メールマガジン

メールマガジン第395号

掲載日2011 年 3 月 22 日

メールマガジン第395号(3月22日)
皆さんこんにちは
先週は㈱大建による「荻の浦ガーデンサバーブ」開発許可の変更の件で福岡県庁に出かけてきた。開発許可権者としての福岡県の指導は、以下の通り、ひどいもので、事業者㈱大建は時間に縛られ、「泣く子と地頭にはかなわない」ことを確認させられることになった。

PUD(プランド・ユニット・ディベロップメント:計画的一団地開発)(「三種の神器」による住宅地開発)における避難施設計画
㈱大建が「荻の浦ガーデンサバーブ」として開発している18戸の開発は、50戸未満であるため、「一団地の住宅施設」として都市計画決定はできないが、「2以上の建築物のある一団の土地」で、法律上その土地に建築される建築物全体が「一の敷地」に建築され、建築物全体を「一の建築物」とみなして扱うことになる。
そのため、この敷地の開発に当たって築造する避難施設に関しては、道路、通路、渡り廊下等の方法を計画上の意図に合わせて任意に採用することができる。任意設置による道路は、設置自体は開発事業者の自由な計画によるが、道路として計画するものは、都市計画法第33条第2項で定める「道路としての技術的基準」に適合しなければならない。
(株)大建による「荻の浦ガーデンサバーブ」で計画した道路は、開発計画上緊急時の道路利用を法的に確保する道路として計画したもので、これまで「一団地の住宅施設」内に、道路を計画する場合と同じである。これまでの多くの公営住宅団地と同じように、「住宅棟前のアプローチは通路として計画し、団地内の幹線道路は,道路として計画するやり方」と同じである。その道路は地方公共団体の道路に管理移管するものもあれば、住宅団地で管理してもよい。

開発計画と開発許可の法律適用
㈱大建が、「荻の浦ガーデンサバーブ」で開発している事業はPUDで、この開発地に計画する道路は、「一の敷地」内の道路であるから、法律上設置を義務付けられる「義務設置の道路」ではない。そのため、開発許可制度により道路として整備する方法に関しては、㈱大建自体が、開発業者であると同時に開発地全体の経営管理者として整備し、管理することを前提に、開発許可の審査がされなければならない。
㈱大建の「荻の浦ガーデンサバーブ」の場合には、開発許可を必要とする規模の開発である。しかし、大建自身が道路管理者であるから、第32に規定された同意事項は適用されない。開発許可権者は同意書が不要であることを理解できれば、道路に関する開発許可嬢で開発許可権者のする事務は、それ以上の審査をする行政事務自体は存在せず、公共施設の管理者との「同意」の確認をすることが、開発許可に関する審査権限である。
都市計画法第33条に規定されている開発許可の基準は、公共施設の整備を規定しているが、それらは、それぞれの公共施設の管理者が遵守すべき基準として決められているものである。そのため、その審査は公共施設の管理者が開発事業者からの協議を受けたときの審査する事項であって、開発許可権者の審査事項ではない。
それを福岡県は勘違いし、権限を行使できるところは、なんでも「審査基準が存在すること」を口実に、開発業者をいじめてやろうと考えている。権力の座にあるものは、自分の実力以上の権力を行使することにより、それを自分の能力と勘違いして満足している。すべての権力を行使する立場にある者が、行使したがる極めて卑しい権力欲である。

福岡県の開発許可の審査基準
審査基準に記載してある道路に関して、福岡県の開発許可担当者は、「審査基準の道路の説明図には、幅員6mの道路内には、一切の工作物も植栽も記載されていないから、路面しか認めない」と断言した。法律上委任の規定がない審査基準の道路の説明図を、法律で定めた開発許可の基準同様に扱い、「道路を公園的に利用したり、道路に駐車することは認められない」という条件で開発許可を行うと言明した。
つまり、「道路と計画したところには、計画の如何にかかわらず、駐車は認めない、植栽は認めない、水路は認めないということが、開発許可の審査基準である」という福岡県庁の開発許可行政の立場が示された。
開発担当者との協議に当たって、法律上の判断は行政(福岡県)がするから、それに従うようにという「行政の判断が優先する」という基本対応であった。しかし、許認可権を持っている行政機関の判断が正しいと決まっているわけではない。
法律は、国民がその法律の立法趣旨、国会での審議経過を踏まえた法律文の文理に照らして国民が納得できる解釈をするものでなければならない。法律の適用に当たっては、主権在民の原則にたち、国民の利器を最大にするよう行政は正確に法律適用をしなければならない。
それらの法律論を一切排除して、行政権者が法律解釈を先験的に実施するものではない。行政担当者が法律上の根拠を示さないで審査基準に従うことを強要するやり方は、民主主義国家の行政ではない。間違った靴に合わせて足を切り、無理に靴を履かせるようなものである。

福岡県の開発許可審査基準の性格と「一団地の住宅施設」
福岡県の開発許可に関する審査基準は、サブディビジョン・コントロール(「一敷地、一建築物」による開発手法)を前提に、公共団体の道路等公共施設の管理移管を前提に作られたものである。それはこれまで日本で一般的になさられてきた「売り逃げ開発を前提にしたサブディビジョン開発」という「地方公共団体に道路管理を押しつける開発を前提にした道路」の築造基準として定められたものである。
サブディビジョン(「一敷地、1建築物」)開発の場合には、多くの場合開発事業者は、宅地を販売してしまうと道路等の公共施設の管理を放棄してしまうことになる。そこでサブディビジョン開発に対しては、開発事業者が開発後の管理をしない公共施設に関しては、都市計画法で定めた開発許可に当たっては、開発計画に先立って、予め、開発事業完了後の管理者と管理に関し協議をすること(都市計画法第32条)を定めている。
「売り逃げ業者に対する指導」としては、開発後の地方公共団体の道路管理上、「地方公共団体の管理に移行できる道路として築造すること」を行政指導することは、適切な指導である。それは、道路管理者が32条に基づいて協議する際の審査基準であって、開発許可権者が審査する基準ではない。その場合の基準としても、開発許可の基準として強制することのできる範囲は、都市計画法第33条で規定している以上の内容を決めること自体、道路管理者に対する適正な行政ではない。
つまり、開発許可権者の事務を行う都市計画課は、開発申請者の求めに対し、道路管理者が応じた「同意書」のあることの審査をするべきであって、道路管理に関し、道路管理者に代わって、審査する権限は、都市計画法上で付与されていない。

「笑止千万」の福岡県の都市計各行政
㈱大建の計画は、任意設置の道路は、袋地状に計画され、基本的に歩行者中心の住宅地として計画されているため、道路を平常時は公園として造り、車を進入させないことにし、非常時には、消防車や救急車も入れる計画となっている。また、幅員10メートルの道路には住宅地の居住者の車の駐車を認め、道路には、水路を作り、植栽をし、ビオトープのある町とするものである。
福岡市の唐人町には水路のある道路があり、同種の事例は全国に多数ある。また、多くの道路で路上駐車を道路管理者が認めている例は、すぐれた国道、剣道、市町村道に無数にある。㈱大建の住宅地開発は極めて意欲的なものであるが、その中の部分の計画としては、国内にもいくらでもある事例である。
それにもかかわらず、福岡県の開発担当者は、開発許可の審査基準に記載してある道路に関して、「道路の説明図には、幅員6mの道路内には、一切の工作物も植栽も記載されていないから、路面しか認めない」と、道路の説明図を法律同様に扱い、「道路を公園的にも利用し、道路に駐車することも認められない」という条件で開発許可を行うと言明した。つまり、「道路として計画したところには、計画の如何にかかわらず、駐車は認めない、植栽は認めない、水路は認めないということが、開発許可の審査基準である」という開発許可行政の立場が示された。これは理解し難い処分である。

「泣く子と地頭には勝てぬ」
「あほらしくて話にならない」といっても、それで開発許可の変更を認めないというのだから、徹底的に争うか、福岡県の言いなりになるか二者択一である。私は闘うべきであると思っても、開発許可権者と闘えば、間違いなく工事が遅れ、㈱大建に大きな損失を与えることになる。㈱大建に不利益を与えるわけには行かない。理不尽この上もないことが分かっていても、「狂人や、犬畜生と真面目に喧嘩すれば、大きな損を被る」という譬えは、分かっている。そこで、今回の福岡県との協議は、同じレベルに立つことは止め、後日を期して県庁から退散した。
これまで私が、東京で行政不服審査や行政事件訴訟をしてきた理由は、行政の不正、権力の乱用を阻止するために、法律で定められた手続きに従って、不正と闘ってきた。同様に、今この問題に対して行政を正常にしない限り、これからの福岡県の開発の重大な誤りが生まれるため、何とか福岡県の開発行政の是正のための対策を講じなければと思っている。
(住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)


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