法令

マンション建て替え円滑化法違反事業(諏訪2丁目)

掲載日2010 年 11 月 5 日

平成22年11月11日
標題:諏訪2丁目住宅団地「マンション建て替え円滑化法」第11条第2項に関する意見書
〒163-8001東京都新宿区西新宿2丁目8番地1号担当窓口:東京都都市整備局住宅政策推進マンション課
マンション建替え支援係御中(電話:03-5320-5007)
処分庁:東京都知事・マンション建て替え円滑化法所管 殿
意見書提出人:多摩市諏訪2丁目住宅管理組員

標記団地における建て替え事業計画は、建築物の区分所有法の手続きに基づき建て替え決議が行われた後、現在、事業計画認可の手続きに入っています。しかし、本件事業は、下記のとおり、マンション建て替え円滑化法(以下「円滑化法」)に違反して実施されております。事実、建て替え事業を行う根拠となる「建て替え決議」自体、マンション建て替え円滑化法で定めた「強制権を付与されるべき法律上の手続き」を経ていません。区分所有法上の手続きを経ていても、強制権を付与できると法律で定めた要件を充たしていないのです。その結果、本事業計画は合法性を持たず、事業計画認可申請は、無効・却下されなければならないと考えます。

なお、マンション建て替えに際し、国会議決のなかで「優良住宅整備事業補助金制度要綱」を根拠に、本事業に対して補助金が交付されましたが、この補助金は「建て替えに絞った検討」を促すという目的に当てられ、組合員の要求をくみ上げ、建て替え実施計画案を作成する業務に対して適用されます。そのため、本事業には、国庫補助金・東京都補助金・多摩市補助金・及び諏訪2丁目住宅団地管理組合費が支出されています。それらは本制度上、組合員共通の「建て替え決議」―「つまり、組合員が建て替えをするか、しないか、の判断」―をするための資料として使われるはずでした。

しかし、実際の補助事業はこれに反し、建て替え決議検討のための「組合員の共通認識を形成するための基礎資料」としては使われていません。建て替え円滑化法では、建て替えに絞った共通の検討結果に基づく組合員の5分の4以上の賛成という判断を求めて、事業の強制施行を定めていますが、その行為が履行されていません。そういった不正行為の下で「建て替え決議」がされたのが実情です。このような検討資料の作成に補助金が使用されなかったということは、いうまでもなく「補助金の目的外使用」であり、補助金等適正化法に違反しています。同様にして、先に述べた「建て替え決議」は、決議上必要とされる大前提の判断資料を欠いており、これも明確な法律違反です。

標記団地の「建て替え事業」は、このように違法に違法を積み重ねたうえで推進されてきました。これらの状況に早くから危機感を覚え、団地組合員内外から何度となく警告が発せられてきました。しかし、適切な処置は取られることなく今に至っております。このような事態の重大さ・切実さを踏まえ、建て替え円滑化法を所管している方々による調査・事実究明が実施され、法律に照らして厳重かつ適正な行政処分がなされることを、私たちは強く望んでおります。迅速なるご検討、ご配慮いただけますようよろしくお願い申し上げます。

日本国憲法29条では、全国民に対する財産権保護の規定があるが、本事業の「マンション建て替え円滑化法」は、老朽化等で物理的理由等により建て替えをする正当な根拠がある場合に限り、権利者5分の4の賛成があれば残り5分の1の権利者―主に反対者―の意見にかかわらず、強制的に建て替えを可能としている。他方、国会審議にて同法第4条に関し、私権を強制的に縛る事業であることに重大な関心をもち、衆参両院で付帯決議がつけられ、その施行に必要な二つのマニュアル(以下「マニュアル」)が定められ、それを忠実に実行することが義務づけられた。しかし、以下の点において、本事業はマニュアルの規定に違反し、マンション建て替え円滑化法その他関連法にも多数違反している。そのため本事業自体は無効にされなければならない。

1.    本マンション自体の老朽化は危険な状態ではない。同時代に建築されている日本住宅公団の団地は修繕により利用されている。後者の事実(同時代に建設されたマンションの多くがリモデリングされて使用されている)は、本件の問題性を照らし出してくれる意味で特に注目される。

2.    建て替え事業に対する国家の補助金を、建て替え推進派は不正利用した。

マンション建て替えに関する手続きとして、円滑化法第4条に基づき定められた建て替えを手続きを定めたマニュアルには、次の規定がある。
建て替えをしようとする住宅団地管理組合自体は、まず、組合自体の費用でマンション建て替えを実施することに関するマニュアルに定める検討をする。その検討結果に対して5分の4以上が賛成し、建て替えに向けて「絞った検討」をする意思決定(「建て替え推進決議」)をした場合、マンション建て替え事業を財政的に助成する国会決議が適応される。それに従い、国は優良住宅等整備事業補助金を交付し、より詳細かつ具体的な建て替え事業実施に必要な事業計画を作成できるようにする。

しかし、実情は諏訪2丁目住宅団地管理組合の場合、コンサルタントに入っていた旭化成ホームズの指導により、団地管理組合自身の検討をしなかった。そのかわり、「国庫補助金を受けるために必要な決議」として、形式的な「建て替え推進決議」のみを実施し、補助金を詐取した。しかも、通常のマンション建て替え事業では、住宅管理組合自身の費用でマニュアルに定める検討をすることになっているが、諏訪2丁目は、その手続きすらも怠ったのである。「建て替えをするか、どうか」という、本来ならば団地管理組合が自費でやるべき調査検討に対して補助金を受けた。

3.    多摩市長は上記2の不正行為を法廷の場において正当化し、事実上それに加担した。

地方自治法に基づく会計監査の審査請求及び行政事件訴訟がなされたが、被告である多摩市長は、諏訪2丁目団地管理組合がなした形式的な名称だけの「建て替え推進決議」をもって、マニュアルに定めた推進決議とみなせると主張、事実調べがおこなわれず、また、裁判が建て替え決議前に終了し、補助金が目的外使用されていた事実が明確な形で表面化していなかったため、判事は多摩市長の主張を信用し、審査請求人及び原告は敗訴となった。

現実には、実体を伴わない形式的な「建て替え推進決議」をした直後の、諏訪2丁目住宅団地管理組合における状況は、全体の60%程度が建て替え賛成で、残りは建て替えに反対ないし意見保留だった。

そのため、国庫補助金を受けて実施された旭化成ホームズは、建て替え反対者を同意者にする作業に多くの時間と費用を浪費した。また、国庫補助金を受けた調査事業計画では、とても「建て替え決議」をすることは見込めない状態であった。

その間、諏訪2丁目団地の住宅管理組合で、建て替えを不法に推進していた住宅管理組合理事者と旭化成ホームズ及び多摩市長は、補助金適正化法違反の嫌疑で多摩中央警察署に刑事告発され、東京地方検察庁立川支部に送検された。その後、嫌疑自体を認めたうえで起訴猶予とされ、目下、検察審査会に審査請求段階にある。

4.    東京建物は、旭化成ホームズに代わって不正な建て替え事業の推進を続行した。

諏訪2丁目住宅管理組合建て替え推進理事たちは、旭化成ホームズに代えて、急遽、東京建物を施行者候補として持ち出した。東京建物は、旭化成ホームズが国庫補助金を受けて取りまとめた事業計画と対立する形で、建て替え提案を行なった。事業計画自体、住宅団地組合員が旭化成ホームズから説明されてきたものと全く違った計画のもので、それを下に「現有住宅床面積の保証と500万円の支給」)と言う条件を提示した。こうして組合員を幻惑し東京建物を施行者として決定させた。

こうして、旭化成に提供された国庫補助金・東京都補助金・多摩市補助金及び諏訪2丁目団地組合費―合計約4億円―は浪費され、返済されていない。この事実で証明されるとおり、旭化成に提供された補助事業で、諏訪2丁目住宅団地管理組合員が本事業の「建て替え決議」をするためのベースとなる検討資料には使われなかったのである。本来の円滑化法第4条の規定では、建て替え決議の根拠は、国庫補助金を受け組合員の要求を反映した「建て替え決議」をすることが定められている。よって、本件の建て替え決議が、法律上の正当性の根拠のない決議なのは明らかである。

5.    東京建物は、事業施行者としての地位を獲得してから、経済事情を理由として、事業条件を変更してきた。

建て替えを希望する組合幹部は、この不正な事業推進に一役買っているのはいうまでもない。あらためて、事実究明が強く希望する。このように、標記マンションについての建て替えの事務手続きは、建て替え推進決議、国庫補助金の交付、建て替え決議のすべてが違法に行われ、それを根拠に建物区分所有法による手続きで事業を推進されてきた。

6.    現在の諏訪2丁目団地は、都市計画法第11条第1講第8号で定める「一団地の住宅施設」として都市計画決定されたもので、この「都市計画決定の廃止」の決定はなされていない。

いうまでもなく、その廃止決定なしに、現在の都市計画決定された「一団地住宅施設」は法律上有効である。第86条(つまり、都市計画決定された一団地の住宅施設)に対する建築規制の根拠条文)による従前の規制は継続して施行されているため、この事業を進めることは法律違反である。

これまでには、東京建物の建て替え計画にあわせ地域地区の都市計画の変更がなされた。そして、それに適合した地区計画により建て替えを実施される、という類いの説明がなされてきた。しかし、その手続きでは、既存の「一団地住宅施設」の都市計画決定と、それに対応して施行されている建築基準法・第6章雑則中第86条の規定の適用(第3章規定を適用しないことの定め)を廃止することはできない。

建て替え事業を推進するならば、上記6の問題がまず解決されなければならない。従前になされた「一団地住宅施設」を廃止する決定がなされていない段階では、標記団地の建て替え事業が違法状態で推進されていくことを意味する。法手続き上、まず、既存の都市計画決定を廃止することが認められるか、どうかの決定が先行されなければならない。

以上


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