メールマガジン

メールマガジン第346号

掲載日2010 年 4 月 12 日

メールマガジン第346号
皆さんこんにちは
お詫びとお願い
先週ご送付した第345号は、時間がなく見直しをしないまま発信し、大変読みにくいメールでご迷惑をおかけしました。今回の第346号のメールマガジンで加筆修正したものを、ホームページに掲載していますので、HICPMのホームページの方で再度ごらんいただければ有難く思います。

■ エフォート学院での教育
今回のメールマガジンでは、福岡県のHICPMの会員である「㈱大建」で半年の期間で実施しているエフォート学院のことをご紹介します。この学院は、雇用促進を目的とした厚生労働省の事業で、失業者に対して、教育訓練事業の各事業主が教育のテーマをもって教育カリキュラムを作り、教育訓練をするものです。大建では、今街づくり開発を始めており、その事業との関連を考えて「環境をテーマとした技術教育」と、企業の人件費削減を実現するために不可欠な「パソコンなどIT技術を使える技術教育」を計画しました。

■「エコハウス」の教育
私には「エコハウス」というテーマで約90時間の授業を依頼されました。受講者のレベルがわかりませんでしたので、試行錯誤を繰り返すということで臨みましたが、基本的に、大建の職員教育を兼ねるという観点で授業を構成しました。教育では、レーチェル・カーソン著「サイレントスプリング」、武谷三男著「原水爆実験」、国連の「ウ・タントレポート」と「ハビタット〔人間環境会議〕」といった環境問題の原点の紹介から始め、次のような教育を実施しました。

(1)    人類史から見たエコロジーとサスティナビリティーの変遷とその技術内容
(2)    都市と住宅に問題を絞ってのエコロジーとサスティナビリティー
(3)    産業としてのエコロジーとサスティナブルの取り組み(米国のPATHやLEED)
(4)    エコロジーとサスティナビリティーを求めた開発事業とその成果
(5)    エコノミーとエコロジーの関係、個人経済、地域経済、国家経済、地球経済
(6)    エコロジーを実現する技術「自然科学と社会科学」
(7)    OM〔オペレーション・マネジメント〕,CM(コンストラクション・マネジメント)の「エコハウス」実現に果たす役割
(8)    CMの具体的実践に必要な管理技術(CC:コストコントロール、CPM:クリティカル・パス・メソッド、TQM:トー    タル・クオリイティ・マネジメント
(9)    大建における具体事例

かつての職業訓練と現代の職業訓練
かつて能力開発大学やその関係機関から依頼を受けたり、失業再教育訓練事業を何度か担当したこともあり、又HICPMでCM教育を実践してきた教育経験から、CM(コンストラクション・マネジメント)教育内容は、わが国の学校教育で実施していないものばかりで、受講者の方々に受け入れる土壌がなければ、大変難しいとは思っていました。そこで、今回は、「こちらが学ぶべきことをいかに教えるか」というやり方を基本的に見直し、「受講者がどれだけ多くを吸収することができるか」ということを中心に講義をしました。大建のほうからも、受講者の「座学〔デスク・スタディー〕」に対する集中力は長くは続けられないので、細切れにしてやって欲しいという注文を受けていました。

■ 受講者の心構えが変わってきた
最初15分間隔に授業内容をカットして実施する予定にしていたのですが、結果的には50分授業のすべてを中間の休憩なしに実施することが出来ました。その理由は、受講者の熱意に押され、途中休憩をする必要がなかったためです。受講者は失業者ですが、その多くが勤労意欲を持ちながらこの経済環境の中で失業者にさせられた人たちです。これまでの経験の上に、時代にあった技術を真剣に身につけたいという要求があったということです。私の授業内容は、日本の大学でやっていない内容の教育を、短時間で実施するもので、それらを詳細にわたって完璧に吸収することは不可能です。「頭で分かったから、理解できた」というものではなく、「理解した所を実践して初めて身につく実用できる学問」なので、頭での理解は、学問内容の枠組みを頭の中に作るということになります。学んでいる学問の体系としての全体像を学んでもらうこと、その中の鍵となる問題に関しては具体的に理解を深めるという構成で授業を行ないました。

■ 関心は「生産性向上」
毎回レポートを提出してもらい、感想だけではなく、「何を学ぶことが出来たか」を書いてもらいました。授業内容をどのように理解したかを書くこと自体が受講生の知識を定着することになるからです。受講生には年齢や経歴に大変な幅があり。おおむね、私の期待したとおりでした。受講生の学習意欲はこの4ヶ月を見る限り大変よい方向に発展し、基本的なところをしっかり理解してもらっているように受け取れました。
特にCMの授業に関しては、これまで製造業に携わっていた人たちには、OMと基本的に同じ技術であることから「生産性」向上が如何に必要な技術であるかということをよく理解しているように思われました。
住宅建設業も「不動産製造業」であるという本来の性格を理解すれば、生産性の向上という取り組みがいかに大切であるということは理解できるはずです。工務店を相手にしたHICPMの会員よりも、現在失業中である人たちのほうが、より熱心で、より理解を示してくれることに、大変驚きました。

■ 具体的、実利的内容に高い関心
この教育を通して、私も、HICPMでの教育のやり方をこれまでと違った改良をしなければいけないということが分かりました。その基本は、やはり、常にすべてを個人で考えることの出来る金銭感覚に読み替えて考えるようにする、ということです。
(1)絶対的に材料の使用量を減らすことが出来る理由
(2)拘束期間としての絶対額として支払う賃金を大きく出来る理由
(3)期間あたりの粗利の総額を最大限にできる理由
(4)確実の顧客を拾い上げるためには顧客の需要内容を出来るだけ具体的に定めること
(5)住宅の価値は住宅市場の売買によって決められる価格であること
などなど、その例は枚挙に暇がありません。このエフォート学院で実験したことをこれからの私のセミナーに如何に繁栄させるかということが私の課題と考えています。

■ 企業に必要な技術、知識に対する関心
住宅産業にとって生産性向上が住宅価格を切り詰めて、そのうえで工務店利益を拡大させる経営上の鍵を握ることになるということを、分かりやすく説明することが大切とあらためて確認できました。失業者の方々は、現在の日本の産業全体が厳しい環境にあることは、自らの体験でよく理解しています。そのため、企業が生き残ることと、自らが雇用されることを、同じ重さで実感することが出来ます。自分たちが企業を発展させるうえで力となることができるならば、それが自らの雇用機会の獲得につながるとになると感じているのです。そのため、次の視点での私の話に大きな共感を示してくれました。
(1)   顧客(最終的な住宅購入者)がその支払い能力の範囲で購入できる住宅を供給することが、住宅産業にとってこれからの企業発展の基本条件であること
(2)   「工務店がこれまでの価格より20%程度の安い価格で住宅を提供することが出来れば、その住宅市場で橋頭堡を確保することが出来る」という米国での一般的なマーケット参入の条件があります。それを理解したうえで、コスト・カットの問題の解決は、「住宅生産生の向上(工期半減)を実現すれば、粗利を削ることなしに住宅価格カットをする」こと
(3)    消費者の購入した住宅をその購入価格を切り下げずに既存住宅市場で販売できる条件は、まず、最初の住宅建設(販売)時点で、その住宅を既存住宅市場で販売できる価格で建設できるようにすることである。その建設時の販売価格で、既存住宅市場を販売することが出来る住宅価格こそ、市場価格であって、新規住宅販売で巨大な営業販売促進費を使って販売している住宅価格は市場価格ではない。

■ 大建の取り組みの原点
大建自身は、現代の日本での産業の中で、住宅産業は国民の所得を考えると、満足度の低い水準にある産業である。つまり、住宅産業ほど国民の潜在需要の大きな産業はないと考えるようになり、住宅産業に取り組みことを会社として決定しました。

その取り組みは、これまでのわが国の住宅産業のように「国民を住宅ローンで生涯苦しめた挙句、その所有した住宅を処分しようとしたときには、お金にはならず、巨大産業廃棄物になって、国民に大きな損失を与えるものであってはならない」と考えてきました。

その真っ向から対立する概念の取り組みをしようと考えました。つまり、国民の家計支出の範囲で購入でき、住宅購入者が経済的に困ったときには、その住宅がいつでも住宅購入時の価格で売却できるような住宅」を供給することをしなければならないと考えてきました。

■ 大建の取り組みの基本点
大建はHICPMのこれまでの工務店教育が、消費者の資産を守り、生活を守るという観点で、欧米の優れた理論と実践から学ぶというものであることを理解し、これまでHICPMの国内、国外研修ツアーに参加するとともに、HICPMのCM研修に参加してきました。その中で、以下にチャレンジすることで、目下住宅地開発事業の取り組みを開始しました。

(1)    住宅地経営を実践する企業となり、単に住宅を建設販売するのではなく、その住宅を半永久的に責任を持って資産価値を維持向上させることを行う。そのモデルとして米国のホームビルダーの「三種の神器」による住宅地経営をおこなう。
(2)    英国のガーデンシティの住宅経営の基本となっているリースホールドによる住宅経営を実践するために、エベネツアー・ハワードにならって、自らが住宅地土地所有者となりその土地を資本化し、国債の4倍近い利回り配当のできるリースホールド事業を実践する
(3)    リースホールド事業としておこなう住宅地経営事業は、ニュー・アーバニズム(TND)によるマスター・プランとアーキテクチュラル・ガイド・ラインを作成し、「人間の絆」を重視した住宅地環境を形成する。
(4)    住宅地は住宅を所有する人全ての住宅資産価値を維持向上させることを目的に住宅所有者全員加入の住宅地経営管理協会を自治団体として創設し、そこにはデベロッパー、住宅所有者全員、及び住宅地経営管理協会の三者で締結する強制力を持つ自治管理規則を制定し、それに基づき自治経営を行う
(5)    住宅購入所定はその家計支出の範囲で住宅を購入できるように、年収の3倍以下の価格で住宅を供給することになる。そのために、まずリースホールドによる住宅供給をすることで土地取得費用にない住宅価格とする。
(6)    次に、規格化、標準化、単純化、共通化をしたホームプラン・システムを活用して、HICPMが推進してきたサスティナブルを建設することで、高い生産性を実現して、同一の効用をもっている住宅に比較して20%以上コスト・カットを実現した「無印〔実質本位〕」の住宅を、CM技術を駆使して実現する。
(7)    この事業を実現するためにHICPMは関係理事及び会員の協力をすることにしており、目下、HICPM自体が、大建と顧問契約を締決し、この実験的な事業をHICPMの教育用実践モデルとするべく全面支援することにしている。
(8)    大建の松尾社長は、米国と英国の住宅産業に関し、HICPMで学ぶとともに現地を直接訪問して、そこに過ごす人々の住宅地を実地に見学してきた。これまで米国の研修とあわせて、このたび4月の研修旅行で、英国の100年を越す人工的に造ったリースホールドによる資産形成を実現したいくつかのガーデンシティ理論にもとづいて造られた住宅地を見学研修に出かけることにしている。
この計画は私の知る限りでは、ハワードのガーデンシテイの考え方を住宅地経営という観点で、最も忠実に実践しようとしている実験である。その経緯に関しては皆様にもご報告して参りたいと思っています。
戸谷英世


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