メールマガジン第337号
皆さんこんにちは、
今日は米国に出かけて「住宅バブル崩壊後の住宅産業」調査をし、そこで見聞し、資料を集めて調査した結果を、これからの日本の住宅産業の産業にするため、お知らせします。
米国の持ち家総数は、約1億戸あって、その殆ど総ては住宅バブルの間に、住宅の資産価値(エクイテイ)増による利益を手に入れようとして、住宅取引の対象になったり、その資産価値(エクイテイ)増の利益を投資目的のための新規の住宅取得をするといったモーゲージローンであったり、エクイテイローンを受けていて、住宅はローンの対象となっていました。住宅ローンを受けている住宅の約4分の一は、住宅バブル崩壊により、住宅価格は住宅ローン額以下になっています。しかも、金融機関はそれを差し押さえると、その債権は総て損失を顕在化かさせるために,怖くて差押さえが出来ない状況になっています。
この既存住宅価格自体が、不動産の実際の価値より低い評価を受けていますが、その低い程度に関しては、新設住宅の平均価格(約2、200万円)と既存住宅の平均取引価格(約1,700万円)の差(または,比、)と考えたらよいと思います。つまり、約25%程度既存住宅価格が新築住宅価格より低くなっているため、住宅市場は既存住宅価格が住宅市場を支配しているのです。なぜ、既存住宅価格が低い水準を維持しているかといえば、日本のように「中古住宅」という「使い古し」の意識で住宅価格が低くなるのではありません。住宅所有者が住宅ローンを支払えず、差押さえに脅かされ、差押さえ住宅価格を出来るだけ低く抑えようとする金融機関に評価額をたたかれているためです。
2008年のバブル最盛期に2002年価格の最高3倍近くの1億円住宅は、すぐに換金できる価格であるとすれば、最高価格の3分の1の3千万円から4千万円近くの価値と査定され,差し押さえられてきました。これは銀行の資金が不足したためで、差し押さえた物権が安定需給関係になったときには、5千万円程度の評価をされてもおかしくない住宅です。銀行指導の査定ではそれを高くて4千万円とすることで、頭金の20%の2千万円を住宅購入者が失って、金融機関は4千万円の損失を発生したことになります。しかし、実質は5千万円で売却できれば3千万円の損失です。低く査定して高く売れれば、銀行の損失は小さくなるためです。銀行はできるだけ低い査定で住宅を差押さえ、高い価格で販売しています。
住宅を差し押さえた金融機関は、住宅の現金化を急ぐため、結果的に住宅の販売価格は、需要と供給の関係を反映して、差押さえ物件が増大する間は、実際の安定時の住宅価格より低くしか販売できず、5千万円で売れる住宅も、4千万円と言う価格で販売するということになってしまいます。すると、結果的に住宅を差し押さえられた元の住宅所有者が2千万円の頭金を失って、8千万円のローン債務と一緒に4千万円の価格で販売された住宅を失うことになります。金融機関は8千万のローン債務を4千万円の住宅販売駅で相殺するため4千万円の損を被ることになります。このような住宅を差し押さえる結果の清算は、金融機関にとって大きな痛手になるため、差押さえをしないで、何とか住宅ローンを支払い続けるような方法が米国の政府や経済界、金融業界や住宅産業界全体で模索されることになります。
米国としても、差押さえを受けた人は、そのローン債務を実行できなかった信用のできない人物として、その信用歴に大きな傷が付きます。そのため、住宅差押さえを受けた人は、その後、5-7年間は、新たな住宅ローンを組むことができなくなります。それだけではなく、クレジットカードを発行されなくなります。そのためクレジット社会の米国では、信用歴に瑕を持った人は、その制裁として、厳しい生活を強いられることになります。この点が、米国社会では、約2千万人の住宅差押さえ対象者を、差し押さえてしまったら、それだけの人が、しばらくの間、住宅ローンが組めないため、米国の住宅需要者として存在しながら、少なくとも持ち家を取得できない人びととして、住宅市場の需要者なら消えるということを意味しています。オバマ大統領が、「住宅差押さえをするな」(キーピング・アメリカズ・イン・ゼア・ホームズ)と強く呼びかけているのはそのためです。
米国だけではなく世界の住宅価格は、住宅単体の効用が同じならば、新興住宅地の新築住宅を、熟成市街地の既存住宅を比較すれば、基本的にその価格は同じか、既存住宅のほうが高いのが一般的です。その理由は、既存住宅の立地しているところほど、都市の熟成が進んで、住宅は同じでも、より高い生活を享受できるからです。現在、全米で約2千万戸から3千万戸が潜在的差押さえ物件であるといわれております。それらのうち約7百万戸がこれまで差所押さえ、又は、実質上の差押さえ同様の扱いで住宅市場に供給されてきました。それらの大量な住宅が新築住宅より安い住宅価格で住宅市場に登場したわけですから、住宅市場は大きな影響を受けることになりました。
その結果、2008年9月に起こったバブル崩壊(リーマン・ショック)以来、住宅市場は、既存住宅の供給が急増して住宅市場を支配し、2009年9月まで、既存住宅供給が住宅需要を圧倒的に上回ったため、住宅価格は需給関係を反映して低く抑えられました。それが完全に新築住宅市場を圧迫し、新築住宅の供給は、それまでの3分の一程度にまで縮小しまいました。しかし、2009年9月を境に、既存住宅需要が住宅供給量を上回り、その状態が約半年続いていることから、市場の住宅価格は少し上昇傾向を辿ることになり増す。しかし、依然差押さえ対象住宅の戸数は、1千万戸以上にのぼり、オバマ政権は、消費者救済のために、「企業の再生」対策同様に、住宅ローン債務を法律を使って一定額棒引きする一種の「徳政令」を出す検討も始められています。
つまり、「徳政令」の考え方は、差押さえをすることで、住宅所有者も金融機関も得をする人はありません。社会全体が住宅需要を潜在化させて、経済を不活性するならば、個人の債務を一定額免除することで、住宅ローンの支払いを継続させたほうが、金融機関にとって、モーゲージの損失を顕在化させる負債から、モーゲージ元利支払いを続けることのできる優良債権に変えられます。そしてモーゲージローン債務を支払い続けられれば、モーゲージ自体が健全化し、住宅取引自体も流動化し、住宅を差押さえで損失を最小限にしようという金融機関の住宅価格圧縮の圧力が下がり、現在新築住宅価格に比較して25%程度安くさせられている既存住宅価格が回復すれば、既存住宅関係の住宅ローン債務自体が社会全体で25%回復するのです。
現在オバマ政権が社会に対して訴えていることは、まだ「徳政令を実施することを発表してはいませんが、同様のことを一般教書でも言及しています。つまり、米国が取り組むべき第1の最重要事項は雇用の確保であるとして、差し押さえ対象住宅所有者が住宅ローン債務を支払える基礎条件は、雇用を確保し、住宅ローンを支払い続ける経済力を持つこととしています。第2の重要事項は、住宅自体の資産価値を高めることです。直接的な意味は、住宅差押さえの恐怖と、その折衝に当たって、「金融機関が損失を少なくしようとして、住宅自体の評価を引き下げようとしている」ことが、住宅ローン債務と住宅価格の差を拡大している不健全さを指摘しているのです。
徳政令は、実は社会全体の住宅価格を市場原理にあった価格に回復させると考えているのです。現に新築住宅と既存住宅価格に25%もの価格差が生まれていることを早急に改善することは、米国経済全体の負債を減少するからです。住宅の市場価格が、仮に25%上昇すれば、モーゲージの信用事態が25%上昇するわけです。それが金融市場の安定に貢献することは明らかです。しかし、個別のケースで「徳政令」の適用は、内容にもよりますが、社会的バランス上多くの摩擦が予想され、公平の原則の実現ということでは実施上の難しさもあることが懸念されています。
倒産寸前の企業を救済すると同じ救済方法を、主権在民の民主国家であるならば、企業を救済する以上に国民で住宅ローンに困っている人の救済のためにやるべきです。以上の米国での検討の様子から見え隠れするとおり、「徳政令」は、実は米国社会全体の住宅資産価値を引き上げることに繫がり、金融機関の債権を資産価値上昇分だけ引き上げ、モーゲージ証券の信用拡大になるという8方利益の上がることになる解決方法であると考えます。
此処で明らかにしたことは、将来の日本でも必ず問題になることですが、そこで強調したいことは、米国はモーゲージというノンリコースローンであることです。それは、住宅を生産する段階から「住宅の資産価値が金融と不可分になっていること」です。米国を見て回っても、人びとは自らの住宅資産を護るために住宅価格が急落した住宅地でも住宅地経営管理はしっかりされていて、住宅以外の利用の禁止や、維持管理修繕はしっかり行なわれています。その中心的役割を住宅地経営管理協会という住宅所有者が1票の議決権を持つ住宅所有者の自治団体が、個人の専用敷地や床以外の共用資産の一元的所有者となって住宅地全体の資産管理をしている状況が、モーゲージローンの条件になっていることをしっかり見ることが出来ます。
戸谷英世
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