メールマガジン

メールマガジン第395号

掲載日2011 年 3 月 11 日

メールマガジン第395号(3月14日)
皆さんこんにちは
強制立ち退きの正当性を問う脅迫状の送付
多摩ニュータウン諏訪2丁目住宅団地の建て替え事業組合が認可され、早速建て替え事業に参加できない区分所有者に対して、住民に対し合理的説明もされないマンション建て替え円滑化法第3章第4款第75条を根拠として、第62条に違反する供託金が支払われ、可及的速やかに明け渡すように、建て替え組合代理人弁護士名で請求書が、該当する住民に対し「脅迫状」として送られてきました。

国会・衆参両院の付帯決議の蹂躙した東京都知事
東京都知事がマンション建て替え円滑化法に基づき、建て替え事業組合を認可した処分が、「同法第4条に違反」してなされた建て替え推進決議及び建て替え決議を前提にするものであるから、法律に違反した手続きによる建て替え事業組合認可処分は無効とされなければならないはずです。
しかし、東京都知事の処分に対し、国土交通大臣に提起された不服審査請求は、第126条第1項の第9条第1項の規定により不服申し立てができないとして却下されましたが、マンション建て組合設立の認可基準(第12条第10号)に違反して認可された処分である。それは第126条第1項も記述されていないから、審査請求却下の処分は法律上の条文に照らして正当性がないと私は考えています。
民主党政治が混迷している理由は、法律を守ろうとする姿勢がない事です。よって、法務大臣を相手に訴訟をしても解決できないとも考えていますが、しかし、「それでも、日本は法治国」というところに賭けたいと思っています。

国会の議決を蹂躙した国土交通大臣
マンション建て替え円滑化法は、個人の財産を侵奪する強制法規ですから、憲法29条に抵触する可能性が極めて高い。その立法に当たっても、衆参両院で各党とも『国民のために立法をする』建前の付帯決議がなされました。しかし、この付帯決議を取り入れた同法第4条が、先に指摘した組合の設立認可の基準(第12条第10号)として明記されているのですが、それを東京都知事は蹂躙し、建て替え事業組合の認可を下したのです。
その結果、都知事から認可を受けた組合は、立法当時、社会が危惧していたとおり、業者の利潤追求と一体となって、「建て替えに応じない邪魔者は出て行け」という住民切捨てを進めています。それであるにもかかわらず、この不法行為を、マンション建て替え円滑化法の立法当時の国会審議経過を無視した東京都知事だけではなく、国家(国土交通大臣)までもが、不法行為許可するお墨付きを与えました。その結果、民主主義を破壊する事業が大手を振って進める理不尽な行動を、社会として阻止できないでいます。

建て替え事業に応じられない正当な理由
本建て替え計画により供給される住宅は、これまでの居住者にとって共益費、税金、維持管理費、組合費、保険料等が高くなります。仮に、権利変換による負担がなく、既存マンションと同じ住宅を手にすることができても、収入の少ない年金生活者には住居費負担が過重になり過ぎて生活することが困難になっています。マンション建て替え円滑化法では、このような事態が発生しないように,勧告マンションに対しては第5章の規定が置かれています。
しかし、マンション建て替え円滑化法は、その立法に当たり、建て替えにより、そこに居住することが困難な者に対して、十分な配慮をするべき付帯決議をしました。しかし、今回のように一方的な、「保証金を供託したから、住宅を強制的に明け渡しをさせてよい」という法律ではありません。
第4条の基本方針は、憲法29条の例外の許容できる安全弁として設けられた民主的な手続きです。本事業で特に弱者救済に対しては、「落ち度のないよう」にマニュアルとして定められました。
しかし、諏訪2丁目住宅団地管理組合としてだけではなく、建て替え事業組合としても、権利変換に応じることのできない人の事情調査を一度もしないまま、事業をごり押しし続けているのです。東京都はもちろん、多摩市の行政も不法行為をやってきた組合の言いなりです。

憲法第29条の例外扱いという厳しさの認識の欠如
本建て替えが、マンション建て替え円滑化法第4条で定められた基本計画の内容手続きとして当時の建設省が定めた2つのマニュアルによる手続きを踏まず、「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」のいずれに置いても、マニュアルに従った手続きをしないで強行されたことにあります。
今回転出を強要されている区分所有者に対する事情聴取はなく、その支援対策もなく、建て替えに応じることのできない者は、犬猫同然で、「これまでの住宅を粗大ごみにしてもいいと考えている人の既存資産評価」で補償したとして明け渡しを求めることは、マンション建て替え円滑化法の立法時の法律解釈、建設事務次官通達に違反した事業の施行です。

既存資産の評価(第62条)と第75条における第62条準用の解釈
マンション建て替え円滑化法第62条または第63条で定めている「近傍類似の土地又は近傍同種の建築物に関する権利の取引価格」を、以下に掲げる憲法第29条との条文の規定との関係で考える必要があります。
1.    憲法第29条は、財産権は、これを侵してはならない。
2.    財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
3.    私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。
第62条:施行マンションの区分所有権等の価格の算定基準
平成23年3月3日、建て替え事業組合理事長から権利変換に応じられない区分所有者に通知された供託金は、以下の理由で第62条の規定に違反するものです。
つまり、マンション建て替え円滑化法により建て替えに賛成をしていない者は、憲法第29条の例外として、強制的に建て替えに応じることを余儀なくされ、その代償としては、第75条に定める第62条で定める方法で算定した補償金を支払うべきことを定めています。
本事業で権利変換計画を受け入れて建て替えに応じる者(第58条)に対する扱い(第63条)と、それを受け入れられなくて転出を余儀なくされる扱い(第62条)とは、基本的に権利の評価について違った扱いをすることが、条文の文言は同じですが、内容が基本的に違うことになります。それにもかかわらず、それを同じ扱いをしています。

(1)第58条の場合(権利変換を受け入れる場合)
マクロで見ると、既存の不動産資産としては、更地の土地の上に建設廃棄物としての取り壊しをしなければならないマンションがあるわけであるから、更地価格マイナスその土地から、排除を必要とする建設廃棄物の処理費用、及び、更地にする上で補償しなければならない費用とを差し引いた額を第63条に定める方法で計算することになることを定めた条文です。
この考え方は、一般の個人住宅の建て替えの場合も同じです。即ち、建て替えを決定した人にとって、その既存住宅(建築部分)は、建設廃棄物として処分しなければならないマイナス資産であって、その更地価格から取壊しに要する建設廃棄物としての現存する施設を取り壊す費用を差し引いたものが現資産です。そこでは、既存の住宅を取引きした場合という選択は入りません。すべて廃棄処分にする廃棄物となります。

(2)第75条の場合(強制的明け渡しを要求される場合)
本マンションは、取壊し勧告を受けているマンションではなく、市場で既存のマンションとして、1000万円から1600万円で流通しているもので、通常、新規入居者は、AC(エアコン)をいれ、断熱、気密、防音工事をし、キッチンを新規設備とし、浴室を改装し、500万円前後のリモデリングを施して、新築マンション購入同様の気持ちで入居してきました。そのため、居住者の事実上のマンション取得は、1500万円から2000万円の支払い額相当の価値を認めて入居してきたわけです。つまり、このマンションの効用を認めて居住している人にとってのマンションの価値は、そのマンションを取得したときの価格となります。
そこで豊かな生活を継続できると考えていた人は、強制的建て替えにより、その住宅資産を奪われるわけです。その人に対して損失補償をするのであるから、その資産の保証額は、所有者に提供していた効用のある資産を、現時点で手に入れることができる費用を補償しなければ損失の補償にはなりません。その考え方は、「公共事業の施行に伴う損失補償基準要綱」で定めるものと同じですから、その算定に準じるものでなければなりません。
つまり、現在の土地に現在建っている建築物と同じ設計図を用いて、同じ材料で建設した推定再建築費に基づく見積額の補償がされなくてはなりません。マンションには、修繕積立金が積まれていて、それにより必要な計画修繕が行われることで、マンションは建設時の効用を恒久的に持続できることができるからです。
当然、補償物件の評価には、推定再建築費の見積額に加えて、明渡しに伴なう損失補償を行わなければ、第62条の計算結果に基づく第75条に基づく適正な「補償額」とは言えません、今回の供託された額は、その規定によるものでなければなりません。

(3)建て替え組合の損失補償としてなされた供託金の額
組合は、(2)に該当する者に対して、(1)による計算を持ち出し、現実の660戸は、その立地条件とマンションの階数により最高価格と最低価格との間には2倍以上の価格差があるにもかかわらず、一律に1,170万円の供託金により、第75条に適合した補償をしたとする処分は法律に適合しているとは言えません。今回供託された額は、(1)第58条を団地全体に適用した場合の平均値の計算結果と推測される第63条の概算額でしかありません。第63条を第62条と扱うことはマンション建て替え円滑化法違反というべきです。

そこで、非供託者である諏訪2丁目の住民は、とりあえず第75条(補償金)及び第76条(補償金の供託)に関し、その処分の不当性に関し、第126条の規定に基づく不服審査請求をすることになります。そして、不服審査請求と並行して法務大臣に対する訴訟を始めることになります。このことに関し、マンション建て替え円滑化法に違反した事業がまかり通ることを、私はどうしても容認することができません。
(HICPM理事長 戸谷英世)


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