メールマガジン

メールマガジン第486号

掲載日2012 年 12 月 17 日

HICPMメールマガジン第486号(12月17日)

皆さんこんにちは

大田区による池上本門寺門前町の景観破壊2事件

東京都大田区池上本門寺の門前町で、これまで2件の高層マンション建設に対する反対運動で住民が立ち上がりましたが、いずれも大田区役所がマンション業者側の立場に立ち、その内1件は、一部の地元の名士(医師)が区役所の理不尽な圧力に負け、街並み景観を守る地域住民を裏切って、その要求を支援してきたHICPMを含むその関係者にその取り下げの理由を説明しないで、独善的に審査請求を取り下げました。しかし、残るもう1件は徹底抗戦をすることになりました。


(1) 池上4丁目の事件

住民による代替案の提示

最初問題になった池上4丁目8階建てマンション事件は、4階建て以下の街並みの続く池上本門寺通りの池上駅と本門寺の中間当たりの位置で、幅員6mと4m.の道路が交差するあたりに、道路斜線制限に違反するマンションを建築基準法56条第7項による天空率(全面道路境界線上で見られる天空の見える割合が法定形態制限による天空率より低い計画は容認する規定)を根拠に、8階建てのマンションを建設するという非常識な計画です。業者の計画は、敷地に定められている建蔽率及び容積率一杯の計画をしていましたので、住民側は、地元住民は街並み景観を守るため、同一戸数、同一面積のマンションという条件でも、4階建てとして十分建設できる代案まで作成しました。しかし、業者は、天空率によって容積率一杯の開発ができると騙されて高い価格で土地を買わされた経緯があり、代案を検討することを頭から拒否し、土地購入条件どおりの建設を推し進めました。


固定資産税及び住民税拡大のためには違反も容認する特別区の都市建築行政

地元の住民が、門前町の景観からも、環境上からも、地域住民がお互いに申し合わせてきた4階建て以下の建築物にすることに対して、大田区は住民の意向を全く無視し、業者の言いなりに工事を推進するお先棒担ぎに終始しました。その理由は、東京都の特別区に共通していることですが、住民の利益を考えず、特別区の財政状態を改善するためにはマンションの新規供給を推進し、固定資産税と住民税を拡大する行政を実施してきたという経緯があります。その計画が建築基準法や都市計画法に違反していても、それを違反していないという理屈をつけることが区役所の役割であるかと考えています。これは私が関係した事件の発生した渋谷区、目黒区、板橋区、文京区で私自身が行政事件に関係して確認できたことで、大田区に始まったことではありません。


都市計画法・建築基準法違反の「天空率」を利用したマンション開発

それまで地元の利益のため、ご老体に鞭打ちご逝去なされる直前まで住民会合にご参加され、違法なマンション建設を阻止してきた元病院長が突然逝去されたのを機会に、大田区は地元住民に圧力をかけました。地元住民は既に大田区建築審査会に提出していた行政不服審査請求まで、大田区庁の意向に反対することで、「江戸・長崎」の不利益が及ぶかもしれない不安から取り下げました。これまで都市計画法の道路車線制限を尊重し街並み環境を造ってきた住民に対して、建築基準法第56条第7項による天空率による緩和は、街並み景観環境の既得権を侵害し、建築基準法第3条第2項に違反するものです。建築基準法第56条第7項は、建築基準法第3章規定でありながら、第1項から第6項と完全に矛盾する規定で、いわゆる救済規定(第56条1項から6項までの原則を尊重した上で例外的な条件に対し救済する例外規定)になっていません。その意味で第7項は既得権保護を定めた都市計画法と建築基準法の「姉妹法の関係」に違反しており、削除されるべきです。


(2) 池上1丁目の事件

災害危険が指摘されている地域での開発許可逃れのマンション

もう一つの事件は、池上1丁目の呑川管理用道路(幅員4m.)に面し、他の2面は「2項道路」(私道)に囲まれた合計700㎡強の土地を開発することで、500㎡の敷地面積を造り、そこに7階建てマンションを建設する事業です。このような開発をする場合には、建築物に対する道路サービスを含め都市施設の整備をする必要があります。この敷地は、以前、河川、池、または、遊水池があった軟弱地盤で、低層住宅が建築されるならば問題ないと考えられます。そこに中高層建築物が建築されると周辺環境に大きな影響を与えると、地元はこの開発に大きな不安を感じています。都市計画法では500㎡以上の土地を開発するときは開発許可を受けることになっています。しかし、業者は開発許可が受けられない計画であることを知っていて、その手続きをしないで事業を強行してきました。


大田区長による違反幇助事件

開発業者は、業者の利益に迎合してきた大田区に取り入り、開発許可を受けないで建築確認申請だけで建築基準法違反で工事することを大田区長に相談しました。大田区長は業者の立場になって不正利益を供与するため、マンション敷地自体は504㎡あるが、2面が2項道路に接しているので、その道路に取られる部分の面積を差し引くと497㎡になるから開発許可は不要で、確認申請だけでよいと違反を正当化する行政処分の理屈を構築しました。大田区庁の違法な法解釈を受け、業者は開発許可を受けないで建築確認申請を行いました。そのうえで準備工事を迅速に実施する理由で住民に対し、確認済み証の交付以前の工事説明会を実施しました。その説明会の席上で、都市計画法上の開発許可を受けない事業及び建築確認済みが出されました。それに対し、法律でいう工事は本体工事という解釈を大田区の法律解釈と説明し、大田区の違反幇助を暴露しました。


(3)行政不服審査請求による解決

大田区は同区が定めている中高層建築物に対する紛争処理の手続きなしで工事を進めてよいと業者に了解を与え、都市計画法違反および建築基準法違反に支持を与えました。そのため、住民側は法律で定められている行政の不作為及び違反処分に対して不服審査請求を行うことになりました。これまでの経験では開発審査会も建築審査会もいずれも処分庁から報酬をもらっている御用学識経験者と行政OBで構成されていて、処分庁の違反処分を追認するだけの機能しか果たしてきませんでした。しかし、法治国で法律上暴力を使わないで争う方法は、それしかなく、審査会が法律違反を容認する裁決をしないようにさせるというのが住民に残された解決の途です。


HICPMによる住民支援

このいずれも、住民本人が処分庁又は不作為庁の上級機関に審査請求という形を取ります。住民が直接行う理由は、弁護士の中で住民の代理人を果たせる者は例外的にしか存在せず、仮に住民の立場に立った弁護能力と職業意識を持っている弁護士の場合でも、行政に関する専門的知識及び能力は著しく少ないのが現実です。経済的負担能力のない住民には弁護士費用の負担はほとんど無理で、雇えない問題があります。そこで、HICPMでは「来るものは拒まず、去るものは追わず」の原則に立って、法律上の正義を実現するため住民支援してきました。


4丁目の事件での住民の事件取り組みの問題

池上の2事件ともHICPMは会員になることを条件で、会員の立場にたち、交通実費と文書作成実費のみで全力支援をしてきました。しかし、4丁目のマンションは住民の一部の名士がHICPMとの協議無しに一方的に大田区長に迎合しました。そこでHICPMが、一部住民が法律違反を容認した対応をおかしいと指摘したことに対し、申請取り下げを決定した名士の母親がHICPMに電話で審査会への取り下げを通知し、その後、HICPMから無断で脱会しました。それ自体問題にすることではありませんが、他人に依頼するときは大騒ぎをして頭を下げ、自分に用がなけれが捨てるといったモラルが問われているのです。

その一方で、大田区管理職補佐の話では、審査請求を取り下げた本人は、住民運動の代表的立場でそれまで違法な工事をさせないといってきた地元の名士は、卑屈にも、大田区長以下区役所職員に「お騒がせをした」と侘びに回りました。この行為は住民の顔に泥を塗る恥知らずな行為であり、それを「愛い奴だ」受け入れた大田区の時代錯誤も笑止です。

昔から「事大主義」といって「長いものに巻かれろ」と自分の目先の利益のために権力に迎合し、住民や歴史文化を平気で裏切る地域の名士面をする輩はいるものです。表向き地域の歴史・文化を守る正義をかざし、地域や地区文化の支援者であると尤もらしいことを言いスタンドプレーをする人ほど事大主義者であることが多く、その鍍金はしばらくすると剥げるものです。本事件もその例の一つでした。

NPO法人住宅生産性研究会(HICPM) 理事長 戸谷 英世



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