メールマガジン

メールマガジン第466号

掲載日2012 年 7 月 30 日

メールマガジン第466号(7月30日)
皆さんこんにちは

ロンドンオリンピックが始まりました。7月27日に始まったロンドンオリンピックのTV放映が始まり、つい、実質があり、事前にTVで何度も高く評価されながら、結果に結びついていない内村航平さんと荻浦ガーデンサバーブとを重ね合わせてみてしまいました。
今年は暑さが特にひどいようで、それでいてセミの鳴き声が聞こえない変な夏です。それとあわせて例年を逸脱した真夏日と熱中夜が拡大し、路上で倒れ、死亡に至る人が出るなど困ったことになっています。昨年の東日本大震災以降、地球の動きに何か異常を感じます。

高断熱住宅の問題
福岡県の糸島市で実施している荻浦ガーデンサバーブは、エコロジカルな環境ということでエアコンを使わないで済む計画にしましたが、過去の統計では35℃以上になる日は、年間10日程度で、暖房、遮熱、蓄熱の技術を駆使することで対応することを計画してきました。しかし、連日の真夏日が続くと屋内外の気温差が小さくなり、外壁の断熱効果はなくなります。夜間外気温度が低下したときに外壁の断熱材料によって屋内気温が低下することを断熱材料が妨害するからです。

ギリシャの省エネ対応
常時エアコンを使っているときは、屋内気温を守るために断熱材料が性能を発揮しますが、外気温が屋内気温より低下したときは、断熱材が屋内気温の低下を妨害することになります。ギリシャなどヨーロッパの家計支出の少ない国では、冷房費用の負担を最小限にするために、夏には外気温が低下した早朝に、住宅内の空気と涼しい屋外空気とを置き換え、住宅内部の気温と同時に家具什器の温度も外気温並みに引き下げます。その後開口部を閉鎖し、屋内の気温が高まることを防ぎます。ギリシャは湿度が低いこともあって、発汗が促進されるため、体感気温は日本に比べて低くなっています。

日本でも考慮すべきギリシャの取り組み
荻浦ガーデンサバーブの場合、予想を超える外気温のために、エアコンを常用しなくても、緊急時には使えるように、取り入れることを考慮せざるを得ない状況になっています。将来の気象変動のことは予想できませんが、熱射病にかからないようにするためには、エアコンを導入することはやむをえない状況と考えられます。当面の住宅に対する関心は屋内気温となります。エコロジカルな生活を快適性と調和させて実現するためには、生活の仕方にまで提案を持ち込むことが必要になります。

「日本の住宅市場の常識」との闘い
荻浦ガーデンサバーブは、予想外に苦戦していますが、それは住宅を選択する側の住宅購入者が、日本の住宅産業が実施してきた「差別化と手離れのよい住宅」販売になれ、資産価値の醸成する住宅供給という長期的視点が失われているため、住宅による資産の実現という視点が失われていることにあります。その最大の課題が「独立住宅」の造り方で、高地価の市街地では隣地境界線に接して住宅を建設する建て方「アタッチドハウス」が、一般的に受け入れられていないことです。

特筆すべき「NCZ工法」(液状化対応人工地盤)
荻浦ガーデンサバーブで新たに開発したNCZ工法は、これからの日本の街造りに大きな貢献をする工法であることが明確になってきました。日本の都市計画法は、都市施設の未整備なところに建築行為をすることを「線引き制度」と「開発許可制度」で計画規制することになりました。つまり開発許可が完了しないところで建築行為をしてはならないという既定です(都市計画法第37条)。開発行為が完了しなくても建築行為をさせてくれないかという陳情が経済団体連合会から毎年のように建設大臣宛に提出されていました。英国の都市農村計画法では、都市施設の整備と一体的に建築行為を許可する制度を使い、土地整備と建築行為を一体的に計画許可(プランニングパーミッション)し、秩序ある都市開発を実現してきました。

日本の都市計画法と開発許可制度
しかし、日本では建築基準法が存在していますので、建築基準法の既得権を生かした形で、建築行為を始める前の開発行為(都市計画法第4条:土地の区画形質の変更)までを、開発許可制度で実現し、敷地の土地基盤整備が行なわれてから、建築基準法による建築行為を行うようにしました。今回㈱大建が取り組んだNCZ工法は、建築物の築造される人工地盤を開発行為として建築行為に先き立って行い、開発行為が完成してから人工地盤上に建築物を建築すると同時に、人工地盤内部に建築空間利用をするようにするという画期的な技術を開発しました。

地盤の液状化現象
特に昨年3月11日に地震により、地盤の液状化が多数発生し、液状化の結果が具体的な形ではっきり見えてきました。半世紀ほど前の新潟地震の際、信濃大橋の柱脚や、落下した橋桁が地中に落下し、ついに発見することができませんでした。
昨年の東日本大震災で千葉県浦安ではマンホールが地中から地上面に連続的に突き出し社会問題として液状化の問題を明らかにしました。それは地盤自体が流体となり、液体化した地盤より比重の高いものは地中に沈下し、軽いものは、その空間が排除する流動化した地盤の重量分の浮力を受け、地上に突出する現象となることが分かりました。この現象は既に紀元3世紀にカルタゴのアルキメデスが明らかにした原理です。

東日本大震災後の地盤の液状化対策の理論
浦安の液状化で問題になったことは、支持地盤に到達する杭には、建築物の荷重を杭で直接支持地盤まで伝達するので、地盤には直接支持されていないから、地盤の液状化が起きても心配はないと始めは考えられていました。しかし、流動化した地盤が地震力を受け、土壌の粒子は水平に玉突き現象を起こし、杭に対し大きな「せん断力」となって、杭を大きな曲げ応力を掛ける原因となることが分かってきました。
ちょうど重油輸送タンカーが大海を航行するとき内部の重油が震動でゆれて、船体に巨大な応力(圧力)を発生させるため、船体が重油の横揺れで破壊さでる危険性が高い。そこで、重油を収納する船体に重油をコンパートメントで区画し、固体と同様の扱いをすることで、安全な輸送をすることになりました。
この理論を液状化地盤に適用し、地盤面を隔壁で区画し、地盤の地震動を受けたときのエネルギーを細分化することにより、支持杭に掛かる応力を小さくする技術が開発されています。しかし、この技術は、所詮、液状化した土壌の地震力を受けた圧力を隔壁で細分化するもので,隔壁による区画で、地震力が大きい場合の杭に対する水平力(くいに対する曲げ力)に対応できるかに関し、十分な検討ができているとはいえません。

アルキメデスの理論を生かしたNCZ工法
しかし、㈱大建によるNCZ工法は、地下水位を引き下げる仕組みが組み込まれており、液状化自体が発生しにくい構造としています。その上、仮に地盤が液状化し、地耐力及び摩擦支持力がゼロになっても、その際地価に構築された人工地盤に働く浮力により、沈下又は浮上することがないように設計できる優れものです。人工地盤及びそのうえに築造される建築物は、液状化した地盤に対して、その位置関係は相対に変化しないようになっています。土壌の液状化を構造理論として設計に適用することができた工法としては、アルキメデスの原理そのものを単純に利用した単純なものですが、過去に存在しない技術です。
荻浦ガーデンサバーブでは欧米の住宅地開発で取り組まれ大きな成果を上げた技術が多数取りこまれており、それらを以下に入居者に伝えるかという大きな課題をまだ伝えきっていないため、制約は計画通り進んでいません。

帰属意識を持てる住宅地のデザイン
今回、いかにして計画した内容を購入予定者に伝えることができるかという大きな問題に取り組んでいます。その中のもう一つ課題として、この地域で150年以上の歴史文化を担った瓦と白壁のデザインの住宅をこの住宅地でも伝承するよう、瓦と白壁、なまこ壁の住宅の街並みが風水の理論を生かして造られています。そのイメージを住民の「持ち家」に抱く帰属意識と結びつけるためのデザイン状の工夫を白のフェンスを生かして造り上げる検討を進めています。エコロジーをテーマにしたサステイナブルコミュニティとして居住者に「わが家」「わが街」のイメージを住宅購入者に持ってもらう工夫をしてもらっているところです。
ない知恵を絞って試行錯誤していますが、皆様からのご提案を是非お寄せください。
(NPO法人 住宅生産性研究会 戸谷 英世)



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