イベント情報

HICPM2011年月例セミナー

掲載日2011 年 1 月 24 日

メールマガジン第388号(1月24日)
皆さんこんにちは
1月12日から19日まで、NAHB・IBSとニューアーバニズムによる住宅地開発を調査研究するために、オランド(フロリダ州)チャールストン、ハーバーシャム、アイオン(サウスキャロライナ州)に出かけてきました。

研修のテーマと成果
今回のテーマは、「米国の長期優良住宅とTND開発視察ツアー」でした。その中で、参加者にとって最も関心の高い住宅地開発および住宅建設のテーマであり、私が特に関心を傾けたテーマは、「高密度開発のできる戸建て住宅地開発」でした。
この調査目的及びツアーの研修目的とも、今回の参加者の共通の意識と熱意により期待以上の内容になったと思います。その背景には現在の日本の経済社会環境の逼迫した背景があり、それに対し、積極的に解決を図るために米国から学ぼうとする姿勢があったから、求めていたものが発見されたと思います。

住宅産業を脅かす社会経済環境
日本ではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定:Trans-Pacific Partnership 又は Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)が大きな国民的関心になっているとおり、先進工業国のすべてで、政治経済の関心事はFTA(自由貿易協定: Free Trade Agreement)です。
私が『最高の工務店を作る方法』(Xナレッジ社刊)を4年前に刊行したときに、この問題が「住宅産業にとって重要問題である」ことを指摘し、その後も一貫して重視してきて来ました。
TPP/FTAの問題は、国内の失業の拡大と低賃金を加速し、住宅の購買能力を急速に下落させるという意味で、住宅産業にとって重要な意味を持っています。
自由化とは、自由化を受け入れたより広い経済圏において経済的障壁を取り払うことですから、その自由化経済圏全体としたら、社会的分業化が促進され、全体での総生産は拡大します。その代わり、その経済圏全体としたら自由競争による弱肉強食が一層拡大することになります。

TPPという経済環境と日本
実は土曜のTVでTPP問題を取り上げていましたが、私はこの問題をBM174号のカレントトピックスで取り上げることにして、ここではその鍵となるところを、今回の米国東南部の住宅調査との関係で報告します。
米国という国は移民を積極的に受け入れた国というよりは、移民によって作られた国です。そのため、国家の体質として自由化を受け容れやすい国です。英語(米語)という共通言語を使えれば、その社会に容易に受け入れられます。今では、スペイン語、中国語といった言語でも、その居住者が拡大したため、米国社会で受け入れられ、生活をしていくことの支障は少なくなっています。その点、日本人は米国でお金を使って買い物を詩、旅行をし、留学をしている間は、米国社会に受け入れられていたように見えましたが、お金が弱くなれば、英語の使えない日本人を相手にはしてくれません。

80万戸時代はTPP・FTA 時代の現象
TPP/FTAの社会は、金融資本が社会経済を支配する最もわかりやすい弱肉強食の社会です。日本の住宅産業で住宅着工戸数が80万戸になった理由は、金融機関のローン審査が厳しくなったためでしかありません。住宅過剰になっているとかいろいろな屁理屈をつけた説明が社会に氾濫していますが、住宅の過剰時代は1968年の住宅統計調査から現代まで一貫して継続しており、この数年に起こったことではありません。
また、日本の住宅が極めて貧しいことは、住宅の資産価値が一貫して下落していることでも明らかです。実際に世界を見て回れば「百聞は一見にしかず」で、日本よりはるかに所得の低い国でも、日本ほど貧しい住宅には住んでいません。
着工戸数が下落した理由は、国民の住宅を購入する余裕が小さくなったことです。国民の住宅購入能力とは、金融機関がどれだけ住宅ローンを認めてくれるからでしかありません。同じ所得であっても、近年、TPP/FTAの時代には、先進工業国では確実に失業が拡大するから、金融機関はこれまでのように生命保険額までの融資はしなくなり、欧米同様年収の3倍(住宅ローンは年収の2.5倍)というところに絞られてきています。

金融機関が生き残りをかけた取り組み
金融機関は、わかりやすく言えば「高利貸し」です。元利をそろえてお金を返してくれない者にはお金を融通しません。TPP/FTAの時代を作ってきた大元が金融機関です。金融機関は、できるだけ大きな利益を上げることのできる企業に融資します。大きな利益を上げることのできる企業は、より安い賃金労働者を利用できる国で操業している企業です。
日本を代表するトヨタ自動車は労賃の安い国で操業して大きな利益を上げています。そして国内のトヨタの工場は縮小し雇用機会は減少しています。トヨタだけではなく日本が誇る自動車や精密機械電子機械の会社も例外なく労賃の安い国で生産し大きな利益を上げて、国内では、操業を縮小しています。
米国では多くの国から失業者が流入しているため、これらの低賃金労働者により生産は拡大していますが、それでも住宅バブル崩壊以降は失業が大きな問題になっています。米国の多くの金融機関は国内でも利潤を挙げられる産業には投資をしていますが、国外のより安い労賃が利用できるところへの投資は大きくなっています。
もっと厳しく言えば、金融機関が生き残りをかけた世界戦略がTPPという国境という障壁を越えた金融環境の形成を生み出しています。

自由化という生存競争に乗り切れない日本
日本では、海外からの移民を極端に排除しているため、安い労働力の供給はされず、金融資本にとっては魅力のない社会になっています。利潤の上げられない産業に投資しなくなれば、雇用の機会は激減し、賃金は急落することになります。国民の所得が平均で、昨年1年間で27万円も下落した日本はまさに危機にたっているのです。
日本人は、雇用の拡大している発展途上国に出かけることも、米国のように移民を受け入れてくれるところへ移住することも、言語の問題と所得が激減することで移住もできません。結局、失業するか、それともジリ貧の賃金切り下げに応じるか、選択はその二つしかありません。
しかし、皮肉な話ですが、その日本人が国内にいる限り、衣食住は不可欠であり、中でも住宅は最も高い買い物として、日本人がこの4つの島に住んでいる限り消滅することはありません。その意味で住宅産業は、需要に合う仕事をする限り消滅しません。

「禍を転じて福とすることができるか」調査研修
ちょうど、安い価格で、衣服のデザイン需要に応えているユニクロがこの不況で高成長をしているように、低賃金化している国民の購買力に適合する住宅を供給することができれば、ユニクロのように国内産業として高成長することも可能となるのです。
住宅の価格(価値)は市場の需給関係で決定されますが、これまでのような住宅販売会社の方で「差別化と、手離れのよい」詐欺商法で儲けをあげることは、この先、まともな産業として、長続きしないことが明らかになっています。
ユニクロがやったように、個人のニーズに応えて服飾デザインができ、コストを切り下げ、購買者の購買能力に合わせて安く販売して利益を挙げるためには、よい品を安く作ることを置いてありません。では、如何にしたら安く住宅を造ることができるか。という疑問に答える回答を得るための北米研修ツアーが今回のツアーの目的でした。
米国では住宅バブル崩壊の後遺症が依然厳しい感じで残っていますが、2002年から2008年までの住宅バブル膨張と崩壊の後遺症が、依然厳しい形で残っています。しかし、現在はバブルが始まるころの住宅価格水準に、ほぼ、戻っており、被害を受けた住宅産業自体の取り組みは、これからの日本住宅産業の参考になるものでした。

2011年第1回HICPM月例セミナーの開催
ツアーの報告会はGKKの小林さんと相談の上、共同で行いますが、HICPMとしては、とりあえず、今年の月例セミナーの特別版として、次の内容で実施することにしました。ここでは、まず試験的に「米国に学ぶCM」と住宅による資産価値を高めることのできる「三種の神器」を一体化した取り組みとしての最初のセミナーです。

HICPM月例(特別版)セミナーの計画
日時:2月17日(第3木曜日)午後1時30分から5時まで
場所:NPO法人住宅生産生研究会(千代田区飯田橋2-13-3、仁籐ビル2F)会議室
テーマ:「米国に学ぶ戸建て優れた環境を維持できる低層高密度住宅開発技術」
参加費用:会員¥5,000円、非会員10,000円
今回のツアーで私が撮影した写真(約300枚)当日映写します。
当日参加者で、事前予約(電話:03-3230-4874、FAX:03-3230-2557,E―mail:infoseek@hicpm.comの方に限り,CDを無償提供します。(事前に製作する関係で参加者分)
テキスト:「超長期優良住宅地経営管理マニュアル」(会員¥10,000円、非会員15000で語購入の方は、参加費用は、無償とします)は購入は自由とします。

今回の「米国の長期優良住宅とTND開発視察ツアー」報告会は、報告書がまとまった段階で実施する予定で、別に計画していますので、後日ご案内します。
本セミナーとの関連するツアー関係部分にも言及しますが、ツアーの報告はツアー報告会で行います。今回は、もっぱらTPP・FTA時代という社会経済環境にあって、住宅購入者を大切にした、「ニューアーバニズムによる資産価値が維持向上できる低層戸建て住宅」を、「売買差益の期待できる住宅として供給するための工務店経営」セミナーを実施することにしました。


トラックバックURL:


コメント投稿




powerd by デジコム