メールマガジン

メールマガジン第413号

掲載日2011 年 7 月 19 日

メールマガジン第413号(7月19日)
皆さんこんにちは

ニューアーバニズムの計画理論の原点(英国の工場町)の研修ツアー報告

(7月7日ー14日)

住宅地開発も住宅地経営も
今回は「住宅による資産形成を実現している欧米の住宅地経営」の原点となった19世紀末の工場町と20世紀初めのガーデンシティが、100年を超える歴史を経てどのようになっているかということを確かめるための研修旅行でした。
今回訪問したマンチェスターの近くのアルパカの毛織物工場町ソルティアは、世界遺産の歴史的町並み(伝統的建造物群保存地区)に指定されているところです。当地は、始めての訪問地ということで大いに期待して訪問しました。建設当時から会社が倒産するまでは、立地環境にも恵まれ、非常に文化的な町として発展したことが伺われます。しかし、現状は衰退した過去の栄光を見る思いで、カドベリーによるボーンビル、ラウントリーによるニューイヤーウイックというチョコレート工場町や今回訪問したリーバーによるポートサンライトとは全く違い、工場町がいかに工場の盛衰に左右されるものかということを見た思いです。資産形成の実現できる住宅地は、造るときに優れた計画でないと実現できないことは言うまでもありませんが、その後の住宅地経営管理がその鍵を握っていることを改めて確かめることが出来ました。

住宅地に求められる開発主の志の高さ
それに比較し、リーバー社のポートサンライトは、今回3回目の訪問になりますが、改めて多くの発見がありました。最近の米国の住宅地開発に当たって、開発業者がチャーターとか、マニフェスト、とか、デクラレーションとか都市開発の基本憲章を大きく掲げています。ポートサンライトを見て、そこでの居住者の説明を聞いていると、住宅地開発に当たっての開発業者の事業への取り組みの高い「志」が如何に重要であるかを感じさせられます。創業者のリーバーはすでに亡くなって半世紀以上経過していますが、ポートサンライトに生活している人の中にリーバーの高い志が息づいていることを痛いほど感じました。リーバーがポートサンライトに築き挙げようとしたものは、パリ改造計画を進めたセーヌ県知事ジョルジュ・オースマンがシャンゼリゼ通りや、マルセイユのリパブリック通りで道路を公園として造ることを提唱し、実践した近代都市としてあるべき公園都市の実現であったのです。歴史学者ギデオンの解説に依れば、オースマンの考え方は、19世紀末のバナキュラー(土着的)な歴史文化を人びとが享受できるように、都市を市民の憩いと交流の場に返さなければならないという考えです。その後、オースマンの考え方は、ハワードのガーデンシティの近代都市計画の考えとなって体系化され、都市づくりに導入されることになります。それを決定的にしたのが、リーバーによるポートサンライトではないかという気がします。

ニューアーバニズムと「三種の神器」
今回の研修ツアーの具体的な目標は、住宅購入者に「資産価値を高めることのできる住宅地経営をするためにどのような取り組みをしなければならないかを、100年の歴史的なタイムスリップしてみることで考えてもらうことにありました。HICPMの約20年の活動を通して、優れた住宅地を計画し、築造し、そこに居住者が住宅を取得することで資産形成を可能にするメカニズムがほぼ確認できました。その結果、日本国内でも実践できる知識と技術を行使できる環境が形成されるようになってきました。それは、一言で言えば、先月HICPMで纏め出版した「三種の神器」による「サスティナブルコミュニティの実現」(HICPM発行¥1,500)に取りまとめられた内容です。
その骨子は、次のようなことを基本にしています。
まず「誰に対しての住環境を造ろうとするのか」、「対象者の年間所得はいくらで、その2.5倍以下の住宅ローンで住宅を供給するためにはどうしたらよいか」
次に、「居住者がその住宅地をわが街、我が家と考えて、主体的に環境の担い手になるためには、どのような理念と取り組みが必要とするのか」
そして、住宅購入者がいざというときに、「その住宅が住宅購入者に対して、常に購入時の購買価格以上の資産価値を維持向上するためには、どのような管理のシステムが必要か」

日本は果たして民主国家でしょうか
住環境は人類の発生とともに形成され、人類が滅亡するまで継続するものです。その中には大きな成功をし、住宅購入者を幸せにしてきた住宅地がある一方、住宅を購入したためにローン破産に追い込まれ、ローン事故はたくさんの住宅購入者を自殺に追い詰めました。東日本大震災のように大きな自然災害にあった場合、日本以外の国であれば、住宅不動産を失った人に住宅ローンだけが残り、住宅を手に入れようとすれば2重ローンを組まなければならないということはありません、2重債務に苦しまなければ住宅取得ができない国は日本以外にありません。欧米では、住宅を失えば、住宅ローンも消滅しているのです。
日本も文化国家であるというのならば、政治家はもとより学識経験者と自認する人は、すくなくとも東日本大震災で住宅を奪われた人の住宅ローンは、政治の力により銀行債務は帖消しにすべきです。そのうえで、金融機関への助成を考えたらよいのです。主権在民の国家と口で言いながら、真面目に納税義務を果たしてきた国民に対して、国民が財産を奪われたことに対して、憲法という国家と国民との間の社会契約で国民に保障した約束を、国家が履行しないでよいという理由はありません。

HICPMの基本的な取り組の姿勢
日本では住宅産業が世界に例を見ない程成長し、大きな利益を上げました。官僚たちは、民間住宅産業及び外郭団体に不正な方法で巨額な利潤を得させた「詐欺幇助」の利益配分を、官僚OBの多数雇用を強要する方法で、その分け前に与っています。販売価格に対して実際の原価が40%でしかない住宅に、住宅金融公庫が業者の言いなりの金融を実施してきました。住宅金融公庫が、住宅産業の言いなりの不正な融資を半世紀も続けて、住宅産業は不当な巨額利潤を手にし、急成長をしただけです。その陰では、国民は例外なく、住宅取得で資産を失い、多くの人が、ローン破産や自殺に追い込まれてきました。
住宅性能のどれ一つとして、その性能を価格で表示することができません。それにもかかわらず、「高い住宅性能表示されたものは価値が高いから、高額な販売ができる」と御用学者を動員して宣伝してきました。住宅産業界は「性能表示制度」を利用し、護送船団方式で、国民に住宅の詐欺価格販売をしてきたのです。性能は、使用価値(効用)であって、価格であらわされる経済的な価値ではありません。
日本国以外の国の多くでは、金融機関が資本主義的合理性を発揮し、モーゲージにより住宅の現在及び将来の融資期間内の住宅の取引価格の評価をし、住宅ローンを実施してきました。住宅産業は資本主義社会の土俵のうえで「等価交換」をしてきました。
HICPMは日本国憲法を信頼し、資本主義制度をベースにした法治国の実現を目指して、不正を厳しく批判するとともに、世界の資本主義工業先進国の理論と実践を、「実現している優れた事例の必然性」学び、それを日本国内で実現することに取り組んできました。

今回の調査の成果
今回は英国とドイツで19世紀末から20世紀初めの現在に「ニューアーバニズム」のモデルとなった住宅地経営の事例を中心に7事例と、最近の都市環境形成技術と歴史文化を街造りに生かした事例を3例、合計10例を調査検討することができました。
その中で、今回特に関心をもって調査したことは、HICPMが現在推進しているリースホールドによる街づくりと、リースホールドからフリーホールドへと移行している英国の住宅地から、その制度上の有効となる制度の適用上の境界条件を見つけることでした。住宅の資産価値が急激に上昇している住宅地においては、キャピタルゲインをより完璧に手に入れようと、リースホールドからフリーホ―ルドヘの激しい移行が見られますが、それが住宅地家環境管理に放置できない問題を内蔵し始めていることを発見することができました。これらの問題は、今後さらに追跡調査をする必要があると考えます。

これからの取り組み
HICPMがこの数年「月例セミナー」をとおして取り組んできた「三種の神器」と「CM」教育は、日本の不動産産業がこれまでの政府の言う「建設サービス業」という詐欺産業ではなく、世界の不動産産業同様、不動産製造業に立ち返って、その産業に必要な知識、技術を学び実践することをしない限り、未来はないと痛感してきました。不動産製造業は、土地の加工業であり、その利益の最大化は生産性の工場を措いてなく、1戸の住宅を造ることで大きな利益を上げるのではなく、生産性を上げて期間当たり粗利と、職人の期間当たり賃金の最大化を追求することでなければなりません。そこで今回の研修旅行で学んだことも追加して、今後月例セミナーの充実と派遣セミナー、企業へのコンサルタント、事業支援を強化する予定です。

(NPO法人 住宅生産生研究会 理事長 戸谷 英世)



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