メールマガジン

メールマガジン第475号

掲載日2012 年 9 月 25 日

HICPMメールマガジン第475号(10月1日にかえて)
みなさんこんにちは

来週はHICPM事務所を留守しますので、来週お送りする予定のメールマガジンを先にお送りします。

荻浦ガーデンサバーブ開発のノウハウ:5つのポイント(第2回)

第2.    リースホールドを導入した住宅地経営
荻浦ガーデンサバーブでは、地価を住宅価格に反映させない取り組みとして、欧米の定期借地権制度・リースホールドに取り組みました。(日本の定期借地権制度は住宅建設の瞬間から50年後に住宅を建設廃棄物にするまでの間、一貫して住宅資産価値を下落させ、法的根拠のない保証金や前払い家賃を取るもので、欧米のリースホールドと違います。)国家の不当な地価操作と相俟って、日本の定期借地権制度は、住宅地を急速に衰退させ、住宅購入者の資産を失わせる不当な方法です。

租税特別措置法による固定資産税の真意
現在、日本の地価は高止まりしているというより、土地担保金融に胡坐(あぐら)をかいた日本の金融、経済が、住宅地価を異常操作した高値に硬直させています。地価は、その土地利用者が負担できる地代を、社会的平均利回りで割り戻した額として決められます。固定資産税は、地代収入を根拠とした地価に税率をかけて決められます。政府は租税特別措置法で60坪以下の宅地には、法定税額の固定資産税を6分の1、都市計画税3分の1に減額し、国民が負担できるようにしています。しかし、内閣府からの通達で、課税額のベースとなる「課税標準額は地価公示制度による路線化による評価地価以下である」と決められています。この減税措置は、実際の地価が「国民の地価負担力の6倍に吊り上げられている」ことの証明です。地価を吊り上げることで土地担保金融を拡大し、景気拡大をしてきました。しかし、住宅購入者が住宅を持ち切れなくなったときその矛盾が不動産価格の下落として現れ、損失をかぶることになります。
その矛盾を一般の経済活動に顕在化させないために、政府は、政策的に吊り上げてきた高い地価を、都市計画法と建築基準法の「規制緩和」や「高容積率という地域地区の指定」で、釣り上げた高額な地価に見合った土地の高層高密度開発をさせ、国民の所得水準に対応させて来ました。一般の都市計画どおりの開発をしたとき、地価は高すぎて、通常の国民の経済負担に耐えられません。土地を購入し事業をするときは、高層高密度にしない限り、購入者の負担に見合いません。住宅を購入するときは、土地価格は高額ですが、購入した不動産を売ろうとしたときには、購入額よりどんどん低下し、租税特別措置法による固定資産税見合いの地価になっていきます。荻浦ガーデンサバーブの取り組みは、政府の高地価操作が馬脚を現して,住宅購入者の損失を与えることを回避するために、土地を住宅取引に参入させないようにしたことです。

日本の地価の本質:日本の地価は国家「伏魔殿」
(1)かつて、国税庁元局長・私学教授がHICPMに来会の折、「裁判所で放出される競売の土地は安くても買わないほうがよい。裁判所からの物件の多くは傷物で、実際に使おうとすると占有者の追い出しや、担保の整理で実際に使えるまでには大変な時間と労力が掛かることが多い。しかし、国税が放出する土地は、基本的に無傷で割安である。」と発言されました。そこで「では、何が問題でしょうか」と尋ねますと、「物納物権を市場で売却するとき、損切りをせざるを得ない」ということでした。そこで、「そのことは、国税の課税が、実際の市場取引地価に比べ、過大な資産評価をし課税していることではありませんか。物納物件の売却で損切りした分に相当する資産評価の高すぎた分は、過大課税をした訳ですから、納税者に取り過ぎた税の還付はしているのでしょう。」と尋ねました。元局長は「理論的にはそうかもしれませんが、徴税時点の土地評価と処分時の土地の評価は別の仕事だから、全く切り離してやられている。」ということでした。

(2)租税特別措置法がなければ、現在の固定資産税の課税標準では、税額が重すぎて国民は固定資産税や都市計画税を支払うことはできません。何故、市場価格の6倍もの高い地価を維持させているかといえば、金融機関の信用維持、つまり、土地担保金融のためです。住宅ローンが個人信用を住宅購入者の生命保険を最終の担保に取っていると同様、土地担保金融は実際の地価ではなく、その6倍の高い課税標準を担保に金融が行われているのです。その異常さが、最終的に国民に住宅を購入する際に、土地を建物と一緒に買わせ、実際の地価と課税標準地価の差額分の損を住宅購入者に負担させているのです。国は実際の地価を、地価公示制度を使って高く吊り上げ、実際の市場地価もその影響を受け国民を苦しめています。

(3)日本では公正な市場地価は存在していませんが、衰退した区画整理地の土地を見れば、市場地価はゼロに限りなく近づいていることが分かります。土地が生み出す利益配当は地代です。土地自体の借り手がいない供給過剰土地で、固定資産税や都市計画税の支払い義務しかない土地を保有している人は、税負担義務というマイナスの資産を保有しているわけで、利益を生まない土地を購入する人はいません。つまり、市場地価はゼロ又はマイナスとされなければなりません。その土地も金融機関では、地価公示額や課税標準価格で担保になっているのです。そして公示地価では、課税標準地価以上の地価評価がされています。土地は地方公共団体にとって、固定資産税や都市計画税という自治体の財政収入となる利益を生み出すでものす。できるだけ高く課税標準額を決めることが、自治体にとって利益になることです。そのような課税標準額は、市場地価を無視した地価で、地方公共団体の税収を確保するために操作されているもので、適正なものとはいえません。

資産価値の下落か、キャピタルゲイインの街づくりか
地価が下落するときに土地を住宅購入者に買わせることは、住宅購入者が損失を被ることを知っていて土地を売付けるわけですから、損失を与える「未必の故意」による犯罪です。だから、「土地はキャピタルゲインが得られる見込みがあるときは販売し、キャピタルロスが生まれるときは売ってはならない」というのが商道徳です。荻浦ガーデンサバーブでリースホールドにした理由は住宅購入者に地価下落の損失を与えてはならないとしたことにあります。区画整理地の住宅を見れば明らかなとおり、立派な敷地を細切れの宅地に細分化し、そこにハウスメーカーが「差別化」といって、隣地と違うデザインの住宅を「違うことが優れている」と騙して建てさせ「手離れよく売り逃げ」してきました。この「差別」と「手離れのよい」商法こそ「詐欺」商売なのです。「差別化」の結果、相隣関係の住宅デザインは対立・反目し、街並みは不協和音の響く住宅地となり、住宅は建て詰まるほど住宅地は魅力を失っていきます。
一方、荻浦ガーデンサバーブでは、㈱大建はランドプランニングと、アタッチドハウス(戸建て住宅を隣地境界線に接して建てる住宅)の技術を駆使してきました。住宅地全体が人びとの住みやすい環境に造るため、住宅ごとに土地を切り刻むのではなく、街並み環境全体を一体的に計画しました。池を囲んで樹木が多数植えられた大きな公園を囲み、アタッチドハウスを、「共同住宅並の地価負担で戸建て住宅以上の住環境を造り上げ」ました。住宅地全体として一元的な計画がされ、住宅所有者が街のルールに従って生活し、年が経つにつれ相乗効果が生まれ、街は熟成していきます。ハワードが「ガーデンシティ」で提起しているように一人の法人地主と一人の法人住宅経営者により住宅を管理することが、住宅による資産を実現する鍵を握ることになります。

定期借地権事業か、リースホールド事業か
現在の地価は下落傾向にありますから、土地を保有すればそれだけ資産価値は下落します。住宅購入者に損を与えるわけには行きませんが、同様に、土地所有者(株)大建も損を出すわけにはいきません。㈱大建は土地を保有することで土地からの応分の利益を出すことがなければ保有できません。㈱大建は、全体として相乗効果の上げられるように、アタッチドハウスの住宅地とし、戸建て住宅の1.5倍の高密度開発を可能にし、土地から適正利潤を地代として得ることにしています。

現在、金融機関は資金運用として投資先が見つからないため、政府の指導もありますが、安定した資金運用として国債を購入しています。国債の額面利回り1%、運用利回り0.8%と言われています。荻浦ガデンサバーブでは国債の4-5倍程度の運用利回りを出すことができる計画で進めています。それは、限られた土地に居住する世帯数を多くすることと人工地盤を取り入れた開発計画でそれを可能にしています。

借地で事業をするとき政府が進めている定期借地権制度によらないで、㈱大建は何故、欧米のリースホールドにしたのか。それは、日本の借地借家法による定期借地制度では、50年の定期借地期限がきたとき、住宅所有者は建てられた住宅は取り壊し、更地にし、地主に土地を返還することを義務付けています。つまり、50年後には建設廃棄物になる住宅不動産をつくっているのが定期借地制度です。そのため、定期借地権つき住宅は、住宅を建設したときから50年後に住宅を取壊すときまで一貫して資産価値は減少し続け、最後は、住宅の取り壊し費用の負担という損失が残ります。

一方、㈱大建でやっているリースホールドは、民法で定められた「契約自由の規定」を根拠に、日本の定期借地制度と喧嘩をしないで、契約を優先して実施するものですから、政府もいちゃもんをつけられません。99年の定期借地権が切れたとき、住宅は㈱大建のものになりますが、居住者はその後も同じ住宅に継続的に借家人として住み続けることができます。勿論、地主の財産になった住宅を借地人が買い戻すことも可能です。リースホールドによる住宅地は、居住者によるコミュニティが半永久的に育ていき熟成し続けます。

エベネザー・ハワードが提唱した「ガーデンシティ」の理論どおり、ハワード自身が建設したレッチワース・ガーデン・シティは、不動産価値を物価上昇率の何倍もの高い比率で上昇し、現在はその不動産価値増を手に入れたい人たちが増え、リースホールドで始まったこの地の90%以上がフリーホールドに変わっています。住宅の資産価値が上昇するのならば、壊す必要がありません。㈱大建も、人びとが住みやすい住宅地評価される住宅地経営を支えることで、売り手市場の住宅地を造り、住宅の資産価値が上昇し、住宅所有者がフリーホールドを望むならば、リースホールドからフリーホールドに変えてよいのです。
荻浦ガーデンサバーブの住宅は、既存住宅市場で住宅を取引するときも、土地価格を取引から外すことのできる住宅は地過分だけ安く販売できるので、取引は容易になります。

来週もこの続きをお送りすることになりますのでご期待してお待ちください。
(NPO法人 住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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