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メールマガジン第390号

掲載日2011 年 2 月 7 日

メールマガジン第390号(2月10日)
皆さんこんにちは!

住宅産業の販売のからくり
最近、「住宅産業の販売からくり」を理解した一部の消費者の行動が注目を浴びている。その「からくり」とは、「新築住宅は、基本的に詐欺価格で販売されており、10年程度の短期間に化けの皮がはがされて販売価格の半分程度の市場の適正評価価格になる。
「市場価格の2倍もの価格で売りつけられた」という詐欺に気づいたときには、時効が成立し、追及できない「手離れのよい住宅」として政府丸抱えで販売されたことを知らされる。
そこで、住宅を買うのなら、「化けの皮がはがされた中古物件を購入すれば、それ以上に大きな値崩れはしない。」と、中古物件を購入し、それをリモデリングして住まう。という需要が急増している。その傾向に対して大手の住宅メーカーは、軒並みに「リフォーム事業」として取り組み始め、そこに軸足が移そうとしている。

この取り組みに、政府・民主党も動いており、それが今後の住宅産業の方向性を示しているとする誤った理解がある。実際には、次のような大きな疑問が提起されているのである。
■ 「建築後10年を経過した現在の中古住宅が、底値になっている」と信じ取引の対象とされているが、理論的に、これ以上に住宅価格は下落しないか。(いや、下落する)
■ 中古住宅取引とそのリモデリングによって、住宅資産価値を向上させて住宅産業は成長するきっかけを造ることが出来るか。(いや、リモデリング投資が無駄となる公算が高い)

(1)    中古住宅の価格下落の理由
ハウスメーカーによる住宅の実際のコスト(材料費と建設労務費として支払われている金額)は、販売価格の40%である。米国の金融機関が、仮に日本のハウスメーカーの住宅にローンを出すとしたら、その額は、直接工事費分(販売価格の40%)でしかない。(モーゲージの融資額は、住宅取引価格の80%で、それは直接工事費をさしている)
その理由は、住宅ローンを交付した金融機関は、「ローン返済不能事故を前提に金融を行い、競売価格でローンを回収しようとするときの額は、実際にその住宅を建築するために必要な直接工事費である」と考えているためである。

日本の金融機関は、以前は生命保険をローン債権の担保としていたが、現状では生命保険会社の倒産の危惧に直面している状況になっている。住宅バブル崩壊後の米国に倣い、住宅の購買者の実際に住宅ローン債権担保は所得ベースで考えるとして、家族年収の3倍以下の住宅価格(住宅ローン額は年収の2.5倍以下)という考え方が一般的になっている。新築住宅も、中古住宅もすべて所得ベースの住宅価格になろうとしている。その意味では、中古住宅だけではなく、新築住宅も同じように価格は、所得に連動して下落する。

(2)    過去の惰性による住宅新築住宅価格
大手ハウスメーカーやマンション業者は、依然、時代の経済環境に対応できず、高額物件は、従来同様の詐欺価格で新築住宅販売をし、販売の量的主体は、賃貸居住者を食い物にした見掛けだけ安物のアパート建設に置かれている。これらのアパートは居住者をブロイラー同然の、金融機関から相続税対策として借金した融資の返済のために建設費を家賃として10年で借り金を回収する地主の「節税対策」を目的にした高額家賃の粗悪住宅である。

これらのアパート経営は、いずれも空住戸と家賃収入との関係が計画通りに行かず、期待通りの収益はおろか、大きな負債を抱え貪欲な地主を苦しめている。
金融機関は、住宅の価格評価をする能力はなく、従来路線の変更ができず、住宅購入者の信用力も落ち、購入住宅の不動産評価を適正に実施する能力がない。そのため、住宅販売会社の信用力の大きいところ(大手ハウスメーカー)での住宅購入者には、業者の希望する融資をするという信用評価が支配的である。現在の住宅産業環境下では、「いずれの住宅会社も、いつ倒産してもおかしくない」経済環境にある。

一方、金融機関は、住宅産業界の実情を把握する能力がなく、惰性で大手企業は信用力があるという「事大主義金融」がやられているため、大きな企業ほど住宅ローンを利用しやすく、業績が拡大している。しかし、これらの大手住宅会社から住宅を購入した住宅は、いずれも中古市場で販売すれば、間違いなく10年以内に半額以下の取引価格になり、損失を被ることになる。少なくとも、販売価格操作により、生産コストと乖離した価格で販売された「詐欺価格」で購入した者は、プライス(販売価格)とコスト(生産原価)の差が大きいだけ、損失を被ることになる。

(3)    住宅の価値を決定する住宅価格
高い価格で販売した住宅は、価値が高いのではなく、巨大な販売促進費を使って高い価格で販売しただけである。販売促進費を使い果たした住宅は、「新築中古」と呼ばれて70%以下の価格でしか取引されない。やがて、年を追って住宅取引価格は下落し50%から40%に向かっていく。住宅購入者は損失を出したくないため、住宅を手放そうとはしない。その結果、住宅の取引は急激に縮小し、住宅地は居住者の高齢化が進み、居住者の所得が少なくなれば、そこでの生活は貧しくない、住環境も衰退していく。

住宅の価値とは、購入時の価格ではなく、それを販売しようとしたときの市場の取引価格である。同じ住宅でもその住宅地が衰退していけば、住宅も魅力を失い、所得の高い人は寄りつこうとしない。結果的に所得の低い人が居住することになり、住宅取引価格が低くなる。低い所得の人が購入したということは、言い換えれば、住宅の資産価値が下落したことである。
そのような意味で、「今、底値である」と思って購入した住宅が、「買い時である」と考えることは間違っている。取引価格が下降傾向を辿っている住宅に、大きな費用を掛けてリモデリングしても、その住宅地自体の魅力がなければ、リモデリングした住宅は、投資分の価値増加があると考えることはできない。「安物を買って、得をしたつもり」になって、「大きなリモデリング投資」しても、それ相当額での取引が期待できなければ、そのリモデリング投資は、どぶに金を捨てたと同じになる。

(4)    住宅地経営の重要性
日本では、「土地と住宅とは、それぞれ独立した不動産である」と間違った扱いを法律上だけではなく、住宅都市開発事業でもやってきた。戦後60年間、売り手市場を継続して経験したことから、経済環境がインフレからデフレに経済転換をしているときでも、「土地と住宅の関係(「住宅が多く建てこめば,不動産価格は上がる」とする関係) は変わらない」と惰性で考える勘違い(「貧困の集積がスラムを造る」という現実の無視)をしている。

住宅の資産価値を高めるためには、住宅地に建築される住宅が、相互に協力して、「多くの人びとが住みたい」優れた環境を造り、経営する視点を住宅産業関係者は放棄してしまっている。住宅地全体の環境( 街並み景観) を向上させることが住宅の資産価値を高めるという視点を持たないで、「他人と違う住宅が、優れた住宅の所有」と考える「差別化」販売により、住宅地全体を見苦しい無政府状態の街並み環境にし、住宅の資産価値を下落させてしまっている。

宅地開発されたときには、全く無味乾燥な「コンクリートの直擁壁で平場面積を最大に造った雛壇造成地の平場部分」に、隣地の建築には全く配慮しない住宅が、できるだけ隣地と違ったデザインの住宅として建設されていく。住宅が建ち進むにつれ、なんとも奇妙奇天烈な無政府状態の町が造られていく。
私自身、住宅都市開発公団に5年間籍をおき、都市開発したところがどのような町に成熟するかを見てきた。当時、公団が手がけた開発の中で港北ニュータウンは、区画整理で開発した首都圏最大の都心から25キロ圏の優秀な都市開発といわれ、1億円を超える高級住宅が多数建設されてきた。現在それらの住宅地の熟成はせず、腐っていっている。

つまり、多くの注文住宅と呼ばれる高級住宅は、中古住宅になって軒並みに販売価格を下落させている。住宅所有者は、売買差損を生まないように、消極的にしか売りに出さないため、居住者とともに衰退に向かっている。つまり、そこには住宅地経営が存在しないから、住宅資産価値が維持向上できないのである。

(5)売買差益が生まれる住宅
「住宅を所有すれば、長期預金金利以上の資産形成ができる。」という欧米で一般的な住宅地経営が行われていれば、誰でも「住宅を所有することは、投資すること」と考えて、住宅を所有することになる。お金が必要になったときは、自分の住宅を売却すれば、その売却益が最初の住宅購入時の価格に預金金利以上の資産価値となって売却できる。このような環境ができていれば、住宅は購入時以上の価格で売れるわけであるから、「日本で日常茶飯事となっている「住宅を取り壊すといった馬鹿げたこと」はやらない。そうなれば、日本全体の個人住宅資産が大きくなるだけではなく、国富総額を大きくすることになる。

TPP(環太平洋経済連携協定)の時代になり、労賃の高い日本のような先進工業国では、労働力を利用して利潤を上げられないため、資本は流出し、雇用機会は減少し、失業は拡大する。しかし、それでも日本人は海外に出かけて安い賃金で働くことをしないし、言葉のハンディもあって大多数は国内に留まる。つまり、日本人が国内に住み続ける限り、衣食住の需要は存在する。そのうえ、日本の住宅・都市環境は発展途上国に比べても貧しく、国民の住要求は潜在的に極めて大きい。

現在の住宅は「詐欺価格」であるため、国民は損失を恐れ、金融機関はローン事故を恐れて金融を絞っているため、新築住宅は年間、80万戸と最盛期の半分に下落している。しかし、「売買差益が生まれる住宅供給環境ができれば、年間100万戸以上の需要は発生して」当然である。その状態が日本の基本的な住宅産業環境である。

1985年のプラザ合意に先立って前川レポートが出され「内需拡大」が提起された。現在の日本の国家経済にとって、衰退する国内産業の中で年間30兆円の需要とすることのできる住宅投資を、内需の最大の軸と再認識し、それを売買差益の得られる住宅供給として組みかえれば、わが国経済の成長の大きな柱にできるはずである。

(5)    年間100万戸の住宅供給ができる環境
潜在してきた住宅需要を顕在化するための「売買差益が生まれる住宅」を供給する環境は、日本以外の欧米先進工業国だけではなく、発展途上国でやられている「極めて当たり前の取り組み」である。その基礎条件を以下に列挙する。
イ.    年収の2,5倍の住宅ローンで購入できる住宅を供給する
ロ.    住宅費負担(住宅ローン、地代、HOA料金、修繕積み立て料、維持管理料、税金、火災保険料)は、所得の25%以下とする。HOA:Home Owners Association
ハ.    住宅地が3種の神器(ハードなルール、ソフトなルール、住宅地経営管理主体による経営)により守られている一元的計画開発と管理で住宅地経営がやられている。

(6)「鬼より怖い」HOA(住宅地経営管理協会)
(5)の中の「ハードなルール」としては、「人間の絆」を大切にしたニューアーバニズムの計画思想と計画技術による住宅地の空間計画と管理がされるルールである。
「ソフトなルール」は、住宅の資産価値を守りたいと願う住宅所有者全員が入居時に承認した契約である。ソフトなルールは、住宅地経営管理団体が環境管理のため、イエローカード(罰金)とレッドカード(先取り特権)の行使することを入居条件とするものである。
この住宅地は、住宅所有者全員が強制参加する住宅地経営管理協会の一元的な経営管理ができるものである。

その方法は、住宅地開発業者は開発事業開始時点から事業完了後にわたって、住宅地経営管理協会と表裏一体的な住宅地開発事業において専門知識と経験を生かした維持管理を実施し、住宅地の健全な経営管理を行うことである。
住宅地のソフト及びハードなルールは、紳士協定ではない。政府とは「暴力装置である」と社会科学的に説明されるとおり、住宅地経営管理協会のルールは、最終的には国家権力の暴力(強制権)によって担保されなければならない。住宅地におけるマスタープランと住宅地経営管理基本契約(ソフトとハードなルール)は、契約自由の原則を定めた日本国憲法により、国家が暴力によっても守ることを裏書したルールである。

住宅の資産価値を守ることを目的にして結成された住宅地経営管理協会は、レッドカード及びイエローカードの行使を承認した基本契約を背景に、協会の実行部隊として住宅地開発業者がその分身として住宅地の行政実務をになうことにより、「契約自由の原則の下で定められたルールの実施を担保する。
米国で「鬼より怖いHOA」という話をよく耳にするが、住宅地の統治は強制権を背景になされるもので、サンドバックになる行政実務担当者は、ルールを守らない人にとっては「鬼より怖い」ことになる。住宅地開発業者や建設業者は、縁の下の力持ちになり、地場に根を張っていくことになる。

(7)2011年第1回HICPM月例セミナー:「三種の神器」とCMのご案内
今年度最初の月例セミナー:工務店のための「三種の神器」とCMの合同講座は、以下の要領で実施いたします。
セミナーテーマ:売買差益の得られる住宅地経営の「三種の神器」とCM
日時:2月17日、午後1:30~午後5:30
場所:住宅生産生研究会セミナールーム
講師:HICPM理事長.戸谷英世
参加費用:「三種の神器」テキスト代(¥15,000円、HICPM会員¥10,000円)のみ、ただし、テキストを既にお持ちの方は¥5.000円
セミナーのやり方:OHPを使い、できるだけ具体的な事例(HICPMが指導した国内事例「長期優良住宅:街造り」(泊まり山崎ガーデンテラス、横浜ガーデンヒルズ)などによる説明
申し込み:電話、FAX,E-メールで、お申し込みください。 戸谷 英世


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