戸谷の言いたい放題

物語・マンション建て替え円滑化法違反を牽引した国土交通省住宅局長

掲載日2013 年 2 月 6 日

ここの情報提供するものが現職国土交通省住宅局長が率先して違反を教唆し、国庫ほじゅ金適正化法に照らして約32億円の違反を幇助し、活2人の高齢者を自宅マンションから仮住居を与えないでたたく打し、修繕積立金として支払ったお金の国土交通省が定めた支払方法に違反して333万円を不正に支払わない違反、を司法が容認した国家による犯罪である。のの内容を広く公開し世論を喚起したい。現在ここで扱った一部は係争中である。

平成24(2013)年2月2日

憲法及び円滑化法違反の諏訪2丁目建て替え事業:行政及び司法による構造的違反
(住宅局長が円滑化法違反で、区分所有者を野宿させた事件)

NPO法人 住宅生産生研究会
理事長 戸谷 英世

第1部: 憲法違反の建て替え円滑化法事業の本音と建前

はじめに:本書の全体構成
本書は、総戸数640戸で構成されていた諏訪2丁目住宅管理組合(以下「諏訪組合」という。)がマンション建て替え円滑化法(以下「円滑化法」と言う。)に違反して建て替え事業が実施した結果、憲法に違反した人権侵犯と私有財産権の侵奪事件が発生した。本書は法治国において、このような理不尽な事件が行政主導の下で法律違反として起きている実態があるにもかかわらず、司法がそれを容認し、積極的に犯罪を幇助してきた。その事実と原因を究明する目的を持って、以下の3部の構成まとめたものである。

第1部では、まず、円滑化法が強制法の性格を、憲法との関係で建物区分所有法により実施されてきた歴史的変遷の経緯を分析解明する。経済主義に偏重した円滑化法は制定の経緯を踏まえ、円滑化法で規定する公共性の法理が、憲法第22条(居住の自由)及び第29条(私有財産権の保障)に違反する法律であることを証明する。その上で、諏訪組合が実施している強制事業法として実施されているマンション建て替え事業は、強制権自体が憲法に違反するだけではなく、円滑化法第4条基本方針を解説した国土交通省が定めた二つのマニュアルを蹂躙して行われた事業であることを証明する。

第2部では、仮に、円滑化法が憲法第22条及び第29条に抵触しなかったとしても、諏訪組合が進める建て替え事業は、円滑化法及び建物区分所有法に違反している事実を証明する。その中で「鍵」となる建物区分所有法の「建て替え決議」の内容が、円滑化法制定により定義自体が変更された経緯を立法の経緯に沿って解説する。また、違反がまかり通る背景に、経済的利益を求める諏訪組合、建て替え業者、利権に群がる国会議員、地方議員、選挙の票に繫がる政党、並びに、行財政的観点から国土交通大臣、東京都知事、多摩市長およびその指揮下で、管理職による違反の誘導が組織的に行われている実体を明らかにする。さらに、司法の行政法知識は不足し、行政実態が分からないため、行政に従属することで司法の権威を守れると姑息に考えてる実態を明らかにする。

第3部では建て替え事業の被害者の視点から見た国益の拡大を口実に進められている円滑化法の実態をあつかう。諏訪組合は、詐欺による法律違反で、組合員を騙し、脅し、分裂させる手法を使って建て替え事業を進めてきたことを明らかにする。諏訪組合が不正ができた背景には、官僚による国庫補助金を使った業界への不正利益供与と政治献金により官僚による政治支配である。老後を少ない年金生活で豊かに暮らす「終の棲家」として住宅ローンを払い終え、マンションで穏やかな生活を営んでいる老人を、東京地方裁判所立川支部執行吏の強制力を借りて、強制的にたたき出し野宿を余儀なくさせた。

建て替え事業を推進する背景に、マンション建て替えとそれによる税収増を図ろうとする国の経済重視の政治がある。政治、行政、司法のいずれを見ても、そこには納税者の生活を守る視点はなく、円滑化法は「狂人に刃物や銃」を持たせたように、国民の人権を蹂躙し、財産を不当に奪う事業法として使われている。円滑化法が間違っているのか、円滑化法を使う行政が狂っているのか、法の番人という司法や法曹界が無能なのか、または、その全てなのかをこの事件を通して説明した。

まず、円滑化法が憲法に違反して作成された背景には、同法が政・官・業による護送船団の経済主義偏重の政策の下で、その利益追求のためにつくられたからである。同法は国会審議段階では挙党一致で建て替え事業の犠牲者・弱者保護が叫んだが、水面下では政・官・業の意向を受け、潤沢な国庫補助金を投入し、建て替え事業者の事業をやりやすくする産業政策として進められた。円滑法による事業への優良建築物等整備事業補助金の申請及び交付を担当する国土交通省住宅局市街地整備室長(以下「担当室長」という。)は、国会審議の裏で、与野党双方が党利党略のため求めている集票と政治献金を使って官主導の授業拡大を法律違反の事業として拡大した。

担当室長は円滑化法を蹂躙し、建て替え事業を拡大したため、建て替え事業に賛成できない弱者の切捨てが起こり、弱者を混乱に陥れた。担当室長は円滑化法の施行を担当する職ではないが、円滑化法に基づく国庫補助金を交付する立場にあることで、事実上円滑化法による事業に大きな影響力を発揮してきた。この事件は、補助金がなければ実施できなかったという意味で、「違法国営建て替え事業」である。

この書物では、諏訪組合の事業の結果、少なくとも二人の高齢者区分所有者が、憲法で保障されている人権及び財産を蹂躙され、貧困と不健康で危険な苦痛を伴う生活に追い落とされた。その理解のため、まず、私有財産権の保障に関する憲法第29条、並びに、第22及び25条、国庫補助金が原動力となって進められた円滑化法第4条(基本方針)、建物区分所有法第62条(建て替え決議)、国庫補助金等円滑化法、不動産登記法の正しい条文理解が必要になる。そこで、特に関連の深い法律の基本条文を抄録し、アンダーラインを引き、読者の注目を求めた。

日本国憲法
第29条(私有財産権の保障)
1.財産権は、これを侵してはならない。
2.財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
3.私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

「週刊金曜日」の日本国憲法の逐条解説(「週刊金曜日」2006年9月1日)(著者の註記)
フランス革命の頃から重要な人権とされてきた個人の財産権を保障している(1項)。財産権は人の生命や健康などに対する危害や災害を防止するために各種の内在的制約を受けるほか、私的独占の禁止などの政策的制約を受けることもある(2項:昭和58年建物区分所有法第62条の「建て替え決議」)。また、特定の個人の財産を、公共の利益ために強制的に奪うこともできるが、そこで生じた損失は、国民みんなで負担するのが公平だという趣旨の規定である。したがって、土地や家屋などの市場価値やそれを失うことによる損失を含めて完全に補償(3項:円滑化法第15条の「時価補償」)され、生活の基盤を失う人の生活再建措置の斡旋等も、ここに含まれる。

憲法第29条は円滑化法との関係で、憲法第22条(公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。)及び第25条(国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。)に定める国民の居住の自由権と不可分に関係し、国民が生活の拠点を定めるために必要であると判断し手に入れた財産権を守ることを国家が保障する条文でもある。

マンション建て替え円滑化法
第1条(目的) 
この法律は、マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置等マンションの建替えの円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第4条 (基本方針) 
1.国土交通大臣は、マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 (平成15年国土交通省制定「マニュアル」の根拠)

2 .基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。(マニュアルでの規定事項)
一  マンションの建替えの円滑化等を図るため講ずべき施策の基本的な方向
二  マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項
三  マンション建替事業その他のマンションの建替えに関する事業の円滑な実施に関する事項
四  再建マンションにおける良好な居住環境の確保に関する事項
五  マンションの建替えが行われる場合における従前のマンションに居住していた賃借人及び転出区分所有者の居住の安定の確保に関する事項
六  危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進に関する事項
七  その他マンションの建替えの円滑化等に関する重要事項
3 .基本方針は、住生活基本法 第15条第1項 に規定する全国計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 .国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第1章    憲法第29条(私有財産権の保障)と 強制権行使の正当性の関係

財産権と生活権
円滑化法は、危険又は有害な状況にあるマンションを建て替えることにより、国民経済の健全な発展に寄与する目的を掲げ、強制権を背景に実施する事業法である。しかし、平成14年に制定された円滑化法の事業対象は、危険又は有害な状態にあるマンション対策を事業目的とするものではない。即ち、円滑化法自体には建て替え事業を実施しなければならない緊急な事情は存在しないので、憲法第29条第2項で定める公共性を根拠にした緊急性を必要とする事業法ではない。本事件の基本問題は、円滑化法に付与された強制事業を実施するとその「法律上の根拠」を明らかにすることである。

諏訪組合は、、平成14年の円滑化法制定の関連改正された平成14年建物区分所有法ではなく、昭和58年改正建物区分所有法(平成14年時点では執行している)に基づく「建て替え決議」を根拠に、円滑化法に基づく強制的に事業を実施できる建て替え組合の認可申請を提出し、東京都知事から違法に認可された。そして国土交通大臣は、その違法な認可を追認した。

さらに、諏訪組合は建て替え反対区分所有者に、建て替え賛成組合員の開発前の権利変換額と同額の違法な供託金を供託しただけで明け渡しを強行した。供託額は、円滑化法で定める時価補償額の約3分の1程度である。諏訪組合は仮住居を用意せず、真夏日が続く平成23年8月11日東京地方裁判所立川支部の応援をえ、強制執行を断行し、円滑化法の定めに違反して、建て替え反対する無抵抗な84歳と79歳の病弱な区分所有者の人権を蹂躙し、私有財産を侵奪し10日間もの野宿を余儀なくさせた。

円滑化法でやられている事業は、所詮、建て替えに賛成する絶対多数者の利益を優先させ、これまでどおりの生活をしたいと願う事業に反対する少数者を犠牲にし、強制的に建て替え従わせる事業でしかない。円滑化法は、第4条第2項第5号で、建て替えで転出区分所有者の居住の確保を図るべきことを定め、マニュアルで具体的措置を規定している。しかし、諏訪組合による建て替え事業は、第4条を解説したマニュアルに違反し、生活をし続けたいと願う居住者の人権も財産権も蹂躙した事業となっている。

円滑化法の施行が憲法第29条と矛盾しないためには、諏訪組合は建て替え事業者、建て替え賛成組合員の経済的利益のみではなく、建て替え事業の犠牲となる転出区分所有者に対する納得のできる損失補償を実施しなければならない。円滑化法による建て替え事業は、私有財産を強制的に収用し、巨額な国庫補助金を投入して実施される公共事業であり、国家による十分な監督下で公正に実施されるべき事業である。しかし、諏訪組合が実施した建て替え事業は、転出区分所有者の人権および財産権を蹂躙し、円滑化法、建物区分所有法、国庫補助金等適正化法等に違反したものである。

円滑化法と建物区分所有法と憲法の関係
本事件に踏み込む前に、円滑化法と建物区分所有法と憲法の関係を解説する。昭和37年に建物区分所有法が制定されて以来、マンションの新築事業はもとより建て替え事業は、建物区分所有法を根拠に実施されてきた。しかし、マンションが建設されて、時間が経過すると、建物の老朽化に伴う安全性の問題に対処する必要が生まれる。その対策として、昭和58年に建物区分所有法の大改正が行われた。この改正で問題になったことは、マンションが老朽化又は耐震強度不足が判明し、危険な状態になり、緊急に修繕または建て替え事業をする必要がある。

建て替えを実施する場合膨大な費用がかかるため、必ずしも組合員全員の合意が用意に得られるとは限らない。どうしても建て替え事業には、経済的理由等で賛成できない人も生まれてくる。しかし、建て替えを一緒にできない人を残して、建て替え賛成者だけのマンションを建て替えるわけには行かない。そこで建て替え事業を実施する場合には、事業に賛成できない人も強制し事業に参加させ、建て替え事業を推進せざるをえない。しかし、憲法第29条で私有財産権の保障の大原則が決められているため、建物区分所有法で強制的に建て替え事業を実施する場合には、憲法第29条第2項で定める公共性の規定と調和を図る必要がある。

昭和58年建物区分所有法改正において、憲法第29条第2項に適合する強制建て替え事業を実施する法律上の措置が定められ、強制建て替え事業が実施できることになった。しかし、既にその時代から、社会的には立地条件の良いマンションに対しては、「強制建て替え事業をすべきである」と言う経済的要求は生まれていた。昭和58年建物区分所有法でそれらの要求に応える方法が議論されていた。マンション自体の物理的老朽化や耐震危険性を判定する技術の発展により、既存マンション自体の構造安全性に対する評価方法により、昭和58年法で定めた強制建て替えのできるマンションの対象幅を拡大することができると考えられた。

鉄筋コンクリートの中性化による建物の老朽化判定や耐震基準の強化に対応した耐震判定基準の改正は、対象マンションの範囲を実質的に拡大するように作成され、昭和58年建物区分所有法による強制建て替え事業の適用範囲を事実上拡大することに大きな力を発揮するようになった。老朽化判定や耐震危険度判定をめぐる裁量の恣意性が、建て替え事業対象を決定するため、建物区分所有法の適用前の問題として社会的に紛争になった。しかし、社会的に老朽化や耐震危険性の運用では整理しきれなくなって、経済的な要求としてのマンション建て替え要求が、官民の住宅産業界の圧力を受け、政治、行政の場で避けては通れなくなってきた。

平成14年に円滑化法が制定される以前までは、憲法の枠組みの中で昭和58年建物区分所有法単独で建て替え事業が実施できた。しかし、マンション建て替え要求に対し昭和58年建物区分所有法の枠組みの中で老朽化や、耐震危険性を理由にして強制的に建て替え対象にできるマンションを整理し切れなくなった。そこで円滑化法という新しい事業法を立法することになった。この新しい立法に求められたことは、マンションの老朽化や耐震強度不足が理由で、マンション自体が危険な状態になり、緊急に安全対策をしなくてはならないとされるマンションであっても、経済的理由により強制的に建て替えられる事業を円滑に実施できる法制度の整備であった。

公共性の新しい枠組みとしての「建て替え決議」の定義の変更
そこでの問題は、強制事業としてマンションを建て替える法理論の構築であった。建て替え強制理論は、昭和58年建物区分所有法のように危険な状態にあるマンションの建て替えを強制的に実施することに公共性を認めた憲法第29条の枠組みでの実施は不可能である。そこで、全く新しい法律の枠組みを造ることが不可欠とされた。

そこで立法された円滑化法は、同法自体の中に強制事業を実施できる法律構成にすることになった。それが円滑化法第4条の基本方針である。第4条で定めた基本方針はそれまでの法律の中には存在しなかった新しい公共性のある強制事業実施の法理論であった。そこで、円滑化法第4条で定めた公共性の根拠となる法律上の措置を、判例同様、国土交通省がマニュアルで詳細に解説する構成を取った。

マニュアルには、住宅管理組合の建て替えに向けての合意形成を徹底的に民主的に行い、この事業を実施する際に泣く人が生まれないようにする合意形成の手続きを確実に行うことを定め、そのプロセス全体を公共性の条件にした。そしてマニュアルどおりの建て替え事業を実施すれば、憲法第29条第2項の規定によらないで、建て替え事業に公共性が認められ強制権を付与できるとした。

円滑化法による強制権の付与
円滑化法では強制的に建て替え事業を実施できる法理とその手続きを定めた。憲法第29条の枠組みの中で担ってきた強制権を付与してきた第62条で定めた「建て替え決議」の手続きはそのまま残し、憲法第29条に定める公共性の法理は、全面的に円滑化法第4条(マニュアル)従うことにした。そして、マニュアルで定めた「建て替え決議」の定義の通りの手続きを、建物区分所有法第62条の「建て替え決議」の手続きとして行なうことになった。法文上は建物区分所有法第62条の「建て替え決議」の条文及び文言は、結果的に昭和58年の規定が存置されているが、その内容は円滑化法の制定に伴い建物区分所有法も関連改正された。

つまり、円滑化法によって実施される建て替え事業の強制権は、円滑化法第4条を創設した「国土交通省が定めたマニュアル」で定義された「建て替え決議」を建物区分所有法第62条の手続きにより行うことで付与されることになった。それまでの建物区分所有法第62条に定める「建て替え決議」は、文言自体は円滑化法制定前と同じ建て替え決議であるが、円滑化法の施行に関連する「建て替え決議」の内容は、マニュアルで定められた「建て替え決議」内容に関連改正されることになった。

つまり、建物区分所有法第62条の「建て替え決議」は、円滑化法の施行によりマニュアルで定めた内容の「建て替え決議」に変更された。しかし、建物区分所有法の条文に記載されている「建て替え決議」の文言はそれまでと同じであるため、強制建て替え事業の法的な公共性の根拠が、依然、この第62条条文にある、とする誤解が生まれることになる。その誤解を悪用する事例の一つが本事件である。

本事件に関し、国会議員(参議院議員)で、建物区分所有法に明るいと言う弁護士にこの事件の説明にでかけた。議員は円滑化法の名前は知っていたが、マンションの建て替えは建物区分所有法だけで実施できると信じていた。円滑化法にはほとんど関心がないと言う状態であった。それは円滑化法が制定されるまでは建物区分所有法だけで建て替え問題が処理できたためである。マンション自体に危険性がなく、区分所有法で対応できない緊急性を要しないマンションの建て替えを強制力を持って実施するために円滑化法が登場したが、そのことはよく知らないでいた。

本事件における争点は建て替え事業を強制的に実施するための法的根拠である。その根拠は円滑化法によって新たに円滑化法第4条の解説として作られたマニュアルで定義された。「建て替え決議」が、組合員の5分の4(80%)以上の絶対過半数の賛成でなされることが、円滑化法制定前の昭和58年建物区分所有法の「建て替え決議」と同様な記述となっている。そのため、絶対過半数で行なうことが「建て替え決議」に公共性の根拠があるとする誤解が生まれる原因となっている。

円滑化法の公共性は、建て替えに向けての合意形成の14段階のプロセス全体を踏襲することを前提に、その重要な節目の一つに「建て替え推進決議」と「建て替え決議」とを置いていて、その中の「建て替え決議」だけを取り出し、それを実施すれば公共性が付与されるものではない。建て替えに向けての合意形成のプロセス全体を、公共性を実現するプロセスと定め、その中に建て替え事業に参加できない区分所有者に対する適正な損失補償も含まれている。

憲法第29条に基づくマンション建て替え事業の姿
通常、マンションの建て替えをする場合、憲法上の規定により住宅管理組合員全員が賛成しなくては実施することはできない。国民に保障した憲法第29条私有財産権の保障の条文は、円滑化法が施行された現在でも憲法の制定時と文言も解釈も変わっていない。

マンションは土地を共有し建築物の構造を共同利用する部分と区分所有する部分を持ち生活をする共同住宅である。そのため、マンションが物理的に老朽化し生活上危険となり共同住宅の一部に大きな欠陥が生じた場合、共同住宅全体が憲法第25条の健康で文化的な生活に脅威を及ぼす恐れがある。危険になったマンションを安全に維持改善するため、マンション全体を修繕または建て替えによって、人命の安全を実現する緊急な安全対策をする必要が生まれてくる。

修繕または建て替え事業を実施しないでマンションを放置すれば、居住者の生命又は財産が危険に晒される。その事態を危惧して、昭和58年に建物区分所有法が改正された。マンションが老朽化しまたは耐震能力が著しく低く、若しくは、大震災被災マンションがその対象とされた。放置できない緊急対策を実施するためマンション居住者の意思は一本化されなければならない。

法律的に安全対策を強制し住宅管理組合の意思決定を一本化することは、憲法第25条に照らし国民の生命財産を守るため緊急性・公共性が認めら、憲法第29条第2項と矛盾しない。耐震的に見て危険な状態を改善する対応策には、修繕か、建て替えかの二律背反の選択しかない。そこで選択できる二つの選択の違いは、建て替えによる場合は、マンションの修繕費用に比較し潜在地価を顕在化でき、マンション自体の価値を高める割合が高く大きな経済投資効果が得られる。

その反面、建て替えは修繕に比べ、区分所有者の工事費用負担は重く、建て替え費用を負担できない弱者を切り捨てにする恐れもある。危険性が高いマンションは、修繕か、建て替えかのいずれかの決断をしなければならない。その選択に当たって、経済的利益を求める建て替え事業を選択する場合、区分所有者の5分の4(80%)以上の絶対過半数がある場合は、建て替えを認める事業手法が昭和58年建物区分所有法改正であらたに認められることになった。

昭和58年の建物区分所有法の改正は、上記理由で憲法第29条に照らして適法な改正である。この改正での公共性は、耐震的な理由で国民の生命財産にとって猶予できない緊急性対応をするために強制権が認められた。二律背反の判断であるから、その選択で絶対多数は論理的に必要ではない。修繕か、建て替えかのいずれであっても、決定をすることに公共性があり、単なる過半数であっても憲法上、いずれの対応でも判断に猶予が与えられないから強制権を許すことができる。過半数で手法を選択し、強制建て替えを選択すると同様に、強制修繕をする場合の選択としてできてもおかしくはない。建て替え事業の場合に限り強制しなければならない理由はない。

修繕か、建て替えかの二律背反の選択が緊急に求められている事件で、絶対過半数を条件にすることは、むしろ緊急な判断を妨害する恐れがあり、緊急な判断に公共性を求めていることに矛盾する。この改正で絶対過半数を条件にした背景には、既に、緊急を要しないマンションに対し、経済的利益を求める政・官・業の建て替え強硬の意向が反映した。老朽化や耐震性状問題が大きくないマンションを建て替えに追い込むために、「いかがわしい老朽化診断と耐震判断」と「緊急性に口実を与えた公共性」の後ろめたさを消し去るため、絶対多数決を持ち込むことで公共性を補強する理屈にしようとした。

平成14年円滑化法が制定され、緊急性対応をする必要のないマンションに対しても、円滑化法により建て替えを強制実施できる制度が構築された。そのため、昭和58年建物区分所有法において憲法第29条第2項の公共性を背景に実施できた強制建て替え事業は、それより拘束力の弱い円滑化法による事業においても強制力を与えた。そのため、平成58年建物区分所有法は、円滑化法の中に吸収され、強制権を付与する手続きの第62条の「建て替え決議」の定義は消滅し、あらたな円滑化法自体により強制権を付与する「建て替え決議」の内容が、国土交通省が制定したマニュアルで定義された。

その結果、昭和58年建物区分所有法第62条を根拠に行なった「建て替え決議」によって憲法第29条第2項で規定する公共性が与えられることは、平成14年建物区分所有法上なくなった。諏訪組合の建て替えで、諏訪組合代理人弁護士が主張し、それを追認してきた多摩市長及び多摩市、東京都知事及び東京都、国土交通大臣及び国土交通省、東京地方裁判所および同立川支部並びに東京高等裁判所裁判長および裁判官で諏訪組合事件の関係者は、ここで指摘したとおり、全てが円滑法の関連改正された平成14年建物区分所有法第62条で定める「建て替え決議」が、円滑化法が存在する以前の建物区分所有法と同じ内容であるとする法律違反の解釈をしてきた。問題は司法及び行政関係者全員が行政の違法な法律運用に迎合し、枕を並べて違反を幇助してきた事態である。

法律の強制法理論としては、円滑化法と昭和58年建物区分所有法とは、根拠を別にするものであるため、事業対象マンションを、マンションに「危険性がある場合」には、昭和58年建物区分所有法を残し、「危険性がない場合」には、円滑化法にすることで、二つの性格の違った公共性の事業を両立させることもできないわけではなかった。しかし、行政実務としては、実際紛らわしい強制事業の対象を整理することは返って建て替え事業に対する法律施行を混乱する惧れがあった。そのため、または、円滑化法による場合の方が国庫補助金の交付など財政的に手厚い措置を講じているため、昭和58年建物区分所有法による強制権を付与する事業は廃止され、マンション建て替え事業は全て円滑化法に吸収されることになった。

マンション建て替えを求めていた時代背景
昭和58年の建物区分所有法改正後、公営住宅(地方公共団体)、公団住宅(UR:元都市基盤整備公団)、公社住宅(地方住宅供給公社)など公的管理マンションは、住宅経営の杜撰さにより、物価の上昇が維持管理費に的確に反映されず、かつ、新築住宅に依存していたマンション管理経営は、新築住宅が激減したことで、その経営収支は、一挙に、大赤字経営に置かれていた。

その一方でマンションの維持管理修繕費会計の修繕積立金を増額することは困難であり、収入は硬直化し、マンションの修繕維持管理等環境改善費の拡大による逆ザヤが住宅管理会計を悪化させていた。いずれの会計も国及び地方財政依存の結果、マンション管理は財政上のお荷物になっていた。また、維持管理修繕費の支出を収入の範囲に抑えれば、修繕維持管理は行き届かず、マンションの老朽化は進行する緊急事態にあった。

国及び地方公共団体の財政事情も悪化し、公共的経営管理によるマンションの維持管理会計の収支を改善する途として、法定土地利用計画を変更し、建て替えにより高層高密度開発を図るマンション建て替え事業が検討された。高層高密度開発をすれば、既存マンションを何倍もの容積に建て替え、容積増に対応し上昇している潜在地価を顕在化させられる。そうすれば、建て替え事業を容易にでき、建て替え事業が実施されれば資産管理会計の改善が図られる。

既存の中低層低密度マンションを高層高密度のマンションに建て替えれば、不動産価値の増額により固定資産税を増額ができる。そのうえ、既存住宅戸数に対し2倍以上の住宅戸数増により、2倍以上の世帯増と高所得者の入居が期待され、住民税と固定資産税を拡大できる。その基本となっている潜在地価を顕在化させる政策を、政府は都市再開発のインセンティブにしてきた。

バブル経済崩壊後の不況下で、政府は不良資産を再生する経済要求に押され、高騰した地価を建て替え事業により顕在化させ、建て替え事業費負担をしないで潜在地価を「濡れ手に泡」する建て替え事業の要請に応えてきた。小泉自民党内閣の下で、竹中大臣の経済政策を受けた都市再生政策が実施された。都市計画法と建築基準法に規制緩和を導入した都市再生事業は、土地信用を膨張させ、地価と地代のからくりを利用した信用膨張の政治主導の企業救済政策であった。

地価と地代と不動産価値
地方公共団体は都市計画で定められた土地利用計画の変更を急ぐことになった。表向きの理由は高騰する地価に対し国民が負担できる地代にするためといい、地価に見合った高層高密度の土地利用を実現できると説明してきた。一方では、固定資産税は租税特別措置法により、敷地面積60坪以下の住宅地については6分の1に切り下げられている。

これは取引価格と別に課税標準額で定められた地価自体が経済学的に市場の地価の6倍の高さにあることを意味している。国は地価評価(地価:課税標準額)を正常化せず、逆に、土地の課税額(国が徴収する地代:固定資産税額)を減額している。地価は、土地が生み出す利益(地代)を平均利潤率(インフレ率や公定歩合等の社会的利益率)で割り戻した資本還元価値として評価される。地方公共団体の財政上の本音は、課税標準を引き上げ、固定資産税の増額しようとしている。そのために地方公共団体は都市計画上の土地利用計画を見直してきた。

地価自体は土地の需給関係を反映して決定されるが土地利用により生み出される地代(賃貸料)により、地価は拘束される。都市計画で定める土地利用計画を変更し、同じ敷地を高層高密度利用できれば、土地で支払われる地代負担能力が高まり、最終的に地価を上昇させる。市場地価を反映しない政府及び金融機関が容易に操作できる不動産鑑定評価制度に支配され、不動産事業者は営業販売力で高額(操作価格)で土地を売却できる。しかし、不動産を購入した国民が不動産を市場で売却するときには購入価格よりはるかに低額(需給を反映した市場価格:不動産の価値の現象形態としての価格)でしか売却できない二重価格不動産市場が形成されてきた。

バブル経済での地価高騰が起きても、土地利用計画自体が低層低密度利用で変化しなければ、土地利用は変化できず、地代は増額できない。結果的に地価は地代に拘束され、上昇できず、土地信用を拡大することはできない。しかし、都市計画により土地利用計画が変更され、同じ面積の土地により多くの住宅を収容でき、より多くの世帯を居住させられれば、地代負担能力が増大させる可能性が膨らみ、建て替え事業を含む再開発事業が促される。

都市改造土地区画整理事業による地価操作
わが国の列島改造政策で国土の道路のネットワークを築造した方法は、60年日米安全保障条約を背景に米国か憲法上軍隊をもてない日本の防衛を日米同盟により守る代償として、日本は米国の農業と石油輸入をし、経済的な負担をする対等な同盟にすることが前提にある。日本政府は炭鉱を閉山にして日本のエネルギーを石油にした。当時の石炭価格と石油価格の市場価格差を石油税として徴収し、その税金で道路特別会計の財源とし道路建設を進めていった。自動車税を使って、道路建設と一体的に宅地造成をする都市改造土地区画整理事業が、前項で展開された。

この事業は幹線道路の土地買収費と道路築造費を限度に国庫補助金を交付し、事務氏の所有する土地を玄武減歩(保留地減歩と公共用地減歩)することと、地価の上昇を見込んで事業採算を取る都市開発技法である。年間7%の地価上昇を見込んで造成した区画整理事業の土地は、非常に高い地価を生み出した。その地価をもとに国民は固定資産税を支払うわけにはいかないので、そこに住宅を建築した場合の固定資産税額は6分に一の減額をする租税特別措置法が作られた。要するに国は区画整理事業により地価を6倍に誘導してきたのである。その地価捜査が日本の土地信用膨張の経済政策の原動力になってきたが、それが、マンション建て替えの原動力として機能しているのである。政府が捜査してきた土地が生む利益の6倍の政府が操作する地価をの虚像もとに円滑化法の事業が実施されていることを知る必要がある。

しかし、マンションの場合であれば可能であるとされた高密度開発が、戦前まで日本でも戸建て住宅でも、低層高密度開発する方法が、現在欧米同様、隣地境界線に接して建築することが実施されていた。戦後の区画整理事業では土地を狭小細分化しそこに独立住宅を建てさせ、低層低密度で地代収入が上げられない土地を区画整理事業により造成し、市場価格操作をすることにより地価を高騰させた。現在列島改造時代に「都市計画の母」と言われて濫用された都市改造土地区画整理事業で造られた土地は地価操作が暴露され、衰退し、土地所有者を貧困に陥れている。

前述した住宅地に対する固定資産税に対する租税特別措置法の適用は、全国のほとんど全ての住宅地に適用されている。それは、ほとんどの国民が住宅地から得られる利益(地代)として国民が負担できる土地の生み出す利益を資本還元した地価は、固定資産税の課税標準地価ではない。その6分の1なのである。経済学的には課税標準額(住宅地価)は現在の6分の1とすべきである。それなのに課税標準を引き下げない理由は、土地信用膨張で銀行の土地担保価値を政治的に吊り上げ、金融機関を保護し、国家経営をしてきた日本政府の土地政策の異常さにある。

規制緩和策の真の目的と経済政策
再開発事業の実現可能性が膨らむことにより、建て替えの可能性を前提にマンション自体の含み資産価値が拡大する。そして、衰退しているマンション地であれば、マンションを建て替えることで潜在地価を顕在化することができる。建て替え事業は、マンション所有者の土地に潜在していた地価の高騰をキャピタルゲイン(資産価値増)の形の不労所得として手に入れる手段である。

一見、地価を高騰させる土地利用規制の緩和は、誰も損をしないで経済的不況や企業の経営不振から、不動産資産価値を高める途と考えられた。政府は都市再生こそ、マンション所有者の資産価値を高め財政危機に直面し財政主導力を失った国の経済政策の切り札として取り上げてきた。都市再生政策は「国民の利益」という枕詞が付けられたが、実施された高層高密度開発は政治家や高級公務員と癒着した再開発事業関係者の利益を拡大するものばかりで、中低層市街地に無秩序に超高層建築を乱立させたため、都市環境を悪くする場合がほとんどであった。

当初は竹中大臣の不良債権対策として限定的に使われる予定の提案が、実際は政治献金に影響する不動産業者の利益拡大の手段として濫用され、大都市のスカイラインを一挙に変えた。自動車が狭小幅員道路を交通渋滞にし、開発地周辺を耐震火災に対して、高層高密度開発を実施することによって、都市は都市災害に全く無防備で、都市災害危険な環境に悪化させてしまった。

従来まで中低層建築物でできていた法定都市計画を規制緩和により改正し、既存の都市環境を高層高密度な建築の谷間に落とし込んでいった。法定都市計画で土地利用密度を高めた結果、新規建築も都市計画法に違反して建てられた。その結果、既存居住者にとり都市眺望も景観も悪くなり、既存市街地は日照・日射を奪われ、ビル風に悩まされ、日影とビル影と電波障害を受ける都市に変質していった。大都市で規制緩和を受け高層高密度な開発が実施されたところでは、住民による行政事件訴訟が多数提起された。多くの事件は官民一体の法律を蹂躙した開発であった。

被害を受けた住民は違法処分に怒り、行政事件訴訟が提訴した。司法は訴訟を提起した都市計画理論に照らして明らかに不利益を受けている原告住民を、都市計画法上の合理的な根拠を示さないで、裁判官の恣意的判断だけで「原告適格を持たない者」として排除してきた。それは憲法で定められた国民の裁判を受ける権利を否定する形で、違法な行政処分を庇うものであった。

都市計画法に基づき住民参加により都道府県知事が決定した土地利用計画に抵触し、開発業者の利益を優先して認めた許認可処分を、都市計画区域内の居住者が不当であるとして行政庁を相手に提起する訴訟が、都市計画や建築に関する行政事件訴訟である。都市計画区域内に居住する住民は、全て都外市計画決定に違反した行政処分の利害関係者である。よって、行政処分により不利益を受けると判断した住民に原告適格があることは、法律上、当然のことである。

典型的な政・官・業護送船団による違反マンション建設
既成市街地住民を都市再開発を実施することにより、都市防災的に危険に陥れる事例は無数に実施されてきた。中でも極めて悪質な事例として、マンション建設による不当利益を求め、東京都知事、渋谷区長とが都市計画法及び建築基準法違反を幇助した類似の事件を紹介する。この事件も基本的に土地の高度利用を違法に計画した業者と行政機関が共謀して実施したものである。渋谷区が積極的に開発業者のために違反幇助し、その行政処分を司法が行政追従し、開発業者の不正をかばった事例である。

この事件も土地の高層高密度利用を進める国の経済政策に迎合する行政と司法との癒着で生まれた行政法違反事件である。この訴訟で、区民を守るべき公選された渋谷区長が、地元区民の利益に反し開発事業者の不正利益を幇助し、違反開発で住民税と固定資産税の税収増を図った。都市計画法及び建築基準法に違反して区民に被害を与えたため、区民がそれを不当と司法に訴えた。しかし、裁判所は区民の原告適格を否定し区民の訴訟をする権利を奪い、法律上明白な都市計画法及び建築基準法違反処分を行った渋谷区長の処分を適正と認めた。

この事件で都市計画法上の許認可処分に関する裁判所の判断は、開発地の隣接地又は近隣地の住民にしか開発の影響は及ばないと理不尽な判断をし、原告となる資格・原告適格を認めてこなかった。渋谷区鶯谷での事件は開発に必要な幅員の道路もなく、都市災害に危険な問題を隠蔽した象徴的な行政事件事例である。徒歩を中心にした9尺道路(幅員2,7メートル)の街は、全国に広く存在している。東京都渋谷区鴬谷はそのような街である。

法定都市計画は第2種低層住居専用地域(建築物の最高高さ12m、建ぺい率60%、容積率200%)が定められ、そこに25戸の戸建て住宅団地が建っていた。そこを大手不動産業者が大手設計事務所の設計で再開発し、巨大な1棟のマンション、ラ・ツアー・ダイカンヤマ(高さ20メートル、建蔽率60%、実質容積率300%)、以前の約5.5倍の戸数139戸、10棟のマンションの1団地であると詐称して、総合設計制度等を違法に利用し建設してしまった。

都市計画法と建築基準法違反による不正利益幇助
澁谷の駅まで徒歩10分以内に到達できる好立地で、月額家賃を100万円から500万円の高額マンションにするために、優れた環境にする必要があった。総合設計制度等を違法に使い、実際上、法定容積率200%の土地に実質法定容積率の1.5倍と同じ空間を法律上専用できない社会的空間を、高さを第2種低層住居専用地域の12メートルの限度をその1.5の18メートルまで違法に簒奪し、以下のとおりの詳細で不法専用利用をすることで実現している。そのため、高さ12メートルまでの範囲の容積率は150%程度のゆとりある空間開発となり、超高額マンションとして貸し出せることになった。

法定限度高さ12m.の空間に高さ18m.の高さのマンションでの容積率は200%と法廷容積率の範囲に収められている。法定建ぺい率及び法定容積率の同じマンションを地下部分の空間を含め、法定建築物の高さの約1.5倍の高さの法律上利用できない空間を違法に占用することを可能した。それを建築行政が違法に許可をし、近隣環境にしわ寄せし優れた豊かな空間と眺望を確保できている。1戸あたりのマンションの月額賃貸料が100万円から500万円としているこのマンションは、実は、業務兼用のマンションであり、大きなホームオフイッスを持った外国人棟を相手にする不動産である。法律で考えている第2種低層住居専用地域の用途ではない。この住宅の立地により発生交通量の増大など、地域の都市施設への負荷は大きくなる。

建築物の建蔽率、容積率、建築物の高さは、一体的にになされるもので、本件は高さの違反だけではなく、法廷容積率の中で計画しよう押した場合150%しか開発できない計画であるから、そこに200%を詰め込めば、事実上容積率及び建蔽率の違反を生み出すものである。それを法廷容積率200%の範囲に納めたから容積率に違反していないという主張をする。法廷容積率が200%でも、このようなマンションは放映都市計画では最大の150%しか利用できない。つまり、技術的な利用限界がが150%であるわけであるから、それ以上の容積を高さの違反を犯して法廷で許された高さ空間以上に50%近い容積をつめることは、それが全体として200%以内でも、高さ違反であるとともに、空間利用上詰めてはいけない容積であるから、このマンション計画上の容積違反である。

マンションが豊かな空間利用利益を享受できている理由は、マンションが地域の都市計画を蹂躙し、周辺住宅地の眺望を奪い、既存の都市施設を不当に使い、道路を渋滞させ、環境を悪くさせているためである。しかし、マンションが都市空間を不当に占用し、住居だけではなく、商業・業務的利用をする結果、発生交通量を増大させ、それに伴い道路が渋滞し、緊急車両の通行を困難にし、周辺住宅地の眺望や自然環境を奪ってしまった。

巨大な違法マンションが建設されたことで、マンション周辺の細街路は交通量が急増して、道路は渋滞し、極めて危険な状態になっている。東京直下型地震の危険がとり沙汰されているとき、阪神大震災で経験したような道路が通行不能で消防車や救急車が侵入できず、市街地大災害に拡大する危険は高い。都市計画法上では、最低幅員9メートル以上の道路に接道が義務付けられている開発が、違法な規制緩和が政治敵に行われ、民間企業に不正利益を供与する目的で違法な開発許可がなされた。このような開発許可が都市計画区域全体の災害危険性を増大させている。

法律に違反した開発を東京都知事(開発許可権者)と渋谷区長(特定行政庁)が許可をすることで、東京都自身が明らかにした東京を襲う震災で大きな人身事故や物損をもたらす恐れが高まっている。行政の許認可が法律に違反してなされた根拠を明らかにして、区民がその不利益を裁判で訴える権利(原告適格)を、裁判官が合理的な根拠もなく奪える理屈はない。司法は、原告適格の範囲を極端に狭めることで、事実上行政処分を正当化させる結果となっている。

司法による違反行政の幇助
鶯谷マンション開発は開発許可が完了していない状態で建築工事が行われ、建築工事完了後、違法な増築工事が渋谷区長の幇助で実施された。都市計画法で定めた土地利用を蹂躪する開発により、区民の都市計画区域の耐震火災時の安全が脅かされている。区民は不利益を受けないように原告として訴訟を提起し、民間企業に不正利益を与えている処分の破棄を求めてきた。

それにも拘わらず、裁判所は行政事件訴訟で開発地の敷地隣接住民にしか、原告適格を認めなかった。その上で、震災での危険性の高い都市計画法及び建築基準法上で規制限度を50%以上も逸脱した建築物の高さ違反の開発許可及び建築確認違反処分を、裁判所は悉く、法律上の根拠無しで行政処分をした行政庁の言いなりの違法な理由を追認し、判決で適法であると認めた。

この訴訟は東京地方裁判所、東京高等裁判所、最高裁判所のすべての段階で、法律違反の行政処分を追認し、不正な開発利益を追求する開発業者の違反幇助した行政判断に追認した。即ち、行政処分の違法を裁くべき行政事件訴訟で、司法は三権分立の原則を蹂躙し、法律に照らした審理をせず、行政処分を行政処分通り追認した。司法は裁判権を行使するが、行政を支える専門的工学や社会科学的知識が不可欠である。そのうえ裁判官の行政法令知識は驚くほど貧弱である。そのため、被告である馴染みの客である行政に従属することで無責任な判決を繰り返してきた。モット分かり易く言えば、司法には複雑な行政法の構成も、その運用実態もわからず、行政を裁く能力事態が欠如している。司法が面子を維持するためには、行政に従属することで行政と同じ能力を有すると国民を勘違いさせているだけである。

司法と行政の癒着は、諏訪組合の建て替え事業だけではない。NPO法人住宅生産性研究会が都市計画法および建築基準法の立法および行政経験を期待されて関係した渋谷区、大田区、目黒区、板橋区、世田谷区、文京区、国立市、稲城市、町田市等の20件近い行政事件訴訟で繰り返されてきた。いずれも裁判官の行政法知識は貧弱で、社会的常識に欠如し、説明責任を果たしていない。司法は、被告である行政庁の主張をオオム返しし、自らの知識の不足を正当化してきただけである。

つまり、原告である住民は、被告である行政とその判断に迎合する裁判官を相手に訴訟をすることになる。そのため、住民の勝訴はほとんど望めない。裁判官が判断の参考にする行政官の作成した解説書の多くは、正しい文理解釈ではなく、法律上書けなかった立法過程で省庁間の裏取引として結ばれた覚え書きや、本音として実施したい違法な行政指導を「省庁組織の闇の監修」でまとめた解説書である。

裁判官の多くは立法趣旨や法律の文理解釈を厳密にする努力をせず、安易に判決の前例や行政官OB学者の作成した解説を持ち出して行政法知識の欠如を補っている。行政法のほとんどが政府立法であるから、国会審議を反映して行政官がまとめた法律制定当時の解説書を参考にする裁判は正しい。しかし、法律に違反した行政実務を追認する行政解説を持ち出して実施されている裁判の判決は、基本的に行政の違反幇助でしかない。

第2章 憲法違反の「円滑化法」

公共性の大義名分論
政府は住宅政策において一貫して、財政政策及び経済産業政策優先の立場に立ち、建て替え事業を進める方針を採ってきた。その政策は建て替え利益を求める業界やその利益代弁者としての政治家や建て替え推進区分所有者の要望に応える形で、老朽化など安全性に問題のないマンションに対し行政運用で実績を作り、建て替えできる法改正を推進してきた。その政治、行政および産業界の力によって実現した立法が、平成14年施行された円滑化法である。

現状の生活を維持したいと願う人々は、憲法第22条で定める居住の自由を保障する生活圏で、私有財産権の保護を定めた憲法第29条により、憲法上守られている筈である。しかし、建て替え事業を実施するためには、建て替え事業に賛成しない住民の財産権を否定することが必要になる。その事業反対者を強制的に従わせるために、それに見合った法律上の大義名分の理論と法律構成を新たに持ち込む必要があった。

マンションは住棟全体が共同財産である。昭和58年建物区分所有法の改正では、老朽や耐震強度的に危険なマンションの安全性を回復するため、全体を、修繕か、建て替えかの二律背反の選択を持ち込まざるを得なくなった。理論上、過半数ではだめで、絶対多数者としならない理由はない。しかし、「緊急対応をすること」に公共性があるにも拘わらず、「絶対多数決の決議にすること」自体が公共性の生まれる理屈であるかのような、デッチ上げを構築してしまった。

昭和58年建物区分所有法と円滑化法立法上の意味と役割
円滑化法の対象事業はマンション全体を事業の対象にするもので、「老朽化や耐震危険性という緊急性が認められない場合」まで含んでいる。円滑化法が危険性に対応する緊急性がない場合の建て替えにまで事業化対象を拡大してきた。円滑化法の立法で、憲法第29条第2項に照らし、強制できる公共性を主張できる範囲を広げられるか。

言い換えれば、建て替えをすべきか、修繕で済ますべきか、それとも、何もしないで放置してよいか条件にあるマンションを、修繕か、建て替えかという二つの選択肢だけに絞り、絶対過半数であれば強制事業にできるとすることに法的合理性があるか。何もしないでよいとする選択肢は、マンションの存置を前提にするから修繕の選択肢に含められる考え方かもしれないが、それでも絶対過半数があれば、緊急性がなくても、強制事業にできる理屈は、憲法29条に照らし見つけられない。

円滑化法は緊急な安全対策が対象ではなく、経済的利益重視である。単刀直入に言えば、建て替えをするかどうかの2者択一の選択を求めて、建物区分所有法で絶対過半数の獲得で強制事業を付与できると言うのであれば、円滑化法を創設しなければならない理由はなくなる。円滑化法によって強制権を与えることがなければ、どのような社会的必要性に応えるために円滑化法が立法されたのか。58年建物区分所有法は憲法第29条第2項を強制権の根拠にしているのであり、同法自体で強制権の根拠を有しているわけではない。建て替え事業で行使する強制権を憲法第29条第2項によらないで建て替え組合に与え、「建て替え反対者を強制して建て替え事業に従わせる社会的な合意」こそ、円滑化法に託された律法上の理由ではなかったか。

昭和58年建物区分所有法の改正はマンションの老朽化又は耐震性耐力の不足による危険性を排除する緊急性に公共性が認められたが、絶対過半数で強制権が認められら訳ではない。平成14年の円滑化法は、区分所有者の建て替えに向けての経済主義の実現の合意形成が、マニュアルで定めた14段階の民主的な一連のプロセスを踏襲することを前提に進められることを条件に公共性があるとした。そして、その中間段階で建て替えに絞って事業計画を進める意思決定「建て替え推進決議」と、建て替え事業に向けての意思決定「建て替え決議」それぞれを、絶対多数決で決議する条件を満足することで強制できる事業法とした。

昭和58年建物区分所有法で絶対対多数決が採用されたため、「絶対多数決に公共性の根拠であったか」の勘違いが生まれて衣る。建て替えを緊急に実施すべき必要性がなくても、経済主義を根拠に絶対多数決があれば、強制事業を実施できるという勘違いがある。絶対多数決の決議により公共性が生まれると言う誤解が、円滑化法の法律構成の理解を間違わせ、諏訪組合の事業を円滑化の法律構成の文理と違った方向に向かわせた。経済主義の追及という自由放任思想、言い換えれば、弱肉強食の論理自体には、公共性は認められない。しかし、諏訪組合の論理は建て替え事業を絶対多数決の決定を経れば、弱肉強食に正当性(公共性)が認められるという法律に根拠を置かない理屈である。

組合員の絶対多数決で私有財産を強制的に排除できる根拠は、憲法のどこにもない。修繕か、建て替えかの経済比較をすることは可能である。仮定条件の置き方により、修繕か、建て替えかのいずれにも有利な結論を導くことができる。しかし、危険を取り除くための緊急性がないマンションに対し、修繕か、建て替えかのいずれかの選択をしなければならない必然的な理由はない。建て替え事業の判断が絶対過半数であれば強制権が生まれるとする法理論は、憲法はもとより、既存の法体系には存在しない。円滑化法は、公共性の理論として憲法の枠を越えた処女地に足を踏み入れたもので、憲法との調和ガはかれれていなければ、国内法として認められない。

国が御用学者を動員して国土交通省が作成した修繕か、建て替えかを比較検討するマニュアルは、建て替えに向けて区分所有者全員の合意形成を民主的に進める体裁を取ってはいる。しかし、円滑化法は建て替えに向かって住宅管理組合を誘導する意図の上で作成されている。しかし、民主的な意思決定であれば、強制事業を実施できると言う結論を導き出す根拠にはならない。法律で義務付けた選択肢を修繕か、建て替えかの二者択一の採択にする合理性がない上に、絶対多数決にすれば、強制権を付与できるといった無茶な論理はない。法治国の法律とは言えない。

公共性の大義名分
平成14年の円滑化法と昭和58年建物区分所有法改正と基本的な相違点は、建て替えのための緊急性の有無の状況の違いである。昭和58年法は修繕か、建て替えかのいずれかを選択しなければならない猶予できない状況におかれている場合、緊急な選択をすることに憲法第29条第2項の公共性があるとしたもので、建物区分所有法第62条で定めた建て替え決議で定めた絶対多数決という選択方法により公共性が生まれるとする法律上の理屈ではない。

一方、平成14年円滑化法は、緊急の結論を出す必要性がないにも拘らず、専ら、経済的利益の追及の権利と、生活権追求の権利との対決を、対立する「私有財産権の保障」(憲法第29条)を絶対多数決により、強制的に建て替えに向け事業が実施できるようとした事業法である。この法律自体で事業化のための強制権の根拠を、第4条の基本方針を設定するという独自の法理論で新たに造り上げた。

憲法第29条の存在を前提に、「潜在する資産価値を顕在化させる私有財産権(財産価値)の保護(顕在化:建て替えにより実現)」を主張する建て替え推進者が、「既存の生活を維持し享受する私有財産権(生活権)の保護」を求める反対者を巻き込んで強制的に建て替え事業をする円滑化法には、憲法第29条で容認する公共性か、それに見合う大義名分が、法律上必要となる。

円滑化法は、第一条でマンションの良好な居住環境の確保を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する目的を明記している。それは58年建物区分所有法のように憲法第29条との関係で公共性を実現するものではなく、経済主義の実現しか目的になかった。経済主義を目的にする円滑化法による建て替え事業に、建て替え反対者の財産権を奪う権利はない。

円滑化法に与えられた強制権の根拠
円滑化法第4条の規定は、「建て替え反対者がいても、経済的な利益の実現のために、建て替えを決定する組合員の合意形成を民主的に実施すれば、民主国家の憲法の下で、憲法第29条第2項及び第3項に定める公共性があると同等の公共性があり、強制的に建て替え反対者の権利を奪うことができる」とする過去の法律にない法律理論を、以下のように作り出したものである。

円滑化法では同法第4条の大義名分は、(1)修繕か、建て替えかの選択の手続き、(2)建て替えを実現する上での区分所有者の合意形成をマニュアルどおりの民主的手続きに従うことで憲法第29条に抵触しないとされた。しかし、第4条の基本方針で定めた民主的な手続きが憲法第29条に矛盾しない公共性を有するかに対し、私有財産の保護の対象になるマンションに保護すべき上記2つの権利に対する優劣をつける文理解釈は、経済主義を持ち出しても憲法上の不可能である。

判断をする上で事業対象とするマンションに危険が認められ、緊急性での対応に時間的に猶予がなければ、二律背反の選択は過半数で決定することは止むを得ない選択である。円滑化法にはその条件はない。絶対過半数には公共性を求めることが出来るか。仮に安全上猶予す路ことが出来ない危険なマンションがあったとする。

円滑化の規定で絶対過半数に達せず、修繕か、建て替えかのいずれの決議も出来なく対応策が採れず、決断ができず、猶予できない危険に長期にわたり組合員を晒すことになれば、決断ができず、危険な状態にさらされている期間が長引く不利益に問題がある。この例は、絶対多数による過半数の決議をすることで公共性が奪われることになる。よって、絶対過半数自体は、公共性を付与する根拠にはならない法律構成にある。

このような法律構成にした理由は、法改正の裏にマンションの危険性がなくても、建て替え事業を進めることを正当化する政治的判断の萌芽が持ち込まれた。絶対過半数があれば、民主主義社会では少数者を強制しても、公共性付与の根拠になると勘違いされ、それが、平成14年の円滑化法の強制権付与に影響を与えてきたと考えられるが、憲法で国民に保障している財産権について絶対過半数で決議すれば強制収容までできるとするのは、公共性の根拠にできない。。

円滑化法が憲法第29条に違反している法的根拠
構造耐力上の危険性を放置できず、緊急対応をする判断には公共性がある。そのため、耐震安全性を確実にする対応策として、修繕か、建て替えかという二律背反の選択をすることになる。昭和58年建物区分所有法改正では、憲法第29条を根拠に強制権を付与し、その法手続きで、絶対過半数の規定によることにした。しかし、皮肉にも、絶対過半数の規定は緊急判断を妨害し、法律論理上、憲法の定める公共性実現のための緊急時の目的実現の妨害となっている。

円滑法では緊急性を要する判断は必要なく、これまでの法律で考えられてきた公共性実現の条件が消滅している。同法は修繕か、建て替えかの「いずれも選択もしなくてもよい条件」下のマンションだからである。つまり、「緊急性を要する判断」という公共性の条件が存在しないマンションに対し、建て替え事業を実施する強制権が付与された法律なのである。憲法第29条はこのような事業に公共性を認めていない。

円滑化法はその立法の前提として、「緊急性が存在せず、建て替え事業を要しない」条件のマンションに対し、経済主義に押されて、先見的に「マンションを現状維持で使用する」という条件を排除した。そのうえで、「潜在する高騰地価を顕在化させ、マンション居住者の財産権の価値を顕在化させる建て替えをする要求」と、「これまでの生活を継続するため、マンションを修繕する要求」とを「私有財産権の保障上の二者択一の選択要件」とする虚構をでっち上げた。

その上でマニュアルにしたがって、建て替えに向けて合意形形成をすれば、絶対多数決により強制事業として実施しても、憲法第29条に違反しないで、公共性の認められる事業とする法律構成とした。修繕か、建て替えかの二律背反の選択しかない「仮想の選択」を法律に持ち込み、絶対多数決で建て替え決議をすれば強制権が付与できる、とした法律構成自体が、憲法に照らして理論的に間違である。

構造上の危険性が存在しないマンションの対応策として、何もしないという選択肢があるにもかかわらず、修繕か、建て替えかの選択に限定したこと自体が無理である。選択を強制させる条件として組合員の絶対過半数により、いずれかの選択をするようにさせたとしても、緊急性を求められ二律背反の選択ではないので、選択の義務付けを強制できる根拠にはならない。つまり、そこで認めているものは、憲法29条で規定されている公共性でもなければ、それに代替できるものでもない。

円滑化法における法的根拠のない「公共性」
緊急性を要する二律背反の判断が求められていないにも拘らず、絶対過半数の裁決で決定された円滑化法には、絶対過半数による裁決で公共性が生まれるかの理屈のでっち上げがなされた。そこでは民主的な手続きをマニュアルで強制手続きとして定め、それに絶対過半数の決議を条件にし建て替え事業は強行できるとした。しかし、絶対過半数の条件は、憲法第29条の例外条件ではなく、単に緊急事態に2者択一の判断で、重要性を示す意思表示の絶対多数決という「建て替え決議」にしただけのことである。

円滑化法による事業では、憲法第29条に根拠を持たない公共性を、円滑化法第4条の基本方針に従って建て替え事業を実施した場合にかぎり、建て替え事業組合に強制権を与えることができる法律構成になっている。しかし、この法律構成でカギとなる第4条基本方針が、憲法29条に適合している根拠はどこにもない。円滑化法自体が憲法第29条に明記された公共性が存在しないにもかかわらず、円滑化法自体の法律論理で「私有財産権を侵害してもよい」とした理由で、円滑化法は憲法に違反した法律である。

諏訪組合における建て替え訴訟事件では、円滑化法を根拠に建て替え事業が行われているとき、国会の議を経て制定された円滑化法が憲法違反であることを前面に出して争うことは、行政事件訴訟としてハードルが高いとも考えられた。そこで諏訪組合の建て替え事件では、円滑化法自体が憲法違反であることは直接争わないで、円滑化法は合憲であるとする論理を前提に、諏訪組合による建て替え事業は、円滑化法に違反していることを争点にした行政事件訴訟とした。

東京都知事が円滑化法第9条に基づき、建て替え組合が同法第12条に定める認可の基準に適合しているとして認可したことは、諏訪組合が建物区分所有法第62条を根拠に建て替え決議が存在しているとしたからである。しかし、建物区分所有法で規定する建て替え決議の内容は、円滑法の制定にあわせた建物区分所有法の改正により、改正させられていた。そのため、東京都知事が建て替え組合に認可に際して、認可条件を認めていたと判断した建物区分所有法第62条は昭和58年法の手続きであって、平成14年法の定義された「建て替え決議」ではないので、認可の基準には適合していない。よって東京都知事による第9条の認可も、違法な認可となる。

諏訪組合の建て替え決議は円滑化法に基づく事業を実施しているのであるから、円滑化法に定められた公共性の手続きに基づきなされなければならない。それにも拘らず、円滑化法とは別の、憲法29条で定めた公共性の例外として、緊急性を認められる安全措置を選択する建物区分所有法第62条の「建て替え決議」の条件(手続き)を、緊急性が問題にされていない円滑化法における「公共性の決定」の実体に実質的すり替え手行った詐欺である。

円滑化制定で変更された「建て替え決議」の定義
円滑化法による公共性は憲法第29条の例外として認められる緊急性を根拠にした公共性に代わって、第4条基本方針に定める内容として定義した。即ち、第4条第1項の条文内容を具体的に定めた国土交通省が定めたマニュアどおりの建て替えに向け合意形成の手続きを踏んだ場合には、公共性を有するものとして強制事業を実施できることにした。そして、「建て替え決議」の定義をマニュアルで具体的に定め、建物区分所有法第62条に記載されている「建て替え決議」は、マニュアルで定めた「建て替え決議」でなければならなくなった。

諏訪組合は「建て替え決議」に関し、マニュアルで定めた手続きを踏む前提で、建て替え事業計画策定費として国庫補助金約5億円を使いた建て替え事業計画を作成した。この国庫補助金自体、国土交通省の担当室長の違反教唆と違反幇助により国庫から補助条件に適合しない「建て替え4推進決議」で国庫補助金を詐取したものである。

作成した事業計画に組合員の約30%が反対の意向を示した。そのため、マニュアルで定めた絶対過半数で行う「建て替え決議」ができないことが明確化した。その理由は、詐取した国庫補助金が組合員の建て替え要求に答える建て替え事業計画の作成には使われず、建て替え反対者の切り崩し工作に使われ、マニュアルで定めた組合員の意向を反映した事業計画に使われなかったためである。

補助金は交付目的のために使われなかったので、国庫補助金等適正化法の規定に従い国庫に返還しなければならない。しかし、諏訪組合には補助金返還の意図は毛頭なく、補助金交付に関係した国土交通省、東京都及び多摩市はいずれも補助金の不正交付に関係したため、違反の事実が表沙汰にされることを怖れていた。その結果、補助金を使ったか建て替え事業計画が存在したこと自体を否定するため、事業計画は反故にされ、闇に葬られた。事業計画を作成し、建て替え事業者になることが諏訪組合から密約されていた旭化成ホームズ㈱は、この事業から撤退した。

建物区分所有法で定める「建て替え決議」の内容は、円滑化法の関連改正により変化したが、諏訪組合は建物区分所有法第62条の「建て替え決議」の文言が変らなかったことを悪用し、改正前の修繕か、建て替えか、の意志決定だけの賛否を決める「建て替え決議」(昭和58年建物区分所有法)を実施した。その決議は円滑化法による強制事業を実施するためのマニュアルで定める「建て替え決議」ではない。

円滑化違反を断行した国土交通大臣
諏訪組合が円滑化法により強制権を付与された建て替え組合を設立させるためには、円滑化法制定に伴う関連改正された建物区分所有法で規定された「建て替え決議」、即ち、マニュアルに定めた「建て替え決議」をしなければならない。それにも拘らず、文言上変更されなかった「建て替え決議」をしたことを根拠に、建て替え組合の認可申請を行った。東京都知事は改正された「建て替え決議」の内容を具備していない決議を根拠に、建て替え組合を認可した。

東京都知事による建て替え組合の認可は間違っているとして複数の区分所有者から国土交通大臣に不服審査請求が提出された。不服審査請求の裁決において、国土交通大臣の裁決は、円滑化法の条文とその立法の経緯を蹂躙したもので、円滑化法で適用されるマニュアルで定義された「建て替え決議」をしなくても、昭和58年建物区分所有法による「建て替え決議」であれば、「建て替え決議と記載された文言が同じであるから、円滑化法上「正当である」と違法な裁決した。

その裁決において、国土交通大臣は「平成15年1月に自らが国会の議論を経て作成したマニュアル自体は法律ではなく、拘束力を持たない単なる指針に過ぎない」としたうえで、「円滑化法による「建て替え決議」は、円滑化法制定前の昭和58年建物区分所有法で規定する「建て替え決議」でよく、平成14年に円滑化法制定で関連改正された建物区分所有法で改正されたマニュアルで定義されたものでなくてもよい」円滑化法に違反した裁決を行った。行政法の知識や経験の貧しい裁判所と違い、国土交通大臣が円滑化法が分からなくて間違えることは考えられない。国土交通大臣は円滑化法の法理が分かっていて、意図的に円滑化法を蹂躙し、廃止された法律を現行法と取り違え、国土交通省の犯した犯罪及び犯罪幇助したのである。

事業者選考競技(コンペ)と「500万円の移転」補償金
その後、諏訪組合は東京建物㈱を建て替え事業者とすることを謀議で決定し、東京建物㈱に(一世帯当たり500万円の移転補償金」を提供する詐欺条件を用意し、組合員を騙す形式を整えた建て替え事業者選考競技(コンペ)を実施した。その後、競争相手となる建て替え業者がいないことを確認してから、「500万円の補償金の支給はしない、異議があれば建て替え事業者から撤退する」と組合員を脅した。組合員が怯んだ隙に建物区分所有法第62条による「建て替え決議」を円滑化法で改正されたにも拘わらず、改正前の「建て替え決議」の内容で実施した。

東京地方裁判所における「裁決取り消し訴訟」で違法を容認しようとした定塚誠裁判長に対し、原告は「法治国においては、法律で定めた実体が実現されることでなくてはならず、名称だけで実体を伴わない詐欺を容認して形式論で違法を容認することは間違っている。」と指摘した。原告の主張する事実関係の審理を無視し、行政追従の法の形式的な手続きに偏った裁判を進めてきた定塚誠裁判長は、原告の「実体法の規定に照らした事実に着目した裁判をせよ。」という指摘に虚を突かれ、狼狽した。裁判長は「この訴訟自体は、法律の手続きを問題にした訴訟であるから、法律の形式論理上、棄却せざるを得ない。しかし、法律で定めた建て替え決議の実体が不存在であるならば、それを争点とした裁判を起こせば訴訟は可能になる。」と弁明した。

言い終えてから、あわてて、「訴訟を提起したから、勝てるというわけではない。」と前言の言い訳を取り消そうとした。そして、結審を宣言した。然し、定塚誠裁判長の「法律の手続きを争う裁判」という弁明は、原告のその訴訟での訴えとしては、手続きの形式ではなく、手続きの実態が法に定める実体がないことを訴えている。裁判長は明らかに虚偽のその場しのぎの弁明をしたものであった。原告も裁判長の咄嗟の嘘について行けず、裁判長の教示通りの裁判を提起することにし、結審の宣告を阻止することはできなかった。

その裁判でも原告は「建て替え決議」の不存在を争っていたが、訴訟事件としては「国土交通大臣の不服審査請求却下処分の取り消し」で争ったため、定塚誠裁判長の争点をすり替えた裁判により、処分の取り消しの判決に先立ち、問題をすり替えられただけであった。裁判官が原告の訴えの趣旨目的を勝手に変更し、原告の求めている裁判を実施しなかったから、その裁判は原告の裁判を受ける権利を不当に奪う憲法第32条違反の裁判でもある。原告はこのような不当な裁判を行うことは想像だにしていなかったので、その判決を謙虚に受け止めることにした。

そこで原告は裁判官の教示に従い、円滑化法で定められた「建て替え決議」の不存在を争点にした訴訟を始めた。そのときの裁判長が、前の裁判で原告に提訴を教示した定塚誠裁判長であった。裁判長は先の裁判で苦し紛れの教示をすることで体面を保ったが、まさか、裁判長の教示どおりの訴訟が提起されるとは思ってもいなかったに違いない。サマセットモーム著『悪魔との会合』のように悪魔も主人公も驚いた。

裁判妨害を繰り返した定塚誠裁判長(東京地方裁判所)
裁判長は自らの教示に基づき始められた裁判を妨害するため、一旦裁判所が受け付けた裁判費用を原告が3人であるからといい、不当に3倍に増額し、裁判の申請取り下げさせようとした。行政事件訴訟は行政処分が法律に照らして間違っていることを争う裁判であるから、原告の人数により原告の利益も審理の内容が変わるわけではない。裁判費用のことで時間の浪費をしたくなかったので、裁判長の指示を根拠にした書記官からの不当な補正命令にも原告が対応した。

すると、今度は公判開始後、すでに訴状で十分説明してある提訴事項に関し、「さらに詳細な説明を法律論として説明すること」を原告に要求し、「その説明を受けてから事件の扱いを決める」と宣言した。裁判の公判を始めて以降に訴状が提出されているのに裁判の実施を決めないことは異常である。しかし、裁判長の不当な要求に対し、その指示を額面通り受け止めて裁判の円滑な審理のため、原告が悉く対応したため、裁判長は裁判自体の成立を認めることになった。

裁判長は原告の提出した説明書には何も意見を言わず、単に「これで原告の説明は十分されていますか。」と念押しをした。原告は「主張は書面で説明したとおりです」と答えた。裁判長は、被告に、「何か意見はありますか」といい、「ありません」という返事を受けて、弁論を終了した。実際の訴状に基づく弁論機会はなく、裁判官が原告に対し無理難題を投掛けただけであった。現在になって振り返ってみると、原告が裁判長の指示に従って裁判所に提出した文書は、被告に当然手渡され、被告の法廷での裁判長に対する回答は、原告の主張を被告も認めたものと理解していたが、被告には裁判長と原告とのやり取りは知らされていなかった。

それはすべて裁判長の詐術で、被告には原告から裁判所に提出した文書を手渡さず、単なる裁判所への説明文書として処理し、被告の反論を提出させなかったのではなかった。もし、被告に被告が違法認可をしたことを立証した文書が渡っていたら、裁判官が被告に意見を求めたときに、被告が「ありません」と答えた理由が分らない。判決を受けて裁判長の行動を振り返ると、その裁判指揮では、原告の訴状を審理の対象にすると、前判決が審理の対象になり、自分自身が墓穴を掘らないとも限らないと感じ、原告の主張を被告に伝えず、事実関係を解明する審理をしない公判を2回で打ち切り、結審を宣言したのではなかったか。

そして1ヵ月後の判決言い渡しでは、裁判長が裁判に入る前から予定したとおり、原告の訴えに対し「棄却」の判決を行った。その中で原告が争点としてマニュアルで定めた内容を具備しない「建て替え決議」と、それを前提にした建て替え組合の認可の2つに関し、判決文の「事案の概要等」の中の「争いのない事実等」として、審理の対象から外し、原告にとって青天の霹靂とも言うべき整理をしてしまった。

原告の訴えを審理しない不当な裁判官の裁判
「裁判所の見解」であれば判決の根拠の説明をしないわけにはいかない。原告が提訴した争点が、法廷での審理の対象にされないで「争いのない事実」として裁判で踏み込まない処理は、裁判官が逃げ続けた最も恐れたこと、即ち、これまで癒着してきた行政と対決し、行政追従裁判と断絶することを意味していたからである。この判決の記述は、裁判長が先の裁判で原告に教示したことと矛盾するだけではなく、原告の裁判を受ける権利(憲法第32条)を蹂躙した証拠でもある。裁判記録の開示を求める方法もあるが、裁判記録は裁判長が記録内容を自由に採択できるので、裁判長に不利な記録は残ることはない。

定塚誠裁判長の裁判は、裁判に対する国民の信頼を完全に裏切るものである。このような違法な裁判を行う裁判官は、同じようなやり方を繰り返してきたに違いないことは、多くの犯罪者と共通した行動形態と見ることができるからである。過去の実施した不当な裁判が指摘され、それを隠蔽しようとでまかせなその場限りないいわけで問題をそらしてきた。しかし、前と同じ手練手管が使えないと分ると、それに代わる方法を考える。裁判官が原告から裁判費用を受け取り、真理の追究をする職業であるという最も基本的なことさえしないということは裁判官には許されない。そのような裁判官が累犯を繰り返すことができる日本の裁判所の体質が問われている。

裁判所に原告が求めている裁判は、円滑化法の趣旨目的とその文理解釈に立って、立法どおり行政処分が行われているかについて諏訪組合の事例において明らかにすることであった。諏訪組合の法律違反を行政庁が幇助し、行政機関の違法な処分を隠蔽する役割が、犯罪者たちからは裁判所に期待されているかもしれない。しかし、憲法が国民に約束していることは、裁判所が不正を隠蔽することではなく、本事件では行政庁の処分を円滑化法に照らして間違っているか、それとも正しいかを明らかにすることである。

円滑化法は政府提案の法律で国会の議決を経て立法化されたものであるから、法律の強制権に関する立法府と行政府の理解・解釈は、立法当時は同じであった。しかし、その後、行政府の見解は経済主義にゆれ、立法時の考え方を否定し違法な建て替え事業を推進してきた。「建て替え決議」の判断も平成14年の円滑化法制定以前の建物区分所有法による名称だけ同じの「建て替え決議」であり、現行法のマニュアルで定めた「建て替え決議」の実体を具備したものではない。

第3章 円滑化法の構成と円滑化法を骨抜きにしてきた仕組み

円滑化法論理における強制権付与の根拠:2つのマニュアル
憲法第29条に定める私有財産権の保障に代替する公共性の大義名分は、建て替え事業の合意形成の手続きを定めた同法第4条基本方針をマニュアルで定めた内容である。それは建て替えの合意形成を住宅管理組合員の意向を尊重し十分民主的にすることによって、マニュアルどおりに進めた事業で、マニュアルどおりの「建て替え決議」をすれば、その決議を根拠に、強制権を付与する建て替え組合を認可できるとした。国土交通省は、平成15年1月建て替えに必要な合意形成の手続きを、次ぎの2つのマニュアルで具体的に定めた。

(1)マンションの建て替えか修繕かを判断するためのマニュアル
(2)マンション建て替えに向けた合意形成に関するマニュアル

マニュアルで定めた2つの節目の決議を蹂躙した東京都知事
マニュアルで定めた合意形成の手続きを推進する三つのステップの節目の二つの決議も、マニュアルで定められた決議の内容に関し、それぞれ住宅管理組合員の絶対過半数の賛成を得て採決を行うことが定められた。建て替えに向けてのマニュアルで定めた14段階の合意形成の手続きと、3つのステップの節目に行う以下の二決議の手続きで、絶対過半数を条件に事業実施の公共性の法的根拠を求めた。

第1.    事業計画作成に強制権を与え補助金交付申請条件となる「建て替え推進決議」
第2.    強制権をもって事業を実施する建て替え組合の認可条件となる「建て替え決議」

そのうえで、第2の決議、即ち、マニュアルで定めた「建て替え決議」は、平成14年建物区分所有法第62条に定める「建て替え決議」のことである。その決議は第12条の認可の基準であり、東京都知事が第9条に基づく建て替え組合認可条件とであり、建て替え事業を強制的に実施できることになった。しかし、諏訪組合にはマニュアルに適合した「建て替え決議」は存在しない。そのため、東京都知事の強制権を持って事業実施のできる第9条に基づく建て替え組合認可の認可条件となる第12条の「建て替え決議」は存在しない。よって、認可は無効である。

一方、建て替え事業が実施される多摩市では、市長が建て替え事業をマンションの居住者のためではなく、露骨に老朽マンションによる地方公共団体の税収減の問題を改善する財政問題と捉える見当違いの認識していた。多摩市長自身は建て替え事業を行うことで、固定資産税、都市計画税、住民税及び事業税の拡大を期待していると多摩市議会で市長の本音を吐露した。案の定、多摩市長は議員の顰蹙を買い、誤った市長の認識が指摘され、あわてて市長はその発言を取り消した。

マンション居住者にとっては、憲法に定める人権や財産権の問題として真剣に問題にし、実際諏訪組合では本書で問題にするような問題が発生しているにも拘らず、多摩市の問題認識はマンションの区分所有者である多摩市民の生活ではなく、日本国中で3番目に高額な公務員給与や市長報酬が指摘されている「多摩市の役職員人件費重視」の市政運営でしかなかった。

諏訪組合の建て替え事業で泣く人を生み出すことなく、円滑に展開されている状態ではない。市長の頭にある関心事は、建て替え事業による業者への利益誘導による政治献金と集票と、市長報酬と退職金と、市長職を維持するために既に全国的に最高水準にある市職員の賃金を維持向上することしかない。それを建て替え事業による経済効果という形で心情を暴露しただけである。

このような現象は、現在、国及び地方財政が厳しくなる状況を改善される方策がなく、行政は安易な解決策として土地信用膨張に依存し、土地利用の高度高密化に向け自らは何一つ工夫も努力をしてこなかった。巨額な税金を投入して実施する円滑化法による事業を公共事業と認識せず、事業によって犠牲になる人たちのことは念頭になく、専ら公共事業により企業の繁栄を図ることしか考えてはいなかった。

規制緩和のみに依存し、容積率を緩和し都市空間を無政府状態に切り崩し利用させ、潜在地価を顕在化させ、企業利益、地方税収増、住宅産業の繁栄、建て替え賛成者の不動産資産価値増、などの政策を展開してきた。そのいずれの政策も、地道な努力をせず、地価を煽ることと、国民の税金をばら撒くだけにオ政策で、「濡れ手に粟」の利益を得るための政策でしかない。建て替え事業推進の政策は、国土交通省、財務省、総務省、都道府県、市町村を巻き込んだ規制緩和と補助金を利用した政治、行政、住宅産業、政治が癒着した護送船団による代表的な政策であった。

経済優先主義の下での法律蹂躪行政
国や地方公共団体と利害が共通する諏訪組合が実施した建て替え事業では、円滑化法の立法時点に経済主義の偏重で、弱肉強食の事業になることが不安視されていた。そのため、第4条第2項第五号に記載されていた建て替えに参加できない区分所有者が、「建て替えにより追い出される恐れの高い高齢者等の経済的弱者を切り捨て」になることも危惧されていた。しかし、驚くべきことは、その不安を国土交通省が先頭を切って「円滑化法の目的である経済優先主義を容認する方向」に向け、違反事業を推進していったことである。

立法に当たり、建て替え事業が経済主義の暴走を制御するために、二つのマニュアルで具体的に定められた。このマニュアルによって経済主義の暴走は阻止できる筈であった。しかし、法律を施行する国土交通省は、自ら建て替え事業を推進させるための「経済的弱者を守る」安全装置を破壊し、経済主義の実現に向けて邁進することになった。

建て替え事業を住宅政策上国の基本方針に定めていた国土交通省は、一旦法律が制定されると2つのマニュアルを住宅局が率先して蹂躙した。つまり、担当室長は経済主義を優先させることが、不動産業界の利益代表の政治家、産業界、財務省をはじめ国土交通省の行政機関の利益になると判断し、建て替え事業を推進する政策実現の先頭に立って法律の規定を無視し、建て替え事業を推進した。担当室長は、建て替え事業の歯止めとなっているマニュアルが、建て替え事業の推進の邪魔になっていると判断し、マニュアルを、「法律内容を定めたものではなく、単なる指針であるので、厳密にその手続きに従わなくても良い」と言い、東京都及び多摩市長に対し、同じ違法な見解を提示した。

国の指導で始められた違反建て替え事業
諏訪組合の場合、マニュアルどおりに建て替え事業を進めると、どれだけ迅速に取り組んでも建て替え推進決議に持ち込むためだけで最低1年以上の検討期間が必要であった。しかし、担当室長はその年度内に建て替え推進決議を行っていなければ国庫補助金申請ができない状況にあることを承知していた。その認識をしたうえで、同一年度に補助金の交付を行えるように、マニュアルで定めた実体がない名称だけの建て替え推進決議を実施するように違法な業務推進を東京都、多摩市及び諏訪組合に教唆した。

諏訪組合での建て替え事業は、合意形成自体ができておらず、国庫補助金無しに事業を進められる条件は基本的に存在しなかった。円滑化法制定の国会での審理においても、政府委員として委員会に出席した住宅局長は、国土交通省が定めたマニュアルどおりの建て替え事業を実施した場合、優良建築物等整備事業補助金制度を適用し3分の2の補助律の国庫補助金を交付することを明らかにした。しかし、マニュアルに定めた手続きを踏んでいない事業に国庫補助金を交付するという違法な行政が同じ住宅局の行政で行われた。

国庫補助金は補助金申請条件が満足された場合にのみ交付される。しかし、住宅局は本事業の国庫補助金の申請及び交付に当たり、国庫補助金等適正化法に違反して、補助条件を蹂躙し、事業を拡大するための恣意的な判断で事業を採択し、行政が意図するように事業を採択してきた。その背後には、官僚は業界の利益代理人としての政治家と関係予算獲得の支援や官僚の求める人事要求を満足させる取引に使ってきた。

護送船団方式による財政の私物化
国土交通商が実施したことは、護送船団にとって、円滑化法はマンション建て替えを推進することで利益を上げる事業の枠組みを作ることであった。その意味では東日本大震災と共通するものがある。いずれも護送船団の構成員にとっては、新しい財政需要の創造であった。分かり易く言えば、補助金という政治家と官僚とがイニシアティブを持って使える事業に護送船団のメンバーが群がってきたと言うことで共通している。

東日本大震災後の政府の取り組みで明らかなように、1、000年に一度の大震災であったから過去の対策の延長線上で対応できないと言いながら、実際の行政は基本方針無しで各省要求を基に予算配分された。その後、各省に配分された大枠の予算に、官僚と業界と政治家とコンサルタントが群がり、国民に予算執行の内容を(国会で)国民に知らせないで行政部局に政治家が介入し、政官癒着し、政治家の政治献金と集票組織に対応して予算が配分されている。

中央官庁、議員会館、各党本部に出掛けると、政、官、業、学(御用学者)で構成される護送船団の構成メンバーが政策の実施を口実に予算分配を巡って談合を繰り返している。財政支出を背景に実施する公正な体裁を採るために、官僚が政治家や業界団体、御用学者が予算執行案を作成し、持ち込んできた国家予算の私物化する提案が政策の名の下に具体化される。国民の創意工夫やエネルギーを活用するという理屈で、護送船団内での恣意的な予算配分がやられている。

実際には公の場ではなく、護送船団の裏で予算が決っている事業に対し、あたかも新規の提案を求めないと事業ができないかの体裁をとり、広く国民全体に提案の意見や事業参加を求める。それが行政の公募するパブリックコメント(隠れ蓑)である。実際の計画や、事業を請負う者は当初から予定されているとおりに執行し、それ以外は無視され、予算配分選考からは外される。選考を担当する学識経験者も最初から芝居に組み込まれた原発推進同様の御用学識経験者である。

政策にしろ、事業にしろ、パブリックコメントに応えて実施されルガ、パブリックコメントがまともな政策に反映されることはない。全てが護送船団の構成員で決められる「でき試合(八百長)」である。官僚が中心になり、予算枠と配分条件を設定し、官僚OBが役員や経営を行う団体やコンサルタントを受け皿に、政治家と業界と御用学界に財政資金を流し、税金と国債発行で生み出した資金は国庫から消えていく。お金は使ってしまえば、その成果は問題にされない。会計検査院が問題にするのは氷山の一角に過ぎないし、それすら指摘で終わっているものがほとんどである。

このような汚い談合政治と政策立案により官僚の政策に対する責任感が低下し、官僚はタレントの出演を操る放送会社の程度の悪いディレクター並の卑しい手配師に成り下がっている。行財政が官僚の手の中で管理され、官僚機構の伏魔殿の中に隠されているため、事業内容や予算額を担当する官僚以外が知ることは不可能に近い。

官僚は国家予算枠を管理しているため、管理する予算に関し二重帳簿をつけ、公金を私物化し、外郭団体を使って財政資金(国民の税金)を官僚と政治家に機密費と政治献金として使う費用をキックバック(迂回還元)させている。要するに官僚は事務官僚、技術官僚ごとにも利権のミュニティを形成している。彼らは、それぞれごとに財政支出理由をつけ、集団・村の利益を拡大する官主導の組織をつくり人事を行い、官主導で自由に使える費用を集め、村の利益を拡大する活動をする。官僚の昇進は村の利益の貢献度のより決められる。

実は諏訪組合によって進められた円滑化法による建て替え事業も、また、護送船団による国庫補助金を山分けする事業によって進められたものである。国庫補助金は国民の税金で国民の痛みの上に実施されている事業である。しかし、国庫補助事業は官僚と政治家が自らの腹の痛まない資金を使って自らの利権を作ってきた事業である。東日本復興対策も諏訪組合の建て替え事業も財政資金が護送船団により法律を蹂躙し、利権のため私物化されていることに変わりはない。

「村の利益」と官僚の昇進
集票と政治資金集めを政治と勘違いしている国会議員は官僚を手なづけ、自由にできる予算の拡大をはかる。業界への利益誘導に見合わせて、官僚の指導による民間企業からの政治献金と選挙の集票が護送船団の中心的な活動となる。村の利益の中には、官僚OBの天下り人事、下級公務員の再就職(雨漏り人事)、予算上計上認められない機密費(官僚の活動費)を集めることである。外郭団体のうち財団法人は、経理が会員に公開されないから、官僚の使った機密費の決済の付回し(請求書の支払いと、領収書による官僚の支払い弁済)に使われる。

官僚は「村の利益」のために働くことが村の中で認められる限り、公金の不正使用や村の利益を拡大するための行政権の乱用は、むしろ、「辣腕を振う知恵者」の仕事と内部評価される。官僚の内部不正を暴く者は、村を離れてもその業界での生きることを妨害される。官僚の硬い団結は村の利益を優先し、村全体の生活向上になる仕事をした官僚が昇進する。それに不平を言う者は組織に残れない。村の利益を拡大する官僚はその成果により昇進し、スキージャンプのように昇進した官僚は天下りラージヒルで報われる。その代わり官僚は目先の私服を肥やすことは許されない。

かつて、「ノーパンしゃぶしゃぶ」のような組織的飲み食いの供応は、どの官僚社会でも基本的にあったが、官僚側から要求する場合は少なく、業界側から官僚に接近するため持ちかけられる場合の方が多い。中国共産党の幹部がやっているような私的な蓄財や、遊興は日本の官僚の中では一般的ではない。つまり、私的不正に対しては鋭敏であるが、組織的犯罪に関しては、それが村の利益になる場合、鈍感で、むしろ、村のために進んで不正に手を貸してきた。

国庫補助金不正交付の事実
諏訪組合の事業で担当室長が東京都及び多摩市長に指示したことは、国庫補助金の不正交付であった。それはマニュアルで定めた実体がなくても、名称だけの諏訪組合総会での建て替え推進決議があれば、法律の実体が備わったと見なし国庫補助金を交付する指示であった。つまり、東京都及び多摩市に対し、国庫補助金を受け入れることのできる制度要綱を作成し、本建て替え事業を進めるよう東京都と多摩市長に国庫補助金等適正化法違反の指導をした。

その指導を受け、同潤会江戸川アパート建て替え事業を担当した旭化成ホームズ㈱が、NHKで建て替え事業成果が優れた事業として採り上げられた。そこで、一挙に建て替え事業の専門業者と売り出し、諏訪組合の建て替え事業コンサルタントになった。そして、建て替え事業を専門的に指導する立場に立ち、国庫補助金の不正受給の事務手続き一切を行い、多摩市長と諏訪組合を牽引し、官民双方をマンション建て替え事業に追いこんでいった。

補助金詐取による建て替え事業
諏訪組合の建て替え推進理事が、諏訪組合の総会や理事会の議決無しに旭化成ホームズ㈱を建て替え事業を指導するコンサルタントに専任した。その後、担当室長の指導どおり諏訪組合を指導し、マニュアルを無視した総会決定を行わせた。諏訪組合理事は、国はマンション建て替えを推進するため、新たに総会において名称だけの建て替え推進決議すれば、3分の2の国庫補助率の調査費の交付が受けられる制度が新設されたと説明した。

諏訪組合総会での理事の一部から提案された唐突な動議は、「過去にない新しい調査費用に対する国の補助制度ができた」という説明であった。これまで修繕か、建て替えかを諏訪組合独自で検討するための費用は、諏訪組合自身で負担することは大変だと考えられていた矢先の補助制度の説明であった。諏訪組合の総会では、マニュアルに基づく事前調査の制度の説明は全くなく、以下のような訳の分からない説明に終始した。

(1)国がマンション建て替え推進を図っているので、新たに、建て替え促進調査に対する紐の付かない新しい補助制度が設けられた。
(2)調査費は建て替えに関係する調査ならば、何に使ってもよく、まだ建て替えに絞って検討
する住宅管理組合の意思決定がされていないので、この調査費は、修繕か、建て替えかの
検討に使っても良い。
(3)建て替え事業に進めることができなくても、国庫補助金は返還の義務はない。

もし、この制度がマニュアルを根拠にして実施したのであれば、当然、それ以前に、「建て替え推進決議」のために、組合自身が建て替えに向けての意向をまとめる調査事業が、諏訪組合自身の予算で専門のコンサルタントを入れて建て替え事業計画を作らなければならない。諏訪組合はマニュアルに基づく取り組みをする予算を計上しなければならない話は、多摩市の補助金受入れ制度が未確定の前年度の諏訪組合総会でされたことがある。

その取り組みをする議案は、建物区分所有法上の重要事項であるから、総会で議決しなければならない。そのため、総会の開催に先立ち組合員に周知させるべき議案である。しかし、諏訪組合独自でするべき調査作業の議案は、総会議案として事前に組合員に配布されてはいなかった。そのため、組合員の誰一人として総会で緊急動議として出された「建て替え推進決議」の提案がマニュアルに基づくものであるとは予想もしていなかった。緊急動議として「建て替え推進決議」を提案した諏訪組合理事者も、それがマニュアルに規定した条件を満たしていないことを承知していたため、マニュアルに基づく「建て替え推進決議」であるとは説明できなかった。

詐欺文書による国庫補助金申請
担当室長は、諏訪組合のコンサルタントに入った旭化成ホームズ㈱を使い、諏訪組合に、以上のような虚偽の説明を下に、諏訪組合総会で名称だけの「建て替え推進決議」を実施させた。その後、諏訪組合は国庫補助金申請にその決議の写を添付して、諏訪組合理事会の議決も総会の議決も行わないで国土交通大臣に対し、多摩市長および東京都知事を経由して申請した。

結果を先に説明すれば、諏訪組合の補助金交付申請条件に適合していない国庫補助申請に対し、多摩市長はそれを適正な補助申請として行い、東京都知事の腹心を得て国に提出された。国土交通省は国庫補助金を多摩市長に約束通り、ニセ「建て替え推進決議」を根拠に不正に国庫補助金を交付した。国、地方レベルの政治家への資金は、旭化成ホームズ㈱から政治資金で、原資は補助金である。

このような政・官・業が挙って望むマンション建て替え事業の推進であっても、国庫補助金不正交付という違法な行政は、国庫補助金の不正支出という犯罪である。現在住宅局長にまで昇進した担当室長は、馬鹿ではないどころか、官僚内部では能吏である。法律違反の補助金交付を単独で実施したと考えるにはあまりにも大胆すぎる。担当室長の違法行為は、不正な国庫補助金の交付処分を国土交通省が組織的に守る村の利益という暗黙裡の了解があってできたことである。

マンション建て替え事業を拡大することが住宅局、または、技術官僚の村の利益のもとで、上司の指示か、住宅局内部で組織的な了解の下での対応である。この不正が発覚した場合、担当室長の行為は、刑法上の罪は免れられない。危ない橋をわたった蛮勇とも言うべき行為であったが、それを敢えて実施した裏には、応分の見返りが暗黙裡に約束されていたはずである。

官僚による確信的な詐欺幇助事件
国庫補助金申請が不正にされた直後、その補助申請が不正になされたことを元建設省住宅局の官僚で住宅管理組合の組合員が担当室長に面会し、国庫補助金の不正交付の不正を止めるように申し入れた。それに対し室長は、面会を拒否することもできたが、行政官の先輩でもあり、担当室長には「相手が何を問題にしているか」の手の内を知っておきたい気持ちもあり、面会を受け入れた。担当室長は部下職員2名を同席させ、面会は厳しいやり取りで、2時間以上に及んだ。

その面会では担当室長としての公式発言に徹して、建前上の回答に終始して、実態には踏みこまさせず、自らの不正をまったく認めなかった。「国庫補助金申請は、多摩市、東京都及び国土交通省住宅局に審査を経由して国に申請されたもので正しく成された。行政の先輩から指摘があったから、申請を間違っているとすることも、真相の調査することもしない。」と拒否した。

それに対し、「補助金交付条件に反した申請であるので、国庫補助金等適正化法違反は明確である」と組合員が指摘したことに対し、担当室長は次のように回答した。「先輩も国にいてご存知のとおり、内部の不正に対し部外の者が摘発することは、国土交通省内部の協力がない限り不可能である。行政処分に不正があった、なかったというような神学論争はやめにしよう」。このように、国庫補助金申請及び交付が不正に行われた事実確認も拒否され、是正もされなかった。

その後、担当室長は、技術官僚の中で村の利益を拡大した評価を受け、最も順調に昇進し、住宅局市街地建築課長、住宅総合整備課長、住宅局審議官を経て、建築職技官として最高の昇進を遂げ、現在、住宅局長の職にある。その人事には担当室長の人事に影響を与えることのできた官僚、政治家、その政治家に利益を提供した業者がいる。おおよその関係は分かっていても、それを公表できる証拠を提示することは、村の組織内部の秘密を漏らす者を得ない限り不可能である。

第2部 司法上の場で争われた「諏訪組合マンション建て替え事業」の正当性

裁判長指揮に従った訴状補足説明書
平成24年9月11日東京地方裁判所の法廷で、原告が、「法治国において実体規定に違反し進められた建て替え事業は、無効にされなければならない」と訴えたことに関し、東京地方裁判所定塚誠裁判長から、「諏訪組合による円滑化法違反事業に対し、法律に定めた手続きが存在せず、東京都知事による建て替え組合認可が法律に違反していると主張するのであるならば、東京都知事のなした行政処分の法律違反の法的根拠に該当する条文を明らかにして説明せよ」と法廷で求められた質問に対する回答として、原告が陳述したときの説明書(第5章)を中心に、本行政事件訴訟全体をまとめたものである。

第1章 強制権の根拠と憲法第29条との関係

第2部では、円滑化法自体は適法であるとする前提の下で、円滑化法と憲法の関係の議論は棚上げにして、諏訪組合が円滑化法に基づいて東京都知事に認可申請自体が円滑化法に違反していること及び東京都知事が行った建て替え組合認可処分が円滑化法上誤っている証明を「建て替え決議」との関係で説明をする。まず、憲法29条により建て替え組合に強制力が付与できる法律解釈の質的変化について立法経緯をもって説明する。

円滑化法で建て替え組合に与えている強制権
円滑化法で付与される強制権の根拠を与えるものが円滑化法第4条基本方針と、その条文内容を具体的に解説した国土交通省が作成した2つのマニュアルの法律上の位置づけである。円滑化法で、建て替え組合に強制権が付与しているが、その裏付けとなっている条文が円滑化法第9条による東京都知事による建て替え組合認可である。円滑化法第12条で定める建て替え組合の認可基準の内容を実質的に規定している条文が円滑化法第4条で、その内容を具体的に事業の手続きとして定めたものがマニュアルである。

円滑化法立法当時の国土交通省は、「マニュアル自体が法律の解説である」と説明していた。しかし、法律の施行段階に入ると、円滑化法の施行担当ではなく、円滑化法関連の事業計画作成補助金、優良建築物等整備事業補助金の交付担当の国土交通省担当室長の行政指導として行われた。その指導は円滑化法の立法当時の説明と違って、手のひらを返したように、「マニュアルは単なる行政指針に過ぎないので参考にするだけでよい」と矛盾した説明を始めた。

その後、本事件関係で国土交通大臣に行政事件訴訟が提起されたとき、国土交通大臣までが担当室長が諏訪組合を指導したと同様なマニュアルの法的位置づけが、「法律ではなく、単なる指針である」として、法廷で示された。国土交通省が作成したマニュアルの法的性格が本事件の争点である。

本事件の最大の争点は、以下の2つの考え方に基づくもので、紛争当事者のというよりは、国土交通省の2枚舌のマニュアルの法律上矛盾した違反によって生み出された。即ち、諏訪組合と行政が一体となって違反を犯している。

(1)マニュアルを円滑化法第4条基本方針の解説したものとする考え方である。その考え方はマニュアルで定めた14の段階の手続きを踏み、3つのステップの節目で行う2つの決議を絶対過半数で採決することで、建て替え組合の実施する事業に公共性が付与される法律構成である。よって、第4条に円滑化法の公共性の根拠があるとする考え方である。

(2)マニュアルは単なる行政指針であって厳密に遵守する必要はないとする考え方である。この考え方は、マニュアルで定める手続きが踏まれてなくても、マニュアルに登場する名称を掲げた2つの決議が組合員の絶対過半数で決議されれば、円滑化法上の強制事業とする公共性を満足していることになるという考え方である。

国庫補助金の申請条件である「建て替え推進決議」をマニュアルに違反して行い、約5億円強の補助金を得ながら、その補助金を目的外に使った結果、その成果物としての建て替え事業計画は「建て替え決議」されなかった。そこで、補助目的どおり使わなかった国庫補助金返還義務があるにも拘わらず、諏訪組合と国、都、多摩市が不正な補助金交付に関係したため、補助金変換をさせることができないでいる。しかし、かつて不正な「建て替え推進決議」をしたことが容認されたことから、それを理由に現在27億円の国庫補助金を建て替え組合が受給している。この不正に対し、諏訪組合い及び補助金交付に関係した行政機関は、口をそろえて、「マニュアルは行政の参考であって、マニュアルには厳密に従う必要はない」と公言してきた。

建物区分所有法改正の歴史的な時代背景を反映した「三段階の経緯」
(1)    第1段階:制定時の建物の区分所有法とマンションの建て替え(憲法第29条の原則)

憲法第29条に定める私有財産権の保障は、共同住宅の建て替え事業において、区分所有者の内の一人の反対があっても、反対者の私有財産権を保護するため、建て替え事業を強制することは認めないとしている。住宅は国民の生存権と不可分の関係にあり、住宅を所有することで自らの居住者の居住の自の保障(憲法第22条)と、健康で文化的な生活を守る保障(憲法第25条)、生命財産を守る私有財産権の保障を理由とするものである。

つまり、マンションの建て替えは、この憲法第29条の規定により、現在においても基本的に住宅管理組合の組合員全員が建て替えに合意することがない限り、建て替えを希望する人が住宅管理組合のいかに多数を占めていても、反対者を強要した建て替え事業の実施はできない。その例外が円滑化法による場合である。

第2段階:昭和58年改正建物の区分所有法とマンションの建て替え(老朽条件を考慮)

昭和58年改正の建物区分所有法では、マンションの老朽化や、耐震力が著しく欠如しているマンションを安全にするためには、現実的な対応として建物の区分所有法が改正された。憲法第29条第2項の例外としては、マンション自体がそのままの状態で利用することが危険であり、かつ、緊急な対応が必要であると認められるときは、修繕、または、建て替えによる解決方法のいずれかに依らざるを得ない。この二者択一による選択をしない限り、危険な状態にあるマンションを所有する国民の私有財産権の保障できないので、その対応に公共性がみとめられる。

第3段階:平成14年円滑化法により新たに創設された公共性
緊急性を要する判断は、憲法第29条で定める公共性の認められる判断である。私有財産権を実質的に保護するための判断として、円滑化法では、組合員の5分の4(80%)以上の絶対的多数決で強制的な建て替えを決定した場合の規定を創設した。円滑化法では第4条の基本方針を実行するという文脈の中で、絶対過半数という採択が、民主的な選択の方法として新しく強制建を付与する途が創設された。

絶対過半数に公共性の根拠があるとする見解の詐術
昭和58年の建物区分所有法の改正は、緊急性の対応をすることに公共性があると判断され、憲法第29条に適合する法律改正と判断された。その際、建て替え決議を締結する手段として絶対過半数を条件にしたが、絶対多数決の条件は緊急的な決断を妨害するものとして、法律論的には不要な条件である。さらに、建て替えを決議する場合に必要とされた絶対過半数が、なぜ、修繕の場合には、絶対過半数を要しないのか。つまり、昭和58年建物区分所有法において、絶対過半数であることと公共性とは法理論上、直接何の関係もな衣。

第4段階:平成14年の円滑化法制定関連建物の区分所有法改正
平成14年の円滑化法とその関連改正された建物区分所有法では、修繕、又は、建て替え実施の緊急的条件が消滅した条件下で、専ら建て替え事業実施による私人間の意思決定で、建て替えを強行するための新制度である。それまでは、憲法29条の関係で強制権の付与は認められていなかった。同法の立法の社会背景として、以下の二つの社会経済的理由が政治に影響を与えた。

第1は、公営・公団・公社の既存マンションが国及び地方財政経営の足を引っ張る悪影響を放置できなくなりマンション建て替えを進めなければならない状況になっていた。国は財政及び地方財政上、建て替え事業を促進する方法を求めていた。円滑化法は住宅建設計画法時代の最大のストック改良の手段(住宅会計の救世主)と考えられたのである。

第2は、既存マンションの建て替えをすれば、低迷した景気を刺激し、多額の不良債権を良債権にできると判断された。そこで、小泉内閣の都市再生政策の中心の施策の一角としてマンション建て替えを位置付けた。土地利用の高層高密度化をすることで、地価の高騰などの既存マンションの潜在的なキャピタルゲインが得られることから、一般の民間の不良債権となったマンションを良債権化するために都市計画法と建築基準法の改正を含む規制緩和が同時に実施された。

既存マンションの多くは鉄筋コンクリート造又は鉄骨造で、使用年数も半世紀以下がほとんどで機能・性能的に改良することは求められていても、構造耐力的に即刻改良を迫られている訳ではない。要するに建て替え要求は、建て替えによる潜在地価を建て替えにより顕在化させ、私有財産価値を増殖させるという「経済的利益の追求」をする建て替え推進である。また、マンション建て替え事業は膨大な建設事業を生み出し、景気刺激の大きな影響を与えることができた。

一方、既存マンションのままでランニングコストの掛らない生活の維持という「生活権の保護」を、私有財産の保護を楯に守ろうとする建て替え反対との対立が先鋭化することになった。円滑化法はその矛盾を止揚するため、その方策として、建て替え事業に向けての合意形成の民主的手続き(円滑化法第4条基本方針)を条件と定め、建て替え事業に強制権を使い実施する権限を建て替え組合に認めた事業化推進制度であった。

円滑化法第4条の内容を定めた法律としての「マニュアル」
円滑化法第4条基本方針の内容として定められたマニュアルとは、事業に強制権を付与するための具体的な事業の工程での手続きを定めたものである。その要点は、建て替えの計画段階及び工事段階の3つのステップの節目でなすべき手続き(決議)を定めたことである。しかし、マニュアルで定めた手続きの根拠である円滑化法第4条基本方針を守ることが、憲法第29条でいう公共性を認めることであるとは、円滑化法以外には、何処にも(憲法でも)根拠を定めていない。

円滑化法の手続きは、組合員全体の合意形成の作業と手続きで、いずれの場合もマニュアルで定めた内容を検討し、結果として、「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」で、絶対多数決を取ればそれらの決議により公共性が生まれたとする法律構成とした。建て替え事業は、それを実施する住宅管理組合に対し、建て替え組合の認可の基準(第12条)を満足したとみなした。

諏訪組合の建て替え事業では、いずれの決議もその前提となるマニュアルで定めた検討内容が存在せず、名称としての「建て替え推進決議」や「建て替え決議」でしかない。マニュアルでは諏訪組合が建て替え事業計画を作成し、建て替え事業に絞った事業計画に踏み切ることにするかに関し、諏訪組合は、マニュアルで定めた検討資料を前提に決議をすべきもので、名称だけの「建て替え推進決議」や「建て替え決議」ではない。

諏訪組合の強制件を行使できる建て替え組合は、建て替え推進をしてきた組合役員が中心になって組織し、諏訪組合が建て替え事業者として選考した東京建物㈱とガ対して建て替え組合を結成した。諏訪組合は円滑化法第12条の建て替え組合認可の基準を満足する認可申請として東京都知事に対して行った。申請を受けて、東京都知事が建て替え組合認可の基準(12条)に適合したとして建て替え事業実施の強制権を付与した建て替え組合の設立認可(第9条)をした。

しかし、建て替え組合認可申請書は12条の認可基準に定めるマニュアルに定義された「建て替え決議」、即ち、建物区分所有法第62条に規定する「建て替え決議」は存在しない。また、建て替え事業計画には、事業で犠牲にされる建て替え事業に参加できない組合員の財産を強制的に収用したにもかかわらず、第4条第2項第五号に定めるその損失補償を計上せず、実際の損失補償すべき額の3分の1程度の供託金を積んだことで強制事業を進めている。諏訪組合による事業は第12条に違反した事業を、違反建て替え組合が公定力を背景に実行した違反事業である。

その意味で諏訪組合が行なった2つの決議はマニュアルで定めた2つの決議ではないので、円滑化法上、それぞれの決議は効力を持たない。この法律上の要件を持たない「建て替え決議」を前提に、東京都知事に提出された建て替え組合認可申請は、当然、認可条件(第12条)を満足しないので、認可申請で無効とされなければならない。

第2章 建て替え事業から排除される犠牲者に対する対応

円滑化法の施行で最も重視する内容
政府、政治家及び行政は、経済的利益を実現することが、この法律の重要な点であると考え、その利益を自分の村に誘導することにそれぞれの関心が向かっていた。しかし、法律上で定めた事業推進と同等以上に重要なことは、事業により犠牲となる者への対応である。衆参両院での円滑化法制定時の議論及び付帯決議の内容は、円滑化事業による犠牲者が生まれないようにするための議論に尽きていた。そのために驚くほど潤沢な国庫補助金が円滑化法による事業に投入できることになった。諏訪組合が実施する事業にも約32億円の国庫補助事業が投入されている。

できれば、全ての居住者が建て替え事業によって切り捨てられない事業であることが望まれている。少なくとも国会での議論は、建て替え事業に参加できない人達を切り捨てないような事業とするため、建て替えに向けての合意形成を確実に行い、全ての組合員が納得できるような事業計画を策定すると住宅局長は国会で政府委員の立場で繰り返し発言した。そして衆参両院での付帯決議は弱者保護の立場でなされた。

しかし、強制事業の性格上、必ず建て替え事業に乗れない人たちが発生する。その人たちに、少なくとも現状で居住者が享受していた生活と同等以上の生活を再現できる措置を講じなければならない。そのことが、強制事業の根拠となった第4条基本方針に明記されている。第4条第2項第五号がその内容をマニュアルで記述するように定めた根拠である。

円滑化法による事業は、一見、民間のマンション建て替え事業のような体裁を採っているが、その本質は公共事業である。巨額の国庫補助金を受けて建て替え事業計画を立案し、巨額の土地整備のための国民の血税からの補助金を受けて工事をし、強制事業をする建て替え組合の認可を行政機関から受けて実施するわけであるから、公共事業と基本的に変わるところではない。

それでも民間が所有するマンションの建て替えであるため、民間の任意事業のように勘違いされている。そのため、監督官庁においても、「民間のマンションごとに建て替えを刺激するためのわずかな補助金を出している」程度の認識しかない。実際は、強制事業として国民の権利を縛る公共事業であるとともに、総額32億円もの巨額な国庫補助金が交付されている。その額は諏訪組合の場合、1世帯あたり500万円の保持所額になる。

しかし、「強制権限の行使および国庫補助金の使途について厳密に監督しなければいけない」といった緊張感はない。間接補助事業といって諏訪組合に対して多摩市が補助金を交付する字事業に国が国庫補助金を交付する事業であるため、国、東京都、多摩市の事業に対する責任関係が曖昧で、結果的に「連帯責任は無責任」になっていた。

民間による任意の建て替え事業という間違った認識があるため、この事業により「犠牲となる人に対する対応が十分なされているか」に関し真剣に検討し、監督しようという意識が、行政機関には極めて薄い。実際の今回の諏訪組合の事件で明らかになったように、実際この事業では二人の老人が人権も財産権も不当に蹂躙されているにも拘わらず、適正な損失補償が事業予算計上されていない。そのような非常識な事業計画をもとにした建て替え組合が東京都知事により認可される。通常の公共事業で考えられていることが、本事業では全く実施されていない。

円滑化法ではこの建て替え事業に参加できない者に対して十分な損失補償をすべきことを法律条文上明記している。その中で最も中心となる損失補償を規定したのが、建て替え事業で犠牲となる人たちに補償すべき額を定めた第15条の土地の利用権と建物の区分所有権に対する時価評価(補償)額である。この条文を最も適正に解説している資料が、「公共事業に伴う損失補償基準要綱(閣議決定)」である。公共的な事業を実施することに伴い発生した損失を適正な額で補償することを定めたこの補償基準要綱こそ、本件の補償と極めて類似した補償内容であるからである。損失基準要綱を参考に円滑化法に規定する時価補償額を計算すると以下のとおりとなる。

しかし、これまで行われた建物明け渡し断行処分や所有権移転登記訴訟で次のことが明らかになった。諏訪組合が円滑化法第15条で規定していると認識している時価は、建て替え組合が一方的に決定する時価であって、公共事業の施行に伴う損失補償要綱で定めている損失補償でなくてもよいとしている。東京地方裁判所の二人の裁判官も「円滑化法第15条で規定している時価は時価補償ではなく、諏訪組合が適正と考える時価評価でよい」と諏訪組合の主張通りの考えを述べている。そして実際に供託された額は、時価補償額の3分の1程度である。

適正な補償額の補償がなされない限り、犠牲者の損失は補償されたことにはならない。つまり、供託額が適正でなければ供託自体には効果は発生させることは正当ではない。供託をされた側の区分所有者の主張に対し、裁判長は「供託金がなされたことで事業者の責任は果たされたというべきで、額の大小は供託の成否を決めるものではない。」と最高裁判所の判例を説明した。供託は基本的に商取引と同じで、当事者間の公正な関係の中で決められなければ、自由主義社会での取引である。よって市場取引価格であるという当事者間の合意のできる供託価格でない限り、適正取引ではない。時価はその取引価格を反映した時価補償にしなければならない。

円滑化法で定める時価補償とその38.8%の供託金
円滑化法第15条では、諏訪組合の事業を実施する場合には、建て替えに応じることができない者に対しては、区分所有者が保有する土地の利用権、建物の区分所有権に対する時価補償金及びそれらに関連する損失に対する補償金を諏訪組合は支払わなければならない。この場合、補償の対象としての補償額の評価は、基本的に建て替えに参加できない組合員が、現在居住している生活をその地で再現することが出来るような額の損失補償をせよということである。

土地の利用権とは、現在マンションの存在する土地の価値である。既存の中層マンションは、小規模の狭い面積で、家賃の低い状況である。そのため、居住者の支払い能力に縛られ地代は抑えられ地価は潜在化させられていた。地価は建て替えを前提にして都市計画法による建蔽率及び容積率が改正され、潜在地価が顕在化することになるので土地利用権の評価は、近隣地並に更地価格としての評価となる。この住宅敷地がまとまって利用しやすく法廷容積率一杯の開発ができるため、その標準価格は、145,000円/㎡である。それに敷地総面積64,400㎡を乗じ、全640世帯で除すと、1戸当たりの土地利用権の価格は、1,459万円となる。

建物の区分所有権は、1戸当たり46.27㎡であるので、それを現時点で建築するとなると、既存マンションには修繕積立金が適正に積まれているので、20万円/㎡程度で再建築できると推測すると、建物の区分所有権の価値は、925万円となる。また、この事業を進めるとした場合、建て替えに応じる人にあっては、このマンションを建設廃棄物として処分するわけであるから、取り壊すマンションの価値は925万円ではなく、建設廃棄物の処分代というマイナス86万円となるが、この土地に生活しようとして強制的に追い出される人の場合は、これまでの土地と同じ土地利用ができる土地に、現在と同じ品質のマンションを建設する費用が必要になる。

さらに、建て替えに応じることのできない人に対しては、強制的にマンションを追い出されるため、家財道具や住宅設備のすべてを継続使用できなくなる。また、自分の希望する住宅を探すまでの仮住宅家賃補償を考えると、東京建物㈱が建て替え業者選考競技(コンペ)のとき提案した1戸当たり500万円の移転補償費は建て替え事業者が適正と考える額である。
すると、公共事業に伴う損失補償基準要綱を準用し補償額評価すると建て替え応じられない人に対しては、1、459万円+925万円+500万円=2、884万円を時価補償額として支払うことが適正である。しかし、諏訪組合及び東京建物㈱が建て替えできない人に供託した供託金は僅か1,117万円で、正当な補償額の38.7%強、にしかなっていなかった。

この事実は第9条の建て替え組合認可の規定に適合せず、さらに、憲法第29条第3項及び、円滑化法第15条に定める時価補償をしていない事業であるので、憲法及び円滑化法に違反していることになる。つまり、建て替え組合認可申請は、認可基準(第12条)に適合していないだけではなく憲法及び円滑化法に違反しているから、建て替え組合として認可することはできない。

それにも拘らず、諏訪組合の主張は、建物区分所有法では建て替え決議という名称しか縛っておらず、建て替え決議はマニュアルに定める実体がなくてもよいとされた。さらに、建て替え反対者が存在しても、組合員の絶対多数の建て替え賛成者があれば強制権を行使できるとされた。そして、第4条基本方針は、マニュアルで定めた諏訪組合における建て替え事業の合意形成の実施手続きを参考にすることで足り、厳密にマニュアルどおり履行しなくてもよいと主張している。

諏訪組合の時価
諏訪組合が建て替え事業に反対している二人の組合員に供託した時価をもとにした供託額1,117万円は、以下のようにして計算したものである。既存のマンションを取り壊した後の更地価格98億7千万円円からその土地を都市計画で定められた容積率いっぱいに利用できるにもかかわらず、東京建物㈱を建て替え事業者競技(コンペ)の際、圧倒的多数で組合員に選考させるための提供条件として「1世帯当たり500万円の移転補償費」を提案したとき、土地評価のため用いた格差補正率78%を乗じた額72億8千万円を算出した。その後、その土地から区分所有権の対象となっているマンションが取り壊しの対象となり、区分所有権の価値はゼロで、粗大建設廃棄物の取り壊し及ぶ廃棄物処分代として、価格5億5千万円を差引いた71億5千万円を全世帯640世帯で除した額1,117万円として算出された。

建て替えに参加した人はその土地の利用権として、格差補正率という合理性のない理屈で土地の資産価値を22%低く見積もられたことは不当であるが、区分所有のマンション及びその付帯施設等は、建て替えのため建設廃棄物というマイナス評価されても仕方がない。建て替えに参加した人は、潜在していた高地価が顕在化する利益の分配に預かるという建て替え後のマンションの価値増加にかけて、それまでの自己所有マンションを建設廃棄物にすることに同意したわけである。よって、区分所有権の価値は建設廃棄物取り壊し代、1戸当たりマイナス86万円と評価されても仕方がない。これは一般の自宅建て替えの場合と同じである。

しかし、建て替えをする人達の犠牲になってこの土地から転出を余儀なくされる人は、これまで住んできた土地と等価の土地を選んで、これまで住んでいたと同様の効用を発揮する住宅を取得できなくてはならない。その場合はこれまで住んでいたマンションと同じ程度の品質のマンションをその土地で再現した場合の推定再建築費として計算されるものでなければならない。その中には建築物だけではなく付帯設備や家財道具のほとんどを新しく購入しなければならないと考えられる費用として計算される。そこで補償されなければならない区分所有物の価格は建て替えに参加する人の権利変換額(マイナス86万円)と建て替えに参加しない人の区分所有権の価格(+926万円)とは違うことになる。

第3章 国土交通省が定めた二つのマニュアル

本行政事件訴訟において法律上の見解が、本建て替え事業が法律違反であると主張する建て替え反対組合員と、本建て替え事業が適法であるとする東京都知事の対立の原因は、マニュアルの法的地位である。即ち、国土交通大臣が円滑化法制定に合わせて円滑化法第4条第1項に基づき作成した二つのマニュアルが、厳密に遵守しなければならない法律であるか、それとも単なる行政上参考にするだけの拘束力のない行政上の手引きであるという理解の相違である。この章では国土交通省が定めたマニュアルは、判例や英米法における慣習法と同様な性格を持つ法律である扱われるべきである理由を説明する。

円滑化法第4条とマニュアルの関係
国土交通省は円滑化法第4条基本方針の内容として二つのマニュアルを定めた。この内容こそ、同法が建て替え組合に強制権を付与することができる法律上の根拠である。第4条で定める基本方針に関しては、国会で最も厳しい議論がされ、衆参両院でその厳密な施行に関し付帯決議が付けられた。法律構成上マニュアルは法律の条文の下位にある命令ではなく法律そのものの内容を実施すべき具体的な手続きとして国土交通省が解説したものである。

そのため、第4条は法律の内容を、同条に基づくマニュアルを定める法形式(命令)の構成の法文とはせず、同様に、マニュアルにもその記述内容が、第4条で授権された命令ではないのでマニュアルには第4条との関係(法律に基づく命令の関係)は規定されていない。マニュアルは法律そのものの内容を解説した判例や、英米法における慣習法に相当するものであるという解説が立法当時の国土交通省の説明(内閣法制局の理解)であった。マニュアルで定めている内容は、建て替え事業の推進に合わせて2段階の組合員の合意形成の手続きを踏むことを定めた以下の2つの決議である。

第1「建て替え推進決議」は、諏訪組合を構成する区分所有者全員でなくても、円滑化法に定める規定通りの手続きを経て、修繕か、建て替えかの検討を実施して作成した建て替え計画に関し建て替えに絞って作業を取組むことを組合員の絶対過半数以上で合意し、諏訪組合が組合員全員を強制して建て替え事業計画の作成をする組合員の合意である。その場合には、組合員全員に参加を義務付け、建て替え事業計画の作成に踏み切ることになる。この決議が優良建築物等整備事業補助金の申請条件である。

第2「建て替え決議」は、諏訪組合はマニュアルで定めた組合員の要求を反映し、建て替え事業計画を作成し、建て替え事業に進んでよいとする合意形成(建物区分所有法第62条の「建て替え決議」)を、組合員の絶対的過半数で合意形成する。「建て替え決議」の下に、東京都知事から建て替え組合の認可を受ける。認可を受けた建て替え組合が、建て替え事業を反対者に対しても強制的に実施することができる。この決議が強制権を有する建て替え事業を実施する建て替え組合の認可申請をする条件である。

以上のように考えると、円滑化法では建て替え決議の法律上の定義・内容を第4条基本方針の内容を説明したマニュアルで具体的に定めたことになり、同法の関連改正としてなされた建物区分所有法における「建て替え決議」の用語の定義は、第4条基本方針で定めた内容を説明したマニュアルで定めた「建て替え決議」でなければならず、その手続きが建物区分所有法に定められている。

よって、この手続きを経て東京都知事により認可された建て替え組合の行う事業に関し、円滑化法による強制権が行使されても、国会では私有財産権の侵害にはならないと法律上の判断をした。諏訪組合で行われた「建て替え決議」は、マニュアルで定めた内容の「建て替え決議」とは全く別の、円滑化法とは無関係は昭和58年建物区分所有法による「建て替え決議」であり、すでに失効した法律の名称だけのもので、建て替えに向けての合意形成の内容が伴わないものである。

2つのマニュアルと諏訪組合の対応
円滑化法第4条で定めた基本方針の内容とは、建て替えに関する組合員の合意形成の方法として、マニュアルでは14段階にわたり3つのステップの次の2つの節目で決議し、段階を追って組合員の合意を具体的な事業として積み上げていく手順として定めたものである。マニュアルは法律の内容であり、その後、担当室長が違法な教唆をした「マニュアルは、拘束力を持たない単なる行政上の指針である。」というようなものではない。

「建て替え推進決議」で強制する内容強制的に
マニュアルで定めている第1と第2のステップの節目には第一の決議をすることになっている。その決議は、修繕か、建て替えかの選択をするために定めた調査検討を行い、いずれかに絞って事業をするという意思決定をするものである。円滑化法は適正な施行を確保するために、全ての建て替えに取り組む組合に、建て替え事業を進められる専門のコンサルタントの指導を受け、組合員の状況に対応して経済的、社会的に遺漏のないような調査分析をすることを定めている。

そのための調査研究と、事業計画段階に進むために必要な資料作成は、組合自身の費用で行うことを定め、諏訪組合が単なる金儲けになる事業を防止していた。マニュアルで定められた採決で組合員の絶対過半数以上の賛成が得られた決議を「建て替え推進決議」と呼ぶ。その決議以後は、諏訪組合は組合員全員を強制的に拘束し、建て替えに絞って事業計画の検討を進め、建て替え事業計画作成をすることになる。

しかし、担当室長が「このマニュアルで定めたことに厳密には従わなくてもよい」と東京都、多摩市及び諏訪組合に言い、国庫補助金を詐取するニセ「建て替え推進決議」でよいとしたため、諏訪組合での建て替え事業にはマニュアルに定めた組合員の身銭を切った建て替え事業検討作業をもとにした「建て替え推進決議」は存在しない。諏訪組合に「建て替え推進決議」は国庫補助金を詐取するための手段として、担当室長の指示で作成したものである。

「建て替え推進決議」と「建て替え決議」
国土交通省担当室長は、諏訪組合が取り組む建て替え事業計画に対してマニュアルの規定に違反して優良建築物等整備事業補助金制度を使い、事業計画作成費に3分の2の国庫補助金を交付する国庫補助制度を対応させた東京都と多摩市の補助金の受け皿制度を整備させた。

マニュアルで定めた「建て替え推進決議」が国庫補助金の申請条件であったので、東京都及び多摩市の補助金受け入れ制度の整備に併せ、諏訪組合は担当室長の教示どおり、マニュアルで定めた実体のない「建て替え推進決議」を諏訪組合総会で決議させ、補助金申請を行わせた。担当室長の国庫補助金等適正化法違反幇助を得て、諏訪組合は国庫補助金を詐取した。

担当室長はマニュアルが単なる行政指針であるので、マニュアルに忠実に従わなくてもよいと言い、「建て替え推進決議」という名称を付けた決議であれば、マニュアルに定めた「建て替え推進決議」とみなし、それを根拠に国庫補助金を国庫補助金等適正化法違反で交付することを約束した。担当室長は優良建築物等整備事業補助金の責任者で円滑化法の所管ではなく、法律知識が貧しかったか、または、極めて豊かで狡猾であり、補助金を交付する立場にあったため、補助金交付の権力を濫用して、円滑化法の施行に影響を与えていた。

諏訪組合は予め建て替え事業者と内定していた旭化成ホームズ㈱に対し、違法に詐取した補助金で建て替え反対者の切り崩しと、マニュアルで定めた建て替え決議で絶対過半数を得られる建て替え事業計画を作成するよう命じた。諏訪組合は国庫補助金姿勢で使った「建て替え推進決議」が違法であっても、「建て替え決議」がマニュアルで定められたとおりできれば、その段階でそれまで「公定力」で維持されてきた違法行為は、全て阻却(正当化)されると考えていた。

諏訪組合は「建て替え推進決議」に基づいて、諏訪組合員全員を建て替え事業計画作成に向け諏訪組合の作業を拘束し、建て替え事業計画作成に向かうことができる。その際の建て替え事業計画は、マニュアルに定めた建て替え事業に関する区分所有者の権利義務及び建て替えに関する要求を調査・検討を進め、その成果をもとに事業計画を作成するものでなければならなかった。

事業計画が作成されると第2ステップは完了し、第3ステップの建て替え事業に向かうことになる。その節目にあって、その事業計画通りの建て替え事業を実施することを「建て替え決議」として決定することになる。「建て替え決議」に当たり、諏訪組合はマニュアルで定めた組合員の合意形成された内容をもとにした建て替え事業計画に関し、組合員全員を拘束して踏み出す決議を行うことになっていた。

国庫補助金をマンション建て替え事業に交付する理由
「建て替え決議」の前提となる第2ステップで実施する建て替え事業計画の策定に関し、円滑化法制定時の国会における衆参両院の国土交通委員会の審議において、政府委員(国土交通省三沢住宅局長)は、次のような趣旨で建て替え事業計画についての考え方を説明した。

建て替え組合による強制権を行使する建て替え事業は、中途で頓挫することが許されないので、建て替え事業の内容は、組合員全員の意向を十分反映した建て替え事業計画として正確に立案する必要がある。即ち、建て替え事業計画は、「建て替え決議」の採択の前提となる憲法第29条に定める私有財産権の保障を左右する強制権を裏付ける重要な基礎であるから、十分、区分所有者である住宅管理組合員の要求を反映させ納得のゆくものとして作成しなければならない。

よって、国は、建て替え事業計画の作成に関し、優良建築物等整備事業補助金制度を使い、国庫補助金を国、都道府県、市町村で3分の2の国庫補助率で交付し、負担し、住宅管理組合は3分の1の負担で実施できるよう、円滑化法による強制建て替え事業の施行上遺漏のないような措置をすることにした。円滑化法による建て替え事業は民間が所有するマンションの建て替え事業ではあるが、民間の任意事業ではなく本質は、国民の血税を使って行う国庫補助事業なのである。

建物区分所有法で定める「建て替え決議」
建て替え事業計画の採択に関し、円滑化法の強制事業要件の「建て替え決議」はマニュアルで定義され、5分の4(80%)以上の絶対過半数の賛成を得た場合、それを「建て替え決議」と呼びその決議を根拠に、建て替え組合は組合員全員を建て替え事業に強制することができると定めた。円滑化法の制定に伴う関連改正された平成14年建物区分所有法第62条の「建て替え決議」の内容とされた。

円滑化法の制定時に関連改正された平成14年建物区分所有法第62条の「建て替え決議」は、マニュアルで規定されている「建て替え決議」で、円滑化法自体で付与した第4条基本方針を根拠とする強制権であるから、憲法第29条に相当する円滑化法上の最も重要な用語の定義である。当然、建物の区分所有法第62条第1項でいう「建て替え決議」は、マニュアルで定義された「建て替え決議」でなければならない。

建物区分所有法第62条第2項は、マニュアルでいう「建て替え決議」のベースとなる建て替え組合の建て替え事業計画を指している。しかし、諏訪組合の本事業では、マニュアルに定められた実体のある「建て替え決議」が存在しない。当然強制力のある事業計画も存在しない。それでいて、諏訪組合は建物区分所有法第62条に定める「建て替え決議」を行ったと主張した。

建物区分所有法で規定する「建て替え決議」は、円滑化法制定に伴う関連改正で「建て替え決議」の用語の定義自体が変更されていた。諏訪組合は、その事実を知っていて、建物区分所有法で記載された「建て替え決議」は文言として変更されていないことを悪用し、平成14年建物区分所有法に規定されている「建て替え決議」と称してマニュアルに定めた「建て替え決議」とは相違する内容の決議を行った。

その疑問に対し、諏訪組合は、マニュアルは単なる指針に過ぎず、厳密に縛られる必要はなく、かつ、マニュアルで定める「建て替え決議」と建物区分所有法でいう「建て替え決議」は「同じである必要はない」と担当室長の指導どおり公言した。円滑化法及び建物区分所有法を施行する立場にある多摩市長及び東京都知事は、諏訪組合の違法な説明を諏訪組合の言いなりに追認した。

国土交通省設置法では円滑化法の施行責任は市街地建築課長であり、円滑化法の施行権限を有しない当該室長に行政上円滑化法の解釈を指導する権限はない。担当室長は優良建築物等整備事業補助金を交付する担当室長に過ぎず、円滑化法の施行に関する職権は有していない。円滑化法の施行権限のない立場の担当室長が権限外の法律判断をした行政指導は間違いである。

国土交通省は誤った指導を住宅局または国土交通省自体が組織的にさせていたとも考えられないことはない。その傍証となる事実が、これまで諏訪組合の法律違反が国土交通大臣に対する行政不服審査請求や国土交通大臣を被告とする行政事件訴訟として提訴された。その審査請求や行政事件訴訟において、マニュアルを行政指針とする主張が国土交通大臣の主張としてなされた。そして、担当室長のおこなった円滑化違反及び国庫補助金等適正化法違反の疑いが、これらの事件で再三提起されていた時期に、国土交通大臣は、担当室長を住宅局長にまで昇進させた。

参考:建物の区分所有法(関連条文)
(建替え決議)

第62条  集会においては、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建て替え決議」という。)をすることができる。
2  建て替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一  新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二  建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三  前号に規定する費用の分担に関する事項
四  再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

(4)マニュアルを、行政上の指針と間違った理解をした行政
本事件に関する訴訟において、諏訪組合代理人弁護士は担当室長の恣意的な法解釈を法廷で主張してきた。その主張とは、マニュアルを単なる行政指針であると説明し、マニュアルにはそれを厳密に守らせる法的拘束力はないとし、その上で、建物区分所有法第62条第1項で規定している「建て替え決議」が、絶対過半数5分の4(80%)以上の賛成で存在することで、同法で定める「強制権を行使できる建て替え組合の認可要件」を満足していると主張した。

その主張を東京都知事が容認し、建て替え組合の認可を行った。しかし、円滑化法自体で建て替え組合に付与している強制権はマニュアルで定める「建て替え決議」である。円滑化法の改正で建物区分所有法第62条の「建て替え決議」の内容はマニュアルで定めた「建て替え決議」の内容に変更されている。だから、円滑化法による強制事業をする場合の「建て替え決議」はマニュアルで定めたとおりの「建て替え決議」として実施したものでなければならない。

諏訪組合が主張する建物区分所有法は、昭和58年建物区分所有法であって、平成14年の円滑化法の制定による全面的に改正されたものではない。昭和58年区分所有法の強制権の付与は、マンション自体が老朽化または耐震構造が危険で猶予が置けないため、緊急に修繕または建て替えをすること自体に公共性があり、憲法第29条で定める公共性を根拠にするもので、決議の手続きを建物区分所有法に定めたものである。円滑化法による強制権は、円滑化法独自で付与したものである。

憲法第29条では私人間の権利を拘束できる権限を絶対多数決で決めることを認めていない。円滑化法による強制権の根拠は、「昭和58年建物区分所有法における緊急性に対応する憲法第29条で規定する公共性」を根拠とするものではなく、第4条を根拠にするものである。よって、平成14年円滑化制定以後の建物区分所有法における建て替え決議は、円滑化法第4条を解説したマニュアルで定める建て替え決議の内容を具備するものでなければならない。

行政法の知識及び能力の貧弱な裁判官の示す司法判断
本事件に関係したマンションの所有権移転登記に関する民事訴訟及び建物明け渡し断行仮処分を求めた民事保全法による東京地方裁判所立川支部の2判事は、諏訪組合の違法な主張どおり、「諏訪組合の法手続きは、はマニュアルには縛られないでもよい。」と判決した。その理由は、裁判長には円滑化法と建物区分所有法の関係が全く理解されていなかったことと、係争中に東京都知事による建て替え組合認可の無効取消しを求めた国土交通大臣に成された行政不服審査請求に却下の処分がなされたことである。

裁判官は行政法に関する知識は貧しく、自ら法律の文理を理解せず、被告の答弁で明らかにした円滑化法と建物区分所有法の関連改正で建て替え決議の内容自体が変更された円滑化法の経緯を説明した陳述内容を無視し、原告弁護士の主張する行政処分追認の判決を出した。行政事件訴訟は原告と被告の主張を並列して記述し、裁判所の見解は被告と同じであるという判決は、原告に対して全く説明責任を果たしていないものである。

つまり、諏訪組合は国土交通省の円滑化法施行担当ではなく、補助金交付担当室長の違法な教唆どおり、マニュアルで定めた手続きの実体がない「名称だけの建て替え推進決議や建て替え決議」が存在しなくても、その名称のみの詐欺決議が、諏訪組合総会において絶対多数決で決定したものは法律で規定した「建て替え推進決議」や「建て替え決議」とみなすと主張し円滑化法上の手続きを進めてきた。東京都知事及び多摩市長が国の方針に従った背景には、司法はそれに違法性があると指摘されても、行政法の知識が欠如し、法律判断に自信がなく手が出せなかった。

第4章 法律違反の行政手続き

「建て替え決議」の総会決定における建物区分所有法第31条違反
諏訪組合は、旭化成ホームズ㈱がまとめて建て替え事業計画に関し、組合員の意向をアンケート調査した結果、30%程度の反対があったことで、事業を断念しなければならないところに追い詰められた。その苦い経験から、東京建物㈱による建て替え事業を何が何でも実現するため、区分所有法第62条による「建て替え決議」を実施するに先立って、なりふり構わず決議を成立させる組合総会での「建て替え議決」方法に関する規約の基づく事務処理要領の改正を行った。

諏訪組合の要領改正の目的は、80%以上の決議とするためであった。640世帯のうち3分の2以上は総会に出席しないというこれまでの状況を悪用して、諏訪組合は、建て替え決議に関する投票を総会前日までに理事会に送付させた。そうすれば、理事会で組合員の投票に記載の誤りがないかを事前に確認する口実で、事前に投票内容に手を加える方法が使えるからであった。

総会で円滑に議事が進行するようにするため、諏訪組合理事会は総会の投票に関する規約の要領の改正を理事会のみで行った。組合員各戸に改正要領を配布せず、それを全住棟の掲示板に掲示しただけであった。その要領改正は、本来規約事項とされるべきもので、総会の4分の3の賛成によって決められたものではない。よって、建物区分所有法第31条に違反するものである。

諏訪組合総会の裁決では92%以上が、マニュアルで定められた建て替え事業の内容が存在しないで、単に組合員の建て替えに対する意思表示としての「建て替え決議」に賛成したことになっている。しかし、組合員の議決に関する意思表示は、総会日以前にすべてコンサルタントの手で開封され、記載誤りは修正されて決議がなされたと総会で報告された。その開票にはこれまでの不正を支援してきた弁護士が開票に立ち会ったが、事前に理事の指示によりコンサルタントにより投票内容が開封され修正された事実は、そこで諏訪組合の総会決議に不正が行われた可能性を示唆するものである。

要領の改正手続きに関し、建て替え反対の組合員が事後に東京都及び国土交通省に出向き、総会投票前に掲示された要領の改正は建物区分所有法に違反するものではないかを担当者に問うたところ、いずれの担当者もそのような規約を改正自体法律上考えられないとしたうえで、改正の手続きとして第31条に違反した改正規約は無効であるとする意向が示された。しかし、それはあくまでも、「成された手続きが、原告からの説明どおりであればという場合のことで、諏訪組合の決議の裁決が無効であることは事情を正確に調べない限り断定できない」とのことであった。

その件に関し、組合員が組合理事に要領改正が組合規則に抵触するものではないかと糾したところ、改正は単なる規約の要領であって、総会議決するようなことではないと回答した。しかし、建て替え決議という組合員にとって最重要事項の決定が、建て替え賛成理事が事前に記載の誤りを修正する規約改正内容自体が、開票前に議決内容を操作することを可能にし、かつ、事実、どのような修正が行われたかは説明されなかったが、修正がなされたということは、民主主義からは逸脱するもので、裁決自体無効とされるべきものである。

参考:建物区分所有法
(規約の設定、変更及び廃止

第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない
円滑化法に違反した「建て替え決議」を正当化させた諏訪組合の組み立てた詐術

本事件で諏訪組合は、国庫補助金の申請段階から国庫補助申請条件である「建て替え推進決議」を詐欺により行い、不正に補助申請し補助金を詐取した。補助金は補助目的に違反し建て替え反対者の切り崩しや、旭化成ホームズ㈱の利益本位の事業計画作成に不正に利用されたため、作成された事業計画では「建て替え決議」ができなかった。補助金の目的外使用を指摘されないよう、補助事業は存在しなかったかのように補助金を使って作成された事業計画は「闇」に葬られた。

諏訪組合はその事業計画を使わないで、円滑化法により強制権を持った建て替え組合の設立認可を東京都知事から得るための方法を模索することになった。しかし、諏訪組合が強制権を持った建て替え組合の設立認可を東京都知事から得るためには、「建て替え決議」が不可欠であった。そこで「建て替え決議」が条件にしているのは平成14年円滑化法で定められた「建て替え決議」である。諏訪組合は円滑化法どおりの「建て替え決議」を実施したかのように装い、東京都知事に不正な建て替え組合認可申請を行った。

この不正な建て替え組合認可申請に対して、建て替え反対組合員から東京都知事に対して異議申し立てが提出された。それは、諏訪組合が行なった建て替え組合認可申請の条件である「建て替え決議」は、円滑化法制定時に関連改正された建物区分所有法の「建て替え決議」の内容であるマニュアルに定義された「建て替え決議」ではない。よって、東京都知事は建て替え組合を認可してはいけないという指摘であった。建て替え反対者からに異議申し立てを受け、東京都知事が諏訪組合に求めた質問に対し、諏訪組合が東京都知事にした説明は以下のとおりである。

諏訪組合は「マニュアルは単なる行政指針であるから、法的に義務付けられるものではない。」といい、また、建物区分所有法第62条の「建て替え決議」は、昭和58年法と平成14年法と同じ文言の「建て替え決議」であるから、昭和58年法と同じ決議をしたものは平成14年法の「建て替え決議」と同じものである。よって、諏訪組合の建て替え組合認可申請は円滑化法第12条の認可条件に適合しており、第9条の東京都知事の認可が受けられると主張した。諏訪組合の説明は、一貫して国土交通省の担当室長の違法な法解釈を説明したものである。東京都知事は全面的にその解説を受け入れ、建て替え反対者の異議申し立てを全て根拠のない異議申し立てであるとして却下してしまった。

欺瞞で違法を追認させた判決の公定力で、明け渡し代執行を実施
諏訪組合は、マニュアルは法律ではなく、建て替えを実施するうえで参考にするだけの指針でしかないから、総会での「建て替え推進決議」、又は、「建て替え決議」はマニュアルを厳密に守っていなくても、絶対過半数で採択した決議は合法であると主張した。東京都知事及び多摩市長は、建物区分所有法を根拠にした「建て替え決議」が、マニュアルに規定した「建て替え決議」に違反したものであることを容認し、違法に建て替え組合の認可を行った。

つまり、マニュアル通りの手続きを経なくても、決議の名称が同じであれば、決議の内容はマニュアルで定めたものと同一のものであると欺瞞した諏訪組合の不正を、国土交通省、東京都知事及び多摩市長は、諏訪組合の言いなりに容認し正当化してきた。そして、諏訪組合は違法な処分を根拠に公定力の行使し、建て替えに反対する組合員二人に対し、民事訴訟法による不動産登記法による所有権移転訴訟及び民事保全法に基づく建物明け渡し断行仮処分を提訴した。

この提訴に対し、建て替え反対の組合員はマニュアルが法律自体の内容であると説明し、東京都知事の建て替え組合認可自体、円滑化法違反であることを説明し、マニュアルを蹂躪する諏訪組合の主張を法律違反であると法廷で陳述した。それにもかかわらず、二つの民事訴訟及び民事保全の2民事事件裁判で、の裁判官は、東京地方裁判所立川支部の裁判では、裁判長は被告の答弁を全く聞かず、諏訪組合代理人弁護士が主張した「マニュアルは指針に過ぎず、拘束力をもたない」違法な解釈を容認した判決、又は、決定を行った。

この裁判において裁判長は和解を示唆し、再三被告に代理人弁護士を雇うよう指示した。被告には弁護士を代理人として雇う費用がなかったが、裁判長が判決に自信が持てず和解の途を模索した。本当の理由は、裁判長が被告を蚊帳の外において和解に持ち込もうとしたことが分った。それで、不当な和解を避けるため、法律に照らして正しい判決を求めることにした。しかし、その判決は、円滑化法に違反するものであった。それは、裁判官自体の資質能力がその裁判にたえるレベルには達していなかったためである。

マニュアルのもつ法規制力を否定し自縄自縛に陥った国土交通省
マニュアルは法律の解説であるから、法律としてマニュアルで規定した「建て替え推進決議」を国庫補助金の申請条件にできる。また、マニュアルで定義した「建て替え決議」が、建物区分所有法第62条第1項で定める「建て替え決議」の内容である。諏訪組合の弁護士が「担当室長の騙しの法律解説」として、「マニュアルは法的拘束力を持たない指針」と言う説明は、完全に間違っている。ここで言うマニュアルは円滑化法で国土交通省が作成したマニュアルを指し、行政事務として作成される指針のマニュアルと異質のものである。

マニュアルが法律でなければ、マニュアルを根拠に国庫補助金の交付や法律内容を拘束することはできない。この事件で明らかになったことは、裁判官の行政法に対する知識の貧弱さである。円滑化法と関連改正された建物区分所有法が同時施行されながら、そこで使われている「建て替え決議」の用語が相違するという法治国として信じられない「言葉の遊び」を司法までが迎合してあそんでいることになる。

第62条第2項が「建て替え決議」の前提は、優良建築物等整備事業補助金制度による国庫補助金を受けて区分所有者の合意形成を前提にして作成された建て替え事業計画を指す。このように、マニュアルは法律そのものであるから、マニュアルに適合しない実体のない名称だけの「建て替え推進決議」や、名称だけの「建て替え決議」が、法的な強制事業を実施できる建て替え組合の認可条件の効力を持つ「建て替え推進決議」や「建て替え決議」に置き換えられるものではない。

国庫補助金約5億円を受けて作成した建て替え事業計画の成果が、組合員の30%程度の反対で、「建て替え決議」に持ち込めなかった。そのことは制度上では、円滑化法では第4条で定めた合意形成が実現できなかったわけれあるから、この建て替え事業は廃止されなければならない。それにも拘わらず、諏訪組合は合意形成に失敗した事業計画を闇に葬り、名称だけの建て替え決議で足りるとし、国土交通省、東京都、多摩市がそれを容認し、司法がそれを違法に追認した。

第4条基本方針(マニュアル)に違反する強制権事業
マニュアルの中で定めている「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」のいずれも、建て替え事業を実施するに当たり、建て替え組合に強制権を実施させてもよいとする組合員の合意形成の結果として決議されたものである。そのため、マニュアルの定める実体を有するものであれば、円滑化法上、憲法第29条の私有財産権の保障に矛盾しない民主的な手続きとみなされる。

名称だけの「建て替え推進決議」や名称だけの「建て替え決議」には、その決議が組合総会において絶対多数決で可決しても、それはマニュアルに違反したものであり、円滑化法及び建物区分所有法には無関係の決議でしかない。マニュアルは、建て替え組合に強制権を付与するために諏訪組合が踏むべき組合員の合意形成の法律上の手続きを定めたものと法律と同じ位置付けをして、円滑化法が制定されたものである。

よって、いずれの決議、即ち、「建て替え推進決議」も「建て替え決議」も、マニュアルでは、名称のみの意思表示の決議を指してはおらず、言い換えれば、建物区分所有法第62条第1項の建て替え決議でも、組合員の実現しようとする具体的な計画または事業の合意に対し、合意を目指すことを規定したものでなければならない。建物区分所有法で求めている「建て替え決議」は、建て替え工事に踏み切ってもよいことの組合の意思決定をするマニュアルに定めた「建て替え決議」のことで、名称だけの「建て替え決議」でよいとは、法律上どこにも記載されていない。

行政に隷属する「商売として機能している」司法と法曹界
行政の違法を争った本行政事件訴訟で、司法までもが諏訪組合代理人弁護士の違法な法律解説を受け入れた。本事件と関連する行政の法律蹂躪を司法の場で、諏訪組合によるマニュアル違反を争ったが、東京地方裁判所立川支部の裁判長は、初めから諏訪組合代理人弁護士の言いなりになり、全面的に法律違反の説明を追認した判決を下した。これらの事実は担当裁判官には行政法の知識が欠如し、行政法関連改正がわからず、行政処分に追従するとともに、行政法の素人同然の弁護士の言いなりの行政法解説に迎合する程度の行政法知識しかないと言うことである。

これらの一連の訴訟でわかったことは、裁判官が被告弁護士を法律の専門家であると言い、裁判官は弁護士という法律の専門家の意見は尊重するが、原告は弁護士ではないので、その意見は尊重しないという態度をとり続けた。ある法廷で原告が円滑化法の法理に関し詳しく説明したところ、裁判長が「原告は法律に詳しいようですが、どうしてそのように詳しいのですか」と聞かれたことがある。またあるときは、「あなたは法律についての知識はおありのようですが、法律の専門家ではないので、弁護士を入れるべきです。」と言われたこともある。

これに類した場面は裁判の法廷でも、検察官とも何度も審理のやり取りの中で経験したが、裁判官、検察官および弁護士は、単に司法官試験に合格したというだけで、行政法の知識はもとより、立法の経験も法律施行の経験を持っているわけではない。それだけに司法の地位にあり、その権力を行使するのであれば、その立法の経緯と法理を徹底的に研究し、法律の正しい文理解釈ができなければいけない。しかし、10年近く円滑化法関係の訴訟に関係し、司法及び法曹界の行政法知識の貧弱さに驚かされただけではなく、その地位と身分が不当に保護され過ぎていて、彼らの言う「法律の専門家」以外に対しては「俺が法律だ」と平気でふるまっている。

技術士、建築士、医師にも同じように国家資格を取っただけで専門面をする人がいるのと同じである。いずれもその資格の範囲の一部の専門家であって、その資格分野のオールマイティではない。伝門下であるほど、その対象範囲は狭くなるのが一般的である。一般の弁護士は訴訟手続きの専門家であることは共通しているが、行政法の専門家として自己宣伝できる弁護士や裁判官はほんの僅かしかいない。

国家により保護されている国家資格や権力を行使できる立場にある人に、その資格や権力を100%行使できる知識、能力、経験があるわけではない。そこにはプロフェッショナル(職能)としての内在的制約が働くことで信頼できる業務を委ねることができる。自分に与えられている資格や権力を自分の保有している知識や能力を超えて行使すれば、必ずそのしわ寄せは国民に及ぶことになる。本事件はその例である。

原告として法廷に出廷した筆者は、司法官試験を受験する必要も機会もなかった。中央官庁で行政法の立法作業を手掛け、行政法の施行を担当し、地方公共団体での行政実務を実施した経験を持っている。現職の行政官であったときに円滑化法を直接扱ったわけではない。建物区分所有法は行政上取り扱った経験はある。その意味では筆者も行政法の専門家で、本事件の裁判官や弁護士たちと審理を進める上で、同じレベルで議論しようとしてきた。果たして裁判官や弁護士がそのレベルにあったかというとはなはだ心持たない。

しかし、それは筆者の専門の行政分野での専門家であるにすぎない。裁判では、訴訟当事者が主人公で、専門家は補佐人に過ぎない。裁判の場では、原告、被告、裁判官がその法律知識を闘わせて審理の究明をするべきである。しかし、今の裁判は、原告と被告を蚊帳の外に出しておいて、「法律の専門家集団に属さない人の見解を聞く必要はない」と考え、裁判を進めている。

この件に関し、東京地方裁判し立川支部の裁判官は、「裁判には素人を入れることは問題を紛糾させるだけで、裁判の能率を引き下げるので、原告も被告も法律の専門家である弁護士を立てることを義務付けるべきである、という意見も司法および法曹界にはある。」と言って、本人訴訟を行っている原告を、暗に批判した。そのことをある弁護士に確認したところ、その弁護士自体そのような意見の持ち主で、現在の法曹界の多数意見であるともいう。粗製乱造で弁護士をつくり、過当競争が生まれ、「悪貨は良貨を駆逐する」諺どおり、優秀な弁護士が業務に苦しむ職業上の理由がその裏にあった。

第5章「建て替え組合の認可が違法である」とする円滑化法上の根拠

本章は、東京地方裁判所定塚誠裁判長が建て替え事業反対組合員に求めた「東京都知事が諏訪組合に建て替え組合を認可処分したことが、円滑化法に照らし誤りであったこと」を東京地方裁判所法定で直接的に陳述した内容である。なお、建て替え組合に強制権を付与することを定めた法律上の関連する手続き条文は、以下のとおりである。

参考:マンション建て替え円滑化法(関連条文)
(設立の認可)
第9条  区分所有法第64条 の規定により区分所有法第62条第1項 に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、5人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の認可を受けて組合を設立することができる。

2  前項の規定による認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の4分の3以上の同意(同意した者の区分所有法第38条 の議決権の合計が、建替え合意者の同条 の議決権の合計の4分の3以上となる場合に限る。)を得なければならない。

(認可の基準)
第12条  都道府県知事等は、第9条第1項の規定による認可の申請があった場合において、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認可をしなければならない。
一  申請手続が法令に違反するものでないこと。
二  定款又は事業計画の決定手続又は内容が法令(事業計画の内容にあっては、前条第三項に規定する都道府県知事等の命令を含む。)に違反するものでないこと。
三  施行再建マンションの敷地とする隣接施行敷地に建築物その他の工作物が存しないこと又はこれに存する建築物その他の工作物を除却し、若しくは移転することができることが確実であること。
四  施行マンションの住戸の数が、国土交通省令で定める数以上であること。
五  施行マンションの住戸の規模、構造及び設備の状況にかんがみ、その建替えを行うことが、マンションにおける良好な居住環境の確保のために必要であること。
六  施行再建マンションの住戸の数が、国土交通省令で定める数以上であること。
七  施行再建マンションの住戸の規模、構造及び設備が、当該住戸に居住すべき者の世帯構成等を勘案して国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
八  事業施行期間が適切なものであること。
九  当該マンション建替事業を遂行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分であること。
十  その他基本方針に照らして適切なものであること。

1.東京都知事による建て替え組合の認可
(1)    円滑化法第9条組合認可の規定

円滑化法により建て替え組合に対して強制権を付与する根拠は、同法第9条により東京都知事が、同法第12条に定める認可の基準に適合していると判断して認可をしたことである。この強制権は、第9条に基づく東京都知事の認可により、諏訪組合の申請した建て替え組合に付与された。

認可の判断が適法であるとする法律の構成としては、第9条第1項で建て替えを行う旨の合意に関し、「建て替え決議」の内容により、当該建て替えを行う旨の同意と規定してある通り、組合員の総意を反映した建て替え事業計画自体が存在することを前提に、「建て替え決議」が採択されるものであることが、法律の構成要件となっている。

しかし、諏訪組合の建て替え事業では、建物区分所有法第62条に基づく諏訪組合総会で「建て替え決議」を実施したと説明している。しかし、そこで実施したものは、昭和58年法で規定した名称としての「建て替え決議」でしかなく、平成14年円滑化法関連改正で規定する内容が変更された「建て替え決議」として建物区分所有法が求めている内容、即ち、円滑化法によって強制権を付与することになった根拠としての「建て替え決議」ではない。

円滑化法の強制事業として建て替えができる法律上の根拠は、憲法第29条ではなく、円滑化法第4条である。即ち、諏訪組合の事業には第4条基本方針の内容を具体的に規定したマニュアルで定めた「建て替え決議」の実体は存在しない。よって、この事業は円滑化法第4条及び第9条違反である。ただし、第4条により与えられた強制権が憲法第29条に適合するものであることに関し、法律上の根拠はこれまで明確な法律理論として示されてはいない。

2.建て替え組合設立認可の違反の事実と根拠条文

本建て替事業でなさられた建て替え組合設立認可手続きの違法行為は、諏訪組合の行った違法な認可申請を東京都知事が、法律違反であることを知り、または、知ることができる立場にいて、諏訪組合の犯した違反を容認・幇助したものである。法律条文違反の事実は以下のとおり。

2-1.第9条(建て替え組合認可)違反:法律で定めた「建て替え決議」の不存在
第9条では、建物区分所有法第64条の規定により区分所有法第62条第1項に規定する「建て替え決議」の内容により建て替えを行う旨の合意をしたものに対し建て替え事業者とすることができると規定している。しかし、本建て替え事業では、まず、平成14年に制定された円滑化法関連改正された平成14年建物区分所有法第62条第1項で定める「建て替え決議」が存在しない。本条で定める平成14年改正建物区分所有法第63条で言う「建て替え決議」は、マニュアルで定めている「建て替え決議」と同一のものでなければならない。

「補助金詐取」に使われた「建て替え推進決議」と「建て替え組合認可」に使われた「建て替え決議」
「建て替え決議」はマニュアルで定めた14の段階を経て、組合員の総意としてまとめられた建て替え事業計画に基づいて組合員全員が採決をし、その5分の4(80%)以上の賛成が得られた場合をいい、事業を実施できる強制権の根拠とすることをマニュアルで定めている。「建て替え決議」という名称を使った決議をしても、マニュアルに定めた合意の手続きを経ていない決議は、法律上の効力を有しない決議で、円滑化法に定めた効力を有しない。しかし、諏訪組合が実施した「建て替え決議」は、平成14年に円滑化法の関連改正で平成14年建物区分所有法による「建て替え決議」ではなく、無効である。

諏訪組合は、建て替え事業計画を作成する目的で国が利用できるようにした優良建築物等整備事業補助金5億1,270万円を、国庫補助金申請要件である「建て替え推進決議」が存在しないにも拘らず、名称だけの「建て替え推進決議」を行い、補助金交付条件を満たしたかのように詐称し、不正な国庫補助金申請書を作成し、不正な方法で国庫補助金を詐取した。現時点で建て替え組合が受けている27億円の国庫補助金も、補助条件に違反して詐取しているものである。

そのうえ、諏訪組合は、旭化成ホームズ㈱との間で、不正な謀議により、裏で建て替え事業者とする内諾を与え、建て替え事業が軌道に乗るまでの間、旭化成ホームズ㈱をマンション建て替え事業コンサルタントとして契約した。その目的は、「建て替え決議」を締結できるように建て替え反対組合員の切り崩しと、旭化成ホームズ㈱が実施したいと考える建て替え事業計画の作成を委託していた。諏訪組合及び旭化成ホームズ㈱の考えは、以下のようなものであった。

法律に違反した補助金の詐取と法律に違反した建て替え事業計画
旭化成ホームズ㈱がコンサルタントとして諏訪組合理事会と関係を持った当時、組合員の40%程度が建て替えに難色を示していた。その段階で、旭化成ホームズと諏訪組合は組合員を騙し、建て替え事業を推進するため、国は紐のつかない調査費に補助する制度を立ち上げたと組合員に虚偽の説明をした。

補助申請する条件は、諏訪組合総会で名称としての「建て替え推進決議」をすることであると組合員を騙し、総会決議をさせた。そして、そのニセ「建て替え推進決議」を使って諏訪組合は国庫補助金を多摩市に国庫補助金を申請し、多摩市長は、諏訪組合の言いなりに補助金を国に申請した。国の優良建築物等整備事業補助金制度の担当室長は、事前に担当する事業予算の拡大を目指して、不正な補助金申請を多摩市に対し教唆し、多摩市も不正を承知し国へ補助金申請をし、補助金を国から詐取した。

国土交通省担当室長を始め、建て替え事業を推進してきた諏訪組合は、事業計画作成段階で違反をして補助金を詐取しても、建物区分所有法第62条で定めた「建て替え決議」を締結できさえすれば、その段階でそれまでの違法性は阻却されると考えていた。「建て替え決議」さえマニュアルに定めるように実現できれば、本建て替え事業が適法になると考えていた。その結果を導くため、諏訪組合はコンサルタントに国庫補助金を不正交付し、それまでに建て替え反対者を抑え込むように要請した。

諏訪組合による建て替え事業は、旭化成ホームズ㈱による国庫補助金を使った違法行為により建て替え反対者を抑え込める自信に満ちたコンサルタントに指導され実施された。諏訪組合自身には旭化成ホームズ㈱を使う予算準備がなく、国庫補助金を詐取できなければ取り組めない状態の事業であった。旭化成ホームズ㈱は、自らリスクを負ってまで取り組めるとは考えてはおらず、国庫補助金を騙しとり、その業務費用を確実に手に入れられることを知って取り組んだ事業である。つまり、違法な補助金ででっち上げられた建て替え事業なのであった。

国庫補助金等適正化法違反の嫌疑で行政事件訴訟に
このように諏訪組合自体として建て替えに絞って計画を取組む合意が得られていない状態で、補助金を目的外に使っていることは補助金等適正化法に違反するものである。そこで建て替えに反対する諏訪組合の組合員が地方自治法に基づく会計監査の申請を行った。しかし、多摩市会計監査委員会ではマニュアルに適合していないことを認めながら、国が進めているマンション建て替え政策に沿ったものとして、多摩市の推進する建て替え事業を進める方向は認められるとして、建て替え反対の組合員の不服審査請求は棄却された。

そこで、国庫補助金の申請及び交付は国庫補助目的に違反したものとして、組合員は、多摩市長を相手に平成16年行政事件訴訟がを起した。多摩市長は「国庫補助金は、建て替え決議のベースとなるものを作成するために使われていると虚偽の答弁をした。裁判官は原告の求める補助金を交付目的外に使用した事実を調べようとしないで、被告多摩市長の言いなりの答弁を認め、原告の訴えを棄却した。その判決は控訴されたが、東京高等裁判所は事実調べをせず却下の判決をした。

関連事件(事実調べをしないで判決を行った重大な誤審
事件番号平成19年(行コ)第95号損害賠償(住民訴訟)等請求事件
判決日平成19年7月2日
裁判長 東京高等栽判所第2民亊部 裁判長裁判官 大田 幸夫
裁判官辻 次郎
裁判官 森 一岳
控訴人  諏訪2丁目住宅管理組合員 戸谷 英世
被控訴人 多摩市長 渡辺幸子

(原審東京地方裁判所平成17年(行ウ)第522号)
諏訪組合の円滑化法による建て替え事業に対し、多摩市長が国の間接補助金「優良建築物等整備事業補助金を、国庫補助金等適正化法に違反して交付し、額の確定を行った処分の取り消しと補助金返還事件(行政事件訴訟法第8条に基づく取り消し訴訟)
原告  諏訪2丁目住宅管理組合員 戸谷 英世  坪井 道郎
被告  多摩市長 渡辺幸子
(17多監第53号平成17年「多摩市職員措置請求」)

法律上は建て替え決議ができず中止されなければならない事業
旭化成ホームズ㈱が国庫補助金を使いまとめた建て替え計画は、組合員の30%程度が反対の意向を示したので、諏訪組合はこの成果を使った「建て替え決議」は不可能であると判断した。そこで諏訪組合は、「建て替え決議」の妨害になる事業計画自体を存在しないことにしなければ、補助金返還義務が課せられ、補助金等適正化法違反の嫌疑がかかると考えた。そこで、5億円強の国庫補助金を得て作成した事業計画を闇に葬り、国庫補助事業自体が存在しないことにした。

建て替え事業計画が存在しないで建て替え事業を違法強行する方法が、事業計画と切り離して建て替え業者選考競技(コンペ)であった。事業者選考競技(コンペ)は、円滑化法には記述されていない違法な(法律上に根拠のない)ものである。事業者選考競技(コンペ)は、公平なルールの下でする競技ではなく、多摩市長と旭化成ホームズ㈱の不正を闇に葬り、それに代わって、東京建物㈱に建て替え事業者の地位を禅譲する方法であった。

この不正な禅譲を公正であるように組合員を騙すために事業者選考競技(コンペ)で、東京建物㈱に1世帯5000万円の移転補償金支給」を条件として提示し、圧倒的支持で選考された。事業者が確定し競争相手がなくなったときに東京建物㈱は、提示条件を一方的に撤回した。諏訪組合は、混乱に陥られた。その組合員が怯んだ隙に、諏訪組合はマニュアルに違反した名称だけの「建て替え決議」を建物区分所有法第62条に規定した「建て替え決議」であると組合員を騙して締結させた。

手品のように騙し取られた1世帯当たり500万円の移転補償金
諏訪組合は、建て替え事業者を旭化成ホームズ㈱から東京建物㈱に禅譲する芝居を打つために、一世帯当たり500万円の移転補償金を供与する条件を提示していた。この500万円のうちの320万円は組合員の資産である土地の評価を22%減額し、組合員から騙し取って捻出した不正なお金である。組合員の土地評価を財団法人に本不動産研究所に不正な評価をするように依頼をし、実際には法定容積率一杯利用される良好な土地であるにも拘わらず、地形が不整形等の屁理屈を付けて22%減額評価させた。不正評価で生み出した資金1戸当たり320万円を「500万円の移転補償金」の一部にしたものである。

諏訪組合は不正に評価額を操作し一世帯当たり320万円減額しても、移転補償金として組合員に支給するのだからこの減額評価は組合員に実損を与えないという理屈を諏訪組合は考えていたようである。しかし、東京建物㈱を建て替え事業者と決定された後、「リーマンショックで会社の経営状態が悪化したので500万円の移転補償費は支給できない。補償金を要求するならば建て替え事業者の地位を降りる」と、準備していたシナリオで組合員を脅した。諏訪組合は東京建物㈱と謀議して決めていたシナリオどおり組合員をなだめて、諏訪組合から東京建物㈱拝み倒す形で、建て替え事業者を降りないように頼み、諏訪組合総会の議決無しで一世帯当たり500万円、合計32億円の利益を東京建物に吸い取られることになった。

法律上の根拠を持たない建て替え事業計画
諏訪組合の建て替え事業は、競技(コンペ)で選考された東京建物㈱の作成した建て替え事業計画をもとに「建て替え決議」がなされた形式にはなっている。しかし、あえて諏訪組合側の立場に立って説明したとしても、「建て替え決議」は、東京建物㈱の作成した事業計画を根拠に採決をした東京建物㈱主体の諏訪組合員との間の一種の符合契約である。

建て替え事業として実施するものは組合員も契約に同意したという言い訳でしかない。円滑化法制定時に国土交通省住宅局長が委員会で答弁したような組合員を中心とする合意形成により実施される組合員の主体的な建て替え事業ではない。マンション業者である東京建物㈱の営利事業に強制権を付与し、購入する顧客を建設総戸数の半分近く確保した上、巨額な32億円の国庫補助金を投入してつくる事業計画である。国会で住宅局長が説明した事業とは全く別物である。

諏訪組合員に示された建て替え事業計画は、東京建物㈱の利潤追求目的の事業計画に基づく組合員にとっては、「あてがい扶持」の事業計画である。組合員自身の行う建て替え事業に組合員の要求を反映する作業は、東京建物㈱によっては何一つ行われず、建て替え賛成者にとっても、その要求は無視され、東京建物㈱が実施したい建て替え事業に、組合員が応じるしか選択の余地のない事業計画である。それであるにも拘らず、円滑化法に求められている公正な法律による監督は、国も東京都も多摩市も行っていない。税金の護送船団への垂れ流し事業なのである。

諏訪組合員の合意による建て替え事業計画が存在しない理由(第9条第1項違反)
しかし、多摩市長が、「建て替え推進決議」という名称の紙切れを国庫補助金申請に添付して、計画策定段階で旭化成ホームズ㈱に約5億円、現在、事業実施段階で東京建物㈱に約27億円の国庫補助金を不正に交付した。この補助事業は、補助金交付条件に適合しない不正な補助金詐取であるだけではなく、実際の補助金もまた交付目的外に消費されてしまった。

旭化成ホームズ㈱は、諏訪組合理事会から、当初、国庫補助金を詐取するまでの間は、建て替えコンサルタント契約をし、建て替え事業者にすることを謀議によって内定していた。同社は、江戸川アパートの建て替え事業を成功裏に実施した実績で、本事業においても建て替え決議に導くことができると大言壮語した。旭化成ホームズ㈱は、建て替え決議を実施した段階で、「建て替え推進決議」を騙して行い補助金の不正受給した違法性も阻却されると考えていた。

その根拠は国は国庫補助申請書の形式審査しかしていないから、国庫補助金の不正交付の違法性が明らかになることはないと言い、違法が証明されるまでは不正であっても公定力で不正を維持できるし、「建て替え決議」が実現できれば、その段階でそれまでの違法性は公定力によりすべて正当化できると担当室長と口裏を合わせた説明していたことが上げられる。

旭化成ホームズ㈱が取りまとめた国庫補助事業として行った建て替え事業計画の成果は旭化成ホームズ㈱の利益本位の計画で、組合員の意向を十分反映したものでなかったため、組合員なされたアンケート調査では30%(約190名)程度の反対が出された。そのため、旭化成ホームズ㈱の纏めた建て替え事業計画では、「建て替え決議」ができないことが明らかになった。

その結果、諏訪組合でまとめた建て替え事業計画は反故にされた。国庫補助金の目的外使用が明らかになり、多摩市長と旭化成ホームズ㈱は刑事告発を受け、書類送検された。諏訪組合は、国庫補助金の返還をしないで済まそうと、国庫補助金を受けてまとめた建て替え事業計画を作成したこと自体を「闇」に葬るため、建て替え事業計画を作成した旭化成ホームズ㈱を建て替え事業から撤退させ、旭化成ホームズ㈱に代わって東京建物㈱に建て替え事業の違法な禅譲が謀議された。

国庫補助金等適正化法で告発された当時の被告多摩市長は再選を断念し、旭化成ホームズ㈱が建て替え事業から手を引くことで、国庫補助金等適正化法に違反しても、国庫補助金を返還しないで済ませることができると違反に関係した当事者らは勘違している。

刑事告発事件
事件番号21-8159,8167、詐欺、背任、詐欺未遂(処理罪名 詐欺)事件
東京地方検察庁立川支部 検察官 検事 緒方 広樹
告発人 戸谷 英世
被疑者 諏訪2丁住宅管理組合建て替え推進理事ほか
小沢満寿夫(理事長:故人)加藤輝雄(副理事長)、
(理事)杉田昌義、布施良一、高橋善幸、中村公二、櫨川謙
(監査委員)阿部秀寛、
旭化成ホームズ㈱社長 岡本利明
多摩市長 渡辺幸子(検察官の誘導で、旭化成ホームズ㈱一本に絞れば、起訴の可能性があると示唆され、騙され、多摩市長を被告発人から取り下げた。)
決定通知(平成22年3月24日)
決定内容 不起訴処分(贈収賄の片側だけの者の起訴自体ありえなかった)

以上に説明したとおり、建て替え組合の認可の基準を定めた第12条で定めた「建て替え決議」自体が存在しないことは、国庫補助事業で「建て替え決議」のために作成した建て替え事業計画自体を諏訪組合が反故にした違法な事実関係からも説明できる。つまり、第9条の事業認可の前提となる事業計画自体が存在しない。組合員の建て替えの前提となる組合員の合意形成の前提となる事業計画が存在しないこと自体が第9条違反である。

2-2.第12条(建て替え組合認可の基準)違反
東京都知事の認可は上記2-1の条件を満足することは建て替え事業認可の前提で、その上に第12条認可の基準を満足することを定めている。本事業は、第12条第1号、第2号及び第10号に違反している。

第12条第1号(申請手続が法令に違反するものでないこと。)違反
円滑化法が建物区分所有法で定めていた強制事業として実施できるためのマンションの老朽化による構造耐力上の安全性条件を外して、専ら、建て替えによる利益と修繕して持続的に住み続けるか既得権維持という対立する2つの財産権の対立の解決策として、絶対過半数での強制権を付与するとした改正を可能にした条件が法律に取り入れられた。

建て替え事業による経済的な利益を追求する者の要求を受け入れ、建て替え事業を強制する事業を法律上可能にした根拠は、憲法第29条の私有財産権の保障の中には財産権の価値を高めることも認められるべきである。事業に付与される強制権は、第4条基本方針で定めた建て替えに向けての民主的な合意形成の手続きを踏んだ上で、計画段階と事業段階に踏み出す意思決定を組合員の絶対過半数で踏むこととされた。その手続きはマニュアルで定められている。マニュアルで定めた手続き違反は、第12条第1号違反である。

第12条第2号(定款又は事業計画の決定手続又は内容が法令に違反しないこと。)違反
建て替え事業を実施する場合、事業に強制権を付与し実施を法律によって担保している。しかし、建て替え事業に賛成できない組合員に対し、事業の実施にともない奪われる損失に対し、正当な損失補償がなされなければならない。その損失を補償するべきことは円滑化法第4条、第15条、第56条及び第75条の規定に定められている。本事業計画において、損失補償に掛る内容が存在していない。建て替え事業に反対する者は建て替えによって経済照り利益を追求する者のあくまでも犠牲者である。犠牲者に対しては事業で被る損失補償をするべきことは当然である。

建て替えに応じることのできない者には、第4条及び第15条に基づき時価補償をしなければならないと円滑化法で定めている。しかし、諏訪組合の供託金は実際に建て替えに反対している者が受ける損失の3分の1程度の額を供託しただけで、民事保全法による建物明け渡し断行仮処分を民事保全法で提訴してきた。訴訟において諏訪組合代理人弁護士は、第15条で定める時価は時価補償ではなく、組合が査定する時価であるといい、東京地方裁判所立川支部の裁判長は組合の主張を認めた。

二人の組合員が平成23年8月11日に自宅マンションから、移住すべき仮住居もない状態で強制排除され、一人はビジネスホテルで仮居住を始め、もう一人はその後10日間、35℃の真夏日が続く中で、自家用車を利用した野宿を余儀なくされた。そのことは本建て替え事業自体が建て替え反対者切り捨てを前提にしたものというほかない。現在進められている建て替え事業は、円滑化法で求めている適正な事業計画自体が定められていないだけではなく、人道と人権を蹂躪した内容の事業であったことを証明している。

強制排除をされた組合員は、諏訪組合から強制排除をする説明はもとより、それに先立つ事業計画に関し何一つ説明を受けていない。建物明け渡し断行仮処分自体、所有権移転がなされていない段階で決定が出され、一週間後に強制執行された。しかし、その団地には多数の居住者が、強制明け渡し代執行の後1か月以上居住を認められていた。この事実は強制執行に緊急性がない状態で見せしめ的にやられたことを証明している。仮に緊急性が認められたとしても、それは建て替え事業者の都合であり、代執行をする場合には強制移転される人の仮住居を用意し、移転補償をすることは第4条第2項第五号に対応するマニュアルに照らし当然である。しかし、この対応が全くされていなかった。よって、事業自体が円滑化法の目的に違反しており、第12条第2号の違反である。

第10号(その他基本方針に照らして適切なものであること)違反
建て替え組合認可(第12条)の基準の中で、強制権付与の基本となる内容が第10号の定めである。第10号でいう基本方針とは円滑化法第4条の基本方針、つまり、マニュアルに適合することを指している。建て替えを希望する一部の組合員の利益のために、建て替えを希望しない組合員を従わせる強制権を建て替え組合に付与する具体的条件を定めたものが第4条基本方針である。それを具体的な合意形成の手続きとして定めたものが2つのマニュアルである。

このマニュアルを諏訪組合はもとより多摩市長も、マニュアルは単なる指針に過ぎず従うことを義務付けるものではないと法廷で主張してきた。マニュアルは円滑化法の制定の経緯、マニュアルで定めた「建て替え推進決議」を国庫補助金の申請条件、また、建物区分所有法で規定している「建て替え決議」の内容を具体的に定める根拠から見ても、マニュアルは法律そのものである。

マニュアルの適用は運用の指針ではなく、建て替え事業を実施する場合、建て替え事業の手続きを具体的に規制するものである。立法時よりマニュアルは建て替えの合意形成の仕方という文脈で解釈する第4条の法律内容を説明するものと国土交通省から説明されていた。この建て替え事業がマニュアルに違反して実施されたという意味で、第12条第10号違反である。

円滑化法に関する過去の不服審査と行政事件訴訟
建て替え反対者は、国土交通大臣に対し、建て替え組合設立認可を行った東京都知事の認可は、
「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」のいずれに関してもマニュアルに定めた実体が伴わないから無効とされるべきことを訴えた。国土交通大臣に対してなした行政不服審査請求は、東京都知事の認可は円滑化法第12条第10号に違反して認可されたものであるから取り消されなければならない。その審査請求に対し、国土交通大臣は、審査請求人の審査要求内容を歯牙にもかけず、第126条第1項第1号を根拠に訴えを却下した。

この第126条第1項の条文は、この事業が、法令に適した内容として実施されている場合、建て替え事業計画に対する不服審査請求の機会は、東京都知事に対して実施しているので、再度与える必要はないとするものである。しかし、法律で定められている内容が不存在で、「建て替え推進決議」や「建て替え決議」という名の決議をしたから、それを根拠とした建て替え組合の設立認可は無効であるという訴えを否定する条文ではない。つまり、詐欺による真性を容認した行政処分に審査請求は出来ないという不合理な法秩序は存在できるはずはない。しかし、国土交通省は形式的な手続き審査で原告の訴えを却下した。

参考条文:マンション建て替え円滑化
(不服申立て)
第百二十六条  次に掲げる処分については、行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。
一  第九条第一項又は第三十四条第一項の規定による認可

行政事件訴訟
行政事件訴訟では、東京地方裁判所に対して三権分立の原則を適用して、実体が存在してなくても形式が整えばそれでよいとする行政判断を争って訴えた。しかし、東京地方裁判所も法律の条文の文言の形式審査でしか判決を出さず、事実調べをせず、違反の実態にまで審理をせず、法律上の条文と文言による審査にとどまった。

東京地方裁判所の判決は形式的な違反の有無を見るだけで、法律上の文言を使いながら、その実体を伴わないか、または、実体が存在しないものにまで審査は及ぼさなかった。東京高等裁判所は、事実関係の調べは原審でなされているという立場で審査したため、判決は国土交通大臣に行った行政不服審査請求の繰り返しであった。

法律の実体規定を満足していない本事件は、実体を伴わない名称だけの「建て替え推進決議」と「建て替え決議」を根拠に建て替え組合の認可を行った東京都知事の認可は無効とされなければならない。法律要件が満たされていない行政行為は、法律上、実体が不存在な「砂上の楼閣」は法治国で認められることがあってはならない。諏訪組合の行った建て替え組合の認可申請の行為は、有印私文書不実記載により、認可を詐欺したもので、刑法上の罪を犯したものである。多摩市長はその事情を知り、または、知るべき立場にいて不正を幇助した訳であるから共同正犯が形成されると考えられる。国土交通省担当室長は犯罪を教唆し、補助金交付を不正に幇助した。

第6章 修繕積立金返還問題
マンションは基本的の共同住宅であるから、その物理的な安全性を維持するためには、マンションに使用されている材料及び工法に対応して決められている物理的な耐用年数にあわせて維持管理修繕を実施しない限り、マンションを恒久的に使用することができなくなる。そのため、マンションはその使用された材料および工法を考えて、物理的耐用年数が来るまでに維持管理及び修繕を繰り返すことで、不動産として半永久的に建設当初の安全性を維持管理できることになる。

しかし、建て替え事業が決定されると、建物の恒久的な維持管理修繕が必要ではなくなるため、それまで積み立てられた修繕積立金のうち、マンションの取り壊しを決定した段階で残っている修繕積立金を返還することが必要になる。この章では、その修繕積立金の返還をめぐる諏訪組合の不当な修繕積立金の処理と、東京地方裁判所立川支部及び東京高等裁判所な裁判官の法律を理解できる能力を疑いたくなるような奇怪な判決を紹介し、検討する。

修繕積立金の帰属問題
修繕積立金はその基本的性格は、「マンションと言う物理的な建築物そのものの一部」である。マンションの価値は、既存のマンションの取引価格として評価されるが、その内訳は、物理的に存在するマンションそのものと修繕積立金の額に分けられる。その合計額が、理論的には推定再建築費として評価される。つまり、現時点で現存するとおりのマンションを再現させるために、土地を購入し、建設当時の設計図と仕様書を用いて材料を購入し、工事をするとした場合にいくら必要になるかという金額である。そこにはインフレ要因が介入することになるが、通常は、修繕積立金の運用益によって、修繕費用のインフレ対応はできている建前になっている。

マンションの区分所有者は、マンションが建設後区分所有者変動するが、修繕積立金はマンションそのものの物理的な状態を維持するために必要な資金として、マンション自体と不可分一体の関係にある。このような考え方から、修繕積立金の権利はマンション居住歴の長短にかかわらず区分所有者が均等所有と考えられる。ただし、修繕積立金未納付の区分所有者は、マンション自体に関して債務を負い、仮に退去しても修繕積立金の未納付分は債務額として付き纏うことになる。

その際の未納付額は支払い義務を果たさなかった個人に付き纏うものである。そのため、マンションを善意の第3者に譲渡した場合には、その譲渡に当たり未納付額を相続された場合以外は、譲渡の段階でマンション自体との関係は切れ、未納付額は未納付者の債務として売却後も追及される。一方、新規マンション購入者である善意の第3者には、未納付額の追及はされない。

諏訪組合での「建て替え決議」(平成22年3月28日)がされると、その決議が有効であるとされる限り、「建て替え決議」がなされた段階で、修繕積立金はそれを積立金として維持する理由が消滅することになる。そこで、マンションの存続を決定した段階で修繕積立金の徴収が中止されなければならなくなる。その時点のマンション区分所有者全員に均等に分配し、返戻しなければならない。この際の返戻金は、理論的にはマンションそのものと不可分一体の関係をなすもので、修繕積立金の納入額とは直接的に関係せず、修繕積立金は、その時点でマンションを所有していた区分所有者全員に帰属している。また、修繕積立金の管理は区分所有者との関係で、住宅管理組合が管理をしているが、それは管理事務を委ねられているだけで、住宅管理組合に修繕積立金に対する何らの権利が生まれているものではない。

諏訪組合の修繕積立金不正配分
諏訪組合は、不正な「建て替え決議」を実施した後も、東京都知事に建て替え組合の認可申請を行ったが、不正を承知で「建て替え決議」以降の手続きをしているため、東京都知事からの組合認可が得られないかもしれないという不安があった。そこで組合員からの修繕積立金もその後不正に3か月間不正に徴収し、都知事の認可の見通しが得られたことで徴収を修了した。その後、諏訪組合は、修繕積立金を一部建て替え事業に流用することもしていたが、建て替え組合が認可(平成22年12月9日)されたので、住宅管理組合を解散することになり、修繕積立金の返戻を実施することになった(平成23年5月29日)。この日に修繕積立金の返戻方法が決定された。

諏訪組合は東京都知事の建て替え組合認可が得られたときを機に、強制権を行使できることを前面に出し、反対者には当時の市場でのマンション取引価格(建て替えを前提に1200万円~1600万円)に対して1、117万円という安い価格での買い取りの見解を明らかにした。そのため、建て替えに反対者たちは建て替え阻止は見込めないと判断し、少しでも高い価格で売却したいと考え、一般市場での売却に向かった。

しかし、マニュアルで修繕積立金の返戻を受ける権利は、「建て替え決議」時点と規定しているが、諏訪組合の法律違反が繰り返されていることから、建て替えが確実に決定した東京都知事による建て替え組合認可時期まで待ってマンションを売却すれば、少なくとも修繕積立金の返戻は受けられると考えられた。しかし、諏訪組合は建て替え事業に反対を表明している区分所有者に対しては、修繕積立金の払い戻しをせず、諏訪組合内に凍結してしまった。そのことは不当であるから修繕積立金を返戻せよという申し立てを行ったところ、以下のような3ケースが現れた。

(1)    建て替えを反対していた主張を取り下げるが、転出することを申し出た区分所有者に対しては、その時点で修繕積立金の返戻金111万円の小切手を手渡し、1、117万円の土地の利用権と区分所有権の時価に相当するマンション買取価格分は、銀行払い込みをする手続きをした。
(2)    建て替えに反対して都知事認可後に自宅マンションを第3者に譲渡した人に対しては、「そのマンションを譲渡された人に対しては、区分所有権が移転したことに伴い111万円の修繕積立金の返戻金を受け取る権利も移転したから、その者に支払ったので支払わない」と言い、都知事認可時点の区分所有者建て替え反対者への支払を拒否した。
(3)    最後までマンションの諏訪組合への譲渡に応じなかった区分所有者に対しては、「平成23年3月3日に1、117万円を供託したので、その段階で111万円の修繕積立金の返戻を受ける権利は、建て替え組合に移行した。」と言い、修繕積立金の返戻を拒否した。

要するに、建て替え反対者には、マニュアルの規定を無視し、修繕積立金の法律的な性格を無視し、理由は出任せに付けて、修繕積立金111万円も返戻しないということであった。

東京地方裁判所立川支部の判決
上記(2)および(3)に該当する区分所有者は、国土交通省がマニュアルで定めた根拠を添え、諏訪組合が詐取した修繕積立金の支払いを求め、東京地方裁判所立川支部に民事訴訟を提訴した。しかし、東京地方裁判所の判決は、「修繕積立金をどのように使うかは、諏訪組合で決定できることである」と言い、「修繕積立金の使用は、基本的に諏訪組合で決めれば、組合のために使うことが出来、残りを区分所有者に支払えばよい」という趣旨の判決を下した。その上で諏訪組合の主張どおり、以下のような判決した。

「修繕積立金の返戻を受ける権利は、マンションの譲渡とともに移動するものであるから、(2)の区分所有者の修繕積立金を受ける権利は、そのマンションを譲渡を受けた人に、(3)の区分所有者の修繕積立金を受ける権利は、供託金を納付した者に、それぞれ修繕積立金を受ける権利は移動する。」という理由で、「(2)および(3)の原告には修繕積立金を受ける権利はない」と裁判所の見解明らかにした。東京地方裁判所の判決は修繕積立金の返戻を明らかにした国土交通省が定めたマニュアルに違反するだけではなく、修繕積立金の法的性格に照らしてもありえない判決であることから東京高等裁判所に控訴した。

しかし、東京高等裁判所の判決も、基本的に東京地方裁判所の判決を追認するものであった。この判決は裁判官の無能を超えて犯罪幇助をすると同じ判決で、非常識な判決に控訴人は対応する術を失った。しかし、このような違法で、かつ、不当な判決を容認するわけにはいかないので、最高裁判所に上告することにした。現段階では、最高裁判所からは、本事件に関しては調査をすることにしたという文書が上告人4名のもとに届けられている。
しかし、平成25年二月31日最高裁判所第一法廷(裁判長山浦善樹)以下5人の裁判官(櫻井龍子、、金築誠志、横田尤孝、白木勇)から送付された判決は全員一致で以下のようにした。
第Ⅰ 主文
1 本件上告を棄却する。
2 上告費用は上告人らの負担とする。
第2 理由
民事事件については最高裁判所に上告することが許されるのは、民訴法第312条第1項または第2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。平成25年1月31日最高裁判所第1章法廷裁判所書記官 佐野真一 印

本上告は、円滑化法第4条を解説したマニュアルに違反して成された判決に対して成されたもので、全ての法律が憲法に基いて制定されたものであるから、本件の場合は、円滑化法が憲法違反であっ(第312条第1項後段)ても、なく(第312条前段)ても、民事訴訟法第312条第1項に該当する上告である。第312条第2項は法廷の手続き、構成を問題にするもので、判決理由に加えられていること自体粗雑である。この判決には、裁判長の責任署名はなく、印は文字通りの活字の印の字が○で囲われた頃に認め印である。高等裁判所までの判決は関係裁判官の名前までがあり、それの別の権威付けの「これは正本である」と書かれたものに担当書記官の氏名と官職の朱肉の捺印となっている。

先に最高裁判所から送付されてきた「調査をする」という通知は、下級新の事実関係の調査ではなく、多分、「棄却」を先見的に決定し、その理由を書記官に調査させたものでしかなかったとしか考えられない。この判決では上告人から裁判費用を取って裁判したという説明責任を果たしておらず、このような内容の審査をせず、または審査をしたというならば、その理由を上告人に説明をしないということを、国民の訴えを棄却する理由とするならば、国民から裁判費用を取って受け付けること自体がおかしい。国民に裁判を受ける権利を保障していることは、主権者である国民の訴えに、法律を根拠に説明責人のある判決をすることで、この判決では上告人には何も棄却理由は分からない。正に最高裁判所までが重症の機能障害に陥っている。患者が病院に出掛け病状を詳細に説明したのにも拘わらず、「医師が診療をしないで、または、患者に分かるような診療をせず、診察結果を何一つ示さないで診療報酬だけを巻き上げている」のと同じである。

民事訴訟法第312条、第312条 第二章 上告
(上告裁判所)
第三百十一条  上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる。
2  第二百八十一条第一項ただし書の場合には、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、直ちに上告をすることができる。
(上告の理由)
第三百十二条  上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2  上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一  法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二  法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二  日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三  専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四  法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五  口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六  判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3  高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。

最高裁判所の判決を見ても、諏訪組合の実施したことは修繕積立金に関し、国土交通省が円滑化法第4条の内容を定めたマニュアルの規定に違反し、法律違反であることは全く明らかにされていない。そのうえ、仮にこれまで司法、行政がマニュアルは単なる指針であって拘束力がないと言ってきたとしても、修繕積立金というお金の性格に関しては社会科学的な論理に照らして、「建て替え決議」をした段階で、その時点でマンションを所有していた区分所有者全員のものとして、均一に分配されなければならないことは自明の事実である。

今回、最高裁判所が下級審と同様の判決をしたが、それは最高裁判所が法律違反の判決を行ったというだけで、司法の看板に泥を塗ったというだけのことである。既に東京高等裁判所までが、修繕積立金の返戻に関する規定に関しては、円滑化法第4条を解説したマニュアルの規定に違反し、控訴人に説明責任を果たすことの出来ない違法な判決をし、司法の権威を失墜させてしまっている。そのとき、「司法全体が法律に違反して区分所有者の修繕積立金を詐取幇助した」という刑事告訴がなされたとき、検察庁がそれを受けて起訴するかが、刑事事件として問われることになる。過去の私の経験だ、検察庁は裁判所と対決することはしない。それは検察と司法の連携を重視するからである。

第7章 不正事業が実現した理由と少数になった反対者の理由

法律違反が累積された理由
本事業が法律違反を繰り返して進行した理由は、事業の初めに、国土交通省担当室長が優良住宅等整備事業補助事業を拡大するために、「建て替え推進決議」の実体がなくても、その名称の決議をすれば国庫補助金を交付すると教唆し、多摩市長自身は国庫補助金を不正に詐取するための不正な補助金申請に加担し、旭化成ホームズ㈱に補助金を不正交付(供与)したことに始まる。

国庫補助金の不正交付が公定力を得て、その後の不正を実施する事業資金として使われることになった。もし、補助金約5億円に上る不正な補助事業がなかったならば、反対者を切り崩すために使われた資金が効力を発揮することは期待できなかったので、現在のような事業になることはなかった。現在の事業は国庫補助金の不正交付の公定力の上に、違反の上に違反を重ねた諏訪組合が違反を繰り返すことで現時点の建て替え事業を推進できた。

多摩市長、東京都知事は、国土交通省担当室長の指示に従い、違反に関係したため、違反によりすすめられた建て替え事業をその後、修正できなかった。また、補助金の目的外使用は国庫補助金等適正化法第17条から第19条までの規定に従い補助金返還すべきであるにもかかわらず、それを返還せず、国庫に不利益を与えたままになっている。さらに、現在さらに、27億円を超える国庫補助金を不正に申請され、交付されている。

二名の「狂った老人」のたわごととされている理由
本行政事件訴訟の原告は事件により、2~4名であるが、国庫補助金を受けた建て替え事業計画が取りまとめられた段階では、旭化成ホームズの厳しい切り崩しがあったにもかかわらず、640名の組合員のうち約190名が反対の意思を表示していた。さらに、東京建物㈱が移転補償金500万円の提供を一方的に引き上げ、組合員が同法している時点で建物区分所有法第62条第不正な「建て替え決議」を建物区分所有法第31条違反の投票権の事前開票を行い、92%の賛成により締結したことになっているが、この段階でさえ、52名が反対していた。

反対者をわずか2名の反対に切り崩した理由は、東京都知事による建て替え組合認可後の不当なマンション買い上げ価格の提示であった。諏訪組合は建て替え反対区分所有者が、この建て替え事業に反対すれば大きな損をさせる意図のもとに、諏訪組合の買い上げ価格を当時の中古マンションの市場取引価格1、500万円程度の価格に対し、25%低い買取価格を提示した。東京都知事が建て替え組合認可をした時点を境に、諏訪組合は一挙に高姿勢となった。諏訪組合と東京建物㈱は時価補償とは遊離した1、117万円の低い価格しか補償しないと意思表示をした。

そこで、建て替え反対者は、建て替え事業の阻止はできなくなった条件下で、少しでも有利な条件でマンションを売却しようとする動きに転じる他なくなっていた。建て替え反対者は急いで団地から転出することになって、建て替え反対者は一挙に激減した。二人の老人は、法治国であるかぎり、法律違反は国家が建て替え事業を止めるに違いないと信じ、現在の状態になった。

建て替え事業反対者には経済条件が厳しい人が多く、おそらく、マンションの売却価格の少しでも高いところを探し売却し、転出が決まったときには精根尽き反対運動ができなくなっていた。その結果、二人の組合員が最後まで、法治国を信じ反対者として残る結果になった。日本国に忠誠心を持っていた正直者の老人が、反対者で残った。結果は、日本を法治国と信じた区分所有者が財産を奪われ、人権を奪われ、挙句はマンション建て替え事業に反対をした邪魔者とされ、被害者でありながら、諏訪組合は「マンション建て替え事業の妨害者、つまり加害者」と扱った。

第3部 二人の組合員が大きな被害を被った顛末

二人の老人組合員が円滑化法で建て替え事業を行った結果が、日本国の法律に照らして正当な事業であったなら、円滑化法が建て替え事業に賛成できなかった人たちを不幸にすることはなかった。そして、国民の私有財権を保障している憲法29条がまともに機能していたら、少なくとも現在二人の老人が苦しめられているように基本的人権を奪われ、生命財産の危機に晒されることはなかった筈である。

結果論からいえば、円滑化法は憲法29条違反として施行されたことになる。それは、円滑化法自体が欠陥を持っていたためなのか、それとも円滑化法の施行が国土交通省、東京都、または、多摩市で違法に施行されたためなのか。そして、東京地方裁判所立川支部、東京地方裁判所及び東京高等裁判所が違法な法施行を幇助する判決をしたためである。ここでは、再度、二人の老人組合員の視点で事件を検討する。

はじめに:建て替え事業の被害者をつくった国の行政

強制野宿生活を余儀なくされた2人の高齢者
ここで取り上げる事件は、住宅数640戸の日本住宅公団が高度成長時代に建設した分譲住宅団地で実施されている円滑化法によって実施されている日本最大の事業である。二人の単身居住をしてきた老人は、40年ほど前にマンションを取得し、25年の住宅ローンを払い終え、老後に受けられる12万円程度の年金生活でも、住居費は団地の共益費として6千円程度の負担で済み、他人の世話にならなくて終末を迎えることができる「終の棲家」という人生設計を立ててきた。

マンションで40年近く生活してきた二人は、元教員と元地方公務員で、現在86歳と80歳の善良な単身世帯老人である。二人は円滑化法を理由にする事業で、真夏日に自宅マンションから仮居住施設を提供されないで、東京地方裁判所立川支部の執行吏の支援を得て強制排除された。そのうち一人は10日も野宿を余儀なくされ、もう一人はビジネスホテルに一時避難した。この不当な事業の施行を諏訪組合は、東京都知事および多摩市長には事前に通知し、それを知る立場にいて、諏訪組合の違法で人道に反する不当な明け渡しを支持し、行政上はもとより基本的人権を守る行政上の対応をしなかった。

二人の老人はマンションから追い出された後、既に2年弱経過し、現在は20平方メートル程度の小規模な賃貸住宅に仮住まいを余儀なくされている。以前のマンションにあった家財道具は裁判所の執行吏の手でダンボールに無造作に突っ込まれたものが、そのままの状態で仮居住に持ち込まれ、老人たちは仮住居で整理もできない倉庫代わりの塵屋敷で生活を余儀なくされている。

その家賃6万円はこれまでの住居費の10倍近くに膨れ上がり、年金収入の半分には家賃に食われ、衰弱した体と厳しい家計で生活は破綻寸前にある。この老人が行政と司法の処分を受けて、何故このような目にあわなければならないか。司法もその理由を説明してくれない。その不条理に本人は歯を食いしばって、再度司法に訴えを提起し法治国の正常な機能に回復に賭けている。

二人の被害者は、現代のジャンバルジャンである。最初にパンを盗んだり、脱獄を繰り返したわけではない。他人に迷惑をかけず、ささやかな生活を営んできた多摩市民である。法治国の行政と司法を信じ違法な建て替え事業に反対した結果が、野宿を強制され塵屋敷への軟禁である。円滑化法の施行に関係した行政官とその裁判に関係した裁判官は、法律を守らないジャベール刑事である。2人は冤罪事件の被害者の心境にある。

住生活を守る住宅行政不在と、法律上の機能を失った司法
このような状態を生み出した原因は、諏訪組合が円滑化法に違反して、建て替え事業を施行したにも拘わらず、法の施行を監督する立場にある多摩市及び東京都の行政が諏訪組合の円滑化法違法行為を監督せず、逆に、経済主義の下に違反を支援して建て替え事業を推進した。行政の不法行為を訴えた組合員に対し、司法は被害者の再三にわたる訴えを切り捨て、円滑化法違反を繰り返してきた。その一方で、不正な諏訪組合の利益を不当に擁護してきたからである。

円滑化法により建て替えを進める人は、それまで住み慣れたマンションに住み続けたいと願う人たちを犠牲に、建て替えによる利益を追求するわけであるから、マンションから違法に強制排除された二人の老人は、憲法第22条(居住の自由)、第25条(安全・健康で文化的な生活)、第29条(私有財産権の保障)との関係で、その権利が守られていないことになる。

二人の組合員の財産権を強制的に奪える建て替え組合の法律要件を定めた円滑化法第12条に違反して、東京都知事は諏訪組合が申請した建て替え組合を違法に認可し、強制権を付与した。強制権付与の根拠となる改正された平成14年建物区分所有法の「建て替え決議」は、円滑化法第4条の内容であるマニュアルで定義した建て替え決議でなければならない。諏訪組合が行った「建て替え決議」は、円滑化法制定前の関連改正前の建物区分所有法の「建て替え決議」である。

円滑化法による建て替え事業の根拠にできる建物区分所有法による「建て替え決議」は、マニュアルに定義する「建て替え決議」である。国土交通省の円滑化法担当課長は、何故か表に出ず、国庫補助金交付担当室長の教唆した建て替え事業を容認した。その事業とはマニュアルによらず建て替えに向けての合意形成の手続きを踏まない、単に、絶対多数決でなされた「建て替え決議」によって、円滑化法で定めた強制権を行使できるとしたものである。

諏訪組合は、担当室長の違法な教唆を受け円滑化法の違法な事業を進め、違法な「建て替え推進決議」、違法な国庫補助金の申請、違法な補助金の支出、違法な「建て替え決議」、違法な建て替え組合の認可申請を行った。この違法な手続きを前提に国土交通大臣は国庫補助金を交付し、東京都知事は強制権を有する建て替え組合の認可を行った。すべて行政権の違反幇助があって実行できた建て替え事業である。

詐欺を追認したマンション建て替え行政
諏訪組合の違法行為に対して、審査及び許認可権を有する国土交通大臣、東京都知事及び多摩市長が悉く違法を容認し、その違法行為に追従した。さらに、それらの違法行為によって不利益を受けた建て替え反対組合員が提起した不服審査申請や行政事件訴訟に対し、国土交通大臣や東京地方裁判所立川支部及び東京地方裁判所、並びに、東京高等裁判所が諏訪組合の主張を前面的に容認した。その結果、冤罪事件と全く同じ行政と司法による国民の権利の侵犯が発生した。

国の担当室長の所掌事務を越権した違法な行政運用方針に従って、国、東京都、多摩市の関係行政機関はもとより、東京地方裁判所立川支部、東京地方裁判所、東京高等裁判所までもが、いずれも不正な利益を追求する諏訪組合の言いなりになり、建て替え反対組合員の法律に定めた「建て替え決議」自体が存在しないことを法廷に置ける審理の対象にもしなかった。

補助金申請、建て替え組合認可申請のいずれにおいても、国土交通省の補助金交付担当室長が指導した名称だけの「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」を有印私文書不実記載による詐欺行為で実施することを容認した。そして、国庫補助金の交付及び建て替え組合の認可を行うよう諏訪組合に教唆したことで違反が幇助された。詐欺の事実は、裁判所による文書の形式審査により分かることではない。裁判所は諏訪組合の違法を裁判の場で追認しただけで、不正の事実を審理しようとしなかった。

その上で、諏訪組合は建て替え事業の被害者である反対者を、あたかも民事事件の不法な妨害者(マンションの不法債務者)と扱った。諏訪組合は建て替え反対者に実際に損失補償すべき額の3分に1程度の供託金を供託しただけで、その財産を奪ってしまった。供託金の評価は市場原理の基づかなければ、正当の取引(補償)とすることはできない。正当な補償額の3分の1の供託金で補償額を正当化する国家は、資本主義・自由主義国家の国是に反する全体主義国家である。

諏訪組合は、建て替え事業に対する反対者を建て替え事業の妨害者と非難し、妨害者に対する罰則措置として強制立ち退きの代執行を計画した。諏訪組合は代執行の実施を建て替え賛成者やジャーナリズムに宣伝したうえで、東京地方裁判所と立川支部の執行吏を使って、建て替え反対者を仮住居も準備しないで強制的に自宅マンションから叩き出した。真夏日の続く平成11年8月11日から10日間、野宿を余儀なくさせた。二人は建て替え事業の被害者であって、加害者は諏訪組合であり、関連する行政および司法機関である。

諏訪組合は憲法に違反し、円滑化法を解説したマニュアルに違反して、建て替え反対者の基本的人権を犯し、財産権を奪い、40年以上掛けて築いてきた人生の生活設計を破壊してしまった。マニュアルでは建て替え事業により泣く人が生まれないことになっているにも拘わらず、円滑化法第4条第2項第五号の規定を蹂躙して無辜の市民に犯罪者扱いをしてきた。現実に人権を侵害する事件にまでなった理由は、法律を施行する行政と、行政処分を法に照らして裁くべき司法がまともに機能せず、弁護士が違反を正当化したためである。国民の税金で賃金を得て国民を守るべき立場の多摩市職員は、諏訪組合と一緒になって二人の市民を見殺しにし、諏訪組合と東京建物㈱の利益のために加担してきた。

行政や司法は制度としてしっかりできているにも拘わらず、憲法に照らしても、ありうべからざる事故が発生した理由は、行政官、司法官ら公僕のモラルが喪失し、人間的判断力を失い、行政や司法の不正行為を実施する歯車になり、間違った決定に盲従したことによる。結果的に不正を幇助した行政官、司法官は、いずれも間違った経済主義の片棒を担ぎ、政治献金をする業者の利益増大に加担し、税収増の業績を上げ、立身出世を優先させ、国民の僕である公務員の成すべき義務を果たさず、不正に加担し・幇助し、容認しているためである。

第1章.マンション建て替え円滑化法違反で進められた建て替え事業

法律上の建て替え決議の存在しない建て替え事業
建て替え事業に最後まで反対を貫いた二人の組合員は、東京都知事がなした建て替え組合の認可(第9条)が円滑化法で定める建て替え組合の認可の基準(第12条)に違反することを法律に照らし違法であることを確認してきた。そこで国土交通大臣に対して、東京都知事による建て替え組合認可は実体の存在しない「建て替え決議」を根拠になされた認可であるから、その認可処分の取り消しをするよう行政不服審査を請求してきた。

また、その建て替え組合認可処分は、認可条件自体が不存在の組合に対して成されたものであるから無効であることの審査請求をした。即ち、強制権を有する建て替え組合を東京都知事が認可したことは円滑化法に違反するものであることを国土交通大臣に証明し、建て替え組合認可の処分を取り消すように国土交通大臣に不服審査請求をした。

円滑化法で強制権を付与できる建て替え組合の認可の基本的な条件である平成14年建物区分所有法第62条で規定する「建て替え決議」は、マニュアルで定める「建て替え決議」のことである。本事件における「建て替え決議」は、同じ名前の決議ではあるが、円滑化法制定関連改正前の昭和58年建物区分所有法の「建て替え決議」であって円滑化法(マニュアル)に定める「建て替え決議」の実体を有するものではない。

円滑化法により強制権を得ようとした本事件には、法律で定義したとおりの「建て替え決議」は存在しない。円滑化法に基づく建て替え事業をする際の建物区分所有法で定めている「建て替え決議」は、マニュアルで定めた「建て替え決議」以外に存在するはずはない。諏訪組合が言うような円滑化法制定前の昭和58年建物区分所有法は、すでに存在しないだけではなく、「建て替え決議」の名称を冠して80%以上の賛成が得られれば、それで強制力が与えられるというようなものではない。

行政機関内部での法律違反の隠ぺい工作
このように建て替え決議自体が存在しないことを審理の対象としないで、強制権を持つ建て替え組合の設立を東京都知事が認可すること自体あってはならない。「建て替え決議」だけではなくその前段階に国庫補助金の交付条件となった法律上の実体のあるマニュアルに定められた「建て替え推進決議」も存在せず、名称だけのニセ「建て替え推進決議」であった。その決議を根拠に諏訪組合は、5億1,270万円の国庫補助金を詐取したのである。

国が不正な国庫補助金の交付を計画し、不正な国庫補助金申請文書の添付を指示した。それを根拠に不正を承知の上で国庫補助金を交付してしまえば、それを不正であると指摘しても、国土交通省担当室長は、補助金交付申請に添付された書類は厳密に審査され、補助金交付には不正はなかったと言う。申請書に対応する事実関係資料を開示しなければ、詐欺行為の不正を証明することはできない。国家が幇助した国庫補助金詐取事件に対して、国民の訴えに対して裁判所が事実調べをしないで行政の不正を幇助したら、現実に目的外に使用された5億円強の税金も闇に消えていくことになる。

国土交通省の円滑化法関連補助金交付担当室長は、国庫補助金の不正申請を問題にした諏訪組合員の不正追及に対し、自らが違法な補助金申請を教唆しておきながら、白々しくも、次のように開き直った。「申請書には建て替え推進決議の総会決議が文書が添付され、それは多摩市、東京都、国土交通省関東事務所の書類審査を経ている。国土交通省がその審査を疑って、それ以上の不正追及をすることは無理である。」添付書類がマニュアルで定められた「建て替え推進決議」を実際に行ったこと証明することは、調査権のない一般市民には不可能である。

行政権者が違法を承知で行政処分を行った場合、その不正を明らかにすることは会計検査権、警察権、または、徴税権かを使わない限り至難である。国が率先して不法行為を指示した本事件の場合、行政及び司法は、違反の事実が審査の対象にならないように、自らに降りかかる火の粉を払い、問題の本質を逸らして、住民の追及を門前払いすることが行政及び司法により過去にもやられてきた。

司法が本事件の真相オ解明する気になれば、裁判官が法廷において司法権を使い、「建て替え決議」及び「建て替え推進決議」の実態を諏訪組合、多摩市長、東京都知事、または、国土交通大臣のいずれかにも明らかにさせる命令をするだけで、たちどころに明らかにできることばかりである。しかし、裁判官は行政事件では常に行政に追従し、司法・行政と一体となり不正を庇い合い、両者にとって能率の良い業務を進めてきた。

国土交通大臣への不服審査請求で住宅局内の裁決の稟議権を有していた国土交通省住宅局審議官(担当室長:現在、住宅局長)ガ、その職を制度どおり稟議で決済をしていれば、不正の露見を妨害したことは想像に難くない。平成16年当時、担当室長は、国の不正を究明する諏訪組合員に対し、「建て替え反対組合員がこの事件で国土交通省の違法事実を明らかにすることは不可能である。しかし、仮に本事件に不正があっても、私はその立場上不正を追及させないし、解明はさせない」と断言した。

そのため、担当室長に面談した建て替え反対の諏訪組合員は、行政機関の組織犯罪の証拠集めの難しさのため、担当室長を相手に行政事件訴訟を争うことをあきらめ、情報公開が比較的容易な多摩市長を相手に地方自治法に基づく国庫補助金適正化法違反の行政事件を提起した。

行政処分の不当を司法の場に持ち込んだ行政事件訴訟
東京都知事が諏訪組合の申請した建て替え組合認可申請に認可を与えた。その認可に対し、建て替え反対者からマニュアルに適合しない建て替え決議を、適合したとする詐欺の事実があると不服審査請求だされた。その審査請求に対し、東京都知事は事実調査をせず、理由を示さないで却下した。このような不当な行政処分は、諏訪組合の不正な建て替え事業は東京都知事による詐欺幇助でもある。

審査請求は、詐欺幇助の事実を指摘して国土交通大臣に、東京都知事による組合認可処分に不服審査請求をしたのである。だから、国土交通大臣になされた審査請求は、法律で定めている東京知事段階で行うことのできる不服審査請求内容とは違った法律で定められた決議自体の不存在を問題にするものであり、審査請求人の審査請求内容に答える裁決がなされなければならない。

しかし、国土交通大臣はこの犯罪行為が円滑化法の施行窓口である担当室長の教唆で行われた住宅局の組織ぐるみの犯罪であることを知っている立場にある。そこで国土交通大臣はその犯罪を隠ぺいするため、審査請求人の請求内容を逸らした裁決を行った。行政不服審査請求は行政処分を行政自体の内部において是正する内在的な制約機能である。

つまり、行政不服審査は行政自体の自浄作用能力ともいうべきものである。そこで建て替え反対者は、国土交通大臣の不服審査請求に対する裁決を見て、国土交通省は自ら犯罪に手を貸していて、手が汚れてしまっていた。「クリーンハンドの原則」が機能していれば、犯罪に手を貸したダーティハンドの人は関係した行政処分に参加させた。国土交通省はこの事件の発端となった担当室長を不服審査請求の採決稟議を決済する立場から外すべきであった。

そこで建て替え反対者は三権分立の民主国家の制度を生かし、行政庁による処分の不正を司法の場で争うことにした。東京都知事が行った建て替え組合認可が法律に定めた実態のないにもかかわらず、それを法律に定めた事実関係を調べないで容認した国土交通大臣の裁決結果は間違であった。東京都知事の行政の違法処分を取り消すよう行政の最高機関である国土交通大臣に行った不服審査請求を却下したのは、行政自身には浄化能力はない証明である。よって、争いは司法の場に移し国土交通大臣の行政処分の取り消しを求める行政事件訴訟を提起した。

諏訪組合の東京地方裁判所立川支部に対するマンション明け渡し仮処分申請は東京都知事の建て替え組合の認可を根拠に動き始めた。認可の正当性が行政事件訴訟で係争中であっても、行政事件裁判で認可処分が間違っている決定が下されるまでは、認可処分の効力は維持されるとされるその行政事件訴訟の係争中に、東京都知事の建て替え組合が認可され、認可を根拠に、建て替え事業に反対する組合員の財産を強制的に取り上げる強制代執行が東京地方裁判所立川支部の支援を得て執行された。

不当な公定力の行使を積極的に認めた東京高等裁判所
違法な処分が公権力により維持されることを一般に、「公定力」の講師と呼ぶ。公定力は、「公的権力は基本的に悪をなさない」前提のもとに、公権力の成した処分には、それが処分庁、その処分庁の上級機関、または、司法により法律上間違っていたとする判断が出されるまでは、法的に処分が効力を持つことを言う。

公権力が違法であったと司法上の判断が出されたときは、国家賠償補償法により国家が処分により発生した損失を補償することになる。しかし、公権力によって成された違法行為は既成事実として容認されることが多く、一旦成された既成事実が元に戻されることは、「不経済」を理由にほとんどない。もちろん関係した公務員はテフロン加工されていて、よほどのことがない限り罰則を受けることはない。公定力ほど行政官を無責任にしているものはない。

耐震偽装事件でも示されたとおり、耐震偽装をしたと国土交通省から告発されたヒューザー小嶋社長は、「建築確認審査に合格したから建設しただけで、確認されなかったら建築していなかった」と証言している。政治家と官僚と深い関係があった指定確認検査機関が、建築確認を業者と癒着して不正に行っていたことが常習化していた。その責任を、小嶋社長をスケープゴートにして問題をすり替えてしまった事件である。

問題発覚当初は公定力を持ち出し、国は官僚と深い関係のあるシテイ確認検査機関の犯罪の追及が行われないように違反建築の調査をサボタージュした。しかし、世論の盛り上がりにより、政治的にそれができないと分かると、一変して、国土交通省の建築行政関係者は加害者でありながら被害者の顔を決め込み、スケープゴートを血祭りに上げる一方で、「行政の責任」を「法律の責任」に転嫁した。つまり、行政の不正を法律の不備ということにして、間違った法律改正を実施した。

公定力は行政責任を追及させないで既成事実を積み上げるために利用してきた。違法な確認を容認してきた特定行政庁の責任を指定確認検査機関の行政責任を問題にせず、間違った責任転嫁として建築基準法を改悪した。この法改正では耐震擬装は防げないことを関係者全員知っていていた。

小嶋社長を告発した国土交通省は、さすが建築基準法を根拠にした告発が恥ずかしかったのか、国土交通大臣、住宅局長、建築指導課長は、この事件での建築基準法施行責任は避けられなかったため、薮蛇になることを怖れて、建築基準法違反が主たる問題であったにも拘わらず、建築基準法で違反の告発をせず、宅地建物取引業法で告発した。

諏訪組合は公定力を根拠に、東京都知事がなした建て替え組合認可で建て替え事業に対し強制権が付与されたとして、供託金を供託したことを根拠に、東京地方裁判所立川支部にマンション明け渡し仮処分断行決定と、所有権移転登記の実施を要求した。諏訪組合は、東京都知事から建て替え組合認可を得たとしても、建て替え事業に反対する組合員の財産権も財産自体を勝手に扱うわけには行かない。

不動産登記法による所有権移転登記手続き
諏訪組合は、不動産登記法に基づき所有権の移転と、マンション自体に手をかけるためマンション自体の権原を得るため司法による処分を必要としている。東京地方裁判所立川支部は東京都知事の建て替え組合認可と供託金の供託を根拠に、不動産登記法で守られた所有権の移転登記が認められていない状態で、諏訪組合の求めた2人に老人のマンションの明け渡し仮処分断行を決定した。そして、仮処分決定を成したことを根拠に、2人のマンション所有権が依然二人のものであることが不動産登記法上保障されている状態で、明け渡し断行仮処分決定の僅か1週間後、二人に移住する住居も提供しないで追い出した。

諏訪組合は所有権移転登記訴訟に関し、東京高等裁判所における控訴審での審理中に、不動産登記法第15条の規定によれば、二人の組合員の登記を行うことの承諾か、又は、裁判所の決定がなければならないことになっている。諏訪組合は不正な手段で法務局多摩出張所に変更登記申請を提出した。諏訪組合は所有権移転登記に関し東京地方裁判所立川支部の1審判決が出された直後、二人の老人はその判決に納得できず、控訴した。つまり、その判決は確定したものではない。

諏訪組合は判決が確定しないことを知りながら、法務局多摩出張所に対し、裁判所の所有権移転登記の判決が出されたとして所有権移転登記を行った。2人の組合員は東京地方裁判所立川支部の明け渡し断行仮処分の決定が、所有権移転登記裁判が係争中に行われるとは予想だにしていなかった。不動産登記法で守られているはずの所有権に不安が生まれたので登記官に面会し、その不安を述べ、登記官からは不動産登記法により二人の財産は守られていると説明され安心した。

登記官は二人の老人から、その事件が係争中である説明を受け、組合との間での所有権移転の合意ができておらず、及び所有権移転訴訟に関しては控訴している説明を受け、不動産登記法第15条の要件を具備していないことを知る立場にいた。それにもかかわらず、登記官は、諏訪組合が成した変更登記の手続き内容が法律に定めて正しく行われたとみなし移転登記を行い、二人の不動産が諏訪組合のものになったとした登記簿の写しを法廷に提出した。

資料を受け取った東京高等裁判所裁判長は、諏訪組合代理人弁護士に対し、訴訟の取り下げを原審に遡ってするように指示し、諏訪組合代理人弁護士は裁判長の指示に従い、不動産移転登記の訴えの取り下げを受け入れた。一方、登記官のなした不正な登記に対する行政不服審査に対し、法務大臣は、申請書に不備はないから却下と言う採決をしてきた。要するに虚偽の申請であっても申請文書が整っていれば登記官は免責にされ、「騙したもの(諏訪組合)が勝ち」になる。

諏訪組合にとり二人の所有権を組合に移転させない限り事業ができないから、諏訪組合から提訴されたことを担当した裁判長が知らない筈はない。二人のマンションの所有権を諏訪組合が取得しない限り、憲法29条の関係で建て替え事業自体できないので、組合が所有権移転訴訟を提起した。諏訪組合は東京都知事の建て替え組合認可という公定力を濫用し、二人をそれぞれのマンションから追い出し、取り壊し、マンションの滅失届けを法務局に行い、不動産登記法状の所有権の移転を二人の老人の了解無しに行い、登記完了謄本写しを法廷に提出した。

控訴審の突然の中止と、原審に戻っての裁判自体の不存在宣言
控訴審の裁判長は、不動産登記法上の登記完了の登記簿謄本が存在するから所有権移転裁判を継続する理由はないという理屈で裁判を打ち切った。原審に遡って訴えを取り下げることは、所有権移転されていない段階で他人の財産を無断で取り壊した。違法行為でも適法に完了すれば違法性は阻却される。それでは、結果さえ適法にすれば違法な手段は容認できるという事業には疑問は深まるばかりである。控訴審裁判長は所有権移転訴訟で原告が原審に遡って訴えを取り下げ、諏訪組合が違法状態でマンションの強制取り壊しをしたことをどのように考えているのか。

裁判長は「原審原告の訴えの取り下げ」を認め、二人の組合員に対して、「この裁判は原審に戻って訴えが取り下げられたことにより訴訟自体が存在しなくなったので、控訴人のなした控訴も存在しなくなり判決は出せなくなった。ここで閉廷をするので退席せよ」と二人の老人組合員控訴人に命じた。狐につままれた控訴人の老人2人が立ったまま放心状態でいると、裁判長が声を荒げ、「二人の控訴人はこの法廷からでて行ってくれ、裁判は終わった。判決は出ない。」と控訴審費用を支払った控訴人に怒鳴った。裁判長は自身が公僕と思ってはいない狂人なのである。

諏訪組合が訴えを起こし、裁判所がその訴えを適法なものして受付け判決をした。その判決を不当として被告が控訴し、東京裁判所が適正な裁判として受け付けた裁判の途中で、「裁判は必要なかった。」といって、「原審に遡って訴訟自体がなくなった。」と裁判長が宣言した。裁判費用は普通の社会常識では払い戻されるべきである。説明責任を果たさない裁判により控訴を余儀なくさせられ、原審の50%高い裁判費用を聴取されたからである。裁判に大きな時間を割かされ、大きな負担をかけられた訴訟人に対する損害はどうなるのか。裁判所が訴訟人に不当に押し付けた負担を裁判所は損害賠償をするべきではないか。常識では考えられない国民を足蹴にかけて平気な裁判がまかり通る国が日本なのである。

建て替え事業反対者に対する見せしめ
建て替え事業が始められ、既存マンションの取り壊しが始まったとき、マンションの事前調査そのものが基本的にやられておらず、取り壊し段階でアスベストが大量に使用されたマンションであることが判明した。アスベストは鉄筋コンクリート造住宅にも、安価で耐火、断熱などの性能を持つ材料として広く利用されていた。しかし、旭化成ホームズ㈱が国庫補助金を受けて調査し作成した建て替え事業計画では、アスベスト問題は指摘されていなかった。それが実際の工事段階で発見され、工事は大幅に遅延した。

諏訪組合は、その失態を建て替え推進組合員から指摘されるのを怖れ、アスベスト問題は小さな問題であるとし、事業を遅延させている主たる原因は二人の老人が建て替え事業を妨害しているためと問題すりかえて説明し、批判を二人の組合員に向けさせた。遅れた工事は建て替え事業反対者にあるとして、彼らを強制排除する意思を二人に対する強制代執行で示すことになった。

平成23年8月11日、その住宅団地に多数の入居者がまだ生活していた段階で、諏訪組合は建て替え事業に反対している組合員二人の老人を、「建て替え事業を邪魔する者である」と狙い撃ちし、適正な損失補償をしないで強制的に叩き出した。自宅マンションからこの強制執行は、「事業を推進するための気勢を上げるための雄叫び」の示威事業として実施された。

国土交通大臣による審査請求の裁決がなされていない段階で、二人は自宅マンションから叩き出された。二人の老人は、「まさか、裁判所までが法律違反を容認し、組合の言いなりになることはないと信じ、明確な法律違反を犯した事業で明け渡し断行などできるはずはない」と固く信じていた。仮に、円滑化法に適合した事業だとしても、組合員の生活を守るという法律の立法趣旨及び目的並びに第4条の条文から考えて、全く引越しの準備をしていなかった。

二人の老人に、明け渡し仮処分の決定の1週間後に、一切の猶予を与えないまま、強制執行が実施されるとは予想もしなかった。しかも、強制執行は諏訪組合が建て替え事業の正当性を社会的に宣伝するために用意周到に準備し、予め、多摩市にも、ジャーナリズムに強制立ち退きの実施を事前宣伝し、東京地方裁判所立川支部の執行吏の手で、約30人もの作業員が同行したカメラの回る中で強制代執行が実施され、行く当てもないままマンション外に放り出された。

法律蹂躪の行政に迎合した司法処分

二人の老人は、裁判所の明け渡し仮処分断行の決定に対し異議申し立てを行い、強制執行に対しても執行中止の仮処分申請をし、そのいずれも裁判所で受理された。しかし、執行吏は二人のマンションにやってきた際、既に裁判所に受理されている異議申し立て及び執行猶予の仮処分申請の文書に対する回答もせず、執行をする上で必要な文書も提示せず、身分証明書の提示もせず、二人の老人の抗議に全く耳を傾けることもなかった。この組合による仮居住の場を提供しないで行う強制執行自体円滑化法第4条第2項五号を説明したマニュアルに違反するものである。

裁判所の執行吏たちは二人のマンションに立ち入る許可をマンション所有者から受けることなく実力行使で侵入し、有無を言わさないで二人の老人をそれぞれの自宅マンションから追い出し、家財道具を全て梱包してどこかに持ち出してしまった。その結果、一人の79歳の老人はビジネスホテルに緊急避難したが、住宅を見つけることの出来なかったもう一人の84歳の老人は、真夏日の続くその日から10日間に亘る野宿を余儀なくされた。

二人の老人は多摩市民であり、東京都民であり、納税義務を果たしてきた住民である。代執行が行われることは、東京都も、多摩市も事前に通知を受け、承知していながら、諏訪組合の好きなように不法行為を容認した。その理由は、東京都も多摩市も不正な建て替え事業の片棒を担いできたからである。東京都および多摩市には、民生や福祉の行政部門があり、人件費を含め巨額な予算を使っている。その費用の一部はこの被害者も負担している。

二人の老人が住宅管理組合からマンション明け渡し仮処分と不動産移転登記裁判を受けた時点から二人を支援する人もなく、雇用する弁護士もそのための支出できる費用もないという困窮した状態が始まっていた。東京地方裁判所立川支部の強制排除が成されたとき、これまで一貫して支援者してきた筆者は、地方に出張していて立ち会えず、帰京したとき、住宅管理組合、多摩市、法務局、人権擁護委員会、東京地方裁判所立川支部、そのいずれに問い合わせてみても二人の行方を知っている人はいなかった

第2章 マンション建て替え事業の本質:欲に絡んだ不正事業

「建て替え事業ありき」の業者との癒着
建て替え事業は組合員の建て替え要求を実現するのではなく、諏訪組合が建て替え事業を高い利潤をもたらす事業として実施したがっている業者探しから始められた。当時、戦前に造られ有名人の居住する江戸川アパートの建て替え事業を成功させた旭化成ホームズ㈱は、政府が建て替え事業を進める政策と対応し、建て替え事業専門業者として売り出していた。

政府は地価高騰を都市再開発として利用する政府のスクラップアンドビルド政策や、不良債権を良債権化する都市再生政策を進めていた。NHKは政府の建て替え推進政策に平仄を合わせた江戸川アパート建て替え事業をTV番組で取り上げた。旭化成ホームズ㈱は一つの建て替え事業をしただけでNHKの放映番組を利用して、建て替え専門業者として社会に売り出しに成功した。

建て替え事業を熱望する諏訪組合が、建て替え事業を本格的に取り組もうと旭化成ホームズ㈱の営業説明会に出席し、両者は一気に意気投合した。旭化成ホームズ㈱は説明会後、諏訪組合が建て替え事業のすべてを旭化成ホームズ㈱に任せれば、旭化成ホームズ㈱は期待通りの成果を実現することを約束した。そして諏訪組合は、暗黙裡に建て替え事業者にすることを前提に、当面コンサルタントとして建て替え事業の指導をすることが約束された。コンサルタント契約は諏訪組合の理事会や総会の決定も一部の理事が組合員には既定事実として事後報告された。旭化成ホームズ㈱は諏訪組合を完全に指導する立場に立ち、必要な予算をコンサルタント料として受けることになった。

旭化成ホームズ㈱は、当初から江戸川アパートの建て替え事業実績を宣伝し、実績を背景に建て替え反対者を切り崩すと諏訪組合に約束し、コンサルタント契約を結び、全ての事業を指導した。必要な費用は最初から国庫補助金を得て行うことにし、国庫補助金を得るまでの間、諏訪組合からのコンサルタント料を使い、最初は国庫補助金の不正申請の指導と、組合員に旭化成ホームズ㈱を建て替え事業者としての宣伝し、NHKの記録番組を利用し江戸川アパート建て替え事業で肌理細かいサービスをやってきたかを宣伝した。

担当室長は住宅局の外郭団体(社)日本住宅協会機関誌「住宅」編集委員会主査の地位を利用し、旭化成ホームズ㈱に頻繁にマンション建て替え専門業者の宣伝記事を執筆させ、事実上営業宣伝の機会を与えた。この機関紙は全国の地方公共団体に対し住宅局の事業、予算、法律制度その他仕事を紹介する月刊誌で、そこに掲載されることは民間企業にとって国が裏書をした業者と言う信用を与えるものである。担当室長と旭化成ホームズ㈱の親密な関係を説明するものである。

国庫補助金に支えられた違反建て替え事業

旭化成ホームズ㈱は国土交通省の担当室長の実績造りの欲望と結びつき、国庫補助金を騙し取ることに成功した。国庫補助金の詐取に成功してからは、諏訪組合は旭化成ホームズ㈱の指導どおり、円滑化法の枠組みを利用し国庫補助金を受け建て替え事業を実施した。円滑化法にこだわった理由は、同法が経済主義のもとに潤沢な国庫補助金が交付されることと、強制事業として建て替えを実施できる方便を手に入れるためであった。

円滑化法どおりの事業をするつもりならば、円滑化法第4条に定める基本方針を具体的に国土交通大臣が解説した二つのマニュアルで定めた手続きを踏むことが必要となる。マニュアルに定められたとおりに事業を行おうとすると、諏訪組合自体で組合の予算でマニュアルに定めた建て替えか、修繕かを決定するための独自の事業計画の策定が必要とされた。しかし、諏訪組合は法律で定めたマニュアル通りの作業をする意思はなく、予算措置もしなかった。そして、法律に定めた民主的な組合員の合意形成に必要なマニュアルで定めた手続きを一切割愛して、即座に建て替え事業計画作成を始めるために使える補助金を詐取しようと画策した。

円滑化法どおりの事業をするとすれば、マニュアルで定められたとおりの方法が取らなければならない。円滑化法では諏訪組合はマニュアルで定めた方法で、修繕か、建て替えかを決定するための検討を組合自身の費用を使って実施し、それが完了した成果に関し、組合員が今後は、建て替えに絞って検討をすることを「建て替え推進決議」したとき、はじめて建て替え事業に絞った事業計画の検討できると定めている。

建て替え事業計画を作成は権利関係が変更するため、事業計画の作成は私有財産権の変更を左右する。それは憲法第29条に定める私有財産の保障に関することであるから、十分詳細な部分まで決めることが必要となる。しかし、諏訪組合では、マニュアルで定めた組合の費用で行うべき修繕か、建て替えかの検討は全くしなかった。諏訪組合は担当室長の教唆もあってのことではあるが、円滑法を遵守する気持ちなど毛頭もっていなかったのである。

諏訪組合が総会でマニュアルに定めた実体のない「建て替え推進決議」をした理由は、国土交通省担当室長から名称としての「建て替え推進決議」が国庫補助金の申請条件とする違法な教唆が与えられたからである。つまり、諏訪組合は担当室長の教唆があったとはいえ、国庫補助金申請をするためにマニュアルで定めた修繕か、建て替えかに関する調査検討をしなければ、「建て替え推進決議」ができないことを知っていて、補助金を詐取する目的を実現するため、マニュアルで定めた実体を持たない名称だけの建て替え推進決議を行った。

円滑化法と国庫補助金の関系
円滑化法の立法に当たり国土交通省住宅局長は、衆参両議院の建設委員会に政府委員として出席し、建て替え事業計画の作成が私有財産の変更内容を決定するから、建て替え事業計画の作成は十分慎重かつ精密に行うべきことの必要性を強調した。そのうえで、建て替えの事業計画を作成するために、国も優良建築物等整備事業補助金を適用できるよう、事業計画作成費用に国庫補助金を3分の2補填し、事業準備段階での検討不足により、組合員が事業途中で事業計画の変更等の反省することのない建て替え事業計画を作成させることにしたと答弁をしている。

優良建築物等整備事業費補助金の補助金申請条件は、マニュアルで定めた「建て替え推進決議」がなされていることを条件とすることが定められた。それは組合員の建て替え事業への取り組み意思の合意形成を確認して進めことになるとともに、住宅管理組合自身が相当額の費用負担をすることで、補助金依存のもの取り主義を廃止し、建て替え事業に絞って検討する組合の真剣さを確かめ、補助金の無駄遣いを制限する歯止めの機能を期待したものである。

しかし、諏訪組合ではそれまでにマニュアルに定めた検討は全く実施していなかった。「建て替え推進決議」に必要な作業を行うためには、最低1年間の準備作業は必要とされた。マニュアルで定めた準備作業に必要なお金を惜しんだ諏訪組合は、旭化成ホームズ㈱の過剰な自信と担当室長からの不正な補助金交付の教唆も相俟って、建て替えに向けての合意形成の手続きを全て省略し、一気に国庫補助金を詐取し、建て替え事業計画に取りかかった。諏訪事業の場合、本補助制度が危惧したとおり、補助金を利用した違反建て替え事業として進められた。

国土交通省官僚による不正教唆と政官癒着の構造
担当室長はマンション建て替え事業費実績成果を挙げるための補助事業候補地探しをしていた。担当室長の実施した国庫補助事業は、単に補助金を補助条件を無視してばら撒く違法なやり方でマニュアルで定められた建て替えに向けての合意形成義務が補助金申請条件から外され、補助金申請は専ら金取りが目的になった。補助事業の配分には政治家が「箇所付け」と言って対象事業の選定に関与したがり、官僚はその見返りに円滑化事業予算に対する補助事業費の拡大や官僚の人事上の引きを代償に求めてきた。

建て替え事業者として事業をすることを諏訪組合から内定されていた旭化成ホームズ㈱は、官僚の意向を受けて多摩市を選挙区に持つ代議士に政治献金をさせ、代議士に恩を売ることになる。この関係は暗黙裡の了解で行われる。官僚と政治家との関係は、行政が実施したい行政に対し政治家に法律及び予算法関連で協力を要請し、その合意で事業が展開するときには、その事業関係で配分した補助金が事業を実施する業者を経由して政治家に合法的に献金される。それを政治家が催促しないとできない官僚は「小者でだめな官僚」だとされてきた。

分かり易く言えば証拠を残す金銭の授受は、政治家の政治生命にとって致命傷となる。政治家は国会での質問や議決権を利用して官僚の行政に影響を与え、官僚の人事に影響を与えることになる。それを「政治主導」という。それに対し、官僚が政治家を手玉にとって、政治家に政治献金が行くようにするから、官僚の言うように政治家を動かすことを「官僚主導」という。いずれも証拠を一切残さないで「阿吽の呼吸」でおこなわれないと政治家および官僚双方に禍根を残すことになる。それができる官僚を「能吏」と言い、政治家に信頼され、将来政治家を目指すことも多い。

官僚は自分の金ではないが、補助金は自分の腹が痛まない自分の支配できるお金と考えている。官僚側から見ると補助金により業者を経由して政治献金が流れる仕組みを作ったのに、官僚の要求にこたえることのできない政治家は役に立たない「小者の政治家」ということになる。官僚にとっては補助金という自分の腹の痛まない巨額の資金を自由に配分できるわけであるから、官僚の意向に従わない政治家は「使ってやらないだけだ」と考え、このような政治家には政治資金が流れないように資金の流れを止めることになる。

建て替え事業を金儲けの手段と考えた旭化成ホームズ㈱と諏訪組合の円滑化法への関心は、衆参両院で弱者保護の付帯決議が付けられた。そのことは表向きの決議を理由に、巨額の国庫補助金を投入することになる事業は、業者にとっては甘味のある業者への利益供与の国策的事業法である。円滑化法はまた、大事業への成長が見込まれる制度で事業成果を上げ、巨額の補助金を使い業界に利益を誘導する可能性が高いと見込まれた。国土交通省の担当室長は、それを見込んで建て替え事業に群がる国会議員らの利権を国庫補助金の配分で潤し、政治家や業界に利益を供与しコネクションを強め、官僚の立身出世と村の利益の道具にしようとした。

国民の税金を遣った不正な金儲け目的の諏訪組合の建て替え事業は、諏訪組合は全事業計画費用の3分の1の負担のみをし、予定された建て替え業者が全く費用を負担しない事業、つまり、全て国民の税金負担で実施する国営事業として動き始めた。この事業に国庫補助金が支給されなかったら、諏訪組合には急進的建て替え推進者が多数いても諏訪組合の事業はびくとも動くことはなかった。諏訪組合には高齢化し、そのまま住みつづけたいと願っている人多く、その人びとの反対を押し切って、修繕か、建て替えかを判断するための調査作業のために、相当額の組合費を支出してまでマニュアルに定めた調査を実施する努力する者はいなかった。つまり、マニュアルどおりの建て替え合意を形成する手続きを経たならば、実現できなかった事業である。

また、旭化成ホームズ㈱は費用を負担して依頼してくれない事業に、事業化見通しが未知の建て替え事業のために、自社のリスクを掛けて取り組むことはなかった。国庫補助金の交付がない限り、諏訪組合も建て替え希望事業者も建て替え事業に向えなかった。結果論から言えば、本事業は官僚が国庫補助金を不正に交付し、不正業者に違反をさせ、補助金を不正に使うことでできた不正な建て替え事業である。

国家が率先して補助金の不正交付を促した事業
住宅局担当室長は建て替え事業が可能であれば、マニュアルに定めた手続きに違反しても、建て替え事業計画に関し80%以上の賛成が得られるならば、実施してもかまわないと判断した。その理由は、補助金交付条件としての「建て替え推進決議」段階では、建て替え反対組合員に実害を与えていないので、違法状態で事業が始められても、事業に対する訴えは起きないと考えた。国庫補助金を潤沢に供与し建て替え反対者を抑え、建て替え計画に追い込み、「建て替え決議」段階で80%以上の組合員の賛成が得られれば、その段階で違法性は阻却されると判断した。

官僚は公定力を利用して、官僚が意図した行政目的を実現する国庫補助金の交付や行政処分を実施し実績を積み上げ、既成事実をでっち上げ、法律違反をあたかも適法な事業のように実施してきた。補助金を不正に交付した事例は無数にある。しかし、個人的に着服すると言った官僚間で許せないとされる場合以外で、「村の利益」になることであれば、組織的に不正を隠蔽することがやられてきた。官僚の不正隠蔽体質である。会計検査院が財政支出を厳しく監査することになっているが、そこで各省の利益に矛盾する検査が行われれば、検査院のOBの再就職に邪魔されるため、会計検査も基本的に馴れ合いで行われる。全て護送船団の予定調和の枠組みで動いている。

担当室長は、東京都及び多摩市長に出掛け、補助金を受け入れる制度の受け皿のなかった東京都及び多摩市長に対し、補助金の受け入れる制度要綱の制定準備を強力に要求した。そして形式上の書類が整えば、法律に定められた実体が存在しなくても、国庫補助金は支給するという不正な指導を行った。旭化成ホームズ㈱は、その国の補助金の不正な詐取の指導どおり諏訪組合を指導し、優良建築物等整備事業補助金の国庫補助金申請を行わせた。

住宅局官僚の意向を担ったコンサルタント
担当室長の意向を受けた旭化成ホームズ㈱による指導に従い、組合理事会はマニュアルに規定された検討作業をしないで「建て替え推進決議」を行い、補助金申請条件を整備した。不正な「建て替え推進決議」を実施する方法として、組合員には「名称だけの建て替え推進決議」を総会決議としてすれば、国庫補助金が交付されると総会で説明した。

担当室長の不正な教唆に従った旭化成ホームズ㈱の指導どおり、理事会は組合員を騙し、名称だけの「建て替え推進決議」を総会で決議させた。その決議の文書を得て、諏訪組合はそれを国庫補助金申請書に添付し、優良建築物等整備事業補助金申請が行われた。補助金申請は間接補助事業であるので、諏訪組合の国庫補助金申請を受けて、多摩市長が東京都知事を経由して国土交通大臣に申請された。全て制度上の手続きだけは形式的に踏襲し、仮に指摘されることがあっても、形式的に合法であれば、「軽微な瑕疵」と検査する側に言い訳を与えて不正幇助しやするすることがやられる。今回行政不服審査事件や行政事件訴訟法の事件として提起されたことに対し、全て、形式が整っていることを理由に行政も司法も不正幇助してきた。

国が事業費全体の3分の一、東京都と多摩市がそれぞれ6分の一、諏訪組合が残りの3分の一を負担するという補助制度である。国庫補助申請は、担当室長の約束通り、補助金は多摩市に交付され、多摩市から住宅管理組合に対し事業費の3分の2が交付された。その費用は、「建て替え決議」の前提となる建て替え事業計画自体を作成する事業費で、事業計画段階の予算総額は、約5億円強の国庫補助事業として実施された。不正が国の指導で行われたため、国、東京都及び多摩市の関係者が全員で不正を隠蔽することになる。そのうえ、現在さらに、事業段階で、27億円の違法な国庫補助金が不正に交付され続けている。

国庫補助金の不正申請に加担した多摩市長
補助事業は諏訪組合と旭化成ホームズ㈱との間で建て替え事業者になる裏約束がされた。旭化成ホームズ㈱が諏訪組合に国の指導に従った違法な補助金申請手続きの指導を行い、旭化成ホームズ㈱に対しては、建て替え反対者の切り崩し業務と、建て替え事業計画の作成が委託された。諏訪組合が多摩市に提出した国庫補助申請には、国庫補助金申請の前提として総会決定も理事会決定も無しに国庫補助金申請がなされたことに、一度は、多摩市から疑問が投げ掛けられた。

諏訪組合は国庫補助金の申請をする段階まで、諏訪組合自体が建て替えに絞って事業計画を検討する総会の意思決定をしていなかった。そのため、国庫補助金が優良建築物等整備事業補助金であって、円滑化法第4条基本方針の内容を定めたマニュアルに従って実施することを組合員に話せなかった。建て替え事業は組合理事に支配され、総会決議も理事会決議もなしに建て替えを推進していた。理事会は補助金を詐取するため身内を欺いていたのである。

諏訪組合は総会の議決も理事会の議決もなしで、諏訪組合を代表する理事長名での国庫補助金申請をする重要決議事項自体を、諏訪組合の決議執行者の理事長件権限のみで行うことは、建物区分所有法上ありえないことである。理事長が総会の決定無しで行った補助金申請は無効とされなければならない。そのような法律上の正式な手続きとしてはおかしいという多摩市の疑問に対し、組合は苦し紛れに、諏訪組合理事会は、多摩市に次のような回答を行った。

「意思決定原義」と組合理事長の代表執行権
国庫補助金申請を諏訪組合理事長名で実施したのは組合の理事長に与えられた代表執行権の行使であり、理事長の執行権は理事会又は総会決議に代わるものとして有効であると説明した。理事長の代表執行権の執行は、それを補佐する理事長の意思決定準備をする主要理事及び管理組合員で構成される者の稟議書「意思決定原義」なるものがあると説明した。そして多摩市長に理事長、副理事長及び数名の組合員が稟議した謀議書を提出し、法的に正当であると主張した。

多摩市長はそれを受け取った段階で、諏訪組合の主張は建物区分所有法に照らして法的には全く不当であることが分かった。しかし、それを問題にする以前に諏訪組合は、組合自体が自分の費用で修繕か、建て替えかに関するマニュアルで定めた作業をしていない。そこに添付された建て替え推進決議自体が、マニュアルにもとづかなく国庫補助金申請条件に違反したものである。

そのような違法を前提にした国庫補助申請に当たり、建物区分所有法上の重要議決事項であるから総会議決事項である「建て替え推進決議」自体が違反である。多摩市は、その不正文書で国庫補助金を申請している事業には、基本的な事業自体が法律違反を犯していることを理解した。国庫補助事業自体が詐欺文書による補助金詐取をする法律違反である。多摩市が諏訪組合から提出された国庫補助金申請書の不正を突けば、多摩市自身が国に提出している国庫補助申請自体に違反そのものが指摘され薮蛇になる危険性が高い。違反が表に出たとき、国は「違反を指示はしていない」と逃げることは目に見えていた。

結局、多摩市が違反を実施した監督責任を追及されることは目に見えていた。多摩市は国の言いなりに犯罪に手を貸していたほうが安全であると判断した。そこで、多摩市は建物区分所有法に違反している組合の意思決定の違反を黙認した。つまり、多摩市関係者も、国土交通省担当室長の構想した犯罪に手を染めてしまった。

多摩市長に対する国庫補助金等適正化法違反の行政事件訴訟

諏訪組合の組合員二名は,国庫補助金申請がニセの「建て替え推進決議」を使った詐欺行為であると平成16年に多摩市会計監査委員会に地方自治法に基づく監査請求を行った。監査委員会の監査請求の結果は、「多摩市長の行政処分は、円滑化法に照らし疑義がないとはいえないが、国が推進する建て替え事業の方針と基本的に同じであるから違法ではない」と組合員の訴えは却下した。監査委員は多摩市長から任命され報酬を得ているから多摩市長の決定を法律違反と言えなかった。

多摩市長による国庫補助金申請は補助条件に違反し、補助金の使途は国庫補助金等適正化法に明記されている補助目的どおりに使用する規定と違い、建て替え事業反対者の切り崩しや旭化成ホームズ㈱の利益本意の建て替え事業計画のために使われていたから、明らかに法律違反であると訴えた。多摩市長は、国庫補助金の成果は、「建て替え決議」をする際の組合員の判断資料に使うと説明した。その段階では補助事業は継続中で、その事業の実態を調査しない限りどのような説明でもできる状態であった。

裁判長は事実関係を調べず、多摩市長の説明を全面的に受け入れ、組合員の訴えを却下した。事業が法律違反の事実については、円滑化法に明るい2人の組合員により法廷で再三陳述した。しかし、裁判官は建て替え事業計画のために補助金が使われていると認め、多摩市長を擁護し続け、その代理人弁護士の虚偽にまみれた答弁を認め、2人の組合員の訴えを却下する判決をした。

その段階で旭化成ホームズ㈱の建て替え事業計画の作業は、まだ作成段階にあり、国庫補助金が適正に使われたかは現地調査をしなければ分からない状態であった。裁判長は原告の求める事実調べを一切せず、多摩市長の答弁をそのまま受け入れ、または、裁判長が多摩市長の虚偽答弁に騙されたか、もしくは、は虚偽を承知で詐欺を幇助したものでしかなかった。

旭化成ホームズ㈱によって作成された建て替え事業計画は、組合員の要求を取り入れたものではなく、旭化成自身の利益本意のものでしかなかった。旭化成ホームズ㈱によって作成された建て替え事業計画に対して、組合員のアンケート調査では、30%強の組合員から反対の意思表示がされていた。その状態でこの事業計画で組合員の「建て替え決議」を実施すれば、決議に必要な80%以上の賛成は得られず、建て替えは強制事業として実施してはならないことになる。どうしても強制事業として建て替え事業を実施しようとした住宅管理組合は、建て替え事業成果を自らの手で反故にし、国庫補助金の補助目的には使われなかった。

裁判所が、審理中に現地に入り事実調べをすれば、住宅管理組合自体が国庫補助金を建て替え反知者の切り崩しに使い、組合員の要求に応える建て替え事業計画ではなく、旭化成ホームズ㈱の利益中心に事業計画になっていたことは理解出来た筈である。建て替えに絞った事業計画作成に取り組んでいる総会合意が存在しなかったわけであるから、国庫補助金が建て替え反対者の切り崩しに使われていたことは容易に確かめられた筈である。裁判官は建て替え事業を促進する行政目的に適合する行政追従の形で法廷を指揮しており、組合員の訴えを聞いてはいなかった。

第3章 国庫補助事業不存在の奇策

刑事訴追におびえた多摩市長と旭ホームズ(株)の退場
諏訪組合は、円滑化法という強制事業を、法律で定められた方法によらないで実施できる全く別の「騙しの方法」で建て替え事業実施を考えた。諏訪組合の区分所有者が国庫補助金等適正化法に違反して進められていた事業を刑事告発し、多摩中央警察から東京地方検察庁に書類送検されていた。諏訪組合が取った方策は、国庫補助事業が存在しなかったことにし、それの代えて新たな奇策が生み出された。

刑事訴追を怖れた多摩市長及び旭化成ホームズ㈱社長が建て替え事業からの撤退意思を示し、尻に火の付いた諏訪組合が、「毒食えば皿まで」の大勝負を仕掛けたものであった。国庫補助金を受けた建て替え事業計画が存在することを否定すれば、国庫補助金等適正化法違反と本事業とを切り離せる。国庫補助金を受けて作成した建て替え事業計画の成果を存在しなくできれば、30%程度存在する事業計画に反対する組合員のため「建て替え決議」ができない事態を回避できる。新しい不正な方法は、国庫補助金自体が成果不存在を前提に事業を進める方法である。

諏訪組合が多摩市、旭化成ホームズ㈱との補助金等適正化法違反を回避する謀議の中で、円滑化法による建て替え事業を継続実施しない限り、補助金不正使用の嫌疑は回避できないことを確認した。告発を受けた事件関係者は、国庫補助金と無関係で進めてきた事業である体裁をつくることが、事業関係者を刑事訴追から諏訪組合、多摩市長及び旭化成ホームズ㈱社長を刑事訴追から守る方法と考えた。

謀議の中で提案された最重要事項は、ともかく強制事業としての建て替え事業の実現である。そのためには、円滑化法による「建て替え決議」を実現することである。「建て替え決議」の規定の文言は昭和58年建物区分所有法と同じである。先に事業者を決めてしまえば「建て替え決議」は突破できる。これまでの「建て替え決議」に失敗した旭化成ホームズ㈱から東京建物㈱に建て替え業者の資格を禅譲する案である。その策が通れば、建て替え事業自体は円滑化法に沿って実施されている体裁を貫徹できる。「建て替え推進決議」の場合同様、マニュアルに従わないで、名称だけの「建て替え決議」をすれば、円滑化法どうりの法手続きを踏んだことにできるという担当室長の示唆どおりのやり方である。

不正な「建て替え決議」の獲得と、「犯罪隠匿」のための「事業者選定競技(コンペ)
その結果、多摩市長から多摩市域で多数のマンション工事を実施し、多摩市とも気心が通じている東京建物㈱に旭化成ホームズ㈱が担ってきた建て替え事業を禅譲する提案である。参加関係者の協議(謀議)を受けて、東京建物㈱葉計画通りの17億円の国庫補助金を受けるほか、開発地の評価を切り下げ、そこで生み出した利益を東京建物が手に入れると言う条件で、建て替え事業の禅譲を受ける業者となる合意をした。

諏訪組合は円滑化法が制定される以前の昭和58年建物区分所有法の手続きで建て替え決議をすることで、組合員を騙せると考えた。事業計画が存在していなくても建て替え業者の企業競争にする方法が建て替え事業者選考コンペ(競技)である。これまでの事業で障害になってきた旭化成ホームズ経の国庫補助金不正交付問題で検察庁の操作が及ぶ危険の合った多摩市長及び旭化成ホームズ㈱をうまく退場させることができ、建て替え決議も確保できることになる。

事業者競技(コンペ)の体裁を八百長とするため、旭化成ホームズ㈱と東京建物㈱の他数社の業者を競技に参加させ、公正さを演出した。八百長であっても旭化成ホームズ㈱の作成した建て替え事業計画に対し30%程度の反対があったから、東京建物㈱には圧倒的有利な条件を提示させ、建て替え業者として選考するやり方が求められた。経済環境は悪化し始めており、組合員の関心は建て替え工事期間の仮住まいや引越しに要する費用の大きさに置かれていた。

東京建物㈱は、組合員にこれまでのマンションの床面積と同じ規模の新規マンションと合わせて諏訪組合の全組合員世帯に、各500万円の移転補償金を支給する条件を提示することで圧倒的多数の組合員の支持を得て建て替え事業者として選考された。建物の区分所有権の評価が、1、117万円であるのに、移転補償費がその約半額という大きさに多くの組合員は驚いた。旭化成ホームズ㈱が提示していた条件は、建て替えに賛成しないで転出する人の土地の時価は当時の住宅市場の相場の1,500万円であった。差額は組合員の土地評価を下げたことで生み出した。

諏訪組合が東京建物㈱と共謀した「500万円の移転補償金」のからくりはすでに述べたとおりである。組合員の関心は移転費用と仮住居の負担であった。ここで組合員が安心できる費用として丸1年分の仮住居費用を提供できれば組合員の支持が得られると両者は考えた。そこで組合員を騙す方法として、組合員の権利変換の対象となる土地の評価を組合員の分からない形で低い評価し、それを移転補償費として支給すれば、最終的に建て替えに参加した人には低く評価した分のお金は移転補償金で支給するから実損を与えるわけではないと「ドロボーの理屈」を考えた。

旭化成ホームズ㈱は事業者選考競技(コンペ)で敗北した形をとり国庫補助金5億円の不正受給を指摘されないで建て替え事業舞台から撤退することができた。多摩市長は国庫補助金の支給を不問にする形で補助事業を闇に葬り、その補助金不正交付自体の存在を否定する方法で、補助金の不正交付を闇に隠してしまった。そして、建て替え決議を実現する環境をつくってしまった。

でたらめな事業者提案競技(コンペ)方式
事業者選考競技(コンペ)はその名称が付けられているため、社会的に公正な競技が行われる錯覚を与えた。競技には競技条件があり、勝敗を判定する基準と判定者がなければならない。しかし、この事業者選考競技(コンペ)にはそれらの条件はなく、組合員の総合的判断に委ねるものである。事業者の提案と一緒に建て替え事業者を決定する事業者提案競技(コンペ)方法は、参加条件、提案競技の参加条件、審査条件とが明確にされない限り公平な提案競技にはならない。組合員に自由に選択させるが、組合員に競技(コンペ)参加業者の計画内容を評価する能力はなく、判断基準はばらばらで多数決で事業者を決定できたとしても同床異夢での決定でしかない。

建て替えをする上で組合員が共通して支持できる合意形成された事業計画が存在せず、競技(コンペ)参加業者の提案条件を定めないで、業者を決定する事業者提案競技(コンペ)方法は、円滑化法による強制事業として全く予定されていない。事業者提案競技で建て替え事業者を公正に決定できるなら、円滑化法第4条及びその内容を定めたマニュアルでの合意形成の手順を決める必要はない。円滑化法による強制建て替え事業で必要とされたことは、組合員の民主的な合意形成の手続きである。そのためには建て替え事業計画の内容について組合員が熟知して、組合員全員の納得できる計画を作成し、組合員の採否の決議を行うことである。

マンション建て替え事業は個人が取得する個々の住宅以上に、住宅地全体の生活環境を造り、住宅地経営全体を行うため、住宅都市に関する専門的知識や技術を必要とする。どのような町を造るのかに関し組合員の合意もなく、利潤追求本位のデベロッパーの建て替え事業の中から、組合員がよいと考える住宅を提供する業者を選ぶことができるはずはない。

少なくとも、円滑化法の制度の枠組みの中で、事業者提案競技(コンペ)を取り入れるならば、その条件こそ「建て替え決議」の際の前提とされる組合員の総意で決定させるべきことである。建て替え事業計画の計画条件と、建て替え事業者となれる条件と、それを審査決定する判断基準こそが、まず公共性を付与する条件として決定されなければならない。その内容こそ、円滑化法独自で付与できる公共性の法的根拠で円滑化法第4条の内容を定めたマニュアルであった。

事業者の提案競技は(コンペ)は、事業計画条件と事業者条件とも満足するものの中から、どのような判断基準で専門的知識と技術を持っている専門家が審査・評価し、それを参考に組合員が適当と考える業者を選考するならば、業者選考競技(コンペ)が可能になるかもしれない。組合員が共通の判断基準を持って投票しない限り、適正な業者の提案競技などできるはずはない。建て替え事業計画に関し専門的な知識と経験を持った人たちの評価を参考にし、組合員に総合的に判断させれば、選考が出来るかもしれない。建て替え事業には専門的知識と技術が不可欠で、その部分を審査し判断しないと適正な事業を行うことはできない。

実際に行われた事業者提案競技(コンペ)は、諏訪組合が始めから建て替え事業者を闇の中で旭化成ホームズ㈱を東京建物㈱に禅譲を決定し、その追認の儀式であった。諏訪組合が必要だったものは、円滑化法による強制事業を実施する根拠としての「建て替え決議」と言う大義名分である。つまり、強制権を持った事業を実施するためには、円滑化法独自で構築した公共性の根拠である「建て替え決議」が不可欠だったのである。昭和58年建物区分所有法第62条の建て替え決議の公共性は建て替え決議によって与えられているのではなく、事業対象になっているマンション自体が危険で緊急の安全実現として建て替えを実施する憲法第29条の判断にあった。

59億円供与の密約と法律違反の八百長「コンペ」
この事業で採用された提案競技(コンペ)は、競技させている無条件の競争にし、組合員がそれぞれ勝手な判断基準で判断するといった無茶なやり方で、組合員の財産の処分を委ねる建て替え事業者の優劣を組合員に決めさせるものであった。その判断で果たして何を判断基準としているかさえ明確ではなく、結果は「移転補償費として500万円を提供する」提案をした東京建物㈱が圧勝した。その筋書きは諏訪組合、多摩市長、旭化成ホームズ㈱、東京建物㈱の四者謀議で決められたものである。それでは建て替え事業を強制する正当性も持つものではない。

問題はそれ以降の対応である。東京建物㈱が建て替え事業者と決定し、もはやそれに代わる業者が登場しないことが明らかになった段階で、諏訪組合と東京建物株は予定していたように、「リーマンショックの影響で東京建物の経営状態が悪化したので、500万円の移転保証金は支出できない。もし、それを組合員が求めるならば、東京建物㈱は建て替え事業から撤退する」と組合員に申し入れた。諏訪組合は東京建物㈱の要求は受け入れなければ建て替え事業はできなくなるといい、理事会及び総会の決定もなく、東京建物㈱の要求を受け入れた。つまり、500万円×640世帯=32億円がそのまま東京建物㈱の利益となった。しかし、実際は、組合員全員がその保有する土地代350万円の合計22億円が東京建物㈱に騙し取られたのである。

四者謀議の決定に従い、諏訪組合と東京建物㈱が組合員を騙して建て替え事業を進めてきた。移転補償金500万円の内訳は問題にしないですべてを取り止めることで32億円を手に入れた。そのときに、500万円の移転補償金の取り止めの陰で、組合員の資産である土地を1戸当たり320万円分の資産を詐取してしまったのである。東京建物㈱はこの補償金の廃止で32億円を手に入れただけではなく、円滑化法による事業ということで、さらに27億円以上の国庫補助金を受け、合計59億円の利益を事業外で手に入れることになる。これが四者謀議の本質である。

実際に東京建物㈱の建て替え事業では、多くの高齢者は経済負担が少ないため、小規模な住宅を希望していたが、それを満足することができなく対象戸数が不足し、入居をくじ引きで決める現象が起きていた。事業提案競技(コンペ)は東京建物㈱の利潤追求の経営枠組みに組合員の住宅ニーズを合わせたもので、組合員の生活要求を建て替え事業で実施するものではなかった。

この事業は、建て替え事業者の靴に組合員の生活要求足を合わせる事業である。このような非民主的な事業に強制権を与えることなど、円滑化法はとより、憲法第29条に照らしてできるはずがない。それはほんの一例で、組合員は建て替えられる住宅地の計画や経営の全貌や、コミュニティを如何に再生するかの議論はなくなって、そこでの生活について全くお客様扱いで、あてがい扶持のマンションを手に入れる営業販売負担をしなくて済む事業である。

第4章 消えて行った建て替え事業反対者

建て替え反対者切り崩しの色々
建て替え事業に反対して来た人びとにとって、諏訪組合の推し進めてきた強引な事業推進にまともに反対をしても諏訪組合からはまともな対応されないことが明確になってきた。そのような法律を蹂躙した事業を組合員は理解することは出来ず、不安だけが拡大していった。

特に建て替え事業反対者にあっては、諏訪組合とは一緒にやっていけない雰囲気が組合全体に蔓延していった。組合として一緒に議論する共通の場は失われ、建て替え反対者には事業のやり方への不信が拡大し、組合から脱落することを真剣に考えるようになっていった。それが1年足らずの間に、190世帯もの反対者は、何処に消え、最終的にその反対者が僅か2世帯にまで縮小する状態になった。その基本的な環境形成の変化を次に明らかにする。

二人の老人が自宅マンションからの明け渡し断行仮処分の強制執行がされるまでも、さらに、その後も二人は一貫して、法律違反を犯した建て替え事業に反対した意思表示を諏訪組合にしてきた。しかし、それ以外の建て替え事業反対の組合員は、諏訪組合の法律制度を徹底的に蹂躙したやり方に呆れ果て、諏訪組合とはまともな話し合いはできないと感じるようになった。

建て替え事業反対者への露骨な切り崩しと団地内での建て替え事業反対者に対するニュースやチラシを使った差別や名誉毀損をおこない、建て替え反対者の生活を妨害してきた。諏訪組合の不正を訴えて訴訟を始めた住民を諏訪組合は組合ニュース、チラシ、ビラで不当な非難をし続け、その結果、建て替え反対者は団地内で、孤立化させられた。

同じ団地の住民は、諏訪組合から同じ扱いを受けることをおそれ、建て替え事業反対者に近寄らなくなり、事業反対者は無力感に襲われ、孤立化していった。組合員は、諏訪組合による執拗な名誉毀損にたえかねて訴えをした。しかし、多くの組合員はその事実を見ても、諏訪組合からの干渉圧力を恐れて、分断された建て替え事業反対者を誰一人、目に見える形で支援をしようとしなかった。

そして孤立化した組合員は、多摩市長との行政事件の原告にもなり、献身的に諏訪組合のために尽くしたが、その取り組も孤立化したことで、建て替え反対者とも一緒にはやってゆけないと絶望し、住宅団地から転出して行った。そのように分断された建て替え反対者たちは、失望して、団地から潮が引くように転出する人が日ごとに増えていった。そして、東京都知事による建て替え組合の認可がなされ、諏訪組合が一気に高圧的になり1,117万円の最終買取価格を提示したときは、雪崩を打ってマンション売却が起き、気が付いたときには二人になっていた。

補助目的どおり使われなかった国庫補助金
建て替え事業は、最初から国土交通省の担当室長が、諏訪組合に国庫補助金を騙し取ることを教唆して、建て替え事業の実績作りのために計画された。中央政府の官僚が諏訪組合と東京都及び多摩市に、不正な補助金申請の詳細を指導して建て替え事業を推進し、その業界への影響力を拡大しようとした。その意向どおり諏訪組合と旭化成ホームズ㈱は国庫補助金を使い建て替え反対者を切り崩し、5億円以上の資金でやりたい放題の不正を実施することが出来た事業である。彼らは法律上、建て替え賛成者を全体の組合員の80%以上に纏めれば、残りの20%未満は強制的に事業に賛成させるか、住宅団地から追放してしまえば建て替え事業はできると考えた。

諏訪組合の場合、建て替え事業反対者の切り崩しを担当した旭化成ホームズ㈱には、江戸川アパートの建て替え事業の経験で、諏訪組合でも実現できるという過信があった。建て替え事業計画は専ら旭化成ホームズ㈱の利益本位に作成すればよいと考えていた。そこには成り上がり業者のおごりがあり、組合員をなめて掛かっていた。旭化成ホームズ㈱の建て替え事業の取り組みには組合員の要求は反映させようとせず、旭化成ホームズ㈱の利益本位の建て替え事業計画で、その事業計画は組合員の批判を受けることになった。結果的に、法律上では建て替え決議に必要な賛成が得られず、建て替え事業は中止しなければならず、諏訪組合は作成した建て替え事業計画を基にした組合総会での賛否を採らず、計画自体が存在しないものと闇に葬ってしまった。

その後、法律に規定していない方法・事業者選考競技(コンペ)を、あたかも円滑化法に則ってやっているかのように説明をし、建て替え事業を強行することになった。その法律にはない違法な方法を正当な方法に見せるため、これまで東京都開発審査会で不正な開発を不当に容認する役回りをしてきた御用学者首都大学元教授を看板にした委員会を立ち上げ、住宅管理組合理事会の隠れ蓑とし、建て替え事業者選考競技(コンペ)をでっちあげた。このような法律を無視した強引なやり方に、多摩市も東京都も国土交通省も、諏訪組合の違法を悉く容認した。そのため、建て替え事業の反対者たちは、既に団地内で差別を受け合理的な扱いは期待できないとばらばらになっていた。

団地から反対者を脱落させた理不尽な買い上げ価格の発表
建て替え反対者の中には、理を尽くして反対をしても、それに耳を貸す諏訪組合ではないことが分かった。そして、建て替え推進者と反対者との溝は深まり、これまでのような人間関係を維持することはできないと判断し、マンションを一般市場で処分し退居していった。又は、財産を相続する子供世帯が老朽マンションでは困ると老親に苦情を言い、老後の介護不安のある老人たちは子世帯の要求に応じたため、急激に建て替え反対者は減少していった。

それを決定付けたものは、諏訪組合がマンション反対者のマンション買い上げ価格を、相場より22%以上低い価格で提示し、おとなしく市場でマンションを売却すれば1500万円程度で売却できるが、反対し続ければそれより25%程度安くなり損をさせる不当な強硬姿勢を提示したことにある。旭化成ホームズ㈱が提示していたマンション買取価格は1,500万円であったが東京建物㈱が諏訪組合と共謀して提示した価格は1,117万円であった。

東京都知事の建て替え組合認可を受け、強制権が組合に付与され、建て替え事業をめぐる情勢は建て替え事業は避けられない雰囲気になった。そのうえ、最後まで反対し続ければ、現在のマンションの中古市場価格より25%程度低い価格とされた。建て替えを阻止できる可能性が縮小した上、建て替え反対の組合員の多くは高齢者たちであるため、少しでも有利な価格でマンションを売却しようと追い立てられ、一挙に中古市場の動向に関心が移っていった。

その結果、不正なマンション建て替え事業の反対ではなく、自らの所有するマンションを少しでも高い価格で売却することに向かっていった。それでも法律違反の建て替え事業は、法治国である限り国の法律に照らした正義の前で建て替え事業を中止させられると考える反対者たちは、二人の老人を除いて、一人もいなくなってしまった。二人は最終的には行政や司法が法に照らして正常化してくれると信じそれまで頑張ろうと考え、希望を繋いで建て替え事業反対者の集会を続けていた。

残った建て替え反対組合員の活動
事業に反対する組合員の集会は諏訪組合からの弾圧を怖れ、あたかも地下活動をしているように住宅団地の外にある集会所を借り諏訪組合には気付かれないよう、諏訪組合関係者に気付かれないよう誘い合って、夜間にこっそり、ひっそりと開催された。建て替え反対者の中心は85歳と最高年齢者であった。彼は元教員で人柄も穏やかで、建て替え推進者に対しても冷静に対応できた。その上、彼は建て替え反対活動が表側に出ても、法律どおりの行動をしているから、法務局人権委員会、東京都や多摩市、多摩中央警察、東京地方裁判所は守ってくれると信じ、危険はないと考え中心的な役割を買って出た。

彼は組合理事会にも顔をだす秘密組織の「表に露出した代表者」としての役割を担った。彼は皆に伝えたいと考える情報を、自ら原稿を手書きで作製し、それをコピーで焼いたチラシやニュースとして、毎月のように建て替え反対組合員に配布していた。しかし、彼の発行するチラシは、東京都知事の建て替え組合認可以後は、建て替えを阻止できる展望を失い次第に勢いを失った。そして、マンション建て替え反対者集会に集まる反対者の数は、回を追ってどんどん縮小していった。建て替え反対者の集会に建て替え賛成者がこっそり参加し、そこで得た情報を諏訪組合に密告することもあった。

建て替えを推進する諏訪組合はその状況を見て盗人猛々しく、二人の老人は、建て替え事業の犠牲者であるにもかかわらず、建て替え事業の妨害者であると位置づけ、建て替え事業が計画通り進んでいない理由を二人の反対によるような宣伝を組合内に流した。そして、建て替え事業が当初組合員に伝えていた計画より遅延している理由は、二人の老人の建て替え反対による事業妨害であると諏訪組合は問題をすり替え、事業遅延による損害を二人に請求できるうわさを建て替え賛成者に流した。そのうわさは二人の耳にも聞こえるようになり、二人を脅かすことになった。

彼とともに最後まで残った高齢な女性は、団地の建設当初から終の棲家として居住した元公務員の住民である。極度な難聴を患い筆談をしない限り適切な意思疎通は困難な状態にあった。しかし、独立心が強く、手に入った文書はしっかり読み、自分の納得する行動を取っていた。建て替え反対者の会合にも欠席することなく参加し、この事業が必ず行政機関の手で正常化されると信じていた。当初は30名を超える集会が、建て替え組合が東京都知事の認可を受けた以降は、この2人のほかは2~4名ぐらいの組合員や外部からの支援者は全体で10名以下が参加する状態になっていた。

建て替え反対を最後まで貫いた二人の老人への組合の対応
2人の老人は諏訪組合の法律違反を国の住宅行政が認めるはずはないと固く信じていた。それだけではなく、諏訪組合は2人の組合員に対し強制執行が行われるまでに一度も建て替え事業に反対した場合の扱いの説明することはなかった。そのため、二人は実際の事業は進んでいないと感じ、強制的な事業は事業に反対している組合員に建て替え事業説明があってからでなければ始められることはないと信じていた。多摩市もまた東京地方裁判所立川支部による建物明け渡し代執行が、仮住居も用意されないで行われる情報を知っていて、それを知らせようともしなかった。

建て替え推進の諏訪組合は、二人の組合員を建て替え事業の妨害者とみなした。そして、円滑化法第4条に定められている基本方針及びそれを解説したマニュアルに定められている建て替え事業に参加できない組合員に対して行うべき生活再建の対応をすることは全くなかった。つまり、建て替え事業に参加できなかった人達は、建て替え事業によって利益を受ける人の犠牲者であるから、その損失に対し円滑化法で定めた損失補償をしなければならない。

諏訪組合は建て替え反対者に法律で期待されたことをやろうとはしなかった。組合理事の誰一人として二人の老人の個別に面談し個別の事情を聞こうとしなかったし、事業内容としてどのような損失補償をしてくれるのかの説明もしなかった。諏訪組合が作成した建て替え事業計画には、二人の老人のマンションを強制的に取得するときに二人の老人に与える損失に対する補償に関する予算さえ組まれてはいなかった。建て替え組合認可を行った東京都知事もその経由庁である多摩市長も、強制的に排除される二人の老人のことを歯牙にも掛けていなかった。

諏訪組合は、東京地方裁判所立川支部にマンション明け渡し断行仮処分を求め、仮処分決定後、わずか一週間して強制立ち退きの代執行をしながら、二人に対して仮居住する住宅を用意してはいなかった。多摩市は諏訪組合の強制立ち退きを知っていて、二人に対して建て替えに賛成するように組合の手先になって勧誘することはあっても、二人の生活が強制執行により路頭に迷うことを知りながら、何もしなかった。

多摩市は建て替え事業の最初から法律違反を幇助し、国庫補助金の不正交付に関与してきた。多摩市は二人の老人に対し、建て替えに賛成しないのであるからマンションから放り出されて当然と考えていた。多摩市は、組合員が中心となって作成した円滑化法で作成すべきとしている事業計画自体が存在しなかった状態で強制事業が進められていたことを放置していた。諏訪組合は建て替え事業者の手先として、全て東京建物㈱の言いなりの事業をしてきたのを、多摩市は補助金を与えて支援してきたのである。

その上で、事業に反対する組合員をまともな組合員として扱わず、「塵(ごみ)」として粗末に扱った。その建て替え事業は、多摩市長及び東京都知事の行政監督下にあった。それにもかかわらず等閑視され、建て替え事業計画には二人の組合員に対する損失補償費も計上されず、文字通り「塵」として扱われていた。

実施すべき事業計画が存在しない建て替え事業
諏訪組合は二人の組合員に対し、信じられないことであるが、建て替え事業計画に関し、どのような補償がされるかに関し何も知らせてはいなかった。知らせていなかったというより、建て替え事業反対者に損失補償をしなければならないということを全く考えていなかった。その理由は諏訪組合が旭化成ホームズ㈱にやく5億円支払って作成したはずの建て替え事業計画を、建て替え決議に使えない計画であるとして闇に葬ってしまったから、円滑化法で定められた諏訪組合としての建て替え事業計画は存在していないのである。

旭化成ホームズ㈱と多摩市長は、諏訪組合ともども国庫補助金等適正化法違反で、刑事告発されていたため、多摩市長と旭化成ホームズ㈱は建て替え事業から一切手を切って抜け出したいと考えていた。多摩市長は三選立候補をあきらめ、旭化成ホームズ㈱は関係した不正が暴かれないようにすることを考えた。建て替え業者選定コンペは、多摩市長及び5億円を詐取した旭化成ホームズ㈱のこの事業からの幕引きの場である。

東京建物㈱は違法な事業の跡始末をするのであるから、言いなりの利益を手にしないかぎり事業を引き受けないという姿勢で臨んできた。多摩市からは旭化成ホームズ㈱が得た5億円とは別に、違法な国庫補助金(27億円)を引き出す約束をし、組合員に提供を約束した1世帯当たり500万円の移転補償金を保護にすることで32億円を手にすることを条件とした。そのうちの22億円は土地の評価を引き下げることで捻出した組合員の土地を詐取したものである。その結果、合計59億円の事業外利益を、建て替え事業禅譲の条件どおり手に入れた。

東京建物㈱は諏訪組合同様、事業に反対する組合員に損失補償をする考え方自体を持っていなかった。裁判が始まってから諏訪組合の代理人弁護士は法廷で、この二人に対し、マンションを取り上げるために供託した供託金は補償金ではない、保証をする必要はないと断言した。驚くべきことに、東京地方裁判所立川支部の村田及び木目田裁判長は、その弁護士の主張をオウム返しに追認した。二人の裁判長は終始、諏訪組合の代理人弁護士の主張を追認し続ける一方、二人の組合員に対し、「組合の主張を認めよ」と脅し続け、組合の立場を繰り返しただけである。

諏訪組合は区分所有者全員の合意を得た建て替え事業計画を作成しておらず、東京建物㈱の作成した建て替え事業の番頭代わりの役割しか果していなかった。存在していた建て替え事業計画は、東京建物㈱が実施したいと考えた建て替えの事業計画であってマンションの区分所有者はその意向を反映せず、東京建物㈱の計画の範囲で選択するあてがい扶持の事業計画であった。

つまり、組合員が望む建て替え事業計画ではなく、組合員の選択できる住宅は東京建物㈱が事業採算上必要と考えた住宅計画から組合員が抽選で選択するものであった。区分所有者の建て替え事業に対する主体的な計画内容を決定出来ない状態で、2人の区分所有者は諏訪組合の法律違反の建て替え事業の違法性を追及した段階で、自宅マンションから追い出されたのである。

強制権を付与する事業の遵守すべき条件
この事業は円滑化法にもとづき事実施された事業であったが、事業施行者も法の施行者も法律を全く尊重していなかった。さらに、この事業計画を作成するために国庫補助金約5億円も交付された事業であったが、補助金の使途に関し行政関係者は全く等閑視していた。事業の性格上、当然、国、東京都、多摩市による行政上の監督がされなければならなかった。それなのに事業は諏訪組合の言いなりに進められ、行政府、司法府、立法府、政党、法曹界、朝日新聞を始めジャーナリズムは、その違法なやり方を知っていて、それを関し監督せず、報道せず、是正をしようとはせず、むしろ、この2人の老人の対応の方が間違っていると言わぬばかりの対応をした。

これらの機関や組織の対応を無視することはできない。国民の税金を32億円も投入する事業である。補助制度が適用できる条件が法律で定められ、それらは厳密に守られなければならない。しかし、現実には国民の税金の使用は、官僚や政治家がその権力行使の一部として、恣意的に誰の腹も痛まないお金と思い、それを平然と口にし、これまで官僚は政治家の口利きに呼応して、国民の税金をあたかも自分の財産を使うように、勝手に配分する不正がまかり通ってきた。

国庫補助金を取り扱うところが、補助金を官僚の権力と利権の拡大のため恣意的に配分されてきた。国庫補助金が不正に使われていることがきっかけになり、不正によりなされた本事業は、行政機関の不正の実現のため、不正の実施が公権力により容認される。それぞれの行政機関は国民に対しては、公権力は不正をなさないと虚偽の説明されているため、多くの国民は、公権力によってなされることに疑問を持たないでいる。

最後に
すでにマンション建て替え事業は着々と工事が進み、入居募集も始まっている。社会全体から見ると、国も東京都も多摩市適法であるといっている事業に、二人の老人がつまらない拘りで意固地に反対し、蟷螂の斧は折られ、応分の仕返しを受けている馬鹿な老人ということである。

諏訪組合建て替え事業の取り組みの初期の段階で、庶民の味方を標榜する日本共産党や朝日新聞をはじめ多くの政党やジャーナリズムに不正の実態を説明したことがある。ジャーナリズムの対応は、結局、有力な広告主とは対決しないことであったし、政党は末端組織の支援者を集めることで多数が賛成する建て替え事業側を支持することしかできないということであった。この事業も過半数の居住者は、建て替えにより「濡れ手で粟」の得られる事業に賛成であった。商業紙も赤旗や公明新聞も組織拡大のためには、商業紙や機関紙や購読者拡大が最大の目的となっていた。

ここで朝日新聞と日本共産党をジャーナリズムと政党の代表者のように名前を挙げた理由は、末端の記者や党員が理解できたこの事件の不当さが、ジャーナリズムの経営や政党の党勢拡大という組織の論理にぶつかると、新聞や党の掲げる大義名分は影を潜め、それまでの人権感覚は吹っ飛び、醜い企業利益や党勢拡大がこの問題をまともに扱う感覚を拒否してしまった。朝日新聞は体面を維持しようと編集局長が登場し、言い訳を言いにきた。日本共産党は支部長や党本部が登場して、本音と建前を分離した動きしかしないことを証明した。

その落差が最も大きい組織が朝日新聞と日本共産党であっただけで、その他のジャーナリズムや政党も基本的に大同小異であった。少なくとも国土交通省、東京都。多摩市、最判所の各記者クラブと国会、議員会館、都議会、多摩市議会に議席を持つ各政党の国土交通委員の全てにこの事件の梗概を文書で提供し、いつでも詳細情報説明をするという対応を各事務所に出向いて伝えた。文書を送った社会派といわれた現都知事を含み、全て資料を配布した関係者からはなしのつぶてであった。配布資料の数は数百部に上る。

当時政権与党であった民主党の弁護士出身の建物区分所有法に精通しているという参議院議員に直接面会して、立法府が付帯決議までして成立させた円滑化法が骨抜きの施行されているのを見て、立法府軽視といって問題にしてくれないかと問題を提起した。それに対し議員は、「その訴訟に弁護士を付けているか。」と面会の意図や事件の内容を聞くよりもまず、弁護士の力が不可欠であると横柄な質問をしかけてきた。そこで、「本人訴訟でやっている」と答えたところ、「そりゃーだめだ。弁護士がいなけりゃー裁判にならない。」と言った。

それを聞いて、この議員は現在の裁判が司法(裁判官)と法曹界(弁護士)の馴れ合いであることをうまく言っていると思わせてくれたが、この問題が立法府軽視の問題とも、人権に係る問題と言う受け止め方はせず、勝ち負けのゲームや弁護士の営業の問題としてしか見ていなかったことに腹が立った。何が問題かという争点を聞こうともしなかった。「裁判がすでに進んでいてその中のいくつかは初級審で敗訴となっている」ことを説明をしたところ、「そりゃーもうだめだ、見込みはないよ」とそれ以上まともに話に乗ろうとはしなかった。法が機能していないこと、正義を実現しようという気持ち、被害者の置かれた状態になって考える姿勢も見られなかった。こんな政党が国民から信頼を受けることは出来ない。

そのうえ、建物区分所有法のことで、本訴訟の焦点である円滑化法の制定で「建て替え決議」の内容が変わったことを知らす、円滑化法によらないで、建物区分所有法単独で強制建て替え事業ができると信じていた。本事件を真面目に聞こうとはせず、円滑化法制定前の10年前の自分の貧しい建物区分所有法の知識で、私が説明している事件の取り組みを批判し、自分の無知を少しも恥じない様子を見て、こんな法曹界出身の議員に政治をやらせている立法府を任せられないと思った。行政が狂っており、司法も法曹界が狂っている法治国に立法府がまともなはずはない。

この現実は、日本の「本音と建前」の矛盾する民主主義の基本問題であり、放置できない。なぜ、2人の老人だけが取り残され、自宅マンションからのと利権明け渡し断行の強制執行をされなければならなかったのか。その理解をするために本書を取りまとめることにした。

裁判所で繰り返し裁判官に指摘したとおり、法治国で法律が正しく機能しなければ、法治国ではなくなってしまう。ルールが守られないゲームは、ラフゲームになってしまい、ゲームをやっている人にも、見ている人にも少しも面白くはない。政治や、行政や司法はゲームではない。しかし、基本的に共通してる。国家の主権者である国民を粗末にした政治、行政、司法や許せない。

国民が安心した生活を営むことができるためには法律が正しく機能することを置いては期待できない。私自身中央官庁で働いているときは立法作業に関係し、各省協議や内閣法制局の法令審査を受け、国会答弁を用意し行政法づくりを数年間経験した。建設大臣の被告代理人になって法廷に立ったこともあるし、弁護士の求めに応じ、原告や被告の建築基準法の法解釈の証人に立ったこともある。行政法規の施行の仕事も中央官庁での仕事を数年担当し、2府県での行政実務の仕事も数年経験した。

民間人になって行政事件には原告として、被告としてまた不服審査事件の代理人として、行政事件訴訟や関連民事訴訟事件の訴訟当事者や支援者として約50件の事件に関係してきた。裁判での参考人や補佐人となり、専門家としての意見書を陳述することもやった。弁護士資格は持っていない。しかし、都市、住宅、建築、不動産といった専門技術、行政に関しては、半世紀以上国内外の事件を調査し、専門家として多くの事件に関係してきた。

かつて第三書館から住宅に関する行政事件訴訟事件を中心に『ウサギ小屋の真実』と言う単行本を出版したことがある。今回はマンション建て替え円滑化法に関係する多数の行政事件民事訴訟事件を約10年間取り組んできて、日本の立法、行政、司法の三権は、法曹界やジャーナリズム、学会と一緒になって、モラルハザードに陥っていて、このままではルールの機能しない闇の社会になってしまうと言う不安に襲われた。

どのような社会にするかは国民がそれぞれの立場で決定することで、それを誘導しようと言う気持ちはない、ただ私自身の経験した事実は伝えなければならないと考えた。ここで記述したことは全て諏訪2丁目住宅管理組合いで起こった私自身が関係したことである。10件を越す事件の裁判を原告、被告本人の立場で法理論を構築して取り組んだものである。この本を読んだ人がそれぞれの立場で日本の立法、行政、司法を知り少しでも信頼できる法治国を作るための行動を起こすことを期待している。



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