メールマガジン

メールマガジン第445号

掲載日2012 年 3 月 5 日

メールマガジン第445号 (2月27日)

皆さんこんにちは! はじめに緊急のお知らせをいたします。

3月7日(水)午後1時30分より、HICPN会議室でNAHB・IBSとニューアーバニズム代表事例調査報告会を開催します。「住宅による資産形成をいかにして実現するか」を実践してきた米国住宅産業の仕組みを調査、実情報告で、これからの工務店に参考になる理論と実践を説明します。参加者にはこのツァーで私が撮影した映像で当日映写解説したCDを参加者全員にさしあげることにしています。ぜひ、ご参加ください。

2月26日から3月3日まで米国のフロリダに、ポラスの研修ツァーに解説者として同行しますので、東京のHICPM事務所を留守にしますので、御用の方は帰国後にお願いします。

淡路市会議員団による街並み研修

先週2月20日、22日の2日にわたり、淡路市議会議員の「町興し研修ツァー」を実施しました。竹中さんは本住宅生産生研究会員であり、淡路市議会議員として、ホームビルダーとして長年にわたり、世界の住宅地開発視察事業に参加し、その調査研究成果を町興しの実現に尽力してこられました。竹中さんの淡路市議会議員への働きかけのより、今回の研修ツアーが実現しました。ツァーの目的は、淡路市議会議員及び淡路市職員が意識的に町興しの主体となり、共通認識を高める取り組み準備として、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の町興しのオン・ザ・ジョブ・トレーニングを、GKK・HICPM共同支援のバスツァーとして実施しました。

これまでのの街づくり、これからの街づくり

これまでの多くの「町興しの取り組み」は、高度成長時代から中央(国または県)主導で進められてきました。補助金や交付税等の財政支出との関係で、審議会委員である御用学者、有名大学の教授、知名度の高い評論家、その他関係する国や県等の役人が推薦する技術者を中心としたコンサルタントに町興し計画業務を丸投げし、それを町にとって最も優れた町興しとして進めてきました。

しかし、そのほとんどすべては、「市民のため」、「災害復興」、「町興し」等という枕詞は付いていますが、実態は、護送船団を構成する関係者の利益を追及するものばかりでした。市民は、箱物造りに要した巨額の事業資金の財政負担(地方債務)を長期にわたる税負担として負わされ、現在の地方財形危機を生み出し、市民の生活が縛られてきました。

赤字国債まみれの日本財政

現在、日本政府は国債が返還できず、赤字国債を国民の預貯金と保険で買い取らせることにより何とか消化する自転車操業です。このまま続けば、10年以内には国民の個人資産は全て返済不能の赤字国債、つまり、紙切れ同然になります。それは、国や地方の財政だけではなく、国民の資産と家計も全て紙くずになってしまいます。

野田内閣が「福祉と税制の一体改革」といっていますが、これは税収を拡大しないと赤字国債が返済不能になる、と言っていることと同じです。これまでのような財政収入(交付税、補助金、税収)が見込めないときに、つまり、お金が欠乏しているとき、国や県からの町興しにこれまでのような巨額な財政資金を期待することはできません。

グリーンツーリズム

研究するべき取り組みの代表的な事例は、「自由時間都市の取り組み」や「グリーンツーリズム」の考え方です。それらは、新たな財政支出や投資に依存するのではなく、現実の社会で動いているお金の流れを、都市と農村との両法のニーズを組み替え、その流れを揃えることにより、相乗効果の上がる取り組みとすることでした。

HICPMが3年ほど前に取り纏めた欧米の取り組み、即ち、ヨーロッパで始まり、米国を中心に世界に向けて拡大している調査報告書『アグリカルチュラルアーバニズム』の取り組みに農村の開発の方策が集約されています。

このレポートは、販売の見込みが立たなかったため、出版ができず、目下コピーサービスで対応していますが。今回の淡路市議竹中さんや、長野県で「蓼科便り」を毎週無料配信しておられる安江さんにもご覧いただき、地元での検討会のきっかけにもしてもらいました。このレポートは、現代から未来にむけて、財政が厳しくなっている先進工業国の町興しの「世界の知恵」の詰まった調査報告書であると自負しています。

フランクロイドライとの4原則

このレポートの中で世界が教えていることは、「中世のレオナルドダビンチに相当する現代の建築・都市空間造りの哲人」といわれるフランク・ロイド・ライトの「建築の4原則」の実現に集約されます。

この「ライトの4原則」を町興しに読み替えると、各地方、地域は、その「土地の特性」と、「居住者の担ってきた歴史文化」を豊かに育てることをせよ、ということです。地域の特性や居住者の特性は、それぞれ「個性」であって、それは「優劣」で評価するものではありません。自らの土地と人びとが、自らをアイデンティファイするものです。人びとや地域や地区がお互いの違いを、「相互に区別し、尊重し合うこと」により、相手の良さが分かり、「自分と違うことに関心が向かう」のです。観光の原点がそこにあるのです。

観光という言葉は、江戸時代に幕府が、オランダで作らせた鉄の船に「観光丸」という名前をつけ「国の光を示す」としたことに始まるといわれています。それぞれの地方で自負できる個性は、他人からも関心がもたれます。

都市と農村との相補。相乗効果

都市と農村という全く対立する特性に、それぞれの地域にいる人は関心をもちます。それを勘違いし、農村で都市の真似をし、都市で農村の真似をし、都市や農村にでかけることのできない人たちに、「真似による空間で満足」を与える、ことがなされてきました。しかし、真似より本物のほうが、満足度は高いはずです。しかし現実に存在する都市と農村は、高度経済成長時代に、都市的農村を作り、農村的都市を造ることによって歪められ、都市住民にとっても、農村住民にとっても誇るべき都市や農村でなくなってしまいました。住民が自分で誇れる都市や農村を造ってきたかといえば、答えは「ノー」です。

「田中角栄の列島改造」や「小泉規制緩和」に象徴されるとおり、都市は護送船団の利益追求により貧しくしてきました。農村には都市的開発が持ち込まれ、「日本的リゾート開発」というように農村に都市的生活を持ち込む「金儲け目的の開発」により、農村環境を破壊する事業が持ち込まれただけでした。それを農村は、「都市化して個性を失い、魅力を失った」と感じず、逆に「農村が発展した」と勘違いしました。

カルロスゴーンの経営の種明かし

以前、「カルロスゴーンが、何故、短期にニッサンの経営再建を実現したのか」に関し、『カルロス・ゴーンの経営の種明かし』(HICPM刊)という本を工務店の経営改善の「他山の石」として書きました。この本はHICPMの簡易印刷で900部位販売し、その後、第3書館が出版する予定で最終ゲラの校正を終え、広告宣伝文書も作成されながら、突然、出版が出来なくなりました。それは、辻本議員が国土交通書副大臣になり、その秘書である出版社の社長が多忙になったからでした。しかし、同書の中で明らかにしたカルロスゴーンの経営方法は、町興しにそのまま当てはめることができると思っています。

この研修ツァーでもそのお話をしました。

得意部門に絞った経営

カルロスゴーンは、「ニッサンの車を世界中の全ての人に購買の対象にしてもらおうとは思いません。ニッサンの車の歴史文化に憧れる人にだけ買ってもらうことで十分です。そのために、ニッサンは過去に供給したニッサンの自動車の中で、最も愛された歴史文化を伝承する車を開発することにしました。」そして、日産社の歴史文化の調査をもとに、「Z」のデザインコンセプトこそ、「ニッサンの個性を最も適格に発揮することのできる車である」と判断し、供給しました。その後、僅か2年で倒産寸前のニッサンを救った経営の基本は、ニッサンの個性を生かした車だったのです。ニッサンは世界で最大の自動車生産を誇る段階に迫ろうとしていますが、それでも日産社の世界の自動車全体のシェアーとして、1%あるか、ないかの規模でしょう。

帰属意識の持てる街づくり

人びとは自分のものというアイデンティティを感じるものに帰属意識を感じます。そして自分のものではなく他人のものでも他人がアイデンティテイを感じ大切にするものに興味を抱き、それを自分でも経験してみたいと願います。観光はそこから始まるもので、生活空間としても、日常空間と非日常空間という異なった空間として都市と農村という異質な空間を享受することを求めます。それを実現することが、フランスで、ミッテラン大統領が自由時間都市を実現して以来、一般的な方法として可能になってきました。

近畿圏の中で、大阪(都市)と淡路(農村)の両極の生活者に、それぞれの個性の違いを特化させ相乗効果を挙げる形で享受することができるためには、ニッサンのカルロスゴーンが自動車生産で実現したように、「大都市では享受できない」淡路の特性を生かした生活文化を大切にした淡路人の誇れる街造りをすることではないか、と考えます。


この研修で私がお話したことは、フロリダで実践され、世界で最も先進的なニューアーバニズム開発によって裏付けられていることの説明でもあったわけです。地域に根ざした街造りこそ、地域の住宅の資産価値を高め、住民に経済的にも文化的にも幸福を与える方法なのです。

3月7日のNAHB・IBSとニューアーバニズムのツァー報告会はまさにその種明かしです。住宅購入者に資産価値が増殖する住宅経営の実践の経験と理論を、米国の実情は分かり易く説明したいと思います。

HICPM 理事長 戸谷 英世



コメント投稿




powerd by デジコム