メールマガジン

HICPMメールマガジン第491号(2013.1.18)

掲載日2013 年 1 月 18 日

H1CPMメールマガジン第491号(平成25年1月18日)
皆さんこんにちは

GKK・HICPMによるNAHB・IBS
明日からNAHB/IBSと米国の住宅地づくりを見学にGKK/HICPMのツアーで米国に出かけます。今朝のTVでは米国の住宅関連の景気が持ち直し始めていることで、米国内はかなり元気を取り戻しているということです。米国旅行で大きな収穫が得られると楽しみにしています。特に、今回は、以前、大感激した2度目のアグリトピア、ピーターカルソープのTOD(トランジット・オリエンティッド・デベロップメント)の鉄道との繋がりを生かした3度目の「ザ・クロッシング」、1960年代世界の関心を引き付けた「シーランチ」の見学、ライトのタリアセンの4度目の訪問など、その成長と変化を見学できることを大いに楽しみにしています。

創立以来19年目を迎えたHICPM
私の役割は参加者に3次元の空間を見ながら、それに時間軸を入れて4次元の空間として見学するお手伝いをすることだと思っています。もちろん、わたくし自身、住宅と都市問題を中心に約半世紀以上関係し、住宅を所有した人、購入した人が住宅を取得することで幸福になることを最大の関心として取り組んできました。しかし、HICPMを創設してから、今年で19年目、準備期間を加えると25年近くになりますが、その道は牛歩の歩みというより、迷走しているように感じています。その中でハードの街づくりとハードな建築計画・デザインに関しては、具体的に目で確かめられることでこの20年間で、HICPMの会員の仕事として、小さいけれど大きな成果があげられたと思います。

取り組むべき工務店の経営技術CM
それに引き比べてソフトな技術として、HICPMが一貫して訴えてきたCM(コンストラクションマネジメント)技術に関しては、CMの名前こそ広く伝わりましたが、実践をしている人はまだ極めて少なく、CMの技術、理論といったもっとも基本的なところがまだ疎かにされていると痛感しています。経済状態が悪くなればなるほど、コストマインド(経費に対する関心)は高まらざるを得ません。住宅の品質を落とさず、工務店の利潤を引き下げないで「コストカット」を実現する方法は、CMしかありません。

政官財中心の政策
今年の新年の新聞で再びトヨタの販売業績が世界一に返り咲いたという記事がありました。民主党政権が推進したエコポイントなど財政支援を世界一の利益を上げている自動車会社に提供し、さらに、円安を国家で進め、巨額の為替差益を大輸出企業に提供する安倍新政権の政治には、納得できないでいます。いずれも国民には経済復興政策と言っていますが、ほとんどの景気対策や経済政策は貧富の差を拡大するだけになってきました。それは、政治家が大企業からの政治献金を得るエージェントとしての政治だったからです。

トヨタが救済された国家からの支援
皆さんに考えて欲しいことは政治のことではなく、トヨタに代表される輸出産業が現在の地位を築いた道程です。これらの輸出産業はいずれも国家に輸出振興政策と相まって企業体質を改善したのですが、この鍵は1960年代に日本生産性本部、通産省と一緒になって進めた工業生産性を向上させる取り組みにあったのです。輸出産業は基本的に製造業です。朝鮮特需を背景に自動車生産は拡大し、米国産と類似商品をつくることができるようになりました。工場にも流れ作業が取り入れられました。

ハード技術ではできなかったコストカット
同じ材料を使い、同じ製造機械を使い、米国に比較し、はるかに低い労賃で自動車をつくりながら、日本車の製造コストは米国の2倍以上でした。米国は軍事的な不安の大きい極東への自動車供給でしたから、日本車を購入しましたが、それでは財政的にやっていけません。米国政府は日本の自動車産業に米国の自動車産業と同じ生産性を実現できるように、すべての製造ノウハウを公開しました。日本の自動車会社は、デトロイトに事務所を設け、毎日そこから米国の自動車工場に見学に出かけました。

生産性向上技術:OM(生産管理)
材料も、製造機械もベルトコンベアーを採用した生産工程もほぼ同じにしながら、なぜ日米の工場生産性に10倍近い差があるのかという疑問を米国の工場主にしたところ、「それはOM(オペレイションマネジメント)の違いだよ」と言われ、初めてソフト技術の重要性に気が付いたのです。「工場の生産管理担当者は、皆、大学や高等専門学校でOMやIE(インダストリアルエンジニアリング)を学んできているのだ」ということを教えられ、その技術を聞かされ、やっと執るべき途が見つかったのです。

国家が先導したOM教育
そこで日本でも大学教育から変えないといけないということで自動車工学部や生産工学部、計測工学部といったOM教育をする学部を、国立大学が率先して設立し、輸出産業のための人材養成をしたのです。それまでと同じ材料を使い、同じ製造施設を使って生産していた商品のコストがどんどんカットされ、企業利益は高まり、従業員の賃金も向上し、輸出産業の隆盛時代を迎えることになったわけです。(何時から何時頃の話?)輸出産業は基本的に製造業でした。製造業の生産性を上げることが企業経営を支えたのです。

米国で生まれたCM
さて、わたくしたちが関係している住宅産業も製造業です。米国では住宅都市開発省(HUD)が1960年代に住宅生産も工場生産に置き換えることで生産性を高めようとしました。しかし、NAHBは工場に住宅生産を移すことは、ホームビルダーの職がなくなることだと判断し、「なにも工場で生産性を上げなくても、建設現場で生産性を上げたらよい」と考え、工場生産の生産性を高めたOMの技術を建設現場での生産性を高める技術開発をしました。それがCMです。1960年代から1990年代までHUDとNAHBはハードな技術では完全に敵対視し、一緒の協力することはありませんでした。

現場生産のCMが工場生産のOMに勝利した米国
1992年クリントン政権となり、エネルギー問題が社会的に猶予のできない問題となり、HUDはNAHBの協力を不可欠のものと考えました。その最大の理由は、住宅生産性の競争で、工場を使って住宅の生産性を高めようとしてHUDの政策が、CMにより生産性を高めるNAHBの政策に敗北したからです。HUDは公式の場で工業化政策が現場におけるCMによる生産性向上政策が敗北したことを認め、NAHBとの協力関係を復活させました。HICPMは発行しているNAHBのCMテキストは、NAHBでホームビルダー教育に使われている教科書にHICPMで解説を加えたものです。

資本主義・自由主義社会と切り離された日本の住宅産業
建材は輸出し輸入されますが、住宅産業は輸出産業ではありません。海外からやってくることも、国外に出ていくこともありません。そのために、護送船団方式で政府が陣頭指揮して住宅政策を行い、金融機関がそれに追従すると、住宅産業が資本主義国の自由主義産業ではなくなり、護送船団方式の上に造られた詐欺産業になります。住宅の価値は、本来、市場取引価格で表現されます。しかし、日本の住宅価格は住宅産業と癒着した金融機関が住宅の価値と無関係に住宅産業の希望する価格に対してローンを組ませ、巨額な営業宣伝経費を使って住宅を売り抜けます。それは市場の公正な取引ではありません。

詐欺の種明かし
消費者は金融機関がローンを認めたからそれだけの価値がある住宅、と騙されているのです。金融機関自体ローンが返済できないとき住宅を差し押さえてもそれで債務を相殺しません。金融機関自身が融資した住宅の価値を融資額通り認めていません。住宅を購入した消費者が、未入居の状態で、ローンもつかず、販売促進費もかけず、住宅市場で売却しようとしたら、ハウスメーカーから買った住宅は、40%以下の価格でしか販売できません。米国の金融機関が米国のやり方でローンを与えるとしたら、その程度のローンになります。購入した住宅の実際の価値そのような商売を普通、詐欺商売と言うのではないでしょうか。

米国並みにコストカットして利益を上げる方法:CM
しかし、住宅の生産価格が現在の半額で生産できるということになったら、同じ利益を上げながら販売価格を引き下げることができるのです。現在日本でつくっている住宅と同程度の品質の住宅は、米国ではほぼ半額で供給されています。そのカギは生産の高さにあると言ってよいと思います。日本の工務店がこれから生き残り、繁栄するためには工務店が製造業者であると認識し、生産性を向上することをおいてないと考えています。

3月からHICPMのCM講座を開講します
そこで今年もHICPMではCM教育セミナーを3月以降、毎月1回、第2水曜日に実施することにしましたので学習したい方はご参加ください。予定としてはデザイン教育と組み合わせて、後日ホームページでお知らせいたします。
(NPO法人 住宅資産性研究会 理事長 戸谷英世)



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