メールマガジン

メールマガジン第472号

掲載日2012 年 9 月 10 日

メールマガジン第472号(2012.9.10)
みなさんこんにちは
ブリックで造られた「街並みバスツァー」学習

9月6日、GKK/HICPM国内住宅地研修ツァーで、東京ブリックプロダクツと共同のバス移動研修ツァーで、泊山崎ガーデンテラス(アサヒグローバル㈱)とスパイラル・ガーデンサバーブ(彩賓館㈱)の2地区の現地バスツアー研修ツァーと、5人の講師による教室での住宅地経営管理セミナーとを連結して実施しました。
泊山崎ガーデンテラスは、国土交通省第一回長期優良住宅(街づくり部門)で採択された事業であり、また、スパイラルガーデンサバーブは謙虚に英国のレンガによる街づくりを現地に出かけ、帰国後、会社を挙げ学んで実現したものです。いずれも、20戸程度の中小規模の住宅地開発としては、現代の日本での最高の計画内容を誇る住宅地といってよいと思います。この二つの住宅地に関しては、これまでもビルダーズマガジンでも紹介してきましたのでご存知の方も多いと思いますが、改めて、今回の研修成果を含んで紹介いたします。今回は、その中の「裏話に相当するお話」をします。

泊山崎ガーデンテラスとの関係
このプロジェクトは、国土交通省が「超長期優良住宅推進事業」であり、この事業で採択されると、1戸当たり200万円の国庫補助金が交付される事業として始められたものです。
アサヒグローバル(四日市)や工藤建設(横浜)が擦れにチャレンジするに当たりHICPMに技術協力を求めてきた事業でした。HICPMはそれまで会員を中心に、「資産形成を実現できる住宅地開発」に関し、世界の優れた技術を調査研究し、ハウジングアンドコミュニテイ財団で研究してきた成果を活用したものであり、HICPMが街づくり計画のコンサルタントとして初めて実施した事業でした。私自身は学生時代に英国の住宅問題に取り組んで以来、以下のとおり30年近く都市開発・再開発関係の仕事に携わってきました。
建設省時代住宅地区改良事業を通して5年間、高度経済成長時代、その社会的ひずみとしてのスラム改善のため、主として住宅地再開発を全国的に実施しました。その間、陽の当たる都市改造土地区画整理事業との共同事業で、日向と日陰の事業を見てきました。
その後、インドネシア共和国で最初の公団でニュータウン開発を、新しい開発基準を整備しながら開発事業計画に3年間とり組みました。帰国後は、愛媛県で官民二つの住宅地開発を手掛け、その後、新設公団住宅都市整備公団で5年間、ニュータウンの開発計画と都市開発調査関係の業務に携わり、大阪府時代には、「街づくり推進機構」の組織作りに2年関係しました。HICPM創設後はこれまで勉強した都市開発のうち、「資産形成を実現する世界の住宅地開発」を見学し、最新の欧米の住宅地開発を調査研究してきました。

選考から外されたモデル事業
泊山崎ガーデンテラス(アサヒグローバル)もガーデンヒル(工藤建設)も、私は、これまで日本になかった優れた事業として全力投球をして計画し、審査員の「度肝を抜く事業である」と自負していました。しかし、蓋を開けてみた結果、2つの計画とも「落選」でした。私は「寒暖計は寒暖計自身の温度を測る」という言葉を思い出し、「審査員の無能さが審査結果に現れている」と自分を納得させようと思いました。しかし、私に依頼したHICPM会員の気持を考えて、その審査経緯を調べることにしました。
国土交通省の担当課長に事情を調べてもらったところ、二つの計画とも県レベルの選考で外され、国レベルの審査にまで来ていないことが分かりました。その理由を調べたところ、国は外郭団体支援と森林振興議員に応えるため、それらの団体又は林業関係間団体以外は、県レベルの専攻で外すような指導がなされていたことが分かりました。要するに、国家主導の団体組織化の手段としての行政指導連動の利益配分補助事業でした。
翌年、この制度が「長期優良住宅モデル事業」と名前を変えて実施されることになったとき、国土交通省の担当課長から、「今度、落選となった二社に再度申請させてくれたら、都道府県レベルでのこれまでの篩い分けで落とすことはしないと約束するが、しかし、本省レベルで政治的な判断を加えて落とすことも、積極的な推薦をすることもしない。国も口出しをしない選考に掛けることにするので、よかったら会員に応募させるようにしてくれ」という話を受け、二社に再提出してもらいました。
後日、審査員に会うことができたので、審査の評価を聞いたところ、予想通り、「二つの計画はダントツに優れているということで、文句なしの採択になった」ということでした。
「単に開発するというだけではなく、<三種の神器>による住宅地経営という日本にない環境経営が取り組まれた開発には感動した」という説明でした。私は日本の住宅地の関係者にも、十分世界の住宅地開発として優れた技術を評価する能力はあることが確かめられてほっとしました。これは、世界の住宅地情報は十分氾濫しているためだと思います。

泊山崎ガーデンテラス
この開発は、19戸の住宅地開発で、1戸当たり200万円の国庫補助金を受けた事業となって実施されました。私は計画段階までで、事業段階では全く関与することを求められませんでした。しかし、1度だけ、HOAの関係で三重県との交渉がうまく進まず、助言を求められたときお答えした以外、完成後まで現地に入ることもありませんでした。
私に求められたことは国庫補助金を受けられる条件整備ということだけでした。私は国家の歪んだ外郭団体や国会議員で私物化した補助金分配制度に逆らって抗議し、少なくとも申請二社にはその期待通り補助金を得られるようにしたことで、「結果OK」であったわけです。
この泊山崎ガーデンテラスで提案した基本コンセプトは、欧米の住宅地開発の常識である「住宅購入者の家計支出の範囲で購入でき、街並み環境が持続し、人びとのライフスタイルの変化に対応し、自然環境に適合するサステイナブルな住宅」です。その原型は1999年、HICPMがカナダアメリカの住宅産業調査の結果から導き出して提唱した「サスティナブルハウス」にあります。そこでは、以下の技術を取り入れることを提唱しました。

サステイナブルハウス・コンセプト
(1)    下落する地価を住宅取引価格に算入させない英国のガーデンシティに採用されたリースホールドによる事業
(この提案は「土地購入費用を回収したい」ということで不採用になりました。)
(2)「アパート並の価格で戸建て住宅以上の環境」を提供するとして全米で1960年代に始まり現在でも拡大し続けている「2×4工法を利用したランドプランニング技法を取り入れたタウンハウス」
(この提案は住宅営業側が「4面化粧外壁」がないと「戸建て住宅として販売できない」ということで住戸間に80cm.の隙間を設けました)
(2)    現代の米国の住宅産業で、共通して採用している技術となっているニューアーバニズムによる「三種の神器」による「個性を尊重し、住宅所有者が主体性を持ち、住宅地開発業者が手離れしない住宅地経営の黒子(裏方)となる経営です。
(この計画は、日本の住宅産業のゆがみを反映する形で放棄されました。)

住宅産業を汚染してきた国と住宅産業界
日本の住宅産業の共通の経営目標とされている標語が、「差別化」と「手離れのよい販売」です。「差別化」とは、単に相手と違ったものを販売しているだけであるのに、あたかもその「違いが、優劣を決定している」かのように消費者を騙して売る行為を「差別」といいます。差別とは、「違いとして区別するもの」を、「優劣の差別」にするものです。
政府が住宅建設計画法地代の1965年から住宅金融公庫を使ってやってきた政策が、「差別化政策」という不当なもので、それは、「住宅金融公庫の割り増し融資」という制度の運用で定着した「騙しの商法」となったのです。
政府は業界の要求に応えて儲けを上げる手段の肩棒を担いで、「性能が高ければ、高い値付けをして消費者を騙して販売してもよい」としたのです。その結果、スーパーウォールという米国では構造断熱性能は、優れているが安い材料として普及している材料を、日本では高性能住宅を高価格で販売するときの政府が与え、お墨付けとしての正当な理由として使われてきました。アルミサッシュやアルミドアーも同じやりかたで、機密性の高さを口実に高価格販売をやってきました。
その挙句、販売した住宅は、消費者がそのからくりや、騙しを問題にする前に、購入者からの追及を逃れるために、手が切れるようにする「手離れ」のよい販売をすることが進められたのです。
本来責任を負うべき住宅会社の責任を「瑕疵保証保険制度」を作って、官僚の骨拾いをする保険機構を作り、そこへの工務店の強制加入を天下り人事で経営している保険会社の経営支援のために行政権を濫用して行い、保険料の80%以上は人件費等として食い尽くそうという制度を設けています。
此処で政府と住宅産業界が「ぐる」になってやっていることは、「詐欺師」がやっていることと基本的に同じです。その指摘をしたとき、官僚や住宅産業関係者は、「住宅の場合、購入者はそれで納得し満足しているから、詐欺とは違う」と抗弁しました。
そこで詐欺に掛かった人はそのときは満足していたように見えただけでしょう。住宅の場合には、始めは、高価な住宅は高い価値があると騙されて信じていただけです。住宅を持ち切れなくなって販売しようとしたとき、始めてその本当の価値(市場価格)を知り、それに文句を言おうとしても、既に時効になっているというだけではないですか。しかも、政府は、実際に詐欺行為が行われている事実を知りながら、詐欺商売の黒幕として、「犯罪を犯罪ではない」と開き直りました。そして、住宅という非償却資産を償却資産であると騙し、しかも、「住宅の価値が下落したのは、減価償却のためである」と言い訳をしました。欧米のほとんどの住宅は、日本政府のいう償却期間30年で、住宅の価格は購入時の4-5倍に上昇している理由は何でしょうか。日本では新築中古という名前で、新築時点に詐欺商売が行われていることを社会的に認めながら、政府ははじめから価値のないものを高額で販売している事実を隠蔽することに手を貸してきています。公的犯罪です。

泊山崎ガーデンテラスの変更工事
泊山崎ガーデンテラスは、中央に小川が作られ、61本もの花木が植えられ、その維持管理には時間も費用も掛かります。それを開発業者がどのように対応していくかが「三種の神器」による住宅地経営です。その住宅地経営管理の煩わしさから手を切らなければいけない、という判断から、泊山崎ガーデンテラスの小川が、メイテナンスフリーのレンガブロックの庭に作り変えられ、白のフェンスで囲われることになりました。その背景には三重県がこの住宅地経営が設立しようとしたHOAに対し、不当な邪魔をしたためでした。
HICPMは三重県の誤った指導をする「NPO法人」の規定の理解に対し指導をしたのですが、それを三重県が理解を使用ともせず、ずたずたにしたことにあります。以下次回に説明します。
(NPO法人住宅生産生研究会理事長 戸谷 英世)



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