メールマガジン

メールマガジン第443号

掲載日2012 年 2 月 16 日

メールマガジン第443号(平成24年2月13日)
皆さんこんにちは

2月13日は米国のシーサイドにいます。このメールは米国に出発前に作成したものです。

荻浦ガーデンサバーブで顧客の立場に立った説明
2月2日と3日に、福岡県の大建で、荻浦ガーデンサバーブの工事の詳細の詰めと販売に関し、松尾社長以下と検討をしました。年末年始の社会情勢の分析を踏まえ住宅産業が大きく変化している状況を説明し、目下、大建が取り組んでいる荻浦ガーデンサバーブの住宅購入者向けの説明の修正を提起しました。
わが国の住宅産業には悪意はなくても、資産価値が確実に下落する住宅を、資産価値を形成する住宅であるかのように住宅購入者を騙し、企業利益を追求し、住宅購入者に損失を負わせてきました。工務店が利益を追求することは、企業として当然の営業行為ですが、住宅購入者に損失を与えて自らの利益を追求してはなりません。
荻浦ガーデンサバーブは、基本的に、「住宅購入者が住宅取得して資産形成できる事業をする」という前提で始められた事業です。大建の利益は住宅購入者の資産形成を実現できる結果として与えられるオリンピックの金メダル同様の取り組みです。
そこで提起した問題は、現在の住宅産業に共通の問題でもありますので、以下紹介します。

第一.    日本社会のおかれた経済環境と住宅対応策
1 国民の所得自体が下降傾向を辿っているだけではなく、将来的に上昇を展望できる経済環境好転の材料がありません。そのうえ、国民の預貯金が国債の購入に使われ、国債自体が満期返済できず、赤字国債によって満期国債の償還がなされている状況です。
やがて国民の預貯金が返済不能になる国債に換る事態に直面させられています。しかも国民の預貯金を預かっている金融機関は、国債以上に信頼できる投資先もなく、国債を購入しています。金融機関は国民の預貯金を国債で運用をしているため、国債金利は金融機関の手数料と消え、国民の預貯金金利はゼロにしかできなくなっています。国が経済政策として設定しているインフレ率が2%ですから、預貯金金利0%ということは、実質2%のインフレ率分だけ預貯金は目減りしています。

2 欧米のように国民年金制度が整備されていない国では、老後の生活を考えるときに国民は自分の保有する資産自体の運営をして現在から将来に向けての資産管理を考えます。その際、国民が所有する最大の資産は住宅です。欧米では、全ての住宅所有者は住宅の資産価値に高い関心を持ち、自らの住宅資産価値の維持向上のための努力をします。住宅を建設又は販売する住宅会社は、住宅購入者の住宅が、購入時以上の資産価値を持続するようにしなければなりません。そのためには次ぎの対応策が必要です。

(1)新築住宅の販売同様に、既存住宅市場において購入価格以上の価格で住宅が取引されるようにするためには、住宅の価値(販売価格)が購入対象階層の家計支出の範囲(年収の3倍以下の価格)で取引されることが必要です。
(2)明らかに下落する土地を住宅購入者に購入させないために、住宅購入者が土地を購入しないでよいリースホールド事業(50年で建設廃棄物を造り、居住者を追い出し、根拠のない保証金や地代の前取りしない歪んだ日本の定期借地権事業ではなく)とし、住宅地経営を法人土地管理団体(HOA)の下で実施する必要があります。
(3)居住者に文化的に優れたハード、ソフトの住宅環境を造り、維持管理するためには、住宅地全体として優れた環境として経営管理し、居住者の憧れの住宅地であり続けるようにすることが必要です。

第二.    住宅購入者と共有できる事実認識
1 住宅生産者が住宅購入者の利益になることを前提にしなければ、住宅産業として社会的に支持されません。その原則を踏みにじった住宅産業が、現実の社会で支配力を行使し、現実に巨額の利潤を得て事業を拡大しています。彼等は、口先で消費者の利益といいますが、実質は自社の利益となる事業を、消費者の利益、と言うだけです。彼等の販売した住宅を市場で再販するとき、「購入価格以上の価格で売れるか」という問いに答えることはできはずです。住宅購入者に損失を与えてきた住宅産業が、国民から支持されるはずはありません。

2 住宅性能表示や瑕疵保証など、詐欺商売の小道具を消費者保護の住宅政策のように言いますが、これらの政策は、国民の判断を狂わせるものであって、国民を守るものではありません。住宅性能は、憲法25条に規定されるとおり、国家が国民に保障するもので、貧富の差により差別するものではありません。つまり、現在の性能評価は憲法違反の差別施策です。住宅の性能は文明水準の反映として社会的に決められるもので、それを住宅価格に対応する品質として販売の小道具にはしていけません。住宅価格差は、性能の差ではなく、使用する材料・工法の価値を反映して決められるべきものです。

3 住宅自体の価値を社会的な取引と切り離し、購入者の生命保険額で裏付けられる信用力を背景にローンを組ませ、「住宅ローンを背景に決められた住宅価格を住宅の価値」と騙して販売した住宅販売は、「不当な詐欺商売」であることを住宅購入者に情報公開しなければなりません。生命保険で裏付けられた信用力でローンを組み、購入した住宅価格は、住宅購入者の信用力と切り離されて、その販売価格で取引されません。不動産取引が低迷している理由は、中古住宅市場に出された住宅は、欧米のように豊かな住環境を担っている「既存住宅」ではなく、文字通り「住環境とは全く関係しない区画整理で造られた端切れとしての土地」の上に、「償却資産として造られた経年劣化する中古住宅」です。無政府状態の街並みは、経年とともに資産価値を失っていくことは当然の結果です。

4 日本の預金や年金、株式や証券が紙切同様になっても、衣食住という生活の必需品を確保するとともに、それらが物価のインフレ率以上に上昇するような管理をすれば、自分の資産を守ることができます。欧米では、人びとがライフステージに合ったライフスタイルを豊かに享受することを家族の成長と所得の上昇にあわせ住み替え「ムーブアップ」、家族の衰退と所得の衰退とともに住み替え「ムーブダウン」をし、住宅資産を生活に繰り入れます。このやり方を取り入れることにより、間違った政治をする国家への依存をせずに、自らの生活をすることができます。その鍵を握るものが、国民にとっての最大の資産である「住宅の価値」を維持向上させることです。

5 日本全体をマクロで見た場合、一応これからも国民の資産として扱うことのできる住宅は全体で5千万戸あります。その平均資産価値が2千万円とすれば、日本の資産として評価できる住宅は全体で1千兆円となります。この1千兆円の国富は、現在毎年3%程度ずつ資産価値を失っています。一方、新設住宅やリモデリングなどで住宅に投資されている額は、やはり全住宅ストックの価値の3%程度です。その結果、日本のストックとしての住宅資産は殖えも減りもしていないことになります。しかし、欧米工業先進国では都市の熟成、住み替えにより、住宅地が年々資産価値を向上しその比率も長期的に見ると5-6%近くの比率で上昇しています。英国でも優れた住宅地(ハムステッド、レッチワース、ハーローなど)住宅価格は20年で4倍、30年で6倍になっています。仮にそれらと同程度(5%)の価値上昇が見込めるとすれば、日本の住宅資産は毎年税収と同額ずつ上昇することになります。

6 米国では自宅を所有することが、アメリカンドリームの実現に向けての第一歩といわれています。社会的に高い需要で支持されたノスタルジーを感じる住宅は、根強く市民の支持を受け、いつも高い需要に押されていますから、その住宅は推定再建築費で評価されます。つまり物価上昇分だけは必ず上昇し続けるわけです。その場合もその絶対額自体が、その地域に住む人の家計支出として、年収の3倍以内で購入できる住宅であることの条件になります。

荻の浦ガーデンサバーブは、以上のようなコンセプトに基づき販売価格を定め、計画通りの住環境のルールと生活のルールを定め、住宅地経営管理協会(HOA)がこの開発を計画し、建設した大建を維持管理専門業者として契約し、所期の住環境を管理をするわけであるから、住宅を購入者が、資産を増殖こそすれ失うことはありません。このように世界では日常茶飯事におこなわれていることが、日本では例外中の例外としてしか行われていないことに考えを及ばせ、荻浦ガーデンサバーブでも、その計画の裏にある思想を広く宣伝していかなければなりません。

住宅生産性研究会理事長 戸谷 英世



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