開発許可及び建築確認をめぐって、最高裁判所は都市計画法及び建築基準法違反の判決を繰り返しおろしており、結果的に国民をとたんの苦しみにおいおとしている。
最高裁判所は「開発許可または建築確認は、夫々計画の許可及び確認事務により開発許可または建築確認は完了した独立の事務であるといっている。実際の開発許可に基づく開発行為とその完了公告又は建築確認による建築工事とその検査済み証の交付は、開発許可又は確認処分とは別の行政処分である」と言った理解のできない判決をおろし、開発許可制度における完了公告又は建築確認制度における検査済み証の交付は、夫々開発許可及び建築確認とはばっつの行政処分であると判決している。
以下の控訴審裁判における検討段階の準備書面は、実は、最高裁判所との訴訟である。開発許可又は建築確認の行政訴訟のご参考までに掲載する。
元裁判(裁判長裁判官 杉浦 則彦)
平成20年(行ウ)第634号 都市開発許可処分取り消し請求事件
原告
被告 世田谷区
控訴審に向けての控訴理由
はじめに
東京地方裁判所がなした平成20年(行ウ)第634号に関する判決及び判決理由を熟読した結果、この判決は基本的に原告の提訴に対し、以下のとおり、全く審理せず、裁判所としての説明責任を果していない判決であることが分かりました。原告が、法律違反の処分に対して、法律の条文を具体的に提示して提訴をしているにも拘らず、東京地方裁判所は、原告の訴え内容自体を無視して、審理せず、却下の判決を下しました。判決に対する法律上の理由を説明していないため、「却下」の判決理由が分りません。
この東京地方裁判所の判決には全く納得が出来ないため、控訴人は、ここに控訴をします。今回の控訴審においては、東京地方裁判所の判決の吟味をし、判決の理由となる行政法上の根拠を明らかにし、控訴人の主張に誤りがある場合いには、その誤りを証明する法律上の根拠条文と、その法論理を明示し、国民に司法としての説明責任を果たす判決を求めます。
控訴審に対して控訴人が求める判決
東京地方裁判所判決が原告の提訴に対応した審理をしていなかったことを認めて、その判決の差し戻しを命じるか、又は/及び、都市計画法上、開発許可権限のない世田谷区長のなした開発許可であることから、開発許可処分自体を無効とする判決を求めます。
本案前の審理事項
1. 東京都開発審査会長の被告への追加
都市計画法においては、開発許可制度と一体に開発審査会が創設されました。開発審査会は、開発許可行政上の最高の処分庁として創設されました。開発許可権者のなした処分又は不作為に対して関係権利者に不服がある場合いには、処分庁の上級処分庁として、開発審査会の処分を求めることができる制度が定められ、審査会の最終処分を受けないで司法に行政事件訴訟を提訴することは出来ないという法律構成が作られました。
先の本件の東京地方裁判所に対する提訴では、開発許可処分を下した世田谷区長を被告としておりますが、世田谷区長自体には、都市計画法上の開発許可を行う開発許可権者としての権限が付与されていません。つまり、世田谷区長自身には、本行政事件における被告適格自体がありません。
しかし、開発許可処分自体が効力を持って開発行為が実施されているうえ、処分をなした世田谷区長を、「合法的な処分権者である」と都開発審査会が追認したため、東京地方裁判所に対して行った行政事件訴訟では、世田谷区長を被告として訴えました。
世田谷区長を本事件の被告としたことが、東京地方裁判所への提訴内容が、「処分権者の法律上の権限の不在」を争った訴訟であることを表に出さなかったため、単なる「実体規定に抵触した開発計画」の争いであると誤解させたことになったかとも思われます。
「世田谷区長に都市計画法上の開発許可権限がないこと」は、東京都開発審査会に不服審査請求において、不服審査請求をしました。しかし、都開発審査会は、審査請求人となった本事件の原告が、法律根拠を示して「法律上権限のない世田谷区長のなした許可」を訴えたのに対して、東京都開発審査会は、一切の法律上の根拠も、理由も示さず、「現在、法律上の権限を有する者の権限の行使であるとしてやられているから、有効である」とし、世田谷区長を法律上の正当な開発許可権者であるとしました。そこで、本事件の訴訟では、開発許可処分の効力を付与している事実に着目して、世田谷区長を被告としました。
本控訴人は、「開発許可の基準」(都市計画法第33条)を蹂躙して開発許可をした世田谷区長の「開発許可権者としての法律上の権限のない」無権限者の許可を前面に出すのではなく、処分内容自体が「開発許可の基準」に適合していないことを具体的に証明して、実体規定に違反している事実を明らかにて、開発許可処分の取り消しを要求することにしました。それが被告として、世田谷区長という実際の処分権者を相手に訴えた理由です。
控訴人が一貫して要求していることは、法治国での開発は、行政法に抵触しないように、行政法規に違反した処分が是正されることです。世田谷区民にとって、開発許可の基準に違反した開発が行われることは、都市計画決定さられた都市空間の利用のコンセンサスとしての公共の利益が侵害されることによる不利益を受けることから、違反は是正されなければなりません。
本事件の場合、都市計画制度を蹂躙した処分を容認した都開発審査会自体が、開発許可処分の行政上の最高責任者であることから、被控訴人として当然訴えられなければなりません。そして、開発審査会は、司法の場で本件行政処分の法律上の根拠を明らかにしなければなりません。三権分立の立場から、開発行政の最高の権限を行使した開発審査会会長は、法律の施行者である被告として、司法の裁きを受けるべきであります。そこで、今回、本事件の審査請求の裁決をした都開発審査会を総理した審査会長木宮 進を被控訴人に加えることにしました。
2. 控訴人の追加
今回、控訴人に参加した別紙に記載した控訴人は、いずれも行政事件訴訟法第9条に言う原告適格を有する人たちです。これらの人たちは、都開発審査会に対する行政不服審査請求人にも、本行政事件訴訟の原告にも加わっていません。しかし、これらの控訴人は、開発審査会の裁決及び東京地方裁判所の判決を検討して、いずれも都市計画法に違反した裁決及び判決であると判断できたため、これまでのように傍観することが出来ず、自らが控訴審の控訴人として参加することになりました。
控訴審になって訴訟に参加することに関し、「審査請求や行政事件訴訟に参加していないから控訴人になれない」と言う扱いがされた前例があります。しかし、行政法が公益の違反を扱い、私益を問題にする裁判ではないいため、公益を侵害された「原告適格のある者」が控訴人として、控訴審に加わることを排除する法律論理上の根拠はありません。
3. 弁護士を代理人に立てていない理由
本事件は、東京地方裁判所の提訴時点で、原告代理人弁護士が、一部の原告の意見を代理し、原告である本事件控訴人の依頼を無視し、弁護士としての業務をしませんでした。そのため、原告の求めている訴訟が出来ず、やむを得ず原告が「補足意見」と言う形で、自らの陳述をしなければなりませんでした。東京地方裁判所の判決を読む限り、判事は原告代理人弁護士の主張のみを審理の対象にし、本件控訴人である原告の主張に対しては、頭ごなしに、「審査に値しない意見である」かのように扱っています。判事は、原告の法律上の根拠を明確に示した主張に対し、法律上の根拠を示さず切り捨てたことは、主権者である国民の裁判を受ける権利を蹂躙したもので、受け入れることは出来ません。
原告と原告代理人弁護士の意見が相違する場合の裁判上の扱いとして、原告代理人弁護士の解任の必要性について東京地方裁判所に意見を求めたところ、「解任しなくても、相違した意見は、独立した意見として扱う」との意見を得た上での対応でした。しかし、判決及び判決の理由は、判決に対する法律上の説明責任を全く果たしたものになっていません。このような経緯があり、控訴審では、これまでの訴訟の3人の代理人弁護士は、代理人としての役割を果たすことを期待できず、また、それに代わる弁護士を見つけることも出来ませんでした。控訴期限もあり、目下、適当な弁護士を探していますが、見つかるまでの間、控訴人本人で控訴審を争うことになります。
本案の審理事項
東京地方裁判所の判決で基本的に審理すべき原告の提訴内容からの遺漏事項
第1.原告の求めている提訴内容を審理しないでなした判決の無効
1. 処分権者「世田谷区長」に法的開発許可権限の不在
本事件では、都市計画法第29条に基づく開発許可が、第32条及び第33条に規定する開発許可の基準および基準に係る審査、即ち、関係公共施設の管理者の同意が、悉く蹂躙されていました。そこで、果たして、開発許可をなした世田谷区長に、都市計画法上の開発許可権者として正当な権限と能力があるかに疑問を持ちました。都市計画法を調べたところ、世田谷区長には開発許可権限がないことが確認されました。そこで、開発許可権者として法的権限のない世田谷区長のなした開発許可は、「法律上の権限のない者のなした処分」として無効である判断し、提訴しました。しかし、東京地方裁判所判決は、この提訴した問題を全く審理せず、訴えを却下しました。
都市計画法第29条では、開発許可処分ができる者は、開発許可権限執行能力の重大性を鑑みて都道府県知事に限定し、例外として、地方自治法で定める「指定都市等の長」に限り権限の行使を認めています。地方自治法では、都市計画法の枠組みの範囲で、市町村同様、特別区という公共団体に対しては、東京都知事のなす権限行使に伴う事務の一部を、これらの地方自治団体に担わせることが出来ることを規定しています。
それは、東京都知事の名前の下でなされる開発許可権限の行使に付随する事務の一部を、東京都知事の監督下で、市長村または特別区という地方公共団体に委託することができるとするものですが、東京都知事に付与された行政権限を、特別区長という行政庁の権限に移譲するものではありません。
よって、特別区長には、都市計画芳情の開発許可の権限はなく、世田谷区長の名前の下になされた開発許可は、権限のない者のなした処分であって、それにより国民を縛ることがあってはなりません。東京地方裁判所は、東京都による行政権乱用に迎合してか、又は、本審査の過失により、この原告の訴えの基本問題を東京地方裁判所は全く審理せず、無視した結果、判決は法律上の権利のない者のなした処分を、正当であると判決する結果になりました。
2. 建築確認制度と開発許可制度との関係
都市計画法が制定されたとき、その目玉となった制度が、市街化区域と市街化調整区域の線引きと、開発許可制度でした。いずれも都市化によるスプロール開発に対して、都市施設の整備が追いつかないことによる都市機能の混乱を防止することにありました。開発許可制度は、東京都の場合、面積500平方メートル以上の敷地で開発行為をする場合には、予定建築物の計画内容によって、既存の都市にしわ寄せが起きないように敷地環境を整備しなければ、建築確認をしてはならないとする2規程が設けられました。
都市計画法と建築基準法の関係は姉妹法の関係と呼ばれ、一体不可分の関係にあります。それが都市計画法第37条の建築制限の規定と、建築基準法第6条の確認規定に関係する都市計画法第29条の開発許可の規定です。
イ.都市計画法第37条は、開発許可により認められた開発計画が、許可どおりの開発行為として完成し、完了公告(第36条)がなされるまでは、予定建築物を含む一切の建築行為は認めないと言う規定です。
ロ.建築基準法第6条は、建築物の確認申請は、建築基準関係規定と照合確認することと規定し、建築基準関係規定を、同法施行令第9条第12号で、都市計画法第29条第1項と規定し、「開発許可による開発行為が完了していること」を審査するように定めています。
開発許可には、開発計画が、「開発許可の基準」(都市計画法第33条)に適合していることを審査し、適合しているときは、開発行為を着工してよいとする許可(狭義の「開発許可」)と、その開発行為が、「開発許可のとおり」完成されたことを検査し、合格して完了公告し、予定建築物を着工してよいとする許可(広義の「開発許可」)との2段階があります。そのいずれもが開発許可で、単独では存在できない行政処分で、その総てが完了したとき、開発許可(都市計画法第29条)が完了することになります。
都市計画法との関係で、確認条件を定めた「建築基準関係規定」を定義した建築基準法施行令第9条第12号で言う「都市計画法第29条第1項」という規定は、開発許可を扱った都市計画法第3章第1節の最初の条文で、開発許可による開発行為が許可どおり完成した状態の確認をすることを求めたものです。つまり、都市計画法第29条から第36条までに関連する第1節全体を代表する規定です。
このような規定の仕方は、都市計画法及び建築基準法という姉妹法に共通する規定の仕方です。建築基準法第4条に規定する確認の規定も同様な書き方で、第4条で「第6条第1項に規定する確認の事務」は、第6条から第7条の6までの「建築計画の建築基準関係規定との確認から、工事の建築基準関係規定との検査確認まで」を指します。このような法文の書き方は、内閣法制局の審査を経て国会で議決され、立法された同法で使われている一般的な規定の仕方で、控訴人が勝手な法律解釈を持ち込んだものではありません。
さて、本事件では、開発計画に対する開発許可が下りてから、予定建築物が確認されて、建築工事が始められています。開発許可による開発工事が完了しない段階で、予定建築物に対して、確認済み証が交付されることは建築基準法あり得ないことです。さらに、敷地が開発許可どおりでない状態で、それが開発許可どおりできているという虚構を前提に確認済み証が交付されて、建築されると言うことは、建築基準法第6条及び都市計画法第37条に抵触することで、法律上やってはならないことです。このように2重にも3重にも法律上禁止されていることが、世田谷区長と東京都開発審査会の手で、白昼公然とやられているのです。
しかし、そのことを訴えた東京地方裁判所の判決では、このような法律を蹂躙したやり方を原告である本訴訟控訴人が問題にしたことに関し、東京地方裁判所はどのような理由でそれを正当化できるか根拠条文も挙げず、正当であることの理由の説明もなく、原告の訴えを退けました。
3. 都市計画法上の開発審査について
開発許可制度は、開発許可権者が開発計画を、既存の都市環境に都市関係行政法上のしわ寄せを与えるものでないことを審査して、許可する制度です。そのために、あらかじめ、開発計画者は、関係公共施設の管理者と開発計画の内容について協議し、行政法上の審査を受けて、公共の利益を侵害することがない開発計画である開発計画であることを確かめて、関係公共施設の管理者(施行者)の同意書を取ることをします。
開発許可権者は都市計画法の施行者であっても、公共施設の施行者ではないため、開発計画において、その開発計画が関係する公共施設に対しては、それぞれ公共施設の管理計画に適合するよう計画されていることの審査を受けるべきことを都市計画法で定めております。そして、開発事業者は、開発許可申請書に当たっては、関連公共施設の管理者の同意書を添付して、開発許可申請をすることを定めています。関係公共施設の管理者の審査合格が都市計画法第32条の同意書となっています。
しかし、本事件では、その開発計画が公共施設管理者の公共施設の管理計画に適合すると言う審査は全く受けておらず、また、第32条の同意書と言って添付された一部の同意書も、開発計画内容に対する同意書ではなく、工事上の調整同意を求めたものにしかなっていません。
この開発許可の審査は、総て開発許可権者である世田谷区長の判断に帰属するといった世田谷区庁の間違った開発許可審査を基に開発許可がなされていたのです。原告代理人弁護士は、この件に関し、世田谷区長と全く同じ法律解釈で、関連公共施設の管理者でなくても、処分権者である世田谷区長の判断でよいとしています。
そのうえで、開発許可の基準(都市計画法第33条)に適合していることの判断を、関連公共施設の管理者の行政法を根拠にするのではなく、自然科学的被害想定を弁護士自身が行って、世田谷区長の判断に対抗しようといった準備をしていました。
弁護士のこのような取り組みは、行政事件訴訟法の取り組みではなく、民事事件的損害論といった場外乱闘の取り組みで、本訴訟とは無関係の取り組みと考えます。
しかも、世田谷区長は、雨水の氾濫を建築物の中に貯水槽を設けるという建築計画を根拠に、その貯水槽を設置することで洪水の氾濫の危険はないと判断したのですが、これは世田谷区長が開発許可権者であったとした場合の権限ではなく、河川行政のなすべき権限です。
ましてや、建築基準法には雨水管理を監督する権限はなく、この貯水槽が倉庫等の建築物の床として利用することの制限をすることは、特定行政庁の権限としてありません。同様に、河川管理の建前からも、河川管理施設でないものの管理を、建築基準法を使って、河川施設の利用のために、貯水槽以外の利用以外への制限をすることは出来ません。つまり、開発事業者は、河川行政と無関係に、恣意的に建築物の床に、「貯水槽の名前」を付けただけで、その床面積を建築物の延べ面積計算から除外することは出来ません。
しかも、この「雨水貯水槽」計画は、貯水槽の床面積を延べ面積から除外し、またこの建築物の建築のため、開発許可による工事の完了前に、雨水貯留水槽部分の建築工事を認めることには、建築工事上の必要性から、正当性があるといっています。このような雨水貯水槽は、河川施設という工作物として、建築物と連続する工作物として、建築物の地下部分に建築することは可能であり、何も建築物お一部に採り入れて、都市計画法第37条に違反した工事として始めなければならないわけではありません。
東京地方裁判所は、世田谷区長による都市計画法も、河川法も、建築基準法も蹂躙した開発業者の言いなりの開発計画を、世田谷区長は開発許可権の基に容認し、すべて関係法の違反に蓋をするものとなっています。このように行政法に抵触したとする争いに対して、東京地方裁判所はその法律違反を、原告の指摘を無視して、行政処分に迎合してか、又は、行政法の仕組みが、理解ができないか、もしくは、過失により、審理していません。つまり、判決理由が全く明らかにされていません。
4. 都市計画に関する基本的な方針を蹂躙
世田谷区は都市計画法第18条の2を根拠に、本件開発区域を含む地域を中高層住宅地域として整備する都市計画に関する基本的な方針(以下「方針」という)を世田谷区議会で決定しています。この決定は地方公共団体における住民の合意として決められたものですから、都市計画決定をする場合にも、方針は、地域地区の都市計画を拘束する公共性の高い決定です。都市計画として定められた内容は、都市計画決定段階で一度の出来るものではなく、その計画決定を都市計画区域内の人びとが、地域地区の決定にしたがって建築物を建築することで実現するものです。
しかし、小泉内閣時代に都市計画法と建築基準法の姉妹法関係を無視した規制緩和が行われ、姉妹法の関係を蹂躙する規制緩和が行われました。本事件の開発に関しても、都市計画法第18条の2が存在するにも拘らず、新たにこの地域の高層高密度開発を容認する土地利用計画が決定され、この開発計画も、その緩和基準によって計画されています。
しかし、一般的に2以上の規制が課せられた場合には、課せられている規制のうち、より厳しい規制に従うと言う方法が、行政上の暗黙裡の規制の適用方法です。世田谷区民は、この地域が中高層住宅地と言う「方針」(都市計画法第18条の2)に基づいて作られた世田谷区議会の議決が存在する限り、その基本的な方針は護られなければならないと考えています。行政法適用上「より厳なる規定に従う」という行政規定の暗黙裡の了解を排除して、東京地方裁判所が、それとは別の判断を示す場合には、一体どのような考えで矛盾する規定の適用をするべきかについて、説明をすべきです。しかし、東京地方裁判所は、この件に関し、全く審理をせず、判決理由にも、判決として「却下」とした理由はまったく記載されていません。
第2.公共の利益を蹂躙した危険な都市環境の形成
1.ゲイテイッド・コミュニテイ事業
本開発事業は、以前、日本住宅公団が開発した都市計画決定をしない「一団地の住宅施設」を取り壊して、ゲイテイッド・コミュニテイを、新たに建築基準法第86条による「一団地とみなすことのできる開発」として実施したものです。それまであった日本住宅公団による「一団地の住宅施設」は、この住宅団地が旧甲州街道と甲州街道を繋ぐ市区を含んでいたため、この住宅地の中央に、建築基準法第42条第1項第5号による幅員6メートルの位置指定道路を築造し、この地域の南北連絡道路としての機能を果たしてきました。今回の開発で、開発事業者は、道路を含んだ一団地の住宅施設を都市再生機構から購入し、法律の手続きを経ないで、地域に道路利用者の意見を聞かず、一方的に道路を廃止し、そこに既成市街地とは閉鎖したゲイテイッド・コミュニテイを一団地の敷地内の開発として築造しました。
その結果、この地域にある東西間距離に150-200メートル間隔で存在していた団地内に存在していた南北連絡道路が失われ、火災消防、救急救命、犯罪パトロールその他緊急時の車両が、それらの緊急時に大きく迂回せざるを得なくなっています。
また、このゲイテイッド・コミュニテイから出入りする車両に対して、旧甲州街道及び甲州街道には、発生交通量の急増を考慮した退避車線もなく、直接自動車交通が結びつくことになるため、団地の外側車線からの交通流出入時には、内側車線の交通は停止を余儀なくされ、現在でも交通渋滞路線は、ますます渋滞することになります。
これは地域の交通安全の阻害、道路環境の悪化、事業活動に対する障害、その他さまざまな市域へのしわ寄せが危惧されるもので、いずれも都市計画法第33条に定めてある開発許可の条件に違反するものです。このように地域として、この開発が市域環境に大きな迷惑をかけることが明らかな開発、つまり、都市計画法の実体規定に違反する事業を許可し、司法が容認することはあってはならなりません。
2.暴風時の河川氾濫の危険
この地域は以前より河川の氾濫地域で、日本住宅公団は、土地をやすく購入できると言うことで購入したと言われています。しかし、住宅公団による共同住宅は1階の床高が高く、氾濫時にも被害が少ないということで、地形をそのまま利用して、住宅団地として開発され、洪水時に雨水が湛水することがありました。しかし、今回の開発では、開発地の盛り土を行い、かつ建築物の位階の高さを高くすることによって、以前までこの土地が果たしていた雨水調節機能が失われ、周辺の住宅地に洪水被害が転嫁されることになりました。開発許可は、このような「内部矛盾を外部化する」やり方、つまり、問題を外部への転嫁することを許さないと言う趣旨で作られた制度です。
このような洪水対策は河川管理の問題で、このような開発をする際には、流域内の洪水状況が変化する恐れのあるときは、河川行政上の河川管理者の指導を受け、都市計画法で定めるとおり、開発の矛盾を地域外に転嫁することがないように、雨水調節地、又は、雨水調節槽の設置をしなければならないことが法律上義務付けられています。
しかし、この開発事業者は、この開発計画に関し、周辺にしわを寄せることのない、開発計画を作成して、河川管理者の審査を受けると言う都市計画法第29条で定められている手続きを経ないで、世田谷区長が開発許可を与えてしまいました。そのため開発地周辺では洪水の危険の拡大におびえることになります。
第3.法律違反をした最高裁判決に迎合した判決
1.最高裁判所の法律違反の2判例
最高裁判所の2判例の「開発許可に関する論理」は、次に3段論法です。
(1)「開発許可とは、都市計画法第29条で規定する開発計画が開発許可の基準に適合しているから、開発計画通りに開発行為に掛かってもよいという許可であって、その事務は第36条の完了公告という別の行政処分を持って完了する。よって、開発許可の利益を争うことができる段階は、完了公告までの時点までで、それ以後は、開発許可についての訴えは出来ない」と言うものです。
(2)その結果、「開発許可の無効の訴えをしている者には、訴えの利益自体が消滅したわけであるから、訴訟自体を継続できないので、係争中の開発許可処分の争いは、売ってる利益自体が消滅しているから、却下せざるをえない」と言うものです。
(3)そのうえで、「仮に開発許可処分に違反が存在するとすれば、それは都市計画法違反一般に是正として、都知事が違反是正を命じればよく、開発許可の訴えが打ち切られても、関係者の利益を奪うものではない」と言うものです。
2.法律の規定
最高裁判所のこの論理は、以下の通り法律に違反しています。
(1)開発許可とは、予定建築物を建築するにあたって、その敷地環境として開発行為を行って、開発許可の基準どおり完了していて、予定建築物を建築してもよいと言う許可行為を言います。開発経過が開発許可の基準に適合する計画の許可をして、開発許可どおりの開発行為を始めてもよいと言う許可は、開発許可の一部に過ぎず、それによって開発許可の目的である開発計画どおりの敷地が実現したわけではありません。
(2)開発許可どおりの開発行為が行われて、それが開発許可の基準どおり完了したことを開発許可権者が認めて完了公告を行うことで、予定建築物を建築してよいと言う許可を与えたことになります。建築基準法第6条に規定する確認において、予定建築物の確認に当たっては、それが建築基準関係規定に適合することを確認することを定めています。建築基準法施行令第9条第12号では、都市計画法第29条第1項と記述し、それによって開発許可の目的に掛かる敷地の条件が開発許可どおりに完了公告されていることを確認照合することを定めています。
都市計画法第29条は、開発許可の規定を定めた都市計画法第3章第1節,開発行為等の制限の冒頭の条文で、開発許可に掛かる一連の既定を代表した条文で、開発許可の目的の実現を指しています。つまり、開発許可は、開発計画の許可で完成するわけではありません。開発行為が開発許可の基準どおり完成していなければならないからです。よって、最高裁判所の判決で、開発許可は開発計画が開発許可の基準に適合していることを認めて許可した段階で完結したとそる歓談は法律に違反した判決となります。
(3)都市計画法第36条で定めている完了公告は、開発行為が開発許可の基準に適合している完了検査して、合格したことを認めて開発許可権者が行う行為で、開発許可の中の工事検査に基づく予定建築物建築許可処分でもある。その処分によって、開発許可処分が完結することは、都市計画法の文理からの当然の解釈である。最高裁判所の2判決は、この完了公告を開発許可と別の行政処分であると断言しているが、そのような法律構成になっていないことは、都市計画法と建築基準法との関係、つまり、建築確認に当たっての建築基準関係規定の規定に置いての条文記述から明確である。
東京地方裁判所の判決理由の無責任さ
控訴人である原告が東京地方裁判所において陳述した以下の主張に対し、東京地方裁判所の判決理由は、「原告原口は、前期(1)のような都市計画法の解釈(最高裁判所の2判例を指す)は、同法の立法趣旨や文理解釈を無視したものであるなどと主張するが、同原告の主張は、3権分立や司法権の役割について過った解釈に基づいてなされた独自の主張であって、採用できない.」と切り捨てた。
控訴人である原告原口の陳述は、都市計画法及び建築基準法に関して「姉妹法の関係を重視して検討し、1968年当時の都市計画法立法時の衆議院及び参議院の両建設委員会における政府委員(竹内藤男建設省都市局長)の都市計画法立法趣旨説明及び質疑応答の議事録を調べ、さらに、当時都市計画法及び建築基準法の立法に直接関係した建設省職員に確認して、この結果を陳述したものである。
陳述の内容は、「最高裁判所の判決も都市計画法に縛られることは言うまでもないが、都市計画法のような政府提案の行政法規は、内閣法制局の法令審査を経た後に国会に上程され、提案した政府委員の説明を国会の審議で了解された法律になるものであるから、それに反した最高裁判所の判決は、拘束力を持たない。」という趣旨の陳述を致しました。
東京地方裁判所の判決理由書は、「過った解釈」としている理由を何も説明していませんが、司法もまた、憲法で、国家が国民と社会契約した主権在民の考え方に従って行われなければなりません。司法には国民に対し、そのなした判決及び判決理由に対して、説明責任を果たす義務があります。このような原告に対し、全く説明責任を果していない判決および判決理由は、判決として不十分というだけではなく、日本国憲法の下で、司法自体の墓穴を掘っているものとしか言いようがありません。
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