メールマガジン

HICPMメールマガジン第488号(遅延配信)

掲載日2013 年 1 月 9 日

HICPMメールマガジン第488号(2012年12月31日)
大晦日に送り忘れたメールマガジン遅配版です。この号は以下のテーマを特集しました

西欧の都市づくりの学問体系を曲解した「えせ近代都市計画理論」批判
「日本の都市計画と街づくりを狂わせた都市計画の
鬼婆“土地区画整理”」

付録(文末案内):ニューアーバニズムによるまちづくり技術セミナー開催ご案内

特集の意図
今年(平成24年)の年末になって会員から都市開発のご相談を受けました。現地を見学し、その立地条件を考え、一見して面白い計画ができると考えました。立地条件がよいだけに、そこで計画されていた計画は、既成市街地全体を再開発するもので、その全体計画造りは、土地利用計画が区画整理事業として計画されていて、一見、大変魅力的なものでした。ピーターカルソープが計画したクロッシングに相当するTOD計画を造ることができる土地でした。しかし、よく見るとこれまで日本の都市改造土地区画整理同様のもので失望しました。そこで、なぜ、都市改造土地区画整理が都市計画関係者が言う「都市計画の母」ではなく、「都市計画の鬼婆」なのかという理由をご説明することにしました。

「都市計画の母」と政府が礼賛した土地区画整理事業が造ってきた街
戦後の都市開発を担ってきた「都市計画の母」といわれた土地区画整理事業は、都市を全体として有機的な都市空間にするのとは逆に、素晴らしい都市にある土地を、端切れに細切れにしてしまうものでした。そのため、端切れごとに使われた宅地は、隣地との関係を無視し、それぞれの土地がそれぞれの区画の中でわがままな建築を立て、隣地と競合する土地利用をすることになりました。特に端切れの土地は、ハウスメーカーやパワービルダーと呼ばれる都市のデストロイヤー(破壊者)によって、住宅は「差別化と手離れのよい販売」と言う詐欺師の商法が利用され、醜い無政府状態の都市空間を造ってきました。

市民の生活環境破壊を内部矛盾に抱えた土地区画整理事業
私自身が住宅都市整備公団の都市整備調査課長として5年間働いていた間に、欧米の住宅地開発とともに、それまでの日本住宅公団と宅地開発公団の開発してきた都市開発を調査研究しました。その結果分かったことは、日本の都市開発は計画の理念としては欧米の都市開発に倣って、それらと遜色のないものを造ろうとしたことです。しかし、実際これらの土地でのビルトアップ(住宅建設)が進んでいくと、都市開発時に掲げられた理想とまったく違った街が造られていきました。その理由は何故だろうかと考えました。その原因が、都市開発という基盤整備と上物建設とが、一貫性なく、ばらばらに実施されているためだとわかりました。中でも、土地区画整法自体が都市を建設の始まりから都市空間を端切れにして破壊していく原因を内蔵していることが分りました。

60年日米安全保障条約改正が基本となった所得倍増計画
実際に日本の都市開発は、戦前からの土地区画整理法と、1968年の都市計画法とによって、基本的な骨組みが作られたわけですが、その背後に日米安全保障条約を背景にとられて自由化政策に大きな影響を受けていました。憲法第9条で非武装独立を憲法に定めた日本が日米同盟によって共産圏からの侵略に耐えようにしました。日本が経済成長し日米対等の同盟関係としたのが、わたくしの学生時代の60年日米安全保障条約改定でした。米国は軍事的に日本を守る代償として、日本に貿易、為替、関税の自由化を求め、大農業国でもある米国の農産品の輸入を自由化と、石油大国米国は日本の石炭産業を潰して米国からの石油を購入させました。それが、今のTPPに相当する自由化政策で、池田内閣の「所得倍増計画」です。農産品も石油も原価が非常に安いため、日本政府は日米価格差を税金として政府が取り上げて、それを農業構造改善事業や公共事業に使いました。

エネルギー自由化政策とガソリン税
「ガソリン税」こそ、列島改造の大きなエネルギー源として道路建設に使われました。その道路建設する道路だけに税金を使うと、道路の建設利益が土地を道路のために買収されなかった周辺地主に行ってしまうので、その利益が周辺地主には行かず、道路が築造される地域全体に及ぶ方法を考えました、それが「都市改造土地区画整理事業」です。都市改造事業は、道路の直接取得造成費用を上限に、土地区画整理事業全体に対して補助金を投入し、道路建設と一体的に面的な都市改造をする方法です。その結果、道路築造費で面的な都市開発が可能になったため、全国津々浦々で都市改造土地区画整理が実施されました。このお金の使い方は優れたもので、「都市計画の母」と呼ばれる理由になりました。

政策的な地価吊り上げを支えた都市改造事業
都市化が急激に進行していましたから、土地区画整理地区の土地は急激に高騰し、というよりも地価が急騰する前提で区画整理の事業採算計画を立て、区画整理後の土地を高い価格で販売しました。高い地価を正当化するために整備された制度が日本の土地鑑定評価制度です。都市化を背景に地価上昇が経済的に、当然上昇する考え方を国が示し、地方はそれに従いました。都市化による宅地需給関係を利用し、区画整理宅地は高額で販売できる前提で、それに見合う立派な擁壁の雛壇造成をし、自然地形を徹底的に破壊しまいました。高級な宅地とは平坦な土地であることが常識になるほど、宅地造成は平場面積最大化を目指した段々に造られました。自然地形が安全で美しいことを基本的に否定し、造成工事に多量の鉄筋コンクリートを使うことが優れた宅地造成であるとしました。セメント資本と鉄鋼資本に公共事業が牛耳られ、工学博士のテーマが鉄とセメント関連になっていました。

土地と建物を別の不動産として登録する日本
土地と建物をそれぞれ別の不動産として扱う日本の不動産登記は、土地と建物の効用が独立的に存在しないにもかかわらず、独立したと扱う社会科学的にも間違いで、世界に例がありません。不動産登記法を背景に混合用途とする土地利用計画により、土地利用計画は名ばかりで、混合用途間の競合で宅地を販売する制度によって、地価を高騰させました。
欧米では土地利用計画で土地の利用を厳しく定め、地価は基本的にその土地利用によって実現する利益(地代)を資本還元するものとして決められることになっています。そのため同じ住宅地でも戸建て住宅(シングルファミリーハウス:独立住宅、2連戸住宅、連続住宅)と共同住宅(マルチファミリーハウス:マンション、アパートなど土地を共同利用する住宅)とは別の土地利用としてゾーニング(土地利用規制)されています。
そのため共同住宅が戸建て住宅地に殴り込みを掛けてくることはありません。日本の土地利用は形式だけ12の土地利用に分けられていますが、全てが混合土地利用を許していますので、土地利用計画により地価のコントロールがされることはありません。それは欧米との都市の造られた歴史の違いもありますが、近代都市計画の導入に携わった人たちが欧米の都市計画の理論が分からないで見よう見まねで日本の都市計画学を造ったためです。

都市を社会科学の問題とせず都市工学の問題とする東京大学
都市計画は全体として豊かな都市での生活空間と言うモザイク画を作るために、建築物は全体の都市景観形成という土地利用計画(マスタープラン)に合わせて、地域地区ごとに建てるべき建築物というモザイクの石に(アーキテクチュラルガイドライン)の制限を加えます。全体として美しいモザイク画(街並み景観、優れた都市機能)を、自由な経済活動を通して実現する方法をエベネザー・ハワードが「ガーデンシテイ」の都市経営で明らかにしました。ハワードの都市計画理論は日本の都市計画学関係者が口にしますが、正しく理解している人は非常に少なく、ハワードの提起した都市経営理論を学問的に歪めてきた元凶が東京大学です。生活文化空間を扱う都市計画学の中心は世界では人文科学で扱いますが、東京大学は都市計画を都市工学と教育された卒業生が全国の大学で間違った都市計画を教え、官僚になり、コンサルタントになって間違った都市計画を広めているからです。それの歪みが日本の都市計画をだめにしています。

ガソリン税、道路事業、区画整理事業、ひな壇宅地、鉄筋コンクリート
世界の都市開発に比較して、圧倒的に日本の都市開発が高額である理由は、土地利用計画が実質混合用途地域であることと並んで、土木関係技術者が土地利用と切り離して高額な宅地を造成して高く販売し利益を上げようとしてきたことです。セメントとコンクリートを多用する人工的な土木構造物で都市開発を含む公共事業の安全基準を造り、それにガソリン税という日米安全保障条約の生んだ鬼子を投入させました。政治家も官僚も御用学者もこのガソリン税で自らの利権を拡大しただけではなく、いろいろ形を変え業界の利益を拡大し、私服を肥やして(研究費、学会、政治献金、高級な供応)いたのです。土地区画整理が都市計画の母と言われ理由は、土地区画整理により道路と宅地を造ったからです。都市計画関係者は、「道路を造ることが、都市を造ること」と今でも信じ、道路を造ったら都市は基本的に造られたと考えています。都市計画学会は道路に牛耳られ、都市工学者にとって、開発地に建てられる建築物は、都市計画にとってはどうでもよいのです。

公共(土地区画整理)事業としてオーソライズしてきた地価上昇
土地区画整理事業を道路建設の視点から見ると、幹線道路の築造費用だけで地域全体の細街路まで造ってしまいます。実際の区画整理の事業費は、都市改造土地区画整理補助金を呼び水に、公共用地減歩と保留地減歩という方法で道路面積と工事費を捻出します。その結果、農地が市街地並みの価格に化けます。このように、区画整理事業は工事期間中、完成宅地が年7%以上の地価上昇の前提で可能になっているのです。事業計画で巨額な地価上昇を国が認めることで事業が動き始めます。その実態は国家が地価上昇を操作してきた訳です。その高額な地価では土地を購入した人は税負担ができないので、租税特別措置法で土地の固定資産税額を敷地面積200平方メートル(60坪)、以下は6分の一にするといった非常識な措置を実施したのです。地価は土地の生み出す利益(地代)を資本還元したものです。地代は土地利用をする人が支払える地代負担額で決められることは経済学の常識です。土地の課税負担額(地価)こそ6分の1にすべきであったのです。

相殺効果を持つ住宅と「公園の機能の果たせない」公園
土地区画整理による事業は、幹線道路から細街路まで、原則、車が進入(往来)できる幅員6メートル以上の道路が、全ての宅地に接道できるように計画されます。それは宅地利用という観点より、宅地の販売価格を自動車利用にとって便利にし、ガソリンを大量使用し、金融機関が年収の8倍近いローンを背負わせて「不動産取得能力上の高額所得者」に高額で宅地を購入させてきました。さらに住宅購入者にガソリンを大量使用させ、ガソリン税収を増額させる仕組みが、土地区画整理手法の中に取り入れられてきました。その結果、土地区画整理事業が実践されて集団化しているため、街の体裁をとっていますが、「端切れ化された小規模宅地」は道路と言う「紐」にぶら下がっているだけで、面として有機的に関連する生活空間にはなっていません。住宅地は高額であるため面積は狭小で、「端切れ宅地」に建築されるハウスメーカーの住宅は、「差別化」を売り物にした近隣の住宅と差別する相互に敵視し合う街並み景観を形成します。道路面積が宅地面積に比較して過大です。そこに造らされる開発地の3%以上の公演は、公園利用に最もふさわしくない利用できない土地が充てられるか、まやは、公園利用ではなく、高級感を演出するだけの飾りの公園として造られてきました。

HICPMのニューアーバニズムによる提案
HICPMは土地と建築物を一体として開発地全体の環境設計をしないといけないという欧米の街づくりの考え方を実践してきました。「サステイナブルコミュニティの実現」(HICPM刊)で紹介してきたとおり、四日市での「泊山崎ガーデンテラス」(アサヒグローバル)、横浜での「ガーデンヒル」(工藤建設)、福岡「荻浦ガーデンサバーブ」(大建)で実践してきたことをさらに1歩前進させた提案です。通常であれば全体で1、136平方メートルの敷地は8宅地に分割され、そこの延べ面積110平方メートルの2階建ての1台分のパーキング付きの住宅が建設されることになります。
HICPMの提案は、中央に約550平方メートルの池のある公園をつくり、それを囲んで3階建ての延べ面積110㎡以上のアタッチドハウス(隣地境界線に接した戸建て住宅)
18戸とコモンハウスが建設され、各住宅にはNCZ工法でつくられた人工地盤内に各住戸1台のガレージと倉庫が計画されています。通常の土地区画整理地での戸建て住宅8戸の22.5倍の戸数を建築できるために、当然戸建て住宅の販売価格は半額程度に引き下がります。それでいて敷地全体の約半分が講演利用でき、そこには高木を植え、この地区に降雨下雨水を循環した池を計画することができます。

平成25年に向けての課題
住宅を取得することで個人資産形成が実現できるようにする「世界の常識」を日本で実現しようと取り組んできたHICPMの来年に向けての課題は、このプロジェクトの実現に傾注するとともに、全国各地で同じ考え方で取り組んでおられる全国各地でご活躍のHICPM会員の支援をしてまいりたいと考えています。
来年1月の北米ツアーが終わってから、2月の終わりごろ(20日を予定)でも、もう一度現在の縮小している消費者の購買力に対応できる「資産価値を形成できる街づくり技術の研修会[セミナー]を開催しようと考えています。

付録:ニューアーバニズムによるまちづくり技術セミナー開催ご案内
日時:平成25年2月20日PM13:30―17:00
場所:HICPM会議室(東京都千代田区飯田橋2-13-3)
参加費用:会員3,000円、非会員5,000円
資料代:1000円



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