メールマガジン

HICPMメールマガジン第476号

掲載日2012 年 10 月 6 日

HICPMメールマガジン第476号(10月8日)

皆さん、こんにちは

先週に続き、荻浦ガーデンサバーブ開発のノウハウ:5つのポイント(第3回)をお送りします

第3.    セキュリテイ(物理的安全性、社会的安全性)
住宅の資産価値を維持する上に重要な要素の一つがセキュリテイです。大震火災に対して住宅が物理的に安全であることと並んで、犯罪に対して安全であることは、住宅が市場取引として売り手市場を維持するうえで、最も重要なことです。荻浦ガーデンサバーブは住宅の資産価値を向上させる上から、世界で最先端のセキュリティ計画を導入しています。

火災に強い住宅(木造耐火建築物)
米国で2×4工法タウンハウスが1960年代に爆発的に拡大した理由は、木造で耐火建築物をつくるファイアーコンパートメント(防火区画)の技術が開発されたことによります。そのときの技術を荻浦ガーデンサバーブでは取り入れています。世界の火災と防火対策の歴史を調べると、1666年のロンドン大火災に遡ります。アングロサクソンはハーフティンバーの技術を持った民族で、ロンドンは木造市街地としてつくられました。それが英蘭戦争の只中にパン屋からの出火し、ロンドンの4分の3にも及ぶ木造市街地は消失しました。ロンドン復興事業は、サー・クリストファー・レンの指揮のもとルネッサンス様式を基本とした石造又はレンガ造という組積造建築にすることで、不燃都市を建設してきました。ロンドンの火災対策の記念塔がシティにある高さ60メートルの「モニュメント」です。ロンドン復興の思想が、防火地域制となって木造建築禁止区域の建築規制をして都市防災を実現するものでした。その後、1960年代までの世界の都市防火対策は、防火地域制を指定して、その区域から木造建築を排除することにより、都市の防耐火対策としてきました。
1920年代のシカゴで量産釘と製材技術革新を背景に生まれた2×4工法で、シカゴをはじめ多くの都市が短期間に形成されましたが、その多くは市街地火災で焼失しました。そこで防火地域制が導入され、そこには2×4工法の木造住宅は禁止され、鉄筋鉄骨を使った摩天楼が建設されるようになりました。しかし、防火地域で火災が発生すると、鉄筋コンクリートや、鉄骨造の高層建築物はその全体が炉になって、多くの人身事故と物損を生み出しました。その状況が映画化されたものが「タワーリング・イン・フェルノ」です。

カナダ及び米国で検証済みの木造耐火建築物
結局、建築構造材料と火災との関係は直接的ではないことが分かり、火災の成長理論の研究が始まりました。火災は火の元があって、延焼するもの(火災荷重)が火災エネルギーに変わり、それが建築構造を破壊したとき、建築火災や市街地火災になります。もし、火災荷重(燃え種)を細分割管理し、建築構造を破壊しないように管理できれば、建築火災や都市火災に発展することはありません。その理論を実験する機会がセントローレンス河のダム決壊で廃村になったところで実践された「セント・ローレンズ・バーンズ」でした。カナダの建築法(1960年)に取り入れられたファイイアー・コンパートメント(防火区画)の技術は米国のタウンハウス(アタッチドハウス)技術に取り入れられ、それを取り入れた木造耐火建築物に対し、FHA(連邦住宅庁)が債務保証を行い、FNMA(ファニーメイ)の金融2次証券(MBS)として買い上げました。事実、米国とカナダでは、石膏ボードを使ったファイアー・コンパートメントでつくられた木造住宅は耐火建築物として、火災に安全な中低層住宅の建築物をつくってきました。ここでつくられる住宅は、基本的に地価の高い土地に建てられる市街地住宅ですから、日本の昔からの市街地住宅や欧米の市街地住宅のように独立住宅を隣地境界線に接して建てられるアタッチドハウスとして計画することになります。そのため、アタッチドハウスは隣地境界線に面する外壁には化粧なしで済むので、コストカットが大幅にはかられます。隣地境界線に建てられる二枚の外壁は、エクスパンションジョイントを設けて構造的に独立し、固体伝達音が伝わらないように2cm強の隙間を設けています。
荻浦ガーデンサバーブの住宅は、全てこの北米の木造耐火建築物の技術を使ってつくられています。

地震・高潮・竜巻に強い住宅(大地震時の土地の液状化に対して安全なNCZ工法)
新潟大震災、阪神大震災、東日本大震災、を経験して橋の橋脚が地中に沈み込み、マンホールが地上に飛び出すといった地盤の液状化の問題が浮上しました。液状化の原理は、「土砂崩れ」と基本的に同じ理屈で、土砂が水分が地震動によりバラバラに液状化することで起きるもので、砂質層だけでなく、程度の差こそあれすべての地盤で起こりうることが分かってきました。
地盤の液状化は、「固体」であった地盤が、「液体」に代わる状態をいいます。地盤より比重の重いものは沈没し、逆に、比重の低いものは浮上する現象を発生させます。
荻浦ガーデンサバーブは方舟の形をした鉄筋コンクリートの「人工地盤の方舟」を半地階構造として開発許可時点の開発行為で地盤としてつくり上げました。この人工地盤は、その上に建築される住宅の計画条件を前提に設計されるため、開発段階で人工地盤の上に建築させる建築物を特定させることになり、現行の日本の開発許可制度の実現に最も的確に対応することができる開発方法です。日本の地区計画制度のモデルとなったドイツのBプラン(地区詳細設計)と全く同じ効力を発揮するものになっています。
この地盤自体が地耐力の低い地盤で、通常ならば、杭基礎か、地盤改良をしないと使えない地盤でしたが、いずれも巨額な工事費を必要にするため採用しませんでした。代わって、コンクリートの方舟にすることで、雪国の「かんじき」の理屈で、安全な人工地盤をつくることができました。この地盤が液体状になると、地耐力および地盤の摩擦支持力はゼロになります。液状化した地盤より比重の大きい構造体は沈下し、比重の小さい物体は浮上します。つまり、コンクリートの船が地盤に潜っている分の液状化土壌を排除している部分の土地の重量分だけ、浮力が生まれることになります。この理論は紀元前3世紀に活躍したカルタゴのアルキメデスの理論に根拠を置くものです。この浮力とコンクリートの船(人工地盤)及びその上に築造される住宅の重量のバランスがとれるように設計をすれば、地盤の液状化によって建築物の高さも変化しないようにすることもできます。
荻浦ガーデンサバーブは、方舟の人工地盤を、約2メートル地下(Z軸)に埋め、平面形(X,Y軸)対称にすることにより、液状化しても人工地盤面は不動沈下のしない人工地盤を作り上げました。鉄筋コンクリートの人工地盤の上に、隣地境界線に接したアタッチドハウスを建築することになります。そのアタッチドハウスは人工地盤内にある地下空間と一体的に利用できる住空間を形成します。不動産登記法上は人工地盤上の住宅と人工地盤内の住宅利用空間とが一体として利用できる「同じ所有者の権利が上下に重なる1戸の独立住宅」として一つの住宅不動産として、登記されることになります。
住宅を襲う高潮やトルネード(竜巻)は、短期間に大きな破壊エネルギーを及ぼしますが、そこに長く停滞するものではありません。そのため、一過性の被害を地下空間に緊急避難することで、その生命財産を守ることが、最も合理的な対策といわれてきました。鉄筋コンクリートでつくられた空間を、ハッチで閉鎖することで、これらの被害から生命財産を守ることもできます。東日本大震災を想定しても、NCZ工法は「ノアの方舟」のように、数時間地下空間に安全避難を可能にし、仮に人工地盤上の住宅が破壊されることがあっても、「ノアの方舟」のような鉄筋コンクリートの方舟を拠点に、被災後の生活再建ができるようになります。 

犯罪に強い街(居住者が尊重し合える街)
犯罪が頻発する住宅地は住みたいと思われない住宅です。犯罪は性の高い住宅地は、需給関係を反映して街は廃れていきます。住宅はそれを所有している人々にとって最大の財産です。その資産価値を高めるためには、犯罪が起きない安心して生活できる住宅地であることが必要です。そこで米国では、戦後「アーバニズム」と言ってハイウエーを利用した郊外に低密度な住宅地開発が始まったときから、住宅に電子頭脳(IT)を取り入れたスマートハウスの実践が行われ、または、住宅地を塀で囲いゲートで入門検査をするゲーティッドコミュニティの開発が実施されてきました。いずれの住宅地も、防犯対策より「賊」の方の頭がよく、一般住宅地と比較して犯罪率は減少しませんでした。
今ではその住宅地が、犯罪率は変わらないが、視覚的なステータスや安全性が高いと錯覚する演出として役立ち、高めの価格で販売できるという理由で使われています。そこでは犯罪率が低下しないため、資産価値が期待通り上がらず、犯罪率が高いところでは、資産価値が下がる事態も起きていました。そこで住宅の資産価値を高めるためにセキュリテイを高める方法についての調査研究が積み重ねられ、ついに、1980年代に入ってTND(トラディショナル・ネイバーフッド・ディベロップメント:伝統的近隣住区開発)といって、居住地域内の人たちがお互いに尊重し合う住宅地経営をすることが、肝要であることが明らかになりました。居住者がお互いに理解をい合うことがなければ尊重し合うことはできません。居住者が共通の利益を高めるために必要な住宅地経営管理が必要になります。HOA(住宅地管理協会)による住宅地経営管理です。

ニューアーバニズム、アーバンヴィレッジ
その住宅地経営技法が、その後、ニューアーバニズムと呼ばれる計画技法として全米で広く使われることになりました。その思想は、フランクロイドライトが「建築の四原則」の中で、「建築(街づくり)は民主主義の実現である」といったように、同じ地縁共同体としての「利益を共通する人びとを対象にする開発(CID)のコミュニティでは、居住者相互がそれぞれ個性ある生き方を求めており、お互いが違った人格を持っていることを尊重し合うことで豊かな生活を営むことができる。それは、お互いが相手を無視するのではなく、また、お互いが迎合するのではなく、対等にお互いの違いを認め合うことで、そのためには相互の生き方に関心を持ち,お互いの生活に干渉することがないような気配りをするコミュニティをつくることが、「賊」につけ入り込む隙間を与えないということが明らかになりました。そのためには、住宅地内の人々に出会いの機会を上手に演出するよう「ハードな計画のルール」と、「ソフトな生活のルール」とをつくることであるということが明らかになりました。その成果は米国内の実践を通して確認されました。
そして、1992年米国住宅都市開発省(HUD)が取り組んでいる衰退した犯罪の多い住宅地の改良事業(HOPEⅥ)計画(例:シアトルのハイポイント)や、中産階級の住宅地(例:ディズニーのセレブレイション)で大きな成果を上げてきました。
このニューアーバニズムの成果は、プリンスチャールズのアーバンヴィレッジの思想、技法として英国の皇太子の領地パウンベリー開発で実践されています。この住宅地経営思想は、エベネッザー・ハワードが1900年に明らかにした「ガーデンシティ」の思想が西欧世界で実践され、その成果として本国に里帰りしたものでした。
荻浦ガーデンサバーブは、英国、米国、ドイツにおける資産形成が実現している成果を現地に出向いて確認し、それを糸島市の小さな開発地の状況に読み替えて実践したものです。
ハードとソフトのセキュリティを向上させることのできる住宅地は、人々の住みたくなる住宅地として、住宅による資産形成の実現に寄与することになります。

来週もこの続きをお送りすることになりますのでご期待下さい。
(NPO法人 住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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