メールマガジン

HICPMメールマガジン第485号

掲載日2012 年 12 月 10 日

HICPMメールマガジン第485号(平成24年12月10日)
皆さんこんにちは

先週12月5日はGKK/HICPMの「農業を取り入れた街づくり視察研修会」が開催され、元旅行会社経営者河合さんが組織化した久留里エコパーク(以下の4施設)と高齢者福祉住宅を長年取り組んでこられたクドウカンパニーの平山さんの意欲的な取り組の高齢者の福祉住宅施設(プチモンド)訪問研修をしました。
(1)    上総愛彩ガーデンファーム(体験農園)
(2)    くるベリーファーム(摘み取りイチゴ園)
(3)    愛宕パークヴィレッジ(住宅地開発)とシアトルハウス(モデルホーム)
(4)    農園レストラン

専門家集団を活かした事業
今回の専門家集団による事業は、言葉で説明すると薄っぺらになるので、ご関心のある方には、できれば機会を見て、直接ご訪問されることをお勧めして、この計画内容の詳細な説明はしないことにしました。それは施設計画・建設だけではなく、その経営に、農業専門家や、料理の専門家を駆使した事業というものがどんなものかを皆さんに直接見て欲しいと思ったからです。専門家が係っていなければ、決して成功しなかった事業だと思いました。私がこの両施設をどのような視点から評価しているかをお伝えすることにしました。

時代の最大の課題分野で、貧しい事業しか実現できない理由
農業も高齢者福祉の問題も、日本のこれからの社会にとって大きな避けて通れない問題です。そのため、政府も、産業界も、多くの人びとが、それを「行政課題」といい、「ビジネスチャンス」であるとして取り組んできました。そして、農業政策も高齢者福祉政策に対しても、政府は湯水のようにお金を使い、助成をしてきましたが、いずれの分野も期待を裏切って社会的に評価される施策とすることはできないままでした。それは事業を進める関係者の利益を中心に考え、政策の恩恵を受ける人のことを考えてこなかったからです。国家予算だけが外郭団体を大きく育て、それに群がる政治屋を太らせ、多数の公務員のOBを雇用させてきましたが、肝心の高齢者の期待を悉く裏切ってきました。一体どれだけ予算をつぎ込めばよいのかさえ判らなくなっています。

専門家が活かされない限り受益者を満足させる仕事はできない
農業は人類の誕生とともに生まれた産業であり、その生産(農業)、加工(食糧)、食(料理)と人類の基本となる(衣・食・住)の一翼を担う生活要素で、生活文化を担っているものです。長い人類の歴史の中で、優れたものを後世に引き継いでいくため、現代人は伝承された優れた歴史文化を享受し、そこで満足したものを未来の子孫に伝承しなければなりません。そのためには、歴史文化を担う専門家の能力を活かすことでしか人類は豊かな社会を守り育てられないことを認識しなければなりません。
全ての人びとが食文化を享受しますが、優れた食の文化は、高い農業技術や料理の専門技術・技能によってのみ維持・発展されるもので、専門技術者の活用と技術者の研鑚努力なしに存在し続けることはできません。

基本的人権の尊重とは
人間が生まれこの世を去るときまで、人間として豊かな生活を営むことは、単に命の延命ではなく、個性や身体的条件の違う人びとが人間として尊重され生きることでなければなりません。人間らしく生きることは、個々の人間がそれぞれの個性の違いを尊重しあって生きることです。
先日訪問したデンマークで、以下の高齢者福祉の三原則を国家政策の基本に置いたことを知らされ、これこそ民主政治の実践であると確信しました。
(1)    継続性:高齢者になってもそれまでの生活環境と連続性の高い環境で生活できる。
(2)    残存能力の活用:身体機能として残存能力を最大限に活かし自立した生活を営む。
(3)    自己決定の原則:高齢者は自立した生活を営めるように、複数の選択ができるときは、本人が選択する。
デンマークでは、ノーマライゼイションが政策の判断目標にされています。一方、日本では政府や学者が考える(ノーマル:健常)という独善的な尺度があり、政府や御用学者が「健常」と判断される生活を営むことが出来る環境を国の政策としてつくろうと考えます。官僚や御用学者が官論で「健常」とする水準を決め、そのお仕着せを高齢者福祉に据えているところに日本の高齢者福祉の遅れがあります。

身障者は身障者として尊重されなければならない
デンマークでは、「五体不満足」の乙武さんや、全盲で全聾のヘレンケラーが、日本でいう「健常者」より大きな仕事をすることができる社会を、ノーマライゼイションの実現した社会といいます。
全ての人間は、心身の機能において違いがあるが、その優劣を持ったまま、社会の中で自立した生活ができるという社会をノーマライゼイションのできた社会といいます。自立できるような生活を営むことができるように、機会が与えられ、道具が開発され、バリアーフリーの社会を作ることが、国民の合意された政治として行われることが大切です。しかし、社会としてノーマライゼイションができるためには、国民全体に対する教育を通して、自立した生き方をしようとする人は尊重され、自立して生きようとする人に手を差し伸べる生き方が尊重されなくてはなりません。そのような社会ではボランティア活動が自発的に拡大します。そして、このような社会では、単に主観的な気持ち、愛情だけではなく、高い専門性が必要になります。

専門の農業者や、介護しや料理人が技を競っている施設
今回二つの農業施設と高齢者福祉施設の二つの経営プロジェクトは、いずれも専門家集団がその専門的技術技能を駆使し施設を建設しただけではなく、専門性の高い技術、技能を駆使して経営されているということです。これらの施設からサービスを受ける人たちは基本的に素人です。これらの施設を利用者は、提供される専門性の高い利益の中から、あてがい扶持ではなく、受益者が主体性をもって選択できるときに高い満足が得られます。二つの施設は、専門の農業経営と専門の高齢者福祉による利益を享受できるようになっていながら、受益者に選択権があるところがこの事業の素晴らしいところです。
いずれの事業でも、事業に関係する専門家が、事業目的に向けてそのベクトル(方向性を持った大きさ)を揃え、全体の相乗効果を上げているのです。

専門家集団による事業のリーダーシップ
CMのテキストの中で4つのリーダーシップの使い方の説明がされています。専門家集団が一緒にお互いの専門性を尊重しながら全体として高い効力を挙げるためには、オーケストラの指揮者のように、演奏者相互の主体的な演奏を同じ方向に方向付けするリーダーシップが有効であることを指摘しています。今回の研修は満足度の高い事業を進める方法を農業と高齢者福祉のプロジェクトを通して学ぶことができたと思います。
(NPO,法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)

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