メールマガジン

メールマガジン第371号

掲載日2010 年 9 月 28 日

メールマガジン第371号(9月28日)
皆さんこんにちは!
9月23日に、HICPMとGKKによる「EBPAハウジングツアー&セミナーとNAHBリモデラーショウ」(北米TND開発とエコ住宅視察ツアー)から帰ってきた。
米国の景気が悪いということは、事前にホワイトハウスからの情報検索で確認したが、今回出かけて、景気の影響を強く受けているところも、僅かしか受けていないところもあり、地域格差は大きく、取り組みも多様であり、アメリカは広いと感じた。

米国の住宅バブル崩壊後の様子
ホワイトハウスの情報は、一般的な傾向に対する大統領府の認識であって、今回訪問したところは極めて穏やかに経済が回復しているところばかりで、住宅産業は地域によってはバブル以前の状況に戻りつつあると感じた。かつて、バブル崩壊直後にラスベガスを訪問したときに、ネバダ大学の教授が、「住宅バブル膨張期に住宅の購入をしていない場合、または、資産膨張に伴なうエクイテイローンを借りていない場合、“住宅バブルが崩壊して住宅価格が下がることで、税金が安くなってよかった“と考えている人も沢山いる」という解説を聞いたことを思い出した。

ケントランドの住宅市場状況
サブプライムローン破綻事故の後、「ケントランドも資産価値目減りでひどい目にあっている」という話をする人もいたので、今回はそのことを確かめようと住民に聞いてみたところ、「住宅バブル以前に、1億円で購入した住宅が、購入したときよりも確実に価格は上昇している」と言って、余裕のある住宅リモデリング計画を話してくれた。開発後20余年を経たケントランドは町全体としても活気があり、特に商店街は大いに盛り上がっていて、あちこちのカフェテラスで寛いでいる家族連れや、友人たちや、子供連れの買い物客も多く、不況とは程遠い様子であった。

新しいTND開発の販売状況
メリーランド州で、2005年から分譲開始となった新しいTND開発として「メープルローン」住宅地開発を見学した。まさに住宅バブルが頂点に上り詰めようとする直前に販売開始された住宅地である。現在は、確かに一般論としては住宅バブルが崩壊して、高額物件の需要は縮小し、戸建て住宅などの販売は中止したと説明されているが、バブル時代に購入した住宅の既存住宅市場での動向に対する質問に対し、「既存住宅市場では20%程度の価格下落は認められたが、半額というようなことは全く起きていない」とのことであった。

米国の住宅産業は迷ってはいない
住宅バブル時代に一時的に住宅が投機の対象にされたことで、市場にもてあそばれたことは事実で、それが住宅産業に大きな打撃を与えたが、米国に住宅産業自体としての住宅建設や住宅地経営管理という業務自体に欠陥があったわけではない。住宅産業は未だに需要の縮小や住宅価格の低迷という自体から脱出できないでいるが、建設業界自体が取り組んでいる住宅建設や住宅地開発自体のやり方に対する自信は揺らいでいない。

低迷している住宅取引市場
住宅価格の低迷は、失業率が依然、高止まり状態であり、個人破産を避け、信用歴に傷をつけないで、住宅所有者と金融機関双方が損失を分け合って住宅を買い替えるショートセリング・ショートバイイングが、価格交渉であまりに期間がかかりすぎ、オバマ政権の期待どおり進まず、それが既存住宅市場を低迷させている。その結果、予定どおり既存住宅市場の在庫が消滅せず、それが住宅価格面で新築住宅市場の足を引っ張っているようである。今年当初のNAHB/ビルダーショウの時点での予測では、今年は80万戸台に回復するという予想と違って50万戸台で推移せざるを得ないという状況である。

生産性向上が米国住宅産業の最大の取り組み
住宅供給では、これまでにまして需要者を絞り込んで、生産者にとって最も合理的な生産(CM)を実施することでコストをカットすることに対する取り組みは進んでいる。それは、日本で言う「米国の住宅の高生産性は、建売のためである」ということを補強することになっている。そのことは、私に言わせれば、「注文住宅中の注文住宅」という方向を向いている。つまり、住宅の生産性を高めるために、生産者として最も生産性を上げられるように「建売」というやり方を取っているが、その前提としての住宅計画としては、顧客を絞り込んで、注文住宅以上に厳しい設計条件で多様な需要に対応できる住宅を計画している。

教科書どおりのコスト削減
また住宅の価格を切り下げる取り組みは徹底していて、エンベロップを最小にし、入り隅を無くす平面計画にするということは既に一般的になっているが、それに加えた施工生産性を高めるための広報の合理化や、DIYを取り入れる床仕上げや、ドライウォール工法を前提にしたペンキによる壁仕上げ、スラブオングレード、または、断熱型枠などは、既に普通の取り組みになっている。今は住宅設備関係の合理化が太陽熱利用関係の基部や施設の導入と一体的に取り組まれている。

消費者要求にきめ細かな対応するスペック(建売り:スペキュラテイブホーム)住宅
ミックスドハウジングという概念は、多様な住要求を持った人たちの住宅を混在させるという多様化に対する取り組みである。その前提として市場における多様な需要者の要求の調査があって、それに最適な対応をするという検討が前提になって成立する事業である。そこには、わが国の住宅産業が取り組んでいるような「良い住宅を建築すれば売却できる」とか「高性能(長期優良)住宅を供給すれば売れる」といった販売業者の独善的な考え方はない。多様な需要社会層のニーズについて詳しく調べ、多様なニーズを典型的なタイプに分類して、顧客の選択できる住宅に纏めて供給しているため、いわゆる注文住宅以上に吟味された生活要求に応えることの出来るものになっている。

すべて「消費者中心」の取り組み
特に住宅バブル崩壊後のモデルホームに出かけて営業担当者に話を聞いてみると、住宅需要者の生活要求について詳しく勉強しており、各住宅空間で期待されている生活について説明してくれる。住宅を販売しているのではあるが、そこでは、その住宅ではどのような生活が享受できるかという消費者視線が強く出されている。すべての取り組みが消費者を中心にして、顧客のニーズに効率的にかつきめ細かく取り組むことが重視されるようになっている。

消費者の資産形成できる住宅供給
今回の米国研修ツアーに出かけて、今年になってHICPMが月例セミナーは、基本的にホームビルダーの取り組むべきことの優先順位が最も高い問題を扱ってきたと確認できた。つまり、工務店はCMを実施し、合理的にコスト削減し、年収の2.5倍以下のローンで住宅を購入できるようにしなければならない。そうすれば、その住宅は住宅地としての「三種の神器」により資産管理が適正に行われる限り、必ずといって売買差益が得られる住宅として市場で取引される。

ps.10月14日の国内研修ツアー中部地区工務店現場見学と住宅地経営セミナー
[不況下で経営の原則を守る企業訪問と事例見学]

この研修ツアーは、3つの大きな検討項目を盛り込んでいる。
(1)    一人経営の工務店が、レンガのデザインを中心にすえて、住宅バブル崩壊後の米国のホームビルダーのように需要者を絞って、広告宣伝をせずに地域で健全経営をやっていることを中小工務店の興味深い事例として検討する。
(2)    日本の最高の山林地主(諸戸)がジョサイアコンダーの設計で岩崎邸と比較して遜色のないすばらしいデザインの邸宅を建設したものが現代に生きている。一見すれば、住宅のデザインを考えるうえで大変な内容を教えてくれると思う。
(3)    諸戸産業が地方で高級なモダンデザインの住宅で事業を拡大しているという秘密を学ぶことができる。HICPMの考えているデザインの考えとは違うが、それだけに、比較することで工務店経営に役立つものを見ることが出来る。

戸谷英世


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