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メールマガジン第415号

掲載日2011 年 8 月 1 日

メールマガジン第415号
皆さんこんにちは
今日は「アメリカの住宅産業界からの東日本大震災復興提案」について紹介します。
日本政府の無責任
東日本大震災が発生して5ヶ月目に入っています。政府は「対策をやっている」というジャーナリズム向けの宣伝ばかりをやっていますが、実際は復興事業を担当する組織(復興省)も軌道に乗らず、予算も国会世審議中で既存の予算を使って応急仮設住宅が建設されています。これも災害の大きさを見て建設を急いだだけで、被災者のニーズとかけ離れた「高台に建てた被災者の生活無視の収容施設」であるため、空き家が続出しています。

地元の有力な建設業者に対し、「緊急対策」を口実に、大手建設業者中心の「談合」で応急仮設住宅の建設が進められた。ある大手業者は50億円を売り上げ、「思わぬ利益を上げた」とほくそ笑んでいました。これらの応急仮設住宅は1戸を半日で組み立てられるほど規格化され、住宅部品供給業者にも建設業者にも大きな利潤を配ることのできるものです。被災者本位ではなく、材料メーカー及び供給業者と建設業者に利益を供与することが主目的の事業となっています。
その住宅の屋内環境は、短命の木杭の上に、政府の進める「高耐久・性能住宅」になっています。しかし、仮設住宅は「休耕田」中心の敷地に、「アウシュビッツの木造の急造の第2収容施設」以下の屋外環境に全く非人間的な住宅地として、空地なく詰め込まれています。職場との往来もできない高台の遠隔地に建てられた応急仮設住宅に、産業基盤を奪われ、再生の目途の立たない企業や企業自身が喪失して、失業中ではあるが働く能力のある人を押し込んでいるのが現状です。やがて、そこは、希望を失った人たちを、貧困と犯罪を生み出させる危険な温床に追いやることになる場所となることが危惧されています。

被災者を蚊帳の外に置いたジャーナリズム向け「見せ掛け」政策
政府が、現地調査もできていないのに、災害規模の大きさとしてジャーナリズムで報道される数値に対応した「机上の空論」の仮設住宅計画でした。それは被災者数に対応した数の仮設住宅を緊急対策として建てるべきだと考えた粗末な計画でした。その資材供給を官僚中心に、これまでの護送船団方式でそのロジスティックス(兵站対策)に取り組んだものです。そのやり方は、大きな建設産業需要の発生は、住宅産業に神風が吹いたという感覚で、外郭団体を通じて、「緊急対策という口実を使って利益を護送船団内部で囲い込もうと考えたものです。

国土交通省、経済産業省が中心になり、外郭団体や、コンサルタント、大手商社等官僚の「息」の掛かった組織団体を使い、巨額な応急仮設需要を前提に建材供給予測をし、その発注対応に取り組んだのです。短期発生する応急仮設住宅需要に、国内の建材在庫で対応できないので、それぞれの組織は、いち早く資材を確保しようと海外に供給の打診を行い、その情報が重層し指数関数的に海外に拡大したため、日本には巨大の緊急住宅建材需要が発生しているということになっていきました。

全米第二の建材流通業者は役員を日本に派遣し、多くの資材供給業者が最高級のホテルを予約して来日し、商談を成立しようと期待しましたが、悉く期待は裏切られ、失望して帰国していきました。

日米同盟を背景にした米国からの支援提案
日本の経済力は低迷し世界最大の財政債務を抱えた日本政府が、東日本大震災からの復興に適正な対応ができなければ、極東の力関係に大きな影響を及ぼします。震災復興の遅れは、被災国日本はもとより、米国にとっても世界にとっても好ましくないと判断されています。そのことから、オバマ大統領は菅首相に対し支援を申し出ていました。しかし、菅首相は日米同盟と震災対策の関係の意味が分っているようには思えません。

また、日本から政府及び官僚の空騒ぎが米国の産業界に巨大な復興需要が生まれているという情報が伝わったこともあり、米国のあるコングロマリット(複合企業群)でこれまでハイチやフロリダなどで大きな復興事業に取り組んだ実績のある企業も日本からの複数の情報に応えて支援を申し出てきました。その取り組みに当たりその窓口業務を依頼された財団の責任者が、HICPMのホームページに掲載した東日本大震災復興提案が目に入ったということで協力要請があり、その仕事に関係することになりました。

HICPMの提案は、災害復旧及び災害復興は、まず、被災者の救済を基本に於いた取り組みをすべきであるとしました。そして、過去の事例としては自然災害ではありませんが、1929年の米国発の世界恐慌時のルーズベルトによるニューディール政策に対する取り組みにおいて、まず、被災した国民の救済を行い、次にその債務救済の犠牲を払わされた金融機関を政府が救済したことを見習うことが民主国家の基本であると考えました。それを今回の東日本大震災においても実施すべきであるという主張をしました。

HICPMが纏めた米国に求める東日本大震災復興援助
財団では、HICPMの提案を軸に、具体的な方法として、次のような対策を日本では望んでいるので、その取り組みをして欲しいという希望を米国に提起することになりました。
その期待する環境があるかどうかを調査するためのファクト・ファインディング・ミッションが米国の民間企業グループで結成され、日本に調査にやってきました。そのときの日本側の対策の主なものは以下の(1)~(5)です。

(1)リースホールド事業とSPC
津波によって不動産を失った者に対しては、土地経営管理の特別目的会社(SPC)を設立し、震災前の不動産評価額の株式を発行し,その株式の30%を国家が額面価格で購入(資本参加)し、その購入価格で土地のインフラ整備を実施します。そうすれば、この土地は、日本の穀倉地帯、世界の三大漁場、世界のハイテク工業部品生産基地という優れた経済環境を潜在的に持っている地域ですから、20-30年以内には被災前の経済活動を回復することが期待されるので、株式価格は、その時点には戻ることになると考えられます。
現時点での土地利用で地代を支払う能力はないため、地代はゼロですが、株式取引価格は20-30年で、ゼロから被災前までに回復するとすれば、そのSPCの株式は、急成長する株式として取引価格は十分期待でき、資金に困った罹災者の経済支援にもなります。

(2)モーゲージによる住宅金融システム
資産が津波に流されて、債務だけが債務者に残っている国は、世界の先進工業国だけではなく、世界中のどの国にも見当たりません。それは住宅金融がモーゲージであるためです。日本もこの機会にこれまでのクレジットローンをモーゲージにするとともに、少なくとも今回の津波災害で住宅を失った人の住宅ローン債務は、米国のニューディール政策の取り組みに倣って、まず金融機関が債務を放棄することを政治的に決めることです。次に金融機関の失った債務を(1)の不動産株式を取得し救済することにすれば金融機関が震災復興に貢献できるのです。金融機関や海外の投資家にとっても、SPCの株式取得は、長期的に見れば高利回りの期待される資産購入になると考えることもできます。

(3)建設業を不動産製造業にする経営条件の整備(CM)
震災復旧、復興を直接になう建設業者の重層下請け構造をなくします。これまでの公共事業に見るように重層下請けの累積粗利が請け負い工事費の4分の3に上っています。その粗利は、発注者(官僚、公務員、公社公団)のOB雇用(骨拾い)のための費用、その背後で天の声を発し、政治献金やパーティ券を買わせている政治屋にお金を配るために使われています。その巨額の費用を切り捨てるため、基本的に「一層下請け」構造による建設業にします。つまり、「建設業」をサービスから「製造業」への体質改善をする対策です。
そのため、これまでの建設業を「建設サービス業」という産業分類から、「不動産製造業」という製造業の産業分類に改めるとともに、建設業経営条件として建設業経営管理(CM)技術を経営条件とし、これまでの談合と下請けの上前をはねる経営体質を廃止します。CMは建設業者の必須の業務知識として大学または高等教育機関で教育します。

(4)ニューアーバニズムによる災害都市復興都市計画
東日本大震災復興は視点を変えてみれば都市復興の事業です。それを居住者の生活中心で考えたときの都市、つまり、これまでの人類が取り組んできた中の都市計画技法として最も優れた方法としての欧米での結論は、ニューアーバニズムです。ニューアーバニズムによる取り組みは、都市政策で大きな成果を上げたクリントン・ゴア民主党政権のとき纏めた「ビルディング・リバブル・コミュニティ」の取り組み方法と一体的に震災都市の復興計画で実践します。災害復興都市計画を居住者が豊かな生活を実現することを中心に置いて進めることが必要げす。

(5)都市の復興計画の中心に大学高等教育機関の導入
これからの都市の復興にはIT技術と人材養成が不可欠であり、スタンフォード大学とシリコンバレー、MIT,ハーバード大学とボストン・トライアングルなどのように大学と都市とが相互作用を働かせることが出来る大学を取り込んだ都市計画を災害地復興の柱に据えます。これは戦前の高等工業学校(戦後の国立工業大学や国立大学工学部の前身)が地方産業の基盤作りに大きな役割をはたした日本の経験でもあります。

米国からのミッションの評価と国会議員の対応
以上の提案は、短期間に集中的に取り組まれなければ、日米同盟としての目的を果たすことはできないという認識については、米国からのファクト・ファインデイング・ミッションからも大いに共感を受けました。ミッションの来日時の国会議員らに行ったパワーポイントによるニューアーバニズムのプレゼンテーションは大変好評でした。
その中で、米国からのミッションのニューアーバニズムの説明の主要ポイントは以下のようなことでした。

米国ではサステイナブルコミュニテイの実現に向けてこの30年間に、大きな成果を上げました。特にHICPMが欧米の「住宅による資産形成」の手法として紹介し、工務店の住宅地開発の技法として推進してきた「三種の神器」は、今回来日したニューアーバニズムの専門家たちからも、米国において、地域の活性化と住宅の資産価値の向上に実績をあげている方法であると説明されました。

特に、1993年から米国の住宅都市開発省(HUD)が、都市衰退地区の再生技法として取り組んできたHOPEⅥ計画において、ニューアーバニズムがその基本的な技法として取り入れられ、非常に優れた成果を上げてきた実績が説明されました。聴講した代議士から大きな関心をもった質問が飛び交っていました。この調査団の調査結果はこれからの米国側からの対応を待つことになります。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)



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