メールマガジン

メールマガジン第340号

掲載日2010 年 3 月 1 日

メールマガジン第340号(2月1日)
みなさんこんにちは
バンクーバーオリンピックが終わりました。日本は最後の女子パシュートで銀メダルを取り、日本のTVでは「最後よければすべてよし」いった感じで大いに盛り上がっています。スポーツはレースには見えない努力の積み重ねで、それを思うと参加者のすべての「重いものを背負って出場していること」を感じました。私は、こんなレースを見ていると人生の縮図を見ているようで、すべての選手の演技にに感動を覚えます。TVでメダルのことばかりに拘って放映するのはあまり感心しません。メダルを出すことはよいが、それが目的となる扱いは間違いだと思います。

先日、前田参議院議員とお逢いして住宅問題に関して意見交換をする機会がありました。前田さんは私と同じ昭和37年に大学を卒業してから大学院を経て建設省に採用された河川技術者です。そのため、官僚としての扱いは私と同じであったので、前田さんもそのことは知っていました。しかし、私の在任中に交流はありませんでした。かつて、道路公団の総裁となった藤井さんも同じような関係の道路技術者でしたが、私が都城市の町おこしに関係したことから、藤井さんとは、彼が都城市の出身で、その父が市長だったことから、一緒に議論をすることも何度かありました。

私がインドネシアで3年間働いて帰国した頃、前田さんはベトナムの日本大使館の書記官として働いていたことは知っていましたが、お互いに海外経験を話す機会もありませんでした。そんな関係であったのですが、前田さんも私のことを覚えていてくれて、初めて話し合いをすることになったにも拘らず、初めから寛いだ雰囲気で、住宅問題に関しての意見交換をしました。お立場上、彼は住宅局のトップから多くの情報を得ている様子がわかりましたが、あまり住宅局からの情報には汚染されてはいなくて、是々非々の意見を持っておられました。

奈良県のご出身であることから、今井町など歴史文化に対する地元の環境に誇りを持っておられ、日本のこれまでの木造政策に対しては厳しい批判をしておられました。共通した認識は、「住宅が日本の国富の中で大きな重さを持っていること」と、「国民が住宅を持つことによって、生活を圧迫され、資産を失っている」という正しい事実認識を持っているということでした。前田さんには、政権政党の住宅問題を担っている自負もあることから、民主党がこれまで言ってきたエネルギー政策との関係を重視していることが印象的でした。

かつて、住宅生産生研究会の会員に民主党の井上議員がおられたときには、井上議員に働きかけて、私が学んだことを政策に反映しようと努力をしましたが、議員をお辞めになって、当研究会は国会議員へのチャネルを失っていました。できれば、今回の前田さんに対しては、私のこれまで考えてきた住宅政策と共通できるところが沢山あるように感じましたので、私の出来る支援をしていきたいと思っています。議員はそのお立場上、多くの情報を得ることは出来ますが、現在の日本の住宅の現状を見れば解るとおり、現職の官僚や御用学者の知識や経験は、現状の日本の都市と住宅に反映されているということを理解してもらい、それが国際的に見ても遅れていることを知って貰うことが大切だと思っています。

この面会のとき、私はあまりに多くの問題を伝えようとして、結果的には、「用意した情報の殆ど伝えることが出来なかった」と大いに反省しています。私が現役の官僚時代に多くの国会議員と付き合ってきましたが、今、当時を思い出してみると、議員たちは天下国家のことを考えていると思いがちですが、実際は、議員達は本当に目先のことしか考えていません。目先の政策や政策判断をするために有効な情報だけを求めているのです。

田中角栄が幹事長時代に都市政策大綱を取りまとめていたときに、元住宅局長大村巳代治さんの推薦で、私が実施した調査研究の成果を都市政策大綱の中の住宅提案として「居住立地限定論」提出したとき、その後「職住近接論」として採用された提案を驚くほど素直に受け入れてくれたことを思い出します。これは、郊外化していた公共住宅を、都心に呼び戻して供給するための「予算付けのための理論的な根拠」として使えたからでした。現に、大蔵省は都市政策大綱に対応した公営住宅の「立地改善」を実施しました。

国民のニーズがあることで、裏づけのデータのしっかりしたことに関しては貪欲に取り入れてくれたからです。しかし、抽象的な内容に対しては、基本的に関心を持ってくれません。別の言い方をすれば「シンク・グローバル」(天下国家を考える)といった事柄には、「四方山話」としてしか関心を持ってもらうことは出来ず、「アクト・ローカリー」(目先の取り組み)ということに関しては、具体的に選挙民の顔が見えるということで身を乗り出して聞いてもらえるという印象を、一般的に議員から感じてきました。今回の前田さんとは、これからの付き合いの中で前田さんが主体的に取り組んで生きたいと考えておられる問題に対して支援をしていこうと考えています。

住宅生産生研究会として数年前から取り組んできたアグリカルチュラル・アーバニズムの調査研究を2月終わりまでに取りまとめることが出来ましたので、これからこの成果をどのようにしてわが国の都市農村関係者に伝えていこうかを考えています。この種の問題は「シンク・グローバル」(長期的展望)な問題ですので、多くの人は、単に「話題」として耳を傾けてくれますが、実は、住宅都市問題を事業として取り組むためには、まさに「アクト・ローカリー」(先進工業国の近未来)の問題であると考えるべきです。日本と違って、欧米の住宅産業は、基本的にモーゲージとなっているため、モーゲージの融資期間内にモーゲージの価値が崩れないように都市の20年先、30年先を考えざるを得ないという認識があります。

本メールマガジンでは、既に米国のアリゾナでの「アグリトピア」の事例紹介をしてきましたが、この事業自体、事業に取り組んで10年を経過しているもので、現在、見事成功した結果だけを見ると、成功事例には、すべて必然性があるため、「なーんだ、当たり前のことをやっただけではないか」と思いがちです。私は官僚時代、上司の受けはあまりよくはなく、窓際人事として、「体面を傷つけず、ルーテインワークから外す」企画・調査・研究関係の名称の職に配属された期間が、通算15年と長く、履歴書を見ると調査研究の専門職のようにも見えます。

事実大きな予算を塚手国家的な規模での調査・研究もやってきました。又多くの研究者と研究成果を交流する機会もありました。その経験から、「凄い研究」というものは、「3つのN(な)」として評価できるものだという結論を導いてきました。

第1のN(な).研究成果を聞いたとき「なーんだ」(当たり前のことを言っているのではないか)と思われる調査で、調査結果に合理的で必然性を明らかにしているからです。
第2のN(な).研究成果を吟味して「なーるほど」と調査の筋道をすっきりと理解できる内容になっていることです。合理的な因果関係が解明されていることを指します。
第3のN(な).研究成果に「なっとく」して、その研究成果を実際に自分の駆使することのできる知識として使うことが出来るような内容であることです。

多くの研究開発で話題になったり、「考えてもいなかった」というような驚きの調査結果は、その殆どに発見されていない不合理さがあるもので、調査・研究者が自分に都合のよい材料だけを都合のよい論理で組まれたものが多いことも見てきました。
一般に調査研究を評価するために多くの時間を費やさなければなりませんので、頭のよい人が多くの人を煙に巻いてしまい、「皆に解らないように説明」することで、「高邁な研究」をしているような「こけおどし」の研究も少なくありません。これは調査研究だけではなく、事業の場合も同じです。

アグリトピアの事業は、私には、「3つのN」に該当する事業で、この成果をできるだけ広く理解してもらおうとビルダーズマガジン第164号で取り上げることにしていますので、ご期待ください。

3月3日には、住宅生産性研究会のセミナールームで、1月の米国に出かけたNAHB・IBSと米国各地(ワシントン州、ネバダ州、アリゾナ州)の住宅開発事業調査の報告会を行ないます。アグリトピアをご説明します。

3月4日には、正しい「長期優良住宅」を実現するために、欧米の100年以上の経験に基づき住宅による資産形成を確実にした経験を日本の環境に読み替えた「住宅地経営管理マニュアル(3種の神器)」のセミナーを実施します。

3月18日には、東海地方で資産形成の出来る住宅地経営事例のバス研修ツアーを実施します。詳細はHICPM又はグローバル研修企画のホームページをご覧ください。

また毎月第1木曜日には、住宅地経営管理マニュアルのセミナーを、第3木曜日には、工務店のための経営改善を実現のためのCM(建設業経営管理)のセミナーを実施しています。詳細は住宅生産性研究会のホームページに掲載されています。参加ご希望の方は本メールの末尾の住宅生産性研究会のメールアドレスあて申し込んでください。


トラックバックURL:


コメント投稿




powerd by デジコム