メールマガジン

メールマガジン第354号

掲載日2010 年 6 月 8 日

メールマガジン第354号(6月8日)
皆さんこんにちは、本号からメールマガジンの発行日は毎週火曜日とします。

鳩山内閣が退陣し、菅内閣が発足
鳩山内閣が退陣を余儀なくされた理由は、いろいろ指摘することが出来ますが、最大の問題は、沖縄の米軍基地の問題でした。鳩山さんは60年安保時代より後の学生世代だと思いますが、この時代に学生時代を経験した人達には、安保条約に関し国際的に共通できる「日米安保の歴史的認識」が出来ているはずです。

最初の50年日米安保は、第2次世界大戦の戦争責任を前提にした「東京裁判」の原点(日本国憲法第9条:戦争の放棄)から始まった戦後の日本の軍事防衛方策です。そこには、米ソ冷戦構造下での社会主義国の脅威に対し、日米同盟を必要にした共通認識がありました。中ソ軍事同盟の中で、「日米は、中ソ両国にとって、共通に仮想敵国」と名指しされ、日本は、自由主義国との単独講和(サンフランシスコ条約)を結びました。日本が軍事力を持たないで軍事的侵略から守る方法として、50年日米安保は米国の極東戦略の一端に組み込まれることを了解し、片務的・従属的関係として結ばれたことから始まっています。

60年日米安保改正は、日本が朝鮮戦争を通じて経済力を高め、日米の役割分担を決め、日米対等の関係(米軍による日本防衛と日本政府による自由化政策:為替・関税と貿易の自由化:米国農産品輸入と農業構造改善、炭鉱閉山と石油輸入)として改定が行われました。日本からは米国の経済政策を受け入れさせられることに対し「対米従属政策との批判」がある一方、米国では、日本の経済成長が米国の軍事負担の下でなされることで「安保ただ乗り論」が出され、やがて『思いやり予算』に繫がっていきました。

当時の沖縄は、まだ日本に復帰しておらす、米軍の占領下にあったのです。佐藤内閣のとき、最近明らかになった「密約」の元で、沖縄返還が実現しました。その両国間の密約を、佐藤栄作とその家族が隠匿した。外務省は密約の存在も確かめられないといった状態であった。自民党がやっていたことは「安保条約の経緯を知らなかった鳩山さん」以上に国際間の約束を国家が責任ある管理をしていなかったという意味で重大な問題です。米軍基地は日本政府が日本防衛のために日本側から求めて造られた経緯があった。

沖縄の基地問題は日米安全保障条約の基本

日米安保条約(日米同盟)は、社会主義国の脅威があるという両国の認識の下で、サンフランシスコ講和条約と一対のものとして締結されたもので、その基本問題を解決しないで、「沖縄の米軍基地は沖縄県民に大きな苦痛を与えているから撤去する」といっても、日米合意が出来なければ、基地の国外移設が出来ないこと位は一国の総理であれば当然知っているはずですが、鳩山首相は、総理大臣の地位にありながら全く知っていなかった、ことを暴露しました。一体、鳩山さんのスタッフは首相をサポートしていなかったのか。

「日米同盟を機軸」とすると公言した一国の総理大臣が、「その程度のことは学んでおかないといけない」ということすら分かっていなかったのです。鳩山さんも「学生時代にこのことを知っている年代」に入るわけです。当時の真面目な学生なら政治に関心を持ち、当然知っている日米安保を、鳩山さんは何も知らなかったようです。それを知らなかったということは、ノンポリ(政治無関心)のお坊ちゃん学生で、お金を使って女子大生とハイキングやダンスや映画鑑賞・マージャンなどに遊び呆けていたのではないか、と疑わざるをえません。私の時代にも軟派学生は、例外なくノンポリでした。

ギリシャ以上の債務国:日本

自民党の長期政権が、竹下内閣の故郷創生事業に始まり、国家財政を赤字国債を発行しても、選挙のために財政赤字を拡大する政策を始めました。その後のバブル経済の崩壊と小泉規制緩和政策がリーマンショックと結びついて、改善されたはずの不良債権をさらに拡大し、その救済策の中で更なる赤字国債による財政出動をした結果、800兆円を越す財政赤字を背負うことになりました。その改善の見込みもないうちに、目先の選挙のための児童手当や、公共事業予算の民主党と売り優先方式で配分されてきました。

日本の財政は「国債額が税収を上回る」ところに至り、21世紀内にどれだけ努力しても財政赤字の解消の見込みは立たない状態になってきています。その状況はEUの通貨危機を引き起こしたギリシャをはるかに上回る財政赤字ということになっています。日本にはEUがギリシャを救済したような支援国はありません。その財政赤字国という事実を、国家の政策として取り扱おうとしない民主党に対し、安保という政治問題と同様に、財政問題も分かっていないのではないいかという不安を感じます。もちろんその元凶を作った自民党には、それ以上に信頼できないことは言うまでもありません。

日本の工務店は信頼できるか

現在実施されている工務店教育としてもっとも優良な研修事業として、4月に行われたワシントン州政府主催の「アメリカ建材セミナー」があります。そのアンケート調査の結果を詳細に分析して、大きな疑問を感じました。確か、今回のセミナー参加者は、これまでになく「勉強しよう」という真面目な態度の参加者が目に付くセミナーでした。しかし、アンケート調査結果から私が受けた分析結果は研修会の印象とは違って2つの大きなグループに分かれていることを示していました。参加者全員は、真面目に「何かを得よう」とすることでは共通はしていました。

約半数の参加者は、日本のやり方に疑問を持ってその改善を望んでいました、しかし、残りの約半数の受講者は、自分自身としては工務店として十分な知識経験を持っているという自負があるが、それでも実際の経営はうまくいっていないので、何か米国のやり方で役に立つもの(ヒント)でも得られないかという態度で参加していました。
これらの参加者は、謙虚に米国の住宅産業のシステムを学ぶという態度がなく、当面使える「何か」を見つけることが参加の目的となっていました。その結果、参加をしても体系的に学ぶというきっかけに出来なかったようです。

参加費用が「ただ」というところも参加者にとって「ただ=無価値」という潜在的な対応になったような気がします。受講料を取るセミナーでは、参加者は出した費用分は取り戻そうとして勉強します。

学びたいという真面目な工務店

参加者の中の約半数の工務店は、日本で自分たちがやっている「工務店経営」や「住宅地経営」は間違っているというように感じ、改善しなければならないと感じたようでした。これらの人たちは、米国のホームビルダーと日本の工務店が、その経営のやり方でも、住宅地経営のやり方でも、基本的に全く違っていることを感じ、日本の間違ったやり方をどのように改善するかということが分からなくなって、何とかしなければと考えるきっかけとなったようでした。そのきっかけを工務店自身の学習に育てることが求められています。

1980年代、輸入住宅政策に便乗して、米国からオシンジャーさんがやってきて、全国でCMのセミナーをやったときと同じ感想を持ちました。オシンジャーさんのせみなーの後を受けて能力開発大学校や住宅新聞社がコンピュータープログラムを使ったCPMを教育することが、一過性に流行りました。しかし、それらの取り組みは一時的なブームで、今はそれらの取り組みは失敗に終わったとしてやられていません。

日本とアメリカの「長期優良住宅」

メールマガジンで「HICPM月例セミナー」のことを繰り返し書いてきましたが、私は、現在わが国の工務店に必要なことを研究し、それを何とか伝えていこうと準備をして「アメリカ建材セミナー」に臨みました。私が行ったこのテーマのセミナーに関し、長期優良住宅とは、その住宅の資産価値が維持向上することで、「資産価値とは住宅市場の需要と供給との関係で決まるもので、住宅固有の価値ではない」ことを説明しました。そして米国では消費者に販売した価格以上で取引されるようにするため、「三種の神器」を使った「住宅地経営」が重要視されていることを説明しました。

日本の住宅政策や住宅産業は、消費者に「自分自身の思いを実現する事業」であるとおだて、支払い能力の2倍以上の住宅を売りつけるため、その住宅を住宅市場で売ろうとするときには、購入時の半額以下になるという間違いの政策であると説明しました。
しかし、「米国住宅産業技術のつまみ食い」にきた受講者は、「消費者向けの営業に使えるヒント」としての「米国の長期優良住宅」の説明が得られなかったと感じて、私の話にたいして「自分の期待したテーマを話していない内容である」と、セミナーの内容が宣伝違うと回答していました。

CM(コンストラクションマネジメント)に対する興味と関心

CMの最大の課題は、工務店の生産性向上に尽きます。工務店は住宅製造業者です。それはその他の工業生産と同様、生産の過程で価値を生み出す労働をしているからです。その基本を短時間(45分)で説明することは難しいことですから、私のセミナーでは「工期を半分にして2倍の生産性を挙げた場合」の結果を説明しました。どうやら、その説明があまりにも原則を説明したもので、単純化しすぎたことが悪かったかも知れません。「当然過ぎること」と感じたのかもしれません。これまでこの重要なことがわが国で軽視され実践されてこなかったことに気が付かなかったに違いありません。その説明に対する反応はアンケート調査には全く現れていませんでした。

CMを実施するうえでの課題は、住宅の設計自体の中に標準化、規格化、単純化、共通化をし、エンベロップを最小面積にすることを話したのですが、それにもアンケートでの反応はゼロでした。私は長期優良住宅を供給するためには、再販価格が上昇できるようにするためには、初販売の住宅価格が住宅購入者の年収の2,5倍以下の住宅ローンで購入できることが必要であるとして、その方法として、住宅のコストカットとして、米国で皆が取り組んでいることを説明したので、CMをするという利益を説明した訳ではありません。しかし、その反応はありませんでした。要するに、「自分がつまみ食い出来ない」ということ(消化不良を起こすこと)には関心がないということです。

恩師・熊沢五六先生の言葉

熊沢五六先生(名古屋の徳川美術館の館長)は、私の尊敬する数少ない恩師です。半世紀以上昔のことになりますが、先生は私によく「仕事は一人で出来るものではない。一緒に仕事をするときに相手に変化を期待しても無駄となることが多い。あなたが本当に仕事をやり遂げようとするならば、相手が変わることを期待するのではなく、あなたが変わらないといけない」ということを教えてくださいました。そして、「一緒に仕事をする人をあなたの好き嫌いで選ぶのではなく、その仕事を実現するための必要であると判断できた人とは、好きにならなくてもよい。しかし、仕事の実現のために心を開いて話し合える人を友達といい、その友達をどれだけ沢山作ることができるかが仕事を成功に導く途である」ということを教えてくれました。

熊沢先生のおっしゃったことは、国際社会で大きな仕事をしている人を見ると共通な生き方のように思えます。私は、これまで多くのセミナーを実施し、いろいろな人達にお話をしてきました。そして、その都度自分のやり方を改善しなければと考え、取り組んできました。一朝一夕にすべてを変えることはできませんが、自分のできるところで取り組んでいます。今回のセミナー参加者に関しても、受講者は変らないという前提で、私のやり方の工夫をしないといけないと思っています。

輸入住宅のデザイン様式の出版記念セミナー

「輸入住宅・スタイルブック」(私が本の一部の解説の監修をしたムックが発行されました。長期優良住宅にとって重要なことは「懐かしさ(ノスタルジア)」を感じるデザインです。それらには人びとが心のどこかで懐かしさを感じるクラシックなデザインが取り入れられていることです。日本では、建築デザインを歴史文化を扱う人文科学として教育せず、目先の奇抜さを扱う図案やサインと同様なものと間違って考えているように思われます。
この出版を機会にもう一度、住宅のクラシック(歴史文化)デザインの学習か意図してのセミナーを7月15日(CMの第3木曜定例セミナー)に企画しようと思っています。ご案内(HICPMのホームページのイベント案内)していますので、「工務店の営業に必要なデザイン知識に関する質問を沢山抱えて」ご参加ください。営業の本質は、お客さんの感性を知り、そのニーズにこたえることのできるデザインの住宅を供給することです。

戸谷英世


トラックバックURL:


コメント投稿




powerd by デジコム