メールマガジン

メールマガジン第446号 

掲載日2012 年 3 月 5 日

メールマガジン第446号(3月5日)
みなさんこんにちは

2月26日から3月3日ま、ポラスグリーン開発の中内常務以下10名とニューアーバニズムの調査に米国のフロリダに説明講師としていってまいりました。

その説明に先立って、先週のメールマガジンに間違いがありましたので以下の「住宅全体」は、間違いで、「自動車生産全体」に訂正します。
ニッサンは世界で最大の自動車生産を誇る段階に迫ろうとしていますが、それでも世界の自動車生産全体の日産社のシェアーとして、1%あるか、ないかの規模でしょう。

ニューアーバニズム調査報告:「様々な夢の実現」(その1)

セレブレーション:今回の訪問地の中で最も中心である視察地

セレブレーション誕生の背景
ウォルト・ディズニーが、1970年初頭に世界を襲ったエネルギー危機に際し、新しい環境対応の事業を考えようと、ダミーの会社を使い、フロリダのオランドで膨大な土地を買収しました。しかし、巨大な土地買収が終わったときには、エネルギー危機で言われた「地球資源の有限化」という社会環境は消滅し、購入した土地で実施するべき事業目標が失われていました。そこで、ディズニーは、人々に娯楽としての「多様なテーマを持った夢」を楽しむテーマパークの建設を、次々と実施して行きました。

「先代のディズニーの抱いていた夢」の実現
ディズニーが亡くなったとき、そのようにして買収した土地のほぼ半分がテーマパークのために使われていました。2代目のアイズナーがディズニー社の社長に就任すると、この土地は、「先代のディズニーの持っていた夢」の実現として使わなければと考え、まだ開発されないでいた残りの半分の土地を利用し、次の2つのテーマを掲げた事業の取り組みを社員に指示しました。

(1)社会的に関心の高い、世界が驚愕するようなプロジェクトに挑戦する。
(2)プロジェクトは、世界が驚愕するほどの利益を上げる事業に挑戦する。

この課題に対して出された答えが、当時、全米で大きな関心のもたれていたシーザイド(フロリダ)に始まったTND(トラディショナル・ネイバー・フッド・デベロップメント:近隣住宅地区開発)を利用し、国民全てに関心のある「住宅による資産形成を図る」アメリカンドリームを拡大発展させる事業を実現することでした。
当時の米国では、住宅地の郊外開発(アーバニズム)によって、豊かな自然をふんだんに取り入れた物理的に優れた環境の都市が建設されていました。それにも拘らず、理想と考えられた「プライバシーが守られた街」が、結果的には、外敵に弱い街だったのです。物理的に低い密度で計画された「他人から煩わされない」と考えられていた街は、外部からの賊の進入に抵抗力のない「セキュリテイに大きな弱点を持った」住宅地であり、住宅所有者の資産を蝕み、大きな社会問題になっていました。
セキュリティーの問題は、住宅の財産価値を左右する最大の課題です。その対策として、「ゲーティッド・コミュニテイ(住宅地を塀で囲み、ゲートで住宅地に出入りする人を監視する住宅地)」や「スマート・ハウス(住宅に電子頭脳を組み入れ、IT技術により防犯をする住宅地)」の開発が、住宅産業界を挙げて、30年以上にわたり取り組まれることになりました。しかし、いずれの方法も、ほとんどセキュリティーを高め、効果を上げることができませんでした。

「資産形成の夢」を叶えていた1920年代以前の街
一方、自動車が登場する前からあった徒歩圏で生活する都市は、同じ時代においても、犯罪が少なく豊かさを享受していました。その理由は、居住者が徒歩生活圏で生活し、人同士が理解しあい、居住者がお互いを配慮し、暗黙裡に「人びとの絆」というネットワークが造られていたからです。そのため、結果的に相互が思いやりをもった「生活をする環境」を創っていました。このことが評価され、DPZ(アンドレス・ドゥアーニーとエリザベス・プラター・ザイバーグ夫妻)により「TNDの計画理論」として取りまとめられました。
それ以来、新しく、伝統的な近隣住区の理論を尊重した街造りが、防犯的にも強さが評価され、TNDの理論による街造りは、各地で取り組まれることになりました。
しかし、TNDの夢も、かつて英国でエベネツアーハワードが取り組んだ「ガーデンシテイの夢の繰り返し」を離脱することはできませんでした。
そこでアイズナーは、それまでの「TNDによる街造りの計画理論を使っても、造りえなかった夢」、即ち、開発時点から都市が熟成し豊かさを享受でき、かつ住宅開発事業に対するセキュリティーの高い、売り手市場を維持し、国民の資産形成の夢の実現する回答の事業として取り組もうと考えました。

TNDとDPZとアイズナーによる「先進工業国の労働者夢」の実現
1980年代の経済成長を背景に、人々は、「所得の増大を押さえても、自由な時間を拡大したい」という要求から、年間の労働時間2,100時間から1,800時間に短縮し、その自由時間をお金を使わずに楽しめるリゾート空間を求める方向に移っていきました。その取り組みは、フランスのミッテラン大統領時代に始まった自由時間都市の開発と同じ考え方です。シーサイドの取り組みは、人々にとってお金では買えない自由な時間を、自ら生活文化ニーズ満足させ、家族が自由時間を豊かに過ごす必要な環境造りとして、欧米先進工業国において広く取り組まれたものと考え方は同じでした。
シーサイドの開発事業主であるロバート・デービスは、自らが子供の頃、デベロッパーであった祖父と一緒に過ごした懐かしい「真っ白い砂浜と潮騒の響きと風の響きの楽しめる」シーサイドで、新しいリゾートコミュニテイの開発を実現したいと考えるようになっていました。デービスがフロリダ南部のマイアミを訪れたとき出会った2人の建築家が、DPZでした。DPZはエール大学を卒業後、過去から現在までの米国における懐かしさあ利、しかも治安の高い、居住者の満足度の高い歴史のある住宅地の計画原理が何であるかという研究をしていました。

伝統的な近隣住宅地区の豊かな空間
DPZはマイアミを拠点に住宅地調査と設計活動を続け、「米国南部を中心に豊かな住宅地の研究成果」を住宅地計画に生かしてきました。デービスに請われ、それまでの米国南部にある「歴史が息づく伝統的住宅地の調査」の研究成果を、シーサイドの事業を通して実践し、TNDという開発手法を、現代における住宅地の計画技法として構築し、一般的な住宅地開発技法として提案しました。この成果は、住宅や都市の専門誌ではなく、ニューヨークタイムズなど一般紙が大きく取り上げ、英国のチャールズ皇太子が着目し、BBC放送で世界に報道されました。TNDのモデルは1920年代以前に造られた米国の南部の懐かしい町に多く発見されていました。
1920年代のT型フォオードが社会に登場する時代(徒歩による生活空間で街が造られた時代)以前に建設された優れた住宅地は、現在においてもセキュリティーの高い優れた住宅地として熟成し続けていることをDPZが発見しました。TNDによる住宅地開発手法のモデルにしたチャールストン、サバナ、ニューオリンズなどの街や、事業は人々の徒歩での豊かな生活環境を実現し、エベネッツアー・ハワードによる「ガーデンシティの理論」と実践を共通の開発理念として取り組んだものでした。いわばDPZが提案したTNDは、自動車が住民の足になる前の街造り、即ち、「ガーデンシティの理論」に文芸復興した街ということもできます。

「エベネツアー・ハワードの叶えることの出来なかった夢」の実現
エベネツアー・ハワードの「ガーデンシティの理論」とその思想に立って、戦後、英国でニュータウンが開発されて行きましたが、その理論に従って開発されたニュータウンに対し、社会的な評価は、「ニュータウン・ブルー(ニュータウンは受益者負担の原則で作られてきたため、住宅地は常に施設が後追いになっているため、生活環境は不十分さが付きまとう淋しい生活。)」が指揮されていました。その欠陥は、受益者負担の原則に立つ限り、住宅地形成上では不可避的な欠陥であるとされ、永久に解決できない課題であるとも考えられてきました。
そこでアイズナーは、アメリカンドリームの実現として、「セキュリティーの高い住宅地の実現」に加え、「最初に居住者に対しても、都市が熟成したアメニテイ提供の実現」というエベネツアーはワードの叶えることの出来なかった夢の実現を考えました。
DPZを中心に、住宅開発および住宅経営関係者による基本コンセプト作成チームを結成し、「シャレット」(シャッフル:「カードを切る」という意味:開発に必要なキーワードを出し合い、それを開発事業に組み立てる議論を時間を決めて取りまとめて行く方法)という方法で、約1週間で開発の基本コンセプトを取りまとめました。

「アメリカンドリーム」の実現
アイズナーが「ディズニーの夢の実現」に住宅地開発を選択した背景には、米国の社会に、昔から存在する「住宅を待つことによって人生の生活設計を安定させる」という「アメリカンドリームの実現」を果たすという「国民全ての夢の実現」の課題が眠っていることに気付いたということです。
米国社会は自己責任による自由主義国家であるため、オバマ大統領の時代になってやっと、初めて国民医療制度が、民間の保険制度を利用し、曲りなりに制度化されました。現在でも社会政策はその程度で、社会的な国民年金制度などは存在しません。米国人は、自らの可能性に人生をかけ、国家への依存を使用とはしません。自由を求めて米国にやってきた人たちは、社会に依存するのではなく、自己責任で自分の生活を考えることを前提に人生を考え、国造りがなされてきました。
一人ひとりが資産価値を高めることのできる住宅地を造り経営管理することが、アメリカの国富を高めることであるという共通認識がアメリカ人の心に息づいています。自分のために努力することが国家に尽くすことが、国民の利益と国家の利益が共通することになります。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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