メールマガジン

メールマガジン第332号(1月4日)

掲載日2010 年 1 月 4 日

メールマガジン第332号(1月4日)
あけましておめでとうございます。
今年のはじめに当たって、私が皆様に対して申し上げたいことは、実は、自分自身に対して気を引き締めようとしていることでもあります。
昨年末、自宅で、NAHBの発行し、HICPMビルダーズマガジンに連載紹介してきた「コミュニテイ造りの理論と技法」(BUILDING COMMUNITY)の最終章を訳していて、「住宅購入者本位の考え方」を再認識させられました。「国民が何を求めているのか」、「国民が求めている優れた住宅が、なぜ、国民の家計支出の中で手に入らないのか」、という素朴な疑問に立ち返ることが必要だと言うことです。
国民のニーズに応えるためには、「必要な技術を習得し、それを消費者の支払い能力の範囲で供給する」ことが出来れば、必ず、ビジネスは生まれることになるということです。
NAHBの技術は、消費者の求めに、「ホームビルダーが応えるために取り組まなければならに技術を学ぶこと」と、「学んだ知識を実践すること」が、ホームビルダーの喜び(経済的利益、評判の向上、実力の養成)となって帰ってくることを教えてくれています。

住宅産業が取り組むべき2つの課題
今の経済環境の厳しさは、住宅生産生研究会に対する経済基盤を揺るがして、一時は、実質的に研究会を休眠状態とすることも考えたこともありました。しかし、私自体が、まだ元気に活動できる状態にあり、これまでやってきたこと自体が、まだ会員の多くの工務店が実践するところになっていません。そこで、その基本的知識や技術を、私たちに代わって教育するところが国内に育っていないことから、最低、次の2点に絞っては希望者がある限りは、一人の参加者でもやっていこうと考えました。
いずれも、今後わが国の消費者の所得の減少に対応して、「住宅価格の引き下げはやむをえない」と言う前提のうえで、工務店の利益と建設労働者の賃金は現状維持の状態を確保するということを実現する取り組みが必要になっています。
第1は、住宅建設業経営の改善技術としての生産性の革新です。
第2は、住宅の資産形成を支援する専門業者の参画する住宅地経営管理技術の確立です。

40年前の住宅生産生工場のこだわり
国民の所得が、FTA時代に入って、先行き急激に低下することが見込まれています。国民の家計支出の範囲で健康で文化的な住宅を供給するためには、年収の3倍以下で、優れた品質の住宅を供給することが出来なくてはなりません。
そのためには、住宅を建設する工務店の利益や住宅建設に携わる建設労働者が、安心して生活できる所得が得られなくてはなりません。
1970年はじめに、私が2×4工法をわが国に導入するために、本場の米国やカナダの技術を理解していないまま、「枠組み壁工法の技術基準」を纏めました。それは、それまでに日本の住宅会社が建設大臣の例外許可(特認)で実施してきた内容の最小公倍数を基準としてまとめて、建築基準法の大臣告示として交付しましたものです。
それを急いだ理由は、カナダ政府の招待で約1ヶ月カナダを回り、ホームビルダーや建設労働者の状態を聞き、高い生産性が、カナダのホームビルダーや大工の地位を高くし、それが国民の住宅を安価に供給できていることを知ったからです。そこで、出来るだけ早くわが国でもそれを実現したいと考えたからでした。

第1、建設業経営管理技術(CM:コンストラクションマネジメント)の教育
この視点は、日本が米国に比べて、建設現場生産性は、40%、つまり、米国の2.5分の一です。このことは、同じ価格で、粗利が同じ住宅を建設しても、同一期間内の建設業者や現場の建設労働者の手にする粗利総額や賃金総額が、日本は、米国の2.5分の一にしかならないということです。
住宅生産生研究会が、会の発足のときに「生産性」と言う名称を会の名前に付けた原点に立ち返って、今年は通年で毎月、住宅生産性研究会による工務店経営者のための建設業経営管理セミナーを、全米ホームビルダー協会のテキストを基本にしたCM教育を、毎月第3木曜日の午後13:30-17:00に開催します。
セミナーは、毎回その時の時代の話題や関心を採り入れて、「米国のNAHBのホームビルダー教育で学ぶ内容」を、「日本の状況に置き換えたセミナー」として実施します。参加者は、1名以上何人でも実施することにしました。
参加費用は、テキストを含み、一般:6,000円、HICPM会員:3,000円です。
ただし、準備の関係もあり、少人数であったり、特定の企業だけのときには、事実上、コンサルタント的に個別以上に対応して指導することをしたいと考えていますので、あらかじめ(原則1週間前までに)電話、FAX、メールで予約連絡してもらうことにしています。
予定一週間前までの希望者がないときには、私が別の予定をいれてしまうことがありますので、それ以降は開催の確認をしてください。

第2、住宅による資産形成を実現のための「三種の神器」
国民が住宅を所有して、長期預金以上の資産形成ができるためには住宅地経営管理が適格にされなくてはなりません。そのような欧米では当然のようにやられていることを日本でも今後「長期優良住宅地経営管理」として取り組むことになろうとしています。
HICPMでは2月以降毎月第1木曜日PM13:30-17:00住宅生産性研究会セミナールームで「住宅地経営管理セミナー」を開催することにしました。
テキストは、昨年国土交通省の依頼で取り纏めた「超長期住宅地経営管理マニュアル」を使います。資産価値の持続向上する「三種の神器」と名付けた内容です。
テキスト購入済みの方は参加費、一般:6000円、HICPM会員:3,000円とし、最初のテキストを購入される型は、テキスト購入すれば、参加費用は無償にします。
テキストは定価15,000円ですが、HICPM会員は10,000 円です。
セミナーを実施する問題意識は、次のようなものです。
住宅を保有することが、長期の定期預金や、国債を購入すると同程度以上に個人の資産を護ってくれることになるならば、誰でも住宅を持とうと考えます。
住宅を所有しても隣に高層マンションが建設されたり、やくざが住んだり、ごみ屋敷が生まれたりしたら、せっかくの住宅も「2足3文」(わらじ二速で、僅か3文にしかからない)になってしまいます。
わが国ではこのようなスクラップ・アンド・ビルド状態が40年近く続いてきましたから、住宅は使い捨てと言う感覚を持つようになって着ましたが、それでも、それを経済的に支えることの出来る所得の増大があったのです。
しかし、これからはそのような経済的余裕はありません。国民が購入した住宅の価値が、最低限物価変動と連動して、個人の生活にとっては、住宅を購入したときの実質経済価値を持続することが必要になります。そのような住宅の経営管理のしかたは、欧米の常識で、そのシステムが住宅地経営管理の「3種の神器」として住宅生産生研究会が纏めたものです。住宅地経営のための「三種の神器」は、これまでのわが国の住宅地開発とは以下の点で、基本的に違ったものです。

(1)    住宅は土地に建てられて土地と一体になる。
わが国のように土地と建築物をそれぞれ独立した不動産とみなして、別々に登記することには工業先進国だけではなく、世界中にありません。社会科学的に合理性のないことを社旗制度として実施していることが、わが国の住宅不動産を貧しくしているのです。人びとは住宅を購入しているのですが、土地を利用する権利なしには、住宅を立てることはできません。土地を利用するためには、土地の所有権を持たなくても借地権(リースホールド)でも、全く同じように土地を利用できます。
住宅を購入するとき、購買者の経済力が不足していれば、所有権まで買わなくても、借地権(リースホールド)だけでもよいのです。土地の所有者にしても、土地から生み出す利益は、借地料でしかなりません。土地を売り払ってしまえば、その人はその土地の所有者ではありませんし、その土地の生み出す利益を手にすることは出来ません。
つまり、土地の売却で利益を期待する土地所有者は、土地ブローカーであって、土地資産保有者ではないのです。土地のうえで住宅経営をさせて、住宅経営による利益を期待する人が、土地所有者です。土地を売却することで利益を期待する人は、株式売買で利益を期待する投機(ばくち打ち)と基本的に同じで、株主とは、配当と言う会社の利益の分配に与る株主のことを言います。

(2)    住宅地は一の土地管理者の下に経営管理される。
都市も住宅地も複数の土地利用が組み合わさって出来ています。その個別の土地利用を「モザイクの石」にたとえてみると、都市も住宅地も「モザイク画」になります。すばらしい「モザイク画」の「モザイクの石」を集めて適当に混ぜ合わせて、かつての素晴らしい「モザイク画」と同じパネル空間に「モザイクの石」散らしたとき、そこには、全くの混乱した「モザイクの石」のごみの集積にしかなりません。「モザイクの石」の価値は、すばらしいモザイク画の担い手になることで価値が生まれるもので、お互いが無政府状態に詰め込まれたモザイク板に何の価値もありません。
住宅地経営を世界で始めて明らかにした自称「都市の発明家」エベネッツアー・ハワードの「ガーデンシテイ」と言う本は、現代の都市経営にまで指導力を発揮した都市開発の原点を書いた本です。日本でも「ガーデンシテイ」は多くの人に読まれ敵増した。しかし、読まなくても言葉だけ一人歩きして使われています。ガーデンを「田園」と訳すのではなく、「庭園」と訳すべきといった不毛の「訓古の学」まがいのことが、ハワードの「ガーデンシテイ」の理論と全くかけ離れたところで議論がされています。

ハワードの取り上げたことは、英国ではそれまでランドロードが領地経営上の当然のこととしてやってきたため、ハワードは特段土地経営としてそれを特別のことと入っていません。しかし、重要なことは、彼が田園都市株式会社と言う都市所有会社を設立し、その都市を熟成することで、より所得の高い人びとが移り住み、その住宅購入能力に見合って、住宅の取り引き価格が上昇するような都市経営システムを確立したことです。
つまり、住宅資産は高まり、住宅所有者は資産形成が出来、田園都市株式会社がより高い地代を手に入れることが出来るのです。その利益を田園都市株式会社から、その株主だけではなく、居住者にも分配することで、より豊かな生活の実現を計画としたのです。
ハワードの都市経営の基本は、その後の「持ち地、持ち家」を原則にする米国でも取り入れられ、それは現在では、「3種の神器」と言う形地纏められて使われているのです。

都市計画法と建築基準法の勉強会の開催
私の専門分野のうち都市・建築の歴史、法律、行政という分野があります。昨年までに20件近くの不服審査請求は行政事件訴訟を手がけてきまして、司法、行政、法曹界のすべてにおいて都市、建築関係法の理解が全く粗末であることを実感してきました、都市や建築の文化が分からなくて都市計画法や建築基準法を勝手に扱っているからです。
私自身そんなに知識や経験を特別に積んでるとも思っていません。しかし、アカデミックな学問知識と、長年の行政実務に加えて、ここ10年近い間に取り組んだ不服審査請求や行政事件訴訟の経験から、私程度の知識経験は、専門の司法、行政、法曹界に働く人には必要であると思います。また、国民一般にもできれば知っていて欲しい知識と思うようになったため、今年はその学習会を企画しようと考えています。関心のある方はお問い合わせください。希望にあわせて対応したいと思っています。学生や司法研修生、住民運動としてまちづくりに取り組んでおられる方を対象にしたいとおもっています。時間も希望に合わせて夕方や夜間を検討対象にしています。費用に関しても1回の参加費用として、1000円程度の事務所費用を考えています。

今年の最初のメールに当たっては、私の今年の取り組みの基本を書きました。これは、私は、自分の出来ること、私にしか出来ないこと、必要と思うことをする外ないと思っていますので、ここでやろうとしていることを活用しようと考えておられる方とは出来るだけ協力して、相乗効果が発揮できるようにしたいと思っています。
住宅生産性研究会でなくても、ニーズのあるところへは「必要経費を最小にする」と言う観点で出かけることも考えています。私は、わが国の景気は向こう5年はさらに悪化する危険が高く、その後20年近くは低迷し、かつての「ジャパン・イズ・アズ・NO1」と言われた時代の輝きは再現することはありえないと思います。
しかし、かつて、世界を経済的に支配したオランダ、ベルギー、イタリア、スペインなどいずれも国民は豊かな生活を楽しんでいます。国家の貧しい国が国民の豊かな国であるというようなことを言った経済学者もいます。国民が。主権者です、国民が豊かな生活の出来る国を造るために、住宅産業に課された期待は重大だと思います。


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