メールマガジン

メールマガジン第464号

掲載日2012 年 7 月 17 日

メールマガジン第464号
皆さんこんにちは、
欧米の住宅産業の経験を活かした事業

㈱大建の「荻浦ガーデンサバーブ」完成時点での研修ツァーが、梅雨の合間の、7月5日にはGKK・HICPMのバスツアーセミナーでの38名の実施され、翌日6日にはHICPM理事の高倉さんが大分から32名の社員を引率して研修ツァーに参加されました。
荻浦ガーデンサバーブは、工事期間中、NHKを始め地元のTVでも7回も取り上げられ、これまで1,200名以上の現地見学会が開催されています。このように全国各地から見学者を迎えていることは、社会的に取り組んで欲しいと期待され、話題性のあるテーマをこのプロジェクトが取り組んだからです。来場された人たちは完成住宅地を見て、驚きの目で研修成果をもって帰っていかれました。横浜の工藤建設のガーデンヒルズ、四日市市のアサヒグローバルの泊山崎ガーデンテラスを経て、HICPMが福岡糸島市の「荻浦ガーデンサバーブ」では、顧問として事業に参加してきました。結果的に見て、欧米の優れた経験をしっかり取り入れた事業として成果を上げることができました。

物価上昇率以上の値上がりをする欧米の住宅
前二者の、ガーデンヒルズ(工藤建設)、泊山崎(アサヒグローバル)は、国の長期優良住宅事業としての国庫補助金をもらう新しい事業として取り組みました。荻浦ガーデンサバーブは、それらに事業で取り組んだ成果の上に、住宅購入者の資産形成の実現という住宅地経営をするべく、欧米の理論と実践を日本の条件に読み替えた取り組みでした。国民が住宅取得をすることで個人資産を高めている欧米の住宅産業に倣い、工務店の経営利益は消費者の利益を高める事業の結果として付いてくると㈱大建が住宅事業に取り組んだことが、特に注目すべきことだといえます。そこで、㈱大建が、HICPMの教育プログラムを利用して、欧米の120年余にわたる経験から学び、実践したことを、実際の取り組みを観察した経験からお話しします。
公共事業の中で補償事業を中心に取り組んできた㈱大建は、産業構造の変化を察知して、国民の高い需要に支えられる事業として住宅に取り組むことになりました。その姿勢は、皮肉な言い方をすると、日本の住宅産業が自社の利益のために不正な方法を使い、消費者不在になっていたため、それが幸いし、素人にも十分に算入できる場所が拓けていたということです。松尾社長はHICPMの会員として、国内外の研修ツアーに参加し、国の技術補助金を受け、HICPMが研究指導した「資産形成を実現する欧米の住宅研究」に参加し、その後、英国のエベネツアー・ハワードが都市経営の発明家として指揮した「住宅による資産形成」について、実際に欧米を実際に見学して取り組んだものでした。

住宅の価値とは需給市場で決まる取引価格で、推定再建築価格
欧米では、不動産鑑定評価制度で明らかなとおり、「既存住宅価格は、現時点でその住宅を建設した場合にかかる費用(推定再建築費)はいくらか」として計算されます。その評価額は住宅金融のモーゲージで認められ、政府(FHA)の債務保証がモーゲージに対して与えられています。そのため、住宅は基本的に購入時の価格以上に、住宅地の熟成分を加味すれば、住宅は物価上昇分以上に価値を高めています。国民年金制度や社会保険制度が未整備な米国は、自己責任制度を基本とする自由主義国家です。国民は、自らの生活をその資産で守らざるをえません。自分の資産のうちで最大の資産が住宅です。その資産に依存するために、人びとは住宅市場で憧れの対象となるよう、自らの住宅を維持管理し、資産価値を高め、イザというときには自己資産に頼る準備をします。住宅は個人年金制度を支えているものであり、アメリカンドリームの実現の基礎です。その住宅の資産価値を脅かすものは、住宅地の荒廃や犯罪や災害です。

住宅の資産価値を守る原点はセキュリティの高さ
特に犯罪は住宅資産価値の下落に最大の脅威であるため、地方政府もまた、固定資産税及び住民税の税源である住宅資産を守るために、住宅資産を所有する住民がゲーテッドコミュニティやITをセキュリティに取り入れたスマートハウスの普及と並行して警察権を駆使して治安の向上に努めてきました。しかし、70年代末までに取り組まれたゲーテッドコミュニティやスマートハウスの政策は一般住宅地と比較し、統計的に観ても、特段優れた成果を上げられませんでした。つまり、賊の頭がこれらの対策より進んでいました。そこでHUD(住宅都市開発省)は、対症療法ではなく根治対策を本格的にその改善策に臨むことになりました。それは1970年代末から米国における安全な都市や住宅地の調査研究をもとにした取り組みが始まっていたことに政府も関心をもちました。

ニューアーバニズム

それがシーサイド(フロリダ)に始まるTND(トラディショナル・ネイバーフッド・ディベロップメント:伝統的近隣住区開発)でした。この開発手法は、米国東海岸(ケントランド、レイクランド)から始まった取り組みです。一方西海岸ではサステイィナブルコミュニティ(ラグナーウエスト、ノースウエストランディング)やエコロジカルコミュニティ(ヴィレッジホーム)の開発の取り組みが進み、やがて、全米でのこれらの関係者がアワニーホテルで一堂に会し、[アワニーの原則]を纏めました。この計画理論が「アワニーの原則」の構成メンバーが中心となって始めたニューアーバニズム運動です。米国では国民が住宅を取得し維持管理することで資産形成をするためには、ニューアーバニズムによる都市経営を「三種の神器」(ハードとソフトのルールを住宅地経営管理協会)を使って実施すること以外にないという考え方が定着しました。この考え方は、クリントン大統領政権の下で副大統領アル・ゴアが「21世紀の都市白書」と呼ばれる「成長し続けるコミュニテイ(ビルディング・リバブル・コミュニティ)」として発表皿ました。その後の共和党のジョージ・ブッシュ政権の都市政策にそっくりそのまま取り入れられました。

アーバンヴィレッジ運動とドイツのガルテンシュタット
一方、英国では現在プリンスチャールズがニューアーバニズムと同じ思想での街造りをアーバンヴィレッジ運動として進めており、目下、ブリテン島の西南部のコーンウウォール地方でパウンドベリー開発160ヘクタールの建設が進んでいます。この開発は2025年の完成を目指した世界の注目をあび、開発が進んでいる。この開発は1900年エベネツアー・ハワードガ提唱したガーデンシティの思想と世界での実践成果が、英国に里帰りした「街造り運動」でした。現在、世界から環境都市という呼び名で注目をあびているドイツのフライブルクにも1920年代にガルテンシュタットと呼ばれるハワードのガーデンシテイに倣った事業です。最近、ガルテンシュタットが優れた住宅地として市民に支持されていることが注目され、研究の対象になっています。いずれも現代において100年の歴史を経て、その地域で優れた文化を享受できる憧れの住宅地に成長しています。

住宅購入者の取って重要なものはロケーション
㈱大建はGKK=HICPMの海外研修ツアーで、これらの優れた資産形成を実現している住宅地を、HICPMのオン・ザ・ジョブ・トレーニングとして研修し、その理論と実践から学び、それを福岡県糸島市で「荻浦ガーデンサバーブ」として実現しました。その成果はまさに社会的に取り組むべき課題にチャレンジしたということで、TV,雑誌、新聞など多数のメディアに取り上げられ、高い評価を受けてきました。この開発では、住宅単体ではなく、人びとの生活を豊かに営める住環境を造り、経営管理するという新しい住宅地経営が行われてきました。しかし、これまでの住宅地は販売できる土地は個人の土地に切り分け、住宅地には共有の住宅地環境管理という事例が皆無に近く、住宅購入者に欧米では最も重視されるロケーション(住環境)が重要であることを伝え切れないでいます。顧客は自らで考えるのではなく、販売の様子を見て決めようとしているように思えます。

政府支援がなくても理解される事業

30年前2×4工法とランドプランニングによる住宅地開発が、住宅金融公庫が政府金融を梃子に短期に広められました。それに対し、荻浦ガーデンサバーブは、政府の応援や宣伝や金融支援を受けずに、逆に妨害され続けながら、世界に通じる住宅購入者中心の内容を取り入れた荻浦ガーデンサバーブほど社会的な関心を集めた例はこれまでありません。政府の支援を受けず、本音で欧米の経験を学んで取り組んできたニューアーバニズムによる「三種の神器」を使った住宅経営を、現在、慎重に評価していくようになると思われます。この計画にどのような世界の住宅経営の経験が取り入れられているかは、この不況時代でも、顧客の理解が「量」的に進むにつれ、販売の速度は「質」に転化し一気に売れていくに違いない気配を感じています。この住宅の販売に関しては、冷酷に分析し、今後の取り組みに活かさなければなりません。今後も入居の状況を見て、資産形背のできる住宅地経営の手段として、「三種の神器」「ハードなルールとソフトなルールと住宅地経営管理主体の三つの手段」による住宅地経営の現地見学会を実施していきたいと思っています。
(NPO法人 住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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