メールマガジン

メールマガジン第359号

掲載日2010 年 7 月 13 日

メールマガジン第359号(平成22年7月13日)

皆さんこんにちは!

今日は、住宅の地下室付の建築物を作る場合の都市計画法上の開発許可及び、建築基準法上の確認について説明をします。

地下室を売り物にしている業者の失敗に事例
先月は、福岡でのリースホールドによる街づくりの開発許可直前の検討をしてきました。この取り組みでは、横浜のK建設の事業で同様の検討をしたときに、その会社の申請業務を一括委任されている業者と意見が対立し、私の意見が採択されず、申請業者の言うなりの開発許可申請が行われ、結局6戸の開発事業で1000万円程度の巨額の無駄な出費をさせられていました。この問題は都市計画法の開発許可と、建築基準法の確認との問題の狭間(はざま)に生まれた問題です。

英国の計画許可と都市計画法の開発許可
日本の都市計画法では、英国の計画許可(プランニング・パーミッション)の制度を取り入れたのですが、英国では、都市農村計画法で敷地の整備と建築物の建築までを一体の行政事務として実施しています。しかし、日本では、都市計画法と建築基準法第3章とが「姉妹法の関係」で一体的に機能するよう行政事務が両法に分かれています。開発許可において、予定建築物を建築する上での敷地条件の整備をすることになっており、建築基準法では、開発許可による開発行為が完了後、建築物の建築を扱います。

法律を杓子定規に適用した場合の地下室建設
横浜のK建設の場合、「地下空間付の住宅」を得意分野ました。そこで開発許可において、まず地盤を造成し、開発許可の完了公告を受けてから地下の建築工事を始めるという「教科書どおりの手続き」をとることを申請業者は主張しました。
私は、開発許可として完了時点の地盤を最初に造ってしまうことは、造成してから、再度地下空間を造るために造成した敷地を掘削する無駄なことを避けるようにし、基本的に現況の地盤で道路を造り、開発許可を受けておき、建築工事の中で最終的な地盤面を築造するという考え方を持っていました。

地下室建築を前提にしない開発許可制度
しかし、K建設の申請業務を担当する業者は、どうしても開発許可段階で最終地盤を造ることで完了公告を受け、工事により開発許可を受けた地盤を変更できないと主張をしてきました。K建設は、その件に関しては、「常用している申請業者に全面的に依頼している」
と言うことでした。そこで、私はそれ以上のことは言わないことにしました。その結果。K建設は多分大きな出費をすると思っていましたが、どうすることもできませんでした。

法律上のやり方で、経済性の高い方法
今回は2つの方法を考えてきました。ひとつはK建設の場合と同じような方法です。もうひとつの方法は、現状のままの地形を開発許可の地盤とする方法です。現状地盤で開発許可を受けておくわけですから「土地を盛ってから、地下室を部分を掘る」というニ度手間をかけない方法です。現状で開発許可を受けておいて、住宅を地下に埋めて発生した分の土地を盛り土として、開発許可時の地盤面を高めるというやり方です。

法律違反をしない方法
しかし、開発許可時点の地盤面の高さと実際の高さが相違することを指摘されるとして、K建設の申請業者が、横浜市の指導におびえていたことを思い出して、そのような心配をせず、開発許可として法律上の理屈にあった取り組みを実施しようと考えました。そのためには、開発許可の段階で地下工作物を建設することです。それがもう一つの方法です。それは開発許可違反との訴訟の中で、都市計画法と建築基準法の法律構成と文理解釈に忠実に対応したら、どのようになるかという検討の中で見つけた方法です。

予定建築物を開発許可段階で着工する「制限解除」と言う脱法
現在、東京では、住友不動産以下多くの業者が、調節地を作るべき事業で、それを脱法する方法として、建築物の地下貯水槽と言う計画とし、実施することがやられています。しかし、開発許可による工事が完了しない限り予定建築物を建築してはならないという条文(都市計画法第37条)があるため、その規定に違反して工事をしてきました。そのような開発許可違反で不正をやっている業者の違反を、特別区長と言う都市計画法第29条条開発許可権限のない行政庁が、容認してきました。その理屈は、「開発許可に係る工事が完了するまでは予定建地区物の工事をしてはならないという規定に違反した行為」を「制限解除」と法律上に根拠のない法律条文の適用除外によって合法化できると横車でした。

都市計画法第37条第1項ただし書き
「第37条第1項ただし書き」には、開発行為をするうえで必要になる工事事務所や材料置き場のような建築物は例外許可を受けて建築してもよいという規定で、予定建築物を建築してよいということは法律上ありえないことです。そのように法律に書いていないことを、書いてあると説明して、(あたかも法律に根拠を持つものであるような法律解釈をでっち上げ)業者の不正利益を幇助してきました。現在の都市計画法違反の殆ど全てが、東京都自身が開発許可の手引き等の中で違反を容認する審査基準を作り、末端の役人は違反幇助の良心の苦しみを感じさせないで違反幇助をやると言う仕組みになっています。

「地下工作物」の都市計画法の分離に照らした正しい開発許可の方法
法律上正しいやり方は、雨水調節地を河川施設として、河川管理者と協議し、建築物の地下工作物として建設する方法です、この場合、地下工作物としての貯水槽を雨水調節施設として建設することは開発許可の中での開発計画することです。開発行為が完了公告を受けてから、地下工作物の上に建築物を建築すると言うやり方です。地下工作物として造られた雨水貯留層は、河川管理者との第32条同意を受けた河川管理施設として造られますから、建築基準法の地下貯留層のように、その貯水槽部分が建築物の別の床利用に転用される危険性はなく、雨水調節機能を担保できます。このような地下工作物として建設した地下工作物は、土地の有効利用の方法として、その上部に建築物を一体的に建設するだけのことです。予定建築物の下部にそれに耐える地下工作物を作ればよいのです。

地下室を持った住宅に応用した開発許可の扱い
この正しいやり方を地下室付の住宅建設に適用すると次のような手続きになります。その方法は、開発許可制度の中で、予定建築物を建築するために必要な耐力を有する地下工作物を計画します。その予定建築物は、擁壁の建設と同様に、地上住宅部分の建築を構造耐力的に支持することのできる地下工作物であることが開発許可の審査対象になります。そして、その地下工作物は、開発許可の内容として審査され、開発許可を受けてから、開発行為として地下工作物を建設します。

開発許可と建築物の確認
地下工作物が開発許可の工事として完了し、その完了公告の後、予定建築物の確認申請で地下工作物の上に建築する住宅の確認申請がなされます。その際、地下工作物部分を建築の地下室利用をする場合には、建築物と同時に一体的な建築物の確認申請が提出されます。地下工作物を建築物の地下空間として利用する場合には、建築物に用途変更申請をすることになります。もちろん、地下工作物を単なる上部構造の支持材として使い、その空間を建築物として利用しない場合には、確認段階では、全く審査の対象にはなりません。このような対応をする場合、開発許可段階で地盤面を決定することになるため、切り土、盛り土の検討をすべて地下室の計画と一体にすることになります。

都市計画法と建築基準法の姉妹法の関係
わが国の都市計画法と建築基準法の関係は、都市計画という一体の行政行為を2本の法律体系で実施するため、2つの関係行政機関がその姉妹法の関係を理解して法律の適用をしなければなりません。しかし、両行政の隙間をぬって、開発業者が法律の間違った解釈を持ち込んで不正をしようとし、又は、開発許可権者や指定確認検査機関が不正を容認することが日常茶飯事的に行われてきました。

小泉規制緩和政策と言う不正利益の幇助
特に小泉内閣のときには、不良債権となった土地に、都市再生の大義名分と規制緩和という名目で法律違反の運用を行い、不良債権を保有する業者に不正利益を供与してきました。最大の不良債権保有団体がUR(旧都市公団)でした。その結果、規制緩和と。その後の米国の住宅バブルであふれた外資が日本に流入し、わが国開闢以来の長期経済成長があったと説明されています。しかし、経済成長は帳簿上の不良政権の解消で、国民には特段の影響を与えることはありませんでした。国民が実感したものは、都市のスカイラインを変えた超高層建築物の乱立で、既存市街地は一挙に都市空間の高密度利用によって、小さな都市施設に大量の交通量が発生して、大都市災害の危険を増すことになったことです。現実にはこれらのマンションの乱立で学校教育施設の不足や、託児施設や保育施設の不足が問題になっています。

社会問題の発生は法律の欠陥ではなく法律施行の問題
開発敷地内に雨水調節施設が必要になったときには、建築物の地下部分に地下工作物として雨水調節施設を建設できるよう、都市計画法と建築基準法は出来ています。それにもかかわらず、開発許可逃れをするために、指定確認検査機関が開発事業者に不正利益を与える方法として、「開発許可不要」として「建築確認だけで済ませることができる」ことを売り物に、財団法人日本建築センターや日本ERIといった札付きの違反幇助機関が、法律をあえてゆがめ審査事務を受注の営業をしてきました。その挙句、雨水調節能力が不足した開発を、建築基準法の確認事務で審査合格を出すために、河川管理者との同意なしで建築物の地下貯留層の建設でお茶を濁してきたのです。

業者と行政、指定確認検査機関の染み付いた不正強行体質
都市計画法での開発許可手続きを回避できないで事業を進めるときには、開発許可による事業を実際にはしないで、建築工事を始めようとします。そして、法律上の手続きをすればできる事業についてまで,「間違った法律解釈で横車を押す」という悪弊が染みついて、「制限解除」のような『やりたいことは違反でもできるようにする法律解釈』をしているのです。
今回福岡でのD事業に関しては、法律の正しい施行を前提に取り組んでいるもので、その事業の成果が少しでも法治国の法施行に貢献できればと願っています。

戸谷 英世


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