メールマガジン

メールマガジン第417号

掲載日2011 年 8 月 18 日

メールマガジン第417号(8月15日)
皆さんこんにちは
このお盆はちょっと大変であった。高齢のマンション所有者(債務者明け渡し義務を課せられたということで債務者の立場に立たされた))が裁判所により強制執行された。住宅を奪われ、一時、行方不明になり、その捜索と、その後の応急的な住居確保に大変手間取ってしまった。

「人権侵害の明け渡し執行」を無効とし、2人の債務者の人命を救出せよ
去る8月10日、2人の80歳前後の高齢の債務者が、裁判所の「建物明け渡し断行仮処分決定」に対し、納得できず、異議申し立て及び「執行停止仮処分申請」をした。それにもかかわらず、その審査決定も通知されず、事情もわからないまま、裁判所の執行命令が実行に移された。その執行吏により、2人の債務者は強制的にその所有する自宅マンションから裁判所の使達吏の命令と、約30人に及び、補助作業員による強制的な自宅からの追い出しにより、一時賃貸居住者の住宅に仮住居後、その後、「2人は、行方不明」の状態になった。
私は、前日、参議院議員の人権は弁護士代議士に事情を説明しご意見を伺ったところ、執行吏に、実際上、移転できない説明をすれば、2週間程度の猶予は得られとのことであった。このことは、後日、裁判所に問い合わせたところでは、執行吏の権限で、事情により2週間程度の猶予を与えることができるという説明と符合するものであった。私は、8月11日には「裁判所の執行吏」に対する執行停止願いの文書の相談を受けそれを作成し、執行は延期されると信じ、2人に「私は出張で、当日はいないので、それを執行吏が来たら事情説明の文書を渡すよう」に伝えた。

裁判所の執行吏は暴力的
当日は私自身の業務で関西に出張し、現場に出かけられなかった。自体は私が2人に指示したように進んだと思っていたので、その後4日間の盆休みで東京を離れており、8月15日に帰京したところ、2人の債務者と連絡は取れず、2人のうち一人は、野宿を余儀なくさせられていたとのうわさがあった。当日9時に裁判所より執行差し留めの仮処分は却下されたとの通知があり、その30分後、建て替え組合の代理人弁護士2名と裁判所の執行吏が約30名くらいの年齢20代の若者を同伴して強制執行を実施し、債務者はマンション外に放り出された。債務者は、私が用意した執行吏に対する文書を手渡す余地もなく強制執行されたという。
団地にはなぜか、強制執行されない(立ち退きの緊急性の認められない)で現在も居住をしている賃貸居住者が生活している。その人たちから、「2人の行方は分からず、連絡も取れない」、そして、70歳代後半になろうとしている2人は、まさに、「都市難民」となって、生命の危険に晒されているとのことであった。彼等の相談になってくれる人は誰もいなく、救出をしない限り、生命に危険が及んでいると考えられた。多摩中央警察に捜索依頼をする一方、建て替え組合理事長や、組合弁護士に電話を入れ、情報提供を依頼したが、留守電であった。勿論、「都市難民として追い出した」組合には、彼等を救出する意思はなかった。

2人の債務者の考えていること
2人の債務者は、債務者の裁判における「債権者不適格」の事実が全く解明されておらず、明け渡し仮処分の通知を受けた後も、その決定は「法律に違反した決定である」と信じ、異議申し立てをしたが、その処分を決める以前に強制執行が行われた。彼らの権利を不当に奪った法律違反の建て替え組合の成立自体も究明しないまま、裁判所の「債権者の地位を確定した決定」は明らかな憲法違反裁判である。彼等は、不当裁判により「債務者としての地位が確定したもの」である。不当裁判の結果の決定は、二人の債務者が受け入れられることのできない内容であった。2人に対し、「決定後1週間で明け渡せ」といっても、仮にその決定が合法的であると認めざるを得なかったとしても、以下の理由でそんな短期間(7日間)には、は人権侵害であることは憲法上の規定に照らしては勿論、マンション建て替え円滑化法上もあってはならないことは明らかである。
(1)明け渡しに代わる住宅が見つけることは、事実上、不可能
(2)家財道具一切を奪って、「出て行け」という扱い、生活の基本を破壊
これは、司法による事実認識の欠如による人権侵害の重大な誤りであり、可及的速やかに、是正されなければならない。少なくとも、その処分者の「所在と安否」確認は、人権問題として、裁判所の責任で、建て替え組合と一体となって、行われなければならない。

日本の裁判の実体:エスカレーター方式による責任後回し方式
マンション所有者(債務者)は、裁判所における所有権移転の裁判の係争中であるほか、本建て替え組合の不当性を問題にして東京地方裁判所で係争中である。「疑わしきは罰せず」の「科罰の原則」に立ってみても、債務者の裁判所決定に異議申し立て中であり係争中の裁判いずれでも、この債務者は、加害者ではなく、被害者である事実を主張し、その事実は何一つ否定されていない。
今回の強制執行により、2人の債務者は生活の根拠を奪われ、目下係争中の裁判の継続自体が、著しく困難に陥れられ、国民の憲法で保障された裁判を受ける権利を奪われた。特に、同じ団地にいる賃貸住宅居住者に対しては、今月末までの居住を求めていながら、この2人の居住者に対しては、これまで組合側は、何一つその生活基盤の相談はおろか、意見を聴取することをしておらず、裁判になって始めて債務者に対して、「仮に住み替えに応じる」とした場合の代替の住宅候補を債務者の要望を全く無視して一方的に提示するという不当な対応である。

マンション建て替えの強制権の根拠:二つのマニュアルによる民主的な手続き
国民の権利が不当なやり方で権利が奪われることがないようにマンション建て替え円滑化法第4条基本方針で明確に定められ、その内容をより具体的に説明するとともに実施の具体的なやり方を二つのマニュアルで定めている。このマニュアルは、第4条の内容を具体的に定めたもので、その位置づけが法律そのものの解釈であることは、法律の立法経過で明らかなとおりである。
しかし、建て替え組合がこのマニュアルをことごとく蹂躙してきた事実をマンション所有者(債務者)の準備書面で明らかにしてきたことから、マニュアル違反の事実を否定できなくなった建て替え組合(債権者)は、マニュアルは単なるマニュアルで法的拘束力はないと開き直っている。
これまでに、本建て替えで5億2千7百万円の国庫補助金を不正交付申請し、不正使用したことで多摩市長が自治法上の行政事件訴訟で争われたとき、多摩市長はマニュアルに沿ってやってきたことを弁明してきた。それは「マニュアルに違反をしていない」と言い抜けることのできる情況(旭化成ホームズが補助金の不正使用をしていたことが、暴露されていなかった当時)にあったためであった。しかし、今では、「建て替え推進決議」も「建て替え決議」のマニュアルに全く違反したものであることが明らかになって隠しおおせなくなっているため、建て替え組合は本裁判で開き直ったのである。

緊急避難
翌日になって、途方に呉れていた一人の債務者から連絡が入った。彼は、強制執行翌日から、連日真夏日が続いている中で、野宿をしながら、私と連絡を取ろうとして心細かった、といい、やっと連絡が取れたと安堵したのを見て、ひとまず胸をなでおろすことになった。野宿で約1週間を過ごしたとのことでやつれていたが、気は張っていたので、早速当人と基礎的打ち合わせをしてから、多摩市に出かけた。そこでは多摩市の建て替え事業に対する行政上の責任を追及する一方、強制立ち退き者の宿舎の提供に関し、組合に提供させるべきことを多摩市に対し交渉した。多摩市は強制立ち退きを知っていて「民・民(民間同士)の問題には行政は関与せず」と公正な行政をやってきたといった。多摩市はこれまで、「補助金適正化法に違反して、補助金を不正交付し、建て替え促進した結果の一部」が、今回の住民切捨てになっている事実を反省せよと詰め寄り、多摩市は違法な強制建て替え組合に対し、緊急避難用宿舎提供を多摩市の行政責任として交渉させた。その結果、当面4日間ホテルでの居住を組合費用で確保することができた。一方、債務者が発見される前に、債務者の発見が出来なかった時点で、以下の趣旨の抗議文書、私は裁判所に対して送付した。

裁判所への文書
債務者には、今回の建て替え事件で「非」とされる法的事実はなく、本人たちは一貫して、裁判所を信じ、当然、勝訴となると考えていた。何故、裁判所が、法律を繰り返し犯してきた者である「建て替え組合」の言いなりになっているのかは、まったく理解し難い。少なくとも、債務者たちに審尋において、その事実を主張させる場を与えないで、今回の決定をしたことは、およそ法治国の裁判ではない。今は、それより先に2人の老人の安全の確保と、安心できる生活を回復させることに今回の明け渡しを執行した非人道的な強行処分をファッショ的に被害者住民(債務者)の事情も聞かずに実施した「下手人」として、裁判所は謙虚に反省をし善後策を取らなければならない。
私としては、この2人の裁判所における法廷の補佐人を勤めたことから、目下連絡が取れず、対応できず、2人の心中を察すると、無法な法治国にあるまじき国家権力の仕打ちに絶望していると考えられる。少なくとも現況を調査し、小生に連絡されるよう要求する。
しかし、結果は、予想通り「なしのつぶて」である。彼等には、国民のことなど「爪の垢」程度も気に掛ておらず、目先の文書を「自分の前から、次ぎの担当者に送ること」しか考えていないのである。

一連の対応で見えてきたこと
今回の問題は、私たちの側としては、民亊保全法による裁判の位置づけを、私も含め債務者がよく理解していなかったことにもあるが、基本的には、国家(裁判所)が初めから違法建て替え組合の代理人として、スケジュールとして民亊保全法の手続きで、事務的に決められたとおりの強制執行をやり、裁判所が基本的に何も機能していなかったということである。裁判所は法律に基づく審理もしなければ、その決定を出すに当たって、決定の効果が重大な人権問題になることすら考えようとしなかった。この問題はこれからも継続するため、問題の中間総括をしなければと思っている。(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世



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