メールマガジン

メールマガジン第379号

掲載日2010 年 11 月 21 日

DSCF4526メールマガジン第379号(11月22日)
みなさんこんにちは
今回はHICPMの創設以来、現在までの経緯を振り返って、その活用の仕方についてお話します。HICPMは基本的に次の原則を守ってきました。

HICPMの活動の原則
第1.    住宅産業は、基本的に、「住宅に居住する人が、生活文化においても、経済的にも幸せや資産の形成による豊かさを実現する」ことを目的としなければならない。工務店の利益は、この大原則の実現の結果であって、目的ではない。
第2.    住宅は国民総てにとって、衣食住という専門的技術や知識を持たなくても、安心して生活をするためには、住宅産業界で住宅供給に関係する人は、それを提供するに足りる専門的知識を学び、経験を培わなければならない。
第3.    住宅は人類の長い歴史文化の所産であって、その経験や知識は世界規模で共通するものがあり、絶えず、歴史に学び、世界に眼を配って、優れた知識経験を「つまみ食い」ではなく、「体系(科学)的」に学ばなければならない。
第4.    技術移転は、「技術移転をする側」と「受ける側」の基本的に真剣勝負で、双方が
「求める知識と経験」と「提供する知識と経験」とを、「安易で、無責任な受け渡しをする」のではなく、真剣に受け渡しをすることがなければ技術移転は出来ない。
第5.    HICPMは、第4の原則に立って、真剣に技術移転をしてきたが、「去るものは追わず」、「来るものは拒まず」の姿勢で対応をする。「作用、反作用」の法則どおり、技術移転を求める者にたいして技術移転をし、求めない者にはお仕着せをしない。

DSCF4442HICPMの評価
HICPMの評価は、その掲げている目標、主張と、その展開している理論とともに、その実績を見てもらうしかありません。しかも、HICPMは法人であることから、法人自身での創意工夫する力はなく、定款で掲げる目的を実現する管理組織でしかありません。そこにおいて創意工夫をする者は、そこに帰属している自然人の活動をおいてありません。
同じ人材や組織、設備を持っていても、その管理組織をになう経営者が、如何に雇用している従業員(自然人)とそこの施設を活用して、その能力を発揮するかによってできる成果は異なります。つまり、経営者の器が問題になります。
ニッサンのカルロスゴーンが、彼をいじめようとして集まったジャーナリズムに対して、「ニッサンとトヨタと一体何が違っているのか、人材や設備にどのような遜色があるのか、その違いは、それらを生かすか、殺すかという経営者の能力が問題である」といって全役員の解雇を前提にカルロスゴーンが社長就任する条件を明らかにしたことは有名なエピソードになっています。
その意味では、今のHICPMは、理事長である私の経営能力と私自身の技術力が、現在の活動のレベルを示しているのかもしれません。私は日本の国民を粗末にしてきた国家や産業界の中で、手を抜かずやってきたことで、その結果については、いかなる批判に対しても、私の能力を発揮できない環境を打破できなく、かつ、会員数や事業規模が拡大していませんが、基本を守ってきたことによって、卑屈になる必要はないと思っています。
しかし、この厳しい社会経済環境の中で、これからHICPMがその活用を展開し、消費者に豊かな住宅をその家計支出の範囲で供給するためには、実際に住宅供給をしている工務店が、HICPMの提供している技術を受け入れてくれるようにすることがなくてはなりません。そのためには、まずHICPMが取り組んできたこと(何をやってきたのかという実績)について知ってもらうことが必要と考えて、前回のメールでは、HICPMが取り組んできた住宅地経営と私自身のやってきたことについて簡単な説明をしました。

DSCF4427技術のつまみ食い
総ての技術には総て理論的な裏づけがあり、合理的な必然性に裏付けられた構成になっています。その適用する条件は総て違いますから、条件に合わせて過去の経験を読み替えて、理論の正しい実践をすることがなければなりません。それらの技術を正しく実践するためには、技術体系としての理解が先ず必要になります。日本の大学や高等専門教育期間では。住宅に関する人文科学的教育も社会科学的教育も基本的になされておらず、工学(建築工学、都市工学)に偏重しているため、住宅の知識、産業界はもとより、学会も行政界も、技術を全体像としてつかめていません。
今、HICPMが月例セミナーとして取り組んでいる住宅地経営の「三種の神器」も、工務店経営の「コンストラクションマネジメント」の講座も、世界の住宅産業教育としてなされている人文科学、自然科学、社会科学の教育を総合的に実施してきました。HICPMのセミナーに参加して勉強した人も、HICPM発行の書籍を読んだ人も沢山います。しかし、多くの人はその中の自然科学での見方しか受け入れていないように思えます。
個別の生産のハード技術に限ってみると、結果的にCMを実践している人も増えてきましたが、CMで重視している生産管理というソフト(社会科学)技術の視点では考えないで、そこで耳にした言葉を覚えたことで工学的に分かったと勘違いし、社会科学としての管理技術としての理解は遅れており、管理技術として実践している人は少ないようです。

DSCF4439消費者の資産形成という視点
住宅の生産に関する個別の技術に関し、いっぱしの口上を口にする人は多くなりましたが、その知識や理論を住宅購入者の資産形成という視点で、実際の仕事に展開している人は驚くほど少ないように思えます。私のところにやってきて、何かヒントを得ようという姿勢で来る人は沢山いますが、自分自身の「住宅に関する資産形成を実現できる学問体系」の「理解の仕方」を変えようとはしていません。
「俺が社長であるから偉いんだ」とまでは言わないけれど、自分の経営のやり方を変えるという謙虚さがありません。自分のCM知識や住宅地経営に必要な知識を基本に立ち返って学ぶという姿勢の人は少なく、自分自身を変えないで、「俺が使える技術であれば、つまみ食いしてやろう」という姿勢でいる場合が多いことを感じます。それは目先の事業が同業他社との競争で上手く進んでいる人ほど多いように思えます。
「良い仕事をするためには、苦労をいとわず努力しよう」という謙虚な姿勢をもっている方でも、住宅に対する取り組みを長い目で見た住宅購入者の資産形成という視点で、「建設から維持管理、仲介斡旋という流れ」で、自分の造った住宅に責任を持つのいう住宅地経営に取り組んでいる人はきわめて少ないように思えます。
その理由は、日本の工務店は、厳しい「体系立てられた技術で勝負する」ところに置かれていなく、断片的な「つまみ食いしてきた個別技術」の「部分的な専門技術」で武装して、その「断片的な技術」の優れている説明(「住宅性能表示)も同様である)により、その住宅には価値があると「差別化」して、高い価格付けを正当化してきました。

DSCF4452体系的な技術を学ばず、断片的技術を使った詐欺行為
正に「差別化」ということばで示されているとおり、顧客に科学的な理屈で「単に異質であるだけのことを、優秀であること」と消費者を騙すことで利益を追求する風土で育ってきたからです。その正当化する理屈とは、顧客を幻惑する「詐欺の手口」といってもおかしくはないのです。その手口を学ぶことを、技術的な知識の吸収と勘違いしている人が多いのです。性能表示という政府が進めている技術のほとんどがそのようなものです。性能が高いことと住宅の価値が高いこととは、「性能をお金で計測できない」とおり、性能と価値との間には、何ら直接の関係はありません。
多くの工務店は、政府が進めている性能表示や瑕疵保証保険が上記第1の原則に反したものであることを承知のうえで、自らの経営も同じ流れの中でやってきたから、顧客に平気で「差別化商売」ができるのです。住宅産業関係者の話を聞いていると共通していることは、断片的知識をつまみ食いして、「差別化を正当化」することに長けていることです。それこそ政府がやってきた「騙しの政策」の効果だと思います。

DSCF4458体系的な本当の知識
住宅に関する知識は、歴史と生活文化に関する人文科学、機能や性能に関する自然科学、経営や利益などの人間関係に関する社会科学という3分野の知識や技術は有機的に関係しあっています。しかし、日本では、建築工学、都市工学というように、すべて工学という枠組みの中で問題を処理しようとしてきました。住宅や都市という分野は人間の生活文化を如何に豊かに享受するかという知識や経験に裏づけされていなければならない分野です。私自身、中央と地方の行政、公団、シンクタンク、学校(大学、専門学校)教育、民間企業、海外の政府、公団等で働くなど住宅・都市分野に半世紀近く携わってきて、現在、住宅生産性研究会で国内外の住宅産業を現地に出かけ、文献を読み調査研究してきました。住宅・都市の人文科学、自然科学、社会科学にまたがる複雑な関係を追求すればするほど、迷路に引き込まれるように、住宅・都市は複雑で奥の深い分野ということを感じてきました。
よい仕事をするためには、常に多角的に検討することが必要で、試行錯誤を繰り返さない限りよい結果を導くことはできません。私にも、過去のことも十分に分かっているわけではなく、理論も知識も薄弱で、これから取り組む問題に対して完璧な解決が確実に出せる確信はありません。しかし、わたくしはこれまでの経験を駆使して「よい」といって提案するものは、「わたくしの知識、経験のなかでは最善である」と考えられるものですから、その実現に拘ります。しかし、それは現実の住宅ニーズに必ずしも正しく応えているとはいえません。そこで、現実との適用をめぐってただしい読み替えをすることになります。

DSCF4463HICPMが参加するプロジェクトを通しての技術移転
方法としては、私の提案した解決によっては解決されない問題を明らかにして、それを解決するためにどのような方法があるかを考えます。その解決は、第一の原則に立ち返って、理論的に合理的な解決提案になっているかという疑問に立ち戻ることになります。コミュニティのような試行錯誤の繰り返しが、正しくこれまでの人類が取り組んだ経験から学び読み替えをすることだと思っています。この試行錯誤には大変な時間と思索や資料検討が必要になります。そして、そこから導き出された優れた解決は、ほとんど例外なく「なーんだ。なるほど。なっとく。」という3つのN(な)を満たすものでなければならないと思っています。3つのNは、社会的必然性を持っているということを説明しています。
これまで約1年間福岡の大建(松尾社長)が進めてきた荻の浦ガーデンサバーブ計画は、私としては漏れまで取り組んできた多くの計画で実現できなかったものを何とか実現したいという思いがあって、それらを荻の浦に置いて実現したいと考え、実現できるように最大限の努力をするという約束でこの事業に取り組んできました。
これまでわが国ではやる意志があればできたことでやらないで済ませたことが多数あり、それらへの挑戦をしているといったらよいと思います。これまでできなかったことには、できなかった必然性があります。しかしそのことの多くが世界の多くのプロジェクトでできているのですから、出来ているプロジェクトの必然的理由を、「日本の状況に読み替えてやれるようにしよう」という努力が荻の浦ガーデンサバーブでやられています。その結果、開発許可が下りるまでに、多くの過去の日本でやられていない手法の開発が実現し、いずれも事業採算上大きな利益を生んでいます。

DSCF4468HICPMの提供する技術を受けないことの意味
このような取り組みをしているというお話を、あるHICPMの会員にしたところ、「そのようなHICPMの技術移転は、自分の会社には受け入れられないし、受けようとも思わない」、という反応が返ってきました。私はそのような考え方は大いにありうることで、受けたくなければ、受ける必要はないと思います。しかし、自分のところでの事業は、私の提供できる技術を受けようとしていないことで、その技術がもたらす利益を放棄することになると認識すべきだと思います。私の提供している技術は、CMにしろ、住宅地経営の「三種の神器」の技術にしろ、私個人の独創的な技術ではなく、欧米で一般化している技術のことで、それは、HICPM以外からでも学ぶことはできますが、少なくともHICPMからは利用できないことになるだけのことであることを理解しないといけないと思います。「自分で必要な技術は採りいれます」という姿勢は、一見、自主独立を主張する日本共産党みたいに聞こえますが、私には、正に日本共産党のように自己中心的で、党やその経営者である幹部の利益が中心で、「国民を大切にしない」ことをやることになるのではないかと思っています。

HICPM理事長戸谷英世

今回此処に挿し絵代わり挿入した写真は、ピーターカルソープが設計したクロッシング(サンフランシスコとサンホセの中間にあるTOD開発です。


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