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メールマガジン第490号(1月12日)

掲載日2013 年 1 月 15 日

HICPMメールマガジン第490号(1月12日)

皆さんこんにちは、大雪に驚かされました。

諏訪2丁目マンション建て替え問題の中間総括
昨年12月25日東京地方裁判所から出された判決に対する控訴の提起を1月7日に行いました。その趣旨は、東京地方裁判所の判決が、原告の訴状に対して裁判費用を通常の額を徴収しているにもかかわらず、それを審理の対象にせず、判決の中で「争いのない事実」として処理しました。この判決は、憲法第32条に定める国民の裁判を受ける権利を蹂躙し、原告の訴えていない「裁判官にとって都合の良い架空の問題」に判決をする、およそ法治国の裁判ではありえない判決をしたことに対しての控訴です。控訴審の本当の被控訴人は東京地方裁判所定塚誠裁判長です。

私は諏訪2丁目住宅管理組合のマンション建て替え事件に関し、平成15年から10年がかりで国庫補助金不正交付事件、名誉毀損事件、建て替え組合認可処分差し止め請求事件、明け渡し断行仮処分事件、所有権移転登記事件など行政事件訴訟、民事訴訟事件などの多数の裁判に関係してきました。これらの裁判に臨む基本姿勢は、法律に照らした正しい裁判の実現です。いやしくも日本は法治国で、法律が守られなければ「この世は闇」です。そのために、立法府が憲法に基き定めた法律どおりに、行政及び司法が適法に行われることにより、国家が国民とが憲法で契約した生活が実現できるのです。

今回の10年にわたる一連の訴訟事件で明らかになったことは、まず、立法府が憲法に違反した法律を「政治主導で立法」したことに始まります。マンション建て替え円滑化法(以下「円滑化法」という。)が憲法第29条で定めた私有財産権の保障に違反して立法されたことです。  昭和58年に改正された建物区分所有法では、老朽化又は耐震上危険な状態にあるマンションに対して、緊急に改善が必要と認められる場合には、修繕又は建て替えを実施することが公共性のあるとして憲法第29条第2項に基き認められました。この法律は法理にかなっています。

しかし、平成14年に制定された円滑化法には、老朽化又は耐震危険性の緊急性がなくても、絶対過半数の賛成があれば、専ら経済的利益の追求と言う判断で、強制的に建て替えができるという法律が作られました。修繕も建て替えもしなくても良いというマンションにまで、修繕か、建て替えかの二律背反の選択を迫り、絶対過半数の賛成さえあれば、強制的に建て替え事業ができるという法律です。法理自体が矛盾に満ち、法律の構成自体が憲法第29条に違反しています。

円滑化法は、憲法の規定に根拠を置かないで公共性を付与する法律として制定されました。それは、円滑化法第4条基本方針で規定した「区分所有者の建て替えのための合意形成に向けての民主的手続き」の内容を国土交通省がその法律解説を具体的なマニュアルとして定めました。つまり、4条の基本方針を根拠に、新しく円滑法でつくられた「公共性の理屈」です。国会の審議において、マニュアルで定めたことを的確に実行することを条件に、手厚い国庫補助金の交付を含め、弱者救済措置を行うことになり、円滑化法が与野党全会一致で立法されました。

しかし、法律の施行段階に入ると、補助事業という政治家と官僚にとって「腹の傷まないお金」である国民の税金を湯水のごとく使い、建て替え業者への見返りを求めない利益供与を拡大しました。補助金は、業者からの政治献金として、お金に群がる政治家と、政治家たちの支援で予算額と組織・権力を拡大しようとする官僚が癒着した「官主導の事業」として進められました。

官僚(行政)は、円滑化法に違反して国庫補助金を多摩市に交付し、多摩市が住宅管理組合を経由して業者にその補助金(利益)を供与し、業者を迂回して政治献金により政治家を利用して「官僚指導の違法行政」が行われました。行政指導は円滑化法を施行している官僚からの指導ではなく、国庫補助金を交付している官僚が、円滑化法に違反して国庫補助金を交付したことから始まりました。つまり、国庫補助金等適正化法違反がきっかけで始まりました。

優良建築物等整備事業補助金は、円滑化法第4条基本方針を根拠に、国土交通省が定めたマニュアルで規定された「建て替え推進決議」を国は補助金の交付条件に定めています。この補助金交付の担当室長は、マニュアルで定めた内容を具備しなくても、名称だけの「建て替え推進決議」を組合総会で締結すれば、国庫補助金を交付する、と東京都、多摩市長、諏訪2丁目住宅管理組合および旭化成ホームズ㈱に「詐欺」によって国庫補助金の詐取することを教唆しました。そのうえ、補助事業担当の住宅局市街地建築指導室長が国土交通大臣名で、本人の約束どおり約5億円の国庫補助金を不正に交付しました。現在、さらに27億円の国庫補助金を交付しています。

その後この補助金は建て替え反対者の切り崩しや、建て替え事業者となることが陰で約束されていた旭化成ホームズ㈱の利益本位の計画としてまとめられました。この補助金を受けて作成した区分所有者の意向を反映していない建て替え事業計画は、マニュアルで定めた「建て替え決議」の条件である絶対過半数の組合員から支持が得られないことが判明しました。そうなると、法律上はその建て替え事業は強制事業として行ってはならないことになっています。そこで諏訪2丁目住宅管理組合いは、約5億円をかけた補助事業そのものが存在しないことにして、マニュアルに定めのない違法な方法で建て替え事業を進めることにしました。

その理由は国庫補助金自体が補助金の交付目的どおり使われなかったことが露見すれば、約5億円の国庫補助金の返還義務が課せられるため、それを回避しようとしたためでした。国土交通省の担当室長は、本来国庫補助金の返還命令を出すべき立場にありましたが、自ら補助金の違法交付を教唆し、実施した担当者ですから、事件の隠蔽を率先して支持することになりました。その上で建て替え事業を実施させるため、諏訪住宅管理組合はマニュアルには存在しない建て替え事業者の選考競技(コンペ)を建て替え事業計画が存在しないで実施することにしました。

それは、それまで建て替え事業者として内定を与えていた旭化成ホームズ㈱が国庫補助金を得て作成した建て替え事業計画が失敗したことから、新たに東京建物㈱に建て替え業務を禅譲することを多摩市長を含む違反関係者の謀議で決定しました。その条件は、東京建物㈱が「1世帯あたり500万円の移転補償金を提供する」という条件を提示させたことで実現させました。

東京建物㈱は建て替え業者に選考された直後、東京建物㈱は、かねてより謀略で決められたとおり、「リーマンショックで企業の計状況が悪化したので、約束した1戸当たり500万円の補償金の支給は出来ない。もしそれを要求するのであれば建て替え事業者の立場を放棄する」と区分所有者に通告しました。区分所有者が狼狽し、混乱している虚を突いて,住宅管理組合は建物区分所有法第62条によるとして「建て替え決議」を実施しました。東京建物㈱は、この一言で、500万円×640戸=32億円を何の代償を払うことなく手に入れることになりました。

当初全戸に提供する500万円の移転補償費のうち320万円は、区分所有者の土地の利用権を特殊法人不動産研究所と共謀し、よい地形で法定都市計画どおりの容積率一杯利用できたにも拘わらず、それを78%に減額評価して、騙し取って捻出したものでした。当初は土地の評価を78%減額して区分所有者からだまし取っても、そのお金は再び、補償費として配分するから、東京建物㈱に事業をやらせるために「嘘も方便」としていました。

しかし、補償を止めることで、区分所有者の財産を「嘘も方便」ではなく、実際上に詐取したことになりました。東京建物㈱が補償金を提案したことが建て替え業者の選考の理由でした。しかし、住宅管理組合は東京建物㈱の補償金を取りやめることに対し組合総会の議論や決定を避け、その申し出を全面的に受け入れました。これは建物区分所有法に定めた重要事項の総会決議に違反するものです。

ところで、平成14年に円滑化法の制定にあわせて関連改正された平成14建物区分所有法第62条で定めた「建て替え決議」は、同法第4条の内容を解説したマニュアルで定められた「建て替え決議」に改正されています。昭和58年建物区分所有法と平成14年建物区分所有法の第62条に記載されている「建て替え決議」の文言は同じですが、その定義が改正されています。円滑化法が施行される以前の建物区分所有法は憲法第29条第2項で定める公共性を実現するために、老朽化又は耐震上危険で猶予の置けないマンションの建て替えを行う緊急性の実現という判断をするための「建て替え決議」です。

それに対し、円滑化法による「建て替え決議」は建て替えには緊急性の実現という恒久性はなく、もっぱら経済的な利益の実現の選択で、その意味が変更されています。円滑化法では、経済主義による建て替えに公共性を付与する理屈として新しく公共性の法理が創設されました。その公共性は経済性を建て替え事業によって実現する場合、区分所有者全員の建て替えに向けての合意形成を民主的に行うことにその条件を定めました。この公共性は円滑化法自体で作り出したものです。第4条基本方針が公共性の根拠です。

第4条基本方針の内容は国土交通省が法律の解説として、14段階の建て替えに向けての手順と3つのステップを定め、第1ステップから第2ステップ(事業計画に絞って強制的に行う)「建て替え推進決議」と、第2ステップから第3ステップ(建て替え事業の実施)「建て替え決議」を行うことを定めました。この14の手順と3つのステップ全体の節目として(建て替え決議)が定められていて、昭和58年建物区分所有法による緊急安全対策実施の「建て替え決議」とは内容が全く違っています。

そのため、諏訪2丁目住宅管理組合が実施した「建て替え決議」は平成14年建物区分所有法による「建て替え決議」ではないので、円滑化法第12条で定めている建て替え組合認可の条件を満足していません。よって、東京都知事は第9条に定める建て替え組合の認可をすることは出来ません。しかし、東京都知事は違法な「建て替え決議」を根拠に建て替え組合の認可を行いました。

この東京都知事の認可処分は違法であるから取り消すように求めた行政不服審査請求に対し、国土交通大臣は審査請求の内容に踏み込まず、手続きの形式論のみで訴えを却下しました。行政機関の最高の権限を持っている国土交通大臣に自浄機能がないということになれば、合成内部では正しい決定は出来ません。そこで三権分立の原則に立ち、東京地方裁判所に行政事件訴訟を提起しました。

結論から言えば、司法は行政法に関する知識が著しく貧弱で、行政事件訴訟法を行政法を正しく理解し、公平な裁判を実施する能力を欠でいます。裁判官は行政法に対して驚くほど劣等感を持っており、行政側の違法な判断に迎合することによって、司法の立場を守ろうとしています。つまり、行政が違法な処分をして争われている行政事件訴訟でも、その処分が正当であるとする行政の弁明を司法がそのまま追認する方法でしか判決が書けないのです。

行政法は、ほとんどの場合中央官庁の行政官が立法作業をし、制定された法律は、その裏には各省協議で法律の条文に表せない多くの覚書や、国会での付帯決議があり、それらが実際に行政運用ではきわめて複雑な、時には違法な運用となって行われているため、よほど行政法の背景と行政実務が分からないと行政裁判は満足ゆくように裁くことはできません。

しかし、司法官は司法官試験に合格しただけのことで、行政法に関し特段の専門知識経験を持っているわけではありません。彼等にとって最も無難な仕事をするとすれば、行政の言いなりになっていれば、基本的に現状の行政に指示されることになります。行政追従が、司法がもっとも無難にその業務を全うできる途と考えられています。別の言い方をすれば、行政事件において、現在のような裁判が続く限り、事実上、司法が存在する意味はないのが現実です。

年末年始の約1か月は、諏訪2丁目マンション建て替え問題を以下の3点から分析検討しました。
(1)    法律の文理上どのようになっているか、それは憲法第29条に照らし違反ではないか
(2)    憲法違反の視点を外して、諏訪2丁目建て替え事業は円滑化に違反しているではないか
(3)    強制事業で自宅マンションから追い出され野宿を余儀なくされた区分所有者の視点として、この建て替え事業が以下に理不尽なものであるか

この内容は一人でも多くの人に知ってもらおうとHICPMのホームページでも読めるようにするほか、マンション建て替え問題に取り組まれている人にとって役立てることができるような解説書としてまとまった冊子にできないかとも考えています。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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