検察庁から起訴され、刑事裁判をうけて刑事罰をかけられるべきである。
(4)    指定建築確認機関は、行政処分として、指定を取り消されるべきであるし、不正利益の幇助の嫌疑により刑事告発され、東京地検により起訴され、刑事罰を受けるのがどうりである。
Q5.A4のような回答どうりの対応がされる可能性があるのか
A5.殆ど期待できないその理由は、「耐震偽装事件の解決で、以下のような大きな誤りを犯してしまったからである。
(1)「耐震偽装事件」で、北側国土交通大臣は、建築基準法施工者である特定行政庁、建築主事及び指定確認検査機関が怠慢により違反建築物の建設を容認した(ダーテイ・ハンド)にも拘らず、恥も外聞もなく、建築基準法上の設計者でもない姉歯一級建築士とヒューザー社小嶋社長をスケープゴートにして告発した。本事件で以下のことを考えて欲しい。
イ。「耐震偽装マンション」が建築基準法違反であることナ判断が出来る遮那、指定確認検査機関、建築主事、特定行政庁であり、これらの者から法的手続きによって、マンション販売以前に小嶋に違反建築物であると言う判断はなされていない。
ロ.「耐震偽装マンション」が危険であることにより是正しなければならないという判断が出来る者は、特定行政庁だけである。しかし、小嶋に対して法律上危険であることを根拠にして是正に指示は、小嶋がマンション販売する前には出されていない。
ハ.検察庁が「小嶋が詐欺をしてマンション販売をした」と決め付けているが、小嶋は彼自身、販売したマンションが建築基準法違反であるとも危険であるとも思っていなかった。その上、法律上権限を持っている者から、マンションが建築基準法違反であることも、危険であることも何一つ法律上の手続きによって知らされていない。一体どうして「詐欺事件が構成できるのだろうかこの恥ずべき対応を改めないため、間違いを正すことは出来ない。
(参考)「耐震偽装事件」で小嶋は「危険なマンションであることを知っていて販売したから詐欺罪が成立すると言う理由で訴えられ、目下最高裁判所に上告されている。その検察の訴えはきわめてずさんな建築基準法の認識に立ったもので、法律上間違っていることを、本訴訟原告代理人弁護士ならに「専門家の鑑定意見書」として私が纏め最高裁判所に提出されたものは、NPO法人住宅生産生研究会ホームページ「法令」欄に前面刑されているのでご覧ください。
(2)「耐震偽装事件」で取り壊すほど危険ではなく、1戸当たり100万円―300万円程度の費用で十分構造補強ができるマンションを取り壊して、行政が権力を誇示したが、その実体はマンション所有者に不当な損失を強要しただけである。「耐震偽装事件」で行政がマンションを取り壊させたことで、住宅所有者及びマンション業者に与えた損失は、それを指導した建築行政が保証すべきであって、住宅所有者やマンション業者に負担させるべきではない。マンション業者は、耐震補強をする責任は瑕疵保証責任としてあっても、マンションを取り壊すべき義務はない。今回もこのような恥ずべき対応を繰り返すことは世論が認めない。
(3)「違反建築物は取り壊されなければならない」と言う法律上の規定はない。「違反状態を解消」すれば、それ以上のことを求めることは出来ない。その意味では、この「たぬきの森」事件は、「江戸の敵を長崎で討つ」とした「腹いせ」を晴らす裁判であって、正攻法ではない。
Q6.ジャーナリズムは、住民勝訴で喜んでいるような論調であるが、本当に住民に利益が齎されるか。
A6.住民は以下の理由により、最終的に失望させられることになる。
(1)    住民は「たぬきの森」訴訟、森林の回復という環境問題を争ったにも拘らず、環境を扱う都市計画法第29条の開発許可で争わなかったことにより、環境を問題にすることが出来なかった。これまで開発許可制度は完全に行政が骨抜きにし、不正開発を行政が一体となって幇助してきた結果、法律上面積500平方メートル以上の敷地は開発許可を受けなければならないにも拘らず、東京都は都市計画法違反の「開発許可の手引き」と言う「違反教唆の手引き」を作って「開発許可をすり抜けさす」脱法を東京都が護送船団方式で実施してきた。
(2)    建築基準法に基づく「東京都条例」それ自体環境問題を扱った規定ではなく、「たぬきの森」と言う住民の環境問題に対しての解答を与えることの出来る根拠条例ではない。この条例を使ったこの最高裁判所の判決で出来ることは、違反とされた部分の道路の拡幅であって、それをしなかったからマンションを取り壊せと言う命令は出せないし、出したら「耐震偽装事件」のときの恥の上塗りにしかならない。
(3)    ジャーナリズムが騒いでいることは「野次馬根性」丸出しの無責任な先導記事であって、法治国である日本が現行法の中で法律上何ができるか
を真面目に考えたものではない。マンションを取り壊すことはやったら法律上おかしいし、社会経済的にも妥当性がない。最高裁判所判決は、真面目に考えると東京都条例に適合するようにすると言うことで、道路部分の拡幅以外にない。
(4)「たぬきの森」を再現するためには、マンションの取り壊しをして、明治神宮のような森を作るためには、80年程度を展望して森の再生をすることになる。そのためには、都市計画法による開発許可をすり抜けて確認申請を行い確認済み証の交付がなされたことの違反で争い、あらためて開発許可の申請のないこと自体の違反から、基準第33条第1項第2号の都市環境を根拠にして、開発許可の申請前の段階に戻すためにはマンションの除却を求めることになる。
Q7.住民の求めている「たぬきの森」を今の建築基準法により確認無効訴訟の中では出来ないのか
A7.できる。それは建築基準法第6条「確認」に関し、確認申請が建築基準関係規定に適合していないことを真正面から争うことである。建築基準関係規定を詳細に定義した建築基準法施行令第9条第12号に規定されている都市計画法第29条第1項に定める都市計画法による開発許可にかかる開発行為の完了公告がなくて確認申請を受け付け、その都市計画法上の開発許可を受けるべき開発にその手続きを違法に潜り抜け、不正利益を手にするため、違法に確認申請を行い、違法に確認処分をおこなったということを争うことになる。
いずれにしろ、都市空間の環境問題は、都市計画法の行政領域の問題であって、「たぬきの森」を都市環境の問題として争う場合いには、都市計画法という土俵をはずすことは出来ない。
Q8.最高裁判所の判決の後の取り組みとしては何をすえばよいか
A8.原告の皆さんがもう一度、自分達が争っている問題は何かを舞台的に明らかにす    ることが必要である。「たぬきの森」という新宿区内の森の歴史文化を守ると    いうことであるならば、森林は伐採されても、もう一度作ることも可能である    ことから、名神宮の令に倣って、80年程度の将来に向けての取り組みをする    というこだわりを持って、闘うということもある。単に訴訟で活かまけるかの    問題ではなく、訴訟は、本来法治国であれば守られて当然の要求であるという    確信が持てるかである。

(参考)最高裁 平成21年12月17日判決

東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために同条1項所定の接道義務の違反があると主張することは,安全認定が取り消されていなくても,許される。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38272&hanreiKbn=01

原審
1 東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づき,建築計画につき安全上支障がない旨の安全認定処分がされた場合,同条例4条1項及び2項の定める,建築基準法42条1項の規定する接道要件よりも厳しい接道要件は適用されないことを前提として同法6条1項に基づく建築確認処分がされるところ,従前は,建築主事が,安全上支障がないかどうかの判断も建築確認処分の際に判断していたが,条例の改正により安全判断については外の行政庁が行政処分の形ですることになったため,安全判断に対して独立した争訟の機会が付与されることになったが,それは申請書の権利保護のため争訟の機会を増やす趣旨のものと捉えるのが相当であって,改正前と異なり建築確認の段階においてはもはや安全判断の違法を争うことをできなくするという趣旨までは含まれていないと解するのが相当であるから,安全認定処分の違法は,建築確認処分に承継される。
2 建築主事がした建築基準法6条1項に基づく建築確認処分につき,東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく,建築物が安全上支障がない旨の安全認定処分の違法は,建築確認処分に承継されると解した上,知事から授権を受けた都の特別区の区長が,前記建築安全条例に基づいて,安全認定処分は,合理的根拠なく路地状部分に幅員8メートルの通路がある場合と同程度に安全上の支障はないと判断した点で裁量権を逸脱濫用した違法な処分であるから,前記安全認定処分がされた場合に前記条例4条1項を適用しない旨規定した同条3項が適用されない結果,建築基準法42条1項の規定する接道要件よりも厳しい接道要件を規定した同条1項が適用されることになり,建築確認の対象となっている建築物は同項の接道要件をみたさないとして,前記建築確認処分が違法であるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=37888&hanreiKbn=04

執行停止決定
http://www.jsc-com.net/shimoochiai/news3/507.htm

住民運動サイト
http://www.jsc-com.net/shimoochiai/top.htm


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