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メールマガジン第389号

掲載日2011 年 1 月 31 日

メールマガジン第389号(2011年1月31日)
皆さんこんにちは
先週の土曜日は、諏訪2丁目住宅団地の建て替えの件に関し、住民の相談を受けました。以下いくつか断片的ですが、内容をご紹介します。皆さんも考えてみてください。

マンション建て替え円滑化法違反で進めている諏訪2丁目の問題
1.    生活者の視点から、新規購入者の視点への、視点の移動
既に建て替えに賛成することにした人たちの数人の方は、世代代わり(相続予定)の子供達に建て替え選択のすべてを任すことにより、子供達が「自分たちの住宅として、今の古い住宅より新しい住宅として建て替えに賛成をしたもの」で、現在住宅を所有している親たちは、「建て替えに賛成ではない理由」を、以下のように説明している。

(1)    現在住んでいる住宅やコミュニテイに何の不満もなく、3年に及ぶ仮住まいといった大きな犠牲をしてまで、マンション建て替えをしなければならない理由は、住宅所有者自体にはない。

(2)    建て替え自体が、「管理組合の説明のように」進むとは、現在の経済環境と住宅市場の条件では、全く考えられない。現在の経済環境を考えると、建て替え期間中に、「事業不能になる危険性」の不安が大きい。

(3)    新しい事業に向けて、東京建物は、「現況の床面積を補償し、500万円の現金を配分する」という説明で、事業に巻き込んだが、その約束を既に反故にし、建て替え事業の内容も、あてがい扶持で、住民の要求を反映しているとわけではない。

(4)    単に、「旭化成ホームズが計画していた事業に比べて、東京建物の事業は、少し得な事業」ということで巻き込まれただけで、「建て替え事業が居住者の利益になるか、どうか、ということについて、建て替え推進者ですら分かっていない。
選択肢として、現在の住宅を売却し、市場で中古住宅を物色したほうが、居住者にとって良い住宅資産形成になるかもしれない。

(5)    建て替え住宅は、東京建物がその採算価格で、建て替え賛成者という固定客に住宅の購入者に売り抜けようとしているだけで、その住宅を売却しようとしたら、未入居段階で「新築中古」であれば、半額になってしまうのではないか。

(6)    子供達が決めたことに、老い先きの短い老人たちが、「老後、子どもに面倒を掛けることもある状態で、親が自分の意見を言う」ことができない。しかし、現在同居をしていない子どもにとっては、「今の中古住宅は、邪魔」にしか見えないため、建て替えに乗っただけで、子供達の判断自体が間違っている。

(7)    住宅団地組合全体が、建て替え推進派が支配しており、そこでは反対はもとより、今回建て替え賛成に投票した人も、建て替えに疑問を投げかけることができない団地の雰囲気である。

(8)    マンション建て替えに対し、従来の住宅コミュニティーの破壊になると考えて、基本的に反対していた人たちは、この建て替え事業を一部の役員たちが強引に推進する過程で、ここでの団地生活に失望し、転出した者が多々あり、反対意見が消滅してしまい、建て替えによる欠点を指摘する意見が消されてしまった。

(9)    現在の建て替え事業が持ち込まれて崩壊した諏訪2丁目に、建て替えが中止になったとしても、かつての人間の絆を取り戻せる可能性はなく、それを訴えて取り組むことはできなくなり、反対も言えなくなっている。

2.    「生活環境へのこだわりをもてなくなった団地での住民の行動
建て替えに対する不安に対して、多くに人は、既に諏訪2丁目にはそこに居住し続ける魅力は消滅しているから、面倒な「この地へのこだわり」をせず、次のような対応をしているという意見や報告が出された。

(1)    組合が提案している建て替えは、説明どおり進むと言う保障はなく、向こう3年以降にならないと、事業自体の実現の見通しは見えないので、その間の仮住居を考えるなら、これまでの団地と関係をせず、転居してしまったほうが面倒でない。

(2)    高齢者にとっては、建て替え工事期間中に死んでしまうかもわからないので、建て替えは、既存のコミュニテイとの別離の時期になる可能性が高い。その終末を、貧しい仮住居で、これまでの生活の切り離されるならば、残りの生活を少しでも充実できる終の住まいと考えられるところに移住したい。


(3)    3年間以上の長期にわたる仮住まいという概念自体、70歳を超えた住民には想像することはできなくなっている。児童生徒にとっても、3年を超える長期になる仮住まいは、学校や友達の関係で、移住先に定住する選択になる。

(4)    建て替えに応じなければ、1、100万円の買い上げと言うが、現在売却すれば、住み続けられるようなACやインテリアがなくても、それより2~300万円位は高く売れるので、ここで反対と言っているより売ってしまったほうが楽である。

(5)    買い取り価格に示されているように、現在の取り引きでも、住居によって、800万円から1、600万円程度まで、2倍程度の価格差のある住宅を、「1律に、1、100万円」と言った理屈にも合わないやり方で推進している組合の進め方に、事業内容について正当性が見られず、不安がある。

(6)    この事業は、「マンション建て替え円滑化法で説明されている居住者の住環境の改善を実現する事業ではなく、マンション業者と一部の建て替え推進組合幹部の金儲けをもくろんだ事業」としか考えられない。

(7)    既に諏訪2丁目団地は、これまでのコミュニテイ自体は住宅地の経営管理自体が困難になり衰退方向にある状態が、今回の建て替え問題で一挙に住民関係が崩壊し、ばらばらになり、その実態は、「これまでのコミュニティを守り育てると言う考えはゼロ」で、とりあえず「建て替えで儲かる」という欲だけで、今の建て替えが繋いでいるように見える。

3.    「ゼニゲバ」(つまり、金取り合戦)に終始している諏訪2丁目の建て替え
建て替えに賛成している人も、反対している人も、すべて、住宅を「取引対象」の物としての損得でしか建て替えを考えていない。そのような理解が共通の認識として議論されてから、経済的に建て替え事業になれば、仮住宅の問題や、その後の管理費用負担に不安がある人はどうしたらよいか。と言う不安が出された。その主な意見は,以下のとおりである。

(1)    建て替え事業を決定する総会で、「既存のマンションの評価がどのようになるか」という質問に対し、加藤組合理事長が「そんな問題を今持ち出されては建て替え決議の邪魔になる」と強行に決議に持ち込んだことは、法に照らし不当というほかない。

(2)    マンション建て替え円滑化法での5分の4の賛成という判断材料として、国の補助金を使って、一応住民説明会や賛成反対の面談もして、旭化成ホームズが作成したはずの資料は、建て替え決議の検討の根拠資料としては使われなかった。共通の判断基準を使わないで、500万円の保証金の上乗せという「ゼニゲバ」での「建て替え決議」は、マンション建て替え円滑化法違反である。

(3)    東京建物は、500万円の現金をちらつかせ事業施工者になったが、経済環境が悪くなって500万円が支出できないといい、「住民を建て替えから逃げられなくして」から、条件を引き下げているのは業者選考条件違反で、不当であるだけではなく、住民の足元を見て今後の更なる条件ひき下げの不安がある。

(4)    建て替えに納得できていない人に対して、買い取り請求の文書が送られてきたり、コンサルタントの説明会があるが、困っている組合員の意見を面談するということは一度もなければ、建て替えに応じられない人向けの救済策の対応もない。

(5)    この団地には賃貸居住者も多く、建て替えとなれば権利者としての資産がない人は、要するに、犬畜生同然に出て行けということになるが、マンション建て替え円滑化法の制定時点の説明では全く考えられないことがやられていて良いのか。

(6)    建て替えに応じることができない人は、「建て替え事業の反対者」という邪魔物扱いをするのではなく、「建て替え事業を進める人の犠牲者」であるという認識をして、強制的に財産を取り上げられる人に対しては、「損失補償」を、「公共事業に伴う損失基準要綱」に倣って実施すべきである。しかし、実際は、建て替え反対者は事業の邪魔物扱いにし、損失補償の考え方は微塵もない。

4.    国家を騙した護送船団方式「ゼニゲバ」の現場「諏訪2丁目団地建て替え」
本件に関し、わたくしは補助金の不正申請、不正交付、不正利用が補助金等適正化法違反で多摩市長の処分違反を行政事件訴訟として高裁まで争い、多摩市長、旭化成ホームズ社長及び諏訪2丁目住宅地管理組合建て替え推進理事たちの不正を告訴、告発し、書類は送検までは追い込めたが、最終的には検察官の詐術で起訴猶予とされてしまった。日本の司法と行政の癒着、行政と検察との馴れ合いという不当なやり方に対する悔しさを再三甘受させられてきた。
およそ、検察、または、司法がやってきたことは、法治国の司法、行政ではなく、官民癒着の「護送船団方式」不正利益分配構造を容認するもので昔、シカゴのアル・カポネによるマフィアに迎合する「やくざ社会」の司法・行政でしかない。

5.    国土交通省の官僚が内幕の護送船団
東京都知事は、「マンション建て替え円滑化法で定めた手続きに違反して決定された建て替え決議」を前提にした建て替え組合に、設立認可を与えた。そのことに対して、利害関係者の一部は、目下、国土交通大臣に不服申請を行っている。
実はこの建て替えに関しては、現職の官僚が、不正を承知のうえで国庫補助金の交付に関係した事実があり、その官僚自身にその不正処分を指摘したとき、「自分のところに申請された文書自体には法的な違反はない」と開き直った。つまり、行政がはじめから違反を承知のうえで、政官業で口裏を合わせて旭化成ホームズを使って違反を行わせたことが本人の発言から分かった。
形式的には合法的な体裁を整え、自らへの責任追及をさせない仕組みをやった。連中は、「司法や検察が行政を守ってくれる」という馴れ合いを信じているから、物的証拠を握られなければ何をしてもよいという気持ちがあった。担当のI課長は、私には捜索健がないから証拠が挙げられないと足元を見て「戸谷さん、証拠の出せない神学論争は止めましょう」追及をおちゃらかしてしまった。状況証拠はそろっても、その官僚を法的に追い詰める犯罪を裏付ける動機と、汚職スキャンダルを裏付ける材料が手に入らないという悔しさを、そのとき、私は味合わされた。

6.    HICPMの取り組みとしての諏訪2丁目団地
そんな卑しいやからの不正を追及するために、貴重な時間を使っても成果は期待できないこと感じ、其の追及を中止しているが、責任追及を止めたわけではない。
官僚が自身の立身出世や私的な利益のために日本を食い物にしているという事実が国家の行政一般で明らかになってきているが、国民に苦しみを与えて自分の利益を平気で拡大している悪質な官僚は放置できない。特に今回、この建て替え事業で生活を破壊される人たちのうち、自らがんばっている人がいる限り、その求めがあれば何とかできるところでは支援しなければと思っている。そんなわけで、彼らの困っていることは聞いて、私の力で何処までできるかは全くわからないが、結果を先に考えるのではなく、適正な支援をしようと自分で納得できるところまで追及する。

7.    成熟する「資産価値の生まれる住宅地」を目指す取り組み
このような取り組みは、HICPMの重要な仕事と思っている。この問題は、日本の住宅問題、住宅産業の極めて本質的な問題、環境をあらわしており、この問題を介して正しい住宅産業環境が理解できると考えている。
今回の取り組みの中で、日本の住宅地経営は機能しておらず、住民のコミュニティは崩壊し、住宅は単なるものとして、ばらばらなものとして、住む人や、そこで提供できる生活の環境として、どのような人がどのようなライフスタイルを可能にするかというかは全く問題にされない。
そこでは住む人や生活と無関係な、「誰が住んでも、お金としてはどのように取引されているか」という問題としてしか理解されていない。
住む人たちの生活を支えるものとして住宅地経営があり、同じ人が同じ住宅地に住んでもそこでの生活のルールがあって、それが機能することで人びとが享受できる住生活環境には違いが生まれるという住宅地経営の考え方は全くない。
将来に向けて住宅地が住民の積極的取り組みで熟成する「住宅の資産価値が維持向上する」環境とすることができるか、それとも、無政府状態で、時が経つにつれて住宅環境が腐っていく無政府状態の「住宅の資産価値が下落していく住宅地」の違いが生まれることを具体的に示している違いが現れている。住宅地で生活する住民の生活の視点で見ることの大切さこそ、住宅問題の基本的視点とするべきものである。

8.    住宅地の市場環境の理解
この諏訪2丁目のマンション建て替え事業は、これからの日本の住宅産業の将来を正確に展望することなしには事業を展開することはできない。建設期間としても事業完成までには10年以上の歳月が掛かり、その間、事業はもとより、ここでなお居住者の生活も大きく変化することは必至である。事業採算のことだけが議論になっている。多くの事業で、事業自体は利益を生むようにする関係者の努力で、事業は完成する。しかし、当初建て替えを推進していた人の大多数の住民がそこの住み続けられなかったという事例(阪神大震災、耐震偽装、千里NTの建て替えなど)は無数にある。「一体何のためにコミュニテイを破壊してまで建て替えに賛成したのか」という反省が、この諏訪2丁目にも生まれることは、現実問題である。人々は金儲けのために事業に取り組んで、結果として、目的としたお金まで失ってしまう。
今、大手住宅会社が、詐欺価格の新築住宅を購入することの「馬鹿らしさ、空しさ」をはっきり認識した利巧な住宅購入者対象に、「詐欺価格の化けの皮がはがされた中古住宅をリモデリングした価値の下落しない住宅」販売に事業展開を拡大している。市場は、「住宅産業主導」から、「住宅購入者主導」に転換せざるを得ない背景には、ともかく「底値と判断された住宅を取引対象にして、金儲けをする」ところにまで、住宅市場が動いているからである。そのような現状の住宅産業環境の変化の理解こそ、これからの住宅産業の取り組みをするうえで重要なことになる。

(NPO法人 住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世)


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