メールマガジン

メールマガジン第432号

掲載日2011 年 11 月 28 日

メールマガジン第432号(12月28日)
皆さんこんにちは
信州街造りセミナーの応援
12月26日には、信州からYさんが信濃での街づくりの取り組みをしておられるので応援をしようと、HICPMのセミナールームを使っていただき、私もそのセミナーに参加しました。Yさんは、コウハウジングについて欧米各国での取り組みを視察され、それを信州でやりたいと考えておられました。Yさんの考えてこられた街造りのイメージを写真やインターネットから集めた資料をパワーポイントに整理し、約1時間半のセミナーとして実施し、それに基づいて意見交換をしました。

コウハウジングの取り組み
信州の八ヶ岳の見える高原で、農業をしながら、晴耕雨読の生活にインターネットを活用しておられました。Yさんはこれまでサステイナブルコミュニティに大きな関心をもち、信州に、欧米のサステイナブルコミュニティの調査をしてこられた方を講師に呼んでセミナーを実施し、自らも頻繁に欧米に出かけ、輸入住宅を建設するなどを通して、理想の実現に取り組んでこられた方です。しかし、その取り組みも、この経済の低迷する時代に、身動きがとれず、本業の住宅開発はあきらめ、コウハウジングなど欧米で草の根的に取り組んでいる事業を、同志を集めてやれないかという模索の段階のようでした。

アグリカルチュラルアーバニズムとアグリトピア
私が数年前まとめて出版にはこぎつけることが出来ず、コピーサービスとして対応している「アグリカルチャーアーバニズム」のレポートを、事前にYさんに送付して読んでもらっていました。その内容に対し、大変興味をもたれ、中でも、ビルダーズマガジンにも紹介した「アグリトピア(アリゾナ)」について、もっと知りたいということでした。Yさんの年齢は60台半ばですが、フットワークもコンピューターの活用もご熱心で、いろいろな情報を集めておられるということは、事業推進者として優れたプランナーにめぐり合えば、新しい仕事に取り組める基本的な条件を備えているということと思います。

ニューアーバニズムによる「三種の神器」:荻浦ガーデンサバーブ
しかし、HICPMで纏めた「サステイナブルコミュニテイの実現」という冊子に登場する国内での事例になる事業を組み立てるようにするためには、欧米の事例の背後にある土地と建築物との関係、都市開発の制度、都市関係法制度、都市の理論、ニューアーバニズムによる「三種の神器」といったより基本的な知識と技術を学ぶことが必要になります。
私自身、福岡県の㈱大建の「荻浦ガーデンサバーブ」の開発を社長の松尾さん以下社員の方々と足掛け3年取り組んできました。松尾さんには、私と一緒に、米、英、独と欧米に出かけ、「欧米の都市の論理と実際」を見聞してもらい、具体的事業の計画作成から事業の実施段階まで、社員を巻き込んで全体で取り組み、それは目下も進行中です。
開発に当たって、九州大学との「緑」と「水」に関する二つの住環境に関する共同研究も取り入れ、HICPMと共同して取り組み、多分、20戸弱ですが、住宅地開発では、日本でも最も先端的な、欧米の進んだレベルと肩を並べることのできる事業が実施できています。

HICPMのやってきたアシスタント
その中でHICPMの果たしている役割は、まず、欧米の優れた住宅地開発事例が事業として成立している必然的理由を解明し、それを㈱大建の事業の中に読み替えて、具体化していることです。次に、それと併せて、現在の日本のおかれている住宅産業の基本問題(住宅購買能力の縮小と、異常な高値硬直化している地価を住宅価格に反映させない方法)として欧米で取り組んできたリースホールドやアタッチドハウスの技術に取り組むことです。そして、断熱型枠を利用したコンクリートの船(人工地盤)、AC(エアコン)を使わないで済む微小地形の環境形成や地下の恒温性を利用した地下水循環やビオトープのパッシブソーラーとアースシェルター技術、といった問題を取り入れるうえでの事業の理論と法律上の実践に関する相談役になっていることです。

HICPMからYさんへのアドバイス
私が今回、Yさんへのアドバイスで一番重視したことは、どのような取り組みをする場合も、「その事業を、どこでやるのか」という場所(立地)をまず決め、「開発事業地全体を一人の土地法人の下で経営管理すること」が、第一に必要であるということでした。
住宅地開発の住宅建設も全て、「土地を加工する事業であるから、まず、事業をする土地を確保することが全ての事業の始まりです。その土地は土地所有者(土地管理法人)に、住宅地経営により、十分満足できる配当として地代を支払い、不要な税金を支払わないようにすることです。そのためには、住宅経営事業地は、一人の土地法人の所有する土地とすること」が条件となります。基本は、エベネッツアー・ハワードが、「ガーデンシティ」の中で提唱した「都市経営の方法」に立ち返らなければなりません。

「三種の神器」
その次には、その住宅地に生活してもらう対象者を明確に決めることです。その後は、入居対象者の支払い能力と、その生活文化要求を具体的に明らかにし、そのニーズに応えることです。その際、これまでの都市開発及び都市経営の中で試行錯誤がなされ、そのひとつの結論として、「ガーデンシティの理論」を現代に読み替えた「ニューアーバニズム」による計画論に立って、街造りを計画します。
その計画は、開発地の歴史と文化、そこに入居を予定する人たちの担っている歴史と文化を組み合わせた開発の「ストーリー(開発のコンセプト)」と「ヴィジョニング(形と衣装による空間のデザイン)」を基にして、町のハードな計画(マスタープランとアーキテクチュラルガイドライン)を作成します。そして、ハードな計画に対応した強制力を行使できる住宅地経営管理のソフトなルール(CC&RS)を作ります。それを住宅地経営管理協会(HOA)が都市経営を行い、そのHOAの裏方として住宅地開発業者が都市経営管理の実質的な行政を担うということが不可欠となります。

最良のテキスト:HICPM刊「サステイナブルコミュニテイの実現」
口で言い、文章で書くことは簡単なことですが、実際にこの簡単なことが、多くの人の力をあわせない限りできません。日本の大学で都市工学や建築工学を学んだ人にはできません。欧米の人文科学として大学で学習する都市学や建築学で学ぶと同じことを試行錯誤しながら実施することになります。
HICPMで刊行している「サステイナブルコミュニティの実現」(オールカラー:¥1500)は、ニューアーバニズムの理論をわが国で実践しようとして取り組んだ約12年の軌跡を理論と実践とを照合して解説した冊子で、多分、日本の工務店にとって、既存の住宅地開発のテキストの中では、日本で唯一の実践的なテキストではないかと自負しています。

現地見学会と研修セミナーのご案内
「荻の浦ガーデンサバーブの現地見学会」は12月7日GKK・HICPMの研修ツアーとして実施しますが、少し大人数になるので、事業を実施している㈱大建の松尾社長以下、社員の方から事業主として「生の経験談」を参加者に提供できるように、質疑応答と現場の開発の見学を通して、うまく参加者に学習してもらえるように工夫されています。当日はその事業を説明した資料とCDなどの資料を配布してもらうことにしています。
11月29日にはシカゴのマコーミックセンターで開催されたNAHBリモデラーショウとシアトルで解されていた「リモデラーツアーの研修旅行報告会」をHICPMセミナールームで開催します。最新の米国住宅産業情報をお伝えすることができると思います。
詳細な情報はGKKのホームページをご覧ください。
なお、Yさんの長野での晴耕雨読の活躍ぶりは、パソコン情報の「蓼科だより」を検索してごらんください。「蓼科だより」は一週一回無料配信されております。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)



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