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メールマガジン第338号(2月15日)

掲載日2010 年 2 月 15 日

メールマガジン第338号
皆さんこんにちは
先週は二つのセミナーの講師をやってきました。一つはハイアス&カンパニー主催の第1回リライフクラブ全国大会「住宅・不動産経営フォーラム」と、もうひとつは、株式会社大建の「エフォート学院」での「エコハウス」講座です。私に依頼されたこれらの講演で共通している課題は、「消費者を不幸にしてきた日本の住宅産業を、消費者の生活の基本を守ることのできる住宅産業に変えていくことのできる産業に変えるための処方箋を欧米の例に倣って考えたことを説明する」ということでした。

住宅不動産経営フォーラムでは、特別講演という形で、ドイツ在住の村上敦さんと私とが、夫々ドイツと米国の調査研究してたきことを、他山の石としてお話しました。村上さんは、民主党の関係者にも情報を提供してこられ、実生活でドイツの環境問題の取り組みをされている方です。当日は前田武志議員秘書らもこられていました。前田さんは、私と建設省同期入省の土木技術者で、現職時代はあまり接点がなかった方です。雑誌のインタビュー記事で民主党の住宅政策を説明しているのを読み、支援しなければこれまでと同じことになるという不安を覚え、秘書には、彼が望むなら議員との面会を求めたところです。

「エフォート学院」は、再就職のために力をつけたいという人のための再教育学校です。半年間の缶詰教育で、「エコハウス」を現代社会が推進している重要テーマと考えて、IT技術を駆使するとともに、「環境問題を中心にした社会的ニーズに応えることの出来る技術力を要請する」カリキュラムに基づいて、授業が構成されています。私は欧米と日本との住宅産業における取り組みが、それぞれの国民にどのような豊かさや貧しさを与えてきたかという消費者視点での評価を行い、これからの住宅産業が、取り組むべき方向を多角的に受講者に理解させるという取り組みをしています。

2月は2日間の授業は、12時間ですが、来月からは4日間24時間と2倍の授業を「工夫しながら」作り上げています。今回も、事前の話では、参加者の年齢や経歴にばらつきがあり、授業を集中させて行なうのは困難であるから「15分ごとに区切って行なってほしい」という要請もありました。そこで、「参加型の授業」をと準備して臨んだのですが、受講者に「学びたいという意欲と、関心が強く、」出席者は1時間以上継続しても疲れ知らずの授業態度に感心しました。会社がお金を出してセミナーに参加しているのと違って、国の助成を受けてはいるが、自らのお金も出して、力をつけたいという真剣さが事業に緊張を齎していました。

その意味では、HICPMのセミナー以上に、参加者の真剣さが伝わってきて、私を一層夢中にさせてくれました。以前、職業能力開発大学校でも何度か授業を担当したことがありましたが、そのときの緩んだ雰囲気とは全く違っていました。自ら力をつけなければという気持ちが、これまでやられてきた国の政策への不信感と一体となって、国家から流されている知識、技術、情報を盲目的に信じるのではなく、自ら本当のことを知り、諸費者のニーズに応えられる知識や技術を学びたいというように変化していることを感じました。

特に私が英米の住宅政策と日本の住宅政策との違いを解りやすく説明し、それを経済理論により、その実現されていることの必然的な理由を説明することで、彼らが「なんとなくおかしい」と思っていた住宅政策の疑問が解明され多様でした。第1日間の授業の中で学んだ感想を読むと、驚くほど的確な理解がされていることがわかりました。
「国民が購入した住宅が、購入時に支払った金額相当の価値を維持することこそ、住宅が国民のためになることであり、住宅流通を容易にさせることである」といった「欧米の住宅の常識が日本の社会で実現すること」を参加者は望んでいることがよく分りました。

既存住宅を「値崩れしないで取引させること」が出来たら、既存住宅販売は活発になります。そのためには、「既存住宅価格が購入時の価格以上で取引されるよう、既存住宅の価値が維持向上される住宅地経営管理」がされることです。その欧米での仕組みは、「3種の神器」の実践されている住宅地経営です。ニューアーバニズムによるマスタープラン(基本計画)とアーキテクチュラルガイドライン(建築設計指針)によるハードな環境づくりであり、住宅地を住宅所有者全員が共生加入した団体(ホーム・オーナーズ・アソシエイション)による住宅地経営であり、デベロッパーと住宅地経営管理協会と住宅所有者の3者による住宅地経営管理基本契約(ルール)の締結です。

その前提には、住宅不動産が、「土地と建物を1体として取り扱われなければならない」ことや、住宅自体の価格が、「住宅の購入者の年収の3倍以下(住宅ローンは住宅の年収の2.5倍以下)といった価格で供給される」ことがなければなりません。住宅産業関係者が「売り抜けして、手離れさせる」といった「詐欺まがいの商売」を止めることが、どうしても必要になります。
「住宅産業関係者が消費者の目線で事業をする」と言う全く当然のことが、日本ではやられてきませんでした。「消費者視線で事業をする」といった原則に戻ることなしに、住宅産業が国民に指示されることはありません。

日曜日のTVでは、上村愛子さんがモーグルでがんばった様子を見て、感激しました。彼女は第4位で、メダルを手にすることはできませんでしたが、見ている人にとって感動を与え、多分滑っている上村選手にしても、非常にさわやかな感じで協議を終わったと思います。この競技を見ていた国民は、彼女の健闘をたたえたことと思います。メダルが入ってくるかどうかは結果です。その結果のメダルは、「努力の結果」付いてくるもので、仮に付いてこなくても、メダルが得られなかったが、最善を尽くしたという選手自身の「悔いを残さぬ取り組み」は、本人自身にとっても、見ている周りの人びとにも、共感をもてる充実した満足を与えたのではないでしょうか。

彼女にとっては、金メダルを取っても、それ以外のメダルを取っても、又は、メダルが取れなくても、彼女を見ていると、それを礎にして、充実した形で次の人生を築いていくに違いないという思いを受けました。彼女の競技を見ていた視聴者も、この競技を見てスポーツの醍醐味を楽しめたと思います。「勝ってくれたら」という気持ちも残りますが、競技の感動は、みなに大きな励ましを与えてくれました。そして、「メダルが取れなかったから」という悔しさが、モーグル競技の面白さや興味となって、視聴者の記憶に残り、自分自身を彼女に投影させて競技を考え、この競技を育ててくれることになると思います。

その昔、私自身、明治維新の志士のように、住宅問題に取り組み、国家を動かしたいと願い、国家権力機構の中枢で立身し、大きな仕事をしたいと考えていました。私と同期では、建設省次官や局長になった人もいます。彼らは、「官僚としての金メダル」として、それを手にする権力闘争をした人です。しかし、高級官僚が現役時代権力を振るって大きなお金を動かした官僚OBが楽の出来る退職後の環境を造ったこと褒美として官僚の頂点に立てたのです。しかし、その使ったお金は国民の税金です。官僚の業績が国民の利益にどのように繋がって入るのかという視点で見る必要があるのです。私が知る限り、住宅政策における官僚の業績は、全く評価できないだけではなく、国民を貧困にしてきました。彼らは官僚の地位を失った段階で、社会への影響力を失い、存在すら忘れられていきました。官僚は国民の公僕で、国民が豊かになることがその目的でなければなりません。「官僚の金メダルは、国民が豊かになるためにどれだけ力を発揮できたか」で評価されるべきです。

私の住宅産業との取り組みは、官僚の途を選んでから、住宅生産生研究会を運営している今も基本的に官僚時代と同じ気持ちで取り組み、変わることなく続いています。「私も金メダルが欲しい」と願い続けているのだということを上村選手の競技を見ながら感づかされました。今月最初の講演や教育で私がやってきたことも、「国民が住宅によって幸せになるために、それぞれの立場でそれぞれの力を生かして、相乗効果を発揮することがなければその目的は実現することはできない」という認識の下に、「住宅産業関係者のコンセンサス作り」という仕事をやっているのでという気がします。「国民のニーズにこたえるためには、関係者のコンセンサスが必要」で、国民のコンセンサスに則って取り組む仕事は、高い相乗効果を発揮して、大きなビジネスに育て上げることになると考えます。

これからの住宅生産生研究会の運営は、現代の経済社会環境を考えて、もう一度原点に戻って取り組むとともに、都市計画法及び建築基準法をめぐる行政事件訴訟も、国民の豊かな環境づくりの取り組みとして、これまで同様力を入れて取り組みます。皆様の共感と共同作業がなくては実現できない仕事だと思っていますのでよろしくご理解とご支援のほどをお願い致します。戸谷英世


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