メールマガジン

メールマガジン第353号

掲載日2010 年 5 月 30 日

メールマガジン第353号(5月31日)

みなさんこんにちは!
先週は鳥取から岡山、神戸、大阪を通って京都まで、アメリカ建材セミナーの講師として毎日「資産形成を実現する住宅」をどのようにして実現するか、というお話をして回りかした。今回のセミナーで気のついたことは、受講者たちの真剣さが高まっているということです。今回のセミナーでは出席した講師たちが訴えていることが「デザインの重要性」であることが共通していたので、相乗効果を発揮することができたということでした。

アメリカ建材セミナー

受講者の感想を読みましたが、多くのまじめな工務店は勉強する機会を求めているにもかかわらずそのような機会がない、ということでした。ワシントン州政府が実施しているこのセミナーは、わが国では例外的な優れた研修セミナーだと思います。わたくしも皆様にメールマガジンでご案内をしましたが、お忙しいためか、私の研究会の会員参加は通算で15名程度でした。私が知る限り、現在工務店のために実施されている建設業者としての能力を向上させることを真面目に考えたセミナーとしては、最も優れた内容を持つ研修会の一つと評価しています。

半日間という時間的制約があるにもかかわらず、具体的な映像と建材を直接手にとって、具体的で技術的な説明が受けられるということで、入門講座としてだけではなく、実践的な実務教育にもなっています。お集まりの方にはアンケート調査を行っていますが、受講者の満足度はきわめて高く、このセミナーが長期にわたって続いてきた理由を説明していると思います。私自身もこの4-5年関係してきましたが、2人の1時間セミナー講師となっている小金沢さんと私と、6人の15-20分の関連材料講師が、相乗効果を発揮する形で、最新のアメリカの住宅情報と建築技術を行っています。多分、毎回の参加者の反応を見て各講師たちが講義内容を改善して生きたためであると思います。

私は建設業経営の改善のために、今年から毎週第1木曜日と第3木曜日に「住宅地経営管理のための三種の神器」のセミナーと、「住宅経営管理(CM)」のセミナーをそれぞれ5時間づつやっています。それと同じ内容のエッセンスをそのセミナーでも実施して来ました。時間が5分の一ですから、当然その時間に合わせる形で内容も工夫してきましたし、ワシントン州政府の担当者がプレゼンテイション用のスライドをつくって下さったので、限られた時間で効果的な説明ができました。

何処の会場でも、顔見知りの方や、私の書いた本をお読みになった方が少ない数ではありますが必ずいらっしゃって、ご熱心に私の話に耳を傾けてくれていますので、私のほうも励みになって、その期待に応えなければと思っています。私の書いた本も多数ありますが、その内容はいずれも欧米での経験から学ぶことを目的としており、日本と欧米の違いと双方の住宅産業の現実をつくっている必然的な関係を、書籍と実際の現地調査を通じて明らかにすることを目的としています。そして日本より優れた部分をいかにして日本に技術移転することができるのかを明らかにすることが中心点です。
そこには、私の思いつきや、アイデアは基本的に入っておらず、記述のほとんどは誰でもその裏づけを取ることのできる内容となっています。

住宅産業に求められている学問領域

私が取り扱ってきた領域は、都市と住宅に関し、人文科学(生活文化のデザイン)、自然科学(性能・機能)及び社会科学(生産性・経営)という3つ分野のすべてを取り扱ってきました。これまでHICPMの15年の活動を経験して、住宅産業を構成するこの3つの領域を正しく理解して取り組むことができない日本の現実に直面し、悪戦苦闘が続いております。一番がっくりする経験は、私の話や著書を読んだ人が、それだけで3領域のことはもうわかったように思い込んで、それ以上の勉強をしないことです。私自身、今でもほとんど毎日これらの3つの分野に関して本を読んだり、考えたり、原稿を書いたり、講義録を作ったり、と形はいろいろですが、その都度、新しい発見や新しい取り組みの理論と実践をするための知識を学んでいます。
僭越ですが、皆さまにおかれましても是非 謙虚に学び勉強することをお勧めいたします。

今回のセミナーでは、事前に用意した大筋とあわせて、先般インテリアミラノとロンドンのガーデンシティとガーデンサバーブに出かけたときの新しい発見について、解説の中に取り入れてみました。ひとつは、資産形成が進んでいる住宅地でリモデリングが盛んに実施されている理由の理論です。もう一つは子供の生育と家族の生活に関し、その親子の心の問題が空間デザインと大きなかかわりあいを持っていることです。前者に関する詳しい内容は、ビルダーズマガジン7月発行の167号に、「インテリアミラノの報告」として記載する予定です。後者の記事は翌月に第168号を予定しております。

多分、私ほど都市と住宅の関係にこだわって文献を読み、現地を訪問し、そこで起きている都市と住宅の環境の実現した必然的理由を調査し、考えてきた人は、そんなに多くはいないと思います。それだけ恵まれた私の経験を何とか多くの人に伝えなければという気持ちが、年々強くなっています。これまでは書籍を出版して参りましたが、最近は出版業界の環境が厳しく、単行本はもとより雑誌や新聞にも原稿を書くという機会はめっきり少なくなっています。それは出版業界だけの問題だけではなく、住宅産業自体が縮小し、その中で「住宅を売らんがための貧しい書物」しか市場で流通しなくなっていることもあります。

■デザインの重要性

街の書店で書籍を探しても、欧米や中国・韓国、シンガポールなど「住宅により国民の資産形成が出来ている国々」にあるような住宅の関係図書を、日本の書店で見つけることは極めて困難になっています。
住宅産業自体の需要が消費者不在の「住宅産業の目先の金儲け」に走っているためです。これは、住宅産業関係の雑誌や新聞にも同様な傾向をはっきり見ることが出来ます。日本の住宅と都市に関する技術は、工学に偏って、歴史・生活文化という人文科学の観点を失っていることからです。住宅は性能だけを追い求め、国民が民族の自信を取り戻すことのできる「心の豊かさ」を感じることのできり空間文化(デザイン)が粗末にされてきました。
衣服を例にして考えてみてください。機能や性能の優れてはいるが、個人の人格を認めようとしない囚人服を着るか、それとも機能や性能は不十分でも、自分の感性にあって、自分らしさを表すことのできる服を選ぶか、という選択です。これと同じ選択が住宅でもなされるべきなのです。住宅関係の学者、研究者、産業界、政府はそれに築いてこなかったのです。基本的人権とは、自分と他人の違いを違いとして尊重することです。衣食住のすべてにおいて、人びとは自分と他人の違いを尊重されることを期待し、それを民主主義と感じるのです。

今回の「アメリカ建材セミナー」では、この「デザイン」というキーワードが全体の流れを形成していたように思われます、消費者が豊かな生活文化を享受するために、いかにデザインが重要であるかということを、多くの建材を取り扱っている人達もそれぞれの立場から説明しました。アンケートにも「デザインがいかに重要であったか理解できた」という回答となっていました。消費者の需要に支えられないものは、粗大ごみです。住宅においてもその資産価値が維持向上できる条件は、その住宅が高い需要に支えられることをおいてないのです。その際、住宅は実はその住宅地の生活環境を象徴するものであって、決して「物としての住宅建築物」単独を指しているのではないのです。

■住宅と土地環境(ロケーション)

欧米で住宅を選択する際の最優先条件は「ロケーション」といいますが、それは、消費者が購入しようとしている住宅は、住宅環境全体を指していて、土地と切り離された住宅ではないということが重要な点です。
住宅を安くつくるといって、売れない区画整理地で、安く叩き売っている土地を購入して、そこに、「土地代を少ししか使わないで住宅が立てられた」といって喜んでいる人がいます。私は、そのような「へた地」に住宅を建設してはいけないと警告してきました。その理由は、土地環境の悪いところに建築した住宅は「どぶにお金を捨てると同じことになる」からです。それは、「ぼろ家を高級建材でリモデリングする」と同じです。所詮、住宅市場で取引の対象にならない「ぼろ家」を、どんなにお金を掛けても、住宅市場では「粗大廃棄物としてしか扱われないこと」には変わりはないからです。
「へた地」や、「ミニ開発地」に新築住宅を建築することも同じことです。いずれも住宅市場では取引の対象にならないため、お金を捨てたと同じ結果になるからです。

住宅を住宅地との関係で理解することが、わが国では全くといってよいほどなされてきませんでした。毎週第1木曜日に実施している「三種の神器」のセミナーは、まさに、この基本問題を取り扱っているのです。住宅地経営の問題は、人びとの全てが住宅地に実際に住んでいるため、分かったつもりでいますが、消費者としての理解では住宅産業者としては全く不十分です。理解しているつもりでいることは、実は大きな錯覚であり、専門業者として住宅産業としての仕事をするためには、住宅地経営に関してしっかりした知識を学習することが必要なのです。

■HICPM月例セミナー

今月もHICPMの月例セミナーとして第1木曜日の「住宅地経営のための三種に神器」と、第3木曜日の「住宅地経営管理のCM(コンストラクションマネジメント)」セミナーは、PM13:30-17:30までHICPM会議室で実施しますので、勉強を希望される方は、自らの課題を持ってご参加ください。お持ちくださった問題には出来る限り時間をかけて検討したいと思っています。
セミナーは有料です。(第1木曜日 会員は10,000円、非会員15,000円 テキスト代含む。リピーターの場合は会費が安くなります)(第3木曜日 会員3,000円、非会員6,000円 資料代含む) 戸谷


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