メールマガジン

メールマガジン第301号

掲載日2011 年 2 月 12 日

メールマガジン第391号(2月14日)
皆さんこんにちは、
先週は京都で目下取り組んでいる事業に対し、取り組むべき方向として提案した「基本的な10か条の考え方」は、現在の住宅に対する共通する取り組みと考えている。1985年時点のプラザ合意に臨む時点の日本は、「経常収支が著しい黒字になり、国際経済バランスを崩していた」。日銀総裁前川春雄が纏めた提案(前川レポート)は、巨額な外貨保有をしていた日本が国際社会の中で果たす役割を提起していた。
一方、現在の日本は財政赤字で国債の評価が下落し、TPP(環太平洋戦略的経済協力協定)の時代を迎え、先行きの見通しが暗く、産業により基本的環境は大きく相違している。
しかし、共通する基本的な点は、国内で頼りにできる持続可能な産業は、住宅産業を措いてない。住宅産業政策は国家の基本産業政策によって、国内的にも国際的にも重要な経済成長を果たす。それは、「国民が国の経済力に見合った豊かさを享受でき」、かつ、住宅投資額は年間30兆円もの巨大規模になる。住宅投資は経済成長に応える「内需拡大政策」により、国民の要求と国際的な経済バランスの両方に応える鍵を握っている。

「前川レポート」の提言 (抜粋)」
国際協調型経済を実現し、国際国家・日本を指向していくためには、内需主導型の経済成長を図るとともに、輸出入・産業構造の抜本的な転換を推進していくことが不可欠である。適切な為替相場の実現及びその安定に努め、金融資本市場の自由化・国際化を一段とおし進め、国際協力により世界へ積極的に貢献していくことも重要である。これらの実施に当たっては、税制を含む財政・金融政策の役割も重要であり、特に貯蓄優遇税制については、抜本的に見直す必要がある。
1、内需拡大
外需依存から内需主導型の活力ある経済成長への転換を図るため、この際、乗数効果も大きく、かつ個人消費の拡大につながるような効果的な内需拡大策に最重点を置く
(1)住宅対策及び都市再開発事業の推進
住宅政策の抜本的改革を図り、住宅対策を充実・強化する。
特に、大都市圏を中心に、既成市街地の再開発による職住近接の居住スペースの創出や新住宅都市の建設を促進する。併せて都市機能の充実を図る。 その際、留意すべき事項は下記の通りである。
1.    民間活力の活用を中心に事業規模の拡大を図る。そのためには、規制緩和の推進、呼び水効果としての財政上のインセンティブが必要である。
2.    住宅減税の拡充・強化。
3.    地価の上昇を抑制するための措置を講ずる。例えば、線引きの見直し、地方公共団体による宅地開発要綱の緩和、用途地域、容積率の見直し等。
4.    地権者調整の迅速化を図る。
(2)消費生活の充実
経済成長の成果を賃金にも適切に配分するとともに、所得税減税により可処分所得の増加を図ることが個人消費の増加に有効である。また、労働時間の短縮により自由時間の増加を図るとともに有給休暇の集中的活用を促進する。労働時間については、公務・金融等の部門における速やかな実施を図りつつ、欧米先進国なみの年間総労働時間の実現と週休二日制の早期完全実施を図る。

前川レポートを蹂躙した日本の政治の解説
1.    国民生活ではなく、業者の金儲けのための住宅投資
前川レポートは歪められて使われ、バブルの遠因にもなった。分かり易く結論を言えば、日本政府は、輸入住宅政策として取り組んだが、それは護送船団方式で、消費者に巨大なローンを背負い込ませて実際のコスト(原価)の2倍以上の価格の価値があると信じ込ませる詐欺商売で金儲けをする政策でしかなかった。宅産業界は巨大な利益を上げ、それに群がる政・官・業が護送船団を構成し、利益を分配して経済成長を謳歌し、日本経済をバブル経済として膨張させた。
国民もバブルの影響で潤い、一時的には「花見酒の日本経済」を楽しんだが、その最中にバブル崩壊で住宅ローン破産、自己破産、自殺を惹起した。政府は住宅政策が、バブルの重要な原因であったことをまったく自覚していなかった。

2.住宅産業界のために税金の浪費となった景気刺激策
景気が急落したとき、政府は「住宅による経済効果が投資額の3倍である」といって、バブル経済崩壊後の景気立て直しに、20兆円以上の住宅政策として、財政・金融措置を講じた。その結果、住宅産業だけはバブル崩壊後3年近く潤った。そして、政府は国民の巨大な借金を組ませて消費支出を煽った。財政・金融政策は投資額の半分以上は住宅産業界の粗利に消え、住宅による景気刺激政策は完全な失敗となった。その政策責任を全くうやむやにし、政策の失敗のすべては住宅購入者の借金として、また政府の1000兆円の財政赤字の主要な原因となり、その後20年に及ぶ「不毛の日本経済」の原因を作った。

3.狂った地価に依存する日本経済

日本の金融は、基本的に土地信用神話に依存した「土地担保金融」で成長し、その巨大債務にしばられ手身動きできないでいる。その結果、「地価を下落させては金融機関の命運がかかる」という構造が出来てしまっている。その上、「地方公共団体の財政も住民税と固定資産税と都市計画税に依存し、地価を下げさせては困る」という財政基盤の上に築かれている。
土地が供給過剰になっているにもかかわらず、政府はその過剰量を公表せず、地価操作をし続けているため、高地価が日本経済の足をしばっている。土地の需給市場は、上記の金融機関と行政の影響で、地価は上方硬直している。そのため、政府や金融機関が関与する土地価格は高止まりしているが、国民が住宅を売却しようとしたときには、地価吊り上げ機能が働かず、実際の需給関係が顕在化し大きな損失を被ることになる。土地が住宅の取引に介在しないようにするためには、リースホールドによる住宅経営とし、地代は、土地管理費以上の利益(国債の利回りの2倍以上)を得られるような額とすることにしなければならない。

4.官僚の老後生活保障の住宅政策
現代でも年間30兆円近い住宅投資が行われているにもかかわらず、国民が生活を犠牲にして巨額のローンを組んで行われている住宅投資は、全く経済成長政策に貢献していない。それは、高地価と住宅地環境形成と無関係な形で、お金のムダ使いを目的とする「長期優良住宅政策(住宅性能表示・補償保険)」の名の下で、無政府的な住宅投資となっているためである。
巨額な住宅投資が役人の老後保障のための外郭団体や天下り産業のための経費として奪い取られているからである。そのすべてが住宅産業界全体からみると、既存住宅資産の消滅額(新築住宅の詐欺価格と、資産価値増にならないリフォーム投資と住宅建て替えによる)30兆円とほほ同額で、国家全体とすれば住宅資産全体を増加させていない。即ち、「住宅を投資すれば、確実に資産を失うことになる」という結果となっており、国民を豊かにする住宅投資ができていない。

現在の住宅地経営環境に対する認識(積極的な評価)
TPP(環太平洋戦略的経済協力協定)時代における国内産業の中心は「衣食住産業」になる。その中で最も大きい住宅産業が欧米工業先進国に倣って国家の中軸産業となるためには、これまでのような「国民を犠牲にした住宅産業の金儲け」であってはならない。
わが国の住宅環境及び住宅は、発展途上国に比較しても貧しく、国民が住宅を取得することで資産を失っているものであるが、その間違った住宅産業政策を断ち切り、世界の多くの国で当然のように実施され、また、戦前のわが国でも当然と考えられていた「住宅の価値が、長期預金金利以上の資産価値が維持向上するような住宅地」として計画され、経営運営されなければならない。そうすれば、住宅は取り壊されなくなり、住宅を取得することで資産を形成し、「いざというときに、購入時以上の資産として住宅を所有する国民を経済的に守る」ことになる。

住宅が国富を拡大するための「10の取り組み」提案
第1.    社会経済環境

工務店を含む住宅産業関係者は、TPP時代に入り経済が国際的永久を直接受けるようになっているため、まず現代の社会経済環境がどのような方向にあるかを、地球的規模で正しく理解しなければならない。住宅購入者の購買力を決定する大きな要素は、国民所得と、金融機関に住宅ローンに対する考え方が基本的な要素となっている。
1.    社会経済環境の変化(購買力の下落、販売量の減少)
TPP時代は、国内失業率の拡大、賃金の下落傾向は拡大し、先行き不透明な時代が継続する。その結果、住宅販売に関し、消費者の購買力は現在の年収400万円時代から10年後の250万円時代に向けて、一貫して縮小するだけではなく、先行き不安により購買は慎重になり、市場での住宅販売は基本的に買い手市場として推移する。

2.    金融機関の判断の変化(米国のバブル崩壊以来)
消費者の購買力は、基本的に金融機関の融資額で決まる。これまでの金融機関は、基本的にクレジットローンにより、個人信用を限度に住宅金融が行われてきた。クレジットを保障するものが個人の生命保険であった。しかし、現在保険会社の信用自体が不安視され、金融機関は、「住宅バブル崩壊後の米国に習い」個人の実際の信用として所得をベースにした住宅ローン(世帯収入の2.5倍以下のローン)に向かっている。

第2.住宅地計画思想と計画技法の変化
これまでの自動車時代は、「利便性をお金で買う」大量消費時代を象徴する時代である。これからは家計支出が縮小し、1台の月間自動車維持管理料「10万円」を浪費する生活から、自転車や徒歩・大量輸送機関依存のような支出削減が、食糧自給、エネルギー消費の削減などを目指す方向に向かう。しかし、家計支出を縮小しても、生活の質を向上する要求に応えた住宅地計画技法への転換が取り組まれる。
3.    車中心社会(アーバニズム)から人間の絆中心(ニューアーバニズム)
生活の機能性、利便性を重視する車社会を対象とする住宅から、世界は、セキュリテイと人びとの生活文化を大切にする「人間の絆」を重視する徒歩での豊かな生活空間を形成する住宅地計画思想(TNDとサステイナブルコミュニティ)を生かした住宅地計画技法・ニューアーバニズムに移行している。

4.    環境とエコロジーに対する地球規模の考え方の変化(ビオトープ)
地球規模での環境対策、エネルギーを重視した住宅地に対する国民的支持、期待が拡大している。人間も自然体系の大きな仕組みの一部として、水、緑、太陽、風、生物の循環を計画に採り入れたエコロジカル(生態系と既存の自然体系の強化)な環境の担い手となることが求められている。その体系を積極的に強化する住宅地として、動植物の命を守るビオトープ<水>を取り入れた住宅地造りが、住宅地開発の基本条件となっている。

第3.住宅地経営方針の転換

社会・経済環境が今後急激に変化することから、長期的計画をしっかり立て、短期的な経営環境の変化にも対応できる住宅地経営が求められている。そのためには全体計画を立案し、市場の購買力を考え、不動産在庫を最小限にした開発をすることが必要となる。
1.    大規模開発短期販売方式の破綻からステージ・コンストラクション
都市整備公団経営破たんの基本的の原因は、大規模な熟成期間の長い開発方式を、経済環境の低成長時代にも続けたことにある。初期段階の巨大投資は住宅地経営環境を厳しくすることから、販売の見通しのできる単位ごとに開発するステージコンストラクションとする。開発は「スモールイズビューティフル」のような小さくて自己完結できる開発とする。

2.    「差別化・手離れ良好」方式から、「住宅地経営管理」方式へ
住宅販売を確実にするためには、資産価値が維持向上する「売買差益の得られる住宅」を供給する。そのためには、建設される住宅が家計支出の範囲で容易に購入できるとともに、各住宅が相互に尊重しあって相乗効果を上げて住宅地環境を形成することが肝要である。次の二つの原則を守る住宅供給をすることである。
(1)    世帯の年収の2.5倍以下の価格で取得できる住宅価格で販売する
(2)    住宅地が計画どおり、「三種の神器」により経営管理さ
れる

第4.住宅産業の経営方針の転換
これまでのわが国の住宅産業は、「建設サービス業」と政府自身が産業分類してきたように、工事成果を流通させる「重層下請け構造」を前提とした「粗利総額重視の取り組み」であった。これからは、住宅産業は世界の常識に倣って、不動産製造業として、「生産性向上による期間当たり利益の最大化」という産業の取り組みを重点としなければならない。
1.    「総額粗利」追及方式から、「期間粗利総額」追及方式へ
住宅産業として重要なことは、住宅地経営者にとっては経営期間当たりの粗利総額であり、建設労働者にとっては期間当たりの労賃総額である。それを実現するためには生産性を向上することである。米国の住宅生産性は、日本の2.5倍であることが、企業の期間あたりの粗利と建設労働者の期間当たりの賃金を高め、住宅産業を健全にしている。

2.    建設原価圧縮によるCM(ムリ、ムダ、ムラ)の実現
土地の高密度開発を土地利用の重層化により実現し、宅地開発をせず、宅地開発費用を事実上ゼロにする。使用する建材料を最小にするためにエンベロップの面積を最小(キューブ)にし、現場での加工をなくし、組み立てのみで、ディテールを標準化、規格化、単純化、共通化し、発生建築廃材を最小にし、労務時間を短縮する。

第5.住宅の営業販売
これまでのような捕まえた顧客には、「注文住宅」という売り込みで抱きこみ、「供給する住宅は良い住宅だ」と説得して販売するという「公告宣伝費を駆使した押し売り」を止めなければならない。顧客の需要に適した住宅を顧客が安心して選択できるような供給方式を進めることが必要である。
1.    需要者像を明確に絞り込んで、合目的的な住宅供給を図る。
「わが家、わが街」を意識することのできる帰属意識を持つことのできる街並み景観とライフスタイルの実現を重視した街造りとする。「差別化」をせず、個性を尊重する「民主主義の実現(F・L・ライト)」する住宅地とする。

2.    徹底したプロが提供した選択肢によるホームプラン・注文住宅方式とする
住宅地の街並み環境の担い手として用意されたプロの設計者による住宅デザインの中から選択するホームプランシステムにより、住宅購入者に高い満足を与え、既存住宅市場で「売買差益」実現する住宅を供給し、かつ、現場生産で、高い生産性を実現する。

この詳細に関しては、HICPM月例セミナーで具体的な事業伝取り組みとの関係で説明することにしているので、ここで紹介している内容を実践し住宅地経営を考えている方は月例セミナーにご参加ください。今月は2月17日住宅生産生研究会セミナールームで13:30-17:00まで実施します。


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