実績報告

長期優良住宅先導的モデル事業と「三種の神器」

掲載日2010 年 11 月 12 日

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売買差益の生まれる住宅を実現する住宅地経営:「三種の神器」を使った住宅地経営

特定非営利活動法人住宅生産性研究会は創設以来、住宅取得者が住宅を取得することで長期預金以上の資産形成ができている欧米工業先進国の「常識」を日本国に置いて実現すべく、欧米の住宅産業で生まれ育った技術を日本の環境に置き換え、読み替えて適応する取り組みを実施してきた。その成果が遅々としてすすんでいなかったが、最近になって幾つかの事例でその効果が発揮されてきた。以下最近の事例から順に過去に遡って紹介する。

最も新しい事例は、標題に掲げた国土交通省が進めている第1回長期優良住宅に基づくモデル事業まちづくり部で選定された二つの事例である。

1.アサヒグローバル株式会社「泊山崎ガーデンテラス」

日本で最初に「ニューアーバニズム」による計画手法で取り纏められた事例で、目下工事中のプロジェクトである。このプロジェクトは第1回表記モデル事業まちづくり部門で審査員から絶賛された事業であると報告されている。

HICPMは、コンサルタントとしての初めての契約を締結し、前年までハウジングアンドコミュニテイ財団で8年間に渡って欧米の資産形成できる住宅地経営のあり方を調査研究してきたが、その成果を日本の状況に置き換えて実践した最初の事例である。コミュニティの実践例は、約150年に亘る主として英国と米国の住宅地経営の歴史を踏まえた経験と技術を、四日市の事例に適合するように読み替えて実践したものである。

泊山崎ガーデンテラス1.環境と公園(住宅地は全体が一つの有機体である)

この住宅地の中央部に小川の流れる公園があり、そこに桜の大樹が植えられている。その南側にアプローチの道路約100平方メートルがあり、三重県が開発許可制度に違反して開発地の3%に相当する土地を公園として移管せよ、といって取り上げた土地である。その処分が都市計画法に違反していることの議論は此処での説明の目的ではない。現行の開発許可で実現されている住宅地開発で求められている公園の大きさがどの程度のものであるかということを知ってもらうためにこの問題を取りあげた。通常の開発では、この程度の開発ではこの程度の公園を「宅地として処分できない場所」に造り、開発許可の制限を満たしたことにしている。それ以上の公園は造ろうとしない。

しかし、この計画では、中央に幅約50メートル奥行き約15メートル、面積700平方メートルの公園が造られている。開発許可で求めている公園面積の7倍もの広さの公園である。そこにはこの敷地全体に降った雨と、当初の提案ではこの住宅地で使用した雑排水のすべてを循環させる小川が作られている。(現在は雨水と水道水とが循環されている)このビオトープ環境の構成要素として住戸前面にある各歩行者用のとおりにはそれぞれの個性ある花木61本植えられている。面積約3000平方メートルの敷地(1戸当たり平均150平方メートル)に700平方メートルの小川が流れるビオトープのある住宅地はわが国にかつて前例がない。

2.道路と生活(道路を公共に移管せず住宅として経営管理する重要性)

現在世界の住宅地開発では、自動車を使わないでよい住宅地開発や都市生活が計画されている。人びとの絆を大切にするまちづくりでは、徒歩での生活を大切にしなければならない。この開発では、自動車を住宅地の外周に設けたバックアレー(裏道)に配置し、そこからビルトインガラージかパーキングに入れることにし、住宅の前面は公園に面した徒歩の空間としている。実はこの周辺道路は開発許可の関係で計画を義務付けられているものであるが、都市計画法上では、幅員4mの建築基準法による位置指定道路を先に築造しておけばそれで足りるものである。(都市計画法施行令第25条第2号ただし書き、同施行規則第20条の2)。しかし、三重県は都市計画法に違反して、開発地の取り付け道路自体が「2項道路」であるにも拘らず、幅員6m以上の開発道路を築造せよといった法律違反の処分をした挙句、その道路を不当にも公共団体に管理移管せよといって取り上げてしまった。公園の場合、同様、財産の無償剥奪である(憲法第29条違反)。この幅員6mを強要された条件を受け入れて道路を築造しても、その管理移管をすることがなければ、この住宅地を経営管理する住宅地経営管理協会(HOA)がその管理下で、道路をパーキングのできる道路として管理することができる。そのような計画提案も「泣く子と地頭」に叶わないと行政による「江戸長崎」の意地悪を恐れて従ったのである。

この計画の詳細はビルダーズマガジン第149号の以下のページに掲載されている。在庫がなく必要な人にはコピーサービスを致します。HICPMの毎月の「三種の神器セミナー」ではOHPで説明をしています。

ガーデンテラス2.工藤建設「ガーデンヒルズ」

ハウジングアンドコミュニテイ財団でHICPMが指導して進めてきた住宅による資産形成の研究会に、工藤建設は長年参加し、リースホールドによる英国のガーデンザバーブのような住宅地開発を実現しようと考えていた。そこで既に「日本で最初に100年定期借地事業として住宅地開発」を進めていた「ムカサガーデンの計画」に倣い、その事業を進めてきたロッキーハウス(社長:税理士、HICPM監事)の指導を受け、ブリックプロダクツ東京のレンガによる住宅デザインでの定期借地事業を進めることになった。工藤建設は、レンガによる住宅生産性研究会デザインを「マークスプリング」の設計者澁谷さん(HICPM理事)に依頼し,英国文化に帰属意識を持っている人にターゲットをおいた計画とした。

たまたま、工藤建設の社員の所有する土地で「100年定期借地事業」に取り組むことができ、その機会にアサヒグローバル同様、長期優良住宅モデル事業として選考されることを目的に住宅生産性研究会(HICPM)とコンサルタント契約を締結して事業提案を作成することになった。HICPMではこの計画を次の様にしようと考え、コンサルタントを行った。

ガーデンヒルズ

(1)建設コストを削減する事業

住宅コスト削減の第1はリースホールドを持ち込み、と地代を不要にすること、もう一つは住宅計画に置いてムリ、ムダ、ムラを排除するCM技術を展開し、生産性を高め大幅に削減することができます。そのためには、エンベロップを最小にし、入り隅のない外壁とすることで、材料と労務量を削減できます。

工藤建設は地下空間付きの住宅を売り物にしていましたので、本計画でも地下空間を採り入れていました。

HICPMとしては、これらの条件を前提に「三種の神器」を活かした事業を組み立てることのコンサルタントを実施してきました。実施された計画は基本的にHICPMの提案を採り入れたものになっていましたが、多くの妥協を余儀なくされましたが、計画は実施され入居が終わり、多くの人が見学に訪れています。

その1.開発許可と建築の連続的な事業

この事業では事業が完成した時の地盤面を開発許可で造り、それを完成(完了公告)してから再度地盤を掘削して、地下室つきの「鉄筋コンクリートと木造2階建ての混構造」を建築するといった無駄な工事を実施しました。私が推測する限り、2000万円以上の費用が無駄になったと思います。実は此処で私の提案が議論する以前に無視されてしまった理由は、工藤建設が開発や建築の申請を全面的に依頼している業者に全委任するので、私の提案は受け入れないということになったためです。此処で実現できなかったことを、現在福岡の大建による「荻の浦ガーデンサバーブ」で実施しています。その詳細は、「荻の浦ガーデンサバーブ」でご説明します。要点は、都市計画法における規定どおりの開発計画を立てなかったことによるムダの発生ということになります。

その2.エンベロップを最小にし、標準か、規格化、単純化、共通化をすること

この開発では1棟2戸のデュプレックスを3棟合計6戸の住宅が、中庭の樹木を囲んで計画されています。私は、この6個を基本的に同じ形態の住宅を外壁面積を最小にし、かつ、外壁に入り隅を造らないようにするとともに、半地下の車庫の上にもう1戸住宅を建設することによりコストを削減することを提案しました。材料及び労務数量が削減されることは明らかなはずですが、工藤建設の事業部制が計画の合理化が施工の合理化に反映できない仕組みとなっていたため、結局、計画部門で6個の住宅を基本的に共通の構造にする努力がなされ、事実上のコスト削減になったはずですが、合理化の結果は、工藤建設の利益にはならず、下請の利益になったと思います。残念ながら、HICPMの提案はそのままの形で取りあげられませんでした。

その3.「三種の神器」

HICPMで提案した「3種の神器」としてのハードなマスタープランとアーキテクチュラルガイドラインは、ものづくりの計画としてしっかり造られて、実施されたのですが、ソフトな住宅地経営管理基本計画に関しては、これまでの紳士契約に近いもので「イエローカードやレッドカード」と言ったルールを守らない人に対する制裁(強硬手段)を採り入れたものではなく、工藤建設を中心にした信頼関係でルールを維持するというものに留まっています。また住宅地経営管理協会に関しても住宅所有者以外に地主や工藤建設が参加するといったもので、このようなものに変質させる理由が私にはわかりません。また、定期借地保証金、家賃の先払いなど、最終的にどのようになったかは知りませんが、HICPMの提案としては、日本の定期借地権事業でやっているこの種の保証金の先取は本来の正当な権利主張ではない。せいぜい借地料の6ヶ月以下にするべきではないかと考えています。





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