戸谷の言いたい放題

司法と行政の違反幇助を受けたマンション建て替え事業(諏訪2丁目)

掲載日2012 年 3 月 19 日

現在東京都知事の建て替え組合認可を受けて進めている「日本最大規模と言う「諏訪2丁目立替組合が実施しているマンション建て替え円滑化法による事業は、マンション建て替え円滑化法、たてもノン区分所有法及び国庫補助金等適正化法に違反した事業で、いずれも多摩市長、東京都知事及び国土交通大臣外販幇助をすることによって進行中のものである。目下訴訟中の事件であるが、控訴中の準備書面を公開し、社会的な意見を求めることにした。賛否両論はもとより、国家(行政及び司法)に対する皆様の意見を聞かせてください。

事件番号 平成24年(行コ)第57号 裁決取り消し請求控訴事件
控訴人  坂元 克郎、伊藤 綾子、戸谷 英世
被控訴人 国

東京高等裁判所第19民亊部ハ係
裁判所書記官 市川 浩 殿

控訴人 坂元 克郎
伊藤 綾子
戸谷 英世

準備書面(1)「虚偽で固められた建て替え事業」の説明

はじめに(控訴内容と控訴趣旨の要約)
(1)東京地方裁判所の法律違反を容認した判決

東京地方裁判所の判決は、本事件の形式的手続きが法律に適合していることを持って訴えを却下しました。しかし、法治国である日本国において、マンション建て替え円滑化法、建物の区分所有法及び国庫補助金等適正化法と言う関係法律の規定で定めた実態がないのに、あたかもその実態があるような違法な認可文書を形式のみの審査で、適法とすることがあってはなりません。日本国憲法に基づいて、国民が裁判を受ける権利として保障されていることは、「法律に定められた実体規定に違反した実態を幇助した行政処分」を、住民が「違法である」として訴えたことに対し、「行政がなした違反幇助の建て替え事業認可の実態に踏み込んで、実体規定に照らして糾す裁判をしなければならない」ということです。

控訴人が本取り消し請求控訴事件で求めていることは、法治国のルールどおりの審理を行い、法律の実体規定どおりの行政処分が行われるようにさせる判決を実現することです。しかし、東京地方裁判所定塚誠裁判長は、原審において、諏訪2丁目住宅管理組合、多摩市長、東京都知事及び国土交通省住宅局長が行った法律で定めた実体規定違反に関し、控訴人が請求した「法律違反の実体の事実調べ及び審理」を一切しませんでした。そして、実態違反を隠蔽した虚偽で固めた文書手続きを形式的に審査し、行政処分の違反の実態を審理の対象にせず、行政処分の違反を追認し、違反した建て替え事業を幇助したのです。

訴外諏訪2丁目住宅管理組合が「法律の実体規定で定めた実態の存在しない虚偽の内容」を、あたかも法律上の正しい実態があるかのように、法律の規定どおりの名称を使った「形式を整えた虚偽の文書」を作成し、申請した不正申請書に対し、東京都知事が違反を承知し、「法律に違反した認可の行政処分」をしました。それに対し、東京地方裁判所定塚誠裁判長は、実体違反を審理せず、形式上の文書審理のみで追認した判決を下しました。

(2)自浄能力を失ったマンション建て替え行政の違反容認の事実
東京都知事がなした建て替え組合認可の処分は、諏訪2丁目住宅管理組合が、不正な方法でマンション建て替え円滑化法、建物の区分所有法及び国庫補助金等適正化法に違反し、5億1270万円を多摩市長が訴外㈱旭化成ホームズに不正交付申請し、国庫補助金に対する不正な額の確定をし、㈱旭化成ホームズがその補助金を詐取しました。この不正な国庫補助金申請及び交付決定並びに額の確定は、国土交通省住宅局INO市街地建築指導室長の指揮に基づいて、違反を承知のうえで実施されたものです。

さらに、諏訪2丁目住宅管理組合は、多摩市長、㈱旭化成ホームズ及び㈱東京建物と共謀してマンション建て替え円滑化法及び建物の区分所有法に違反して、実体のない「建て替え決議」の名称を持った文書を作成し、それを持って東京都知事による建て替え組合の認可処分を騙し取ったものです。法律で定めている「建て替え決議」は、途中で挫折しないよう、国庫補助金を受け入れて作成した組合員の相違を取り入れた事業計画を作成し、その事業計画に基づいて組合員の80%以上の賛成で実施を決議する事業を言います。

本事業では、マンション建て替え円滑化法を悪用し、優良建築物等整備事業補助金を騙し取って、旭化成ホームズ㈱の言いなりに住宅管理組合で作成した事業計画が、組合員の70%程度の支持しかえられないことが判明しました。建て替え事業を強行しようとした住宅管理組合は、「それでは建て替え決議ができない」と、国庫補助金5億1,270万円を使った事業計画を闇に葬った後で、マンション建て替え円滑化法に違反した別の方法で建て替え事業を、マンション建て替え円滑化法どおりにように騙して実施しているものです。

現在進行中の建て替え事業計画自体の内容は、まったく無関係の組合員の合意によらぬ方法、即ち、建て替え事業者選考事業競技(コンペ)で、マンション建て替え円滑化法に違反した組合員の合意は存在しない㈱東京建物が勝手に作成した計画内容の建て替え計画です。その際、それまで旭化成ホームズ㈱に国庫補助金を不正供与し、諏訪2丁目住宅管理組合が推進した「旭化成ホームズ㈱の利益本位に実施させる不正な約束に基づく建て替え事業計画」が、が組合員の70%程度の支持しか得られず破綻しました。

そこで建て替え事業の実現不能に陥ったことから、その代替手段として法律にない違法なやり方が考案されました。それは、旭化成ホームズ㈱への国庫補助金不正交付が露見しないようにするとともに、建て替え事業を実現するために、建て替え業者として多摩市で多数の事業を実施してきた東京建物㈱に事業を担わせるという方法が、住宅管理組合、多摩市、旭化成ホームズ㈱、東京建物㈱他の関係者の間で謀議されました。国庫補助金を受けて作成した旭化成ホームズ㈱の事業計画は、組合員のめを騙すために、東京建物㈱との競争提案の「当て馬」として参加し、「東京建物㈱の条件に劣る」ことで、もっともらしく撤退させることになりました。このことで補助金の不正交付を隠蔽しようとしたのです

法律で定めた「建て替え事業計画」の組合合意は存在しない状態で、諏訪2丁目管理組合は、建て替え事業を強行するために、東京建物㈱当と共謀して、東京建物㈱に「1世帯当たり500万円の移転等補償金を提供する」と組合員を騙す「建て替え事業提案」をさせ、東京建物㈱の提案事業を選択させました。この建て替え事業提案は「組合員を騙し」、㈱東京建物に事業を禅譲させる方法として、㈱東京建物に「1世帯当たり500万円の移転補償金」を提示させる方法を編み出したものでした。この建て替え事業者選定は、強制事業の前提となる「組合員の意向を反映した建て替え事業計画」不在で、単に、「建て替え業者選考事業競技(コンペ)という違法な方法を持ち込み、建て替え事業者を決定したものです。

(3)組合員を「脅し」と「騙し」で実行に移した建て替え事業
建て替え事業計画の作成経緯自体が法律に規定した手続き要件をまったく無視した違法なものです。そのうえ、㈱東京建物が建て替え業者として選考された不正な経緯に加え、東京建物㈱を業者選考した条件は、「500万円の移転等補償金」であったわけです。しかし、東京建物㈱が建て替え業者に選考された直後、東京建物㈱は自社以外に建て替え事業を実施する業者が存在しないことを知った上で、「リーマンショックによる経営環境の悪化」を理由に、「移転補償金として提示した1世帯あたり500万円の移転補償金を破棄しなければ、建て替え事業を実施しない」と脅迫してきたのです。東京建物㈱の選考理由の基本が変わったわけですから、東京建物の選考事態を白紙にしなければおかしい話です。

この建て替え業者選考の決め手となった選考条件を、㈱東京建物が一方的反故にするという通告は、組合員を当初から蚊帳の外において、建て替え推進住宅管理組合理事が㈱東京建物と事前の了解した筋書き通りに実施されたものです。その結果、「建て替え事業業者選考」の決定条件を蹂躙したうえで、移転補償金の支払いは反故にされました。建て替え推進組合理事等は、不正な建て替え事業を履行する見返りに、組合員を犠牲にして、500万円×640世帯、総額32億円の不正利益を㈱東京建物に供与することになりました。

建て替え推進組合理事は、組合員に「移転補償金に支払いを放棄しなければ建て替え事業はやらないぞ」と脅迫し、組合員が怯(ひる)んだ隙を見て、法律上定めた実体規定に適合した要件を具備しない名称だけの形式的な「建て替え決議」を、建物の区分所有法第62条を根拠に実施しました。建物の区分所有法第62条は、マンション建て替え円滑化法の制定時の関連改正としてなされたもので、この「建て替え決議」はマンション建て替え円滑化法第4条基本方針で定めた実体規定(マニュアルに定められた組合員の要求を反映した事業計画を基にした組合員の80%以上の賛成決議という実態)に定めた内容であることは暗黙裡に了解されていることです。マニュアルに定めた「建て替え決議」に違反したものは、建物区分所有法に定めた「建て替え決議」に違反したものです。本建て替え事業の根拠となっている「建て替え決議」は、法律上の規定に適合しない実態を持たないものです。

この東京都知事のなした実体違反の組合認可処分に対し、控訴人が行政不服審査請求したことに対し、国土交通大臣が実体規定に違反した事実を調べようとせず却下しました。東京都知事及び多摩市長という行政機関には、本事業当初から、不正を前提にしてマンション建て替え事業実績を作る方針が示され、法律違反を容認した事業として進められた事業であったため、多摩市長、東京都知事、国土交通大臣の全てが、国庫補助金の交付及び建て替え組合の認可の全てで法律違反を幇助してきたためです。ダーティハンドの関係者による行政不服審査では、行政内部の不正な処分を糾す自浄機能が全く機能しませんでした。まさに、クリーンハンド不在の護送船団方式による不正幇助であったわけです。

(4)行政機関に自浄能力がなくなったときの司法の役割
その経緯としては、マンション建て替え事業を推進する国土交通省の住宅政策に基づいて、住宅局INU元市街地建築室長自身が、「法律違反をやってもマンション建て替え事業を推進する」ための事業実績を作りの指示を、平成16年に、東京都および多摩市長に行ったという事実があります。その不正が暴かれるのを怖れて多摩市、東京都知事及び国土交通省住宅局が共謀し不正を隠蔽するために、その後のマンション建て替え事業は、不正な既成事実を容認し続けてきました。それは本建て替え事業当初から、違反を構造的に認めるやり方で、進めてきたからに他なりません。まさに官民癒着のスキャンダルです。

この不正事実は、かつて、控訴人により刑事告発され、多摩中央警察署から東京地方検察庁立川支部に書類送検されましたが、不正を告発していた控訴人は、OGT検察官に不正な誘導をされ、「多摩市長を刑事告発人から外せば、旭化成ホームズ㈱社長の起訴の可能性はある」と騙され、誘導に同意し、告発事件そのものを闇に葬られてしまいました。
しかし、国庫補助金5億1,270万円の不正交付の事実は消えてはおらず、㈱旭化成ホームズに供与した国庫補助金は、優良建築物等整備事業補助金制度を利用して不正に引き出された補助金で、国庫(間接)補助金であるため、国民の血税の不正使用として、東京都、多摩市を含む)及び諏訪2丁目建て替え組合に返還させなければならない問題です。本事件において、国庫補助金が全く目的外に使用された事実が究明されなければなりません。

行政機関に自浄作用が働かないときに憲法で定めた「三権分立」の民主主義の国家の仕組みで違反を是正する役割を担っているのが司法です。そこで司法に対し、行政規範の不正を糾す仕組みとして、行政事件訴訟法に基づき、東京地方裁判所に対して国土交通大臣の行政事件訴訟法に基づく裁決を糾すことを司法に求めた本事件を提起したのです。本来、刑事事件として5億1,270万円を不正交付した行政機関が幇助した詐欺事件は争われなければならない問題ですが、行政事件としての争いが係争中又は敗訴をしている場合、刑事は、刑事事件として取り扱ってくれず、行政事件で敗訴となれば刑事事件として扱おうとしない「起訴権の濫用」が実際に行われております。そのような不正を容認しないためにも、本控訴審で実態解明の審理をするよう要求します。

(5)司法に期待された憲法で定めた役割を果たさなかった東京地方裁判所
控訴人(原審原告。以下同じ)は、求めてきた諏訪2丁目住宅管理組合がこれまでやってきた事務は、法律に定められた規定に違反して、法律に定められた実体の存在しない事務の実態であることを、東京地方裁判所に対し原審で詳しく説明し、実態違反を審理するよう求めてきました。しかし、東京地方裁判所定塚誠裁判長は、憲法に違反して、控訴人の求めている裁判を受ける権利を蹂躙し、「控訴人の求めている内容の審理は、東京地方裁判所に訴えた原審で扱うことはできない」と明言しました。そのうえで、「原審で扱えない理由は難しいので、控訴人には理解できないかもしれない」といい、「法廷では時間の制限もあって、控訴人に理解できるように説明できないかもしれない」と説明責任を果たせない無責任さを暴露(自白)しました。そのうえで、「東京地方裁判所は形式論として書類の形式が整っていることしか審査対象にはできない」と法廷で控訴人に対し口頭で説明(言い訳)をしました。そして、定塚誠裁判長は結審を宣言し、その言い訳どおりの判決を下したのです。

東京地方裁判所は、憲法で国民に保障した控訴人の裁判を受ける権利を何重にも蹂躙し、裁判所として行うべき説明責任の義務を果たさず、行政事件訴訟において行政の住宅管理組合と共謀した不正を隠蔽し、幇助するとしか思えない一方的な判決を下したのです。
一体、東京地方裁判所の定塚誠裁判長は、国及び東京都のなした法律違反の行政処分に対する「不利益を回復する訴えを、どこでできるのか」という疑問に対し、司法権を行使する裁判長として、どのような回答を考えているのでしょうか。憲法に定めた裁判を受ける国民の権利に対し、司法全体(本控訴審)として、控訴人に納得できる回答を出さなければなりません。

(6)行政機関が共謀した違反を司法は許容してよいか
日本国において刑事事件では、詐欺を問題として取り上げることが出来るが、行政事件訴訟では、「行政が関係した詐欺または詐欺幇助事件は取り扱わなくてよい」という理屈はありません。行政がマンション建て替え事業の不正に関与し、文書だけを整えたならば、行政はどのような違法(不正幇助)を犯しても良いという理屈もありません。刑事事件としての立件と並行して行政事件として行政処分はなされなければなりません。少なくとも法律の規定に照らして違法行為があるという控訴人の訴えに対し、それを審理の対象にすることは、法治国としてやるべき当然の裁判です。特に、現実の刑事訴訟事件で扱われるべきマンション建て替え事業における国庫補助金詐取事件に関しても、それが行政事件に関係している場合には、刑事は、「行政事件に影響を与えるから」という口実で、行政事件の判決が出るまで捜査を実施しないことが一般的です。それは刑事が通常国民に対して説明していることであり、やられていることです。本事件の場合、5億円を超える巨額な国庫補助事業であり、財政危機が問題になっているとき放置容認できる問題ではないはずです。

行政事件の多くは過去の行政事件を見ても明らかなように、圧倒的多数が原告敗訴(被告の行政庁勝訴)で、行政処分の追認がされ続けてきています.司法は行政秩序を守るために、「既存の行政でやられている実績を追認することが法治国の安定になる」ということを口にする意見(以下に説明する東京地方裁判所判事も「公定力」の説明)もあります。司法と行政とが癒着して、行政の不正を隠蔽し、裁判官の事件処理実績成績を上げているのではないかという疑惑も市井ではささやかれています。建て替え事業により不正利益を上げる裏では、その不正行為の結果、善良な国民が犠牲にさせられています。

本事件でも、既に控訴人(原審原告。以下同じ)のうち二人は、東京都知事の建て替え組合認可を根拠にして、自宅マンションから強制的に排除され、10日間以上人権を侵害され、野宿を余儀なくされてきました。所有権移転の裁判も係争中で、所有権が控訴人にある状態で東京地方裁判所立川支部の執行吏により、強制執行が行われました。東京地方裁判所立川支部の判事は、二人の控訴人の所有権移転登記の判決が確定していないのに、国民の財産を奪うことは違法であると控訴人が主張しました。違法の理由として、控訴人は、刑法上の「推定無罪」の論理を行政事件に援用しました。ところが裁判長は、突然、「公定力という言葉を知っているか」と居丈高に持ち出し、「私は法律の専門家だ」と頭ごなしの説明を始めました。

「司法権や行政権は基本的に誤りを犯さないという前提で処分をなしている。ところが、司法や行政の決定に対し、あなたのような訳の分からないことを言う人も少なからずいる。そんな不平に付き合って司法や行政事務を遅延させることはできない。それで、司法や行政で決定したことは、司法や行政事務の円滑な履行ができるように、司法処分やや行政処分を計画通り実施出来る権力を公定力というのだ。公定力は法律で認められた権力で、刑事事件と司法処分や行政事件とはまったく違うのだ。」と説明をしてくれました。要するに、司法と行政の横暴は、公定力として妨害されず実施することが許されるということでした。しかし、裁判官は公定力を裏付ける根拠を、法律上の根拠を示して明確に説明できず、「法律の専門家として説明してやっているのだ」と言い切っただけで、その説明は裁判所の決定に正当性を説明できる説明責任の伴わない「権力の強がり(威圧)」でしかありませんでした。公権力の行使は、実定法に根拠がある場合に限り、公定力があるのです。

しかし、控訴人戸谷は、かつて建設本省で政府立法にも関与し、また行政実務を担当し、また地方公共団体でも行政実務を担当し、毎年多くの行政裁判に関係してきた経験に立つ限り、現在の行政は、護送船団方式の一種の「伏魔殿」になっており、その隠蔽体質こそ改善されなければならないと確信しています。行政は、「行政による不正は隠蔽しきれる」という間違った自信を持ち、本事件のように横暴なやり方で、法律を犯し国民の権利を蹂躙しています。本控訴審は、法律が国民に約束した法の利益を奪うことがないように、法治国の行政の誤りを糾すべく、法律の実体規定に違反した実態を解明し、その審理を求めているものです。本控訴審では、東京高等裁判所の権威と国民の信用にかけて、行政のなした違反の隠蔽や、違法な行政処分を形式論で容認せず、法律の実体規定に照らし、違法行為は許されないように、行政実務を審査の対象とし、不正を裁くことを要求します。

以下、本控訴事件に対する事件が、法律で規定された実体規定の違反として実施された経緯を、法律の実体規定の説明とあわせて、手続きの時間軸を追って説明します。

1.マンション建て替え円滑化法とマニュアルの関係
マンション建て替え円滑化法の中で立法時に問題にされたことは、「多数決により建て替え組合に強制権を付与するとした内容が、憲法第29条に抵触しないようにすること」との関係で、同法第4条基本方針が定められました。第4条第2項では、基本方針で定めるべき事項として7項目が掲げられていますが、その中で「マンション建て替えに向けた区分所有者等の合意促進に関する事項」(第4条第第1項2号)の規定がおかれ、それを受けて「マンション建て替えに向けた合意形成に関するマニュアル」(平成15年1月付け国土交通省)が公表されています。このマニュアルの位置づけに関し、同マニュアルは、以下のように説明しています。

マンション建て替え円滑化法の制定に伴い、同法第4条第1項の規定に基づき国土交通大臣が定めることとされている「マンション建て替えの円滑化に関する基本的な方針」が公表されました。この中において、「マンション建て替えに向けた区分所有者等の合意形成に関する事項」に関し、国、および地方公共団体が取り組むべき事項の一つとして、「国は、区分所有者等の合意形成の進め方に関する方針を作成し、地方公共団体と連携し、その普及に努めることとする」と規定されています。このマニュアルは、以下のように、この国が作成することとしている建て替えに向けて住宅地管理組合が「合意の形成の進め方に関する指針」として作成したものです。

(1)マンションの建て替えの検討に当たっては、建て替えと修繕その他の方法における改善効果と所要費用等を比較するなどして、建て替えの必要性を確認するとともに、各区分所有者等の意向把握を十分行うように努める必要があります。

(2)管理組合が適切な時期に説明会を繰り返し開催するなど、区分所有者等の建て替えに関する知識の普及に努めるとともに、建て替えの各段階ごとに、専門家の協力を得ながら策定した計画内容等の区分所有者への情報提供の徹底、区分所有者の意向の反映に努める必要があります。

(3)このようにして建て替えの決定に向けては、区分所有者の合意形成を適切に図りながら進めていくことが重要です。

2.マニュアルで定める建て替え事務の進め方
マニュアルは、「強制権を付与することのできる建て替え事業」は、その手続きとして、「段階を積み上げた民主的合意形成により事業を進めること」によるとし、その場合には、全員合意ではなくても、5分の4以上の多数決によっても、民主的な決定とみなすことができるとしています。そして、建て替え決議までの合意形成の基本的進め方を「三つの段階」として定めています。

(1)    準備段階:建て替えの提起までの検討
[住宅管理組合の組合員有志による建て替えを発意するまでの段階で、任意の自由意志による取り組みとされています。

(2)    検討段階:建て替え構想の検討
「住宅管理組合として、建て替えを必要として計画することの合意を得ること」が、この検討段階の目標です。
住宅管理組合として、自らの費用で以下の検討をして、建て替えか、修繕かの検討を行い、「建て替えに絞って検討を進めること」という住宅管理組合としての意思決定の段階です。そのためには、組合として検討組織を設置し、専門家を選定し以下の4項目の検討を行うことを示唆しています。住宅管理組合自体の検討結果は、下記1から4までの検討に基づき、「住宅地管理組合として建て替えに絞って検討を進めるものとするとの決定」を、組合員全員の5分の4以上の賛成を持って「建て替え推進決議」として行ないます。
1    老朽度判定、不満や改善ニーズに基づく要求改善水準の設定
2    修繕・改修の改善効果の把握と費用算定
3    建て替えの改善効果の把握と費用の算定
4    建て替えか修繕かの判断

(3)    計画段階:建て替え計画の作成
「建て替え計画を策定するとともに、それを前提とした建て替えの合意(「建て替え決議」)を得ること」が計画段階の目標です。
管理組合における計画組織を設置し、専門家及び事業協力者を選定し、以下の5項目の内容を検討し、「建て替え計画」を作成します。検討の結果は、上記1から5までの検討に基づき、住宅管理組合として、組合員全員の5分の4以上の賛成を持って「建て替え決議」として行ないます。
1    建て替え計画の検討
2    意見交換による計画の調整
3    非賛成者等への対応
4    関係団体及び近隣住民との協議
5    建て替え計画の策定

3.諏訪2丁目住宅管理組合での実際に実施されてきた事務
諏訪2丁目において実際に実施さられたことは、第1段階も第2段階も存在しません。そして、組合員の合意をとる作業をしないで、一挙に第3段階に入り、マニュアル上でできない第2段階の作業を経ないで「予算を国から騙し取る」ための行動に入っています。

マンション建て替え円滑化法の規定では、住宅管理組合が「建て替えに絞って検討する」という結論を出すためには、マニュアルで定めている「組合自身の費用で上記2の(2)の作業」を実施しなければなりません。諏訪2丁目住宅管理組合の場合には、マニュアルで定めた組合自身でする作業を一切をせず、名称のみの実体のない「建て替え推進決議」という決議を行いました。それは、国土交通省の担当室がマンション建て替え事業予算獲得という行政上の違法な指導もあり、専ら上記2の(3)段階の国庫補助金を受ける手段として実施しました。

マンション建て替え円滑化法の制定に当たり、国会の建設委員会での政府委員(三沢住宅局長)の説明は、以下のようなものでした。
(1)住宅管理組合は、まず、住宅管理組合自らのお金で、「建て替えか、または、修繕によるかの検討」をすることを義務づけています。しかし、組合自身の検討をしても、検討に要する費用の関係で、工事の詳細までの検討の詰めをすることは出来ません。そこで、「建て替え推進決議」を実施できた組合に対しては、建て替え事業が中途で、後戻りすることのないように、国は、詳細な建て替え事業計画を策定するために必要な支援をする必要があると考えました。

(2)多くの住宅管理組合では、「建て替え推進決議」に持ち込むために、組合自身の検討作業に費用がかかります。それを乗り越えるために住宅管理組合としては慎重な検討をすることになります。それだけに、安易な建て替え事業の取り組みは、「住宅管理組合の費用負担によって組合員の要求を反映しなければならない」という制限により、一部の建て替え推進者による詳細の検討を経ないで進めようとする勝手な建て替え事業の推進は、事実上、制限され、真剣に身銭を切って建て替え事業に取り組む住宅管理組合に制限して、国の支援を行うようにしてきました。

(3)諏訪2丁目団地の場合にも、これまでも建て替えをしたい組合員の提案で、5回以上「建て替え推進決議」という名称だけの決議をしてきましたが、それ以上の検討には費用がかかるため、一部の建て替え推進者の希望どおりには、建て替えの具体的な検討作業は突き進めず、事業化に進めるものではありませんでした。今回事業家に向けての取り組みが可能になった理由は、5億円を超える国庫補助事業費を使って、建て替え事業の締め付けを組合内にする一方、建て替え事業者の利益中心で建て替え事業を進めたからです。つまり、旭化成ホームズ㈱の建て替え事業と東京建物㈱の営利中心の事業が巨額の国庫補助事業で進められているため、補助金が事業採算を成立させてきたのです。

(4)マンション建て替え円滑化法の制定に当たり、国土交通省が、同法の制定に当たり作成した建て替え事業の実質的内容が、十分組合員の意向を反映していない建て替計画の場合、中途で挫折する危険性があるので、組合自身の費用で検討することのみを前提にして「建て替え推進決議」をすることをまず定め、その後、詳細な建て替え事業計画を国の支援を得てすすめる2段階の事業システムを構築しました。

(5)つまり、マンション建て替え円滑化法の考え方は、先ず、「建て替え推進決議」を実施します。その結果、「建て替えに絞って検討をする組合員の合意を作った組合」に対しては、建て替え計画の作成に必要な費用に対しては、優良建築物等整備事業補助金制度による計画事業費の3分の2を補助金として支出する制度(間接補助制度)の適用をすることを決定し、組合員が後戻りすることのない建て替え要望を、事業計画に的確に反映した事業計画を策定する制度を構築しました。

(6)即ち、マンション建て替え円滑化法における事業の公共性に関しては、建て替え事業計画に組合員の意向を反映することが第1に重視されたのです。しかし、諏訪2丁目住宅管理組合の場合は、この住民合意で建て替え計画を取りまとめる過程が、事実上完全に脱落して進められ、最初から旭化成ホームズ㈱に建て替え事業を実施させるとする一部の組合幹部の意図通り進められました。そして、作成した建て替え事業計画は、旭化成ホームズ㈱の利益中心の計画になり、建て替え決議に持ち込めるものにはなりませんでした。

(7)そして、その国庫補助金の交付条件として、マンション建て替え円滑化法第4条の内容を定めたマニュアルに定める「建て替え推進決議」を交付条件にし、国庫補助金の交付をすることが規定されました。その事実に照らして、諏訪2丁目住宅管理組合の場合は国庫補助金の交付を受ける条件を全く満たしていません。国庫補助金を受け入れる条件がなかったにも拘らず、受け入れることができた理由には、以下の経緯があります。

(1)国土交通省による違法な補助申請の教唆
諏訪2丁目住宅管理組合では、平成16年の管理組合総会ではマンション建て替え円滑化法の制定に対応して、このマニュアルに沿って建て替え構想の検討をするための組合予算の計上に関する議題も出されていました。しかし、その議題は、翌年の組合総会では消滅し、以後まったく検討されませんでした。それは、諏訪2丁目住宅管理組合にコンサルタントとして入った旭化成ホームズ㈱が国土交通省の意向を反映して、違法な指導をしたことにあります。

法律が制定されて後、国土交通省住宅局INU市街地建築室長が東京都及び多摩市に対し、優良建築物等整備事業補助金を使ってマンション建て替え事業の実績造りのため同補助金の受け入れ制度要綱の作成を要請しました。そこで「事実上、マニュアルの手続きを踏まないでも、名称としての「建て替え推進決議」としての紙切れがあれば、国の審査では申請書しか審査しないので、国庫補助金を交付する」という意思を伝えました。

訴外旭化成ホームズ㈱は、江戸川アパートの建て替え事業がTVで放映されたことから一挙に建て替え専門業者と名乗り、諏訪2丁目住宅管理組合の組合理事と関係が出来、組合理事会や総会の議決なしてコンサルタントとして雇用され、国土交通省住宅局INU市街地建築指導室長の指示に従った指導で補助金の詐取が行われたことにありました。

(2)マニュアルによらない「建て替え推進決議」
諏訪2丁目住宅団地組合総会では、「総会議題」として事前に通知されていなければならない議題以外の議題として、突然、建て替え推進組合理事の提案がだされました。その提案として、「国庫補助金として、建て替え事業推進の調査費が交付される」という趣旨の説明と、その補助金を受けるための緊急決議が提起されました。国がマンション建て替えを推進する方針の中で、今回新たに「マンション建て替え推進決議」という名前の決議を5分の4以上の賛成で決議すれば、建て替えを推進するための検討費用が、3分の2の補助率の国庫補助事業として行うことができる制度が作られた」という説明でした。この種の内容の議題は、事前に組合員に伝えられる総会議題であるにもかかわらず、総会議題という扱いはなく、その他の議題の一つとして、緊急提案として提案されました。

その上、総会での提案説明では、「この補助金には全く何の紐もついておらず、事業ができなくても返済の義務は受けない補助金で、組合には何の損もない貰い得の補助金である」と説明されました。当然、この制度は、マンション建て替え円滑化法第4条に対応して、国が定めた条文の内容を解説した二つのマニュアルがあるという事実も、後日明らかになりました。しかし、組合総会では、そのマニュアルに根拠をおく補助事業であるという説明など、一切なされませんでした。組合員のほとんどは、マニュアルの存在も、補助制度との関係は一切聞かされてはいませんでした。

総会では、「修繕か建て替えかの検討もされていなく、その予算で修繕か、建て替えかの検討はどうするのか」という疑問も提起され、その検討もこの調査費が交付されれば、その予算の中で並行して行うという回答がなされていました。結果は、法律上の制限のない何の制約も受けない調査費補助金であれば、「貰い得」であるので反対することはないという総会の大勢で、その予算の性格も分からないままで、国庫補助金を受けるために準備条件の整備として「建て替え推進決議」がなされました。

(3)国庫補助金適正化法違反の不正申請
その後、その予算がマンション建て替え円滑化法第4条に定めた基本方針の内容を定めた二つのマニュアルを根拠にした優良建築物等整備事業補助金として、マニュアルに定めた「建て替え推進決議」を条件にして交付されるものであることが住宅管理組合員にも分かりました。そのため、マニュアルの手続きを経ていない「建て替え推進決議」を根拠にした補助金申請は違法であることを、組合員が多摩市の会計監査上の問題にしました。

実は住宅管理組合からなされた国庫補助金の申請書では、国庫補助金申請に当たって、住宅管理組合の総会も、理事会も承認していない状態で、一部の建て替え推進理事だけの「意思決定原議」なる共同謀議を前提にして、住宅管理組合理事長の代表執行権を根拠にしていると説明し、国庫補助金を申請していました。組合理事長に総会決議や理事会決議に代替することのできる理事長の代表執行権は建物の区分所有法上ありません。当初、多摩市はその補助金申請書に組合理事会の決議も総会の決議もないことを知って驚き、それに相当する資料の提出を要求しましたが、それがないことを知り、「意思決定原義」で組合としての決定がなされたとする扱いの代行する違法を認めました。その背景には、国の違法な補助金申請を容認する建て替え事業推進の指導があったからです。

この件に関し、多摩市会計監査委員会に地方自治法に基づく監査請求をする一方、同補助金を交付する国土交通省の担当であるINU市街地建築整備室長に直接面会し、国庫補助金適正化法違反の補助金交付をしないように抗議をしました。
前者に対しては、一部の組合員は、行政事件訴訟法により東京高等裁判所まで控訴しましたが、多摩市長は、法廷で、「国庫補助金は政府が推進している建て替え事業に使用する目的で交付されたもので、補助目的に違反していない」と主張し、高等裁判所は事実調べをせず、東京地方裁判所の判断を支持したため、組合員原告敗訴になりました。しかし、実際には、交付された国庫補助金は交付目的には使われていませんでした。裁判所は事実に踏み込もうとせず、多摩市長の答弁を信じ、説明に騙され、誤審をしていたのです。

後者に対しては、抗議をした本事件の控訴人である諏訪2丁目住宅管理組合員に対して、担当INU室長は、「国への申請は、多摩市長、東京都知事、国土交通省関東地方整備局を経由して申請され、その審査されたものを本省で疑うことは出来ない」という建前論で、「不正の解明を拒否する」といい、「組合員からそのような指摘があっても、本省としては調査をやらないし、およそ建て替え推進決議の実態の有無の議論は、神学論争に近いものだ」と自らが教唆した不正の調査には応じようとしませんでした。

(4)裁判所による事実審理をしない判決
多摩市長を相手に行われた地方自治法に基づく裁判でも「実体のない・建て替え推進決議」に関しての事実調べは、一切なさず、多摩市長の陳述を信じた判決でした。
また、交付された5億1,270万円の国庫補助事業の成果物は、組合員の「建て替え決議」の共通の判断資料として使われることなく、単に建て替え反対者の切り崩し工作費と「㈱旭化成ホームズに事業を請け負わせるという暗黙裡の了解の基で、旭化成ホームズ㈱の利益本位に作成された建て替え事業計画」に使われ、国庫補助金の目的として定められた組合員の要求を反映した建て替え事業計画作成には使われませんでした。

しかし、東京地方裁判所では原告の訴えたその事実を裁判での審理の対象にせず、不正が判明せず、裁判官は多摩市長に騙され、原告敗訴の判決を下しました。東京高等裁判所は、その控訴審に当たって、東京地方裁判所の判決を、控訴人の事実調べの要求を退けて、多摩市長の陳述をそのまま支持し、控訴人の敗訴となりました。

この判決後、国庫補助金を受けて取りまとめられた㈱旭化成ホームズの立てた建て替え事業計画は、住民の70%程度の賛成しか得られないことが判明し、強制事業に必要な「建て替え決議」の要件を満足しないことが明らかになりました。その国庫補助金を受けて取りまとめた建て替え事業計画の成果は、日の目を見ることなく廃棄にされました。

(5)建て替え業者提案競技
多摩市長、㈱旭化成ホームズ、諏訪2丁目住宅管理組合建て替え推進理事を相手に、国庫補助金等適正化法違反による刑事告発がなされました。その訴えに対し、行政事件訴訟の係争中、多摩中央警察署は捜査を一切しようとしませんでした。しかし、国庫補助金を使った建て替え事業計画が「建て替え決議に使われなくなったことが確定したことを確認して、多摩中央警察署は事件を東京地方検察庁立川支部に書類送検しました。

訴追を恐れた多摩市長および㈱旭化成ホームズは本建て替え事業から撤退するに当たり、対外的なスキャンダルとならないように、建て替え事業を旭化成ホームズ㈱以外の建設業者東京建物㈱に禅譲することを謀議し、マニュアルに定めた建て替え決議をしないで、先に業者を「業者提案競技」で決定する制度上、予定していない方法を持ち出しました。マンション建て替え円滑化法には「業者提案競技」と言う方法は定められていません。

まず、マンション建て替え円滑化法で決めていることは、住宅管理組合として納得のいく建て替え事業計画を「建て替え決議」として決定し、「その決議の事業計画の内容に沿って工事をする業者を決定せよ」と法律は決めております。そのために組合員が納得する建て替え事業計画に巨額の国庫補助金が交付されたのです。しかし、住宅管理組合は国庫補助金を目的外に使用し、組合員がその意向が十分に反映されていない業者の建て替え計画に強制事業として実施することには賛同できないとする意向が示されました。建て替え推進者に牛耳られた住宅管理組合理事会は、法律を無視して、「事業計画を無視して、先ず、建て替え業者を先行して選ぶ」という違法な方法を考案しました。

「組合員の納得する建て替え事業計画」というマンション建て替え円滑化法で定めた方法は完全に蹂躙され、そこで考案された方法は、建て替え事業者を決めて建て替えをやらせるだけのものになっていました。事業者として採択された東京建物㈱が策定した建て替え事業計画には、もちろん住民の意向が反映されたものではありません。ただ、「従前の住宅と同じ面積のマンションを保障し、かつ、一世帯あたり500万円の引越し補償金を支給する」という金銭的な負担の軽減という条件を付けただけのものです。

組合員はその「よい条件」に賛成し、「㈱東京建物を建て替え業者にする」組合決定がなされました。その決定を受け、旭化成ホームズ㈱は国庫補助金の不正使用を暴かれずに、不正着服したままで事業から退場し、国庫補助金を不正に申請し交付した多摩市長は、詐欺の刑事罰の傷を負わず、再選に出馬しないことで、検察庁の不起訴の扱いを受け、政治家として無傷のまま撤退を表明できました。

建て替え事業を担う業者が㈱東京建物㈱一社になったことから、東京建物㈱は、「リーマンショックの影響で500万円の補償金の提供は不可能になった。もし、組合員から補償金を要求されるならば、事業から撤退せざるを得ない」と一方的な通告をしてきました。
その通告を受け、建て替え推進の組合理事が中心となって、組合員に働きかけ、事実上、組合が東京建物㈱に「500万円の補償金がなくても建て替え事業をやってくれ」拝み倒すような形で東京建物㈱に建て替え事業者として留まることを申し入れました。東京建物㈱と住宅管理組合による「やらせ」ではないかといううわさが団地で囁かれていました。補償金の放棄に関し、諏訪2丁目住宅管理組合としての総会決議はありませんでした。建て替え事業計画は、その後も東京建物㈱の意図に沿って勝手に変更されています。そこには、「建て替え事業計画が、事業に強制権を与える背景になっている」というマンション建て替え円滑化法の法律の論理は完全に蹂躙されています。

(6)建て替え決議
組合員が「500万円の補償金」問題でひるんだ時期を見て、建物区分所有法に基づく「建て替え決議」が実行されました。しかし、その「建て替え決議」はマニュアルに定めた実体規定に違反した実態の違法な「名称だけ」の「建て替え決議でした。
この建物の区分所有法第62条に規定された「建て替え決議」は、マニュアルで定めている「建て替え決議」でなければならないことは、建物区分所有法のこの条文は、マンション建て替え円滑化法の制定との関連でなされたの改正条文であり、マンション建て替え円滑化法と建物区分所有法の両法は、不可分一体の関係にあることから、当然のことです。

しかし、実際になされた「建て替え決議」は、マンション建て替え円滑化法第4条に違反したマニュアルの規定を全く無視した名称だけの「建て替え決議」で、組合員の意向を反映した建て替え事業計画を前提にしたものではありませんでした。国会において憲法第29条との関係で、「組合員が実施する建て替え事業計画を共通理解として認めたもの」に対し、「民主的な手続き」(第4条)をすることを条件に、5分の4以上の賛成でも、強制できるとした制度の前提が尊重されなければなりません。

その前提を崩して、組合員の意向を無視し作成された建て替え事業計画を作成し、その成果である建て替え事業計画では「建て替え決議」ができないことが分かって、巨額な国庫補助金を使った成果物を反故にして、建て替えを強行するために、全く法律に予想していない方法で、名称だけの「建て替え決議」で建て替えの強制権を行使しようとしたのです。

(7)形式上の法律論でもやるべきこと
第1に、多摩市長が先の東京高等裁判所で陳述したとおりの補助金は補助目的どおり使うことをするのであれば、旭化成ホームズ㈱が取りまとめた建て替え事業計画を元に「建て替え決議」の採決をとり、その結果、5分の4以上の賛成が得られないときは、強制事業としての建て替え事業は実施してはならないということです。そうすれば、控訴人が受けた悲劇は生まれなかったはずです。
一体、国庫補助金を受けた優良建築物等整備事業補助金、5億1,270万円の成果を「建て替え決議」のベースにしなかった「建て替え決議」の違法性を法律上追及することは、当然するべきことです。「建て替え決議」をマンション建て替え円滑化法に照らして文理解釈をしても、「実態のない名称だけのカミペラの建て替え決議でよい」という論理的結論はでません。一体、国庫補助金に違反した費用を返還させないでよいのでしょうか。
現在進めている建て替え事業で、さらに、仄聞するところでは14億円とも18億円ともいわれる国庫補助事業がなされるといわれています。東京建物㈱の利潤追求の事業に、どうして法律違反の事業に巨額の財政支出を「泥棒に追い銭」として差し出さなければならないのでしょうか。

第2に、仮に「業者選定競技」が、容認されるといったことであっても、「500万円の補償金」が選考の決め手になったことは自明であることから、その条件変更は、総会議決事項でなければなりません。さらに、500万円の内容を調べてみると、そのうち150万円は、実質上の引越しや仮住居保証金ですが、残りの350万円は、組合員の保有する土地の評価に、実質上法廷容積率一杯の開発している土地であるにも拘らず、不当な「形状を理由にした削減率78%」を乗ずることで組合員の資産を騙し取ったものです。

500万円の補償金をゼロにしたときに、組合員の土地を騙し取ったということになります。開発計画は、都市計画で定められた容積率を200%完全に利用しており、地形が悪くて利用できないとする削減率を掛けなければならない正当な理由はありません。つまり、500万円の補償金のうち350万円は、本来組合員の土地資産であって、そのまま建て替え事業が行われた場合、組合員に還元される費用でした。しかし、「リーマンショック」を理由にして、500万円の補償金の支払いをしないとしたことによって、1戸当たり350万円分は、「東京建物㈱が不当利益として組合員の財産を奪ってしまう」という財産侵奪の不正という刑事事件となる犯罪が仕組まれていたとも考えられます。

多分、住宅管理組合が中心となり、多摩市長、東京建物㈱、旭化成ホームズ㈱が裏約束で、東京建物㈱が建て替え事業者となる権利を旭化成ホームズ㈱から禅譲されたとき、つまり、東京建物㈱にこの不正まみれの建て替え事業の尻をふく見返りとして、業者選定競技(コンペ)を実施するという違法な方法を決定したときに、予め用意されていた謀議であろうと推察できます。財団法人に本不動産権書のこの土地に対する鑑定評価は、きわめて論理性にかけた杜撰なもので、というよりも、依頼主の意向に合わせた作文としての鑑定で、組合員の財産を詐取した詐欺幇助の嫌疑が懸けられてよいものです。

つまり、多摩市長、建て替え推進理事、旭化成ホームズ㈱の3者は、当時、刑事告発を受け、東京地方検察庁の調査を受け、すでに刑事訴追の危険性があったことから、「毒食らわば、皿まで」といった「破れかぶれな芝居」を挑んだのではないかとも考えられます。
その危ない橋を渡る危険に対する見返りとして㈱東京建物に結果的に「32億円の補償費を支払わなくてもよい」という「補償費の詐欺事件」という刑事事件の犯罪の嫌疑の掛けられる芝居を行った「裏の筋書き」があったと考えられます。この事実を究明することが控訴人が求めている控訴審での「実態としての違反の真相究明」の一つの重大な証拠となる要素でもあると考えています。「500万円の補償費」の提案がなければ東京建物㈱が建て替え事業者として選考されることはなかったと考えられています。

(8)    住宅管理組合自身不安があった東京都知事認可
諏訪2丁目住宅管理組合は、マニュアルに違反した建て替え事務をしてきたという認識はあり、その違反は、かつて、東京高等裁判所で、国庫補助金等適正化法違反の控訴事件としてで多摩市長との争いがなされました。しかし、同時に、組合員の刑事告発を受けて多摩中央警察から東京地方検察庁に書類送検がされ、検察官からの関係者に対する事情聴取を受けたことから、東京都知事による建て替え組合の認可には、これまでの取り組みが法律違反の積み重ねであり、国土交通省が違反を容認していても、大いに不安があったに違いありません。

諏訪2丁目住宅管理組合として実施した建物区分所有法第62条を根拠にした名称だけの(マニュアルで定めたような実態のない)「建て替え決議」を実施した平成22年2月6日から、法律上、組合としては建て替えを決定したわけですから、修繕積立金の徴収は廃止しなければならないことになります。しかし、組合は、「もしも東京都知事からの認可が下りないときのこと」を不安要因として修繕積立金は徴収し続け、東京都知事からの認可が得られるという意向が確認された11月からになって、やっと、修繕積立金の徴収を中止しました。その間10ヶ月も不当に修繕積立金を徴収し続けたのです。東京都知事による建て替え組合の認可は、平成23年12月9日でした。

本事件控訴人は、東京都知事による認可は、これまでの経過より見て明らかに国土交通大臣がマンション建て替え円滑化法に関して、公的に説明してきた法律およびその解釈に違反している建て替え事業でしたから、法律に定める手続きに従い、不服審査申請を行ってきました。東京地方裁判所は原審において、定塚誠裁判長が結審に先立って、あえて原告に対し、「言い訳がましく」口頭で説明したことは、以下のような趣旨のことでした。

控訴人が東京地方裁判所で説明したことについて、裁判長も理解したが、「この裁判では実態違反には踏み込めない」という「裁判長自身が設けた審理の枠組」を指摘しました。その上で、この判決における判断の範囲は、「法律手続きに関してしか出来ない」と説明しました。裁判は、以上の趣旨の言い訳で審理が終結されました。控訴人は、審理の終結を宣言されてしまったので、仕方なく、その後、準備書面において、実態違反がなされた場合の違法行為を容認しては法治国の秩序は守られないことも準備書面に纏め裁判所に送付しました。しかし、全く考慮されず、裁判長の予告どおりの判決がなされました。

4.控訴審で審理してほしいと要求していること
(1)主権在民と法治国ということ

控訴人は、日本は法治国であると信じていますし、裁判所もその事実を否定しないと信じています。法治国であるということは、法律で定められたことが、「国家と国民との社会契約」という憲法を基本に法律が構成されていることから、各法律で定められた実際の内容が、国家によって国民に保障されなければならないと信じています。

本事件のように国土交通省住宅局INU市街地建築室長が法律違反を東京都および多摩市長にマンション建て替え円滑化法による優良建築物等整備事業補助金制度による事業実績を作るため、法律の手続きに違反した建て替え事業を実施することを教唆し、書面だけの形式が整えば国庫補助金を交付するという違反を実行すると示唆をしました。それをINU市街地建築室長に直接問題にした諏訪2丁目住宅管理組合員であった控訴人に対し、形式が整っているから「違反の追及は出来ない」、その追求をしても「神学論争(水掛け論として尻尾を捕まえることは出来ない)」と嘲笑して逃げてしまいました。

控訴人の戸谷は、元建設省住宅局建築指導課係長・課長補佐時代に立法作業を担当し、また、それ以前に国庫補助事業を担当した経験者であって、行政法と補助事業には精通していることを知って、INO市街地建築室長は「先輩も補助事業のことはご存知で、本省では国庫補助金は補助金の申請書以上の審査は出来ないので、不正を争おうとしても本省にまで手は出せないことは分かるでしょう」と、最初から国庫補助金適正化法違反上の訴えがあった場合の逃げ途、つまり、形式論での門前払いという不正な途を考えていることが分かりました。

そこで、底まで読んで不正をやっているのであれば、官僚を相手の訴えは困難と考え、多摩市長を相手の国庫補助金等適正化法違反の訴訟をやったわけです。その結果は、すでに説明したとおりです。行政機関が建て替え組合の不正を教唆し、共同で不正を実行した事実があるとき、その事実を司法が是正することが出来なければ、どのようにして法治国の安定は図られるのでしょう。日本国憲法は主権在民をうたっており、その中で、国民に裁判を受ける権利を保障しています。控訴人は法治国の原点として、法律に違反した建て替え組合の違法行為を許してはならないことと同時に、それを容認し幇助してきた東京都知事および多摩市長の行政処分の違法を糾すべきであると訴えを求めてきました。

その訴えも、まず、マンション建て替え円滑化法を施行している行政機関の最高の権力を持っている国土交通大臣に対して、東京都知事の組合認可には、実態違反があるのでその認可を取り消すよう求めたのです。しかし、国土交通大臣は、違法行為を指揮した当時の担当INU市街地建築室長が幹部職員になっている現在、部下が犯した違法行為とマンション建て替え行政を担当している東京都知事と多摩市長をかばって、形式的な手続きに誤りがないという理屈で、実態違反に踏み込まないで不服審査請求を却下しました。

(2)憲法が定めている司法の役割
行政が形式論に終始し、実際に建て替え組合および行政機関が実態違反を犯していて、組合が法律の国民に約束した利益を奪っている場合には、司法の場でそれを糾すことが出来るという制度が法治国の仕組みです。そこで、その仕組みどおり、行政事件訴訟法で「行政機関のなした法律の実態に違反した処分を是正してほしい」と東京地方裁判所に提訴したのです。しかし、今回控訴しなければならなかった理由は、東京地方裁判所は、控訴人が憲法に定めた「3権分立の民主国家の構成」に基づいて、憲法で定めた「国民が裁判を受ける権利」を根拠に、「法律に違反した行政処分の実態を是正してほしい」という行政事件裁判を起こしたにも拘らず、違反の実態を調査せず、「裁判所のやるべき審理は、形式審査以上に実施できない」と法律及び司法制度上根拠のない言い訳をして、国民の求めを却下したことは、憲法に保障された国民の権利を奪う判決という他ありません。

控訴人は、この事件により大きな被害を被っているわけですが、その原因は、東京都知事による法律に違反した実態を、形式的な「偽の建て替え推進決議」と「偽の建て替え決議」を容認して不正幇助がなされていることにあります。その不正が法律を正しく施行することで阻止されれば、控訴人の不利益も回復できます。控訴人はこの訴訟によって、特段の利益を求めているわけではありません。憲法を基にした法律で、国民に国家が約束した法律で定められた利益の保障を求めているのであって、それ以外のものではありません。

控訴審で求めていることは、法律はそこで定められている実態が保障されなければならないので、不正の実態を形式で覆い隠してしまえばそれでよいという「不正のやり得」と「不正被害を不当に国民に押し付ける」ことに司法が手を貸すとしたら、法治国の秩序が守られなくなります。特にこの事件のように行政が法律違反を教唆し、幇助しているとき、その行政の不正を是正できるのは司法しかありません。司法は法律の実態が守られることをしなければ、国民の国家に対する信頼感(ロイヤリティ)はなくなります。それは「司法の存立」に掛かるとともに、「法治国の存立」の基本に関する問題です。この裁判で裁かれているのは国の行政であり司法であるというべきです。日本国憲法に照らして正しい控訴審判決をするよう要求します。
以上



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